
群馬県高崎市と渋川市の境界にまたがる相馬山(そうまやま)に登りました。
榛名山を構成する複数のピークの中の一つで、最高峰の掃部ヶ岳(かもんがたけ)に次ぐ2番目の高峰です。榛名山の外輪山からは少し外れた位置にある寄生火山あり、非常な急峻な山容を持ち古くから修験道の対象となってきた信仰の山でもあります。
中腹にある榛名神社からスタートして、伊香保温泉を目指して夏の榛名山を横断してきました。
2025年8月30日に旅す。
榛名山は赤城山と妙義山と合わせて上毛三山とよばれる山群を形成している山です。高崎や前橋の市街地からもよく姿が見えて、赤城山と双璧をなす群馬県の象徴的な存在の山です。

山頂部の外輪山の中にある榛名湖の湖畔まで車道が通じており、観光地としての側面が非常に強い山です。榛名山の中腹には、古くから温泉街として名高い伊香保温泉があります。

この前回訪問時の感想とまとめとして私は、「小さな山の上り下りを繰り返しているようであまり楽しくはなかった」「榛名神社からスタートして登った方が、より榛名山に登った感が出せて良いと思う」と述べました。
そのように勧めておきながら、自分では実際に歩いたことも無いというのは、いささか不誠実と言うものでしょう。と言うことで再訪となる今回は、榛名神社から登ってきました。

前回の訪問時に1度登っている掃部ヶ岳は目指さずに、榛名山第2の高峰である相馬山に登りつつ、伊香保温泉を目指して歩きます。榛名山を横断する行程です。

通り道のすぐ近くにあることから、物のついでくらいのつもりで登った相馬山でしたが、かつては修験の山だったということだけあって、なかなか急峻で骨の折れる道程でした。
暑さにだいぶ苦しめられつつも、当初計画の通りに伊香保温泉まで歩いて来ました。途中でいろいろと寄り道をしつつ、まる一日をかけて夏の榛名山を横断してき1日の記録です。

コース

榛名神社バス停よりスタートして、まずは榛名神社を参拝します。神社から関東ふれあいの道に沿って外輪山まで登り、途中でゆうすげの道に寄り道しつつ相馬山に登頂します。
下山はヤセオネ峠を経由して、伊香保温泉まで歩きます。累計の標高差はそこまで大きくはありませんが、歩行距離的にはそこそこ長めとなる行程です。
1.榛名山登山 アプローチ編 公共交通機関で行く上州への旅路
6時30分 JR東京駅
新幹線ホームよりおはようございます。常日頃より高崎は鈍行圏内であると公言しているドケチ倹約家ハイカーの私ですが、今朝は寝坊してしまいました。バスの時間に間に合わせるために、やむおえず新幹線を奮発します。

運賃はおよそ3倍近くになりましたが、されど得られた快適さはプライスレス。と言うことで、快適な新幹線のシートで発車した直後からすぐに寝落ちしました。
7時35分 高崎駅に到着しました。さすがは新幹線。高いけれど早い。早いけれど高い。

鈍行だとバスの時間に間に合いませんが、さりとて新幹線では今度は到着が早すぎるという、なんとも間の悪い悪寝坊のしかたをしてしまいました。1時間近い待ち時間が発生してしまったので、こちらのぐんまちゃん駅で時間調整をしていきます。

8時30分発の榛名湖行きのバスに乗車します。朝ちゃんと起きれてさえいれば、鈍行列車で来ても全然間に合う時間だと言うのに、随分と高くついた寝坊でありました。まあリカバリーできただけでも良しとすべきなんでしょうが。

9時40分 榛名神社バス停に到着しました。公共交通機関の利用を前提とした場合は、この時間がこの場所に降り立つことのできる最速の時間となります。

朝から気温はジリジリと上昇を続けており、登山を始める前からもうすでに暑いです。今日も暑さに苦しめられる一日となりそうです。
往路のバス停は、榛名神社方面への分岐を少し通り過ぎた場所にあります。と言うことで、到着して早々ですが少し元来た方向へ戻ります。

