赤城山(篭山) 利平茶屋森林公園のアカヤシオ群生地を巡る

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群馬県前橋市、桐生市などにまたがる赤城山(あかぎさん/あかぎやま)に登りました。
群馬県の象徴的な存在となっている、広大な裾野を引く古い火山です。赤城山登山と言えば一般的には、最高地点の黒檜山に登ることを指す場合が多いですが、今回は鳥居峠の東側の斜面上に広がるアカヤシオ群生地を目的にした訪問です。
ピークを目指さない登山で、アカヤシの咲く尾根道を満喫してきました。

2025年4月27日に旅す。

群馬の誇り赤城山は、複数のピークによって構成される成層火山です。今回訪れた篭山(かごやま)は、赤城山にあるピークの一つです。鳥居峠のすぐ傍らにちょこんと立っている、ごく小さな山です。
鳥居峠から見た篭山
この山自体に特にこれと言った見所がある訳でもありません。にもかかわらず、4月の中旬からゴールデンウィーク頃にかけて多くの登山者が訪れます。

その理由は、篭山の東側斜面上に大規模なアカヤシの群生地があるためです。この群生地の規模はかなり広域に及んでおり、最盛期には斜面上のそこかしこがピンク色に彩られる圧巻の光景を見せてくれます。
鳥居峠から見たアカヤシオ群生地

マイカー登山をする人であれば、篭山東側斜面の中腹付近位ある利平茶屋森林公園の駐車場を起点とした周回ルートを取ることが出来ます。
利平茶屋森林公園の駐車場
マイカー登山をしない人である私は、公共交通機関を利用してアクセスが可能な鳥居峠からスタートして、最初に下ってから登り返す形の周回ルートを歩いて来ました。山登りならぬ山下りです。

肝心のアカヤシオは満開御礼の状態で、見事なアカヤシオのトンネル状態になっていました。ただ、ひとつ重要な申し送り事項がございまして、このルートは管理されている一般登山道ではありません。一部危険な個所もあります。
赤城山のアカヤシオ
文句なしに素晴らしきアカヤシの群生と、そこそこ危ない道なき道を周回して来た1日の記録です。

コース
赤城山 篭山アカヤシオ群生地周回のコースマップ
バスでのアクセスが可能な鳥居峠を起点して、篭山のアカヤシオ群生地を周回します。登山地図には記載がない、いわゆるバリエーションルートを巡る行程です。

1.赤城山登山 アプローチ編 電車とバスで行く赤城山への旅路

6時11分 JR上野駅
今日も新幹線ではなく高崎線の鈍行列車で高崎を目指します。そこそこの長丁場ではあるのですが、一度乗ってしまえさえすればあとは乗り換えなしの1本で行けます。寝ている間に運んで貰えるので気楽なものでZzzzz。
上野駅の在来線ホーム

8時3分 いつものように電車が動きだすなり完全爆睡している間に、何事もなく高崎駅に到着しました。
高崎駅の在来線ホーム

続いて両毛線に乗り換えます。乗り換え時間は4分しかないので、テキパキと素早くと行動しましょう。以前は高崎線から前橋駅まで直通運転する、快速アーバンなるものが存在していたのですが、いつの間にか廃止されていました。
高崎駅の両毛線ホーム

8時21分 前橋駅に到着しました。前橋は群馬県の県庁所在地なのですが、高崎と比べるとだいぶ閑散としています。
前橋駅のホーム
以前、前橋出身の知人に上記の内容を言ったところ、ガチギレされたことがあります。でもどう考えたって都市としての規模は高崎の方がずっと上だし、いっそ高崎を県庁所在地にしてしまった方が丸く収まるんじゃないですかね?

