御座山 シャクナゲと苔生す原始の森の中に佇む佐久の幽境

御座山の山頂
長野県北相木村(きたあいきむら)と南相木村(みなみあいきむら)の境界にある御座山(おぐらさん・おぐらやま)に登りました。
長野県東部の関東地方と中部地方の境界に位置している深山です。山麓の一帯は鬱蒼とした深い原生林に覆われていますが、山頂付近には岩壁が屹立しており、ほぼ全方位に視界が開けている好展望の頂です。また、6月上旬から中旬頃にかけてシャクナゲが見頃を向かえます。
遠路はるばる、かつては幽境と呼ばれた深山を巡って来ました。

2021年5月28日に旅す。

御座山は、長野東部の奥秩父山塊と八ヶ岳の間に挟まれた一帯に立つ独立峰です。周囲にある山々よりも頭一つ抜けた標高を持つことから、遠目にも目を引く存在です。
天狗山から見た御座山
私がこの山の存在を認識した直接のきっかけは、日本百名山の著者である深田久弥が、「我が愛する山々」と言うエッセー集の中で、御座山への訪問記を取り上げていたからです。

曰く人気の山の喧騒を避けるべく、避暑ならぬ避衆登山をする目的で、ほとんどその名を知られていないこの山へ訪れたと。

御座山には以前より強い興味を持ちつつも、公共交通機関によるアクセスの悪さもあって、これまでずっと後回しにしていました。

しかしよくよく調べるうちに、何とか日帰り登山も出来そうな目途が立ったことから、今回満を持して訪問してきました。

深田久弥が訪問した当時の御座山は、それこそまともな登山道すら存在しないような深奥幽玄の地にある山でした。現在ではしっかりと一般登山道が存在しますが、それでも今なお秘境めいた深山であることに変わりはありません。
御座山 山口コースの原生林
御座山の麓には、深い苔に覆われた原始の森が広がっていました。

この時期の御座山を語る上で忘れてはならないのがシャクナゲです。白岩コースと呼ばれる御座山の北側一帯に、大規模な群生地が存在します。
御座山のシャクナゲ
普段は人影疎らのマイナーな山である御座山ですが、シャクナゲの咲くシーズンに限り、そこそこの賑わいを見せます。今回の訪問時は、満開にはまだ少し早い状態でしたが、それでも十分に目を楽しませてくれました。

岩場の山頂からは、信州東部に連なる山並みを一望する大パノラマが広がります。まずまずの天気にも恵まれた、爽快なる一日でした。
御座山山頂からの展望

コース
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北相木村村営バスの山口公民館バス停よりスタートし、御座山に登頂します。下山は白岩バス停へと下る周回ルートです。

1.序章 御座山登山 計画編

御座山は決して交通アクセスが良好とは言い難い、信州東部の山間部に位置している山です。そのため、登山口へはマイカーによるアクセスが最も一般的です。

本数はかなり限られてはいるものの、JR小海線から出ている村営バスを利用することにより、一応は公共交通機関によるアプローチも可能です。
小海駅の村営バス乗り場
当初はバスの時間的に、前日の内に現地へ前乗りしないと日帰り登山は厳しいものと考えていました。清里辺りに一泊してから登ろうかと。ですが、実は都内発であってもギリギリ日帰り登山は可能です。

かつては道らしい道もない深山であったと言う御座山ですが、現在は山頂に至るコースが4本存在します。北相木村側から登る山口コース、白岩コースおよび長者の森コースと、南相木村側から登る栗生コースです。
御座山の登山コース
マイカーによりアプローチする場合は、キャンプ場に付随する無料駐車場が利用可能な、長者の森コースを歩くのが最も一般的です。登山道はよく整備されていて不明瞭な場所もなく、山頂まではおよそ3時間30分程の道程です。

ただし、北相木村の村営バスは長者の森まで乗り入れていないため、公共交通機関の利用を前提とした場合、このルートは利用できません。

山頂までのコースタイムが最短なのは、南相木村側から登る栗生コースです。こちらにも小規模ながら無料駐車場が存在し、マイカーと村営バスのどちらでもアクセスが可能です。ただし、バスの本数は非常に少ないです。

