野川 国分寺崖線の湧水群を巡る20kmの旅路

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野川(のがわ)は、東京都を流れる多摩川支流の一級河川です。国分寺市の恋ヶ窪にある湧水群に端を発し、世田谷区の二子玉川で多摩川へと注ぎます。全長およそ20kmほどの川です。

唐突ですが皆さま、野川をご存知でしょうか。国分寺市から世田谷区まで、武蔵野台地の南フチを沿うようにして流れる河川です。
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この野川という何もひねりも感じられない名前は、至極単純に武蔵野を流れる川と言う意味で命名されたと考えられています。

東京の川と言うと、こんな風にコンクリートでガッチガチに護岸された、近づくだけでドブ臭いような川を想像することが多いのではないでしょうか。これは単なるイメージで決してなく、実際に多く見られる光景です。
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そんな中で野川は、東京の川としては比較的自然な水辺の環境が保たれているのが特徴です。川の周囲には護岸されていない土手が連なり、数多くの動植物の姿が見られます。
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野川の水辺は水鳥たちの楽園です。通年に渡り多種多様な鳥の姿が見られます。
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また、夏になれば近所に住む子供たちの格好の遊び場ともなります。
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野川はその全長のほぼ全域にわたって、国分寺崖線と呼ばれる高低差20メートルほどの崖に沿って流れています。この崖の連なりは古代の多摩川の浸食によって作られた河岸段丘であると考えられています。
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国分寺崖線はまたの名を「はけ」とも呼ばれます。はけの付け根の部分からは、武蔵野台地に降り注いだ雨水が染み出すことにより、豊富な湧水が見られます。
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野川はこのはけの湧水を集めながら流れ下ります。こうして絶えず新鮮な湧き水が流れ込むことによって、野川の水質は良好に保たれています。
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・・・と、何故か唐突に野川について延々語ってしまいましたが、何のことは無い。単に私の住まいの近所を流れている川だと言うだけの事です。
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私にとって野川は定番のお散歩コースであり、いつの間にやら野川フォルダには大量の写真がストックされておりました。そこで今回、それらを使って一本書いてみようかと思い至った次第です。

ただ漫然と写真を張るのだけなのも何なので、源流から順を追って、野川20kmの生涯を辿ってみることにしましょう。

なお、過去に撮りだめた写真のストックを使用して記事を構成しているため、シーンによって季節はバラバラです。あらかじめご承知おきください。

 

1.野川始まりの地 国分寺恋ヶ窪

国土地理院の地図上で、一級河川野川の起点となっている場所はここです。
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このJR中央線の土手にポッカリ口を開けた暗渠が、野川の始まりです。場所で言うと、国分寺駅と西国分寺駅の間になります。
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当然のことながら、土手の中から突然水が湧き出すはずはありません。実際の水源は、この土手の北側に広がっている森の中にあります。
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この森は日立製作所中央研究所の敷地です。この研究所内には庭園が存在し、その庭園にある池が野川の源流となっています。

私有地であるため、当然ながら部外者はこの庭園へは立ち入りは出来ません。しかし春と秋の年に二回だけ、この庭園は一般公開されます。
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2019年秋の一般公開は11月17日に行われました。なお、入場は無料です。

内部はこのようになっております。写真撮影は庭園内のみ許可されており、建物の撮影は不可です。
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中央の広場では、軽食や地元の物産を販売する出店が立ち並び、ちょっとしたお祭りの様相です。
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こちらが野川の水源である大池です。思ったよりも大きくて少々驚きました。国分寺にこんな場所があったのですね。
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池の辺に湧水が直接見られる場所があります。まさかの待ち行列が出来あがっていました。よもや、野川にこれほどの人気があろうとは。
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15分ほど並び、ようやく湧水にご対面となりました。
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木の付け根から滾々と湧き出す、野川最初のひとしずくです。
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大池の周囲には散策路が設けてあり、周囲を巡ることが出来ます。
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普段は研究所の職員たちが、休憩がてらに周囲を散歩をするのでしょうか。なんと羨ましい。私も庭園がある職場で働きたかったな。

