山梨県南アルプス市、韮崎市および北杜市にまたがる鳳凰山(ほうおうざん)に登りました。
鳳凰山と言う名称は地蔵岳(じぞうだけ)、観音岳(かんのんだけ)、薬師岳(やくしだけ)の総称であり、別名で鳳凰三山とも呼ばれます。
その極めて宗教色の強い名称からもわかるとおり、古くから信仰の対象となってきた山です。アクセス困難な深山がひしめく南アルプスのなかでは、比較的アクセスが良好な場所にあることから、南アルプスエリアの入門として高い人気を誇っています。
秋分の澄み切った空の下、テントを担いで三山縦走登山をしてきました。
2017年9月24日~25日に旅す。
今更ですが、今回は南アルプスに入門します。
南アルプス北東部に連なる鳳凰三山は、麓の甲府盆地からも直接仰ぎ見ることの出来る、南アルプスエリアの前衛峰とでも言うべき山々です。
かくも人里に近く目立つ存在を古人達がほっておくはずがなく、古くから山岳信仰の対象になって来た山々です。
地蔵岳の山頂には、通称オベリスクと呼ばれる巨大な石の尖塔が存在し、この山域一帯の象徴的存在となっています。
付近の山からこの特徴的な岩の存在を仰ぐ度に、いつか登ってみたいという思いを積み重ねてきました。今回、ようやくその機会が訪れと言う訳です。
いつの間にか秋分の日も過ぎて、近頃はすっかり秋の色が深まってきました。今年最後となるかもしれないテント泊縦走登山を敢行すべく、はるばる南アルプスの地へと繰り出します。
コース
一日目は夜叉神峠登山口より入山し、南御室小屋のテント場で一泊します。二日目は稜線沿いに薬師岳、観音岳および地蔵岳の三山を縦走し、広河原へ下山します。
鳳凰三山を南北に縦断するルートです。
1.鳳凰山登山 アプローチ編 鳳凰三山の玄関口、夜叉人峠
9月24日 午前4時
中年2人を乗せた車が、快調に中央自動車道を進みます。目指すは、芦安(あしやす)駐車場です。
芦安駐車場は北アルプスに例えるなら、上高地に対する沢渡(さわんど)駐車場に相当する場所です。南アルプス北部の登山基地である広河原までは、南アルプス林道のマイカー規制により、直接車で行くことが出来ません。
そのため、マイカー組は南アルプス林道のゲート手前にある芦安駐車場まで車で行き、そこからバスや乗り合いタクシーへと乗り換えて広河原へと向かうことになります。パーク&ライドという奴です。
鳳凰山の登山口は、広河原よりずっと手前にある夜叉神峠(やしゃじんとうげ)にあります。この峠には無料の駐車場が存在しますが、ハイシーズンには夜中のうちに満車となり、朝方に到着しても停められないと言う事態がしばし発生します。
なので、始めから芦安に駐車して、そこからバスで夜叉神峠登山口に移動しようという計画です。
5時15分 夜叉神の森駐車場
どうやら9月下旬と言うのは、もうすでにハイシーズンではないようですな。誘導員の人にあっさり「夜叉神駐車場は空いている」と言われたので、予定を変更して直接ここまできました。
のそのそと仕度し、周囲が明るくなってきたころで行動開始です。
本日の同行者のST君は、今回がテント泊登山デビューです。荷物の重さに早くも心が挫けつつあるようでした。
登山口に登山届けの投函ポストがあるので、忘れずに提出しましょう。6時ちょうどに登山開始です。
まずは夜叉神峠を目指してゆったりとしたペースで登ってゆきます。登り始めの光景は、まさに南アルプスの幽玄なる森そのもの光景です。
尾根に乗りました。本当はこの場所が夜叉神峠なのですなのですが、今では便宜上ここから5分ほど登っていった所にある、夜叉神峠小屋の前を夜叉神峠と呼んでいます。
南アルプス林道は、この峠の真下を全長およそ1.4kmのトンネルで貫いています。
7時 夜叉神峠小屋に到着です。荷物が重いのでかなりゆったりと歩きましたが、今のところ標準コースタイム通りのペースで進んでおります。もともと甘めのコースタイムなのかな。
小屋の前からはこの通り、綺麗に並んだ白根三山の姿を目の前に望むことが出来ます。写真を撮るためだけに訪れる人も多いのだとか。
2.南御室小屋へと続く、南アルプスの幽玄なる森
ここからは尾根筋を辿ります。踏み跡は明瞭で、人気の高いルートであることが窺えます。
傾斜がきつくなって来ました。今日は先を急ぐ旅ではないので、息を切らさない程度にゆっくり登っていきます。