バスの利用を前提としたときに、栗生コースに次いでコースタイムが短いのが白岩バス停からスタートする白岩コースです。
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こちらのルートは途中で長者の森からのルートと合流し、シャクナゲ群生地の只中を突っ切って山頂に至ります。

当初私は、栗生コースから登り白岩コースで下山する、南北縦断の行程を計画していました。

しかしながら、自宅から始発電車を乗り継いで行っても、栗生バス停に降り立つことが出来るのは最速でも10時30分になります。登山開始の時刻としてはいささか遅すぎる時間です。

そこで今回目を付けたのが、山口公民館前バス停から登る山口コースです。こちらは山と高原地図上では破線の扱いになっているルートですが、最速で9時20分に現地へ降り立つことが出来ます。
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どうやらかなり踏み跡が不明瞭な道であるようですが、しかしかえってその方が、深田久弥が登った当時の御座山に近い雰囲気を感じることが出来るのではないかなと期待した次第であります。

なお、このアプローチに使用する北相木村と南相木村の村営バスは、もともと地元の方々の通勤通学のためのバス路線であるため、日曜祝日の運行本数は非常に少なめです。

よって公共交通機関利用による御座山登山は、平日か土曜日に計画することを強く推奨します。また訪問の際は、必ず最新の時刻表をよく確認してください。

なにしろ時間を潰せるような商業施設は何一つ無い場所なので、帰りのバスを乗り逃すと悲惨なことになりますから。。

2.御座山登山 アプローチ編 新幹線で行く信州東部地域への遠き道のり

6時18分 JR東京駅
本日の目的地はなにしろ遠い場所です。現地へのアプローチは極めてギリギリかつ綱渡り的なものとなります。まずは北陸新幹線はくたか号で、佐久平駅へと向かいます。
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ああちなみに、本日は振休を頂戴しての平日登山です。

7時43分 佐久平駅に到着しました。軽井沢の隣の駅です。降り立つなり、高原地帯特有のカラッとした涼しい空気が出迎えてくれました。
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お次は小海線に乗り換えるのですが、少し待ち時間があるので、テラスからの光景を眺めてしばしの小休止です。目の前に八ヶ岳連峰の山々が居並んでいました。
佐久平駅から見た八ヶ岳
それにしても、この素晴らしき眺めをすべて台無しにしてしまう、イ〇ンの看板の破壊力よ。

ここで一つどうでも良い豆知識を披露しておきますと、北斗の拳の原作者である武論尊氏は長野県の佐久市出身です。
佐久平駅のジャギ
その縁により、令和元年5月に開催された佐久バルーンフェスティバルと言うイベントで、北斗四兄弟の気球がお披露目されたのだとか。

・・・しかし、ケンシロウやラオウには目もくれずに真っ先にジャギだけを写真に撮るあたり、我ながらひねくれてますな。俺の名前を言ってみろ~

駅の北には、圧倒的な存在感でもって浅間山(2,568m)が佇んでいました。いつ見てもでっかい山ですな。
佐久平駅から見た浅間山

そろそろ良いお時間なので、小海線のホームへと向かいましょう。新幹線の改札からは少し離れた場所にあります。
小海線の佐久平駅

そしてなんのことは無い。八ヶ岳の姿は小海線のホームからが一番よく見えます。ここからなら、イ〇ンの看板には邪魔されません。
佐久平駅の小海線ホームから見た八ヶ岳

八ヶ岳の右脇には、ちょこっとだけ北アルプスの山並みまが見えました。こちらはまだまだ残雪がたっぷりで、白く染まった姿のままです。
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8時5分発の小海行き乗車します。世にも珍しいハイブリット気動車であるキハE200形がやって来ました。現在小海線でしか使用されていないレアな車両です。
佐久平駅に入線する小海線キハE200形
そして、車内はまさかの超満員でした。小海線が混むと言うイメージは全くありませんでしたが、平日の朝夕は通学客でかなり混雑します。

そんな混雑もつかの間の事です。学生たちが一斉に下車すると、車内は貸し切り状態となりました。
キハE200形の車内

8時49分 小海駅に到着しました。路線の名前の由来にもなっている、八ヶ岳の山麓にある小さな集落です。
小海駅のホーム

小海駅からは、小海町、北相木村および南相木村の公営バスが運行されており、時刻表もこのように3つ並んでいます。これから乗車するのは北相木村の村営バスです。
小海駅のバス乗り場