道路を跨いだ大鳥居が立っています。正式な名称は榛名歓迎ゲートタワーと言い、高さは16メートルあります。これ、タワーなんだ。ずいぶんと和洋折衷なネーミングですね。

2.深い森と巨岩・奇石に囲まれた榛名神社
歓迎ゲートタワーをくぐって先へ進むと、坂道の両脇は宿坊が立ち並ぶ門前町となっていました。実は榛名神社について何の事前情報もなしに訪れていたのですが、およそ1500年の歴史を持つ上州でも指折りの古社であることを現地で知りました。

神社の入口まで登ってきました。こちらの青銅製の鳥居は二の鳥居で、一の鳥居はもっと山の麓の参道入口にあります。

入口の直ぐ奥に社殿があるのかと思いきや、立派な随神門の先にさらに道が続いていました。

鋭く切り込まれた渓谷に沿って、さらなる奥へと参道が伸びています。榛名神社のことを山中によくあるごく普通の神社だと思っていた私は、どうやらそうではないらしいということにようやく気が付き始めました。

千本杉と呼ばれている、見上げる高さの杉並木が続いています。さすがに千本はなさそうですが、他の神社であれば確実にご神木の扱いをされそうなサイズの巨木が立ち並んでいます。

布袋(ほてい)の像が置かれています。通りすがりにみんなお腹の部分を撫で行くらしく、そこだけが磨かれたかのようにテカテカの状態になっていました。

神宝殿だという三重塔が立っています。そもそも神宝殿とは宝物殿と何が違うのか軽く調べてみましたが、さっくり言うと一般公開されている宝物を収蔵しているのが宝物殿で、非公開のものを収蔵しているのが神宝殿です。

断崖絶壁のすぐ脇を行くような際どい道が続いており、なかなか社殿が現れません。こうした険しい山中にある寺院のことを一般的に山寺と呼びますが、寺院ではなく神社の場合には何と呼ぶのが適切なのでしょうか。山社?

厳ついロックシェッドに覆われています。大昔は、それこそ参拝するのも命がけだったのかもしれません。

今度は弁天様がいました。真面目に見ていませんでしたが、どうやら七福神が全員揃っているようです。

先ほどの千本並木よりもはるかに巨大な、見上げる高さの巨木が立っています。かなり引いた位置からでもファインダーに収まりきらないサイズです。ぱっと見で30メートル以上はありそうです。

国の天然記念物にも指定されている、榛名神社の矢立杉です。榛名神社へ戦勝祈願に訪れた武田信玄が、この木の下に弓矢を置いたと言う伝承が残っています。樹齢は推定500年とのこと。

今度は岩の隙間を潜り抜けるかのように参道が続いています。ここは城址ではなくて神社なわけですが、どこか城塞らしさが感じられる地形です。こんな場所によく神社を建てましたな。

登っても登っても新たな門扉が現れるだけで、一向に本殿にたどり着きません。よもや榛名神社がこんな凄い場所だとは思っておらず、出発前にちょっとお参りして行くかくらいのつもりでいた私は、大いに驚かされました。

榛名山に登るためではなく、純粋に榛名神社を見に来るためだけに訪れる価値は、十分すぎるほどにあると思います。
ここにも見上げる高さの巨木が立っています。これだけ巨樹だらけなのは、神域として長きにわたり斧鉞が入ることもなしに守られてきた結果なんでしょうね。

肝心の本殿ですが、改修工事中と言うことで養生シートに覆われていました。ここまでの圧巻の光景のから、本殿もさぞや荘厳な建物なのだろうと期待していただけに、これはちょっと残念でした。

3.堰堤と共に歩む関東ふれあいの道を行く
10時15分 何やら登山開始前からもうすっかり満足してしまいましたが、ここからが本題です。榛名神社を後にして、これより登山の部へと移ります。

こちらの門扉は江戸時代の榛名山番所跡です。榛名山に登る登山者から協力金と言う名の入山料を徴収していた・・・わけないですね。大戸関所を通る信州街道の脇道(裏往還)を行こうとする旅人を取り締まることを目的としていました。

今から歩こうとしているルートは、首都圏在住の登山者にはおなじみの存在である、関東ふれあいの道に組み込まれています。

番所跡をくぐって進んでゆくと、見上げる高さの巨大な堰堤が現れました。国指定登録有形文化財にもなっている、榛名川上流砂防堰堤です。榛名神社を土砂災害から守る目的で、昭和30年に建設されました。

