山伏 ヤナギランが満開の夏の安倍奥最高峰を巡る

西日影沢から見た山伏
山梨県早川町と静岡県静岡市にまたがる山伏(やんぶし)に登りました。
安倍奥と呼ばれる、安部川の源流に連なる山域の最高峰です。山梨百名山に名を連ねている一座ですが、山梨県側からアクセスする井川雨畑林道は長らく通行止めの状態が続いており、現状は静岡県側からしかアクセスすることが出来ません。
シカの食害によりその数は激減してしまっているもの、山頂にヤナギランの群生地が存在し、真夏に見頃を迎えます。
夏真っ盛りの静岡市の秘境オクシズに立つ深山を巡って来ました。

2022年7月31日に旅す。

山伏は通称オクシズと呼ばれる、静岡市山間部の安部川源流域に立つ山です。山梨百名山にも選ばれている山ですが、静岡県側からしか登ることが出来ない状態が長らく続いており、実質的に静岡の山のようなものです。
安倍川の上流部
フォッサマグナの西端に位置する安倍奥の山々は、いずれも谷が深く切れ落ちた急峻な山容を持ち、2,000メートル級の山のものとは思えない圧巻の山岳光景が広がります。

なかでも大谷崩(おおやくずれ)と呼ばれる大規模な崩落地は、その規模と景観が見る者を圧倒します。

山頂への最短ルートとなるのは、標高1,770メートル地点の百畳峠(ひゃくじょうとうげ)から登るルートです。駐車場から1時間とかからずに山頂に降り立てます。

しかしそれではあまりにも物足りない気がしたので、今回は麓の新田集落から直接登る西日影沢コースを歩きました。蓬峠をへて山頂に至るこのルートは、標高差がおよそ1,200メートルほどあり、なかなか登り応えがあります。
山伏 西日影沢コースの登山道
季節的に相当暑いであろうことを覚悟しての訪問でしたが、沢沿いの登山道は以外に涼しく快適なものでした。

夏の山伏で忘れてはならないのが、山頂のヤナギラン群生地です。深刻なシカの食害によりその規模は小さくなってしまっているものの、満開を迎えて見頃のド真ん中でした。
山伏のヤナギラン群生地
真夏の安倍奥を大いに満喫してきた一日の記録です。

コース
220731山伏-map
山伏の麓にある新田集落から安倍川支流の西日影沢に登り、蓬峠をへて山頂へ。下山は大谷嶺へ周回することも考えていましたが、天気が崩れそうだったためピストンとしました。

標準コースタイムで、おおよそ6時間ほどの行程です。

1.山伏登山 アプローチ編 静岡市の秘境オクシズへの旅路

2週前の源氏山に引き続き、本日も僻地専門登山家の友人とオッサン2人旅です。早朝のまだ空いている東名高速道路を快調に進みます。帰る時もこれくらい空いていてくれると良いのですが。
東名高速道路上から見た富士山

新静岡ICで高速を下りたら、後はひたすら静岡県道29号線を安部川沿いに遡ります。昨年の秋に八紘嶺へ訪れた時以来となるオクシズへの訪問です。
安部川沿いの静岡県道29号線

目印がなくてちょっとわかりにくいですが、しずてつバス安倍線の新田バス停の手前で左に入ります。おでんの看板を掲げているこの近藤商店が、唯一と言える目印です。
ら静岡県道29号線 新田バス停
ちなみに公共交通機関を利用して山伏に登る場合は、この新田バス停かもしくは一つ手前の赤水バス停から往復することになります。

山伏の麓に位置する新田集落の中を進みます。正面に山伏から南へと延びる安倍奥の山並みが、まるで絶壁のように立ちはだかっているのが見えました。
新田集落から見た安倍奥の山並み
急流安倍川が刻んだ深い谷から屹立している安倍奥の山々は、何れもこうした急峻な山容をしています。

最後はダートに突入すると言う、マイナーな山梨百名山のいつもの光景がここでも繰り広げられました。僻地専門登山家の面目躍如ですね。
西日影沢の林道

7時10分 河原にある駐車スペースに到着しました。山伏が人気のある山だとは到底思えませんが、ヤナギラン効果なのかそこそこの台数の車がとまっていました。
西日影沢の駐車スペース

目指す山伏はこの通り駐車スペースからすでに見えています。ちょっと分かり難いですが、山頂は矢印で示した辺りにあります。
西日影沢河原の駐車スペースから見た山伏
安倍川は頻繁に土砂災害を引き起こす暴れ川として非常に悪名高い河川ですが、その暴れぶりは源頭部にあるこの西日影沢の異様な川幅の広さからも何となく察せられます。

