高尾山 時差出勤を利用し、出勤前登山で紅葉見物

早朝の高尾山山頂
東京都八王子市にある高尾山(たかおさん)に登りました。
言わずとも知れた、東京が誇る世界一登山者の多い山です。紅葉の名所でもありますが、シーズ最盛期ともなると、山頂はそれこそ歩行天国状態の大混雑となります。しかしそんな高尾山も、平日の朝方であらば、混雑とは無縁の静かな場所となります。
唐突に始まった時差出勤を利用して、早朝の高尾山へ登って来ました。

2020年11月26日に旅す。

なにやら最近はすっかり生真面目な登山ブログと化してしまっている感もあるので、たまにはおふざけ回でも。と言う事で(?)高尾山に出勤前登山をしてきた時のお話です。

時は新型コロナウィルスが再び猛威を振るい始めた秋の暮れ。ところで、最近だれもcovid-19と言う名称を使わないですよね。

感染症対策の一環という事で、私の勤務先では唐突に時差出勤が始まりました。そんな中ふと「午後からのシフトであれば、午前中の内に山に登ってこれるんじゃない?」と、例のごとくロクでもないことを思い付きました。

となれば、思い立ったが吉日です。行動力だけが無駄に有り余っている私は、早速思い付きを実行へと移して来ました。
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行き先は、ミシュランガイド三ツ星に燦然と輝く世界の高尾山です。京王線一本で行ける手軽さは、午前中の内にスパッと登って降りてしてくるには最適な場所です。

紅葉シーズンの高尾山は大勢の人でごった返す場所です。しかし、平日のしかもケーブルカーが運転を始める前の時間帯であれば、きっと空いている状態でゆっくりと紅葉見物が出来ることでしょう。
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かくして期待していた通りに、早朝の高尾山には静寂な時間が流れていました。・・・それもすべては、ゲーブルカーが動き出すまでのつかの間でしかありませんが。

展望所からは朝もやに覆われた都心部と登ったばかりの太陽を拝むことが出来ました。タダの思い付きで始まった朝活の記録です。
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1.人気(ひとけ)の無い早朝の高尾山口

6時15分 京王線 高尾山口駅
まだ夜明け前の高尾山口よりおはようございます。思い付きの朝活に励むべく、始発電車に乗って来ました。午後シフトなはずなのに、なぜか普段よりも早起きしていると言う。
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普段は多くの人が行き交う駅前も、今は無人状態です。
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実際のところ無人ではなく、登山者の姿もチラホラとはありました。しかし、こうしてフレーム内に誰も写り込まない瞬間があるくらいには閑散としています。

駅前を流れる案内川沿いの紅葉が、見頃の最盛期を迎えていました。登山口のある標高がすでに見ごろを迎えてしまっているということは、山の上の方の紅葉はもう終わりでしょうかね。
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まずはケーブルカ―清滝駅へと向かいましょう。写真だと明るく写ってしまっていますが、まだ夜明け前なので周囲はかなり薄暗い状態です。
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高尾山ケーブルカーの運転開始時刻は8時からです。この時間帯はまだ行き交う人の姿もなく、静まり返っていました。
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このまま稲荷山コースを登ろうかと一瞬考えるも、思い直して1号路へと進みます。流石に、靴やズボンの裾が泥で汚れしまっては困りますからね。
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さて、ここで多くの方がきっとこのように思われているのではないでしょうか。「本当にその格好で山に登るつもりですか?高尾山だと言えども、いくら何でも山をナメすぎですよ」と。

しかしそれは大変な誤解です。山へ登るための準備に関して、まったく抜かりはありません。

まずはアウター。一見するとただのコートに見えるかもしれませんが、これはモンベルのトラベルコートと言う商品です。登山者にはお馴染みの透湿性防水素材である、ゴアテックスが使用されています。
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これにより、例え汗をかいても濡れて冷えることはなく、また小雨がパラついたくらいではびくともしません。登山中に起こりえる、急激な天候の変化に対する備えは万全です。

ミッドレイヤーはオーダースーツのSADAです。このスーツは実際に北アルプスでテストされて、3,000メートル峰の登山に耐えうる機能を備えていることが実証されています。
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そして靴はオールレザーシューズです。最近はULなるものが隆盛しナイロン製のシューズが幅を利かせていますが、しかし昔ながらの山屋を気取りたいものとしては、やはりシューズはこだわりの革製であるべきです。
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いかがでありましょう。これで私が少しも山をナメてなどいないと言うことが、ご理解いただけたのではないでしょうか。装備は万全です。

