鳴神山-吾妻山 固有種カッコソウが咲く里山と桐生アルプスを巡る

鳴神山のカッコソウ
群馬県桐生市にある鳴神山(なるかみやま)に登りました。
桐生市の傍らに立つ、標高1,000メートルに満たない里山です。世界で唯一この山にしか自生していない、固有種のカッコソウが咲く花として有名です。北関東の山らしくアカヤシオの群生地も存在し、春になると実に多様な花々に彩どられる花の名峰です。
お隣の吾妻山までを繋げるロングルートをガッツリと歩いて来ました

2021年4月24日に旅す。

鳴神山は群馬県桐生市の市街地のすぐ傍らに連なる山です。関東平野に直接面した立地にあることから、低山ながらも眺望に優れ、地元の人々に愛されている里山です。
梅田付近から見た鳴神山

眺めが良いと言うこと以上に、この山の存在を有名たらしめているのが、世界で唯一この山にしか自生していない固有種、カッコソウの存在です。
鳴神山カッコソウの案内板
カッコソウはサクラソウの仲間の多年草で、見た目は少し色が濃いコイワザクラと言った所です。日陰の雑木林に中に群れを成して咲きます。

一時期、盗掘などにより数が激減し、環境省レッドリストにも登録されている絶滅危惧種となっています。復活のためのさまざな取り組みが行われていますが、依然として厳しい状況に置かれている大変希少な花です。

例年ですと、ゴールデンウィークを過ぎた頃に見頃を迎えますが、2021年の開花はフライング気味で、4月の下旬にはもう咲き始めていました。

カッコソウを見物したあとは、尾根沿い南下して吾妻山まで縦走します。近年のご当地アルプスブームにあやかり、桐生アルプスという通称で呼ばれているルートです。非常に長い上に、小刻みにアップダウンを繰り返すなかなかの険路でした。
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下山後は帰り道の途中にある、あしかがフラワーパークに寄り道しました。巨大な藤棚で有名な公園で、夜の部ではライトアップが行われています。ちょうど見ごろを迎えており、絶好の訪問タイミングでありました。
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最初から最後まで花尽くしだった、春の一日の記録です。

コース
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桐生市が運行する市民バス「おりひめバス」の梅田南小前バス停からのアプローチです。大滝登山口から鳴神山に登頂し、カッコソウの群生地へ。

下山は尾根沿いに吾妻山まで縦走し、桐生駅まで直接歩いて下りました。深い考えも無しに選択した縦走コースでしたが、吾妻山への道のりが思った以上に長く厳しいものでした。

桐生市の公式サイトより、鳴神山ハイキングマップのPDFファイルをダウンロードできます。コースの詳細につきましては、こちらを参照してください。
自然最前線(ハイキングガイド)|桐生市ホームページ
桐生市ホームページ

1.鳴神山登山 アプローチ編 リッチに新幹線で行く、群馬への旅路

6時32分 JR東京駅
鳴神山のある群馬県桐生市は、鈍行列車の旅路であっても届かないことは無い距離の場所にありますが、東京からはそれなりに遠い場所です。登山開始時刻が遅くなりすぎるのも考えようなので、今回は奮発して新幹線で現地に向かいます。
東京駅の新幹線ホーム

7時36分 東京駅からおよそ1時間の乗車時間で、高崎駅に到着しました。流石は新幹線です、高いけれど早い。早いけれど高い。
高崎駅の新幹線ホーム

群馬だ!上州だ!高崎だ!
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・・・おっ、おう。何を言いたいのかはサッパリ理解できませんが、何となく勢いだけは伝わってきました。ちなみにこれは、大学の広告です。

群馬県と言えばぐんまちゃん。群馬県内のあらゆる場所でその姿を目にする、働き者のマスコットキャラクターです。
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高崎から両毛線の小山行きに乗り換えます。高崎からはまだ結構な距離があり、さらに約1時間を要します。
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8時48分 桐生駅に到着しました。ここ桐生市はかつて織物産業で栄えた一大産業都市であり、桐生織は京都西陣の西陣織と並び称されるほどのものでした。現在は過疎化が進行しており、人口の流出に苦しんでいます。
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駅のホームから、これから歩こうとしている山並みが良く見えました。右奥の方に小さく見えているのが鳴神山で、左手前の山が本日の縦走計画のゴール地点である吾妻山です。
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まさしく、桐生の裏山と呼べる立地にあります。