絶対に雨の日河原でバーベキューをしてはいけない川ですよ、これは。

2.涼し気な川沿いの道をゆく、蓬峠への道程

身支度を整えて、7時25分に登山を開始します。今のところは良く晴れた快晴の空が広がっていますが、正午からは崩れると言う予報になっております。午前中の内に速攻でスパッと登ってしまいたいところです。
西日影沢沿いの林道

駐車スペースから登山口まで、しばしの間川沿いの砂利道歩きが続きます。どうやらこの道はもともと、砂防堰堤の工事用道路であるようです。
西日影沢の砂防堰堤

大きな堰堤を一つ越えた先にも駐車スペースが存在しました。突っ込む気があれば、ここまで車で入ってこれます。
西日影沢の駐車スペース

河原から少し登ったところで、今度は登山届の投函ポストがありました。用紙の備えつけもありましたが、すっかりしけっていて使用不能な状態でした。
山伏 西日影沢ルートの登山届投函ポスト

道沿いにさらに奥へと進みます。割と水量が多めの沢が、洗い越しになっていて路面上を流れていました。
西日影沢沿いの林道

この西日影沢ルートには、この先にも何度か渡渉ヵ所があります。そのため、沢が増水しているであろう雨上がり直後の訪問は推奨しません。
西日影沢沿い林道の洗い越し

7時45分 山伏登山口へとやって来ました。ここから山中へと分け入って行きます。
山伏 西日影沢ルートの登山口
甲斐南部の高ドッキョウや篠井山ほどには悪名高くはありませんが、山伏にはヤマビルが出没します。むしろ吸血された方がブログのネタ的には美味しいので、申し訳程度にヤマビル忌避剤を靴と靴下に噴霧してから出発します。

登り始めて早々に、頭上をモノレールが横切っていました。この先にはワサビ田があると言う事あので、その収穫のためのものでしょう。
山伏 西日影沢ルートのモノレール

沢沿いの崖の上を高巻くようにして道が続いています。もっと蒸し暑いのを想定していましたが、意外にも涼しい空間です。
山伏 西日影沢ルートの登山道

高みの見物状態はいつまでも続かず、やがて沢の流れる谷底に向かって下り始めました
山伏 西日影沢ルートの登山道

渡渉して対岸に移ります。本来かかっていた木橋は流出してしまったらしく、かわりにいかにも応急的な金属製の渡しがかかっていました。
山伏 西日影沢コースの登山道

本流を渡って以降も、小さな沢が至るところから流れこんでくるウェットで水浸しな空間です。いかにもヤマビルが好みそうな環境ですが、今のところはまだ現れていません。
山伏 西日影沢コースの登山道

足元がビッチリと苔に覆われた実にコケティッシュな空間です。・・・コケティッシュってそういう意味の言葉だったっけか?
山伏 苔に覆われた西日影沢コースの登山道

かつてはワサビ田だったのであろう人工的な石垣が残っていました。すでに畑としては放棄されているらしく、干上がった底面を晒していました。
山伏 西日影沢コースのワサビ田跡

再び本流を渡渉しますが、ここでもやはり橋は失われていました。令和元年の台風十九号にでも破壊されたのでしょうかね。
山伏 西日影沢コースの流出した木橋

と言う事で、ここでも応急的な橋の上を進みます。特に危険を感じる要素はありませんでしたが、増水していればその限りではありません。
山伏 西日影沢コースの登山道

まるで前方の道を塞ぐかのように、登山道上に大岩があるのが見えて来ました。かなりの大きさであるように見えます。
山伏 西日影沢コースの大岩

8時25分 大岩に到着しました。そのまんまな名称でしたね。西日影沢コースにおける最初のチェックポイントです。
山伏 西日影沢コースの大岩

登山者と言うのは何故登山道上に岩を見かけると、こうしてつっかえ棒をかけたがるのでしょうかね。こんな棒切れ程度ではどうにもならなそうなサイズですが。
山伏 大岩の下に差し込まれたつっかえ棒

岩はオ-バーハングしており、雨宿りくらいは出来そうな軒下の空間が作り出されていました。この岩の下のスペースで、短く一本立てました。
下から見上げた、西日影沢コースの大岩

そして何のことはない。大岩の下から少し進んだ場所にわざわざベンチが用意されていました。休憩をするのなら、ここで取る方が良いと思います。
山伏 大岩の近くにあるベンチスペース