バスは時刻表通りにやって来ました。9時ちょうど発の、山口公民館行きのバスに乗車します。
北相木村の村営バス
ちなみに、佐久平駅からではなく小淵沢駅方面からやってきた場合、小海駅に到着するのは8時58分です。このバスへの乗り換え時間はわずか2分しかないので、素早く移動しましょう。

9時18分 山口公民館前バス停に到着しました。自宅からは実に、およそ4時間30分をかけてのアプローチでありました。始めから分かってはいた事ですけれど、やはり遠いいですな。
北相木村 山口公民館前バス停
小海駅から公民館までの村営バスの運賃は、驚くなかれ百円です。生活路線であることから、何らかの補助金が注入されているのでしょう。

個人的に、私のような部外者からはもっと徴収しても良いと思うのですけれどね。

3.エゾハルゼミが大合唱する中を歩む、登山口への道程

さて、バス停に到着して早々ですが、目的地とは反対方向へ少し戻ります。引いた位置から御座山そのものの姿を眺めるためであることは、言うまでもありません。
山口公民館前から見た御座山

こちらから見るとまるで双耳峰のようにも見えますが、山頂は左側の方です。山頂直下が切り立った岩壁になっているのが、ここからでも何となく見て取れます。
山口公民館前から見た御座山

身支度を整えて、9時25分に登山を開始します。登山口までは、およそ1時間ほどの林道歩きです。
山口の御座山登山口1

道の両脇に畑の広がる、長閑な里山そのものと言った風情の光景です。北相木村は風光明媚なところですな。
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破線ルートという事なので身構えておりましたが、道標はしっかりと整備されています。
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背後には北八ヶ岳の山々が見えます。八ヶ岳は信州側から見るとあまり標高の高く無い山のようにも見えますが、それは単に現在地の標高自体が高いからです。
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前方の視界が開けました。辺りには高原野菜の畑が広がっていました。
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土壌保護のためなのか、高原野菜畑の土にはビニールかかぶせられています。山の上から見た時に、まるで畑に雪が積もっているかのようにも見えて不思議に思っていましたが、これがその正体でした。
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御座山に向かって、道が真っすぐ一直線に続いています。山頂の上空には、どんよりとした雲がかかりつつありました。
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本日の天気予報によれば、ちょうど御座山の上空を境にして、長野側は晴れて群馬と山梨側は曇るという事になっております。今のところは、予報通りの空模様となってるようです。

木漏れ日が射しこむ森の中には、エゾハルゼミの大合唱が響き渡っていました。もうそんな季節になりましたか。季節が移ろうのは早いものです。
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朽ち果てた車が、森の一部になりつつありました。相当古い年代の車のように見えますが、いつからここに放置されているのでしょうか。
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小さな沢に沿った、一面がシダに覆われたウェットな空間です。
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途中に何ヵ所か分岐がありますが、分岐には必ず案内があるので、その導きに従えはまず迷うことは無いと思います。
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道の復旧工事を実施中であると言う案内が現れました。通行止めの扱いはなっていないものの、この工事は登山道に直接被る場所で行われていました。
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10時20分 山口コース登山口に到着しました。林道はさらに奥へと続いていますが、ここを右に入ります。だいぶ文字がかすれておりますが、道標の案内もありました。
御座山 山口コース登山口

4.佐久の幽境と呼ばれた山に広がる、苔生す原始の森

本日は平日であるので、当然ながら道の復旧工事が現在進行形で行われている最中でした。工事の邪魔にならないように、道の脇を大きく迂回して進みます。
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道なき斜面を迂回したところで、前方に目印らしきピンクテープが現れました。ここが本来の取り付きであるようですな。
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ここもかつては林道であったことを思わせる、轍の跡が残る道が続いていました。
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傾斜はさほどきつくもなく、至って緩やかな登りです。もっともそのツケは、最後の最後に急登でもって贖う事になるわけですが。。