ホームにわたらせ渓谷鉄道が停車していました。かつては足尾銅山からの鉱石を運搬する目的で建設された鉄道路線です。現在は旅客のみを扱っており、主に観光客を運んでいます。
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いつかこの路線を使ってアプローチし、庚申山からのクラシックルートで皇海山に登ってみたいと思いつつ、未だに実行に移せていないまま日が過ぎてしまっております。

桐生駅北口のバスターミナルから、9時ちょうど発のおりひめバス梅田線に乗車します。
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このおりひめバスと言うのは、桐生市が運行している市民バスで、全部で7つの路線があります。

鳴神山へアプローチするには、梅田線の梅田南小前バス停か、もしくは川内線の吹上バス停で下車します。乗り間違えの無いように十分ご注意ください。

9時20分 梅田南小前バス停に到着しました。運賃は乗車距離に関係なく定額200円です。交通系ICカードには対応していませんでした。小銭を用意しておきましょう。
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2.地味に結構遠い、大滝登山口への道程

身支度を整えて9時25分に行動を開始します。まずはバスの進行方向の反対へ少し戻り、橋を渡ってすぐのY字路を右折します。
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後はずっと道なりです。真正面に鳴神山の姿が見えました。目指す大滝登山口までは結構な距離があり、おおよそ1時間ほどの下道歩きが続きます。
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働き者のぐんまちゃんが、こんなところにまでいました。
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途中から一車線しかない林道規格の道にかわりました。すれ違いが困難な場所もあるので、車でのお越しを考えている人は十分ご注意ください。
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なおこの道は、現在進行形で拡幅工事が行われています。カッコソウ効果なのかは定かではありませんが、交通量自体は結構多めでした。
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クマの捕獲用と思われる罠が設置されていました。これが置いてあるという事は、当然ながらクマがいるってことですよね。
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歩けど歩けどなかなか登山口に辿り着きません。少々ダレてきました。ずっと登り勾配の道が続いており、この舗装道路歩きの時点で既に結構な標高を稼ぎ出しています。
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やけに愛想のよい犬が、しきりにしっぽを振りながらこちらを眺めていました。そんな甘えた態度では番犬失格だぞ。
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ようやく登山口が見えて来ました。駐車スペースはすでに満車です。
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10時20分 大滝登山口に到着しました。ハイキングマップにはバス停から1時間30分かかると記載されていますが、それは少々大げさで、小一時間を見ておけば十分だと思います。
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登山口にはキャンプ用の施設と思われる建物が建っていました。これは樹徳高校大滝山荘と言う合宿施設で、一般客は利用できません。
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3.鳴神山登山 登頂編 アカヤシオが咲く好展望の頂

登り始めは、里山にありがちな鬱蒼とした杉の植林です。通行に難儀をきたすほどではありませんが、登山道は全般的に荒れ気味です。
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小さな沢に沿って歩む道です。森の中に小さく轟く水の音が実に心地よい。
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登山口から15分少々歩いたところで、コース名の由来となっている大滝が姿を現しました。名前の割にはやや小ぶりの滝で、落差はおおよそ10メートルです。
鳴神山の大滝

大滝を祭っているらしい、小さのお社がありました。あらゆるものに神が宿る、八百万の神の国ならではの光景ですね。
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・・・これは一体何でしょう。「ヤメヨウ、ポイステハ」と書かれているようですが、しかしコメントに困る看板です。なぜ宇宙人??
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大滝を過ぎて以降も、道中の光景には変化がありません。小さな谷に沿った杉林の中を進みます。
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割とあっけなく、中間地点だと言う場所まで登って来ました。特に疲れてもいなかったので、このまま後半戦へと突入します。
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時々こうして舗装された路面が現れます。登山道と付かず離れずの距離を保ちつつ、かなり上の方にまで林道が伸びているようですね。
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並走する沢には何時しか水流が無くなり、完全な枯れ沢になっていました。そろそろ源頭が近いのかな。
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新道と旧道の分岐がありました。結論から言ってしまうと、どちらへ進んでも距離的にほとんど差はありません。お好きな方へどうぞ。
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頭上に稜線が見えてきたところで、森の中に柵に囲われている場所がありました。ここがカッコソウの群生地なのかな。
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現在、鳴神山にはカッコソウの群生地が二つ存在します。ここはそのうちの一つですが、見たところまだ咲き始めている株は一つもありません。開花が進んでいるのは、山頂を越えた先にあるもう一つの群生地の方であるようです。
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稜線まで登って来ました。右が鳴神山の山頂方面で、左へ進むと吾妻山方面です。何はともあれは、まずはピークハントをしていきましょう。
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登ってくる登山者の数を見るに、どうやら私が登って来たルートとは尾根を挟んだ反対側である、吹上方面から登ってくる方が一般的であるようですね。

