蛭ヶ岳-塔ノ岳 白銀世界と化した、雪の丹沢主脈縦走登山

蛭ヶ岳から見た丹沢主脈神奈川県丹沢山地の蛭ヶ岳(ひるがたけ)から塔ノ岳(とうのだけに)に至る、丹沢主脈を歩いてきました。
首都圏から近く展望雄大とあって、非常に人気の高い縦走コースです。冬には乾燥することが多く、そう滅多にはドカ雪が降ることのない丹沢山地ですが、ひとたび冠雪すれば素晴らしき銀世界が稜線上に出現します。
白く染まった主脈の山々を、日帰りの弾丸で縦走してました。

2019年2月2日に旅す。

ヒャッハー雪だー

時は2月初頭の週末。天気予報がしきりに「都心部にも積雪の恐れ」と散々煽った割には、実際の天気は少し小雨がぱらついた程度でありました。それでも都心部から見える丹沢の山並みは、見事に真っ白に染まっておりました。
積雪時の丹沢主脈
丹沢主脈を一度でも歩いたことのある人ならば、あの稜線に雪が積もればどんな素敵な世界になるか、容易に想像ができることでしょう。これは是非とも訪問せねばなりません。

この一年前の訪問時は、大倉からスタートであったため時間的体力的に蛭ヶ岳までは届かず、手前の丹沢山までの折り返しとなりました。そこで今回の訪問では、丹沢最高峰の蛭ヶ岳を目指したいと思います。
鬼ヶ岩付近から見た蛭ヶ岳

蛭ヶ岳への日帰り登山となると、選択肢はあまり多くはありません。まして公共交通機関利用ともなれば、手段は限られてきます。
道志村 平丸バス停
という事で、バスの利用を前提とした場合に、蛭ヶ岳山頂までのコースタイムが最短(それも5時間)となる、平丸バス停より登ります。

天気は雲一つないパーフェクトな快晴。長い道のりで少々バテはしたものの、最高の登山日和となった一日でした。
棚沢ノ頭付近から見た富士山

コース
丹沢主脈ショート縦走のコースマップ
平丸バス停よりスタートし、姫次、蛭ヶ岳、丹沢山、塔ノ岳をへて大倉バス停へ下る。丹沢主脈ショート縦走と呼ばれている行程です。

1泊2日で歩くのが一般的で、日帰り登山としては健脚者向けの行程となります。

1.蛭ヶ岳登山 アプローチ編 三ヶ木バスターミナルを経由して、丹沢の裏口道志村へ

6時5分 橋本駅
未だ夜明け前の橋本駅からおはようございます。これから目指す平丸バス停は、公共交通機関によるアクセスが極めて悪い一帯にあります。
橋本駅北口

まずは6時20分発の三ヶ木(みかげ)行きのバスに乗車します。その後の乗り継ぎの都合上、選択肢はこの1本だけです。乗り逃すともう次はありません。
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6時53分 三ヶ木バスターミナルに到着しました。
三ヶ木は津久井地方の中心地に当たる場所で、バスも数多く走っています。極端にアクセスが悪くなるのはこの先です。
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目の前に、昨年末に歩いた南高尾山稜の山並みが見えました。どこにでもある里山そのものな姿をしています。
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6時55分発の月夜野行きのバスに乗り換えます。乗り換え時間がギリギリですが、渋滞などで遅れていても、橋本からのバスの連絡を待ってから出発してくれます。
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ちなみに、台風による豪雨の影響で昨年の10月より通行止めとなっている国道413号(道志みち)は、未だに復旧作業が完了しておらず一部通行止めが続いています。この月夜野行きのバスも、終点までは行かず平丸止まりの折り返しとなります。
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7時30分 平丸バス停に到着しました。
途中の路面が凍結しており、徐行気味に走ってきたためか、時刻表より少し遅れての到着です。
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登山口は通行止め地点から少し進んだ場所にあります。という事で道なりに進みます。
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目の前に佇むこの山は、西丹沢の大室山(1,587m)です。富士隠しの異名を持つ非常に大柄な山です。良い感じに白く染まっておりますなあ。
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トンネルの少し手前にあるここを左に入ります。以前は道標が無く一瞬迷うポイントでしたが、いつの間にか案内が設置されていました。
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登山口に到着しました。軽く腹ごなししつつ身支度を整え、7時40分に登山を開始します。
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2.東海自然歩道の尾根道を歩き、好展望地の姫次へ