急登と格闘することおよそ1時間半で、杖立峠が見えて来ました。
8時30分 杖立峠に到着しました。とりあえず杖を立ててみました。特にと言うか、まったく意味はありません。
次のチェックポイント苺平までは2時間30分とあります。しかし、よく見るとその上に小さく黒字で1時間30分と書いてあります。さてはて正解はどっちなのでしょうか。
何処までも続く幽玄なる森です。雨が多く雪はさほど多くない南アルプスは、北アルプスと比べると森林限界の高度が高めです。大体2,500メートル付近までは鬱蒼とした森に覆われています。
視界の開けた場所に出ました。火事場跡と呼ばれている場所です。ここにも、杖立峠にあったの同じ金属パイプ製のケルンがありました。
その名が示すとおり、昔山火事でもあったのでしょうか。周囲には背の高い木が少なく視界が開けています。
正面に見えているのは農鳥岳(3,026m)です。白根三山の中で一つだけ日本百名山に選んでもらなかった不遇の山ですな。
すぐ隣に標高日本第2位(北岳)と第4位(間ノ岳)が並んでいると言う立地上、この山が霞んでしまうのも止むおえない所でしょうか。
標高が2,200メートルを越えた辺りから、薄っすらと紅葉が始まりつつありました。見ごろを迎えるのは10月の1週~2週目くらいでしょうかね。
僅かに赤くなり始めたナナカマドです。これはこれで、柔らかくて良い色味です。
またもや金属パイプ製のケルンが見えてきました。これは鳳凰三山の標準仕様なのでしょうか。
10時20分 苺平に到着です。杖立峠から1時間40分ほどで到着です。どうやら、小さい黒字で書かれていた時間のほうが正解だったようで。
苺平から南御室小屋までは緩やかな下り坂です。道標にかかれた案内によると、この付近は僅かに携帯電話の電波が入るとのこと。
10時50分 本日の宿泊地である南御室小屋に到着しました。芦安ではなく夜叉神の駐車場に停められたという予定外の事態があったにしても、いくらなんでも早く着き過ぎましたな。
テントの受付開始は12時からですが、先に張っていて良いとのお言葉だったので、とりあえず設営します。
テント場の下は砂地で、ペグは非常に刺しやすいです。フラットでガラ石も無く、森に囲われているので風の影響も受けにくそうです。総じて、非常に良いテント場だと思います。
水場もすぐ近くにあります。南アルプス天然水が汲み放題です。12時まで昼寝して待機し、受付を済ませました。幕営料は一人500円です。
3.二日目の縦走に備えて、薬師岳を偵察する
さて、時刻はまだ12時。することも無いので空荷で薬師岳まで偵察に出ます。コースタイムは往復で2時間30分ほどです。
小屋の裏手は、花崗岩がむき出しになった急坂になっていました。鳳凰山は、甲斐駒ケ岳などと同様に、花崗岩でできた山です。土がえぐれて地肌が見えてきているということです。
小屋から45分ほど歩いて、ようやく森林限界を超えました。砂払岳と呼ばれている場所です
晴れていればさぞかし絶景が広がりそうな場所ですが、周囲の景色はすべてガスの中です。谷を挟んで隣向かいの、北岳の姿すら見えません。
ここからは白亜の稜線歩きです。薬師岳の姿だけが辛うじて見えていますが、その先の観音岳はガスの中です。
砂払岳の頂上に立つと、薬師岳の全景が視界に収まりました。なかなかカッコイイ姿をした山です。花崗岩の山というのは、実に見栄えがしますな。
砂払岳と薬師岳の鞍部に立つ薬師小屋の姿が見えました。ここで一泊できれば明日の行程が少し楽になるのですけれど、残念ながら薬師小屋にはキャンプ指定地が存在しません。
13時20分 薬師小屋を通過します。つい最近新築したとばかりと言うことで、非常に綺麗な小屋でした。ちなみに、この小屋は完全予約制です。
小屋から薬師岳山頂までは10分ほど道のりです。あっという間に到着します。
13時30分 薬師岳に登頂しました。南御室小屋から1時間10分ほどで到着しました。空荷のおかげで結構いいペースでした。
薬師岳の名を冠した山は日本中に数多存在しますが、ここはその中で2番目に高い山となります。
ちなみに、一番高い薬師岳は北アルプスの立山連峰にあるやつです。(標高2,926m)
<参考画像>
観音岳へと続く稜線はこの通り、ガスの中です。天気が良かったら、このまま地蔵岳まで往復しようかと言う案もありましたが、ここは素直に引き返します。
