伊豆山稜線歩道 天城峠から船原峠まで、富士山に向かって歩く魅惑の稜線を行く

仁科峠付近の伊豆山稜線歩道
静岡県伊豆半島の西部に連なる伊豆山稜線歩道(いずさんりょうせんほどう)を歩いて来ました。
天城峠から修善寺虹の郷までの区間に整備されている、全長43kmにも及ぶ長大な歩道です。仁科峠から達磨山に至る区間は視界の開けた笹の稜線となっており、正面に富士山を望みながら歩くことが出来ます。今回は南の天城峠からスタートして、船原峠までの区間を歩いて来ました。
かなりのロングコースであることは承知したうえでの訪問でしたが、帰りのバス時間ギリギリの際どい山行でした。

2024年5月11日に旅す。

伊豆山稜線歩道は、伊豆半島西部の海際に沿うように南北に連なる山脈上に整備された、長大なハイキングコースです。ルートの一部が西伊豆スカイラインと並走しており、マイカーがあれば手軽に絶景と出会う事が出来ます。
風早峠
このコースの北端にある達磨山の周辺は過去に一度歩いたことがありますが、今回は未踏破の南側の一帯を歩いて来ました。

ところで伊豆山稜線歩道と聞くとこう、海が見える笹原の稜線の先に富士山がドーンと立っている光景を思い浮かべるのではないでしょうか。

そのイメージは決して間違えではないのですが、ただしそれは仁科峠よりも北の区間に限られます。ルートの南端である天城峠の周辺一帯には、ブナやヒメシャラなどの深い森が広がっていました。
二本杉峠

思い浮かべていた光景に出会うまでに、森の中を延々と4時間近くも歩き続ける必要があろうとは想定外でしたが、伊豆山稜線歩道の南側を通しで歩て来た記録です。
猫越岳展望台からの展望

コース
伊豆山稜線歩道のコースマップ
天城峠バス停からスタートして、伊豆山稜線に沿って北上して船原峠まで歩きます。下山は令和6年の4月に新設されたばかりの船原峠入口バス停へ下ります。

総歩行距離およそ26kmほどになるロングコースです。

1.伊豆山稜線歩道 アプローチ編 (行きだけ)新幹線で行く伊豆半島への旅路

6時22分 JR東京駅
伊豆半島は自宅からそれなりに遠い場所です。天城峠行きの始発のバスに間に合わせるべく、贅沢に新幹線を使ってアプローチします。贅沢とは言っても自由席ですが。
東京駅の東海道新幹線ホーム

7時22分 快適な新幹線の座席でうつらうつらとそしている間に、つつがなく三島駅に到着しました。流石は新幹線、高いけれど早い。早いけれど高い。
三島駅の新幹線ホーム

三島駅で伊豆箱根鉄道の駿豆線に乗り換えます。駿豆線は未だに交通系ICカードには対応していないので、一度改札を出て切符購入してから入場します。
駿豆線の三島駅

8時11分 修善寺駅に到着しました。修善寺は伊豆半島中部にける交通の要衝であり、多方面への路線バスがここから発着します。
修善寺駅のホーム

続いて8時15分発の河津行きの路線バスに乗車します。乗り換え時間が僅かしないので、買い出しなどは事前に済ませておきましょう。
修善寺駅の
このバスに間に合いたいがために新幹線を使いました。伊豆山稜線歩道はかなりのロングコースであるため、この朝一のバスに乗車しないと踏破は難しいと思います。

9時6分 天城峠バス停に到着しました。おそらく大多数は天城山を目指すのでしょうが、結構な数の登山者がバス停に降り立ちました。
天城峠バス停
バス停の名称は天城峠となっていますが、厳密に言うと現在地はまだ峠ではなく、峠の下を通るトンネルの入り口です。

