静岡県河津町と東伊豆町にまたがる三筋山(みすじやま)に登りました。
伊豆半島の天城山脈より派生した枝尾根上にある山です。山の麓には一面がススキ原の細野高原が広がり、尾根上には風力発電所の巨大風車が立ち並ぶ極めて独特な景観となっています。あまり歩く人は多くないマイナーな存在と言える山ですが、天城三筋山歩道として登山道が整備されています。
河津町の河津桜見物と合わせて、天城三筋山歩道を歩いて来ました。
2025年3月1日に旅す。
三筋山は河津町のすぐ背後に広がっている細野高原にある山です。独立したピークではなく、天城山脈から伸びる尾根上にある天城山前衛の山の一つです。
細野高原は古くから茅場として利用されて来た場所で、現在でも野焼きが行われておりススキ原の広がる景観が保たれています。ススキの穂が黄金色に染まる秋になると、多くの観光客が訪れる人気の観光地です
そんなススキの名所として名高かった細野高原と三筋山なのですが、現在はそれ以上に風力発電の巨大風車が立ち並ぶ独特の景観の山となっています。
三筋山の周辺では東京電力の東伊豆風力発電所と、ユーラス河津ウインドファームの2つの風力発電所が稼働しており、直径74メートルの巨大風車が合計21基設置されています。
河津町の河津桜が見頃になるタイミングに合わせて、前々から気になっていた風車の山にも登る一石二鳥を狙って訪問したのですが、三筋山から河津町方面への下山では思わぬ困難が待ち構えていました。
一波乱あり色々と盛り沢山だった、天城三筋山歩道を巡って来た一日の記録です。
コース
天城トンネルを抜けた先にある二階滝バス停からスタートし、天城三筋山歩道のコースに沿って三筋山まで歩きます。
下山は途中で天城三筋山歩道のルートから外れて、大池高原から河津町方面へと下ったのですが、この下山ルートには少々問題がありました。
どう問題だったのか、詳細については本編にて。
1.三筋山登山 アプロ―チ編 新幹線で行く伊津半島への遠き旅路
6時24分 JR東京駅
路線バスへの乗り継ぎ時間の都合もあり、本日は贅沢にも新幹線によるアプローチです。乗車するのはまるで静岡県などこの世には存在しないかの如く振る舞うのぞみではなく、新幹線界における鈍行列車である我らがこだま号です。
7時20分 快適な新幹線座席でうつらうつらとしている間に、三島駅に到着しました。鈍行のこだま号とは言えどそこは新幹線です。高いけれど早い。早いけれど高い。
続いて伊豆箱根鉄道に乗り換えます。こちらは交通系ICカードに対応していないため、一度改札を出てから切符を買って乗車します。伊豆の山に登りに来る際に、それこそ幾度となく繰り返してきた手順であるため手慣れたものです。
8時11分 終点の修善寺に到着しました。この次に乗車する河津駅行きのバスは8時15分発なので、乗り換え時間は僅か4分しかありません。素早くテキパキと行動しましょう。
こちらのバス路線は、天城峠を越えて修善寺駅と河津駅とを結んでいる路線で、乗車時間は結構な長丁場となります。この朝1番のバスに間に合わせたいがために、高いのは承知で新幹線を使った次第です。
同じバスに山登りの格好をしている乗客が何人か乗っていましたが、私以外はみな天城峠バス停で降りて行きました。今日は静かな登山となりそうな予感がします。
9時9分 二階滝バス停に到着しました。天城トンネルを抜けてすぐの場所にあるバス停です。天城峠バス停から歩いても所要時間に大きな違いはないのですが、本日は天城越えは行わずに峠を越えた場所からスタートします。
2.登山口までの長い舗装道路歩き
9時15分 身支度を整えて本日の行動を開始します。二階滝駐車場の脇にある、こちらの石階段から取りつきます。
階段を登って行くと、すぐに踊子歩道と合流しました。八丁池方面への分岐がある寒天橋まで、踊子歩道沿いに天城峠方面へ登り返します。