周囲はすっかり雪国の様相です。まさか登山口の時点で既にこんな積雪があろうとは、予想していませんでした。
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登り始めはまるで奥多摩のような杉の植林のです。いまあらためてよく見てみると、これは杉ではなく檜ですね。だからなんだと言う話ではありますが。
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奥多摩ファンの皆様。いつも奥多摩をディスってごめんなさい。誤解の無いように申し上げておきますと、私は奥多摩の山が大好きです。杉林以外は。

30分ほど登ったところで、周囲の植生が変わりアカマツの姿が目立つようになりました。そして困ったことに、先ほどから鼻水が垂れてきて止まりません。寒さに負けて、鼻風邪でも引いたのかなあ。
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標高が上がるにつれて、徐々に雪が深くなってきました。凍結してはいないので、今のところはノーアイゼンのままで問題なく歩けます。
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前方に丹沢主脈の稜線が見えてきました。この尾根の先端である焼山登山口から歩くのが、本来の丹沢主脈縦走と呼ばれるコースであり、平丸バス停からのスタートはショーカットコースにあたります。
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木の枝の間越しに、富士山と大室山が並んでいるのが見えました。今の所天気は、雲一つないパーフェクトな快晴です。
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9時30分 平丸分岐まで登って来ました。
雪に足を取られつつ必死になって登ることおよそ2時間で、ようやく稜線まで辿り着けました。やはり雪があると、普段よりも体力を消費しますね。
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ここから姫次までの間は、傾斜の緩い尾根上を歩く安息の時間が訪れます。
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途中に黍殻山(きびがらやま)(1,273m)への分岐がありますが、登っても特に良いことのない山なのでスルーします。
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黍殻山の巻き道の途中に水場があります。下へ降りて確認はしていませんが、水の音が一切聞こえなかったので、おそらは涸れていると思います。
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丹沢名物のテーブルみたいなベンチがありました。これは休憩時にヤマビルに襲撃されるのを避けるためのもので、上に乗っかって休憩するのが正しい使い方です。これがあるという事は、この場所にも暖かくなればヒルが出るという事です。
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圧倒的杉林の中を進みます。そして、相変わらず鼻水が止まりません。
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オーケイわかった。もう現実逃避するのは止めにしましょう。これは決して鼻風邪なんかじゃありません。間違いなく
ヤツら