こういう普段は脚光を浴びることのない縁の下の力持ち的な建設物が、しっかりと評価されて文化財にまで登録されているのは良いですね。大いに興味を惹かれます。
堰堤の脇から山道へと分け入ってゆきます。こうした頭上が開けている場所に出るなり、ギラギラの直射日光に照らされて、途端に大粒の汗が噴き出してきます。明らかに真夏に登るべき山ではないのだよな。

堰堤の上に堆積した土砂の上にまで、木々が茂り深い森が広がっていました。堰堤のおかげもあってか、もう長らく土砂災害は発生してはいないようです。

ここにはもともと丸太橋がかかっていたようですが、流出してしまっているので渡渉します。前日が雨だったこともあり、かなりの水量で渡るのに少々難儀しました。

沢沿いから離れて以降は、よく踏まれている明瞭明快な道が続いていました。流石は信頼と実績の関東ふれあいの道クォリティです。

植物が最も勢いを増す季節だからと言うのもあるのでしょうけれど、まるで密林であるかのような緑の濃さです。一目で雨が多い土地なのだろうなと言うのが察せられます。

榛名川の最上流部である外輪山稜線のすぐ近くまで、堰堤が整備されています。流れているのは当然榛名湖から来た水ですが、自然に流出しているわけではなく、外輪山を貫く水路トンネルによって引水されています。

針金で木にくくられた札に、関東ふれあいの道と書かれていました。道標ではないこんな投げやりな案内を見たのは初めてかもしれません。整備予算不足なんですかね。

榛名湖からの水路トンネルについての案内板が置かれていました。こうやってしっかりと、そこにあるものについての解説してくれるのも、関東ふれあいの道の良いところです。

書いてある内容をさっくりまとめると、高崎の町は高台の上にあるため、古来より農業用水を得るのが難しかった。
鳥川を堰き止める長野堰用水によって水を得ていたが、それでも不足するようになったため、榛名湖からの水を引き入れるための水路トンネルが作られた。とのこと。
この榛名川自体はもともと存在していた自然河川であったようですが、そこへさらに水路トンネルによって大量の湖水を引き入れているということのようです。
11時20分 外輪山の稜線まで登ってきました。現在地は榛名湖の南側に連なっている尾根上で、前回訪問時に「登っても特に良いことはなさそう」と言う理由によりスルーした場所です。今回はしっかりと回収して行きますよ。

4.登っても特に良いことは無い氷室山と天目山
尾根上に出て以降も、依然として関東ふれあいの道クォリティの明瞭な登山道が続いています。ただ足元の土はかなりフカフカしていて柔らかく、あまり歩かれてはいなさそうな雰囲気が漂っています。

樹木の隙間から、榛名湖とその対岸にある烏帽子ヶ岳(1,363m)の姿が見えています。なかなか凄い外観をしているピークですが、あちらも登っても特に良いことはありません。

途中からはひたすら木階段が続いています。平標山や仙ノ倉山の登山道にあるのと同じ形状の、かなり厳つい造りの階段です。

榛名山は冬の間に豪雪に埋もれたりはしない山なので、ここまで丈夫そうな構造の木階段が必要になるとも思えませんが、これが群馬県の登山道整備における標準仕様か何かのでしょうかね。
榛名湖の周囲を囲んでいる外輪山の山々を一望出来ました。左から順に鬢櫛山、烏帽子ヶ岳および榛名富士です。いずれも前回訪問時に巡った外輪山のピークです。

背後には榛名山最高峰の掃部ヶ岳(1,449m)が見ています。榛名山に登ると言えば、普通はこの掃部ヶ岳の山頂を目指すものだと思いますが、今回は前回の取りこぼしを回収しつつ伊香保温泉を目指す行程であるため登りません。

展望スポット過ぎてほどなく、山頂らしき場所が現れました。あはははは、これはまた見るからに地味ですねえ。

11時40分 氷室山に登頂しました。予想していた通りの、特に何もない地味な頂です。だがしかしそれが良い。

腰掛られるようなスペースすらほぼないような狭い山頂なのですが、ちょうど小腹が空いてきたところだったので、一本立てて弁当を広げました。
腹も満たされたところで行動を再開します。山頂からはからは一度しっかりと下ります。