この踊子歩道の道すがらに、バス停の名前にもなっている二階滝があります。
わざわざ専用の観瀑台まで用意されていますが、周囲の木が大きく育ってきておりあまり良くは見えません。もうあと何年かしたら、完全に見えなくなってしまうのではなかろうか。
9時30分 寒天橋まで歩て来ました。天城越えの歌詞中にも登場する橋ですが、コンクリート製のごく小さな橋が架かっているだけで、特にこれと言った何かがある場所ではありません。
橋の袂から踊子歩道を外れて、八丁池方面へと入って行きます。ここから先は自身にとって、初めて足を踏み入れる領域となります。
寒天橋を過ぎて以降も、舗装された道が延々と続きます。この序盤の舗装道路歩きはかなりの長さなので覚悟して下さい。
途中からは勾配も増してきて、短いスパンの九十九折れでグイグイと標高を上げていきます。
寒天橋から1時間以上歩き続けたところで、大きく開けた場所が現れました。
10時45分 八丁池口バス停まで歩いて来ました。4月~11月の土日祝日限定で、ここまで路線バスで乗り入れることが出来ます。残念ながら河津桜が咲く時期にはバスが無いので、自分の足で歩いて来るしかありません。
これから歩く天城三筋山遊歩道の案内が掲げられていました。三筋山はあまりメジャーであるとは言い難い山だと思いますが、こうしてしっかりと登山道は整備されているようで、ひとまずは安心しました。
八丁池口を過ぎて以降も、まだもうしばらく舗装道路歩きが続きます。これだけ長いと流石に少々ダレて来ましたぞ。早く土の上を歩きたい。
分岐が現れました。道なりに左へ進むと八丁池方面で、三筋山へ向かうにはここを右に入っていきます。道がさらに細くなり頼りなくなって来ましたが、しっかりと道標の案内はあります。
動物除けのためと思われる柵が長々と続いており、柵に沿って大きく遠回りをさせられます。
柵が尽きるところまで歩いて来ました。ここからようやく登山道が始まります。徒歩でのアプローチはなかなか長く、三筋山が登山の対象としてイマイチ人気が振るわない理由の一つではあるとは思います。
3.人知れずにひっそりと佇む東猿山
グルっと進行方向が反転して、再び先ほどの柵に沿って戻って行きます。なるほど地図で見ると道が不自然な曲がり方をしているとは思っていましたが、この大迂回が理由でした。柵に扉を付けるなりして何とかできなかったのでしょうか。
進行方向の右手の尾根上に、巨大な風車が並んで立っている様子が小さく見えています。あれが目指す三筋山であるようです。
三筋山へ向かう前に、まずはその手前にある東猿山と言うピークを越えて行く必要があります。と言っても、アプローチの舗装道路歩きの時点で既に標高差の大部分を稼ぎ出してしまっており、山頂もうすぐ目の前にあります。
いかにも伊豆半島の山らしい、グネグネと曲がった木が目立ちます。三浦半島や房総半島の山でもやはり同じ様な植生を目にすることが多いのですが、やはり何か気候的な共通点があるからなのでしょうか。
急坂はなく、緩やかに登って行くとあっけなく山頂らしき場所に出ました。
11時35分 東猿山に登頂しました。国土地理院の地図上には名称の記載がなく、無名のピークとなっている場所です。三筋山の山頂よりは標高がずっと高く、何気にここが本日の行程における最高地点となります。
ひたすら長い舗装道路歩きのアプローチもあって流石に少し疲労を覚えたので、ここでザックを落として大休止を取りました。
まるでこの山の主であるかのように、ブナの巨木が山頂を見下ろしていました。特に何かがある訳でもない空間ですが、滅多に人が登って来ることはない静かなる空間です。
先へ進みましょう。東猿山からは大きく下ります。もっと藪っぽい道を覚悟していたのですが、意外にも登山道の整備状態は良好です。