2.新緑のブナ林が広がる天城峠

9時10分 身支度を整えて登山を開始します。まずは手始めに天城越えを行います。トンネルのちょうど真上に小さな沢があり、苔生した砂防堰堤に沿って登って行きます。
バス停から天城峠への登山道

バス停から10分少々登ったところで、行く先に建物が現れました。
旧天城トンネルのトイレ

旧天城トンネルこと天城山隧道です。明治38年に作られた石造のトンネルで、国の重要文化財にも指定されています。現在でも車による通り抜けが可能です。
旧天城トンネル

川端康成の小説、伊豆の踊子にも登場しています。当時トンネルの脇にあったと言う茶屋はすでになく、東屋と観光トイレだけがあります。
旧天城トンネルの北側坑口

本日はトンネルを通らずに、トンネル脇の登山道からさらに登って天城峠を目指します。
天城峠への入口

旧トンネルから峠までの標高差は100メートル少々しかありません。たったそれだけ登りを省略できるだけでも、当時の旅人たちにとっては意義が大きかったのでしょう。
240511伊豆山稜線歩道-016

頭上に稜線が見え来ました。さあ、「天城越え~」と歌う準備は出来ましたか。出来たのなら向かいましょう。
240511伊豆山稜線歩道-017

9時40分 天城峠まで登って来ました。天城山方面へと向かう天城縦走路と、反対方向へと向かう伊豆山稜線歩道の起点となっている場所です。え?それでお前は本当に歌ったのかって?ええ、ちゃんと歌いましたよ。
天城峠
道標には、ここから仁科峠までは14.7kmで320分かかると書かれていますが、ひとまずは気にしないことにします。

どちらに向かうにしてもロングコースとなるため、ごく一握りの好事家だけが訪れる静かな場所です。まるで主であるかのようなブナの巨木が、峠を見下ろしていました。
天城峠のブナの木

3.本当の天城峠こと二本杉峠

この先は自身にとって初めて足を踏み入れる領域となります。先は長いので足早にサクサクとまいりましょう。
伊豆山稜線歩道

展望台的な何かがありそうな雰囲気の階段があります。足早に行くと言った矢先ですが、とりあえず登ってみましょう。
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以前はなにか人工物があったのであろう、平場だけが残っていました。電波塔か何かが立っていたのかな。
240511伊豆山稜線歩道-022

気を取り直して先へ進みましょう。登山道は尾根を少し外した山腹をトラバースしており、標高差がほぼなく水平移動に近い道です。歩道を名乗っているだけのことはあってか、とても歩きやすい道です。
伊豆山稜線歩道

ちょっとだけ視界が開けて、富士山が見えるスポットがありました。少し雲がかかっていますが、本日の天気は上がり調子となる予報であるため、きっとそのうち取れてくれるでしょう。
伊豆山稜線歩道から見た富士山

トラバース路だけに、小さな沢を横断する箇所が何度かありますが、しっかりと橋が架かっていました。さほど歩く人が多いルートだとも思えませんが、かなりのお金をかけて整備されている印象です。
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古峠とはまたストレートな名称です。名前の通り、古い時代に使われていた峠道がここを越えていたのでしょう。現在ではもう道の痕跡らしきものも見当たりませんでした。
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崩壊気味の箇所もチラホラと現れ始めました。トラバース路と言うのはどうしたって、沢のある箇所から崩れて行くものですからね。
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崩壊気味を通り越して、完全に崩れてしまっている場所もありました。だいぶ足元は狭いですが、通り抜けること自体は可能です。
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伊豆半島の山はもともと火山性の土壌で脆くて崩れやすく、おまけに雨が多い地域です。登山道を維持管理するのは容易なことではないはずです。

天城峠から1時間ほど歩いたところで、再び峠らしき場所が現れました。
二本杉峠

10時45分 二本杉峠に到着しました。伊豆山稜線歩道における最初のチェックポイントと言ったところです。名前の由来になったのであろう、二本の杉の木らしきものは見当たりません。すでに失われてしまったのか。
二本杉峠