花粉
が飛散を始めています。もうそんなシーズンになってしまいましたか。

水場から少し進んだところに、黍殻山避難小屋があります。特に用事もないので立ち寄りはしませんでしたが、トイレも完備されています。
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10時に青根分岐と呼ばれる地点を通過します。通行止めの影響により、ここから下山した場合は、平丸バス停まで迂回路を歩く必要があるのでご注意ください。
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ここで遂に蛭ヶ岳が視界上にその姿を現しました。良い感じに真っ白ですねえ。これは山頂の光景に大いに期待できそうです。
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眼下に見えるのは神奈川県の水瓶、宮ヶ瀬湖です。湖の周辺には雪が全く残っておらず青々としていました。
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こちらは丹沢三峰こと、右から瀬戸沢ノ頭(1,375m)、大礼ノ頭(1,352m)、本間ノ頭(1,344m)です。宮ヶ瀬湖畔から丹沢山へと続く尾根上にあります。昔歩いたことがあるけれど、ひたすらキツかったという印象しか残っていません。
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丹沢名物の木道地獄が現れました。この界隈は表丹沢と違ってあまり歩く人の居ない一帯ですが、それでも登山道はしっかりと整備されています。
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この林業用のモノレールが見てきたら、姫次はもう一息です。
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東海自然歩道の最高地点であると言う、標高1,433メートル地点を通過します。
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ちなみにこの東海自然歩道と言うのは、東京の八王子から大阪の箕面まで続いており、全長は1,697kmあるそうです。何気にお遍路よりも長いんですね。
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視界の開けた場所に出ました。
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10時45分 姫次に到着しました。
雪道歩きで思いのほか大きく体力を消耗してしまったらしく、まだまだ先は長いというのにすでに結構バテ気味です。
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姫次の様子
広々とした空間に、丹沢名物のテーブルみたいなベンチが三つあります。蛭ヶ岳へのアタックに備えて、ここで休憩すると良いでしょう。
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ちなみに姫次の最高地点はここではなく、袖平山方向へ少し進んだ所にあります。大変展望の良い場所なので、忘れずに立ち寄って行くことをお勧めします。
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ここがその最高地点です。山頂であることを示すものは一切なく、境界標識だけがポツンとあります。
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目の前には富士山がドーンと立っています。中央右下の鞍部が犬越路です。
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これから目指す蛭ヶ岳の姿も一望できます。驚きの白さですね。この光景を見た登山者の90%以上が、前の蛭ヶ岳よりも白くなったと答えることでしょう。
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蛭ヶ岳から檜洞丸へと続く、丹沢主稜の稜線を一望できます。見ての通りの激しくアップダウンを繰り返す険路です。以前にここを日帰りで歩いて、リアルに血反吐を吐きそうになったことを思い出しました。
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背後には奥多摩の山並みが連なります。こちらも見事に真っ白ですね。
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3.蛭ヶ岳登山 登頂編 ガレた急斜面を登り、白き丹沢最高峰の頂へ

11時10分 蛭ヶ岳に向かって行動を再開します。念のため、ここからはチェーンスパイクを装着しました。まずは鞍部に向かって、一度大きく高度を落とします。
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倒木の影響により、登山道はクネクネと蛇行していました。
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鞍部一帯は原小屋平と呼ばれる平坦地となっています。今は跡形もありませんが、かつては小屋があったのでしょうか。
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原小屋平から先は、小さくアップダウンを繰り返す樹林帯の道が続きます。ここは普段、非常に道に迷いやすい場所です。今日は先行者の付けてくれたトレースのおかげで、むしろ普段よりも道が分かり易い状態でした。
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何度も登って降りてを繰り返します。なかなか蛭ヶ岳本体には取り付けません。
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再び標高が上がってきたたところで、樹林帯を抜けて周囲の眺望が開けます。
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迫力満点の丹沢主稜の山並み。また歩いてみた気もしますが、次に行くときは絶対に1泊します。
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隣には視界一杯に横たわる大室山の姿が一望できます。丹沢の山の中でもひと際目を引く、非常に大柄な山です。地味ながらもお気に入り一座です。
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背後には小金沢連嶺の稜線越しに、八ヶ岳の頭付近だけが覗いていました。
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こちらはつい先ほどまで居た姫次です。のっぺりした丘のようなシルエットですね。
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山頂に向けてラストスパートです。蛭ヶ岳の山頂直下には、いかにも丹沢らしい圧倒的階段地獄が待ち受けています。
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その階段ですが、ガレ場に持っていかれかけていました。そう遠くない将来、大規模なルートの付け替えが行われるかもしれません。
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見下ろすとこんな感じです。通過するの際に、少なからず恐怖を感じました。最後の時はもう目前に迫っているように思えます。
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ようやく山頂が見えました。
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12時50分 蛭ヶ岳に登頂です。
標準コースタイムを少し超過しての到着です。いはやはや、思いのほかキツかった。
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山頂でこのブログを読んでくれていると言う人に偶然出会い、声をかけて頂きました。初めて経験することだったので少々驚きました。日頃からご愛読いただきましてありがとうございます!