聞いた話では、福島県の福島市と郡山市の間にも、やはり同じような対抗意識による緊張関係が存在するのだそうです。群馬や福島出身の人が近くにいる時は、発言に十分気を付けましょう。口は禍の元です。

8時27分発尾赤城広場前行きのバスに乗車します。この路線はだいたいいつも混雑するので、到着したら早々と並んでおきましょう。
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いつも混んでいると言うことはつまりそれだけ需要があると言うことだと思うのですが。しかしこの赤城山直通バスは年々運行本数が減り続けています。

利用者減と言うよりは、運転士不足が原因なのでしょう。

9時37分 覚満淵入口バス停に到着しました。鳥居峠最寄りのバス停は赤城山ビジターセンター前なのですが、現在工事中のため停車しないとの案内があったため、こちらで下車します。
覚満淵入口バス停

2.覚満淵を散策しつつ鳥居峠へ

せっかく入り口で降りたのですから、鳥居峠に向かう前に軽く覚満淵を散策して行くことにしましょう。覚満淵とは鳥居峠のすぐ傍らに広がる小湿原です。
覚満淵

環境保全のため湿原全体が鹿よけの柵に覆われています。この扉ではなく入口が狭くなっているタイプのゲートは、登山ザックを背負っていると引っかかることがあって何気に厄介です。体をくねらせながらうまく滑りこませましょう。
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季節によって水量は変わるのでしょうが、春の時点では湿原と言うよりも完全に池のような状態になっていました。覚満淵はかつては大沼の一部でしたが、現在は完全に切り離されています。
覚満淵

湿原の向かいに鳥居峠の建物が見えています。現在地からの標高差は僅かしかなく、峠のほぼ目の前にあると考えて問題ありません。
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池を取り囲むように木道が整備されています。私は湿原の上に木道がある光景を見ると、いつも「尾瀬みたい」と言うワンパターンな感想を抱くのですが、覚満淵は実際に小尾瀬と呼ばれているらしいです。みな思うところは一緒と言う事か。
覚満淵の木道

周囲の山々は新緑が始まるにはまだ少し早いらしく、冬枯れの殺風景状態のままです。緑に覆われる頃に訪問したら、だいぶ違った雰囲気になるのだろうなと思います。
各満淵の木道

振り返った背後には、山頂のアンテナが目印の地蔵岳(1,674m)が見えています。最高峰の黒檜山を目指しているとついついスルーされてしまいがちな位置にある覚満淵ですが、なかなか風光明媚な場所です。
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鳥居峠に向かって少しだけ登ります。わざわざ一度車道まで戻らなくても、池の辺から直接登って行ける登山道がしっかりと存在しました。
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ちなみに鳥居峠までは車道が通じており、車で入れます。路線バスは峠までは入ってこずに、手前の赤城山ビジターセンター止まりですが、歩いても大した距離ではありません。
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9時55分 鳥居峠まで歩いて来ました。それほどキャパが大きくありませんが、駐車場スペースがあります。アカヤシオ効果で多少は混在しているかと思っていたのですが、意外にも空いていました。
鳥居峠

鳥居峠のすぐ脇にあるこの小さなピークが篭山です。篭山自体に特に何かがあると言う訳ではないのですが、アカヤシオ群生地を一巡りした後に、この山へ登り返してくる予定でいます。
鳥居峠から見た篭山

峠の中央に、まるでここが赤城山の玄関口であるかのような立派な石銘板が立っています。それもそのはずで、鳥居峠にはかつて存在した赤城登山鉄道の山頂駅がありました。
鳥居峠の石銘板

ケーブルカーの跡が現在も残っています。東武グループによる赤城山観光開発に一環として建設され、昭和32年から営業を開始しましたが、業績が振るわなかったようで僅か10年で廃止となっています。
赤城山ケーブルカーの跡地
同時期に開業して地蔵岳と大沼の間を結んでいた赤城山ロープウェイは、平成10年まで運行が続けられていましたが、そちらも現在は廃止されています。

盛者必衰。夏草や兵どもが夢の跡です。

かつて山頂駅が建っていた展望スペースからの眺めはなかなか壮観です。本日は春らしくモヤっと霞んでしまっていますが、晴れて空気が澄んだ日であれば、関東平野を一望できます。
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この景色だけでも観光地として十分に通用するポテンシャルがありそうなものですが、いかんせんケーブルカーの山麓駅がある利平茶屋への交通アクセスに難があり、現在も残っている前橋駅からの路線バスに押されて利用者数が伸び悩んだようです。

