高畑山-倉岳山 秀麗な富嶽と出会える秋山山稜の山並み

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山梨県大月市と上野原市またがる高畑山(たかはたけやま)と倉岳山(くらたけやま)に登りました。
中央本線の南側に連なる秋山山稜と呼ばれる山塊に属する低山です。駅から直接アプローチすることが可能な里山であり、大月市が選定した富士展望に優れた屋もの称号である秀麗富嶽十二景の一座でもあります。
わずかに春の気配がし始めた近場の里山を歩いてきました。

2019年3月24日に旅す。

さて、早いものでもう季節は3月下旬。この時期になるともう冬山とは言えない感じですが、さりとて花と新緑のシーズンにはまだ少し早く、登山へ繰り出すにはいささか中途半端な時期であります。

こういう時は、近場の低山で適当に茶を濁す日々を送るのもまた、一興と言えるでしょう。行き先に困ったときはとりあえず「丹沢もしくは大月」と言うのが、近年では自分内部でのお決まりのようになっております。
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という事で今回は、山梨県は大月市の高畑山&倉岳山でもって、皆様のご機嫌を伺います。中央本線の鳥沢駅から直接登ることのできる駅チカの山です。

どちらも標高1,000メートル未満の純然たる低山であり、登山道はほぼ全行程が樹林の中に没していて、道中からの展望には恵まれていません。
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この2座、秀麗富嶽十二景に選ばれるだけのことはあって、山頂からは良好な富士展望を得ることが出来ます。出来はするのですが、これには若干の補足事項がありまして。。

この山からは、富士山だけが良く見えます。
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コース
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鳥沢駅からスタートし、高畑山から倉岳山を縦走して梁川駅へと下ります。標準コースタイム5時間ほどの、お手頃な周回コースです。

 

1.高畑山&倉岳山登山 アプローチ編 電車一本で行けるお手軽な山

8時17分 京王線 高尾駅
電車から降り立つなり、目の前にある大光寺の桜が満開に咲いているのが目に飛び込んできました。
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東京都心よりもずっと標高の高い場所なのに、早くに咲いているのは日当たりの問題なのでしょうか。まさに満開の見ごろです。
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桜の撮影に夢中になっていたら、乗車予定だった8時20分発の甲府行きが行ってしまいました。仕方がないので、その次の45分発小淵沢行きに乗車します。朝っぱらから幸先の悪いスタートです。
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本日は時間にたっぷりとゆとりある駅チカ登山なので、乗り遅れても特に神経質になる必要もありません。

9時20分 鳥沢駅に到着しました。
特急の通過待ちが発生してやたらと時間が掛かりました。僅か1~2分の遅れが結局30分以上に遅れに。ぐぎぎぎ。
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目指す高畑山と倉岳山はこの通り、駅のホームから見えます。流石は駅チカの山。
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この山並みは秋山山稜、もしくは前道志山稜と呼ばれています。道志山塊と桂側流域との間に挟まるようにして東西に延びる山並みで、一番高い場所でも標高は1,000メートルを越えません。

遠目には公衆トイレにしか見えない鳥沢駅前で身支度を整えて、9時25分に行動を開始します。
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駅前の桜はつぼみの方が多く、まだまだ咲き始めと言ったところです。ここは高尾からは30kmほど離れた場所ですが、季節の進み具合にはこれだけの違いがあります。
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駅前から国道20号を右折し、道なりに進みます。
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鳥沢小東という信号が現れたら、右折して天井に頭を打ちそうなるガードを潜ります。
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・・・より厳密に言うと、天井に頭を打ちそうになったのではなく、頭を打ちました。まったく、目の前が真っ白になったぜ。
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道の要所要所にこのように大月市恒例の道標が設置されているので、特に迷う要素はありません。
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近づくにつれて倉岳山が徐々に大きさを増して行きます。標高こそさほどないものの、意外と急峻な山容であることが見て取れます。
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駅からは緩やかに下り、橋を渡って桂川の対岸へと移動します。
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この桂川は富士山五湖の一つである河口湖を水源としてます。相模湖より下流は相模川と呼ばれ、河口付近では馬入川と呼ばれます。出世魚ならぬ出世川と言ったところでしょうか。
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橋の上からは遠くに、小金沢連嶺山並みと雁ヶ腹摺山(1,874m)の姿が良く見えました。中央付近に見えている白谷ヶ丸(1,920m)にはまだ雪が残っているらしく、文字通り白く見えます。
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背後を振り返ればそこには扇山(1,138m)(右)と百蔵山(1,003m)(左)の姿が見えました。二座共に秀麗富岳十二景に選ばれてる山です。
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登山口に向かって坂道をえっちらおっちらと登ります。自分で駅チカと連呼しておいてなんですが、言うほど近くはありません。
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10時5分 登山口のゲートまでやって来ました。
この日は偶然にもフルオープン状態でしたが、ゲートが閉じている場合は右端にある通用口の扉を開けて中へ入ります。
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2.高畑山 登頂編 沢沿いの道と急坂を乗り越えて、秀麗な富嶽と対面できる頂へ