稜線上には、次から次へと新手のガスが沸き上がっていました。まあ、眺望に関しては明日に期待しましょう。
14時50分 南御室小屋に帰還しました。これで一日目の行動はすべて終了です。あとはテント場で適当にウダウダと過ごします。
私にとって、山における食事の支度とはすなわち、お湯を沸かすことです。
世の中には、アルファー米はまずいとおっしゃるグルメな方が沢山いらっしゃいますが、個人的にはアノマフーズのフリーズドライ食品は、どれもとても良く出来ていると思います。
この夏野菜カレーもなかなかのお味でした。少々割高ではありますが、味に関してはなんの不満も感じません。
なにより、圧倒的に楽ですし。
こんな感じで、一日目は終了です。
4.鳳凰山登山 登頂編 鳳凰三山の最高峰、観音岳へ
明けて9月25日。テントを撤収して、いよいよ今回の山行きのメインイベントである三山縦走へ出発します。
昨夜は気温零度を下回ったらしく、テントのポールとフライが凍結していました。周囲もこの通り、霜が降りております。
6時 あまりの寒さに手がかじかんで、テントの撤収にやたらと手間取りました。前日の空荷状態とは異なり、足取りも重く登山開始です。
砂払岳までは、鬱蒼とした樹林帯が続きます。昨日に一度登った道ではありますが、荷物が重いと全然印象が変わってきますな。何気に結構しんどい登りです。
割れている大岩に向かって、定番のお遊びシーンを一枚。1月1日生まれ山羊座のST君にかかれば、岩だろうがドラゴンの盾であろうが手刀で一刀両断です(ネタが古い)。
出発してから1時間ほどで、砂払岳の稜線まで出ました。昨日はガスで見えていなかった観音岳の姿がクッキリと見えています。白亜の稜線が実に美しい。
谷向かいにある白根三山もこのとおり。雲ひとつ無い快晴です。この光景を見た瞬間から、テンション上が上がりまくりです。やっぱり、山というのは晴れていてナンボだとあらためて認識させらた瞬間です。
写真中央から左に向かって北岳(3,192m)、間ノ岳(3,189m)、農鳥岳(3,026m)です。右奥には仙丈ケ岳(3,033m)の姿も見えます。
標高3,000メートルを越す山が、これほどの密度でひしめいている場所は、日本ではここにしかありません。まさに魔境サウスアルプスの圧巻の光景です。
背後には世界遺産のアイツが、相変わらずの圧倒的な存在感で佇んでいました。比較的距離の近い南アルプスからだと、非常に大きく見えます。
砂払岳山頂から見た観音岳(左)と薬師岳(右)のツーショット。鳳凰山のランドマークとでもいいうべきオベリスクを擁する地蔵岳は、観音岳の裏手にあるため、ここからではまだ見えません。
薬師岳の山頂に向かいます。白い真砂の斜面が青空に映えて、昨日とは全く違った印象を与えてくれます。
7時30分 薬師岳に登頂しました。今のところは標準コースタイム通りのペースです。
山頂からの展望はこの通り、素晴らしいの一言です。薬師岳は、白根三山の展望台としては最高のロケーションにあると言えるでしょう。
北岳をアップで見てみましょう。地味謙虚な山として知られる、日本第2位の高峰です。
正面に見えている岩壁は、北岳バットレスと呼ばれる、高さ600メートルにもおよぶ南アルプスを代表する岩場です。
南方向の展望です。玄人好みの重量級の山がひしめく、南アルプス南部の光景が広がります。
こちらは北側です。お隣の観音岳へ向かう白亜の稜線が続いています。今からここ歩けるのだと思うと、それだけでワクワクしてくるような光景ではありませんか。
八ヶ岳連峰も一望できました。こうして端から眺めると、八ヶ岳と言うのは意外とコンパクトに収まった山脈なのだと感じさせられます。
薬師岳から見ると一見なだらかそうに見えた稜線でしたが、実際に歩いてみると意外とアップダウンがあります。
背後を振り返ると、こんな光景が飛び込んできます。反対向きに歩くのも悪くなさそうですな。富士山にむかって歩けるわけですから。
8時40分 観音岳に登頂しました。鳳凰山の2座目を制覇です。山頂での記念撮影はドヤ顔で決めるというのが、自分内部のローカルルールです。
観音岳の標高は2,840メートルあります。鳳凰三山の中ではここが最高地点です。