眼下に広がる斜面上に、本日のお目当てであるアカヤシオの群生地が見えています。山肌のそこかしこがピンク色に染まており、これは大いに期待が持てそうです。
鳥居峠から見たアカヤシオ群生地
本日の行程は標高の高い鳥居峠からスタートして群生地へと下って行く、山登りならぬ山下りです。アカヤシを見物したのちに、再びここまで登り返して戻って来ます。

上り下りの順序が逆になると言うだけで、累計のアップダウンで言えば山頂を往復する通常の登山と変わりません。

3.足元注意の尾根上に広がるアカヤシオの群生地と三階の滝

だいぶ前置きが長くなりましたが、そろそろ本題に入りましょう。道標などの案内はありませんが、アカヤシオ群生地に向かうには峠に立っている建物の右奥へ進みます。
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角を曲がると林道らしき道が続いていました。
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道の脇にまだ雪が残っていました。赤城山は、日本海側にある山のように極端な量のドカ雪が降る山ではないはずですが、それでも結構遅い時期にまで雪が残っているものなのですね。
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ほどなく道の脇に、利平茶屋と書かれた道標が現れました、ここから下ってしまうと、肝心のアカヤシオ群生を通りません。道標をスルーして、通行止めのカラーコーンを跨いでそのまま道なりに進みます。
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ここから先は一般登山道ではない、いわいゆるバリエーションルートの領域となります。登山地図の定番である昭文社の山と高原地図にはルートの記載がないのでご注意ください。

道なりに進んで行くと、どうやら法面が崩れたらしい崩落個所がありました。道が瓦礫に塞がれているので、瓦礫の上を乗り越えて高巻きに突破します。崩さないように、ゆっくり慎重に参りましょう。
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こうした崩落地と言うのは、えてして展望が開けているものです。足元にこの後歩く尾根がよく見えています。
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アカヤシオが満開状態であることは間違いなさそうですが、同時にあちこち崩れていてかなり険しそうな様子が見て取れます。意外と一筋縄ではいかなそうな予感がします。

幸いにも崩落していたのは一か所のみで、その後は安心安全な林道が続いていました。と言っても、あの崩落個所が修繕されないことには工事車両が侵入できないため、この辺りもやがては崩れてしまうでしょう。
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裾野の先に皇海山(2,144m)と日光白根山(2,578m)が並んで見えています。赤城山から見るとこういう並びになるのですね。あまり目にしたことがないアングルなので何だか新鮮です。
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林道の終点らしき場所まで歩いて来ました。ここから左手の道なき尾根を下って行きます。
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アカヤシオ群生地の評判が口コミで広がっていることもあってか、バリルートとは言っても踏み跡はいたって明瞭です。ただ、かなりの急勾配かつ滑りやすい地面なので、トレッキングポールを使わずに下るのは厳しいと思います。
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早速アカヤシオが出迎えてくれました。見たところまだ半分くらいは蕾の状態であるようです。もう少し標高の下がった一帯が満開状態であることに期待しておきましょう。
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岩の上に乗っかる様に木が生えています。これはもともと岩の上に木が芽吹いたのか、それとも周囲が崩れて偶然硬い岩の上に立っていた木が生き延びたのか。どちらなのかはわかりませんが、凄まじい光景です。
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この変な生え方をした木に気を取られていたら、その先にはさらに凄まじい光景が待っていました。尾根の両側が抉り取られたかのように崩れており、ナイフリッジ状態になっています。
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ロープが張られていると言うことは、この上を進めと言うことなんでしょう。左右共に切れ落ちている以上は、どこにも逃げ道が無い訳ですから。
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ここで確実に言えることは、この尾根はいずれ必ず崩れると言うことと、崩れた瞬間に居合わせた不運な人間はかなりの高確率で死ぬと言うことです。

