東京都八王子市にある高尾山から陣馬山までを縦走して来ました。
首都圏近郊における、縦走登山入門コースとして非常に人気のあるルートです。そこそこの歩行距離ではあるものの、高低差の少なく歩きやすい道が続きます。
雪があることに期待し降雪直後に訪れたお馴染みの縦走路でしたが、さほどの積雪もなく、いつもとさほど変わらない光景が広がっていました。
2019年2月10日に旅す。
ヒャッハー雪だー
と、いい加減ワンパターンな書き出しで恐縮ですが、降雪直後の高尾陣馬縦走路を歩いてきました。高尾山から陣馬山まで続く全長およそ15kmほど尾根道で、縦走登山の入門コースとして大変人気があります。
このコースは全般的にアップダウンが少なく、とてもよく踏まれた明瞭な尾根道が続きます。雪の付いた状態であっても、特に危険もなく歩くことが出来る道であると言えます。
僅かながらではありましたが、前日のほぼ丸一日に渡って都内でも降雪があった三連休の中日。わざわざ遠出せずとも、この近場の奥高尾縦走路でも十分に雪山気分を満喫できるのではないだろうかと、期待して意気揚々と向かったわけですが・・・
期待していたよりも全然雪の少ない、何とも締まらない山行きとなりました。
コース
高尾山口駅より6号路を通って高尾山に登頂し、そこから高尾陣馬縦走路をあるいて陣馬山へ。下山は陣馬高原下バス停へ下ります。
特に何のひねりもない、ごくごくスタンダードな高尾陣馬縦走登山です。
1.期待した程ではないものの、雪山らしい光景となった高尾山
8時30分 京王線 高尾山口駅
電車一本で行ける近場の山であるため、比較的ゆっくりとした始動でやってまいりました。雪はあることにはあるものの、期待していたほどには積もっていませんな。
木の葉や土の上には薄っすらと積もってはいるものの、道の上にはまったく雪がありません。融けてしまったと言う訳ではなく、そもそも降雪量自体が大してなかったようですな。
相変わらずの凄い人出です。「ヒャッハー雪だー」と浮かれている人間なんて、少数派のもの好きだけだと思っておりまいしたが、世の中、意外と物好きな人は多いものですな。
ゲーブルカーは使いません。使うと強制的に観光ルートの1号路を歩くことになってしまいますからね。
良い感じに樹氷が出来上がっていました。見ている矢先からハラハラと剥がれ落ちていたので、おそらくは午後まで持たないでしょう。
日当たり良好な稲荷山コースの雪はあっという間に融けてしまっていそうな気配だったので、谷筋で日陰になる6号路をチョイスしました。
谷筋なので当然ながら冷えます。七福神も寒そうにしていました。
登山道へと分け入ります。昔は琵琶滝コースとか呼ばれていた気がするのですが、いつの間に自然研究路とかいう偉ぶった名前になったのでしょうか。
6号路は基本的にずっと沢沿いの道です。時より陽の射しこむポイントもありますが、基本的には薄暗い中を進むことになります。
道沿いにドライフラワー状態になったガクアジサイが並んでいました。散りもせずに綺麗に乾燥するものですな。
琵琶滝の脇を通過します。この小ぶりの滝は、薬王院の水行(滝に打たれる修行)場として使用されており、関係者以外は立ち入ることが出来ません。
修行の模様を覗いたり撮影したりするする登山者が後を絶たないと見えて、目隠しがされていました。
相変わらず道の上にはまったく積雪がないものの、一応は雪山らしい光景が広がっています。本当はもっとフカフカの新雪の上を歩くことに期待していたのですが、まあ無いものはしょうがありません。
所々にベンチが設置されており、普段から登山の習慣を持たない人であっても安心して歩くことが出来ます。こういうところは、流石は世界の高尾山です。
すぐ左側には稲荷山コースの尾根が連なっており、ほぼ全域で並走しています。尾根の上を歩くか下を歩くかの違いです。
分岐地点までやって来ました。左に進むと稲荷山コースに合流します。防水の靴を履いていない人は、直進せずに尾根上に向かった方が無難です。
分岐を直進すると、沢の上を飛び石伝いに歩く道になります。個人的には、ここが6号路を象徴する場所だと思っています。
飛び石地帯は割あっけなく終わり、山頂に向かって一気に高度を上げ始めます。
建設費1億5千万円の豪華2階建てトイレの前で、1号路と合流します。
降雪後だろうが何だろうが、滑りで止めも何もない普通の靴を履いた観光客がひしめく、いつもの高尾山の光景が広がっていました。
9時50分 高尾山に登頂しました。
全然雪がありませんねえ。これには正直少々ガッカリです。雪の無い高尾山なんて、ただの高尾山ではありませんか。(意味不明)