樹木の隙間越しに、次に目指す天目山らしき山のシルエットが何となく見えています。なんというか、あちらもすごく地味そうです。

階段地獄はなおも続く。それほど大きなアップダウンではないのですが、先ほどから蒸し暑さでへばり気味で、一向にペースの上がらない苦しい展開です。大事なことなので2度言いますが、明らかに真夏に登るべき山ではないのだよな。

山頂の周囲では、木階段が完全に笹に埋もれてしまっていました。本来この山は、木階段が整備されていなかったら、立ち入ることすらもままならないような藪山なのでしょう。

山頂らしき場所まで登ってきました。先ほどの氷室山よりはずっと広々としており、ベンチもあります。昼食休憩は氷室山ではなくここで取るべきでしたね。失敗しました。

12時25分 天目山に登頂しました。道標が山頂標識を兼任しているような、地味で静かな頂です。それで、登ってみて何か良いことはあったかと問われると、まあ特には無かったと思います。

展望はほぼありませんが、わずかな樹木の隙間から高崎の町並みが少し見えました。

先へ進みましょう。毎変わらずの木階段の道を、七曲峠に向かって下ってゆきます。

途中からは完全に笹藪に没していました。関東ふれあいの道らしからぬ体たらくです。よほど歩く人が少ないのでしょう。・・・登っても特に良いことが無いですから。

12時45分 七曲峠まで下ってきました。関東ふれあいの道はこのまま道を横断して尾根沿いに続いているのですが、ここから少しばかり寄り道をして行きます。

5.榛名山の山上に広がる湿原のお花畑、ゆうすげの道
峠から榛名湖方面に向かって、車道を下って行きます。榛名湖の東側に広がる沼ノ原湿原にある、ゆうすげの道に寄り道するためです。なんでも、ゆうすげをはじめとした様々な種類の花が咲くお花畑になっているのだとか。

前方に烏帽子ヶ岳にもよく似た急峻なシルエットのピークが見えています。あれが掃部ヶ岳に次ぐ榛名山第2の高峰である相馬山です。ゆうすげの道を散策した後は、あの山へ登るつもりでいます。

外輪山の上から、榛名湖の湖畔を通る県道沿いまで下ってきました。榛名湖があるのは左方向ですが、反対の右へ進路を転じます。

ちょうど真正面に相馬山が見えています。しれっと榛名外輪山の一部であるかのような顔をしていますが、成り立ちは後から生えてきた寄生火山です。箱根の金時山みたいなものです。

かつては修験の山だったというだけのことはあって、なかなか防御力の高さそうな姿をしています。クサリ場や鉄はしごなどのアスレチック要素があるらしいので、とても楽しみです。
左手には榛名富士が佇んでいます。ロープウェイで山頂まで登れてしまうため、登山の対象と言うよりは観光地と考えた方が良さそうな一座です。

前方のヤセオネ峠に向かって、県道が大きく登って行っているのが見えます。本日のゴール地点となる予定の伊香保温泉は、この峠を越えた先にあります。

ゆうすげの道への案内が現れたところで、県道を外れて脇道に入ります。

現在地は沼ノ原湿原と呼ばれている場所です。沼ノ原はかつては榛名湖の一部でしたが、その後土砂の堆積によって分断されて湿地化し、現在に至っています。

13時5分 ゆうすげの道入口まで歩いて来ました。湿原の中を散策するための木道が整備されています。

夏の沼ノ原は、様々な種類の花々が咲くお花畑となっています。その中でも主役と言えそうなのが、道の名称にもなっているゆうすげです。

ゆうすげはニッコウキスゲとよく似た外観のユリ科の多年草です。名前の通り朝ではなく夕方ごろに咲くのが特徴で、ニッコウキスゲと同様に一日咲いただけで枯れてしまう一日花です。
見頃を迎えるのは例年7月中旬から8月中旬にかけてとのことで、残念ながらもう既にシーズンは終わってしまっています。つぼみらしきものがかろうじて数輪残っていたので、夕方まで待てば咲いているところを見れたのかもしれません。

ゆうすげに代って今の時期の主役を務めているのは、このマツムシソウです。そこかしこに花を咲かせています。

これはツリガネニンジンかな。こちらももうほぼ終わりかけの状態です。

この黄色いシモツケソウのような外観の花は、たぶんオミナエシだと思います。この花に限らず、私が述べているは花の名前は基本的にすべて(たぶん)が付きます。

湿原と言っても沼ノ原は既にかなりの乾燥化が進行しており、実態としては草原です。現在のようにお花畑が広がる環境がいつまで保たれるのかは、全くの未知数です。訪問を考えている人は、早めに見に行った方が良いかもしれません。

