天城山 伊豆半島の苔生す森に咲き誇るアマギシャクナゲの群生

天城山のアマギシャクナゲ
静岡県伊豆市、伊東市および河津町にまたがる天城山(あまぎさん)に登りました。
伊豆半島の中央付近に横たわる、伊豆半島の最高峰です。海上に突き出した半島上に位置する山ゆえに、年間を通じて非常に降水量の多い山であり、山全体が苔生す深い原生林に覆われています。この天城の森では、毎年5月の中旬から6月の上旬ごろにかけて、伊豆半島の固有種であるアマギシャクナゲが咲き、それを目当てに多くの登山者で賑わいます。
シャクナゲが咲き誇る、霧の山と苔の森を巡って来ました。

2021年5月23日に旅す。

天城山は伊豆半島の中央付近に連なる古い時代の火山群です。天城山という名称は山系全体を現している呼び名で、天城山と言う名前のピークは存在しません。最高峰の名前を万三郎岳と言います。
達磨山から見た天城山
半島にある山と言う地形上、天城山には周囲の海から発生した湿った空気が多くぶつかります。そのため、年間を通じて非常に降水量の多い山となっています。天城山と言う名称は、雨木が転じたものであるとの説もあります。

黒潮の暖流の影響による温暖な気候と多雨によって、天城山はその山域全体が鬱蒼とした深い原生林に覆われています。霧も発生しやすく、展望には恵まれていない山です。
霧に覆われた天城山の森
展望無しの山であるにも関わらず、天城山が人気の山である大きな理由の一つがアマギシャクナゲの存在です。

アマギシャクナゲは、伊豆半島の山にのみ自生するツツジの仲間です。あまり背の高くならない低木で、一般的なシャクナゲに比べるとやや小ぶりの花を咲かせます。
天城山のアマギシャクナゲ

この時の訪問はシャクナゲシーズンにはまだ少し早すぎて一輪も咲いておらず、見事に空振りと相成りました。そこで今回は、アマギシャクナゲ見物を主な目標に据えての再訪です。

当初の計画では、天城高原ゴルフ場を起点にした周回コースを歩くつもりでおりました。しかしそれでは全く歩き足りないばかりに、結局は勢いでまたもや天城縦走コースを歩きました。
天城山 八丁池

何故か下山を始めた段階から晴れ始めると言う、まるで嫌がらせのような生憎の天気でしたが、幻想的な苔の森とシャクナゲの見物を楽しんで来ました。
天城山のブナ林

コース
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天城高原ゴルフ場からスタートし、最高峰の万三郎岳に登頂します。当初は登頂後に周回してスタート地点に戻るつもりでいましたが、予定を変更して天城縦走路を歩き、天城峠バス停に下山しました。

1.天城山登山 アプローチ編 シャクナゲシーズンで大混雑の天城高原登山口

6時30分 JR品川駅
Shinkansen!伊豆半島は、日帰りのでの訪問先としてはそれなりに遠い場所です。という事で、本日は贅沢に新幹線を使ってまります。
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乗車するのは新幹線界における鈍行列車である、我らがこだま号です。今までのぞみ専用だった新型のN700S系が、いつの間にかこだまにも使用されるようになっていました。
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7時16分 熱海駅に到着しました。東京の上空には青空が広がっていたのに、熱海はどんよりとした曇り空の下にありました
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これは始めから承知の上での訪問です。本日の天城山訪問における主たる目的はシャクナゲであって、眺望ではありません。

なお、晴れていようがいまいが、天城山はもともと展望にはあまり恵まれていない山です。

熱海駅で伊東線に乗り換えます。終点から終点まで乗車しても乗車時間が30分程度でしかない、伊豆半島を走る短い路線です。
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7時49分 伊東駅に到着しました。電車から山登りの格好をした人間が大勢下車してきて、にわかに狼狽しました。これはもしかしなくても、みな目的地が同じなのでは。
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嫌な予感は見事に的中し、天城高原行きのバス停には大行列が出来上がっていました。シャクナゲシーズンの天城山と言うのは、こんなにも人気のある山域だったのですね。。
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幸いにも臨時便が増発されて、何とか座席にありつくことが出来ました。終点の天城高原ゴルフ場までは一時間近い長丁場なので、立ったままなのは辛いと思います。
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このバスはゴルフ場行きのなのですが、見たところ乗客は登山者しかいません。シャクナゲシーズン以外は、また少し状況が異なっているのかな。

