秀麗富嶽十二景(しゅうれいふがくじゅうにけい)は、山梨県大月市が市域の山頂から望む美しい富士山を市のシンボルとするために選定され、平成4年に公布した山々です。全部で20座あります。
唐突ですが皆さま、秀麗富嶽十二景をご存知でしょうか。山梨県大月市が制定した、市内にある富士展望に優れた山々の称号です。
富嶽(ふがく)というのは富士山のことです。現代ではあまり常用されていない言葉だと思いますが、江戸時代の浮世絵画家、葛飾北斎が描いた富嶽三十六景はあまりにも有名です。
恐らくこの秀麗富嶽十二景という名称自体、富嶽三十六景からのオマージュであろうかと思います。
山梨県東部の群内地方にある大月市は、東京都内からのアクセスが比較的容易です。中央線一本で行くことが可能で、高尾駅からおよそ35分の距離です。
大月市自体が中央本線に沿う立地であるため、秀麗富嶽十二景の山の多くは中央本線の駅からのアクセスが良好です。一部例外もありますが、公共交通機関を使って山登りをする人には優しい山域であると言えます。
アクセスが容易かつ手軽に登れる山が多いにもかかわらず、何故か奥多摩や丹沢といった東京近郊の山域に比べて人気・知名度ともに今一つで、マイナーエリアであると見なされがちです。
それは見方を変えると穴場であるとも言えて、人気の山の喧騒を避けた静かな山行きを楽しむ事が出来ます。
十二景と名乗っていますが、同じ番号で2座選ばれているものが8つあり、合計すると20座が選定されています。だったら始めから秀麗富嶽二十景にすれば良かったのではないかと言う気もしますが、語呂の問題でしょうか。
具体的に山名をあげると、以下の山々です。
一番山頂 雁ヶ腹摺山(がんがはらすりやま)(1,874m)
一番山頂 姥子山(うばこやま)(1,503m)
二番山頂 小金沢山(こがねざわやま)(2,014m)
二番山頂 牛奥ノ雁ヶ腹摺山(うしおくのがんがはらすりやま)(1,990m)
三番山頂 大蔵高丸(おくらたかまる)(1,781m)
三番山頂 ハマイバ丸(はまいばまる)(1,752m)
四番山頂 滝子山(たきごやま)(1,610m)
四番山頂 笹子雁ヶ腹摺山(ささごがんがはらすりやま)(1,358m)
五番山頂 奈良倉山(ならくらやま)(1,349m)
六番山頂 扇山(おうぎやま)(1,138m)
七番山頂 百蔵山(ももくらやま)(1,003m)
八番山頂 岩殿山(いわどのさん)(634m)
八番山頂 お伊勢山(おいせやま)(561m)
九番山頂 倉岳山(くらたけやま)(990m)
九番山頂 高畑山(たかはたやま)(982m)
十番山頂 九鬼山(くきさん)(970m)
十番山頂 御前山(ごぜんやま)(720m)
十一番山頂 高川山(たかがわやま)(976m)
十二番山頂 本社ヶ丸(ほんじゃがまる)(1,631m)
十二番山頂 清八山(せいはちやま)(1,593m)
私自身この中央本線沿線の山々には結構足繁く登っているのですが、諸々あって長らくお伊勢山だけが未踏のまま残されていました。つい先日にようやく登り、無事に秀麗富嶽十二景の完登がなりました。
そこで今回は特別編と言う事で、秀麗富嶽十二景を特集してみようかと思います。
一番山頂 雁ヶ腹摺山(がんがはらすりやま)
雁ヶ腹摺山は大月市内でも北寄りの、集落からは遠く離れた山間部にある山です。周囲の山の中では頭ひとつ抜けた標高を持ち、大月駅の周辺からでもよく見えます。
雁(がん)とは渡り鳥の一種で、渡りの季節になるとこの山の上を腹をするようにして飛び越えて行く光景が見られたのでしょう。奥秩父山塊の一帯には雁ヶ腹摺山の他にも、雁坂峠などの雁に由来する地名がいくつか存在します。