至る所が大きく洗堀されており、すでに車道としての機能は失われて久しいようです。路面は荒れ放題で、何気に歩きにくい道だと言えます。
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荒れ放題の一帯を抜けると、周囲がカラマツ林に変わり道の状況が大きく改善されました。なるほど、カラマツ林を植樹するために切り開いた道だったのかな。
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路面は既に多くの植物によって侵犯されつつあり、自然に還りつつありました。もとをただせば、侵犯していたのはむしろ道の方な訳ですからね。
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やがて林道跡は終わり、周囲が自然林に変わりました。見方によっては、ここからが本当の登山開始だとも言えるかもしれません。
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足元がびっしりとコケに覆われた原始の森です。隣接しているだけに、奥秩父や北八ヶ岳の森とよく似た雰囲気です。
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地図には、涸れ沢の左岸に沿って進むとの記述があります。前日が雨であったためか、沢は涸れておらず結構な量の水の流れがありました。
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それにしても、この苔の森の雰囲気は実に素晴らしい。奥秩父が好きな人には、確実に刺さる山だと思います。
御座山の原生林

一応は踏み跡らしきものがあるにはありますが、徐々に心許なくなってきました。ようやく破線ルートらしくなってきましたぞ。
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途中で枯れ沢を渡ります。目印があるので見落とさなければ問題ありませんが、渡渉があるという事実をあらかじめ知っていないと、迷うポイントかもしれません。
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進むにつれて地面を覆うコケが深くなり、それに従って踏み跡がさらに分かり難くなってきました。
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基本的にはずっと谷筋ですが、いくつか紛らわしい支谷もあるので、迷い込まないように周囲をよく観察しながら歩いてください。

山口ルート上に滑落の危険がある様な場所は基本的にありませんが、一か所だけ涸れ沢にダイナミックに登山道が寸断されている場所がありました。
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お助けロープが垂らされているので、それを頼りに沢へ降りて横断します。崩落は現在進行形で進んでいるので、状況をよく確かめてから慎重に横断してください。
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山頂直下の岩壁が、いつの間にか目の前にありました。ここから見上げると、とても登れそうには見えませんが、右側から尾根沿いに大きく回り込んで行きます。
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稜線に近づくにつれて、徐々に傾斜が増してきました。この山口ルートは、前半が緩やかだった分、最後の最後に一気にその分を取り返しに来ます。
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道の上にまでびっしりと苔が生えており、足の踏み場に困ります。このルートを歩く入山者それだけ少ないという事なのでしょう。
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実際この後にメジャーなルートと合流するまでは、他の登山者に一度も遭遇しませんでした。なんだ、現在でもしっかりと避衆登山が出来るではありませんか。

最後の方には、かなりエグイ急登が待っていました。あらためて地図を見ると、確かに等高線の密度が凄いこといなっておりますな。
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息も絶え絶えに急登を登るうちに、ようやく稜線が見えて来ました。
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12時30分 稜線まで登って来ました。ここでメジャーなルートである栗生コースと合流します。
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5.御座山登山 登頂編 岩の山頂から広がる、信州東部の大展望

ここまで来れば、山頂まではもうあと一息です。メジャーなルートと合流したことにより、道の状態は明瞭となりました。
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周囲がシャクナゲの藪に変わりました。まだ開花前線は山頂付近の標高にまでは達していないらしく、咲いている花の姿は見当たりません。本命はここではなく、下山路の白岩コースの道中です。
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大きな岩壁が立ちはだかりますが、ここを登れなどとは言われないのでご安心ください。裏側から回り込みます。
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やがて前方に小屋が現れました。御座山の山頂直下に立つ避難小屋です。
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ちょっと中を拝見。トイレはありませんが、内部は清潔に保たれており快適そうな小屋です。
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それよりも、ザックが山ほど並んでいることが気になります。つまりは、それだけの人が今現在、山頂に居るという事なのでしょうか。今日は平日なのに?