旧天城トンネルが完成よりもさらに以前の時代の街道は、現在の天城峠ではなくこの二本杉峠を越えていました。言うなれば真・天城越えと言ったところでしょうか。
伊豆山稜線歩道二本杉峠の案内
なお残念ながら、河津町側の宗太郎園地へ下る登山道は崩落により通行止めとなっており、本当の意味での天城越えはできない状態が長らく続いています。

4.伊豆山稜線歩道最高地点の猫越岳を越える

実のところこの二本杉峠までの道程は、コース全体から見ればまだ準備体操の段階でしかありません。この先はひたすら長いので覚悟してください。
伊豆山稜線歩道

前方に複数の小ピークが盛り上がっているのが見えます。ここまでの道程はほぼ水平移動でしたが、この先は多少なりともアップダウンがありそうです。いっちょう、気合を入れて行きましょう。
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相変わらず崩れかけている箇所が結構あります。転落死するほどの険しさはありませんが、これ以上崩してしまわないように慎重に通過します。
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11時20分 滑沢峠を通過します。山と高原地図には記載がありませんが、国土地理院の地図を見る限りでは、ここから太郎杉歩道へ下ることも出来そうです。
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現在進行形で崩落中のザレ場を横断します。申し訳程度にロープが張られていますが、あまり当てにはできなさそうです。
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道を塞ぐ倒木などもあり、通行不能となる様な決定的な崩落こそありませんが、全般的にやや荒れ気味です。このルートを歩く人自体それほど多くはないだろうから、あまり頻繁に補修の手は入っていない印象です。
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ようやく本格的なアップダウンが始まりました。この時点で既に歩き始めてから2時間以上が経過しています。なかなか長いウォーミングアップでしたな。
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見上げる高さの見事なブナ林です。これほどに大きく立派に育つのは、海上につき出した半島と言う地形故に、雨が多く湿潤な環境だからなのでしょうか。
伊豆山稜線歩道のブナ林

山頂らしき場所に登って来ました。
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12時 三蓋山(みかさやま)に登頂しました。伊豆山稜線歩道の中では数少ない、標高1,000メートルを超えているピークです。特に何かがある訳でもなく、ただの通り道と言ったところです。
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ここから猫越岳まではまだひと道あります。登り一辺倒ではなく、緩やかなアップダウンを繰り返しながら進みます。
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天城山(1,406m)らしき山が見えます。厳密にいうと天城山と言う名前のピークは存在せず、最高峰の名前は万三郎岳と言います。
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12時20分 つげ峠を通過します。峠を名乗っている以上は、かつてはこの地点を越える峠道が存在したのでしょう。今ではもう道の痕跡はなく、ただの休憩スポットと言ったところです。
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少し周囲の植生が変わって、ブナ林にかわりアセビの姿が目に付くようになりました。この密林のように鬱蒼とした感じはいかにも伊豆の山らしい光景です。
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ここまで来て、ようやく少しだけ海が見えました。伊豆と言えばやはり想起されるのは海でしょう。伊豆の山からの光景はこうでなくてはいけません。
240511伊豆山稜線歩道-045

あまり変わり映えのしない光景が延々と続いて、流石に少しダレて来ましたぞ。
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伊豆山稜線歩道と言うと、正面に富士山がドーンと見える稜線のイメージがつよく、展望ない樹林帯に道がこれだけ長く続くとは正直思っていませんでした。

正面に少しだけ富士山が見えました。そろそろ展望が開けるのかと期待しましたが、密林のような森はまだもうしばらくの間続きます。
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13時 続いて今度は猫越峠を通過します。峠らしさが全くない場所で、森の中にポツンと標識だけが立っていました。ここからは緩やかに登りに転じます。
猫越峠