なにやら軽トラが複数台停まって作業中でした。ちなみに、この右側に見えているこの土手は小篠(おしの)貯水池の堤体です。
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エメラルドグリーンの湖水をたたえています。この池は、農業用水を供給するために作られた人工のため池です。
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池の脇を過ぎると舗装路は終わり、ようやく山道がスタートします。
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山を越えた向こう側にある秋山地区と往来するため、秋山山稜には複数個所に峠越えの古道が存在します。この地域で暮らすひとにとって、峠越えは日常の一部だったのでしょう。
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ほどなく行く手に、沢と鉄鋼を無造作に並べただけのワイルドな橋が現れました。
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この先しばしの間、道は沢沿いのルートとなります。森の中に反響する水音が実に心地よい。
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言わんとしていることを要約すると「立ちション禁止」。
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水が流れる音と言うのは、なぜこんなにも人の耳に気持ちよく響くのでしょうか。ずっと聞いていたくなるような心地よさです。
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そんな憩いの沢沿いの道も、長くは続きません。沢筋を離れて高畑山方面へと進みます。
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沢から離れるなり唐突に始まる無慈悲な急坂。ここから山頂まで、緩むことのない急坂が続きます。気合を入れて行きましょう。
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ガマが大口を開けているかのような岩がありました。とりあえず高畑パックマン岩と命名しておく。
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杉林を抜けると、周囲は冬枯れの殺風景となりました。標高は700メートルを超えたあたりです。この高さまで新緑前線が登ってくるのはまだ先の事です。
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正面にはこの後、高畑山の次に登ることになる倉岳山がそびえ立っています。割と急峻な山容で、低山らしからぬ貫禄があります。
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前方に平坦な空間が見て来ました。
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11時25分 仙人小屋跡まで登って来ました。
なんでもその昔、この場所に奥さんを亡くされた一人の翁が小屋を建てて住み着き、高畑山の仙人と呼ばれていたのだとか。
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山頂に向かってラストスパートです。目もくらむような急坂が続きます。高畑山には最後まで慈悲はありません。
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急坂を必至になって登るうちに、ようやく山頂が見えて来ました。
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11時45分 高畑山に登頂しました。
きっかり標準コースタイム通りの時間を要しました。このエリアの標準タイムは意外とシビアなようで。
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山頂の様子
そこそこ広い空間ですが、ベンチなどは一切ありません。レジャーシートの持参を推奨します。
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それでは早速、秀麗富岳NO9の光景を見てみましょう。・・・ふむ、確かに見えてはいますが頭付近だけですな。秀麗富岳を名乗るにはやや力不足に感じます。
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アップでもう一枚。冒頭で触れた通り、展望が開けているのは富士山のある方向だけです。
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倉岳山へ向かいましょう。高畑山からは標準コースタイムで1時間ほどの道のりです。
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3.秋山山稜の稜線を歩き倉岳山へ

まずは穴路峠に向かって一度大きく高度を落とします。縦走とはそういうものです。
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道志山塊の先にひょこりと、丹沢最高峰の蛭ヶ岳(1,673m)が頭をのぞかせていました。いつの間にやらまた雪が降ったらしく、山頂部は真っ白です。
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幅も広く歩きやすい稜線です。危険を感じるような箇所はありません。一部急坂はあるものの、初心者向きと言ってしまって差し支えないルートです。
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ほどなく頂上っぽい場所が見えて来ました。
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12時30分 天神山に登頂です。
高畑山と倉岳山の間にある小ピークです。しっかりと地図に記載されているにもかかわらず、その存在を全く意識していませんでした。
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天神山からは、北側の展望が開けます。正面には行きしに背後に見えていた扇山と百蔵山の姿が見えます。
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遠く彼方に見えてるこの雪をかぶった山は、東京都最高峰の雲取山(2,017m)です。奥多摩も標高の高いところはまだまだ雪が残っているようで。
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天神山からさらに高度を落として行きます。
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10分ほど下ったところで、峠が見えて来ました。
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穴路峠(あなじとうげ)に到着です。ここからは登り返しとなります。
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この場所は古くから人の往来のある峠です。昔の人は、隣町にちょっと用事があるだけの時も、わざわざ峠越えをしていたわけです。
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倉岳山に向かって登り返します。遠巻きに見えていた通りのなかなかの急勾配です。
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稜線まで登り着きましたが、まだここは山頂ではありません。この後すこし水平移動が残っています。
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相変わらずの展望皆無な冬枯れの殺風景の中を進みます。やはりこの春手前と季節と言うのは、一年でも最も面白味に欠ける時期ですな。
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今度こそ山頂にたどり着きました。
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13時5分 倉岳山に登頂です。
やはりここでも標準コースタイムきっかりの時間を要しました。意外とタイトなコースタイム設定です。
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倉岳山は山梨百名山でもあります。という事で、毎度おなじみの標識が立っていました。
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山頂の様子
高畑山よりもずっと広く、またベンチも設置されています。山頂でゆっくりと寛ぐのであれば、高畑山よりはこちらを推奨します。
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ここで再び秀麗富岳のお時間です。山頂から富士展望はと言うと、、高畑山から見える姿と大差ありません。まあ、直線距離で1kmくらいしか離れていないので、当然と言えば当然です。
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すこし雲が出て来ましたね。

