王岳-鬼ヶ岳 富士裾野を目の前に望む御坂山地の稜線歩き

鬼ヶ岳から見た王岳
山梨県富士河口湖町と甲府市にまたがる王岳(おうだけ)と鬼ヶ岳(おにがたけ)に登りました。
甲府盆地と富士山麓の間に横たわる御坂山地に属する山です。おおむね1,500~1,700メートルほどの標高を持つ山から成り、その立地上、どの山からであっても視界を遮るものが一切ない無い大変良好な富士展望が得られます。
空気の透き通った冬晴れの空のもと、富士展望を心行くまで満喫する縦走登山をしてきました。

2019年12月8日に旅す。

時は紅葉シーズンが終了した12月の初旬。朝の冷え込みも一段と厳しさを増し、いよいよ本格的な冬の到来と相成りました。空気が澄んであらゆる景色が鮮明に見えるこの季節は、格好の富士山詣でシーズンであると言えます。

という事で今回は、富士展望には定評のある御坂山地は王岳と鬼ヶ岳へと繰り出します。
三湖台から見た鬼ヶ岳と王岳
右の尖ったピークが鬼ヶ岳で、左の山頂部が平坦な山が王岳です。王者の風格とまで言えるかどうかはさておき、どっしりとした貫禄のある山容をした山です。

御坂山地は、甲府盆地の南側を取り囲むように東西に連なる山塊で、王岳と鬼ヶ岳はその中でも西よりの場所に位置しています。御坂山地には小粒ながらも魅力的な山が多く、こと眺望はどこも一級品です。

基本的に御坂山地に属する山からは、どこからであっても富士山の姿は良く見えます。という事で、正直なところどこでも良かったのですが、せっかくなのでまだ未踏であった王岳に目を付けました。
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王の頂を目指し突き進む、すなわちキング・オブ・ザ・ロード登山です。

王岳頂後は稜線沿いにお隣の鬼ヶ岳へ足を延ばします。一部にアスレチックな場所も存在し、なかなか歩きでのある縦走コースです。
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最高の展望と、爽快なる稜線歩きを存分に楽しんだ一日の模様をお届けします。

コース
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根場(ねんば)民宿バス停より、王岳に登頂します。その後は稜線に沿って縦走し、鍵掛峠をへて鬼ヶ岳へと登ります。下山はスタート地点の根場民宿へと下る周回コースです。

1.キング・オブ・ザ・ロード~王岳への道 アプローチ編

7時11分 JR高尾駅
富士五湖エリアと言うのは、一見都内からは近いように見えて、実は以外と行くのに時間がかかる一帯です。
191208王岳_005中央高速バスを使うか、もしくは大月から富士急行線に乗るしかない訳ですが、どちらにしてもトータルすると2時間以上を要します。

高尾を出発した時点では立客もいた中央本線の車内も、上野原駅を過ぎるともうガラガラです。こんな寒い季節にも山に登るのは、やはり圧倒的に少数派なもの好きなのでしょうか。
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大月駅で富士急行線に乗り換えます。富士山のインバウンド需要は極めて大きいらしく、乗客のうち日本人の占める割合は半分未満でした。
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8時52分 河口湖駅に駅に到着しました。天気は雲一つない快晴です。本日は格好の登山日和となりそうです。
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9時ちょうど発の西湖周遊バスに乗車します。始発便がこの時間です。登山者的には、もう少し早くに走らせてくれると嬉しいのですがね。
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この西湖周遊バス、最近はグリーンラインなる名称で呼ばれるようになりました。河口湖周遊がレッドラインで、本栖湖・精進湖周遊がブルーラインです。外国人にも分かり易くしようとする試みでしょうかね。

バスの車窓より望む御坂山地の山並みです。正面中央の山が十二ヶ岳(1,683m)で、その左奥が鬼ヶ岳(1,738m)です。左端にギリギリ見えているのが王岳になります。
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9時45分 根場民宿バス停に到着しました。ここまでの運賃は700円です。スカイ・パスモが使えます。
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バス停の前で立ったまま腹ごしらえと身支度を済ませて、9時55分に行動を開始します。まずはバス停前のT字路を左に進みます。
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ちなみに、王岳の後に登る予定の鬼ヶ岳は、この通りバス停から見えています。現在地からの標高差は800メートルほどです。特段キツくもユルくない、程よい標高差です。
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坂の途中のY字路を右に曲がります。道標も何もないので、地図を良く確認しましょう。5万分の1スケールの山と高原地図では少々わかりにくいかも。
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右手に根場いやしの里の駐車場が見えました。私は一つ手前の根場民宿バス停で下車してしまいましたが、本来はいやしの里で下りた方が近いのかもしれません。
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登山口に到着しました。ここから王岳までは、標準コースタイムで2時間と少々の行程となります。
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2.キング・オブ・ザ・ロード~王岳への道 登頂編