再び沢沿いを進みます。登るにつれて次第に狭窄になって行き、いよいよまっすぐには進めなさそうな様相になって来ました。
山伏 西日影沢コースの登山道

滝の目の前を横切るかのように、対岸へ渡る道が続いていました。いいですねこのルート。ちょっとした冒険感もあって、純粋に歩いていて楽しい道です。
山伏 西日影沢コースの登山道

登っても登っても新手の沢が現れて、どこかしこも水浸し状態です。安部川の源流にもなっているこの山伏は、つくづく水の山なんだなあと言う強い印象を持ちました。
山伏 西日影沢コースの登山道

登山道の脇に水場があり、冷たい水が滾々と湧き出ていました。西日影沢の登山道上には、ここの他にも数か所に水場が存在します。水の携行量については、そこまで神経質になる必要はない山だと思います。
山伏 西日影沢コースの水場

水場を過ぎると、沢沿いを離れて急登が始まりました。踵がいたくなるような急勾配で、グイグイと標高を上げて行きます。
山伏 西日影沢コースの急登
短期間で一気に標高差を稼ぎ出すことが出来るので、個人的に急登は嫌いではありません。

急坂を登り切った先には、またもや沢がありました。一体この山は、どれほどの量の水をその山腹内に蓄えているのでしょうか。
山伏 西日影沢コースの登山道

小さなガレ谷のフチに沿って登って行きます。この谷底が、西日影沢の本当の源頭部となっていました。
山伏 西日影沢の源頭

夏山らしく、ちょっとした木漏れ日程度であっても陽射しが圧倒的に強い。沢沿いから離れたことにより、徐々に熱くなってまいりました。
木漏れ日に照らされた落葉樹の葉

続いて今度は大崩落地を横断します。流石に高巻きの迂回路があるだろうと思いきや、目印のピンクテープは崩落地のド真ん中を横切るようにして続いていました。
山伏 西日影沢コースの崩落地

この崩落地の通過は、なかなか緊張を強いられる場面です。・・・とかなんとか言いつつ、しっかりと写真を撮っていたりする自分の事は全力で棚上げにして言いますが、くれぐれも素早く通り抜けてください。
山伏 西日影沢コースの崩落地からの眺め

崩落地を過ぎると。峠らしき場所が現れました。
山伏 蓬峠

9時10分 蓬峠に到着しました。西日影沢コースにおける第二のチェックポイントと言ったところです。これで谷底から尾根へと乗ったことになります。
山伏 蓬峠

3.山伏登山 登頂編 アブにたかられながら歩む、安倍奥最高地点への道程

峠を過ぎて以降は尾根沿いの道になるのかと思いきや、まだしばらくトラバースが続きます。片側は大きく切れ落ちているので、足元には要注意です。
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今歩いている尾根の谷向が、巨大な法面で覆われているのが見えました。これは大谷崩と呼ばれる大崩落地で、安倍川の源流の一つでもある大谷川の源頭となっている場所です。
山伏から見た大谷崩
この崩落地の歴史は古く、18世紀の江戸時代に発生した、宝永地震と呼ばれる南海トラフ地震によって形成されたものです。現在でも、大雨のたびに下流の安部川に大量の土砂を押し流している元凶となっています。

急坂はなおも続き、なかなか尾根には取りつけません。安倍奥最高峰を名乗っているだけの事はあって、侮りがたい防御力の持ち主です。
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先ほど「急登は嫌いではない」と言いましたが、あれは嘘だ。ものには限度があると言うか、ずっと登りっぱなしの疲労で徐々に足が前に出なくなって来ました。

僅かに視界が開けて、安倍奥の山並みが見えました。見えているのは十枚山(1,726m)のあたりでしょうか。未踏の山梨百名山なので、何れは登りに行かねばなりません。
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所々にこうしてベンチが設置されています。登山道は全般的によく整備されており、地元の人々に愛されている山なのであろうことが伺いしれます。
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ようやくにして尾根に乗りましたが、今度はすさまじい数のアブに纏わりつかれました。手拭いを振り回して、何とか追い払いつつ進みます。ええい、うっとおしいな。
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今のところ天気はピーカン照りであるようですが、午後からは崩れると言う予報となっております。山の神様の機嫌が変わらないうちに、山頂へと急ぎましょう。

大谷崩の最上部が見えました。なるほどゴッソリと崩れていますねえ。安部川が暴れ川として悪名高い理由の一つが、この大谷崩が勝手気ままに作り出す多量の土砂です。
山伏から見た大谷崩