一ヵ所だけ水門があり、そこから結構な量の水が流れ出ています。
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水流が、コンクリートの壁に穿たれた穴に向かって流れ出て行きます。この先に、先ほど見た土手の暗渠があるのでしょう。
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庭園内は良い感じに紅葉の見ごろを迎えていました。別に野川になんて何の興味がない人であっても、十分に楽しめるのではないかと思います。
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年に2回しかチャンスはありませんが、ここはオススメのスポットです。

国分寺駅からは徒歩で10分ほどの場所です。駐車場は無いので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。
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なぜ「こくバス」ではなく「ぶんバス」にしたのか、是非とも理由を尋ねてみたい。
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2.国分寺に点在する野川水源の湧水群

野川の源流となっているのは日立中央研究所の一ヵ所だけではありません。国分寺市内の数か所に、水源となっている湧水が存在ます。
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ここはそんな野川源流となる水源の一つである、殿ヶ谷戸公園(とのがやとていえん)です。駅から徒歩で5分ほどの場所にあり、通年で訪れることが可能です。

有料の都立公園なので、入場するには150円を支払う必要があります。高低差のあるはけの崖地を利用して造成された庭園です。
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庭園内にあるこの次郎弁天の池が、野川の水源の一つとなっています。
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庭園内の何ヵ所かで、このように水が湧き出ています。
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水が溜まると竹がカコーンと鳴るやつ。(名前を思いだせない)
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※鹿威し(ししおどし)です。もともとは、畑の作物を荒らす害獣を退ける目的で作られたものです。

もうひとつ水源を紹介しておきましょう。ここは通称お鷹の道と呼ばれている場所です。駅からは少々離れており歩く必要がありますが、無料で入ることが出来ます。
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散歩道の脇を流れる小径の水路。この水路にはホタルの餌となるカワニナが生息しており、5月下旬から6月上旬にかけてホタルの姿を見ることが出来ます。
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ここがお鷹の道の水源地である、真姿の池湧水群です。
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崖の下から滾々と湧き出る水。これ以上ないくらいに分かり易い、川の始まりの光景です。
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たかが湧き水されど湧き水。真姿の池湧水群はなかなか人気のあるスポットで、次々と多くの人が訪れます。
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透き通った綺麗な水です。しかし残念ながら、基準値を超える量の科学物質が検知されており、飲料には適さないとのことです。
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その後この水路は、住宅地の中へと流れて行きます。こういう、小川のせせらぎのある光景に憧れます。
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3.小金井市内の黄金(こがね)に値する豊富な湧水群

そろそろ本題である、野川の旅へと出発しましょう。暗渠を出て間もない野川は、まだ川沿いの歩道すらもなく住宅地の中をクネクネと流れます。
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この付近の野川は、どこにでもある典型的な東京のドブ川と言った風の姿をしています。ただし、流れているのは生活排水ではなく湧水であると言う点が異なっています。
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不動橋で、先ほどのお鷹の道からの水路と合流します。
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水量が少し増えたものの、細っこい流れがしばしの間続きます。
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鞍尾根橋を越えたところで、小金井市へと入ります。ここでようやく土の河原が出現します。
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ここから先はずっと、多摩川に合流するまで川辺に歩道が続きます。付近に住む者にとっては、格好のお散歩コースです。
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ここで、勢いよく野川へと流れ込む水流の姿を発見しました、どこから来ているのか、少し遡ってみましょう。
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水流を辿ると、そこには貫井神社がありました。かつては貫井弁財天も呼ばれていた、歴史ある古い神社です。
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境内には神池と言う名の池があります。なかなかどうして、良い雰囲気の場所ではありませんか。
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池の裏手に神池水源の湧水があります。
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この湧水は豊富で決して涸れることが無く、黄金にも値する湧き水であるという事で、黄金井(こがねい)と呼ばれていました。これが現在の小金井と言う地名の由来となっています。

湧水の裏手には崖地が連なります。典型的なはけの光景です。
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先へ進みましょう。この付近の野川は、異様ななまでに多くの橋がかけられています。ここ小金井市には、有力な道路族の議員でも居たのでしょうか。
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ここで再び大きな流入水路を発見しました。当然ながら追跡します。
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住宅地の中を流れる小さな水路。良いですね、こういう雰囲気は大好きです。
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この水は滄浪泉園(そうろうせんえん)から流れ出てきたものです。小金井市が管理する有料の庭園です。有料と言っても、入場料はたったの100円です。
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この難読な名称は、犬養毅(いぬかいつよし)首相が命名したものであるとのことです。「話せばわかる」の人ですね。