徐々に周囲の木の背が低くなって、頭上の開けた場所が多くなって来ました。明るくて気持ちは良いですが、当然ながら直射日光にさらされます。
240511伊豆山稜線歩道-049

のっぺりとした丘のようなシルエットの山頂が視界に入りました。猫越岳は今からおよそ60万年前頃まで活動していた古い時代火山で、浸食が進ん現在ではこのようになだらかな山容となっています。
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山頂直下の登りは、道が大きく洗堀されて溝のような状態になっていました。雨が降っていると泥濘が酷いことになりそうです。
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13時20分 猫越岳(ねっこだけ)に登頂しました。周囲をアセビに囲まれた地味な空間です。この場所が伊豆山稜線歩道の最高地点となります。
猫越岳の山頂

現在地が最高地点である以上、この先は基本的に下り基調となるはずです。とこの時はそう思ったわけなのですが、実際のところはほとんど同じような高さの稜線を、ひたすら小刻みに登ったり下りたりすることになります。
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山頂から少し下った地点に池があるとの事なので、少し寄り道していきます。寄り道とは言っても、分岐からは1分とかからない距離にあります。
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雨が多い時期だからなのか、囲い越えて案内板やベンチがある辺りにまで増水していました。モリアオガエルの生息地であるとのことですが、産卵の時期からは少し外れているためか周囲は静まり返っていました。
猫越岳の池
かつてこの池は猫越岳の火口湖であると考えられていました。ですが火口そのものは長年の浸食によってすでに跡形もなくなっており、現在ではこの池は斜面上にあるただの水溜まりであるとみられています。

池からさらに少し進むと、今度は展望台がありました。いかにも眺めが良さそうで期待が高まります。
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前方が開けて、富士山とこれから歩く西伊豆の稜線がすべて見えました。天城峠から4時間以上歩き続けて、ようやく思い描いていた通りの景色に出会う事が出来ました。素晴らしい。
猫越岳展望台からの展望

富士山の右手前にあるのが達磨山(982m)で、そのさらに手前の鞍部が、本日のゴール地点となる船原峠です。うんーん、まだまだ遠いなあ。
猫越岳展望台から見た富士山
遠いと言うかそもそも既に、標準コースタイム通りのペースで歩いても帰りの最終バスに間に合わない時間なのですが。ここまで結構気張って歩いて来たつもりでいたのですが、なかなか時間がシビアですぞこのルートは。

西側に目を向けると、海も良く見えました。足元は岩場になっているので、あまりファインダーを覗くのに夢中になり過ぎないよう注意を要します。
猫越岳展望台

5.笹原の稜線からの絶景と魂ノ山

時間も押しているので、ここからは少しペースを上げていきましょう。猫越岳から仁科峠に向かって一度下ります。
240511伊豆山稜線歩道-060

このまま真っすぐに下って行くだけなのかと思ったら、間に一度登り返しが差し込まれました。平坦なようでいて、割としっかりアップダウンがあります。
240511伊豆山稜線歩道-061

13時45分 登り返したところが後藤山と言うピークです。猫越岳から仁科峠まで区間は、距離の割にはやけにコースタイムが長めに設定されていましたが、なるほどこんな伏兵が潜んでいました。
240511伊豆山稜線歩道-062
山と高原地図は通常5万分の1スケールであることが多いのですが、表示範囲が広い伊豆エリアは8万分の1スケールで描かれており、こうした細かなアップダウンが読み取りにくくなっています。

後藤山を越えると、ようやく眼下に仁科峠が見えました。仁科峠は伊豆山稜線歩道のほぼ中間地点に位置しており、静岡県道59号伊藤西伊豆線が超えています。
240511伊豆山稜線歩道-063