正面には小金沢連嶺の山並み。そして眼下には、桂川流域の街並みが連なります。
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松の木の僅かな隙間から、奥多摩の大岳山(1,266m)の特徴的な姿が見えました。奥多摩エリアには、正直登ってもあまり楽しくない微妙な山も多々ありますが、この大岳山に関しては間違えなく名峰です。
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4.倉岳山登山 下山編 意外と長い、立野峠からの下山路

13時30分 山頂を辞去し下山を開始します。
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杉が一部伐採された場所があり、山頂からよりもずっと良く北側の展望が開けていました。
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この横に長ーい山は権現山(1,312m)です。この山は奥まった場所にあるため、街道筋からは一切その姿が見えず、この山の存在を認識しているのは付近の山を良く歩くハイカーくらいなものです。
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ややザレ気味の尾根道が続きます。非常にスリップしやすい道なので、ここは慎重に。
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鞍部が見えて来ました。
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13時55分 立野峠に到着しました。
秋山山稜はこの先もずっと続いていますが、キリがないので本日の縦走はここまでです。
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秋山山稜完全縦走もいつかやってみたいですねぇ。笹尾根縦走と同様に、絶対に歩き始めてから後悔するヤツだとは思いますが。

梁川駅に向かいます。道標に小さく「歌いながら歩くと楽しいよ」と書いてありました。それってつまり、歌いでもしながらでないとやっていられないくらい、この先の道は長いうえに辛いってことですよね。
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少し下った所に水場がありますが、完全に涸れていました。
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枯れた沢沿いの道を下って行きます。
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倒木が多くやや荒れ気味の道です。あまりメジャーなルートではないのでしょうか。
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下るにつれて、沢に僅かな水流が見られるようになりました。何度か渡渉を繰り返しながら下って行きます。
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素晴らしい透明度の水です。沢沿いの道と言うのは、歩きにくいけれどそれでも断然楽しいですよね。
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歌わなきゃやってられない程かどうかはさておき、確かにこの道は無駄に長いです。なかなか終わりが見えて来ません。
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峠から下り続けること50分で、ようやく登山口まで下って気ました。またしても標準コースタイムピッタリの時間です。
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林道に出ましたが、当然まだゴールではありません。この後は駅まで20分ほどの舗装道路歩きです。
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山の上の方はまだ冬枯れの中にありましたが、沿道は今まさに春爛漫です。これはヤマブキです。
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これはツルニチニチソウです。もとは外来種ですが、繁殖力が非常に強く、すっかり野生化して日本に定着してしまっています。
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10両編成のオレンジが走っている姿が見えました。あそこまで歩けばゴールです。
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今回はパスした、高柄山へと続く秋山山稜の山並みです。まだまだ未踏のピークが多く残されているので、きっとまた訪れる機会もあることでしょう。
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再び橋を渡って、桂川の対岸へと戻ります。
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橋から見下ろした桂川の峡谷はなかなかの迫力です。高所恐怖症の人であれば、足がすくみかねないくらいの高低差があります。
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最後に倉岳山を振りかり仰ぎ見て、本日の駅チカ登山は終了です。
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15時5分 梁川駅に到着です。
歩行開始から5時間40分ほどのお気楽な行程でありました。
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ちょうど目の前を特急あずさが通過したので、思わず即座に撮り鉄してみる。うん、イマイチですね。
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その後に現れた10両編成のオレンジに乗り込み、帰宅の途につきました。
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駅チカの二つの山を巡るプチ縦走登山はこれにて終了です。
高畑山も倉岳山も、どちらも手軽に登れる良い山ではありますが、眺望の点において言えば、近くにある扇山や高川山などよりは一段劣ると言うのが率直な感想です。さほど秀麗ではない富嶽にも、過剰な期待は禁物です。
峠を越えて登ったり下りたりする縦走登山の気分を味わいたい人におススメです。何れにせよ、1,000メートルに満たない純然たる低山であるため、熱中症の恐怖におびえずに快適に歩くことのできるシーズンは、せいぜいGW頃までだと考えた方が良いと思います。

<コースタイム>
鳥沢駅(9:25)-ゲート(10:05)-地蔵(10:45)-仙人小屋跡(11:25)-高畑山(11:45~12:05)-天神山(12:30)-穴路峠(12:40)-倉岳山(13:05~13:30)-立野峠(13:55)-倉岳山登山口(14:45)-梁川駅(15:05)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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