8時50分 天城高原ゴルフ場に到着しました。ここまでの運賃は1,020円で、交通系ICカードには対応していません。また、5,000円札と10,000円札の両替も出来ませんので、あらかじめ用意しておきましょう。
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登山者用の駐車場も併設されており、車でお越しの人はここまで入ってこれます。

前述の通り多雨な天城山は、年間を通じてほぼ常に足元は泥まみれです。駐車場にあるトイレの脇に、こうして靴の洗い場が設置されているので戻ってきたらここでよく洗いましょう。
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まあ結果として私は、ここには戻って来ませんでしたがね。

登山口の時点から既に、辺りはすっかりガスの中ですが、まあ気にしません。本日の目的はあくまでシャクナゲ鑑賞にあるのでね。身支度を整えて、9時に登山を開始します。
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2.霧の山と苔の森

しっとりと湿った、冷たい空気に満たされた森の中へと分け入っていきます。ミストウォッシャーで全身を洗われているかのような気分です。つまり、とても気持ちが良い。
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普段はガスッてしまうと悪態をつきはじめる眺望至上原理主義者のきらいがある私ですが、霧の立ち込めた天城の森の雰囲気は、負け惜しみなどではなく本心から素晴らしいと思います。
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この樹皮の無い丸裸なような姿をした木はヒメシャラです。ツバキの仲間で、真夏に花を咲かせます。幹に手で触れると、とても冷たいのが特徴です。
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朽ちた倒木が、隙間なく苔コーティング化されています。多湿な環境ならではな光景です。
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天城山は作家深田久弥が選んだ日本百名山にも選ばれている一座であり、登山者に大変人気の高い山です。やはりオーバーユース気味らしく、このように登山道が大きく抉れてしまっています。
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いつかはこの山も丹沢の様に、土壌保護のため木道だらけになってしまう日がやって来るのでしょうか。

登山道は始めのうちは登り一辺倒ではなく、緩やかにアップダウンを繰り返します。少しガスが晴れて来ましたね。
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渡渉箇所が現れました。木橋などは架かっておらず、ザブザブとダイナミックに横断します。多雨で水が豊富な山だけに、このような小さな渡渉地点はこの先にも何ヵ所か存在します。
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ここからはしばしの間、沢沿いの道が続きます。足元は泥まみれなので、ズボンの裾を汚したくない人はスパッツを履いてきた方が良いでしょう。
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本日は先日新調したばかりの新しい靴の慣らしを兼ねた登山だったのですが、新品の靴を早速泥まみれにしてしまっております。

天城山は奥秩父や北八ヶ岳にも匹敵しうるくらいに、コケマニアにとって垂涎の山かもしれません。
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展望が無いのに人気がある理由の一つが、この水辺の雰囲気の良さなんでしょうね。
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登山道が水没して沢と一体化していました。天城山へ防水性が無い靴を履いて来るのは、やめておいた方が良いと思います。
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やがて登山道は沢から離れ、標高を上げ始めました。いっちょう気合を入れて行きましょう。・・・気合を入れるまでもなく、割とあっけなく登れてしまう山ですけれどね。
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ここに来て頭上に青空が広がりつつありました。これはもしかして、大逆転がある展開なのか。
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この周辺はミツバツツジが見事ですが、もうすでに終わり際のタイミングでした。もう少し標高の高い一帯には残っていてくれるかな。
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割とあっけなく、頂上へと辿り着きました。そして、先ほどの青空は何かの気まぐれだったらしく、再びガスってきました。
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10時15分 万二郎岳に登頂しました。天城山最高峰である万三郎岳の隣に立つ前衛の山です。
万二郎岳の山頂

万二郎岳の山頂には、天城山で数少ない展望の開けるスポットがあります。晴れていれば、ここから海が見えるのだそうです。晴れていれば。
万二郎岳の山頂1
・・・いくら最初から眺望には期待していないと言っても、前回の訪問時に引き続き2回連続でこの有様では、落胆もしようと言うものです。がっくし。

3.天城山登山 登頂編 万三郎岳の周囲に広がるシャクナゲロード

気を取りなおして、最高峰の万三郎岳へと向かいましょう。万二郎岳からは一旦大きく下ります。
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この下り坂の途中に、万三郎岳の姿が良く見えると言うビュースポットの岩場があります。まあ、本日は推して知るべしな状態ではありますがね。
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天気予報によれば、午前中の間に暫しの晴れ間があるはずだったのですがね。もしかして私は、天城山に嫌われているのでしょうか。