丹沢の中で最も標高の高い蛭ヶ岳は、当然ながら丹沢随一の展望を誇っております。正面には丹沢主稜の山並みと富士山。
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道志・御坂の山並みの先には、南アルプスの山々が連なります。
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白根三山付近をアップで一枚。一応冠雪してはいるものの、例年に比べて雪は少なめなように見えます。
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相模湾も見えますが、少しばかり遠いいです。相模湾を眺めたいのであれば、ここからよりも塔ノ岳から眺めた方が良いでしょう。
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続いて北側の都心方向の展望です。気温が上がってきている影響か、霞んで見えました。
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眼下には宮ヶ瀬湖の濃いブルーの湖面が良く見えました。
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こちらは、行きの道中からも良く見えていた丹沢三峰の山並みです。確かにきれいに3っつ並んでおりますね。
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そして、ここまで登ってきた丹沢主脈の稜線です。中央付近にある山が黍殻山です。
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そうそう。丹沢山のみやま山荘に対抗してか、蛭ヶ岳山荘でもカレーを始めたらしいですね。聞いた話ではレトルトのようではありますが。
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興味はありましたが、すでに時間が押しているのと靴を脱ぐのが億劫だったこともあって、今回は食べませんでした。

4.白く染まった丹沢主脈の稜線を縦走する

13時15分 蛭ヶ岳山頂を辞去し、丹沢山に向かって出発します。始めに言っておきますが、この稜線歩きは最高ですよ。
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眼下のユーシンは、薄っすらと白くなってはいるものの、あまり深く積雪してはいないようでした。どうやら雪が降ったのは、標高の高い一帯だけだったようですね。
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日の当たる場所はすでに雪が融けてしまっており、ドロドロ状態でした。
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今日はハードシェルパンツをはいてきているので、気にせずバシャバシャと泥を巻き上げながら歩きます。下山後に大倉の洗い場で靴ごと一緒に洗ってしまえばよいだけの事ですからね。

一度下った後、鬼ヶ岩に向かって登り返します。
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鬼ヶ岩直下は鎖場となっていますが、登る分には特に危険はありません。
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鬼ヶ岩の間から覗く蛭ヶ岳は、定番の撮影スポットです。忘れずに抑えておきましょう。・・・って、毎回同じことを書いている気がします。
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すでに正午を回ったと言うのに、相変わらずの雲一つない真っ青です。これほどの快晴の下の丹沢主脈を歩くことが出来るこの贅沢さよ。この日の訪問先に蛭ヶ岳を選んだのは、我ながら冴え渡った判断だったと思います。
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前方に不動ノ峰と丹沢山が姿を見せました。これからこの2座を乗り越えていきます。
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右手には常にこんな光景が見えています。信じられますか、これは神奈川県にある標高2,000メートルにも満たない山からの展望なんですよ。
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13時50分 棚沢ノ頭を通過します。
特に何があると言う訳でもない、稜線上の小ピークです。
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道標に案内はありませんが、ここからユーシン渓谷に下りることのできるルートが存在し、トレースがしっかり付いていました。
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確か今、丹沢湖からユーシン渓谷へと続く玄倉林道は通行止めになっていたと記憶していますが、このトレースの主は一体どういうルートを通ったのでしょうか。雨山峠を越えたのかな。