小屋の裏手がすぐ山頂です。山頂の直下はこの通り断崖絶壁なので、くれぐれも足元には要注意です。
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足元にイワカガミが咲き始めつつありました。何気に、今年になって始めて目にしたイワカガミではなかろうか。
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12時50分 御座山に登頂しました。厳密に言うと山頂はこの先なのですが、先客が大勢いるため一旦はここで待機です。
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この大勢の先客の正体は、地元の小学生達でした。どうやら遠足で来たようです。

6.御座山山頂からの展望

御座山の山頂は、ほぼ全方位に展望が開けています。山頂が空くのを待つ間に、ゆっくりとあたりの景色を眺めてみましょう。

正面には、南北30kmに渡って連なる八ヶ岳連峰の山並みが、隅から隅まで全部見えます。御座山が最高の八ヶ岳展望台の一つであることは間違いありません。
御座山から見た八ヶ岳

南に目を向けると、つい3週間ほど前に登ったばかりの天狗山(1,882m)と男山(1,851m)の姿がありました。あの場所から御座山の姿を眺めて「これは是が非でも登りに行かなくては」と思ったのが、今回の訪問のそもそもの発端でありました。
御座山から見た天狗山と男山

背後には奥秩父山塊の山並み。天気予報の通り、こちらはどんよりとした曇り空に覆われつつありました。
御座山から見た奥秩父山塊

足元には、今日ここまで登て来た山口コースの全容がすべて見えています。この谷を延々と登って来た訳です。
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八ヶ岳の右手には、北アルプスこと飛騨山脈の山並みが、まるで壁のようにして並んでいます。
御座山から見た飛騨山脈

山頂に居合わせたおじさんが「槍ヶ岳が見える」と言って指さしていたのを、「本当に?」と半信半疑で聞いていましたが、帰宅後に確認したらしっかりと写っていました。
御座山から見た槍ヶ岳
とても目の良いおじさんだったようですね。そして、疑ってごめんなさい。。

こちらは後ろ立山連峰の山並み。鹿島槍ヶ岳(2,889m)から白馬岳(2,932m)に至る山並みです。これだけ遠いと、山座同定にイマイチ自信が持てませんが。
御座山から見た後立山連峰

北には朝に佐久平駅からも良く見えていた浅間山です。この山は周囲の山よりもひと際大きいため、遠くからでも簡単に見つけられます。
御座山から見た浅間山

北東には、西上州と呼ばれる群馬県南西部の山々を一望出来ます。妙義山(1,103m)を始めとする、険しい岩山が多数存在することで知られている領域です。
御座山から見た西上州

さらに東に目を向けると、秩父の両神山(1,723m)の姿がありました。深田久弥の一行は、日向大谷からスタートして両神山を越え、まる4日かけて御座山まで縦走したのだとか。
御座山から見た両神山
何とも羨ましい話です。私も一度くらいは、そんな冒険的登山をしてみたいものです。

これは秩父のクレイジーマウンこと二子山(1,166m)ですね。かなり異様な姿をしているため、遠くからでも良く目立ちます。
御座山から見た二子山
こうして見ると、長野県東部と言うのは、直線距離で言えば秩父からはさほど遠くはない場所なんですね。まあ、その間には人影疎らな深い山岳地帯が横たわっているわけですが。

小学生たちが引き上げたとろで、ようやく最高地点に立てました。うん、良い眺めだあ。
御座山の山頂

ではあらためまして、山頂からの展望です。予報の通り、本当に御座山の上空が天気の境界になっていました。
御座山からの展望

7.白岩コースのシャクナゲロードを下る

13時35分 名残惜しくはありますが、山頂を辞去して下山を開始します。なにしろ、バスの本数が極めて限られているのでね。
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避難小屋まで戻って来ました。登って来た山口コース方面には戻らず、白岩コース方面へと進みます。
御座山の避難小屋

特に道標などはありませんが、白岩コースの登山道があるのは避難小屋の裏手です。栗生側から登って来た人には、少々わかりにくいかもしれません。
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山口コースとは違って、明瞭明快な至って普通の登山道です。歩きやすい道ですが、しかし普通過ぎてやはり深山の趣は感じられませんな。御座山らしさを一番味わうことが出来るのは、実は山口コースなのかもしれません。
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やがて前方に、大きな登り返しが立ちはだかりました。その名も前衛峰と言う、実にそっけない名称のピークです。登山道はこのピークを乗り越えていきます。
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前衛峰との鞍部まで下って来ました。道標に下新井登山口への分岐の案内がありますが、この道は現在既に廃道状態であるようです。
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前衛峰への登り返しは、ちょっとした岩場になっています。手がかり足掛かりはしっかりとあるため、特に難しい要素はありません。
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咲いているシャクナゲの姿をチラホラと見かけるようになりました。本命はこの先の、前衛峰からの下りです。
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再び岩場です。クサリやロープなどの補助は無いので、慎重に参りましょう。
御座山 白岩コースの岩場