雁ヶ腹摺山は、五百円札に描かれていた富士山の原画写真の撮影地です。五百円札の図柄を憶えている人が果たしてどれくらい残っているかはさておき、昔から富士山展望の地としては有名な場所だったのでしょう。
つい先ほど、一部例外はあるが秀麗富嶽十二景は中央本線の駅からのアクセスが良好な山が多いと書きましたが、一番山頂がいきなりその例外的な存在です。
公共交通機関によるアクセスを前提とした場合、最寄りとなるのは遅能戸(おそのうと)バス停かもしくはハマイバ前バス停ですが、どちらからスタートしても標高差が1,000メートルを超えるなかなか骨太な登山となります。
ちなみに車であれば、標高1,560m地点の大峠まで入れます。大峠からなら、登り1時間半下り1時間のお手軽な山です。交通手段によって難易度が大きく変わる山です。
雁ヶ腹摺山からの富士展望
秀麗富嶽十二景栄光のNo1だけの事はあって、裾野までもが大きく見える秀麗な姿です。
一番山頂 姥子山(うばこやま)
一番山頂には2座選ばれており、もう一つが姥子山です。登山の対象としてはほぼ無名に等しい極めてマイナーな山です。
独立したピークと言うよりは、雁ヶ腹摺山の傍らにある尾根上の小さな突端といった存在です。単体で登られることはほぼ無く、訪問者の大半は雁ヶ腹摺山とのセットで登っています。雁ヶ腹摺山の山頂から、往復でおおよそ2時間ほどの距離です。
東西二つのピークを持つ岩峰で、山頂直下は断崖絶壁となっています。そのおかげで眺めはすこぶる良好ですが、落ちたらタダでは済まないので足元には十分ご注意ください。
姥子山の山頂標識 ネジが壊れてしまっており、地面に置かれていました。。
姥子山からの富士山展望
距離が近いため、雁ヶ腹摺山から見た姿とあまり変わりません。視界を遮る樹木がない分、こちらの方が広く周囲を見渡せます。
面倒だからと言って訪問を省略してしまう人も多いようですが、それはあまりにも勿体ないことです。雁ヶ腹摺山に訪問の際は、必ずここまで足を延ばすことを強く推奨します。
二番山頂 小金沢山(こがねざわやま)
小金沢山は大月市北西部の甲州市との境界上にある山です。秀麗富嶽十二景の中では唯一となる標高2,000メートル越えの山であり、大月市の最高地点でもあります。
甲斐大和駅から出ている大菩薩上日川峠線のバスでアクセス可能です。最寄りの小屋平バス停から2時間半ほどで登頂できます。
大菩薩嶺から南に向かって伸びる、小金沢連嶺と呼ばれる長大な尾根上にあります。全長が30km近くあるため、付近の山からも大変目を引く存在です。
ちなみにこの小金沢連嶺上には、秀麗富嶽十二景に選ばれている山が全部で5座もあります。常に富士山を見ながら歩くとの出来る、爽快な縦走路です。
小金沢山の山頂標識 標高2,014mと言う事で、西暦2014年には年の山として多少注目を集めました。現在は訪れる人も疎らな静かな山です。
小金沢山からの富士山展望
特筆すべき点はありませんが、文句なし秀麗な富嶽を望めます。
二番山頂 牛奥ノ雁ヶ腹摺山(うしおくのがんがはらすりやま)
もう一つの二番山頂である牛奥ノ雁ヶ腹摺山は、小金沢山と同様に小金沢連嶺上にある山です。日本一長い名前の山として知られています。
決して名前だけが売りの山ではなく、カヤトが広がる山頂からの展望は大変秀逸です。以前は人影疎らな静かな山でしたが、近年では口コミで評判が広がり、そこそこ訪問者の多い人気の山となりました。
小金沢山と同様に、甲斐大和駅から出ている大菩薩上日川峠線のバスでアクセス可能です。最寄りとなるすずらん昆虫館バス停から、おおよそ2時間ほどで登ることが出来ます。
牛奥ノ雁ヶ腹摺山の山頂標識と富士山展望 名前のローマ字表記の長さが凄いことになっています。
三番山頂 大蔵高丸(おくらたかまる)