私が勝手にマイナーだと思い込んでいただけで、実は人気のハイキングコースだったりするのでしょうか。・・・その割には、まったく他の登山者の姿を見かけませんけれどね。
視界が開けました。ここでも動物の除けの柵に覆われていて、植林が行われています。河津町の裏山的な立地にあるだけに、山中はどこもかなり人の手が入っています。
サクサクと順調に下って、平坦な場所まで下りて来ました。前方がまた舗装道路になっているのが見えます。土の上を歩けたのは僅かな区間だけでした。
テーブル付きの東屋がありました。もし大休止を取るのであれば、東猿山の山頂よりもここで取った方が良いかと思います。
4.巨大風車が立ち並ぶ、三筋山山頂への道
風力発電の巨大風車が目の前にその姿を現しました。月並みな感想ですが、大きいですねえ。具体的な数字としては、プロペラの中心にあるハブの高さが60メートル程あり、プロペラブレード1枚の長さは37メートルです。
巨大プロペラの合間を縫うようにして、管理用の舗装道路が続いています。かつての登山道はこの道に飲まれてしまったらしく、ここからはまた暫しの舗装道路歩きです。
遠くから見る分には壮観なのですが、すぐ脇を通るのは正直怖いです。落下して来たら確実にぺっちゃんこにされるであろう金属の塊が、頭上でブンブンと回転している訳ですからね。
このまま山頂までずっと舗装道路歩きなのかと前途を悲観していましたが、途中から登山道に復帰しました。
元々そこそこアップダウンの激しい尾根だったようで、登山道の区間はなかなかの急勾配です。見た感じもうあと2~3回は登り返しがありそうです。
登山道の区間は長くは続かず、またすぐに舗装道路と合流しました。この尾根上にはもともとハイキングコースが存在していた訳ですが、後から作られた風力発電の管理用道路によって所々で寸断されてしまっている状態のようです。
少しだけ道を歩いたところで、またすぐにハイキングコースに復帰しました。いちいち面倒だと感じる人は、このまま舗装道路沿いに歩いて行っても、最終的に山頂にはたどり着けます。
周囲がカヤトに変わり、展望が開けて来ました。ここから先が三筋山の真骨頂です。眺めに関しては大いに期待して良いですよ。
谷を挟んだ向かいの尾根にも風力発電の風車が並んでいるのが見えます。あちらはCEF伊豆熱川ウィンドファームと言う名称らしい。どこもかしこも風車だらけな光景ですな。
テーブルベンチ付きの休憩スペースがありました。山頂まではもうあと一息なので休憩はしませんが、周囲が広く開けていて吹き抜ける風が気持ち良い空間です。
海上に薄っすらと伊豆大島が見えています。本来は伊豆諸島の全ての島が見えるはずですが、本日は気温が高めであるためか空気が霞んでいて他の島は全く見えません。だいぶ春らしい空気になって来ました。
ようやく三筋山の本体が姿を見せました。かつてはカヤトの広がる山として認識されていたであろう存在でしたが、今では完全に風車の山としか形容できない姿をしています。
このまま最後まで登山道沿いを歩いて行けるのかと思っていましたが、ここでもしっかりと間に舗装道路が挟まります。風車が出来る以前の道を一度歩て見たかったですね。恐らくは伊豆山稜線歩道のような道だったのでしょうから。
山頂に向かって最後の登りです。ここでも登山道の整備状況は極めて良好で、もともとかなり高規格なハイキングコースであったのであろうことが伺えます。・・・その割に全然歩いている人がいませんが。
振り返ると、ここまで歩いて来た尾根を一望できました。合計11基もの巨大風車がズラリと立ち並んでいる光景は圧巻です。
山頂が見えました。大きく開けていて、陽だまりが気持ちの良さそうな空間です。
13時55分 三筋山に登頂しました。アプローチの舗装道路歩きの長さは少々いただけませんでしたが、尾根上に出て以降は気持ちの良いハイキングコースでした。
