山梨県の大月市と都留市にまたがる本社ヶ丸(ほんじゃがまる)と清八山(せいはちやま)に登りました。
どちらも大月市選定の秀麗富嶽十二景に制定されている富士展望の山です。
その思わず脱力しそうになる名前とは裏腹に、麓からの標高差1,000メートルオーバーの中々登り応えがある山です。
今回はJR中央本線の笹子駅から、富士河口湖町にある三ッ峠山までを縦断するロングルートを歩いてきました。
2015年7月11日に旅す。
今回の行き先は、大月駅から笹子トンネルへと向かう中央本線の南側に連なる山の一つである、本社ヶ丸です。
この山、Wikipediaに個別ページが存在しない位マイナーな存在です。
そんなマイナーな山に私が目をつけたそもそものきっかけは、何時ものようにエアー登山(ソファーで寛ぎながらぼんやりと山と高原地図を眺める行為を指す)をしていた際に、たまたまこのふざけた個性的な名前を目にして興味を持ったからです。
「ほんじゃがまる」ですよ。
一体どんな山なのか、気になって気になってしょうがないじゃありませんか。
地図を見ると、この山はからは、同じく秀麗富嶽十二景に制定されている清八山を経て、河口湖畔の三ッ峠山まで稜線が繋がっています。稜線上には登山道もしっかり描かれており、長丁場ながら日帰りで踏破することも出来そうです。
そんなわけで、本社ヶ丸から三ッ峠山に至る縦走登山の開始です。
7時40分 JR中央本線 笹子駅
おはようございます。まだ朝早い時間だと言うのに既に気温は25度オーバーです。今日は暑くなりそうです。
笹子駅の周辺には、お目当ての本社ヶ丸の他にも、滝子山や笹子雁ヶ腹摺山といった地味な魅力的な山々が沢山存在します。
まずは駅の脇を線路沿いに西に向かって進みます。砂利道をしばらく進むと入り口が現れました。
大月市恒例の看板があるので迷うことはありません。
水道施設の脇を通って進みます。
写真を撮り忘れてしまったのですが、この直後に分岐があります。分岐を右折して50号送電鉄塔のほうに進むのが正解です。
正面に木橋が見えますが渡ってはいけません。
車道に出ました。山梨県の県営林道黒野田線です。
それなりに苦労して山道を登ってきた後に車道を見ると、なんだかとても残念な気持ちになります。
少し歩くと直ぐにまた登山道が始まります。
山頂で出会った人に聞いた話では、この入り口を見逃して林道を鶴ヶ鳥屋山の方まで歩いていってしまったのだとか。
良く見ていれば見逃すことは無いかと思いますが、林道を歩くのはせいぜい20~30メートルくらいです。行き過ぎないように注意してください。
道はこの後も送電線の巡視路沿いに続きます。
ご覧の通り、このあたりは鉄塔だらけです。
9時30分 角研山(つのとぎやま)登頂
ここまで、急登続きで結構大変です。今日はまだまだ先が長いと言うのに、既にお疲れ気味です。
山頂の様子
展望は全くありません。そして、この季節の登山では仕方の無いことですが、羽虫が異常に多い。
角研山から尾根沿いにしばらく進むと、視界が開けた場所に出ました。
正面に見えているアンテナの立っている山が本日の最終目的地である三ツ峠山です。
ここで、電線マニアにはたまらないアングルのショットを一枚。
そんなマニアが存在するならね。
ここで本社ヶ丸が初めてお目見えです。まだひと距離ありそうですな。
この辺りは本当に電線だらけです。都市圏の境界にあたる場所ですからね。
暑さと、結構な急登続きの道で、結構バテて来ました。
花の撮影を口実にして、しばし小休止を挟みながら登ります。
ちなみに、私の花の知識はほぼゼロです。名前は全くわかりません。
図鑑を持ち歩けば世界が変わるのかもしれませんが。
10時35分 本社ヶ丸に登頂
思いのほか厳しい道でした。本社ヶ丸はふざけた名前の割りは、なかなか手強いヤツです。
毎度お馴染みの、山梨百名山であることを主張する標識。
中央本線沿線の山に登っていると、この標識を割とよく見かけます。
数えたことはありませんが、結構な数の山梨百名山に登っている気がします。
こちらは大月市の秀麗富嶽十二景であることを示す標識。
山頂が都留市と大月市の境界になっている模様。
この不思議な名前の由来は、かつてこの山の中腹に舟形明神の本社(一宮)があったことからだとか。
では早速、山頂からの秀麗な富嶽を見てみましょう。
うーん
見も蓋も無いことを言いますが、雪の無い夏富士と言うのは絵的にイマイチですね。
西側の展望
御坂山地と呼ばれる一帯です。正面の尖がっている山が釈迦ヶ岳(1,641m)で左隣の大きい山が黒岳(1,793m)かな。
あまり特徴の感じられない山並みで山座同定が難しい。
北西方向の展望
右側の鞍部になっているところが笹子峠です。(たぶん)
次なる目的地、清八山に向けて行動を再開します。
本社ヶ丸の山頂直下は切り立った岩場です。
正面は絶景です。むしろ本社ヶ丸の山頂からより秀麗な富嶽の姿が良く見えました。