ゆうすげの道の散策を終えたところで、再び関東ふれあいの道のルート上に復帰します。

磨墨峠方面に向かって登り返します。途中に道標もないY字の分岐がありましたが、結論としてはどちらに進んでも関東ふれあいの道に合流出来ます。

何事もなかったかのように、尾根上の道に戻って来ました。それほど大きな回り道にはならないので、花が咲く季節であれば断然ゆうすげの道を経由することを強く推奨します。

13時20分 磨墨峠(するすとうげ)まで歩いて来ました。現在地は明らかに最低鞍部ではなく上り坂の途中ですが、かつてはこの地点を峠道が越えていたということでしょうか。

沼ノ原を挟んだ向かいに、榛名富士の姿がよく見えています。榛名湖のある側を表とするなら、これは裏側から見た姿になります。どちら側から見てもほとんど変わり映えのしない、きれいな円錐形をしています。

背後の天目山がある方に視線を向けると、垂直に切り立った岩が立っています。磨墨峠と言うこの難読な地名の由来となっている、その名も磨墨岩です。

クサリがあって一応は登ることも可能らしいです。磨墨とは粉ひき用の石臼のことで、この岩がまるで臼のように見えることから付けられた名前だと伝わっています。

6.クサリや梯子の急な登りが続く相馬山
磨墨峠を過ぎると、相馬山に向かって尾根は再び標高を上げ始めました。足元は相変わらずの圧倒的階段地獄が続いています。

14時 相馬山への分岐地点まで登ってきました、ここから山頂をサクッと往復してきます。

まあ実際のところ、相馬山はサクッと往復できるほど易しくはありません。それはこの後にたっぷりと、身をもって味わうことになります。
入口の鳥居の脇に、レンゲショウマがポツポツと咲いていました。咲いている場所が結構限られている花なので、見かけただけでなんだか得をした気分になれます。

登り始めからいきなりの急登です。遠目から見た時の外観からしてあれだけ急峻だったわけですから、まあ当然と言えば当然です。

修験の山らしい、大きな輪っか状の鎖もありました。この鎖に関しては、使わなくても普通に登れます。さしずめ修験の山らしさを演出するための小道具と言ったところでしょうか。

続いて今度は鉄の梯子が現れました。垂直ではなく斜めの梯子で、高度感はそこまでありませんが、だいぶ歪んでいるのが恐怖心を煽り立てます。

梯子は結構長々と続きます。相馬山はそんなに人気の高い山ではないため、渋滞したりすることはまず無いでしょうが、先はまったく見えないので、すれ違いが発生すると面倒なことになりそうです。

入口に続いてまた鳥居がありました。もう山頂についたかと思いきや、まだまだ途中でした。それほど大きな距離があるわけではありませんが、先ほどから尋常ならざる蒸し暑さも相成ってか、なかなか苦しい登りです。

やはりどう考えたって夏に登るような山ではないのですが、さりとてゆうすげの道に花が咲くのは主に夏なので、花を見たかったらこの暑さは受け入れるほかありません。

先ほどから止めどもなく汗が流れ落ち続けており、このままのペースで登り続けるとオーバーヒートして熱中症になりそうな予感しかしません。もう登山は切り上げて、今すぐにでも温泉に飛び込みたい気分です。
3度目の鳥居が現れました。もう流石にそろそろ山頂でしょう。と言うか、そうであって欲しいです。

そんな願いが届いたのか、山頂に立つ黒髪山神社の建物が姿を見せました。本当にどうでも良いことですが、私とはきわめてご縁が薄そうな名称の神社です。

14時25分 相馬山に登頂しました。いやはや、短いながらもなかなか厳しい登りでした。修験の山らしさがあって、小粒ですがとても良い山だと思います。暑く無ければね。

山頂は東側が広く開けており、眼下に果てしなく広い関東平野を一望することができます。ただ本日は残念ながら夏らしく空気が霞んでしまっており、遠くはまったく見えません。