こちらも小金沢連嶺上に連なるピークの一つです。小金沢連嶺のほぼ中間地点である湯ノ沢峠のすぐ傍らにあります。
湯ノ沢峠のすぐ近くにまで林道が伸びており、車でお越しの人なら1時間とかからずに山頂に立てます。
公共交通機関を利用して登る場合は、大和天目温泉から湯ノ沢峠まで林道を2時間半ほど歩く必要があるため、そこそこ訪問のハードルが高い山であると言えます。
大蔵高丸の山頂近くには、お花畑が広がっています。当の私自身が花の季節に訪れた事がないのですが、初夏の季節に訪れるのが一番良いのかもしれません。
大蔵高丸の山頂標識と富士山展望
広々としたカヤトの山頂で、秀麗な富士山のみならず、ほぼ全方位に視界が開けています。小粒ながらも絶景に出会える一座です。
三番山頂 ハマイバ丸(はまいばまる)
もう一つの三番山頂であるハマイバ丸は、大蔵高丸から尾根続きの隣の山です。単体で登られる事はほぼない山で、小金沢連嶺の縦走時に立ち寄る人が大半です。
隣接する大蔵高丸からほとんど標高差の無い平坦な尾根で繋がっており、あまり独立したピークである感じはしない山です。
最寄りとなるバス停は大和天目温泉になりますが、直接登れる道はなく、北側の湯ノ沢峠か南側の米背負峠を経由する必要があります。あまりアクセスが良好とは言い難い位置にある山です。
ハマイバ丸の山頂標識 標識上では何故か丸が省かれて、単にハマイバとあります。
ハマイバ丸からの富士山展望
紅葉と富士山を眺めることのできるスポットなので、ここへは秋の紅葉シーズンの訪問がオススメです。
4番山頂 滝子山(たきごやま)
滝子山は小金沢連嶺の南端に位置している山です。中央本線のすぐ傍らに立っているため、笹子駅か初狩駅から直接歩いてアプローチすることが可能です。
遠目からもかなり目立つ鋭鋒で、特に中央道を走っている時には大変目に付きます。真冬の晴れて空気が澄んだ日だと、東京都心部の高層ビルからでも見えることがあります。
名前の通りに幾多の滝を眺めながら歩くことのできる、沢沿いのコースが人気です。アクセスの良さと道中の雰囲気の良さから、秀麗富嶽十二景の中では人気が高く、比較的訪問者の多い一座です。
滝子山の山頂標識と富士山展望
山頂からの眺望も悪くありませんが、滝子山の最大の魅力は富士展望よりも道中の雰囲気の良さだと思います。
四番山頂 笹子雁ヶ腹摺山(ささごがんがはらすりやま)
笹子雁ヶ腹摺山は、中央道笹子トンネルのちょうど真上に立つ山です。秀麗富嶽十二景には雁ヶ腹摺山が全部で3座あり、その中の一つです。
中央本線の笹子駅か甲斐大和駅から直接歩いてアプローチ出来ます。甲府盆地の入口を塞ぐようにして立ちはだかる天然の要害であり、どこから登るにしても急峻な山です。
笹子雁ヶ腹摺山の外観上の一つの特徴が、この山頂直下にある電波反射板です。これは電波を増幅させるブースターのような役割を担っているらしい。
笹子雁ヶ腹摺山からの富士展望
富士展望に関しては正直イマイチで、頭だけが見えています。秀麗富嶽を名乗るには実力不足なのは否めないと思います。
山頂だけをピストンする人はあまりおらず、訪問者の多くはお隣のお坊山まで縦走します。この国中地方(甲府盆地)と郡内地方の境界となる尾根は、アップダウンが多めでなかなか歩き応えのある道のりです。
五番山頂 奈良倉山(ならくらやま)
奈良倉山は大月市の北部の小菅村との境界に位置する山です。桂川(相模川)水系と多摩川水系の分水嶺の山でもあります。
秀麗富嶽十二景に属する山の多くは中央本線からのアクセスが良好ですが、奈良倉山はその中では例外的な存在で、奥多摩側からでもアクセスが出来ます。
奈良倉山周辺の山々は東京都の水源林として手厚く保護されており、見上げる高さの巨樹の森が広がっています。地味ながらも森の雰囲気のとても良い山です。