目の前に見えているこのピークが王岳なのか、はたまたその手前にあるタダの尾根上のコブなのか。地形図を見ただけではよくわかりませんが、ともかく出発です。
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足音は霜柱がザクザクです。日中に気温が上昇すると、とけて泥濘が惨いことになりそうな予感がします。
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振り向けばヤツが居る。相変わらずでっけえなあ。
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登り始めからしばらくの間は、林道歩きとなります。すでに車両が通らなくなって久しいらしく、路面は荒れ気味です。
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沢沿いに配置された多くの砂防ダムの他にも、厳重な土砂災害対策が施されています。
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登山口のある根場地区は、昭和41年に発生した大規模な土砂災害により、集落のほぼ全域が土砂に押し流されると言う壊滅的な被害を受けました。

その教訓から、西湖の周辺にある山域の沢には、どこも極めて厳重な治山的処置が施されています。この林道も、おそらくはその工事のために作られたものでしょう。

路上は至る所で落石だらけです。直撃したら即死級の大きさの岩もゴロゴロしていたので、なるべく足早に通り抜けます。
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10時40分 林道の終点まで登って来ました。ここからようやく登山道が始まります。
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道は全般的に荒れ気味で、踏跡も不明瞭です。目印のピンクテープはしっかりとあるので、見失わないように歩きます。
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登山道は直登気味で意外と急勾配です。短時間でグイグイと標高をあげて行きます。
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日陰側の斜面は凍結してコチンコチンでした。絵にかいたかのような、寒々しき冬枯れの殺風景です。
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殺風景の中を黙々と登り続けると、やがて頭上に笹に覆われた稜線が見えて来ました。
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稜線の上は、背丈を越えるような笹薮に覆われていました。刈り払われていなかったら、前進することすら困難であろう密度です。
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遠くに、この後に向かう事になる鬼ヶ岳の姿が見えます。王岳そのもの姿は、笹薮に阻まれて全く見えません。
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下草を刈っただけの急斜面を這うようにして登ります。悪路と言ってしまって差し支えの無い、極めて歩きにくい道です。やたらと滑るし。
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まったく、とんだキング・オブ・ザ・ロードがあったものです。チェックのズボンを履いている場合ではありません。

笹をかき分けながら進むうちに、不意に山頂に飛び出しました。
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10時40分 王岳に登頂しました。樹木に覆われて、実にひっそりとした地味な山頂です。完全に名前負けしているような気がします。
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毎度お馴染みの、山梨百名山の標識もありました。眺望は富士山のある南側だけが開けています。
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山頂部をアップで。山頂部の右端が富士山最高地点の剣ヶ峰です。剣ヶ峰の上に建っている富士山測候所の姿が僅かに見えます。
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眼下には西湖の全貌を見渡せます。周囲をぐるりと山に覆われて、一見するとカルデラのようにも見えますが、火口湖ではなく堰止湖です。
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王岳の頂点を極めた以上は我こそが王なり。と意味もなく気が大きくなったところで、お次は鬼を成敗しに行くことにしましょう。
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3.キング・オブ・ザ・ロード~鬼ヶ岳縦走編 王は鬼を退治しに行く

12時5分 鬼ヶ岳に向かって行動を再開します。御坂山地の主脈には森林限界を超えるほどの標高は無いため、道中は基本的に展望はありません。
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枯れ木越しに南アルプスの白根三山が並んでいるのが見えました。あちらはもうすっかり真っ白です。
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岩場や崩落地など所々に眺望が開けるポイントが存在します。という事で、前方にこれから歩く稜線が一望できました。結構激しくアップダウンしているのが何となく見てとれます。
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道は基本的には尾根沿いにありますが、際どいトラバースになっている場所も何ヵ所かにあります。
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しかしこういう場所は、得てして眺望が開けるポイントでもあります。身も蓋もないことを言うようですが、王岳山頂からの眺めよりも、道中からの方が断然よい眺めであったりします。
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西湖の奥には薄っすらと山中湖の姿も見えます。富士山すそ野のほぼすべてが丸見えです。
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スタート地点の根場民宿がすぐ下に見えます。ちょうど谷が広がる扇状地にあり、素人目にも土砂災害が多そうな場所なのが何となくわかります。
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緩やかにアップダウンを繰り返す道が続きます。
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ちなみにこの縦走路にはトゲが沢山あります。うっかり素手で掴んでしまうような事がないように、十分ご注意ください。
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思わず木につかまりたくなるような崖際の下り坂に限って、周囲にあるのが何故かトゲのある木ばかりだという、嫌がらせの様なシチュエーションです。
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一部のトラバースを除けば、幅が広くて歩きやすいトレイルです。気持ちよくハイペースで歩けます。
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前方の鬼ヶ岳の姿が徐々に大きくなってきました。
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この鬼ヶ岳は、反対側にある十二ヶ岳方面から見ると、二つ頂を持つ双耳峰のように見えます。恐らくは、それが鬼の角のように見えるのが鬼ヶ岳と言う名の由来であると思われます。