前衛峰から見た御座山の山頂です。北側からでは岩壁の部分が見えないため、いたって普通な地味山にしか見えませんな。
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14時5分 前衛峰に登頂しました。三角点がポツンとあるだけの、なにもないただの通り道です。
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ここから、ようやくお待ちかねのシャクナゲロードが始まります。
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まだ咲き始めらしく、ポツポツと疎らに咲いていました。最盛期に訪れればさぞや華やかなのでしょうけれど、それなりに混みあうようなので、避衆登山を洒落込むには不適格な訪問時期かもしれません。
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14時30分 開けた場所へと出ました。見晴台と呼ばれている地点です。
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肝心の見晴らし方はと言うと、北八ヶ岳がチラッと見えるだけです。ここはあまり期待しない方が良いでしょう。
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8.御座山登山 下山編 高原野菜畑を抜けて、白岩バス停へ

さて、もう時間もだいぶ押してきていることであるし、ここからは少しばかりペースを上げて行きます。
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快調にサクサクと飛ばして、長者の森コースとの分岐地点まで下ってきました。白岩登山口に向かうには、ここを左前方に進みます。
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長者の森コースと袂を分かつなり、道の状態が目に見えて悪くなりました。山口コースほどでは無いものの、この道もまたあまり多くは歩かれてていないようですな。
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15時10分 白岩登山口まで下って来ました。下山完了と言いたいところですが、バス停まではまだもうひと道あります。
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高原野菜畑の只中を突っ切る農道に沿って、集落のある谷底を目指して下ります。この農道は結構な急勾配で、白岩バス停側から登る場合は、初っ端から辛い登りが始まります。
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畑の畦に、今頃菜の花が咲いていました。高原地帯だけに、下界とでは季節の移ろう速さがかなり異なっているようで。
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その後も延々と農道を下り続けて、16時5分に白岩バス停に下山しました。最後の舗装道路歩きが地味に長かった。
北相木村の白岩バス停

16時25分発の、小海行きのバスに乗車します。ちなみにこの便を乗り逃してしまうと、次は18時23分発の最終便までありません。
北相木村の村営バス
バス停の周囲には、商店はおろか自動販売機すらないので、長く待つことになると辛いと思います。間に合うように気張って歩きましょう。

バスの車窓から、遠ざかって行く御座山へ別れを告げます。さらば御座山、素晴らしき一日をありがとう。
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帰りは小淵沢を経由して、鈍行列車でゆっくり帰ろうかななどと考えておりました。しかし小淵沢方面への列車とは乗り継ぎ悪く、1時間近い待ち時間が発生するようだったので、佐久平方面の車両に乗車しました。
小海駅のホームに停車するキハ110系

結局は行きも帰りも新幹線利用のお大臣登山になってしまいましたな。かかった交通費は大きかったですが、しかし満足度の高い一日でありました。
佐久平駅の上り新幹線ホーム
心地よい疲労感と共に、快適な新幹線のシートに揺られて帰宅の途に付きました。

新幹線までを動員して遠路はるばる敢行した御座山登山は、こうして大満足の内に幕を下ろしました。
山のすぐ袂にまで道路が拓けている現在において、深田久弥一行が登った当時のような深山の趣はすでに大多数が失われてしまってはいますが、しかしそれでもこの山が放ついぶし銀のような魅力は今もなお健在です。時間の都合だけで消去法的に選んだ山口コースでしたが、そこで目にした原始性の高い苔の森の光景は、この山がもつ本来の姿に最も近いものだったのではないかと思います。
御座山は紅葉も素晴らしいと言う話を耳にするので、季節を変えていつかまた再訪してみたい所です。決して気軽に訪れることの出来る山ではありませんが、その手間に見合うだけの文句なしの秀峰であると思います。

<コースタイム>
山口公民館前BS(9:25)-山口コース登山口(10:20)-御座山(12:50~13:35)-前衛峰(14:05)-見晴台(14:30)-白岩登山口(15:10)-白岩BS(16:05)

210528御座山-101

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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