このまま尾根上を行くのかと思いきや、またもや危なっかしいトラバースになりました。特に足場が細くなっている場所には、しっかりとお助けロープが張られていました。
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眼下にスタート地点の河原が見えました。かなり大きな標高差があるのが一目瞭然です。安倍奥の山の急峻さ加減が良くわかる光景ではないでしょうか。
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むらがるアブの大群に悪態をつきつつ、山頂に向かってラストスパートをかけます。
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平坦な空間が広がる場所へと飛び出しました。今回あえてスルーしていた、山伏山頂への最短ルートである百畳峠方面からの道との合流地点です。
山伏 西日影沢-百畳峠方面分岐

4.見ごろを迎えた、山伏山頂のヤナギラン群生地

この合流地点は厳密に言うとまだ山頂ではありませんが、ここまで登ってくればもう、ほぼ登頂したようなものです。
笹原が広がる山伏の山頂部

山伏の山頂部は、頭上が大きく開けた笹原となっています。かつてはこの一面にヤナギランが咲いていたと言うことですが、シカの食害により現在は保護柵の内側にしか残っていません。
笹原が広がる山伏の山頂部
そして予報の通りに、急激に天気が悪化してきていますねえ。従来山伏は富士展望にも優れた山であるのですが、この様子だと富士山の方は望みが薄そうです。

山頂の一部が、鹿よけの柵に覆われていました。これが今回のお目当てである、ヤナギランの群生地であるようです。
山伏のヤナギラン群生地

期待していた通り、今がちょうど見頃のド真ん中を迎えているところでした。素晴らしい。
山伏のヤナギラン群生地

柵の中に咲いているので、こうしてネット越しにしか鑑賞はできません。テレ端で絞りを開ければ手前のネットを溶かして消せるかと思いやってみましたが、残念ながら消せませんでした。まあ、所詮はF4通しの標準ズームですからね。
山伏のヤナギラン群生地

名前にランと含まれていますが、ヤナギランは蘭の仲間ではなくヤナギラン属に分類される独立した種族です。ランとよく似た花弁が、柳生の葉のように咲くことから命名されています。なんというか、そのまんまな名称ですね。
山伏のヤナギラン群生地

撮影に夢中になっている間に、友人に置いて行かれる。どうやら彼は、花には一切の興味がないようで。
山伏の山頂

10時40分 山伏に登頂しました。西日影沢コースは、なかなか骨のある道程でありました。百畳峠から登って来た登山者には、この達成感は到底得られまい。
山伏の山頂標識
ちょうどこの正面に富士山が見えるはずですが、案の定全く見えはしませんでした。夏山は、本当に雲が立ち登って来るのが早い。

山伏の山頂は、静岡県と山梨県の境界となっています。富士山が見える一番おいしい方角は静岡県に取られてしまっており、山梨百名山の標柱はその背後にひっそりとありました。
山伏の山梨百名山山頂標柱

山頂は広々としており、ヤナギラン目当てで訪れたのであろう、多くの登山者で賑わっていました。恐らく大半は、百畳峠から登って来たのでしょうけれど。
山伏山頂の様子

富士山がある東の展望は残念な状態でしたが、北側の南アルプス方面の展望はまだいくらか開けていました。
山伏山頂からの眺め

ここからは笊ヶ岳や赤石岳などの、南アルプス南部の山々が見えるはずですが、こう雲が多いと流石に山座同定は困難です。
山伏山頂からの展望

最後にお隣の八紘嶺方面の眺めです。八紘嶺とは尾根で繋がっており、縦走することも可能です。日帰りだとややシビアな行程にはなりそうですが。
山伏から見た八紘嶺

5.山伏登山 下山編 大粒な雨粒が落ちてくる中を駆け足下山する

11時15分 山伏山頂を後にして、下山に入ります。当初は大谷崩れ方面へ周回する事も検討していましたが、西日影沢ルートの登りだけで思いのほか体力を消耗てしまっていたので、計画をピストンに切り替えました。
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かつてはこの笹原一面がヤナギランに覆われていたと言うのだから、相当な規模であったことでしょう。いつかその光景がよみがえること願ってやみません。
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百畳峠への分岐を見送って、再び西日影沢に向かって降下していきます。
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「こんなに登ったっけ」といつもようにボヤきつつ、下山と言う作業に黙々と取り組みます。
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12時20分 蓬峠まで戻って来ました。ここに来て遂に、ポツポツと雨粒が落ち始めました。レインウェアを羽織るほどでもなかったため、ザックカバーだけを付けて下山を続行します。
山伏 蓬峠