王岳側から見た場合は、二つでなく三つの頂があるようにも見えます。角度限定の鬼ですね。

13時5分 鍵掛峠に到着しました。お出かけは一声かけて鍵開けてと、変わった名前の峠ですね。王岳と鬼ヶ岳の鞍部になる場所です。つまり、ここからは登り返しです。
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鬼ヶ岳本体に近づくと、岩場が現れて徐々に険しさが増して来ます。
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御坂山地名物のねじりロープも現れます。理由はよくわかりませんが、何故か御坂山地の山の岩場には、クサリではなくこのロープが垂らされてることが多いです。
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十分な太さがあるので強度的には特に問題はなさそうですが、濡れていると異様に重くなるのが難点です。

岩場に出たことにより、周囲の眺望が開けました。背後には、ここまで歩いてきた王岳へと続く稜線。
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北側には甲府盆地が広がります。相変わらずお天気は文句なしの快晴ですが、すこし空気が霞んで来ましたかね。
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王岳よりもさらに西には、竜ヶ岳天使山地の山並みです。この界隈の山はどこも眺望がすばらしく、外れはありません。
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なお、足元はこんな感じです。あまりファインダーを覗く事に夢中になりすぎないように、くれぐれもご注意ください。
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鬼ヶ岳まではもうあと一息と言ったところです。ラストスパートをかけていきましょう。
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しかし、この最後の登りが中々の曲者でした。朝方に危惧した通り、霜柱がとけてすっかりぬかるんでしまった地面は、恐ろしいまでにズルズルと滑ります。何か掴まれるものがないと全然登れない。。
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最後の急斜面にはロープが垂らされており、滑りながらもそれを頼りに何とかよじ登ります。
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14時20分 鬼ヶ岳に登頂しました。最後の最後で思わぬ苦戦をしました。もっと寒くて足元コチコチの方が断然歩きやすいのだという事が、大変よくわかりました。
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こちらは鬼ヶ岳のシンボルである、角に見えるという岩です。その気になればてっぺんにも立てます。バランス感覚に自信がある人はどうぞ。
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4.鬼ヶ岳山頂からの大眺望

さあ、お楽しみの眺望タイムです。南側しか見えなかった王岳とは違い、鬼ヶ岳からはほぼ全方位に展望が開けています。
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北側に広がるのは甲府盆地です。盆地という地形をこれほどにもわかり易く体現している場所と言うのは、そうそう無いのではないでしょうか。
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こちらは先ほども見えていた、みんな大好き白根三山です。南アルプスにおける花形的存在ですな。
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手間にある横長の山は櫛形山(2,052m)でしょうか。とても良い山らしいのですが、公共交通機関を利用したアプローチが絶望的に悪い場所なので、訪問したくてもできずにいます。

鳳凰三山甲斐駒ヶ岳。南アルプスの前衛であり、比較的アプローチもしやすい一帯です。
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こちらは南アルプス南部の山々。右から順に悪沢岳(3,141m)、赤石岳(3,120m)、聖岳(3,013m)です。
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この南アルプス南部の山々には、前々から行きたくて行きたくてしょうがないのですが、なかなかまとまった時間が取れずに未だ訪問が叶っておりません。来年こそいけるかな。

甲府盆地を挟んだ先には八ヶ岳の山並み。
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今度は東側に視線を転じてみましょう。こちらには御坂山地の主脈が連なります。
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すぐ隣に立つこの山は節刀ヶ岳(1,736m)です。この山もまた、地味だけれどなかなか良い山ですよ。
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節刀ヶ岳のちょうど真後ろに大菩薩嶺(2,057m)が横たわっているのが見えます。笹に覆われた山頂部の姿が特徴的なので、遠目にもすぐにわかります。
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こちら、左が御坂山地最高峰の黒岳(1,792m)で、右が三つ峠山(1,785m)です。どちらも、マイナーと見なされがちな御坂山地の中では、比較的多く登られている山です。
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黒岳の左奥に、とても見慣れたシルエットの山が見えます。これはどう見ても奥多摩の大岳山(1,266m)ですね。まさかこんなところからも見えるとは思いませんでした。
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左端の尖った山は滝子山(1,620m)かな。この山もまた、遠くからでも比較的目立つ存在です