殿ヶ谷戸庭園と同様の、はけの段差を利用した庭園です。余り手が加えられておらず、国分寺崖線の自然の姿がそのまま保存されています。191215野川_051

東京の名水57選なんてものがあるのですね。数がやけに中途半端ですが、名水と呼べる場所が100ヵ所は無かったと言うことなのでしょうか。
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かなりの量の水が湧き出ています。農業以外には産業が存在しなかった中世以前の武蔵野において、この豊富な湧き水はまさしく黄金にも値するほどのものだったのでしょう。
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先へ進みましょう。国分寺崖線を横目にしながら、野川は流れ下り続けます。
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場所によって多少の違いはあるものの、国分寺崖線の高低差はおおむね20メートルほどあります。境目の付近に住んでいる人は、登ったり下りたりが大変です。
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ここで突然暗渠が現れて迂回を余儀なくされます。暗渠の上には小学校が建っていました。建設予定地を確保できずに、無理やり川の上に作ったのでしょうか。
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水はけのよい土壌なのか何なのか、この付近の野川は夏場になると割とよく干上がります。上流にも下流にも水流があるのに、間にだけ水が無くなると言うのは何やら不思議です。
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水流の多い季節だとこんな感じです。割と季節によって水量の変化が大きい川です。
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ここから武蔵野公園の敷地内へと入ります。この公園そのものが、野川の調整池としての機能を備えています。
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片側の堤防だけが故意に低く作られており、一定所の水位まで増水すると、ここを乗り越えて調整池内へ水があふれだすようになっています。
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先の台風19号の襲来時には、ここは完全に水没してその役目を果たしました。
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溜まった水がしみ込みやすいように、穴が沢山開いた舗装が施されています。ここを自転車に乗ったまま通過すると、脱穀機の上に乗っているかのような乗り心地を味わえます。
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西武多摩川線の下を潜ったところで、三鷹市へと入ります。
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4.野川公園と深大寺の湧水群

武蔵野公園を過ぎると、今度はその名も野川公園の敷地に入ります。
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この野川公園内には、私が勝手に三鷹の尾瀬と呼んでいる自然観察園が存在します。ええ、湿地の上に木道があれば、なんだって尾瀬ですとも。
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至る所から豊富な湧水が染み出しており、湿地帯を形成しています。ここでも、ホタルが観察できるそうです。
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何やらすごい勢いで水が噴き出しています。先ほどの湿地から流れ出た水を、河原の土手の下を通すためのサイフォン井戸です。
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カラスの行水。言うほど短くもなく、割と長々と水浴びしていました。
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東八道路をくぐって、野川公園の敷地を後にします。
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野川公園から少し下ったところに、三鷹の水車「しんぐるま」があります。今から二百年ほど前に作られ、昭和43年までは実際に使用されていたと言う水車です。
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この水車は、はけがある方とは反対側の川辺にあります。水車を回しているこの水は、一体どこから出てきているのでしょうか。自然な湧水ではなく、地下水をくみ上げているのかな。
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水車をスローシャッターで撮影すると、超高速回転しているように見えて面白いと言う事実を発見しました。お近くの水車で是非とも試してみてください。・・・近くに水車があるのならば。
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ここにも小規模ながら遊水地が存在します。中央左奥に小さく見えているのは、調布飛行場の管制塔です。
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この付近の河原は、春に訪れると菜の花畑状態の凄いことになっています。いくら何でも咲き過ぎです。
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そんな中を悠然と泳いでいるこの水鳥は、鵜(う)ですね。
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視線を感じたのか、けたたましい水音を立てながら飛び去ってしまいました。
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さらに下って中央自動車道の下を潜ります。この付近から調布市に入ります。
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春爛漫の川辺の光景です。真冬以外であれば、野川の周囲には常に何らかの見所が存在します。真冬以外なら。
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ここで、これまでよりもひと際大きな流入河川が合流します。かなりの水量です。
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この水は、調布市の深大寺(じんだいじ)から流れ込んでいるものです。
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一度でも訪れたことのある人ならばご存知かと思いますが、深大寺は崖を背にした坂の中腹にあります。この崖は言うまでもなく国分寺崖線です。