振り返ってみる岩場。山と高原地図に危険アイコンが書かれている場所です。
慎重に降りれば、特に危険ななことはありません。
この時点でカメラのレンズに汗を垂してしまったらしく、しばらく中心がボヤけた写真が続きます。
この先危険
危険なのはわかりましたが、行き先はどこなのでしょう。
秀麗富嶽十二景の山にある「危険」の立看板は、割とガチで危険なことが多いです。
自信が無い人は、そちらへ進むのは止めておいたほうが無難です。
11時10分 清八山登頂
カメラをポーチから取り出す際に設定のダイヤルを回してしまったらしく、ここからはしばらく白飛びした写真になります。
道標が足元に置いてありました。
夏は良いとして、雪が降ったら見えなくなりそう。
またもや送電線出現しました。この辺一帯は、山梨県の郡内地方と国中地方との都市圏の境界にあたる場所なので、送電網がやたらと林立しています。
大幡山を通過
清八山からここまでは、割と平坦な道のりです。
ここから三ツ峠山に向けて急登が始まります。気温が非常に高かった上に、ここまで結構な距離を歩いてきて完全にばててしまいました。
必死になって登ったのは覚えておりますが、写真が1枚も残っておりません。
そんな訳で突然山頂にワープ
三ツ峠山にはその名の通り3っつのピークがありますがこれはそのうちの一つ御巣鷹山の山頂。
山頂は電話会社の施設に完全に占拠されております。
御巣鷹山から見た三ツ峠山最高峰の開運山。
おおよそ10分くらいで到着します。
御巣鷹山と開運山の間の鞍部にはお花畑が広がっていました。満開のピークは過ぎてしまっているようでどれも萎れつつありました。
13時 開運山に登頂です。
殆ど人と会わなかったここまでの道中から一転、山頂は大勢の登山者で賑わっていました。
日本二百名山に名を連ねる三ツ峠山と、Wikipediaにすら無視される本社ヶ丸とでは、山としての格が違うのでしょう。
ここは富士山の展望スポットなのですが、この時間にはすっかり靄に覆われてしまい全く見えませんでした。
御坂黒岳と釈迦ヶ岳。本社ヶ丸から見たときより、大分近くまで来ました。
山頂には、巨大な電波反射板がありました。
笹子雁ヶ腹摺山にあったのと同様のものですね。
開運山の東側斜面は屏風岩と呼ばれる巨大な岩壁になっています。
ロッククライミングのゲレンデとして非常に有名です。
さて、本日はもうバテバテな上に汗だくです。
一刻も早く風呂に入りたかったので早々と下山を開始します。下山は三ッ峠駅方面に下ります。
その名の通り八十八体の弘法大師像が祭られています。
首がもげている像が結構あったりして、夜中に訪れたらちょとしたホラースポットなのでは無いでしょうか。
続いて馬返しを通過。
日本の山の津々浦々で目にする名称です。ここから先は馬も通れぬ山道だという意味ですかね。
キャンプ場まで下ってきました。
道中殆ど写真も撮らずに黙々と下って来ましたが、この道は結構長く厳しいです。覚悟してください。
三ツ峠山名物のトイレ。
この先はしばらく舗装道路を延々と下ります。既に疲労の極致だった私には最早カメラを取り出す気力もなく、この先は写真が残っておりません。
舗装道路をふらふらと下って、途中にある三ツ峠グリーンセンターと言う施設に寄り、そこで風呂に入りました。確か温泉ではなくただの風呂だったと記憶しています。
風呂に入って幾らか体力を取り戻したところで、駅まで歩きました。
後で知ったことですが、富士急線の発着時刻にあわせて、三ツ峠グリーンセンターから送迎のバスが出ています。
最後に三ツ峠駅から見た三ツ峠山の姿を。
ここから見ると四ツ峠に見えますね。
今回歩いた本社ヶ丸から三ツ峠までの縦走コースは、標準コースタイム10hオーバーのロングルートです。
私は夏の暑い盛りに歩きましたが、これが良くありませんでした。水を3リットルほど携行していましたが、それでも十分とは言えず、途中で完全にばててしまいました。このルートを歩くなら、真夏は避けて、日の長い5月ごろに行くのがベストかと思います。
このルートは基本的に「富士山に向かって歩く」道であるため、展望は非常に素晴らしいです。
あまり歩かれていないマイナーなルートですが、ガッツリと歩く骨太な登山をしたい方には自信を持ってオススメ致します。
<コースタイム>
笹子駅(7:40)-角研山(9:30)-本社ヶ丸(10:35)-清八山(11:10)-大幡山(11:45)-三ツ峠山(開運山)(13:00)-八十八大師(13:50)-いこいの森(15:15)-三ツ峠グリーンセンター(15:45~16:30)-三ツ峠駅(16:45)
標準タイムよりかなり速いペースで歩いています。これが途中でばててしまった要因の一つかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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