2.全行程が舗装されている、安心安全の一号路

登山を開始しましょう。薬王院の参道であるこの一号路は、山頂までの全行程が舗装されており、土の上を歩く場面はありません。例えビジネス用の革靴を履いてきているような山をナメた格好であっても、特に危険はありません。
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足元には、もうすっかり落葉が進んでいました。低山でも、秋山シーズンはもう終わりですね。
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薄暗かった登山道に、茜色の光が差し込み始めました。
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今日も朝日は昇る。高尾山の山頂でご来光を拝みたかったら、始発電車で来たのでは間に合わないという事ですね。
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眩い朝日が差し込み始めた道をユルユルと登ります。もっとアッサリと辿り着けたような印象ですが、意外としっかり登ります。
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7時5分 ケーブルカー山頂駅まで登って来ました。なんやかんだで、このビアマウントにはまだ一度も入ったことがありません。
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昨夜に少し雨が降った影響なのか、晴れてはいるのですがボンヤリと霞がかった天気です。
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眼下の街並みも、まるで蜃気楼のように揺らいで見えました。
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雲海とまではいかないものの、雲滝っぽいものまで見えました。いくつか条件が重なれば、高尾山からでもこんな光景が見えるものなんですね。
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展望所のいろはもみじは、もう紅葉は終わりを散り始めていました。紅葉は、日当たりの良い場所ほど早くに始まり、早くに終わります。
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ケーブルカー山頂駅から薬王院までは、しばしの間、平行移動が続きます。
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一号路のシンボル的存在であるたこ杉の根は、フェンスでしっかりとガードされていました。昔はこんなものは無かったような?
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ケーブルカーを利用してこの1号路歩く場合における高尾山登山とは、山登りと言うよりは参拝であると考えるべきかもしれません。少し階段があるくらいで、登山らしい要素は殆どありません。
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本来であれば浮きまくっているはずのスーツ姿であっても、特にすれ違いざまに2度見されることもありません。高尾山はハイヒールを履いたお嬢さんが紛れこんでくるようなこともよくある山ですからね。
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柔らかい朝日を浴びた木々が、美しく輝いていました。例え全行程が舗装されているような道であっても、早朝の山特有の空気感はしっかりとあります。とっさの思い付きであったけれど、来てよかった。
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途中で男坂と女坂にルートが分かれます。ここは当然男坂一択です。わしゃ男じゃけんのう。
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三密の道とな。一瞬、東京都知事からの寄贈品なのかと思いましたが、ここで言う三密とは「密閉、密集、密接」のことではありません。密教における三密は「身密、口密、意密」の事を指します。
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場所によっては、まだまだ紅葉見頃のもみじが残っていました。場所によって、見ごろを迎えるタイミングは結構ばらけるものなんですね。
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茶屋は当然まだ営業開始前です。お団子で優雅にブレックファストと言う訳にはまいりませんか。
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人気の無い参道を進みます。平日の朝であることを考えると、十分すぎるほどに人は多いのですが、それでもこうして一人になる瞬間が生まれます。
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3.紅葉が見頃の高尾山薬王院

薬王院の山門へとやって来ました。現代ではすっかり観光地扱いされている高尾山ですが、この山は長きに渡り山岳信仰の霊場であった場所です。
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高尾山は天狗の住まいです。数えたことはありませんが、かなりたくさん住んでいます。
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落葉したもみじが、天狗さまの頭上に降り積もっていました。これはなかなか風流ですな。
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無人の薬王院と言うのも、なかなかレアな光景なのではなかろうか。
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高尾山登山とは、階段を登ることと見つけたり。
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薬王院と言うのは、この一帯に建つ寺院の総称であり、特定の建物の事ではありません。その中でも主殿にあたる建物は、これなのですかね。
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一瞬この天狗はスパナを投げつけようとしているのかと思いましたが、これは剣の刃の部分が折れてしまっているだけのようですね。
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折れていない状態のものも、しっかりとありました。
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ひたすら階段を登る。高尾山一号路とはそう言うものです。
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朝日を浴びて輝く紅葉が美しい。紅葉シーズンの訪問時期としてはちょっと遅めでしたが、それでもまだまだ残ってくれていました。
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裏口のような場所を通り抜けます。なお、薬王院が閉門される時間帯は、塀の外にある脇道を通ることになります。
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4.人影まばらな静かなる高尾山頂へ

石畳舗装の無い場所は、ウッドデッキ化されていました。先ほども述べましたが、一号路は最初から最後まで土の上を直接歩く場所は一切ありません。
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やがて前方に立派な建物が見えて来ました。建設費1憶5千万円だという、豪華檜普請のトイレです。トイレまでもがかくも豪華絢爛だとは、流石は世界の高尾山です。
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ちなみに、このトイレは使用出来る時間が決まっており、時間外は閉鎖されています。
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これは根拠の無いただの憶測ですが、24時間開いていない理由は、ここを避難小屋代わりにしてしまう人間が現れかねないからだと思います。