人里からは遠く離れた山深い場所に位置していますが、山頂近くにある鶴峠まで路線バスが乗り入れており、意外にも公共交通機関によるアクセスは良好です。ただし、かなりの距離があるためバスの乗車時間は長く、運賃もそれなりにかかります。
奈良倉山からの富士展望
秀麗富嶽十二景の中では富士山からの直線距離が最も遠いため、小さく見えます。一応は見えると言うだけで、あまり過度な期待はしない方が良いです。
下山後は、秘湯として名高い多摩川源流の温泉小菅の湯へ是非とも立ち寄ってみて下さい。ここはかつて山間の秘境めいた場所でしたが、今では松姫峠のバイパストンネルも完成してずっと身近な存在になりました。
六番山頂 扇山(おうぎやま)
扇山は大月市東部の上野原市との境界に立つ山です。名前の通りの扇を広げたかのような外観の山です。中央本線の車窓から見た時にかなり目を引く存在なので、それとなしに目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
中央本線の鳥沢駅から直接歩いてアプローチが可能です。アクセスが容易かつ手頃であることから、秀麗富嶽十二景の中でも特に人気の高い山です。
扇山からの富士展望
山頂は樹木が多めで、展望が得られる範囲は限定的です。このまま木々が成長すると、そう遠くはない将来に富士も見えなくなってしまいそうな雰囲気です。
危険個所が一切ない山なので、降雪直後に「ヒャッハー、雪だーッ」をしに行くのにも程よい塩梅な場所だ思います。
七番山頂 百蔵山(ももくらやま)
百蔵山は扇山と隣接して桂川の北側に連なる山です。背後にある権現山と合わせて北都留三山と呼ばれる山群を形成しています。中央本線の猿橋駅から直接歩いて登ることが可能です。
百蔵山単体で登られることはあまり多く無く、隣の扇山とセットで登る人が大半です。駅から駅へと繋ぐことのできる縦走コースとして人気があります。
百蔵山からの富士展望
山頂の南側が開けており、扇山よりも良好な展望が得られます。ですが何故か扇山に比べるととあまり人気が無く、山頂は空いていることが多いです。隣にあるのになぜこれほど人気の差がついたのか、不思議です。
八番山頂 岩殿山(いわどのさん)
岩殿山は、大月駅のすぐ目の前に立っている、大月市を象徴する存在の山です。高さは634mあり、東京スカイツリーと同じ高さです。
大月駅から直接歩いて登ることが可能で大変お手軽な山だったのですが、現在は南側の登山道が通行止めとなっており、裏側の畑倉ルートに回り込む必要があります。
岩殿山はかつて山城が築かれていた城址です。現在でも城門跡などの幾つかの史跡が残っています。また、山の中腹にある岩殿山丸山公園は、桜の名所として知られています。
岩殿山からの富士展望
駅から1時間とかからずに登ってこれる場所ですが、山頂からの展望は圧巻です。
簡単に登ってこれる場所なので、夜景見物に訪れるのも良いかもしれません。
岩殿山だけではボリューム的に物足りないと言う人は、是非とも稚児落としまで足を伸ばしてみてください。およそ低山らしからぬアスレチックな山行きを楽しむことが出来ます。
八番山頂 お伊勢山(おいせやま)
お伊勢山は大月市中部の真木集落の傍らにある山・・・というよりは丘の上にある神社の敷地です。桜の名所であり、登山と言うよりはお花見散歩に訪れるのが妥当な場所であると言えます。
大月駅から出ているハマイバ前行きのバスでアクセス出来ます。最寄りとなるのは上真木(かみまぎ)バス停です。
お伊勢山から富士展望
ちょうど山の切れ目に位置に富士山が収まるため、低山らしからぬ良好な展望が得られます。
桜が咲く季節に訪れれば、まるで絵ハガキな何かのような美しい光景に出会うことが出来ます。逆に言うと、あえてそれ以外の季節に訪問すべき理由はありません。