こちらが鳳凰山三座目となる地蔵岳です。山頂に立つオベリスクの姿が一際目を引きます。
こちらは南アルプスきってのイケメン甲斐駒ケ岳です。遠く背後には北アルプスの山々の姿も見えます。
甲斐駒ケ岳をアップ。見た目のカッコ良さにおいて、一頭地を抜いている山だと思います。
こちらは南アルプスの女王こと仙丈ケ岳。非常に大きな山体をもつ堂々とした山です。中腹より上の方では、紅葉の色付きが始まっていますね。
こちらは、先ほどからずっと見えている北岳。鳳凰三山を縦走中は、左手には常にこの山が見えています。
ここまで歩いてきた稜線を振り返ってみる。雲の高度が大分上がって来ました。この絶景を拝めるのは、朝も早い時間限定です。
5.天高くそびえ立つ鳳凰三山のシンボル、オベリスク
8時20分 鳳凰三山縦走最後の山である地蔵岳に向かって、行動を再開します。
観音岳から地蔵岳に至る道は、結構大きくアップダウンするなかなかの険路です。まずは一旦大きく下ります。足元が滑りやすい砂地なので、ここは慎重にまいりましょう。
そして登り返し。目の前に見えているのは、地蔵岳の隣にある赤抜沢ノ頭と呼ばれるピークです。
この登りが結構キツイです。息を切らせながら必死になって登ります。
赤抜沢ノ頭の頂上に着くと、地蔵岳はもう目の前です。鳳凰山という名称は、このオベリスクが、鳳凰のくちばしの様に見えることからついた名前なのだとか。
赤抜沢ノ頭に荷物をデポして、地蔵岳との鞍部へ下っていきます。
下まで降りて着ました。この場所は賽ノ河原と呼ばれており、周囲は一面の砂地となっています。
8時40分 地蔵岳に登頂しました。地蔵岳の本当の山頂は言うまでも無くオベリスクのてっぺんですが、山頂標識は便宜上ここに設置されています。
オベリスク本体には、登ろうと思えば登れないこともないようですが、一般登山道の扱いではありません。槍ヶ岳の穂先のように、誰でも登れるようクサリや梯子が整備されているわけではないと言うことです。
ちなみに、私は初めから登る気はありません。私はあくまでハイカーであって、クライマーではないのでね。
賽ノ河原には多数の地蔵が安置されています。子宝に恵まれない夫婦が、ここからお地蔵さんを1体持ち帰り、子供を授かったら2体にして返すという風習が古くからあるのだそうです。
三山縦走を達成したところで、赤抜沢ノ頭まで引き返します。あとは下山するだけです。
6.地味に険しい高嶺を乗り越えて、白鳳峠を目指す
さて、ここからは下山編となるわけですが、最後の難関とでも言うべき物が目の前に立ちはだかります。正面に見えているのは高嶺(たかね)と呼ばれる標高2,779メートルのピークです。何気に地蔵岳よりも標高が高いという。
またもや一旦大きく高度を落とします。片側が切れ落ちていて、何気に結構怖い道です。
そして登り返し。もう登りは結構ですという気分になってきます。登った分だけまた降りなきゃいけないし。
登りきったところで、平坦な山頂部に出ました。一面ハイマツに覆われた、広々とした山頂です。
10時50分 高嶺に登頂しました。今度こそ登りは終了です。あとは広河原に向かってひたすら下っていくだけです。
背後を振り返って望む、地蔵岳と赤抜沢ノ頭です。実に岩々しい稜線ですな。
さらに視線を右へ向けると、観音岳(左)と薬師岳(右奥)の姿も見えました。高嶺はまさに、ここまで歩いてきた道程を振り返るためにあるような場所です。
甲斐駒ケ岳はいつの間にかすっかりガスに飲み込まれていました。本日の好展望タイムは、本当に早朝の短い間だけだったようです。
そして正面には仙丈ケ岳。眼下には広河原から北沢峠へと向かう南アルプス林道が見えます。
ゴール地点の広河原も真下に見えます。あの場所までの標高差はおよそ1,200メートルほどあります。パラグライダーか何かで一気に降りたいな。
野呂川が刻んだ南アルプスの大峡谷です。魔境サウスアルプスは、谷一つとってもスケール感が桁違いです。
下山を開始します。まずは眼下に見えている白鳳峠をめざして下っていきます。
白鳳峠側は何気に物凄い急斜面です。破線扱いではない一般登山道ではあるものの、あまりオススメはできない道です。現に、歩いている人の姿は疎らでした。
急坂を下り終えると、一旦は傾斜が緩みようやく一呼吸つけました。空荷だったらそこまでは苦戦しないのでしょうけれど、テント担いだ状態だと何気に厳しい下りでありました。