峠のすぐ脇に西天城高原牧場があり、放牧されている牛の姿が小さく見えています。。
仁科峠の放牧場

峠の手前でまたもや小さな登り返しが入りました。ぐぬぬ、なかなか勿体ぶってくれますな。
240511伊豆山稜線歩道-065

登り返すと、笹の稜線が視界に飛び込んできました。ここは仁科峠展望台と呼ばれている場所です。本日の行程の中でも、最も眺めの良いのはここでした。
仁科峠付近の伊豆山稜線歩道
車であればいとも簡単に登ってこれる場所なのですが、歩いて来るのはなかなかどうして一苦労させられます。

眼下に宇久須(うぐす)港が見えます。大々的な観光地化はされていない素朴な漁港です。
仁科峠展望台から見た宇久須港

14時 仁科峠に到着しました。車で登ってこれる場所だけに、周囲にはラフ服装をした観光客しかおらず、山登りの格好している私はむしろ少し浮いていました。
仁科峠

ここからお待ちかねの笹の稜線歩きが始まります。富士山に向かって歩いて行く爽快な道が続いています。
伊豆山稜線歩道

左側は西天城高原牧場の敷地になっており、牧場の柵に沿うようにして道が続いています。
伊豆山稜線歩道

駿河湾を挟んだ向かいに静岡県の海岸が見えています。こういう海が見える山は個人的に大好きです。
伊豆山稜線歩道から見た駿河湾

この付近の稜線上に背の高い樹木が育たないのは、駿河湾から吹き付ける強風の影響によるものだと考えられています。
240511伊豆山稜線歩道-071
確かに先ほどから、かなり強い横風が吹き付けて来ています。そのおかげで、お日様ギラギラ状態なのにあまり暑さは感じられず快適です。

鞍部に向かて下って行くと、再び車道と合流する地点が見えて来ました。
240511伊豆山稜線歩道-072

14時20分 風早峠に到着しました。名前からしてもう、風の通り道である事が伺える場所です。
風早峠

下ってしまったからには、その後に待っているのは当然登り返しです。急坂は無くなだらかな登りではありますが、これだけ連続するとジワジワと少しずつスタミナは削がれて行きます。だいぶしんどくなって来ましたぞ。
伊豆山稜線歩道

豪雪地帯の山でもないのに、風の影響だけでこれほど見事に禿山になってしまうものなんですね。ぱっと見の印象では、まるで新潟県の山であるかのようです。
伊豆山稜線歩道の笹原

稜線上へ車で上がって来ることのできる小道があり、東屋が整備されているのが見えます。
240511伊豆山稜線歩道-075

宇久須峠と呼ばれている場所です。伊豆山稜線歩道の全行程を通しで歩く人の中には、ここでテント泊をして一泊二日で歩く人も多いようです。峠から少し下った場所に、水を取れる小さな沢もあります。
宇久須峠

次なるピークである魂ノ山に向かって、稜線は再び標高を上げ始めました。
240511伊豆山稜線歩道-077

振り返って見た猫越岳方面の展望です。なだらかな丘陵状の姿をしていて、高原という呼び名がしっくりと来る姿をしています。
240511伊豆山稜線歩道-078

天城山の姿も良く見えます。距離がだいぶ遠くなり、天城峠を出発したのはもうずっと以前の事のように思えてきます。
240511伊豆山稜線歩道-079

頂上らしき場所が見えて来ましたが、実はこれは魂ノ山ではなく、その隣にある名もなき標高920メートルのピークです。
240511伊豆山稜線歩道-080

と言う事で、登って来て早々にまた鞍部に向かって一度下らされます。だったら始めから登らすなと言いたくなるところですが、道がそうなっている以上は仕方がありません。
240511伊豆山稜線歩道-081

意外としっかり下ります。何もそんなに下らなくたっていいじゃないですかー。
240511伊豆山稜線歩道-082

下った後は当然登り返しです。本日はここまで、食事を取るとき以外はほぼノンストップで歩き通しており、流石に疲労で足が前に出なくなって来ました。
240511伊豆山稜線歩道-083