凍結しているかと思った山頂の水道も、何事もなく普通に水が出ました。そもそも、山のてっぺんに蛇口付きの水道があるのって、驚嘆すべき事実だと思うんです。
おそうじ小僧の頭上に積もった雪も、日向側の半分はすでに融けていました。
天気は上々で、展望台からの展望はバッチリです。それにしても、どこもかしこも全然白くはなってはいませんなあ。
1週間前に歩いた丹沢主脈の山並みも、先週よりも青々として見えます。海に近い一帯には、殆ど雪は降らなかったという事か。
ただでさえベンチだらけの高尾山山頂に、さらなるベンチの増設計画が進行中でした。もういっそう屋根もつけて、雨の日でも傘無しで登れるようにしてみてはいかがだろうか。
この様子では先へ進んでも雪への期待は薄そうですが、とりあえずは予定通りに陣馬山へ向かいます。
2.奥高尾エリア最初の山、小仏城山へ
石の階段の表面にうっすらと雪が積もった状態というのは、何気に凶悪なスリップ効果を生みだします。という事で、腰を落としてベタ足でゆっくりと下ります。
奥高尾エリアへと足を踏みいれます。流石に、周囲にスニーカー履きの観光客の姿は少なくなりました。
まあこの辺の道は、登山道というよりは遊歩道と呼んで差し支えないレベルに整備されておりますが。
もみじ台からの展望を楽しみます。邪魔をする樹木が少ないため、高尾山山頂からよりも良好な展望が得られます。高尾山にご訪問の際には、ここまで足を延ばすことをお勧めします。
山座同定を間違えている会話が聞こえた来た時に、ついつい横から口をはさみたくなる現象に、そろそろ名前を付けても良い頃合いかと思うんです。
ちなみに大山はこれで、富士山の隣に見えているのは大室山です。お間違いのなきよう。
日向の斜面はすっかり雪が無くなっています。それにしてもこの色はヤバいですね。花粉充填率120%と言ったところでしょうか。
木道の上に薄っすら積もった雪がまた、とても良く滑るんです。チェーンスパイクを履きたくなる状況ですが、せっかく綺麗な木道を傷だらけにするのもしのびなく、ベタ足のまま歩きました。
城山の山頂直下は大きく伐採されており、眺望が開けた状態となっていました。
前方を横切るこの道は、城山で初日の出を見るべく真っ暗な中を歩いた日影沢林道です。明るいとこんな場所だったのですね。
11時10分 小仏城山に登頂しました。
何だか最近は、やたらとこの山に来る機会が多いような。
山頂の様子
茶屋があり広々としています。高尾山ほどではないにしろ、多くの人で賑わう人気の山です。
山頂からは極めて良好な都心方面の展望が得られます。冬特有の冷たく澄んだ空気のおかげで、遠くまで良く見えました。
最大望遠で覗くとこんな感じです。空気の揺らぎもなく、驚くほどの明瞭度です。
見覚えのあるスタンプ台が山頂にデポされていました。なるほど、オフシーズン中はこんなところに待機しておりましたか。
この先にはもう木道は無いので、遠慮なくチェーンスパイク装着で行きます。
3.小仏峠を越えて奥高尾第二の山、景信山へ
相変わらず雪がほとんどない道を進みます。小仏峠までは下り基調です。
小仏峠では登山地図の販売が行われていました。書店などでよく目にする登山詳細図シリーズです。週末になると、作成者本人がこうして販売しているのだとか。
屋根が大きく傾いた休憩スペースがあります。つっかえ棒で支えているように見えますが、ここで休んで本当に大丈夫なのでしょうか。
こちらは小仏峠名物の狸です。以前は4匹いましたが、1匹は盗難されてしまったとのことで、現在は3匹です。
振り返れば都心部の大パノラマ。城山から見える光景と大差はありませんが、標高が高い分だけより遠くまで見えます。
こちらは城山と、たった今通ってきた小仏峠です。明治以前の甲州街道は、大垂水峠越えの現在のルートとは異なり、この小仏峠を越えるルートを取っていました。
思わず四つん這いになりそうな急坂を登り切りきったところで、頂上に到着です。
城山と同様に、ここにも茶屋があって人でいっぱいです。奥高尾は人気がありますな。
12時20分 景信山(かげのぶやま)に登頂しました。
高尾陣馬縦走路のほぼ中間地点に位置する山です。ここから先が後半戦であると考えて問題ありません。
山頂からの眺望はこの通り最高です。一度夜景を見に来てみたいな。
一応は富士山も見えます。まあ、何が何でもここから見なければいけないと言うほどに優れた景観と言う訳でもありませんが。
この犬は来るたびに見かけるので、おそらくは茶屋の飼い犬なのでしょう。カメラを向けたら、あからさまな迷惑顔でそっぽを向かれました。