ここまでの道中ではほとんど他の登山者の姿を見かけなかったのに、尾根に出るなり大勢の登山者の姿がありました。

鳴神山の山頂直下に立つ雷神嶽神社(なるかみたけじんじゃ) です。里から近い山だけに、鳴神山は古くから山岳信仰の対象となって来た霊山でもあります。
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秩父地方の山で多く目にする狼の狛犬です。この雷神嶽神社は、秩父の三峯神社を勧請したのが始まりなのだとか。
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山頂直下は、割と急峻な岩場になっていました。ここは手も使ってよじ登ります。
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アカヤシオが良い感じ見頃を迎えていました。アカヤシオは主に北関東の岩山に多く咲く花です。鳴神山は、まさにその条件に合致している山ですね。
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岩の急登をよじ登ると、不意に山頂へと飛び出しました。それにしても凄い数の人です。鳴神山は人気の山なんですね。
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12時5分 鳴神山に登頂しました。なお、鳴神山という名称は付近の山塊全体を指している呼び名で、この最高地点の名は桐生岳と言います。
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桐生岳の山頂からは、360度ほぼ全方位の展望が開けています。早速眺めてみましょう。

南側に関東平野を一望する大展望が広がる・・・はずなのですが、春特有の霞の影響で良く見えませんな。晴れて空気が澄んでいる日であれば、関東平野の先に富士山まで見えるそうです。
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反対側の北西に目を向けると、日光連山の姿がすぐ近くに見えました。彼我の間に横たわっているのは足尾地方の山並みです。
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西に目を向けると、一際は目立って見えるのは袈裟丸山(けさまるやま)(1,961m)です。アカヤシオやシャクナゲの群生で有名な花の名峰ですが、交通アクセスの極めて悪い僻地にあるため未だに訪問がかなっておりません。
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僅かに頭だけを覗かせているこの白い山は、方角的に上州武尊山(2,158m)ですかね。まだまだ残雪がたっぷりです。
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4.開花が始まって間もないカッコソウの群生地

ボンヤリと霞んでしまった光景を眺めるのは程々にして、そろそろお目当てのカッコソウ群生地へと向かいましょう。群生地へ行くには、山頂を乗り越えて椚田峠方面へ下ります。
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山頂付近の尾根上では、アカヤシオが見頃の最盛期を迎えていました。カッコソウばかりが注目されがちな鳴神山ですが、アカヤシオの群生もかなり見事なものです。
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峠に向かって、意外と大きく標高を落とします。この後の帰路でまた登り返さなくてはならないので、あまり大きくは下ってほしくないのですがね。
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途中にあった展望所から、赤城山(1,828m)の姿が良く見えました。右端のピークが最高峰の黒檜山かな。
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あまり標高を落として欲しくないと言う願いも空しく、20分程ほどしっかりと下ったところで、ようやく峠が見えてきました。
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12時30分 椚田峠(くぬぎたとうげ)まで下って来ました。
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改めてハイキングマップを見返すと、大滝登山口よりもさらに先へ進んだ場所から、この峠へ直接登ってこれるルートも存在したようですね。最初から、そちら側から登ってくれば良かったのかもしれない。

カッコソウの群生地は、峠からさらに3分ほど下った場所にあります。
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杉林の中をサクサク下って行くと、動物よけの柵に囲われた保護地が現れました。傍らで見守っているのは、NPO法人「鳴神の自然を守る会」の方々です。
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この希少な花の群生地が土足で踏み荒らされてしまう事の無いように、歩いてい良い場所は柵で区切られています。順路に従って、早速見てみましょう。
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こちらがカッコソウです。見た目は同じサクラソウ科に属している、コイワザクラによく似ています。
鳴神山のカッコソウ