九番山頂 倉岳山(くらたけやま)
倉岳山は桂川の南側に連なる秋山山稜と呼ばれる山域に属している山です。秋山山稜は標高がギリギリ1,000メートルに満たない低山の集まりで、麓の集落からも近くお手軽な里山です。
倉岳山には中央本線の鳥沢駅か梁川駅から直接歩いてアプローチすることが出来ます。古くから峠を越えた人の往来が多くあった山域であり、裏側となる秋山地区から登る登山道も数多く存在します。
倉岳山からの富士展望
一応は見えると言うだけで、それほど秀麗ではありません。あまり過度な期待はしない方が良いと思います。
九番山頂 高畑山(たかはたやま)
倉岳山と同様に秋山山稜に属している一座です。単体で登られることは殆どなく、隣の倉岳山と合わせて登る人が大半です。
高畑山からの富士展望
倉岳山から見た時と同様に、さほど秀麗ではありません。秀麗富嶽を名乗るにはいささか実力不足のように思えます。
十番山頂 九鬼山(くきさん)
九鬼山は秋山山稜の西の端に位置している山です。その外見上の最大の特徴は、山腹を山梨リニア実験線に貫かれている事です。
富士急行線の田野倉駅か禾生駅が最寄りです。どちらから登ってもだいたい2時間もあれば山頂に立てます。たいへん手軽な山です。
九鬼山からの富士展望
なんとかギリギリ見えてはいますが、かなり無理がある感じです。むしろ富士山があるのとは反対側の、北側の展望の方が大きく開けています。
少し下った位置にある天狗岩と呼ばれる場所からは、文句なしに秀麗な富士山を一望できます。山頂からの眺めではなく、ここから見た光景をもって選定されたのでしょうかね。
登山口の近くに、国の有形文化財にも指定されている落合水路橋があります。明治時代に作られて、現在も現役で使用されているレンガ造りのアーチ橋です。山登りがてらに見物してみては如何でしょうか。
十番山頂 御前山(ごぜんやま)
御前山は九鬼山から北に延びる尾根上にある小ピークです。周囲を断崖絶壁に囲われた岩山で、低山ながらも展望が開けています。中央本線の猿橋駅から直接歩いてアプロ―チが出来ます。
御前山の山頂標識 この山は当初秀麗富嶽十二景に選ばれておらず、後追いで追加選定されました。そのため何番山頂なのかが明記されてませんが、九鬼山と同じ十番の扱いです。
御前山からの富士展望
低山らしからぬ好展望の山頂です。駅から手軽に登れる山ですが、九鬼山まで縦走するとアップダウンが多めでそれなりに骨のある山行きとなります。
十一番山頂 高川山(たかがわやま)
高川山は岩殿山と向かい合うようにして、大月市中心の南側に立つ山です。市内からも良く見えて、岩殿山ほどではありませんが大変目立つ存在です。
登山コースは複数ありますが、中央本線の初狩駅から直接歩いて登るのが最短です。山頂までは2時間かからずに登れます。
手軽登れてかつ眺めも良いため、秀麗富嶽十二景の中で一二を争う人気の山です。とりあえず高尾山にだけは登ったと言う登山初心者の人にも、高尾山の次に登る山としてお勧めの一座です。
高川山からの富士展望
山頂は大きく開けており、富士山のみならず周囲の山々を広く一望できます。1年を通じて訪れる人の多い山ですが、標高1,000メートル未満の純然たる低山なので、あまり暑くない季節の訪問を推奨します。
十二番山頂 本社ヶ丸(ほんじゃがまる)
本社ヶ丸は大月市南西部の笹子川南岸に連なる山です。急峻な山で麓からの標高差が大きく、秀麗富嶽十二景の中でも登頂するのに要求される体力度が最も高い山です。
中央本線の笹子駅ら直接歩いてアプローチ出来ます。
山頂直下には岩場もあって、ふざけた名前の割には防御力が高めな山です。手軽に富士山を眺めたい人向けではなく、ガッツリと登りたい人向けの山であると言えます。