トイレを過ぎると山頂はもう目の前です。マスク着用を促す垂れ幕が下がっていました。まあ、特に混みあっていない今の時間帯なら別にね。。
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無人とはいきませんが、それでもやはり空いています。ケーブルカーが動き出す間にいっちょう登ってこうようと言うもの好きは、常に一定数は存在するんですね。
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7時45分 高尾山に登頂しました。一号路の道中には危険個所も皆無で、革靴でも何ら問題はありませんでした。これが稲荷山コースであったら、どうなんでしょうね。
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何故か一羽の鳩が山頂の水道を占拠しており、飲もうと思っても退いてくれません。「人間どもよ、これは私の水場だ」とでも言っているかのようです。
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せっかくなので、山頂の展望所からの光景を眺めて見ましょう。
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お富士さんは残念ながら雲隠れ中のようです。晴れてはいるけれど、全般的に湿っていてピリッとしない天気のようですな。
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丹沢の大山はスッキリ快晴で良く見えました。うーん、この大山は流石に通勤前に登るにはヘビーすぎるかな。またやる気でいるのか、コイツは
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下界は相変わらずの朝もやの下です。早番シフトの同僚たちは、今頃職場へと向かっている最中でしょう。
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いつの間か、ケーブルカーが動き出す時間を過ぎていました。山頂に密が形成される前に、ぼちぼち退散しましょう。
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5.帰りはケーブルカーでラクラク下山

山頂を辞去し、下山を開始します。
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足元が濡れている所は、少しヒヤヒヤします。転んで尻もちでもついた日には、そのままクリーニング直行が確定ですからね。
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あっさりと薬王院までもどって来ました。登りでは何も問題がなかった革靴も、下りではつま先にダメージが来ますね。
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山頂の紅葉はもう既にほぼ終わっていましたが、薬王院の紅葉はまだまだ見頃でした。
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うんうん、やはり来てよかった。
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このお坊さんたちは、並んでいったい何をしていらっしゃるのでしょうか。真夜中に遭遇したら怖そうですよね。
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行き交う人の数が多くなってきました。そろそろケーブルカー始発組が登って来たようですな。
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帰りは女坂をゆるゆると下ります。まあ、どちらを選んでもたいした違いはありません。
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8時45分 ケーブルカー山頂駅へ戻って来ました。わざわざ山頂まで出向かなくても、実はここからでも十分すぎるほどに眺めは良いです。
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これはお隣の景信山(727m)です。高尾山から陣馬山まで続く、通称奥高尾と呼ばれている尾根上にある一座です。
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北高尾山稜のむこうに奥多摩の御前山(左)と大岳山(右)が、ひょこり頭を覗かせていました。
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南浅川を挟んだ向かいにあるこの山は八王子城山ですね。なかなかの好展望地らしいのですが、一度も登ったことがありません。そのうち訪れてみましょうかね。
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北の彼方には、日光連山の山並みまでもが見えました。意外と遠くからでも見えるものですね。
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帰りはケーブルカーでラクラク下山します。片道運賃は490円なり。
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この時間なら下りは貸し切り状態かと思いきや、意外と乗客はいました。
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山頂駅付近は、まるでジェットコースターの様な急勾配です。最大斜度は37度あり、何気にケーブルカーとしては日本一の勾配なのだとか。
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すれ違った登りのケーブルカーは、案の定というか満員御礼でありました。恐るべし、紅葉シーズンの高尾山。
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ケーブルカー沿道の紅葉もまた、良い感じに見頃でした。
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下山完了です。僅か6分程の乗車時間でした。まあ、下りなら歩いても30分少々ですからね。
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商店も多くが営業を開始していました。お団子が食べたかったのですが、まだこれから焼き始めるところでした。残念。
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そして案の定と言うかなんというか、結局一番見ごたえがあったのは駅の目の前の紅葉だったと言う、身も蓋もないオチでありました。
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9時10分 高尾山口駅に戻って来ました。短時間ですが実に充実した朝活でありました。気が向いたらまた来よう。
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この後、カメラを駅のコインロッカーに放り込んで、何食わぬ顔をして普通に出勤しました。

全くの脊髄反射的な思い付きで決行した出勤前登山でしたが、混雑が必至な紅葉シーズンの高尾山をゆっくりと巡れると言う、思わぬ幸運に恵まれました。これだけ短時間で手軽に訪れることの出来る高尾山の強みを、もっと積極的に活用しても良いのかなと意識させられた山行きでありました。それが可能となる環境下にある方は、フラっと出勤前登山に繰り出してみては如何でしょうか。
なお、くれぐれも高尾山だと思って山をナメないように。お前がな!

高尾山の山頂に立つスーツ姿の男性

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. しょうへい より:

    オオツキさん、こんにちは。久しぶりのコメントです。スーツ姿で早朝高尾山とは何やら健康にもよさそうで、斬新でよかったです。しかもスーツやらコートやら、普通のサラリーマンの服装と思いきや、まさかの登山仕様になっているとは!!・・・さすがオオツキさんだ!と感嘆、驚愕した次第でございます(笑)
     お天気の良い日の早朝の高尾山は、人気も少なく最高そうですね。今回、久しぶりに高尾山の風景がじっくりとみれてよかったです。何分、このご時世ですので、混雑してるであろう高尾山に行くのを躊躇してしまってましたので、懐かしく思っておりましたので。

    • オオツキ オオツキ より:

      しょうへい様
      コメントをありがとうございます。
      スーツ姿のままで登る必然性は全くありませんが、平日早朝の高尾山は静かで良かったですよ。時差出勤する機会があったら是非どうぞ。