山頂からは眼下に海がドーンと広がっています。伊豆の山からの光景と言ったら、やはりこうでなくてはいけません。
こちらのパノラマガイドによれば、伊豆諸島の全ての島が勢揃いしているはずなのですが、霞んでしまって見えないものはどうしようもありません。
今回の訪問は河津桜の開花時期に合わせたためこうなってしまいましたが、本来この山のベストな訪問時期と言えそうなのは、ススキの穂が黄金色に染まる秋だろうと思います。
海の反対側には天城山最高峰の万三郎岳(1,406m)などが見えているはずですが、同じような標高の山が重なっていてどれが万三郎岳なのかイマイチよくわかりません。まあ、あの辺り全体が天城山であると言うことで良いのではないでしょうか。
5.パラグライダーの発着場を経て大池高原へ
14時15分 お日様ポカポカのベンチが余りにも気持ち良すぎて、つい長居が過ぎました。だいぶ時間も押してきているので、ボチボチ下山に移りましょう。
山頂からはまたもしばしの間、舗装道路歩きです。風車の管理用道路に沿って下って行きます。
予備のプロペラブレードが置いてありました。前述の通り直径は37メートルあります。重量についての情報は公表されていませんが、恐らく10トン以上はあるだろうと思います。
このサイズの金属のカタマリが頭上でブンブン回っていたら、やはりどう考えたって怖いです。長居せずに退散しましょう。
途中から道の脇に逸れて再び登山道へと入って行きます。道標上の行き先には大池とだけ書かれていますが、下山がしたいならこちらであっています。
下って行くとすぐにまた大きく開けた芝生状の場所に出ました。ここは細野高原のパラグライダー発着場です。
実際に飛んでいる姿が見えます。山に登るのは好きだけれど下山が嫌いな私としては、あれに乗って下山が出来たらどんなに楽だろうとはいつも思います。
グライダーでなくても、ジップラインとかでもいいです。とにかく、私は下山で楽がしたい。
下山予定地点である、河津町の街並みが小さく見えています。この後は、ほぼ海抜ゼロメートル地点まで下って行く予定なので、自分で登った分だけでなく、バスに運んでもらった分の標高差まで歩いて下らなければなりません。
うーん、気乗りしないなあ。やっぱりグライダーか何かで一気に下りたい。
ボヤいていてもしょうがないので、とにかく下りましょう。自分で登ってしまったからには、自分で下るしかないのですから。
緩やかな尾根道を下って行くと、すぐに平坦な場所が現れました。
現在地は大池高原と呼ばれている地点です。ここからさらに少し下った大池高原入口までは車で入って来ることが出来るため、三筋山登山としてはこちら側から登る方が一般的です。
今日私が歩いて来た八方池方面のルートは、どちらかと言うと裏口のような扱いです。通りで全く人が居なかったわけです。
分岐が現れました。ここを左に曲がると、大池高原入口を経て伊豆急行の今井浜海岸駅へ降りることが出来ます。天城三筋山遊歩道のコースマップには、そのルートだけが案内されています。
しかし私は下山後に河津桜見物がしたいと思ってるので、出来れば今井浜海岸駅にではなく河津駅方面へ下りたいのです。
さてここで、天城三筋山遊歩道のコースマップではなく、国土地理院の地図を見てみましょう。現在地から左ではなく右方向へ進むと、谷沿いに河津駅方面へ下っていける徒歩道が描かれてます。
ここを下ればればいいじゃないかと、この道の現状についてロクに下調べもせずに安直に下山ルートを決めてしまったのでした。それがどんな結末を招くかもつゆ知らずに…
6.道なき尾根を辿り河津町へと下る
と言うことで、天城三筋山遊歩道の正規ルートからは外れて分岐を右に曲がります。今度はすぐに左へ曲がる脇道があるはずなのですが、しかし道らしきものは一向に見当りません。
