神奈川県相模原市にある南山(みなみやま)に登りました。
神奈川県の水瓶、宮ヶ瀬湖の傍らに立つ山です。相模原市によって尾根沿いのハイキングコースが整備されており、宮ヶ瀬ダムのダム観光やあいかわ公園への訪問とあわせて、手軽に登れる山として人気のある一座です。
生憎の曇天なった週末に、近場の山でお手軽なハイキングをしてきました。
2021年1月17日に旅す。
南山は宮ヶ瀬湖の北側に連なる、標高500メートル少々の山です。湖を望む南側が広く伐採されており、低山ながらも良好な展望を得ることが出来ます。
なお、宮ヶ瀬湖周辺の山域は、丹沢山地でも指折りのヤマビル大量出没地帯となっております。そのため、南山訪問のベストシーズンは間違いなく冬です。間違っても梅雨時に歩こうとなどとは思わない方が良いでしょう。
いくらお手軽ハイキングとは言え、南山単体ではコースタイム的に少々物足りない感じもします。そのため当初は、宮ヶ瀬湖の遊覧船ミーヤ丸への乗船をセットにしようと考えておりました
しかし、生憎とミーヤ丸は運休中でありました。そんな訳で、南山のみをスパッと軽く登って来た記録です。
1.南山登山 アプローチ編 ドウダンツツジの名所、鳥居原園地
9時49分 京王線 橋本駅
さて、本日の予定はコースタイム短めのゆるふわな登山であるため、朝は比較的ゆっくりと始動しました。
どうでも良い豆知識を一つ披露すると、京王線の橋本駅は外壁自体で屋根を支える、いわゆる体育館型の構造をしており、ホーム上に柱がほとんど無いのが特徴です。
鳥居原ふれあいの館行きのバスに乗車します。終点まで乗車となるため、乗車時間は結構な長丁場となります。トイレは事前に済ませておきましょう。
他の乗客は一人もおらず、完全なる貸し切り運行でした。私一人だけのためにすまんのう。
10時43分 1時間近い乗車時間を経て、鳥居原ふれあいの館バス停に到着しました。
バス停の名称になっている鳥居原ふれあいの館と言うのは、地元の物産品を扱っている市営の施設です。この日は、緊急事態宣言の発出に伴い休館中でした。
せっかくの機会なので、登山口へ向かう前に少しばかり鳥居原園地を見物して行くことにしましょう。
鳥居原園地は、宮ヶ瀬湖の湖畔に造成されている庭園で、ドウダンツツジの花壇が有名です。宮ヶ瀬湖遊覧船ミーヤ丸の乗り場もあります。
小高い丘の斜面上にあり、宮ヶ瀬湖を正面に望むことが出来ます。宮ヶ瀬湖は山に囲まれた複雑な形状をした湖なので、ここからは一部分が見えると言うだけで全体は見えません。
岬の先端まで行けるようなので、とりあえず行ってみましょう。本日は別に、先を急ぐ旅でもないのでね。
右手には、宮ヶ瀬湖のシンボル的な存在である虹の大橋が見えました。右下の方に見えているはしけのようなものが、ミーヤ丸の乗り場です。
当初は南山に登った後に、ミーヤ丸に乗船してここへ戻って来る周回コースを考えていました。しかし残念な事に、ミーヤ丸は現在運休中となっています。
運休の理由は緊急事態宣言によるものでは無く、機関の故障であるとのことです。エンジンが壊れちゃったのね。
まだ薄っすらと雪の残っているこの山は、丹沢最高峰の蛭ヶ岳です。蛭ヶ岳はどこから登っても遠いい山深い場所にありますが、宮ヶ瀬湖からだと比較的近く見えます。
鳥居原園地名物の花時計です。単なる時計風のオブジェではなく、ちゃんと正しい時間を刻んでいました。
岬の先端まで来ましたが、まあ特に見える光景に違いはありません。東屋がありますが、ここでものを食べているとトンビに襲撃されることが多いそうなので、頭上にはご注意ください。
宮ヶ瀬湖の湖水は、非常に強く青味がかって見えるのが特徴です。かの有名な玄倉川のユーシンブルーとは水系が異なりますが、丹沢山地を流れる川全体に共通して見られる傾向です。
色がついて見える理由は、酸性度だとか微生物の量だとか様々な要素が複雑に絡み合った結果であるとかなんとか。つまり、良くわからないという事です。
この丘全体を埋め尽くしている花壇は、すべてドウダンツツジです。割と地味な花で、満開時であってもあまり華やかさはありません。真っ赤に紅葉するので、紅葉時期の方が見栄えがするかもしれません。
2.権現平へと続く、地味山を画に描いた如き道
11時20分 寄り道はこれ位にして、そろそろ本題に入りましょう。これから歩く南山を越える道は、相模原市の手によって遊歩道として整備されています。