すっぽりと霧に覆われてはいるもの、周囲は割と明るくこのガスには大した厚みがないことが窺えます。きっとまた、何かの拍子に晴れることもあるでしょうと期待しておきます。
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この万二郎岳から万三郎岳へと続く尾根は、通称馬の背と呼ばれています。一部に岩場もありますが、全般的に幅が広く歩きやすい尾根です。
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木のトンネルの中を進みます。伊豆半島にある樹木の多くは、このようにやたらとグネグネ曲がっているのが特徴です。多雨であることと、何か関係があるのでしょうか。
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馬の背付付近のツツジも既に終わってしまっており、落ちた花びらの絨毯が出来上がっていました。
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馬の背は決して平坦ではなく、割とアップダウンがあります。岩場では渋滞が発生していました。それにしても、凄い数の人です。よもや、天城山にこれほどの人気があろうとは。
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ここでようやく、本日のシャクナゲ第一号に出会いました。訪問時期が少し遅すぎたのではないかと危惧しておりましたが、まだ沢山残ってくれていました。
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とは言っても、すでに若干萎れ始めておりますね。ギリギリのタイミングの滑り込みセーフだったようです。
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さあここから先は、道の両側をシャクナゲに囲われたシャクナゲロートが始まりますよ。
天城山のアマギシャクナゲ

陽当たりによって開花のタイミングに差があるらしく、標高が同じくらいでも、既に散り始めている木もあれば、まだまだ満開状態のものもあります。
天城山のアマギシャクナゲ

ブナ林が実に見事です。関東地方近郊の山の中では、間違いなく最大規模のブナの森が広がっています。
天城山のブナ林

山頂直下最後の登りです。ここまで緩やかだった分を一気に取り戻すかの如く、割と急です。ここが最後のひと頑張りです。
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シャクナゲ鑑賞を口実にして、しばしの小休止。本日は別に、先を急ぐ旅でもありませんからね。
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最後の坂を登りきると、あまり広くはない山頂に飛び出しました。予想はしていましたが、それにしても凄い数の人です・・・
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11時40分 万三郎岳に登頂しました。ごらんの通り展望は全くなく、どこまでも地味な山頂です。
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標高は1,405メートルです。深田久弥は日本百名山を選ぶ際の基準の一つとして「概ね標高1,500メートル以上」を掲げていますが、天城山はその基準をギリギリ満たしていません。

標高1,500メートル以下なのに百名山に選ばれている山は全部で4座しかなく、残りの3座は筑波山(877m)、伊吹山(1,377m)および開聞岳(924m)です。

何れの山も地域の象徴的な存在であり、例え標高が自ら決めた基準に届いていなくとも、対象から外すことは絶対に出来ないと考えた山なのでしょう。

4.平坦で歩きやすいトレイルだが、延々とひたすら長い天城縦走路

さほど広くもない山頂は、立錐の余地すらもないような状態です。留まっても得るものは何もなさそうなので、早々と山頂を後にします。
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山頂付近のツツジは、今がちょうど見頃のド真ん中でした。今年はツツジの当たり年であるそうですね。
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分岐地点へとやって来ました。ここからスタート地点の天城高原ゴルフ場に向かって周回するのが、当初の計画です。しかし、気分的には全くもってまだ歩き足りません。
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さらに言えば、先ほどからあまりの人の多さに辟易しております。間違いなく混在しているであろう、天城高原ゴルフ場発のバスに乗って帰るのにも、イマイチ気乗りしません。

さてどうするか。今から天城縦走路方面に行く?行っちゃう?

「よーし、行っちゃえー」とばかりに、勢いだけで計画を変更しました。これより天城縦走路へと足を踏み入れます。万三郎岳から天城峠まで続いている縦走路です。
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始めに断っておきますと、この縦走路はひたすら長い道のりです。自分でやっておいて言うのもなんですが、ノリと勢いだけで突撃するのは、あまり推奨いたしません。

分岐からは、一度下った後に緩やかに登り返します。周囲にまったく人影が見えなくなったことに、思わずにっこりです。
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賑やかな山の方が好きだと言う人もいらっしゃるのかもしれませんが、私は基本的に静かな山の方が好みです。こうして道中が貸し切り状態だと、それだけで機嫌が良くなります。