今ちょうど真正面に見えているのが前橋で、右の方にあるのが高崎です。群馬県における2大都市であり、お互いに対抗意識むき出しで張り合っているのだとか。まあ立川と八王子の関係みたいなものでしょうか。
以前はこの山頂から尾根沿いに直接伊香保方面へ下って行ける登山道が存在したらしいのですが、崩落により通行止めとなっています。そのため現在はピストンしかできません。

と言うことで、もと来た道を引き返します。この梯子地帯は、行きは良い良い帰りは恐いです

15時10分 だいぶへっぴり腰になり、結構な時間をかけつつ分岐まで戻って来ました。時間が押してきてしまったので、ここから先は少しペースを上げていきましょう。

7.伊香保温泉までの長い舗装泥歩き
再び関東ふれあいの道に沿って、ヤセオネ峠方面へ進みます。この辺りはほとんど標高差もなく、ほぼ平坦な道です。

伏見稲荷並みとまでは言いませんが、鳥居がやたらとたくさん立っていました。こうした趣向の神社はたまに目にしますが、鳥居を重ね合わせることで霊的な守護の力(?)が高まるものなのでしょうかね。

15時30分 ヤセオネ峠まで歩いて来ました。伊香保温泉と榛名湖を結んでいる、群馬県道33号線が通っている峠です。一部の人にカルト的な人気を博している漫画、頭文字Dに出てくる秋名山のモデルになっている場所です。

運行本数はあまり多くありませんが、ヤセオネ峠には渋川市コミュニティバスのバス停があります。もう歩くのには飽きたと言う人は、ここからバスに乗って伊香保温泉までワープすることも可能です。
待ち時間によってはバスに乗るのもアリかとは思いましたが、結構待つようなのでこのまま当初計画の通りに歩いて行きます。峠から伊香保森林公園方面へ続く脇道に入って行きます。

前方に見えているのは二ツ岳と言う名称のピークです。あの山を越えていくルートも存在しますが、私の頭の中はもうすでに温泉モードに切り替わってしまっているので、巻いて行きます。ピークハントよりも、早く温泉に入りたい。

二ツ岳方面への分岐を見送り、伊香保温泉と書かれた道へ進みます。ここからはまた少しだけ登山道の区間になります。

陽が傾いて来ました。途中でいろいろと寄り道をしたからと言うのも当然あるのでしょうが、思いのほか時間が遅くなってしまいました。

すぐ横に二ツ岳が見えています。鬱蒼とした森に覆われていて、見るからに登っても良いことは無さそうなオーラが漂っています。ツツジが見事らしいので、もし登るのであれば5月頃の訪問がよさそうです。

サクサクと下って車道まで降りてきました。ここから山ノ上公園までの区間は舗装道路歩きになります。結構長いので頑張って歩きましょう。

16時20分 伊香保森林公園案内所まで歩いて来ました。ここには公衆トイレがあるほかに、飲み物の自動販売機があります。既に飲み水が尽きかけていたので、大いに助けられました。

案内所の前に花壇があり、ここにもレンゲショウマが咲いていました。

この先も舗装道路歩きが長々と続くのですが、読者の皆様を退屈させるのも忍びないので、バッサリと中略いたします。
17時 場面は飛んで山ノ上公園の見晴駅まで歩いて来ました。伊香保温泉との間を結んでいるロープウェイがあるのですが、すでに営業時間は終了しており辺りは静まり返っていました。あら残念。

8.伊香保温泉でひと風呂浴びる
営業終了してしまったものは仕方がありません。最後まで歩いて降りましょう。ここはもう完全に観光地の領域であるため、道は舗装されています。

下の方はすべて階段です。物見遊山気分で登って来た観光客は涙目になるのではなかろうか。

思いのほか長々と下らされて、ようやく伊香保温泉の町並みが見えるところまで下ってきました。

ホテルの建物の先に、子持山(1,296m)が佇んでいました。右側の稜線上に、この山の象徴的な存在である獅子岩も小さく見えています。そういえば確かに、獅子岩の上からは榛名山の姿が良く見えていたっけか。

17時20分 伊香保神社まで下ってきました。伊香保温泉と言えば石段があまりにも有名ですが、その石段を一番上まで登り切った地点にあるのがこの神社です。

ちなみにこの伊香保神社は上野国の三宮で、榛名神社は六宮だそうです。一介の訪問者である私が受けた感銘の度合いで言えば榛名神社の方がずっと大きかったのですが、そもそも神社の格式を決めている基準とはいったい何なのだろうか。
と言うことで、今度は石段を下って行きます。見晴駅からここまで散々階段を下って来たのに、さらなる階段のお代わりをもらおうとは。もう階段はお腹いっぱいなんですけれど。