中間地点まで来たことだし、ここでお昼休憩にします。と言うことで、茶屋で600円のモツ煮を注文しました。
冬に山の上で食べるしょっぱい煮物がどれほど美味しいかは、容易に想像が着くところでしょう。ネギと一緒トッピングされたユズ胡椒の香りが鼻腔いぱいに広がり、涎が停まりません。
4.ほぼ雪の無い縦走路後半戦
12時50分 縦走を再開します。
景信山まで来てようやく初めて、ゴール地点の陣馬山の姿が視界に入ります。
景信山を過ぎると、一気に歩く人の数は少なくなります。そして相変わらず、日影側にだけは雪が残っている状態が続いていました。
日の当たる場所はドロドロ。ある意味、いつもの奥高尾の光景そのものです。
高尾陣馬縦走路を含むこの尾根は奥多摩の三頭山に端を発しており、笹尾根と呼ばれています。標高が上がるにつれて、その名が示す通りに熊笹の姿が目立つようになってきます。
いつもは巻いてしまっている堂所山ですが、今日は先を急ぐ旅でもないので立ち寄って行きます。
短距離ではありますが、堂所山への登りは結構な急登りです。こういう急斜面においては、セルフ九十九折れをしてジグザクに登るとスムーズに歩けます。
堂所山のピークは、笹尾根の主脈からは少し外れた場所にあります。という事で、サクッと往復します。
13時40分 堂所山(どうどころやま)に塔到着しました。
特にこれと言った何があるわけでもない、こじんまりとした山頂です。巻き道があるためか、大半の登山者に素通りされる不遇の山ですが、登っても特に良いことはありません。
陣馬山が真正面にありますが、樹木に遮られて展望はイマイチです。
伐採されて開けた場所に出ました。いつの間やら、頭上からは青空が消えて、灰色の空になっておりますな。
帯状に綺麗に刈り払われています。防火帯にするために伐採したのでしょうか。
展望が開けるのはほんの一時で、すぐにまた薄暗い樹林の中に舞い戻ります。
14時15分 明王峠を通過します。
ここには茶屋とトイレがありますが、茶屋の方は春夏秋シーズンの土日にしか営業していません。
藤野町15名山の一座だそうです。峠なのに名山とはこれ如何に。
標高が上がってくれば積雪量も増えるのではないかと、勝手に期待しながらここまで歩いて来ましたが、残念な事にまったく雪がありません。
日影には残っていますが、薄く積もっているだけで、高尾山周辺と何ら変わりない状態でした。近場の山で手軽に雪山気分を味わおうと言う目論見は、完全に外してしまったようで。
14時50分 陣馬山に登頂です。
高尾陣馬縦走路を歩き切りました。アップダウン少なめな低山歩きとは言えど、やはり15kmと言うのはそこそこ歩きでがありますなあ。
山頂の様子
広々とした草原となっており、茶屋が三件あります。普段は多くの登山者で賑わう場所ですが、時間が遅いこともあってか、人影はまばらでした。
雲ってしまってはいるものの、空気の透明度自体は変わらずバキバキです。遠く彼方に江ノ島まで見えました。そもそも、陣馬山から江ノ島が見えると言う事実を、今日初めて知りました。
これは遠巻きにも一目でわかる奥多摩の名峰、大岳山(1,266m)。
扇山(1,138m)(左)と権現山(1,312m)(右)の奥には、小金沢連嶺の山並みが連なります。
さあ、帰りましょう。下山はバス本数の多い陣馬高原下方面へ向かいます。
途中にある小川で、泥まみれになった靴とズボンの裾を丹念に洗います・
その後は、写真も撮らずにサクサクと下山しました。陣馬高原下より高尾行きのバスに乗り込み、帰宅の途につきました。
降雪直後の高尾陣馬縦走登山はこれにて終了です。「雪だー」と喜び勇んで出かけた割には、ほぼいつもと変わらない光景の続く、何とも締まらない山行きでありました。後知恵でなら何とでも言えますが、6号路を十分に楽しんだ時点で引き返すのが正解だったのかもしれません。
奥高尾エリアには危険個所と言えるような場所は存在せず、途中でエスケープできるルートも豊富です。降雪後に訪れれば、雪山経験のない人であっても、手軽にスノーハイクを楽しむことが出来るでしょう。もっともそれは、肝心の雪が降ってくれればの話ですが。。
<コースタイム>
高尾山口駅(8:30)-高尾山(9:50~10:15)-小仏城山(11:10~11:25)-景信山(12:20~12:50)-堂所山(13:40~13:50)-陣馬山(14:50~15:20)-陣馬高原下(16:40)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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