上記2点を理解したうえで、リスクを取る覚悟が出来たのであれば踏み出しましょう。

アカヤシオは険しい岩稜帯に咲く花です。一番の見所はこうした足元の危うい崩落地の周辺であることが多く、笑い話ではなく鑑賞は命がけなことがあります。
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ひっかき傷のような崩落地がそこかしこにあります。赤城山は今からおよそ30万年前から5万年前くらいまでの時期に活動していた火山で、現在はこうして大きく浸食が進んでいます。
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アカヤシオのトンネルが出来上がっていました。昨年はアカヤシオの外れ年でしたが、それを取り戻そうとしているかのごとく、今年の咲きっぷり見事です。
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アカヤシオと言う名前とは裏腹に、赤ではなくピンクの花弁です。色が一番似ているものをあげるとしたら、いちごミルクのような色だと思います。
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遊歩道の案内が置かれている場所まで下りて来ました。なんとベンチまであります。利平茶屋森林公園を起点とした歩道が整備されているらいく、この先はもうバリエーションルートではない安心安全な道となりそうです。
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と言うことで、先ほどのナイフリッジを通過するリスクを避けたい人は、この遊歩道に沿って歩くのが無難なのではなかろうかと思います。

シャクナゲが多く目につくようになりました。まだ開花時期には早いらしく1輪も咲いてはいませんが、アカヤシオのシーズンが終わって以降も、しばらくを花を楽しめそうです。
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アカヤシオの方はちょうど見頃を迎えている標高帯になったらしく、これでもかと言わんばかりに咲き誇っています。大げさではなく、昨年の10倍以上咲いているように見えます。
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昨年はそもそももまったく咲いていないか、咲いていても数輪だけなんて状態がざらでしたから。

さて、先ほどのこの先はもう安心安全な道となりそうという発言ですが、どうやら早々に前言撤回することになりそうです。ここでも道が大きく崩れています。
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小さな沢にぶつかったところで、尾根筋を外れて谷底に向かって急降下が始まりました。
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遊歩道を名乗っているだけの事はあって、クサリや足場などがしっかりと整備されてます。安心安全とまではいきませんが、少なくともほったらかしにはされていなさそうです。
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これは落石が直撃でもしたのでしょうか。クサリがあるので通行に支障はありませんが、あまり長居はしない方が良さそうです。
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谷底まで下って来ると、大きな滝がありました。
赤城山三階の滝

11時35分 三階の滝まで下って来ました。先ほどの遊歩道の案内図には三階の滝と書かれていたのですが、現地の標識には山崖の滝と書かれています。読み方はどちらも「さんかいのたき」なのかな。
赤城山 三階の滝

名前からしておそらく三段に分かれている滝なのだろうと思いますが、ここからだと上の段は良く見えません。落差はぱっと見の目視で15メートルくらいはありそうです。
赤城山 三階の滝

滝つぼ周辺の岩陰に、ハナネコノメが咲いていました。常時湿っている岩肌などに咲くことが多い花ですが、ここでは滝の飛沫から水分を得ているのでしょう。
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4.かつてケーブルカーの山麓駅があった利平茶屋森林公園

谷底まで下りてくると、アカヤシオは全く見かけない状態になりました。アカヤシオは基本的に、日当たりの良い岩尾根上にしか咲きません。
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沢沿いに利平茶屋森林公園キャンプ場まで下って来ました。私は上から下って来ましたが、本来であればここから登る方が一般的です。
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このBOTTON TOILETと言う表記は、英語圏の人間に通用するのでしょうか…
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汲み取り式便所の扉にWCと表記されていることがたまにありますが、WCとはWater Closet(水洗式トイレ)の略なので、その表記は正しくありません。強いて言うならBC(Botton Closet)とでも書くのが正解・・・なのか?