まだ咲き始めたばかりなので、疎らにしか咲いていない状態です。最盛期になると、地面を覆いつくすくらいの大群生になります。
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放射状に珠になって咲くのが外見上の大きな特徴です。一見すると、どこにでも咲いていそうな野草ですが、自生しているのは世界で唯一ここ鳴神山だけです。
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群生地の環境保全のため協力金500円を納めると、バッジかポストカードのどちらか好きな方を一つ貰えます。
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5.ひたすら長く遠い、吾妻山へと続く桐生アルプスへ足を踏み入れる

12時45分 カッコソウの群生地を後にして、再び鳴神山へと登りかえします。ガッツリと大きく下ってしまっただけに、当然ながらガッツリと登り返しです。
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行ったり来たり、いかにも不毛なことをしている感のある行程でしたが、しかし沿道を飾るアカヤシオロードのおかげで、無聊は一切感じません。
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相変わらず人で溢れていた山頂を素通りして、神社まで戻ってきました。
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ここから吾妻山方面への縦走路へと足を踏み入れます。通称桐生アルプスと呼ばれているコースです。こうしてあらためて見ると、8.4kmで3時間20分と言う結構重めな数字が示されていました。
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実のところこの本日の計画は、前日にハイキングマップを眺めていて「なんだ、駅まで直接歩けるルートがあるじゃないか。ならばここを歩こう。」と、実に軽い思い付きで決めたものでありました。

しかしながらこの先に待ち受けていたのは、決して安易な気持ちで足を踏み入れるべきではない、大きくアップダウン繰り返す長く苦しい道程でありました。

始めの内は、ほとんどアップダウンのない緩やかな尾根道が続きます。この調子で最後まで気持ちよく歩けたりするのかなと、この時はまだそう思っておりました。
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ヤマツツジはまだ咲き始めといったところで、蕾の方が目立つ状態です。
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ミツバツツジの方は、ちょうど見頃のド真ん中の満開御礼状態でした。ひとことツツジと言っても、意外と花期が違うものなのですね。
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標識が朽ちてしまっている小ピークへとやって来ました。ハイキングマップによれば、湯山沢ノ頭と言うピークです。
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ここからは大きく標高を落とします。前年の冬に降り積もったのであろう枯れ葉が、そのまま残っていました。
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下りったところで、いわくありげな石の祠がありました。
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平安貴族的な外見の石像もありました。特に由来を示す案内板などは設置されていませんでしたが、この石像は何時からここにあるのでしょうか。
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15時 金沢峠まで下って来ました。ここから観音橋バス停へと下山することが出来ます。鳴神山を含めた登山としては、ここから下山する周回ルートを取ることが一般的です。
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そしてここまでの道のりは、まだまだこの縦走路の序の口でしかありません。苦しくなるのはこの先からです。という事なので、辛い思いをしたくない人は素直にここから下山した方が良いと思います

6.幾多のアップダウンの先に辿り着いた、桐生市を一望する好展望の頂

金沢峠からは、なかなかエグイ登り返しが始まります。なにもそんなに登り返さなくたって良いじゃないか。登ってしまったら、その分だけまた後で下らなくてはならないんですよ。
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登り切ったところが大形山と言うピークです。これと言って特筆すべき点もない、単なる尾根上の小ピークと言ったところです。
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ハイキングマップには「展望良い」との記載がありますが、しかし思わず「この嘘つきがッ!」と叫びたくなるくらいに展望はありません。情報が古いんですかね。
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標高が下がってきたためか、先ほどよりもヤマツツジの開花が進んでいました。僅か200~300メートルの違いでも、結構な差があるものなんですね。
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伐採地に行き当たり、前方の展望が一気に開けました。
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大形山の山頂からは少し離れている場所ですが、もしかして「展望良い」と言っていたのはここの事だったのでしょうか。であるとしたら、先ほどは嘘つき呼ばわりしてごめんなさい。