山頂付近は樹林に覆われていました。笹原になっている場所と、こうして樹林に覆われている場所の違いは何によって生じているのでしょうか。単に風当たり違いよるものなのか。
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15時5分 魂ノ山(こんのやま)に登頂しました。なかなかユニークな名称の山です。英語で言うとソウルフルマウンテンになるのでしょうか。
魂ノ山の山頂

帰りのバス時間を考えると依然として時間に余裕は全くありませんが、流石にもう限界と言う事でここでザックを落として大休止を取りました。
240511伊豆山稜線歩道-086

6.舩原峠までの区間を駆け抜ける

15時30分 少しは疲れが取れたような取れていないような微妙な感じですが、行動を再開します。ここから先は早足気味に参りますぞ。
240511伊豆山稜線歩道-087

魂ノ山から船原峠に至る区間は、ほぼ全域が車道と並走しています。登山道は車道の脇に追いやられているような恰好で、結構小刻みにアップダウンがあります。
240511伊豆山稜線歩道-088

15時55分 土肥峠を通過します。もういい加減時間も無いので、この先は写真も撮らずに走り抜けました。
240511伊豆山稜線歩道-089

17時20分 と言う事で場面は一気に飛んで、船原峠に到着しました。走り抜けたので山頂の写真すら撮っていませんが、途中にあった棚場山を越えるのが何気にしんどく、既に息も絶え絶え状態です。
240511伊豆山稜線歩道-090

船原峠から達磨山に至る区間については過去に一度歩いたことがあるので、これで一応は全区間がつながりました。刻まずに伊豆山稜線歩道の全区間を通しで歩くのは、トレランでもない限り日帰りでは相当厳しいと思います。
240511伊豆山稜線歩道-091

残念ながら峠までバスは上がって来てくれないので、ここからバス停まで舗装道路を歩いて下る必要があります。最後にもうひと踏ん張り、頑張って歩きましょう。
240511伊豆山稜線歩道-092
大曲茶屋バス停まで歩いて下るつもりでいたのですが、実は令和6年の4月1日より船原峠入口と言うバス停が新設されていたことを、当日に現地で知りました。

バスの減便や路線廃止が続くこのご時世に、よもや新しいバス停が増えていようとは嬉しい誤算です。

17時55分 と言う事でその船原峠入口バス停に到着しました。最終バス時刻の13分前と言う、なかなか綱渡りのゴールでした。ふぃー、疲れた。
船原峠入口バス停

時刻表よりも少しだけ遅れて現れた修善寺駅行きのバスで撤収します。
修善寺駅行きの東海バス

帰りは新幹線を使わず、鈍行列車に揺られて長い長い帰宅の途に着きました。
修善寺駅のホーム

伊豆山稜線歩道を通しで歩く人はあまり多くなく、達磨山の周辺だけを歩く人の方が大多数であろうかと思います。今回未踏破エリアをつなげてみた感想としては、それで正解だと思います。
天城峠から仁科峠までの区間はひたすら長く、あまり変わり映えがしない光景が続きます。ロングトレイルをがむしゃらに歩きたい気分であるなどの明確な理由がない限り、オススメはしません。
仁科峠から先の魂ノ山に至る区間は眺めが素晴らしく、達磨山周辺のトレイルと比べても引けは取りません。ただこの辺りは路線バスによる交通アクセスに難があり、タクシーを使うか長距離をひたすら歩くかの2択となります。日帰りで歩くなら達磨山周辺だけにして、全体を歩くなら途中で一泊するのが妥当な線ではなかろうかと思います。

<コースタイム>
天城峠バス停(9:10)-天城峠(9:40)-二本杉峠(10:45)-三蓋山(12:00)-猫越峠(13:00)-猫越岳(13:20)-仁科峠(14:00)-風早峠(14:20)-魂ノ山(15:05~15:30)-土肥峠(15:55)-棚場山(16:45)-船原峠(17:20)

魂ノ山山頂での記念撮影

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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