続いて正面に不動ノ峰が姿を現します。何気に丹沢山よりも標高の高い一座です。
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不動ノ峰は、この通り山頂にこそ展望がありませんが、山頂の少し先で展望が開けます。
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これぞ丹沢といった雰囲気の、笹の稜線が広がります。個人的に、丹沢主脈のなかでも特にお気に入りの場所です。
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稜線越しに大山(1,252m)の姿が見えます。あちらも真っ白ですねえ。この日大山へ登った人は大勝利だったことでしょう。
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ではここで、これから乗り越えて行かなければならない丹沢主脈の仲間たちを紹介しましょう。左から順に丹沢山(1,567m)、竜ヶ馬場(1,504m)、日高(1,461m)、塔ノ岳(1,491m)です。
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当たり前の話ですが、ピークの数だけ登り返しがあります。こちとら最初の蛭ヶ岳への登りだけで、もうすっかりバテバテなんですがねえ。

不動ノ方の中腹付近に東屋があります。稜線上では数少ない、天候急変時に逃げ込める場所です。
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この丹沢山手前の鞍部を見ると、いつも同じ思いが脳裏に去来します。「なにもそんなに下らなくたっていいじゃないか」と。
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という事で、息絶え絶えになりながら登り返します。なぜ私はこの場所を歩くときいつも、ぐったりと疲れ果てているのでしょうか。・・・日帰りで歩こうとするからですよね、はい。
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振り返って見た不動ノ峰は、こんなに立派な姿をしております。どおりで越えるのに疲れるわけだ。
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ようやく厳しい登り返しが終わりました。やっぱり蛭ヶ岳は、一泊して登った方が幸せになる山ですなあ。
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14時40分 丹沢山に登頂しました。
私にとってこの山は基本的に、ただの通り道かもしくはカレーを食べに来る場所です。
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まもなく15時になろうとかと言う時間だけに、山頂は閑散としていました。
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丹沢山山頂からの展望は、蛭ヶ岳や塔ノ岳と比べると今一つです。まあやっぱり、この山は基本的に通り道ですね。
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14時55分 縦走最後の山、塔ノ岳へと向かいます。
多少のアップダウンはあるものの、蛭ヶ岳から丹沢山までの区間と比べると、全般的になだらかで歩きやすい道が続きます。
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龍ヶ馬場にある休憩所からは、正面に大山の美しい姿を眺めることが出来ます。
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塔ノ岳が徐々に近づいて来ました。最後の最後にもう一度だけ、エグイ登り返しが待ち構えています。
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最後の小ピークである日高を越えます。ここの登り返しは大したことありません。
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グラグラと揺れる危なっかしいハシゴがかけられていた日高と塔ノ岳の鞍部は、いつの間にやらガッチガチに補強されて安全な道に生まれ変わていました。お金かけてますな。
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いつも口からあぶくを吹きそうになる、塔ノ岳への最後の上り返しです。ここの階段も、崩壊気味だったのが綺麗に直されていました。
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泡を吹く前に、何とか山頂にたどり着きました。
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15時50分 塔ノ岳に登頂しました。
最後の最後まで雲が湧くこともなく、最高のコンデションでの稜線ハイクを楽しむことが出来ました。
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蛭ヶ岳へと続く、ここまで歩いてきた山並みが一望できます。南側から見るとあまり白くありません。日の当たる側はの雪は、もう融けてしまったようです。
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前方に広がるは相模湾の絶景です。この光景は、何度見ても飽きることがありません。神奈川県の本気を見せられた気分です。
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これはヤビツ峠を挟んで大山へと続く表尾根の稜線です。この通り、北側の斜面は白く染まったままです。今日はきっと、表尾根を歩いても最高に良い思いが出来たことでしょう。
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さて、なんだもう気分はやりきった感でいっぱいになってしまっておりますが、しかしながら実はまだまだ終わってなどいないのです。なにせ、今からあの馬鹿なヤツの相手をしなければならない訳ですから。