深大寺があるのは、はけの中でも特に湧水量が多い一帯となります。このように、いたる所から豊富に水が湧き出ている様子をうかがうことが出来ます。
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この豊富な水量を利用し、深大寺の近くには小規模ながら、都内では大変珍しい水田が存在します。
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調布に住んでいると言うと、「お金持ちなんですね」と返されることが割と良くあります。これは恐らく、頭に田園が付く方の調布と勘違いした結果の発言であると思料されます。

田園調布には田園なんてどこにもありませんけれど、調布市には田園があるんですよ。すなわち、この光景こそが真の田園調布・・・。いや、なんでもありません。

今度は京王線の下を潜ります。ここから二子玉川まではあとおよそ10kmほどあり、この辺りが野川のほぼ中間地点となります。
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サギ家族
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奴らはカモだ!
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何故か集会中のアオサギと鵜。この両者は、同じ川の餌を巡る完全な競合関係にあると思うのですが、争ったりはしないものなのでしょうか。
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この鳥は一体何でしょう。私の本業(?)は基本的に山と高山植物であるので、鳥の事はイマイチよくわかりません。
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5.狛江と世田谷をゆったりと流れ下る、野川下流域

京王線を越えて程なく、今度は狛江市(こまえし)へと入ります。野川は神代団地の中をゆったりと流れ下ります。
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ここで野川の支流のひとつである、入間川(いりまがわ)が合流します。
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入間川は上流部では中仙川(なかせんがわ)とも呼ばれます。
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かつてはここもホタルが住むような清流であったとのことですが、今ではアメリカザリガニくらいしか住んでいない純然たるドブ川で、流れているのは湧水ではなく生活排水です。

入間川から少し下ると、野川緑地広場として整備された一帯なります。ここには桜並木があり、春に訪れるとなかなか壮観な光景に出会えます。
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時期によっては、菜の花と桜のコラボを見れることも。
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花よりもパンくず。
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右手に喜多見ふれあい広場が見えてくるあたりで、今度は世田谷区へと入ります。
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ここでしばらくぶりに、野川へと流入する水路の姿を発見しました。当然ながら見に行きます。
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住宅地の一角を流れる小さなせせらぎ。これもまた、はけの周辺ではよくある光景です。
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この水は成城みつ池緑地と呼ばれる森の中から湧きだしています。残念ながら、みつ池は一般公開されておらず、中へ立ち入ることは出来ません。
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フェンス越しに、はけから流れ出てきている水の姿を僅かに見ることが出来ます。
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湧水地自体には入れませんが、みつ池付近には公園として整備されている緑地が多く存在します。紅葉シーズンに訪れると、なかなかどうして素晴らしい光景に出会えます。
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続いて今度は、小田急線の下を潜ります。
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ここで再び流入水路を発見。当然ながら追跡調査します。
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水の音がするマンホールを辿ってゆくと、成城さくら公園と言う場所に行き着きました。なるほど水路がありますが、ここはまだ湧水地点ではありません。湧きだし口はもっと崖際にあるはずです。
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そう思い周囲の捜索を続けると、思った通り水路がさらに奥へと続いていました。
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最終的にこの水路は、成城三丁目緑地と呼ばれる場所へから流れ出ていました。この場所は誰でも無料で中には入ることが出来ます。
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はけの斜面を伝って、滾々と水が流れ落ちて来ています。なお土壌の保護のために、湧きだし口の目の前までは入ることが出来ません。
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かなりの量の水流です。下流域においても、まだこれほどの湧水量があることに驚かされます。
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東京23区内にも、まだこんな場所が残されていたのですね。
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はけの湧水巡りをしていると、必然的に崖の上と下を何度も行ったり来たりすることになり、結構疲れます。
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中にはこんな、壁と見まがうかのような傾斜度をもつ坂などもあったりします。
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しかし、こういう急坂の上と言うのは、得てして好展望地でもあるわけです。
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富士山が見えることもあります。
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今度は、はけがあるのとは反対側からの流入河川です。
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この水流は次大夫堀公園(じだゆうぼりこうえん)からのものです。かつての農業用灌漑水路を復元して作られた公園です。
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水辺に沿って遊歩道が整備されています。これはまた良い雰囲気ですねえ。近所に欲しいくらいです。
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水辺の公園には付き物の池も、当然ながら完備しています。
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やけに肉付きの良い鴨ですな。やはり餌付けされているのでしょうか。
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水源はここです。背後にポンプ小屋と思しき建物があったので、おそらくは自然の湧水ではなく、地下水をくみ上げているものと思われます。
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両側が壁に囲われてた、何やら不気味な一帯をとおります。これは物流倉庫らしいです。
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アオサギの姿が多く目立ちます。それはつまるところ、この大型の鳥類の胃袋を満たすのに十分なだけの量の豊富な餌が、野川には存在しているという事の証左でもあります。
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今度は東名高速道路の下を潜ります。ここを過ぎると、これまでずっと付かず離れずの距離にあった国分寺崖線が、野川から離れて遠ざかって行きます。
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6.そして野川終焉の地、二子玉川へ