振り返って望む高嶺。地味な名前の割りに、なかなか手強い奴でした。広河原への縦走路に立ちはだかる要害といったところでしょうか。
高度が下がってきたところで、樹林帯に突入です。さらば鳳凰三山。素晴らしい光景をありがとう。
11時55分 白鳳峠に到着しました。あとは広河原への下りが残っているだけです。ここで残っていた最後のシャリを腹に収め、気合を入れます。広河原までは、標準コースタイムであと2時間ほどの行程となります。
7.白鳳峠から広河原へと続く、無慈悲なる激下り
ゴーロ帯と呼ばれる、岩の散乱する道を下っていきます。岩がゴロゴロしているからゴーロと呼びます。なんという安直なネーミング。
歩きにくいことこの上ないゴーロとしばし格闘したところで、前方に森がみえてきました。もう間もなく樹林帯に突入します。
砂払岳を過ぎ以降、ずっと視界の傍らにあり続けた北岳とも、これでお別れです。
再び南アルプスの幽玄なる森の中へ突入します。この後はもう消化試合です。
やまなしの森林100選を発見。確か、大菩薩嶺でも同じ看板を見かけたような。
ハシゴが何度も登場する、崖のような勾配の道です。なるほど確かに、地図を見ると等高線の密度がかなりエグイことになっております。
最後まで緩むことのない急坂が続きます。道は全般的に荒れ気味です。あまり利用する人の居ないルートのようですね。
急坂と格闘することおよそ2時間で、ようやくゴールの林道が見えました。
14時5分 白鳳峠入口に到着しました。白鳳峠からノンストップで一気に下りきりました。途中に休憩向きの場所が一切無い厳しい道でした。
この道を登りに使いたくはないなあ。
15分ほど南アルプス林道をチンタラと歩いて、広河原に到着しました。文明世界に帰って来たかのような安堵感を憶える瞬間ですが、それは錯覚です。まだここは凄い山の中ですからね。
14時20分 広河原に到着しました。間の悪いことに、14時発のバスが発車してしまった直後でした。
次のバスまでは2時間以上間があるので、乗り合いタクシーに運んでもらいます。夜叉神峠までの運賃は1,200円です。芦安までの料金と同額になります。
15時 スタート地点の夜叉神峠登山口まで戻ってきました。乗り合いタクシーが定員オーバーであったため、ST君は床に体育座りを余儀なくされました。その分、200円まけてもらったようですが・・・
鳳凰三山縦走はコレにて無事終了です。晴天にも恵まれた夢のような二日間でありました。
おそらくは今年最後になるであろうテント宿登山は、最高の天候のもと大成功に終わりました。冬用のシュラフを持ってはいないので、季節的に野営するにはギリギリのタイミングといった所でした。
紅葉を目当てに登るなら、ベストなタイミングは10月の1週~2週目当たりが狙い目でしょうか。テント泊に拘らないのであれば、薬師小屋で一泊するのが三山縦走の行程としては最も無理が無いかと思います。夜叉神峠へは甲府駅から直通バスも運行されており、南アルプスエリアのなかでもアプローチは断然しやすい山です。
南アルプスエリアの入門として、非常にオススメです。美しき白亜の稜線歩きが貴方を待っています。
<コースタイム>
1日目
夜叉神峠登山口(6:00)-夜叉神峠(7:00)-杖立峠(8:30~8:40)-苺平(10:20)-南御室小屋(10:50~12:20)-薬師小屋(13:20)-薬師岳(13:30~13:45)-薬師小屋(13:55)-南御室小屋(14:50)
2日目
南御室小屋(6:00)-薬師岳(7:30)-観音岳(8:05~8:20)-地蔵岳(9:40)-高嶺(10:50~11:10)-白鳳峠(11:55~12:10)-白鳳峠入口(14:05)-広河原(14:20)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
写真がみんな美しく,文も簡略でわかりやすくてすばらしいブログですね。私が行ったことがある山も行ったことがない山も両方とも楽しませてもらっています。
>>1
ぽぽんた様
お褒めのコメントを頂きましてありがとうございます。
写真が綺麗に撮れてるのは単にカメラの性能のおかげです。今後もボチボチ更新してまいりますので、またご気軽にご訪問ください。