なお、ゴールの吾妻山はここです。いったいあと何回登り返しが残っているいのでしょうか。心をへし折られそうになる光景です。
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森の中に西日が差し込み始めました。これは少しばかりペースを上げて行かないと、日没タイムリミットを過ぎてしまうかもしれません。まあヘッドライトは持っているから、問題ないと言えばないのですが。
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大きく盛り上がった二つのピークがあるのが見えます。奥が吾妻山です。つまりはこの先に、エグイ登り返しが最低でもあと2回は漏れなくついてくると言うことが約束されています。
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ここで縦走路は、関東ふれあいの道と合流しました。鳴神山自体は関東ふれあいの道には含まれていませんが、尾根で繋がっています。
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ここが最終エスケープポイントになります。既に割とお疲れ気味ではありましたが、しかしここまで来た以上は、覚悟を決めて最後まで歩き切ります。
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・・・やっぱりエスケープしておけばよかったのかも。遠目に見えていた通りの、かなりの急勾配です。ぜーはーゼーハー。意外とキツイですぞ、この縦走路は。
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恐らくは鳴神山から歩いて来たのであろう、同じ方角に向かって進んでいる登山者を何人か見かけましたが、皆一様に辛そうにしていました。

登り切った山頂には、巨大な電波反射板が設置されていました。笹子雁ヶ腹摺山の山頂にあるのと同じようなやつですな。
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そして、始めからわかってはいた事でありますが、ここはまだ山頂ではありません。もう一回登り返しがあります。
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さあ気合いだ気合。崩れ落ちたくなる気持ちを奮い立たせて、最後の登り返しに挑みます。
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今度こそ本当の山頂が見えました。いやー、長かった。
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17時 吾妻山に登頂しました。ここまで縦走したのは本当に単なる思い付きだったのですが、よもやこんな激しいアップダウンが待ち受けていようとは。
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山頂の様子
展望は南側だけが開けています。市街地のすぐ裏手にあるため、、眼下に桐生市を一望することが出来ます。
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では早速眺めて見ましょう。おお、確かに素晴らしい眺めです。この山が桐生市の象徴とされていることにも納得の眺望なのではないでしょうか。
吾妻山からの眺望
さてこの吾妻山への縦走路ですが、実際に歩いてみた感想としては、お勧めかと問われると正直微妙なところです。吾妻山単体だけで見れば眺めも良く手頃な良い山だと思いますが、いかんせんそこに至る道程が長すぎます。

万人向けだとは言い難い、玄人向けの縦走路ですね。戸倉三山が好きだと言う人には刺さるルートだと思います。

7.鳴神山登山 下山編 吾妻山より桐生駅へ直接歩いて下る

17時15分 思いがけず、日没まで残すところ後僅かな時間帯になってしまいました。暗くなる前に下山しましょう。
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吾妻山の山頂直下は、割と急峻な岩場となっています。標高500メートル未満の低山ながらも、なかなか登りでのありそうな山です。
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鳴神山と繋げて歩くのではなく、吾妻山自体を目的に単体で登った方が楽しめそうな山です。

道中にトンビ岩と呼ばれる好展望地があります。ここからの光景もなかなかのものです。
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このままここから夕焼けを眺めて行きたいような気もしますが、しかし初めて訪れた土地勘ゼロの山でヘッドライト下山が確定してしまうのも好ましくはないので、このまま下山を続行します。

吾妻山の周辺一帯は、吾妻山公園として整備されています。という事で割とあっけ無く公園まで下ってきました。公園の敷地内入ってからも、麓まではまだもうひと道あります。
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18時5分 吾妻山公園入口に下山しました。里山で軽くお花見ハイキングするはずが、蓋を開けてみれば丸一日を費やしたガッツリ登山でありました。
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後は桐生駅まで歩いて戻るだけです。吾妻山公園から駅までは、徒歩だとだいたい30分くらいの距離です。
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いつの間にか頭上にお月様が出ていました。こんなに暗くなるまで歩き回るつもりなんて、まったくなったのですけれどね。
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上毛電気鉄道の西桐生駅前を通り抜けます。西桐生駅から前橋駅まで、赤城山の麓を走るローカル私鉄です。
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ホームに停車している車両が妙に見覚えのある姿だと思ったら、京王井の頭線の中古車両でした。アルピコ交通の上高地線と一緒ですね。

18時45分 スタート地点の桐生駅へ戻って来ました。今日もたくさん歩いて疲れたあ。
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帰路は高崎を経由せずに、小山駅から宇都宮線で撤収する事にします。という事で、小山行きの鈍行列車に乗りこみます。
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8.おまけの寄り道編 あしかがフラワーパークで夜の部のライトアップを見物する