振り返って見た万三郎岳の山頂です。相変わらず、取れそうで取れないガスに覆われていました。
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登り返したところが、小岳と呼ばれている小ピークです。縦走路はここから、一度大きく標高を落とします。
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全般的に平坦で歩き易いトレイルの続く天城縦走路ですが、この小岳の直下だけは割と急峻です。一か所だけロープ場になっている場所もあります。
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急な斜面を九十九折れに下って行きます。踏み跡が好き勝手に幾重も交錯しており、どれ正規のルートなのか少々分かりにくい状態になっていました
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下りきった所に、広々とした平坦地がありました。この辺りは踏み跡がやや不明瞭で、迷いやすそうなポイントです。よく周囲を観察して、踏み跡の気配を感じて下さい。
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13時 戸塚峠に到着しました。急な下りはここまで一旦は終了です。この先は平坦な道となります。
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5.八丁池へと続く長い長いトラバース路

戸塚峠から先の縦走路は、尾根を忠実には辿らずに山腹をトラバースしながら続いています。そのためアップダウンは殆どなく平坦ですが、しかし延々と長いです。天城峠まではこの先まだ10km以上あります。
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天城山にある幹の太いブナの大木は、こうして例外なく表面をコケに覆われています。
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さしものコケも、見た目通りに表面がツルツルヒメシャラには生えることが出来ないらしく、こうしてブナにだけ纏わりついています。

山腹の至る所から水が染み出すウエットな空間です。山と高原地図には特に水場の記載がありませんが、冷たくて美味しい水でしたよ。
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※飲むのであれば自己責任です。

少しだけ視界が晴れて、万三郎岳らしき山頂の姿が見えました。もしかしたら万三郎岳ではなく、手前の小岳かもしれません。イマイチ同定に自信が持てません。
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天気は上向きで、こうして木漏れ日まで差し込み始めました。できれば万二郎岳にいたときに、こうなってほし感たのですがねえ。
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13時30分 白田峠を通過します。特に何かがある訳でもない、縦走路上の通り道です。
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気持ちの良いブナ林の光景が広がりますが、しかしいい加減少しダレてきました。読者の皆様を退屈させるのも忍びないので、少しばかり中略します。
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14時10分 八丁池に横着しました。通称、天城の瞳と呼ばれている池です。この池には流入河川も流出河川も存在せず、周囲からは完全に隔絶されている空間です。
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水辺だから仕方のないことなのかもしれませんが、凄まじい数の羽虫の襲撃に晒されます。もう虫よけが必要な季節になってしまいましたか。
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池の対岸に一本だけあるツツジが、水面に反射して画になる光景を作り出してしました。
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6.圧巻のブナ林が広がる下り御幸歩道

さて、縦走路はこの先の天城峠まで続いてる訳でありますが、過去に一度歩いたことのあるルートなので、本日はせっかくだから違う道を歩いてみようかと思います。
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下り御幸歩道と呼ばれる道を辿り、水生地方面へと下ります。ちなみにこの御幸歩道というのは、昭和5年に昭和天皇が八丁池へと行幸した際に通ったルートです。

何故か写真を撮り忘れてしまいましたが、八丁池の脇にこの行幸を記念する石碑が建っていました。

かつては石畳だったのかなと思わせる、石が散乱した道です。今では荒れ放題で、歩きにくくてかないません。
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石畳跡地帯を抜けると、ブナ林の中に入りました。天城峠方面に比べると、やはり歩く人の数は圧倒的に少ないらしく、踏み跡はやや不明瞭です。
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見上げる高さのブナの巨木が居並びます。これは是非とも、紅葉の頃にも歩いてみたいですねえ。きっと素敵な光景が広がることでしょう。
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しかし、下山も終盤に差し掛かったこのタイミングでお日様が差し込んでくると言うのも、まるで何かの嫌がらせのようですな。
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霧に覆われたブナ林と言うのも、なかなか幻想的で美しくはありましたが、やはりそれでも晴れて木漏れ日が射しこんでくる森の光景の方が、私は好きです。
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そんな癒しのブナ林歩きも、残念ながらあまり長くは続きません。やがて林道にぶつかり、辺りは無粋な杉の植林帯に変わりました。
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林道の脇に東屋の整備された休憩ポイントがありました。ここで、残っていたシャリをすべて胃袋に収めて、気合を入れます。
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この先はもう消化試合です。陽が傾き、西日が差し込み始めた森の中を足早に下って行きます。
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本日はの当初の計画では、シャクナゲ見物をしながら軽く周回するだけのゆるふわな山行きになるはずだったのに、よもやこんな丸一日を費やして歩き通すことになろうとは・・・