屋根付きの休憩スペースがありますが、ここはかつて赤城登山鉄道の山麓側の駅である利平茶屋駅があった場所です。
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こうして軌道の跡がしっかりと残っています。途中に谷越えなどは特にないため、鳥居峠まで軌道跡を辿ることは可能であるようです。
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軌道跡を歩かずとも、鳥居峠へと至る登山道もしっかりと存在します。林道の崩落地の手前にあった分岐を下ると、ここへ降りて来ます。
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私はこの後に鳥居峠まで登り返さなといけない訳なのですが、ここからではなくもっと下った先のにある尾根沿いのルートから戻ります。

と言うことで、分岐はスルーしてキャンプ場の中を道なりにもう少し下っていきます。
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12時5分 利平茶屋森林公園の入り口まで下って来ました。名前の由来となっている茶屋は今では存在しておらず、キャンプ場があるだけの場所です。
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駐車場があり車でお越しの人はここまで入ってこれます。公共交通機関で訪れる方法は存在しない場所であるため、今回私は上からスタートして下りてくるという変な行程を辿ることとなりました。
利平茶屋森林公園の駐車場
強いて言うならわたらせ渓谷鐵道の水沼駅が最寄りで駅です。距離はおよそ10kmちょとなので、その気になれば歩けないことはないかもしれません。・・・私は歩きませんけどね。

5.利平茶屋森林公園から篭山へ登り返す

さあ戻りましょう。これより、下山がしたいのに何故か登り返すと言う、不思議な行程を辿ります。尾根ルートへの取り付きは、駐車場から少し戻った地点の脇にあります。
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水力発電所と書かれた小さな小屋が立っていました。せいぜいキャンプ場内の照明に使われているくらいの規模だとは思いますが、実際に発電が行われているようです。
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資材置き場の裏手から山道へと分け入ります。この取り付きはちょっとわかりにくいかもしれません。
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のっけから急勾配の登りが始まりました。踏み跡はしっかりと存在しますが、足元の柔らかさからしてあまり歩かれてはいない感じがします。
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杉林の急登を登りきると、周囲は再びアカヤシオのトンネル状態になりました。こちらの尾根上も、先ほど下って来た尾根に負けず劣らずの見事な咲きっぷりです。素晴らしい。
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右手に見えているのは、位置的に駒ケ岳(1,685m)と黒檜山(1,828m)でしょうか。赤城山に登ると言ったら普通はあそこを目指すわけなのですが、今回はピークを踏まない登山です。
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緩やかで歩きやすい尾根です。アカヤシオは見たいけれど危ない目には遭いたくないと言う人は、周回ルートではなくこの尾根を往復した方が無難であるかもしれません。
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尾根上が大岩に塞がれており、迂回するようにトラバースになっている個所がありました。この場所のアカヤシの咲きっぷりがまた、凄まじいことになっていました。
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足場がかなり狭くなっていて、よそ見をしていると大変危ないのですが、危ない場所に限って見所であると言うアカヤシオの法則は、ここでも健在でした。
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先を急ぐ旅でもないので、立ち止まってゆっくりと鑑賞しましょう。いや本当に素晴らしい。
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当ブログの長年の読者様であれば、私のヤシオツツジに対する偏愛ぶりについてはよくご存じであろうかと思います。

そんな普段からアカヤシオを追いかけまわしている私の目から見ても、今年のアカヤシオは間違いなく過去最高の咲きっぷりであると思います。

前方に篭山が見えて来ました。この後再び急登区間が始まります。気を引き締めて参りましょう。
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手も使わないと登れないような急登です。お助けロープが垂らされているので、ありがたく活用しながらよじ登ります。
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上の方は岩場になっていました。一応は目印のピンクテープもありますが、この辺りは少々ルートがわかりづらいです。
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背後を振りかえると、大きなU字の谷になっていました。利平茶屋森林公園はその谷底にあり、谷底へ降りて行く斜面上にこれでもかとアカヤシオが咲いています。
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分岐地点まで登り返して来ました。右へ進むと駒ケ岳を経て黒檜山方面へと続いています。篭山経由で鳥居峠に戻るにはここを左折します。
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前方に篭山が見えて来ました。ただの通り道でしかないのですが、一応はここが本日踏む唯一のピークとなるので、しっかりと登頂していきましょう。
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ほんの僅かな登り返しですが、岩場になっておりしっかりと火山らしさがあります。
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木の隙間から大沼が見えました。そう言えば本日は、赤城山に来ておきながらまだ一度も大沼の姿を見てはいませんでしたな。
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14時20分 篭山に登頂しました。これで今日の分のピークハンターとしてのノルマ(?)は無事に果たされました。展望がある訳でもない山頂なので、特に用事がない人は登る必要はないかと思います。
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6.富士見温泉でひと風呂浴びて行く