正面に高層ビルが林立している光景が見えて来ました。ニコタマの愛称で知られるお洒落タウン、二子玉川です。
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ここで野川最大の支流である仙川が合流します。支流と言いつつも、仙川は野川よりもずっと水量の多い河川で、ここからは一気に川幅が広がります。
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ちなみにこの仙川というのは、小金井市に端を発する河川です。はけの湧水からなる野川とは違い、下水処理場からの処理水を主な水源としています。まあようするにドブ川です。
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仙川の水を加えた野川は、いつしか立派な堤防を備えて、どこか大河の風格さえも漂わせ始ます。だてに一級河川を名乗ってはいません。
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ちなみに一級河川かどうかを決める基準と言うのは、川の大きさとは一切無関係です。その川が、流域の人間の生活にとって重要な水系であるか否かによって判定されます。

しかし、そんな思い違いは長くは続きません。やがて右手に、本物の大河である多摩川が姿を見せました。
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それはすなわち、この野川の旅がもう間もなく終わることを意味しています。
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多摩川を渡る田園都市線の橋脚の足元に、野川の河口があります。恋ヶ窪出てから20kmの、野川の一生はここで終わります。
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遠く多摩川の対岸に林立しているこの高層ビルは、武蔵小杉のタワマン群です。
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多摩川上流の彼方には、微かに奥多摩の山並みが見えます。多摩川は奥多摩からやって来ているのだという、今さらながら当たり前のことが良くわかる光景です。
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野川の河口付近にかかる兵庫橋です。台風19号による多摩川決壊の発生地点となったことにより、にわかに全国的な知名度を得るに至った橋です。
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この野川の河口付近は、堤防の内側に相当する場所にまでマンションが建っています。素人目にも、ここが構造上のウィークポイントだと言うのが大変よくわかる場所です。
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二子多摩川駅は、野川河口の本当にすぐ隣にあります。この町は私にはお洒落すぎて、場違い感でいたたまれなくなり、いつも早急に逃げ出したくなります。
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二子玉川から多摩川の下流方向へ少し進んだところに、等々力渓谷があります。この渓谷は、途中から野川と袂を分かった国分寺崖線の一部です。
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黒柳徹子氏の自伝「窓ぎわのトットちゃん」を読んだことのある人ならば、等々力渓谷飯盒炊爨(とどろきけいこくはんごうすいはん)と言うフレーズに聞き覚えがあるのではないでしょうか。

渓谷内には、ここまでのはけと同様に多くの湧水が見られます。残念ながら、現在の等々力渓谷を流れる水には、炊飯が出来るほどの清浄さはありません。
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この等々力渓谷もまた、とても23区内とは思えないような自然が残る大変魅力的な場所です。この場所についても、いずれ機会があれば語ってみようかと思います。
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野川を巡る旅の記録は、いったんここで筆をおきます。
ご覧いただいた通り、野川は大変多くの魅力と見所を持った川です。・・・とは言ってもまあ、ただの川なんですけれどね。近くに住んでいる人には大変オススメの散歩コースではありますが、わざわざ遠方から訪れるほどの場所ではありません。
それでも、どうしてもはけの湧水巡りがしてみたくなったと言う奇特な方へ、ワンポイントアドバイスをしておきます。野川巡りをする場合の最適な移動手段は自転車です。湧水地は全長20kmの川に沿ってまんべんなく散在しており、歩いて巡れないこともありませんが、なかなか大変だと思います。国分寺駅まで輪行して、そこから二子玉川駅を目指し下って行くのが一番効率的だと思います。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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