5.丹沢主脈縦走 下山編 宵闇の迫るバカ尾根を下り、大倉バス停へ

16時 塔ノ岳山頂を辞去し、下山を開始します。ルートはいつもの大倉尾根バカ尾根です。
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通るたびに木道の範囲が広がり続けているような気がするのですが、気のせいでしょうか。大倉尾根は、未だかつていかなる登山道も成しえたことのなかった、夢のオール木道化生活を目指しているのでしょうか。
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花立の山頂から振り返って塔ノ岳に別れを告げます。さらば塔ノ岳。どうせ何れまた来るでしょうけれどね。
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時間的にヘッドランプ下山になるのはもう避けれらませんが、それでも明るさが残っているうちに下れるだけは下ってしまう事にしましょう。
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1時間ほどで堀山の家まで下って来ました。ここで残っていたシャリをすべて腹に収めて気合を入れ直します。
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富士山が黄昏の空に照らされていました。いつの間にやら、ずいぶんと日が長くなりましたね。
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薄暗くなってきたので、ここでヘッドランプを点灯します。
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鹿が我が物顔で登山道を闊歩していました。こいつらは夜行性なんでしたっけか。
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すっかり真っ暗になってしまったことだし、夜景でも見て行こう。という事で、見晴らし茶屋の先のルート分岐では、大倉高原の家経由をチョイスしました。
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眼下に見えている街並みは、秦野市の中心部ですかね。塔ノ岳山頂からの大パノラマには遠く及びませんが、それでも美しい光景を目にすることが出来ました。
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ちなみに大倉高原の家は、2017年11月30日をもって閉鎖されています。テント場は現在も使用できるようですが、水場は断水しています。
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見るたびに薄汚れて行く丹沢クリステルに下山のご挨拶をします。
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18時45分 大倉バス停に下山しました。
普段は多くの登山者で賑わうこの場所も、時間が時間だけに無人状態でした。
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大倉バス亭の素晴らしいところは、20時台まで1時間に2本のバスが走っていることです。という事で、さほど待たされることもなくやってきたバスに乗り込み、帰宅の途につきました。
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白く雪化粧した丹沢主脈の稜線上には、思っていた通りの素晴らしき光景が広がっていました。丹沢主脈上にはこれと言った危険個所は存在せず、積雪期であっても比較的安全に稜線ハイクを楽しむことが出来ます。
本文中でも触れましたが、蛭ヶ岳まで足を延ばすつもりであれば、一泊して歩いたほうが幸せになれる山だと思います。日帰りしようとすると、かなり気張って歩くことになりますので。
いずれにせよ、丹沢の山並みが白く染まった姿を麓から確認できた際は、躊躇わずにこの山域へと訪れるべきです。絶対に後悔はしないと思います。

<コースタイム>
平丸バス停(7:30)-姫次(10:45~11:10)-蛭ヶ岳(12:50~13:15)-丹沢山(14:40~14:55)-塔ノ岳(15:50~16:00)-堀山の家(17:00~17:10)-大倉バス停(18:45)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. Manohiro より:

    東海自然歩道なんですなあ。
    西の端の箕面へはよく行っています。
    雪山景色っていいですなあ。。
    勉強になりました。
    今後も訪問させていただきます。
    よろしくお願い致します。

  2. オオツキ より:

    Manohiro様
    コメントをありがとうございます。
    東海自然歩道は普段から割と頻繁に歩いてはいるのですが、大阪までつながっていると聞いた時は少々驚きでした。
    仕事をリタイアして時間が出来たら、お遍路よりも東海自然歩道を全部繋げて歩いてみたいものです。

  3. Taym より:

    晴れの雪山って
    景色綺麗で最高ですね。
    雪山にまだ行ったことがないので行ってみたいです。

  4. オオツキ より:

    Taym様
    コメントをありがとうございます。
    積雪時の丹沢主脈には特筆すべき危険な箇所もないので、雪山未経験者であっても軽アイゼン一つで歩けると思います。
    一つ難点があるとすれば、丹沢は太平洋側にあるその立地上なかなか冠雪はしてくれず、例え積もっても割と短期間でなくなってしまう事でしょうか。
    今シーズン中に再びチャンスが巡って来るかはわかりませんが、機会があれば是非とも訪問してみてください。