再び油断のならない崩落地を下ります。下るうちに小雨を通り越して本降りの様相を呈してきたため、ペースを上げて行きます。
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急いで下るのには理由があります。沢沿いの道である西日影沢ルートは、増水が始まってしまうとそもそも通行不能となる恐れがあったからです。
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やはりレインウェアは羽織るべきではないかと思うような雨量になって来ましたが、雨の中を立ち止まってザックを広げるのも億劫であったので、下山を強行します。この後はもう、温泉に浸かるだけですしね。
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心なしか水が濁って来たようにも感じられます。それ急げと言う事で、駆け足に近いペースで一気に下りました。
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13時30分 何とか無事に山伏登山口へと戻ってこれました。脱出成功です。
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河原へ降りてくると、あれほど降っていた雨が嘘の様にやんでいました。そもそも地面が乾いており、やんだと言うよりは、最初から降ってすらいなかったようです。
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振り返って見ると、山の上の方にだけ雲がかかった状態でした。なるほどあれが雨の発生源でしたか。
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しかしここは、暴れることにかけては悪名高い安部川の源流域です。いつ山の上に降り注いだ雨が、車を停めている河原に殺到してこないとも限りません。先を急ぎましょう。

13時45分 駐車スペースに戻って来ました。往復で6時間20分程の山行きでありました。お疲れ様~。
西日影沢河原のの駐車スペース

車に乗り込み出発するなり、まるでバケツをひっくり返したかのような大雨が降り始めました。まさに間一髪のタイミングでした。
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あぶないあぶない。レインウェアも着ずに下山を急いだのは、結果としては大正解でした。・・・山をナメるなおじさんに聞かれたら、怒られてしまいそうな判断でしたがね。

以前に紘一嶺に登った際にも立ち寄った、日帰り入浴専門施設の黄金の里に立ち寄って行きます。風呂から上がる頃には、雨脚もだいぶ弱まっていました。
梅ヶ島温泉 黄金の里

静岡市街地の近くまで戻ってくると、頭上には嘘のような青空が広がっていました。雨に見舞われたのは、ごく一部の山間部だけであったようで。なんという間の悪さでしょう。ぐぎぎぎ。
220731山伏-083

これだけ早い時間帯なら、まだ高速は渋滞していないだろう。そんな甘い期待は、完膚なまでに打ち砕かれました。結局何時に通ろうが絶対に渋滞する東名高速道路に悪態をつきつつ、長い長い帰宅の途につきました。
東名高速道路の渋滞案内板

山伏は、いかにも安倍奥の山らしく深く切り立った谷の奥に、ひっそりと佇んでいました。ヤナギランだけが目当てであるのなら百畳峠からのピストンでも良いですが、山伏そのもの魅力を味わいつくしたければ、やはり西日影沢コースを登ることを強く推奨します。
今回は展望に関しては少々残念な状態でありましたが、晴れていれば静岡の秘境安倍奥の一円を広く見下ろすことのできる好展望の頂です。山梨百名山に興味があるなしの如何にかかわらず、あらゆる人に自信をもってオススメすることのできる一座です。
静岡の秘境オクシズの展望と、秘湯のお温泉とを楽しみ遥々訪れてみてはいかがでしょうか。

<コースタイム>
駐車スペース(7:25)-大岩(8:25~8:35)-蓬峠(9:10~9:15)-山伏(10:40~11:15)-蓬峠(12:20)-駐車スペース(13:45)

山伏山頂での記念撮影

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. もうもう より:

    オオツキ様

    オクシズは聞いたこと有るのですが場所がよく分からなかったので調べてみたところ、光岳に近いんですね。天気が良ければ悪沢岳とか見れたりするのでしょうかね?晴れていれば眺望の良さそうなところですね。

    ヤナギランやニッコウキスゲなど鹿による被害が多いですね。最近はクルマに引かれている鹿も遭遇するので問題が多いですが、駆除されるのもかわいそうだし何とも言えません。

    今回のブログに関係なくで申し訳ありませんが、五竜岳の牛首と八ヶ岳赤岳から横岳はどちらが怖かったですか?今年は行けそうもないですが灼熱の遠見尾根登りたくないので唐松からと迷っています。(クサリ場は西穂の独標とか乾徳山の経験程度)もちろん何が有っても自己責任です。

    • オオツキ オオツキ より:

      もうもうさま
      コメントをありがとうございます。

      晴れていれば山伏山頂からは、赤石岳や聖岳、荒川岳など南アルプス南部の主稜な山の大半が見えます。晴れていれば。

      お尋ねの件ですが、牛首と赤岳横岳縦走とでは難易度的にあまり違いは感じられず、似たり寄ったりです。足場が思いっきりナナメッている個所がある牛首の方が少し難しいかもしれません。

      信州山のグレーディングでも、どちらも難易度C(5段階中3)の扱いです。