今でこそ女性や子供でも安心安全の小奇麗な温泉地となっている伊香保温泉ですが、かつては団体旅行でやってきたおっちゃん達がピンクコンパニオンを侍らせて乱痴気騒ぎするような、いかがわしい感じのする歓楽街でした。

小奇麗になること自体は大変結構なことですが、水清ければ魚棲まずと言うか、妖しげなネオンが煌めく歓楽街はそれはそれとして世の中に必要なものであると個人的には思います。
最近は熱海もすっかり小奇麗になってしまったし、鬼怒川温泉は廃墟だし、歓楽街と呼べるような温泉地はほとんどなくなってしまいました。別府はまだ健在なのかな。
射的屋がやたらと多いのも、古くからあるレトロな温泉街の一つの特徴です。

石段の途中にある、こちらの日帰り入浴専用施設の石段の湯に立ち寄って行きます。若干うろ覚えですが、入浴料はたしか800円だったかな。

伊香保温泉はまるで泥水のようにも見える茶褐色の湯が特徴です。これは酸化鉄が多量に含まれているためで、匂いもかなり独特です。私は好きですが、人によって好みは分かれるかもしれません。
ひと風呂浴びた後は、いつものようにソフトクリームで締めます。これも最早ルーティンワークのようなものです。

石段の一番下にあるモニュメントの前まで下ってきました。ですが実は、帰りの渋川駅行きのバスが発着するのは、石段の下ではなく上にある伊香保バスターミナルからなんです。

では一体何をしに下りてきたのかと言う話になりますが、このモニュメントを見るためだけに下りてきました。と言うことで無事に目的は達成されたので、また上まで戻ります。
まったく先ほどから登ったり下りたりと、我ながらいったい何をしているのやらです。
登り返しは石段ではなく裏通りを通ってみます。何件かのスナックが軒を連ねており、歓楽街だった時代の名残が微かに残っていました。と言っても、ほとんどがシャッターを下ろしていましたけれどね。

18時20分 伊香保バスターミナルに到着しました。渋川駅行きのバスは21時近くまであるので、帰路の時間についてはそこまで神経質になる必要はありません。

伊香保ロープウェイの山麓駅は、バス停のすぐ目の前にあります。営業時間内に間に合えば、山ノ上公園からここまで一気にワープすることが可能です。

向かいに、つい1か月ほど前に登って来たばかりの小野上三山が見えています。逆にあちらの山頂からは榛名山の姿がよく見えていました。全国区の知名度は無いに等しい山ですが、伊香保温泉から見るとかなりの存在感があります。


18時40分発の渋川駅のバスで撤収します。時間帯にもよりますが、バスは概ね1時間に2~3本あります。何なら上越線よりも運行本数が多いくらいです。

帰りは新幹線は使わず、鈍行列車に揺られて長い長い帰宅の途につきました。

自身2度目の訪問となった榛名山でしたが、実際に自分の足で歩いてみた感想としては、やはり榛名湖からスタートして外輪山を一周するよりも、榛名神社から登った方がずっと満足度は高いと感じました。まず榛名神社自体に非常に多くの見所があり、ここをバスに乗ったまま素通りしてしまうのは、あまりにもったいないことだと思います。
ともするとボリューム不足とも捉えられがちな榛名山ですが、外輪山まで登って以降は、実に様々な選択肢が考えられます。最高峰の掃部ヶ岳を目指すもよし。山には登らずに榛名湖の周辺を観光するもよしです。
自分好みのルート計画を携えて、山でもあり同時に観光地でもある、この上州きっての名峰を訪れてみてはいかがでしょうか。
<コースタイム>
榛名神社バス停(9:40)-榛名神社(9:50~10:15)-氷室山(11:40~11:55)-天目山(12:25)-七曲峠(12:45)-ゆうすげの道入口(13:05)-磨墨峠(13:20~13:45)-相馬山(14:25~14:45)-ヤセオネ峠(15:30)-伊香保森林公園案内所(16:20)-見晴駅(17:00)-伊香保神社(17:20)-伊香保温泉バス停(18:20)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。





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