19時15分 あしかがフラワーパーク駅
このやけに長い名称の駅は、比較的最近に出来たばかりの新駅です。ちょうど藤の花が満開を迎えていることろだったので、寄り道して行きます。
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このあしかがフラワーパークは、前々から一度訪問したい思っていた場所でした。今回ちょうど帰路の通り道上にあったため、これ幸いと立ち寄った次第です。まさしく一石二鳥と言うやつですな。

さて、この新駅は確かに公園の目の前にありますが、しかしゲートからは離れており結局は少し歩かされます。
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あしかがフラワーパークの入場料金は、花の咲き具合によって日々変わる変動相場制となっています。この日は満開であると言う事で、最高価格の1,600円でした。意外と高いですな・・・
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なお、昼の部だとさらに高い1,900円とのことです。入れ替え制ではないので、昼に入場すれば夜まで留まることも出来ます。
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夜だと言うのに、園内は凄い数の人出です。大人気ですな。昼の部にはもっと混雑するようですが。
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園内には実に様々な種類の花が栽培されていますが、中でも特に有名なのが藤棚です。さまざまな趣向を凝らした藤棚が複数存在します。
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でっ・・・でかい。月並み感想ですが、それしか言葉が湧いて来ません。この花が全て1本の木から咲いているのだと言うのが、にわかには信じられません。
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藤棚の下を歩くと、マスク越しであったもほんのりと良い香りが漂ってきます。
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まるで空から降る様な花の大群です。繰り返しになりますが、これはすべて、1本の木から咲いているんですよ。
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藤棚の隣には池が造成されており、この通り見事なリフレクションを見ることが出来ます。なお、三脚は持ってきていないので、すべて気合いの腕力手振れ補正による手持ち撮影です。
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これだの数の花を支えているだけあって、図太い幹をしています。
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この藤は、樹齢130年と言う高齢になってからこの公園へ植樹されました。そのような高齢樹木の植樹に成功した例は過去になく、奇跡の大藤と呼ばれています。

一番見栄えがする定番のアングルは、この池越しに眺めた姿でしょうかね。
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まるで雨上がり直後のアメンボのごとく、水辺にはカメラを構えた人が大勢群がっていました。・・・私もその内の一人だったわけですが。
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橋の上に掛けられた藤棚アーチです。変わった趣向ですが、しかし大変見栄えがします。
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花の種類が違うのか、はたまたライト色が違うだけなのかは定かではありませんが、先ほどとは全く異なるブルーの藤棚もありました。
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ドーム型の藤棚など、さまざな趣向ものがあります。藤棚だけで4~5個はあったかな。
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藤以外の花も当然ありますが、ライトアップした時に一番映えるのはやはり藤棚ですかね。
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もう少しゆっくり巡り歩きたいところではありましたが、一時間と少々の滞在時間で公園を後にしました。なにしろ、この先の帰路がまだまだ長いのでね。
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フラワーパークから帰宅する客を乗せて、満員電車並みの乗車率になった両毛線に揺すられて、今度こそ帰宅の途に付きました。
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こうして最初から最後までお花尽くしだった北関東への遠征登山は、いろいろ盛沢山なうちに慌ただしく終了しました。
鳴神山は、単体で登る分には行動時間4時間少々の手軽な里山です。ちょっとしたお花見登山をしに行くにはうってつけな場所だと思います。通り道にあるので、あしかがフラワーパークと合わせて廻るのが大変おススメです。
桐生アルプスを吾妻山まで繋げて歩いたのは、完全なる蛇足でありました。縦走した場合の累計アップダウンはかなりのものになりますので、丸一日をかけてガッツリと歩き回りたい人向けです。
世界で唯一ここにしか咲かない可憐な花と出会いに、桐生まで繰り出してみては如何でしょうか。

<コースタイム>
梅田南小前BS(9:25)-大滝登山口(10:20)-鳴神山(12:05)-椚田峠(12:30)-カッコソウ群生地(12:35~12:45)-鳴神山(13:15)-金沢峠(15:00)-大形山(15:20)-吾妻山(17:00~17:15)-吾妻山公園入口(18:05)-桐生駅(18:45)

210424鳴神山-125

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