一応、ススキの中へと続いている踏み跡らしきものがありました。とてもこれが国土地理院の地図に記載がある「道」だとは思えませんが、方角はあっているのでともかく進んでみましょう。
やはりどう見ても道ではないように思えますが、それでも踏み跡の気配は僅かに感じられます。国土地理院と自分の地図読みを信じろ、と言うことでとにかく進みましょう。
※あなたの生命と財産にかかわる重要な警告※
国土地理院地図に描かれている徒歩道を示す点線は、決して正確ではありません。位置がズレていたり、情報自体が古くすでに道そのものが消滅していることもあります。バリエーションルートを歩く際には、スマートフォンの登山アプリなどを使用して必ず最新の情報を確認してください。
地形図に描かれている通り、小さな尾根の上に出ました。この尾根から左へ降下して行く道があるはずなのですが、さあ果たして道はあるのでしょうか。
うーん。やはりどうで見ても道ではないのですが、しかし踏み跡の気配は感じます。写真だとわかりづらいかもしれませんが、気のせいでも幻でもなく、確かに踏み跡はあるのです。
半信半疑のまま踏み出して行くと、あるはずの道が消滅してしまった理由が明らかとなりました。地図上に徒歩道が描かれているまさにその場所に、太陽光発電のソーラーパネルが並んでいました。
私と同様に、ここにあったはずの道を探していた同志たちが付けたのであろう踏み跡が、太陽光パネルの敷地の脇を回り込むようにして続いていました。
まあ迂回して行けば、今度こそかつての道の跡に合流できるでしょう。とこの時はまだ安易に考えていました。
強引に進んでいくと、木にロープが張られていました。これでようやく本来に道に合流できたのかな。
と思ったら、斜面に大穴が開いていました。ロープはこの穴へ落ちないよう、安全のために張られたものであるようです。
ロープの外から覗き込んで見た限り、相当な深さがありそうです。落ちたら間違いなく命はありません。
これは穴と言うよりは裂け目で、地滑りによって生じているものだと思われます。恐らく太陽光パネルを設置したことと無関係ではないでしょう。
この後穴がどう広がって行くのかは全く予想がつかないので、とにかく近づかないでください。
どう考えても道ではないが、それでも確かに感じる踏み跡の気配を辿って下って行きます。右手に小さな涸れ沢があるのですが、沢へ下りないように尾根沿いを進みます。
こういう道なき山の斜面を下る時には、谷筋ではなく尾根を辿るのが鉄則です。谷へ下りてしまうと、滝や堰堤などの越えられない段差にぶつかった時点で進めなくなってしまうからです。
なんて偉そうに語っておきながらなんですが、いつの間にか谷底に降りて来てしまいました。ひょっとして私は、ありもしない幻の踏み跡を追いかけて、にっちもさっちも行かないドツボ状態に陥りつつあるのではなかろうか。
そんな事を考えていたら、まさに危惧していた通りに堰堤にぶつかりました。うーむ、これは完全に遭難者が陥る行動パターンそのものですね。まあ最悪は登り返せばいいだけなので、現時点ではまだ遭難したとは言えませんが。
特に取り乱すでもなく、むしろこの状況を楽しむかのように振る舞っていますが、それは単にこの時私にはまだ水、食糧および体力に十分な余力がある状態だったからです。
もっと疲弊している状態だったら、パニックに陥っていたかもかもしれません。
堰堤の上から周囲をよく観察してみると、お墓らしき石の灯篭があるのが見えました。ああ良かった。やはり幻などではなく、踏み跡は確かに存在していたのだ。
堰堤の右側の斜面を何とか乗り越えて、無事にお墓の前まで下りて来ました。結局のところ私が歩いて来たのは道だったのか、そうではなかったのか、未だに良くはわかりません。
お墓があるのだから、流石にこの先にはしっかりとした道があるだろうと言う淡い期待は、歩きだして早々に打ち砕かれました。結局はまた道なき道の下山行が続きます。