十二ヶ岳の先には富士河口湖町と富士吉田市の市街地が広がります。
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富士河口湖町の奥には道志・丹沢の山並みが連なります。中央に見えているのが丹沢最高峰の蛭ヶ岳(1,673m)です。
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蛭ヶ岳の左隣が大室山(1,587m)で、右手間に二つ並んでいるのが御正体山(1,681m)と杓子山(1,598m)かな。こうして見ると、この界隈のめぼしい山は、あらかた登りつくしてしまった感があります。

そして南側には富士山。まあ、この付近の山からはどこからでもで良く見えるので、富士山に関しては、何が何でもここから眺めなければいけないというほどものではありません。
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富士裾野の先には、ちょこっとだけ箱根の姿も見えました。
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最後に、ここまで歩いて来たキング・オブ・ザ・ロード。王岳方面の光景です。この時間帯はちょうど逆光になってしまうので、シルエットしか見えませんでした。
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5.キング・オブ・ザ・ロード~下山編 王は山を下る

14時45分 鬼ヶ岳からの絶景を、満足行くまで目に焼き付けました。ボチボチ撤収に移ります。
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鬼ヶ岳は二つのピークを持つ双耳峰です。間の鞍部には、鬼ヶ岳名物(?)の鉄のハシゴがあります。
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足を乗せるためのステップが刻まれていたかのような跡あるので、以前はハシゴではなくクサリ場だったのかもしれません。
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下ったあとは、もう一つのピークへと登り返します。こちらの山頂には特に、山頂標識等はありません。
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そして再び下り。山頂直下はかなり急峻です。ストックは邪魔になるので、先ほどのハシゴを降りる前に一度収容した方が良いかと思います。
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なにやら眺望の開けた場所に出ました。
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雪頭ヶ岳と呼ばれる場所です。あまり山頂っぽくはなく、鬼ヶ岳から張り出した肩のような場所です。
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ここからの富士展望は大変すばらしいものがあります。西湖と、遮るものが何もない富士裾野の広がりを一望することが出来ます。
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時間が許すのであれば、是非ともこの場所に陣取って夕焼けを眺めてみたいものです。残念ながら、西湖周遊バスの最終便は17時台までであるため、公共交通機関頼みの私にはかなわぬ願いではありますが。

下山を続けましょう。ここは以前にも一度歩いたことのあるルートですが、たしかこの先は泥濘が酷くて難儀したような。。
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悪いことの記憶ほど、得てして正確なものです。記憶にある通りの悪路が出現しました。
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泥濘地帯を何とか突破したら、あとはもう消化試合です。樹林帯の急坂を、黙々とハイペースで下って行きます。
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山中に西日が差し込み始めました。この季節の太陽は、本当にあれよあれよいう間に沈んでしまいます。
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杉林の中はすでに、足元が見え辛いくらいの薄暗さです。
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何気ない道中の光景さえも、あたかも芸術のように変えてしまうこの夕日という魔法の光。
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こういう黄昏時の山の雰囲気は大好きです。あまり余裕をこいていると、すぐに真っ暗になってしまいますがね。
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巨大砂防ダムの脇を通り抜けます。比較対象がないので分かりにくいかもしれませんが、高層ビル並みの見上げるような大きさの堤です。
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このただ事ではない大きさの砂防ダムを見た時に、昔ここで何か大きな災害が起きたのだろうと直感しました。その後帰宅してから調べて、先ほどの述べた根場を襲った災害について知った次第です。

この巨大なコンクリートの塊には、二度と同じ悲劇は起こさせないという強い意志が感じられます。

その後も足早に下り続け、なんとか周囲が暗くなる前に麓まで下りてこれました。
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夕日に染まる富士山。本日は最初から最後まで雲もかからず、ずっと良いお天気が続いてくれました。
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16時35分 根場入口バス停に到着しました。ちょうど7分後にバスが来る絶好のタイミングで下山できました。
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時刻表よりも少し遅れて現れたバスに乗り込み、帰宅の途につきました。
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かくして王岳への道は、最高の天気に恵まれて大満足の内に幕を下ろしました。これまでの経験から言うと、御坂山地の山にハズレは一切ありません。基本的にはどこも展望雄大です。なにせ目の前に、最高の被鑑賞対象物が立っているわけですから。
王岳のほうは若干名前負けしている感がありますが、鍵掛峠へ至る稜線からの眺望は素晴らしいものがありました。どちらかというと、この稜線歩きこそがメインだと言えます。是非ともピストンはせずに周回ルートを歩いてみてほしいです。マイナー扱いに甘んじている山域ではありますが、御坂の山は本当にどこもオススメです。

<コースタイム>
根場民宿BS(9:55)-王岳登山口(10:40)-王岳(11:50~12:05)-鍵掛峠(13:05)-鬼ヶ岳(14:20~14:45)-雪頭ヶ岳(15:00)-根場入口BS(16:35)

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王岳への道 完

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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