本社ヶ丸からの富士展望
三つ峠山に半分くらい遮られてしまっていますが、それでもまずまずの秀麗なる富嶽を拝めます。本社ヶ丸だけでは物足りないと言う人は、三つ峠まで縦走することも出来ます。
十二番山頂 清八山(せいはちやま)
清八山は大月市南西部に位置する山です。本社ヶ丸と隣接しているため、2座あわせて登る人がほとんどです。
本社ヶ丸を経由せずに、清八山に単体で登るルートもしっかりと存在はします。その場合は長い舗装道路歩きの末に変電所の脇を通って行くことになります。
清八山からの富士展望
清八山は秀麗富嶽十二景の中では最も富士山に近い位置にあるため、かなり大きく見えます。まるで画に描いたかのような松と富士の構図となっており、一二を争う秀麗さであると思います。
終わりに
ざっと駆け足で紹介しましたが、大月市には驚くほどバラエティに富んだ、数多くの魅力的な山々が点在していることがお分かりいただけたかと思います。
大月は古くから甲州街道上の交通の要衝ではありますが、率直に言って観光資源に恵まれているとは言い難い町です。大月を訪れる人の多くにとって、大月市は目的地ではなく通り道であることの方が多いのではないでしょうか。
ですが登山好きな人にとっては違います。秀麗なる富嶽に出会いに、中央線一本でフラっと訪れてみては如何でしょうか。さあ、みんなで大月に出かけよう!
・・・私は大月市の回し者ではありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
秀麗富嶽十二景をまとめてもらえると、色々な記事も見やすくていいですね。ありがとうございました。休日お出かけパスで大月駅まで行けますし、お天気いい日は富士山の展望もいいですから、とても好きな山域です。
しょうへいさま
コメントをありがとうございます。
中央本線沿線の山は、気が向いた時にふっらと出かけられる手軽さが魅力ですよね。一部手軽とは言えない山もあるにはありますが、お気に入りの山域です。
オオツキ大月に降り立つ。
君は三鷹を見たか。
こういうの…むしろ好きなのでこれからもぜひお願いします笑。
秀麗富嶽十二景は、故・白簱史朗さんの本を読んで知りました。
中央線の駅から駅へ縦走できる山も多く、まだ高畑倉岳と高川山と雁ヶ腹摺山(車)しか行けてないのですが、これからオオツキさんの記事を参考に、完登を目指したいと思います。
それにしてもいつも、富士山の展望とお花や雪などのベストシーズンを上手く見極めて行かれてますよね!週末だけなのに、すごいといつも感心しております。
AKさま
コメントをありがとうございます。
白簱史朗さんがきっかけで秀麗富嶽に入るとは、なかなかどうして本格派ですね。大月の良よさを知ってもらえると、私もオオツキ冥利(?)に尽きます。
最後のお伊勢山はタイミング(桜)を待ち過ぎて、登ろうと思い立ってから実際に登るまでの3年を要しました。。。
オオツキ様
登山をはじめた頃このブログで秀麗富嶽十二景を知りました。魅力的でわかりやすい記事、交通機関でのアプローチでの試み。大変参考にさせて頂き、また実際にトレースさせてもらいました。
このまとめは秀逸ですね。私は半分程度登りましたがあとは笹子雁ヶ腹摺山、御前山ぐらいを登り、改めて記事を読み登った気になります笑
ゴトさま
コメントをありがとうございます。
秀麗富嶽十二景を始めとした中央本線沿線にある山々は、何故か妙に知名度が低いんですよね。東京都内からのアクセスの容易さ言うと、奥多摩や丹沢に比肩しうる山域だと思うのですが不思議です。
そのおかげでどの山も比較的空いていて良いのですけれどね。もっと広く知れ渡ってほしいような、ほしくないような。