どこをどう歩いたのか最早記憶も定かではありませんが、何とか現役で使用されていそうな道まで下ってくることが出来ました。
ここで今更言うまでもなく十分に伝わっているだろうとは思いますが、大池高原からこの道(?)を下山に使う事はまったくもって推奨しません。
何やら安堵感につつまれていますが、町まではまだひと道あります。もうだいぶ時間も遅くなってきているので、少しばかりペースを上げて下りましょう。
文明社会まで戻って来ました。当初の予定よりもすっかり遅い時間になってしまいましたが、お花見を始めましょう。
7.満開の河津桜を見物する
16時50分 かわづいでゆ橋まで下って来ました。河津駅がある場所よりもまだかなり上流の地点です。ここから、花見を楽しみつつ川沿いに駅まで下って行きます。
川の両岸に並んでいる桜並木が、今まさに満開の見頃を迎えていました。そうそう、この景色を見たかったのですよ。そのためにエライ苦労をする羽目になった訳なのですが、まあ結果オーライと言うことで。
河津桜はソメイヨシノに比べると花期は無く、比較的長い間楽しむことが出来ます。訪問時期としては少し遅いかもしれないと心配していたのですが、それは杞憂でした。
時刻は17時を回りましたが、まだまだ大勢の見物客でにぎわっています。この時間でもまだこれだけ混んでいると言うことは、昼頃にはどれほど混雑するのでしょうか。恐ろしや。
桜の開花期間中にはライトアップも行われます。照明が木の下に並んでいました。
道沿いに多数の出店が並んでおり、辺りには美味しそうな匂いが漂っています。インバウンド価格なのではないかと警戒していましたが、至って普通の値段です。
匂いにつられて買い食いします。たこ焼きは野菜である。何故ならば青のりがかかっているからです。
菜の花も咲いており、ピンクと黄色の競演が繰り広げられていました。河津桜の名所とされている場所は、大体どこでも菜の花がセットになっているような気がします。
河津駅の入り口まで歩て来ましたが、まだ駅へは向かわずにこのまま海を目指します。いつもお決まりのセリフを叫ぶためであることは言うまでもありません。
時刻が18時を回ったところで、ライトアップが点灯されました。当初はこんな遅い時間まで歩きまわるつもりなんて、無かったのだけれどな。
砂浜までやって来たところで、もはやお約束となっている「ヒャッハー、うみだー」を叫んでおく。これで今度こそもう、なにも思い残すことはありません。
18時20分 河津駅に到着しました。この後は、河津桜効果で通勤電車並みの乗車率になった伊豆急行線に揺られて、長い長い帰宅の途に付きました。
アプローチの舗装道路歩きの長さは少々いただけませんが、天城三筋山歩道は全般的に眺め良い場所が多く、気持ちよく歩ける良ハイキングコースでした。同じ伊豆半島のハイキングコースである天城縦走路や伊豆山稜線歩道と比べても、歩く人の数は格段に少なく、穴場的なコースであると言えそうです。
今井浜海岸駅ではなく河津駅へ降りるルートを取ったのは完全なる蛇足であり、そもそも道であったかすらもかなり疑わしいです。現状全く推奨できかねる状態なので、素直に今井浜海岸駅を目指しましょう。そこそこのロングトレイルとなりますので、ガッツリと歩きたい気分の人にオススメです。
<コースタイム>
二階滝バス停(9:15)-寒天橋(9:30)-八丁池口バス停(10:45)-東猿山(11:35~11:50)-東屋(12:20)-三筋山(13:35~14:15)-大池高原(14:50)-かわづいで湯橋(16:50)-河津駅(18:20)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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