登山口は鳥居原園地からは少し離れた場所にあります。道標の導きに従って、道なりに進みます。
南山登山口に到着しました。時刻は間もなく正午になろうと言う時間に、遅い登山開始です。
今から登ろうとしている南山ですが、丹沢山地でも指折りのヒル山として名高い場所です。流石に今の季節には出没しませんが、登山口には忌避剤が置いてありました。
入口からいきなり木ハシゴと急階段の洗礼です。遊歩道と名乗っていますが、実態としては登山道です。スニーカーで歩くのは止めておいた方が良いと思います。
入口の急な階段を乗り越えると、後はごく普通の尾根道となります。地味山を画に描いたのか如き、華やかさが皆無な光景が続きます。
尾根を忠実に辿るため、登り一辺倒ではなく割と小刻みにアップダウンがあります。
やがて前方に、送電鉄塔が現れました。こと低山歩きにおいては、鉄塔のある所に好展望ありです。さあ、どんな光景が見えるのでしょうか。
眼下に宮ヶ瀬湖が見下ろせました。上から見ると、湖水は青と言うよりは緑味がかって見えます。
湖を挟んだ向かいにあるこちらの山は高取山(706m)です。最近のご当地アルプスブームに乗っかり、お隣の仏果山と合わせて相州アルプスを名乗っています。
先へ進みましょう。道の脇に延々と鹿よけの柵が続いるあたりは、いかにも丹沢らしい光景です。
登り切ったところにトイレがありました。山中にこんなものまであるとは、遊歩道を名乗っているだけあって、かなりお金をかけて整備されておりますな。
なおこのトイレ、冬期は凍結防止のため使用禁止です。扉も施錠されていました。
東屋のある場所まで登って来ました。人為的に伐採されたらしい、広々とした空間です。
12時15分 権現平に到着しました。疎らに植わっているこの木は、見たところ桜のように見えます。春先に訪れれば、きっと壮観な場所なのでしょう。
生憎と本日は、冬枯れと曇天の組み合わせによる地味極まりない光景ですがね。
ひな壇式の立派な展望台がありました。正面に見えているのは横浜方面の光景です。
足元には宮ヶ瀬ダムがありますが、こちらは藪に覆われていて眺めはイマイチです。春には刈り払ったりするのかな。
右手には相州アルプスこと高取山と仏果山です。まあ、この相州アルプスなる名称は、見たところあまり普及はしていないようですが。
遠くに薄っすらとランドマークタワーがあるのが見えます。その背後には東京湾と房総半島があるはずですが、ぼんやりしていて良くは見えません。
朽ち果てかけた小さなお社がありました。これがこの山の権現様でしょうか。
3.南山登山 登頂編 東丹沢一帯を見晴らす好展墓の頂へ
南山へ向かいましょう。この先の尾根道には標高差が殆どなく、ほとんど水平移動のようななものです。
相変わらずの地味な杉林が続きますが、足元が笹原に変わりました。こうして下草が育っているという事は、先ほどの鹿よけの柵が一応は効果を発揮しているという事なのでしょう。
前方に山頂らしき場所が見えて来ました。おや、もう到着ですかい。やけにあっけないですな。
山頂直下最後の登りです。見るからに眺めの良さそうな光景に、期待が高まります。
12時45分 南山に登頂しました。権現平を出発してからは、30分と経たずに到着です。
それでは早速、山頂からの眺めを見てみましょう。実に素晴らしい。東丹沢と呼ばれる一帯の山を軒並み見晴らすことが出来ます。
真正面に頭だけ突き出ているのは大山(1,252m)です。裏側から見ると、見事に山という漢字の形をしています。
大山の右手に連なるのは、丹沢主脈の山並みです。こちらも生憎と、どんよりした曇り空です。
足元には宮ヶ瀬湖。ここからでもやはり、見えるのは一部分だけでした。
午後からは少し天気が回復するかもしれないと言う予報だったので、山頂で少し粘って見ましたが、結局青空が見えることはありませんでした。
4.南山登山 下山編 あいかわ公園を抜けて半原バス停へ
13時25分 どんより曇り空の山頂を辞去して、下山を開始します。元来た道には戻らずに、あいかわ公園方面へと下ります。
山頂直下はかなりの急坂です。一部には鎖まで整備されていました。遊歩道を言う言葉に騙されて、スニーカー履きのままここまで登ってきてしまった人は、少々焦る瞬間かもしれません。
途中に長竹方面への分岐地点がり、ベンチが設置された休憩スペースとなっていました。
ここからは宮ヶ瀬ダムの堤体が良く見えました。ダムが無かった時代には、ここは相当深い谷だったことを思わせる風景です。