利平茶屋から下山するのになぜか登り返すと言う珍妙な行程を辿りましたが、篭山の山頂からは今度こそ本当に下山します。と言っても鳥居峠はすぐそなんですけれどね。
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すぐそこのはずだったのに、道ではない場所を下りてしまったらしく、駐車場の上の変なところに出てしまいました。足元は切り立った岩になっておりここからは下れません。
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5分そこらで下れるはずの山で道迷いするとか、我ながら意味不明もいいところです。最後の最後でいったい何をやっているのか。

何とか強引にルートに復帰して無事に下りて来ました。篭山のことをあまり甘くは見ない方がいいかもしれません。重大な道迷いの危険性があります。
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往路に寄り道した覚満淵の全容が良く見えています。こうして上から見ると、かつては大沼と一つだったと言うのが良くわかる地形になっています。
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帰路は覚満淵に寄り道せずに、道沿いに真っすぐ戻ります。前述の通り赤城山ビジターセンターは現在工事中でバスも停車しないため、覚満淵入口バス停まで戻ります。
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14時50分 覚満淵入口バス停に到着しました。このまま始発バス停のあかぎ広場まで歩いて行こうかと逡巡するも、大した待ち時間がある訳でもないのでここで待つことにしました。
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15時17分発のバスで撤収します。この時間のバスは前橋駅までは直通せず、途中の富士見温泉止まりです。
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バスの車窓から大沼と黒檜山の姿が良く見えました。赤城山に来ておきながら、帰る寸前になるまでこの景色を全く見てもいなかったというのが、何やら奇妙な気分です。
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一度富士見温泉で降ろされはしますが、前橋行きのバスは5分後にすぐやって来ます。バス停には早々と行列が出来上がっていました。
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行列を横目に私は一風呂浴びて行きます。日帰り入浴は520円と、この手の施設としてはかなりリーズナブルな価格設定です。
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ここでお役立ち情報を一つ。富士見温泉からは関越交通バスだけではなく、日本中央バスの前橋駅行きも運行しています。そんな慌ただしく満員のバスに並ばなくても、ひと風呂浴びていった方が空いているバスで帰れて快適ですよ。
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ガラガラ状態のバスで悠々と前橋駅に戻って来ました。
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快速アーバンは無いので、再び両毛線で高崎駅へ戻ります。
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高崎駅からは何故か高崎線ではなく八高線に乗り込み帰宅の途に付くのでした。好きですキハ110。
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篭山のアカヤシオ群生地の評判は前々から耳にはしていたのですが、公共交通機関による利平茶屋森林公園へのアクセスが事実上不可能に近いことから、長らく訪問を躊躇していた場所でした。下から登るのではなく上から降りて行けばいいじゃないかと言うことに思い至り、今回ようやくにして訪問してきました。変なルート取りかと思ったのですが、意外にも同じ行程を歩いて人が結構大勢いました。
今年はツツジの当たり年であると言うこともあったのでしょうが、アカヤシオの咲きっぷりは想像をはるかに上回るものでした。一部危ない場所もあり、万人に対してオススメであるとは言い難い場所ではありますが、普段からバリエーション歩きを楽しんでいる人には文句なしにオススメです。頭上から降り注ぐかのように咲き誇るアカヤシオ愛でに、山登りならぬ山下りに繰り出してみては如何でしょうか。

<コースタイム>
覚満淵入口バス停(9:40)-鳥居峠(9:55~10:05)-三階の滝(11:35)-利平茶屋森林公園(12:05~12:35)-篭山(14:20~14:30)-鳥居峠(14:40)-覚満淵入口バス停(14:50)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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