舗装された道路まで下って来ました。文明社会への帰還と言いたいところですが、ゴールまではまだもうひと道あります。
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名もなき滝が、道に向かって溢れ出すかのように流れていました。まるで「ここで靴の泥を洗って行きたまえ」とでも言わんばかりのタイミングの良さだったので、その通りにしました。
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ジグザクと大きく九十九折れを繰り返しながら標高を落として行きます。この前方に見えている尾根が、天城峠へと続いている尾根のかな。
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脇の甘くないゲートに行く手を阻まれる。登山者は、このパイプの隙間を通り抜けてくださいと言う案内書きが貼ってありました。
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16時20分 水生地に到着しました。3つの沢が合流する地点となっている場所で、周囲には轟々と大きな水音が轟いていました。なるほど、水が生まれる地だから水生地ですか。
天城山の水生地

小さな東屋の屋根を苔がびっしりと覆っていました。この天城山と言うのは、そこに存在するありとあらゆるものを苔で覆いつくしてしまう環境であるようですな。
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7.天城山登山 下山編 旧天城トンネルを経由して天城峠バス停へ

この水生地の前を横切っている砂利道は、その名も踊子歩道です。かつて伊豆の踊子たちが通った道であることにちなんで付けられた名称です。
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この道は旧天城トンネルへと続いている旧道にあたります。現道は峠の下のもっと標高の低い地点をトンネルで貫いていますが、現在でもこの旧道の方を通り抜けることが出来ます。
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水生地から緩やかに登り返したところで、前方にトンネルが見えていました。
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国の有形文化財にも指定されている天城山隧道です。全長は445.5メートルあり、現存している石造のトンネルとしては国内最長です。川端康成の小説、伊豆の踊子にも登場しています。
天城山隧道

現在の国道の天城山トンネルは、この旧トンネルのほぼ真下を通っています。という事で、トンネル出口の脇にあるバス停をめざして、最後の下りです。
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この現トンネルと旧トンネルをつないでいる登山道は、枯れ沢に沿ったかなり急峻な道です。最後の最後で怪我をしないよう、十分に注意してまいりましょう
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16時50分 天城峠バス停に到着しました。思いがけずに沢山歩きました。まあ、新しい靴の慣らしにはちょうど良かったのか。
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タイミングよく、さしたる待ち時間もなくやってきたバスに乗り込み撤収です。
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こちらのバスは、往路の天城高原ゴルフ場行きのバスの様には混雑していませんでした。やはり、真面目に天城縦走路を歩き通そうと言う人間は、圧倒的に少数派なようで。

帰りは新幹線は使わずに、修善寺駅から延々鈍行列車を乗り継いで、長い長い帰宅の途に付きました。
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ひとこと日本百名山に選ばれている山であると言っても、当然ながらその人気にはバラつきがあります。槍ヶ岳のように、誰もがその名を知っていて競うように登りたかる山がある一方で、「へえ?百名山にそんな山もあったんだ」的な扱いを受ける第二線の山もまた存在します。天城山は、どちらかと言えばその第二線の方に属している山であると言うのが私の認識でしたが、少なくともシャクナゲシーズンに限って言えば、その認識は完全なる誤りでありました。よもや、こんなに混雑する山であったとは・・・
展望もなくどちらかと言えば地味な印象の山であろうかと思いますが、温暖でかつ雨が多い気候によってもたらされる独特の植生と苔の森は、どこか南国的でもあり唯一ここにしかない景観です。森の光景こそが天城山の魅力の源泉であり、この山へのベストな訪問時期は間違いなく新緑シーズンか、もしくは紅葉の頃であろうかと思います。冬に歩いても、恐らくはまったく楽しくないことでしょう。

<コースタイム>
天城高原ゴルフ場(9:00)-万二郎岳(10:15~10:25)-万三郎岳(11:40)-小岳(12:30)-戸塚峠(13:00)-白田峠(13:30)-八丁池(14:10~14:30)-水生地(16:20)-天城峠バス停(16:50)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. KAZU より:

    はじめまして。
    ランキングから来ました。
    コロナ渦で外出ができないので、これだけ写真を載せていただけるといった気分になって、リラックスできます!

  2. たむ より:

    ランキングから来ました、よろしくお願いします。
    綺麗な写真が多くて見ていてワクワクしました
    コケの砂防ダムは絶妙な写真ですね
    晴れていればよかったのでしょうが?凄く綺麗な写真が多く楽しかったです。

    • オオツキ オオツキ より:

      たむさま
      コメントをありがとうございます。

      あの砂防ダムは登山道に入ってすぐの場所にあるので、とても印象に残りやすい場所だと思います。天城山はなかなかスッキリとは晴れてくれない山ですが、一度くらいは晴天の日に海を眺めてみたいものです。