ミーヤ丸の乗り場が見えます。本当はここから帰るつもりだったのに。
この乗り場は、ランプに備え付けられたレールと接続した状態で水面に浮いており、湖面の高さに応じて自動的に上下に移動する構造になっています。面白いことを考えるものですね。
遊歩道らしく、道は大変よく整備されています。あいかわ公園へ遊びに来ている親子連れなどが、そのまま登ってくることも多いようですね。
東屋がありました。道中の休憩スペースは、過剰なくらいにあります。
あいかわ公園方面に下山するのは、この鉄塔の手前を右折します。このまま直進しても下山は出来ますが、その場合は下道歩きが少々長くなります。
前途に立ちはだかる圧倒的階段地獄。こう言うところもまあ、丹沢らしいと言えばらしいらしい光景ではあります。
下山開始から1時間とかからずに、割とあっけなく道まで下りて来ました。
これでもかと言わんばかりに、ヤマビルに対する警告が並んでいました。しかし、入り口でこんな脅しをかけられてしまったら、登ってみようという意思そのものが削がれてしまうのではなかろうか。
舗装道路に出たとは言っても、ここはまだまだ山の中です。この先は、あいかわ公園の敷地内を突っ切って行きます。
このあいかわ公園と言うのは、かなり広大な敷地を持つ神奈川県の県立公園です。宮ヶ瀬ダムに付随する観光施設の一部となっています。何度か前を通り抜けたことはありますが、園内に入ったのは初めてです。
何とも憎たらしいことに、下山した今になって頭上に青空が広がり始めました。できれば私が山頂にいるときに、この状態になって欲しかったのですがねえ。
冒険の森なるアスレチックエリアがありますが、こちらは緊急事態宣言を受けて閉鎖中でした。
かなり大掛かりな遊具が並んでおり、小さいお子様連れであらば丸一日遊べそうな場所です。
ミツマタが植えられた一画がありましたが、まだ開花には少し早く蕾状態でした。
満開を迎えるのは、まだ一カ月以上は先でしょう。それでも蕾はだいぶ膨らんできており、確実に春に近づきつつありました。
パークセンターにはお食事処などの施設もありますが、それらもすべて閉鎖中でした。現状は園内を散策する以外の事は一切出来ない状態です。
何もできないとあっては仕方がありません。そのまま素通りしてバス停へと向かいます。
こちらはあいかわ公園の正面にある石小屋ダムです。宮ヶ瀬湖からの水流の勢いを調整することを目的とした副ダムです。気味が悪いくらいに青々とした水を湛えていました。
なお、あいかわ公園があるのもまだ山の中腹です。という事で、公園からの下山がまだしばらく続きます。
公園の入口まで下って来ました。これで今度こそ下山は終了です。
あいかわ公園最寄りとなるバス停はこの前方の橋の上にある愛川大橋バス停です。しかしこのバス亭にはベンチも何もなく、次のバスまではまだ間があったので、その先の半原バス停まで歩きます。
中津川に沿って下って行きます。先ほどまであんなに青々としていた水が、川になって流れ始めるなり透明に見えるのだから不思議なものです。
薄っすらと高曇りの空では、早くも日が傾きつつありました。今の季節は本当に日が短い。
14時50分 半原バス停に到着しました。鳥居原園地を出発してから正味3時間30分程の、お手軽ハイキングでした。
京王線沿線の民である私としては、このままスタート地点の橋本駅へ戻りたいところではあります。橋本行きのバスはあるにはあるのですが、本数が少なくまだまだ待ち時間があるため、諦めて本厚木行きのバスに乗り込み、帰宅の途に付きました。
南山の訪問は、生憎の曇天とミーヤ丸の機関故障により、若干の不完全燃焼感が漂う一日でありました。たいへん眺めの良い山ではありますが、単体では如何ともボリューム不足感が否めない山であると思います。宮ヶ瀬ダムの見物とセットで巡るのが良いのではないでしょうか。
標高の高い山が雪に閉ざされてしまう冬期に、近場の山で軽めのハイキングがしたいと言う人におススメです。
<コースタイム>
鳥居原園地(11:20)-権現平(12:15)-南山(12:45~13:25)-あいかわ公園(14:05)-半原BS(14:50)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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