両崖山-行道山 紅葉の足利アルプスと日本三大イルミネーションを巡る

足利アルプスの稜線
栃木県足利市にある両崖山(りょうがいさん)から行道山(ぎょうどうさん)を縦走してきました。
足利(あしかが)アルプスと呼ばれている、いわゆるご当地アルプスの一つです。渡良瀬川の北に連なる、概ね標高400~500メートル前後の低山の連なりで、街中にある織姫神社からスタートして、「関東の高野山」の異名を持つ行道山浄因寺まで続くハイキングコースが整備されています。
紅葉が見頃を迎えたご当地アルプスと、ついでにあしかがフラワーパークのイルミネーションを巡って来ました。

2021年11月24日に旅す。

今回は近年日本全国に増加中のご当地アルプスの一つ、栃木県は足利市にある足利アルプスへと訪問して来ました。

足利は栃木県南西部の渡良瀬川流域に位置しており、ちょうど関東平野と山間部の境界となっている一帯です。両毛地方と呼ばれる地域に属しており、文化的・経済的に群馬県との結びつきが非常に強い場所です。
足利市を流れる渡良瀬川
室町幕府を興した足利将軍家の出身地であり、市内には足利氏に由来する神社仏閣など多くの史跡や文化財が存在します。

今回歩いた、両崖山から行道山へと至る足利アルプスと呼ばれている山並みは、日光の前衛部とでもいうべき足尾山地に属しており、関東平野に面しています。

里に近い山だけに古くから人との結びつきが強く、山中には城址や足利氏由来の寺院などが数多く点在しています。中でも、関東の高野山の異名を持つ浄因寺(じょういんじ)は特に有名です。
行道山浄因寺の山門
この足利アルプスの登山口となる織姫公園にあるもみじ谷が、ちょうど見頃を迎えていると言うニュースを目にし、急遽訪問して来ました。

下山後は、ちょうど通り道にあると言う事で、あしかがフラワーパークに立ち寄ります。

もう既に花の季節ではありませんが、冬のあしかがフラワーパークでは、日本三大イルミネーションなるものの一つに数えられているライトアップが行われています。
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紅葉にイルミネーションと、足利を満喫してきた一日の記録です。

コース
足利アルプスのハイキングコース
東武線の足利市駅からスタートし、織姫神社にあるもみじ谷で紅葉を見物します。その後は両崖山を経て行道山まで、足利アルプスの稜線を縦走します。

登頂後に浄因寺まで足を延ばし、そこからスタート地点の織姫神社へと戻る往復コースを辿ります。

全行程で一度も標高500メートルを超える事が無い低山歩きですが、総歩行距離が15kmを超える骨太な行程です。

1.足利アルプス登山 アプローチ編 ラッシュアワー時間帯に鈍行列車で行くの、足利市への道程

7時26分 JR大宮駅
さて、本日は休暇を頂戴しての平日登山です。休暇と言っても、前日の勤労感謝の日が仕事だったので、その振休を取ったと言うだけのことなんですけれどね。
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ラッシュアワー時の大宮駅は、当然ながら大混雑の坩堝にありました。都心方向とは逆向きに向かっているので少しは空いているかと思いきや、そんなことはありませんでした。

久喜駅で東武線に乗り換えます。こちらはちょうど通学時間帯にぶつかってしまったらしく、ホームはこぼれんばかりの学生達で溢れかえっていました。
通学時間帯の久喜駅
平日のラッシュアワー時間帯に何処かへ遊びに行こうとしているオッサンだなんて、彼らからすればありえないくらいに邪魔くさい存在であったことでしょう。なんと言うか、スマンのう。

終点の舘林駅で今度は伊勢崎行きの電車に乗り換えます。私は東武沿線の民でないので、東武の路線がどこでどう繋がっているのか不案内でよくわかりません。Yahoo路線検索に言われたとおりに乗り換えます。
舘林駅駅のホーム

8時44分 足利市駅に到着しました。紛らわしいですが足利駅と言う駅も近くにあり、そちらは東武はなくJR両毛線の駅です。
足利市駅のホーム
足利市駅が実は特急りょうもうの停車駅であったと言う事実を、到着後に初めて知りました。なんだ、そういうことはもっと早くに言ってくれれば・・・どのみち鈍行で来たかな。

駅前に観光案内マップが掲げられていました。室町幕府を興した足利氏の出身地と言うだけあって、市内には多くの史跡があるようですが、なかでも一番の目玉は日本最古の大学と言われる足利学校の跡地であるようです。
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だいぶデフォルメはされてはいますが、本日歩く予定の足利アルプスのハイキングコースもしっかりと書きこまれています。

2.紅葉が見頃を迎えた、織姫公園のもみじ谷

8時55分 身支度を整えて行動を開始します。まずは足利市の中心を流れる渡良瀬川を渡り、織姫神社を目指します。
足利市内を流れる渡良瀬川
なお、足利市駅から運行している足利市の市民バス行道山線を利用することにより、浄因寺の入り口近くまでバスで行くことも可能です。

公共交通機関の利用を前提とした場合、浄因寺からスタートして南下し織姫神社を目指すと言うのが、足利アルプス縦走としては最も一般的な行程であると思われます。

ただしこの行道山行きのバスは、朝の時間帯の便は土日限定で、平日には走っていません。と言う事なので本日は、縦断ではなくピストンの計画と相成りました。

どうやらこの渡良瀬川の北岸に立ち並んでいるこの山並みが、目指す足利アルプスであるようです。まさに里山そのものと言った姿をしていますが、はたしてアルペン的な要素は存在するのでしょうか。
渡良瀬川の橋の上から見た足利アルプス

川の上流に見えているこの山が何なのか始めはわらなかったのですが、よく見るとこれは赤城山(1,828m)ですね。東側から見るとこんな風に見えるのですか。
渡良瀬川の橋の上から見た赤城山

川を渡って程なくJR両毛線の踏切を渡ります。踏切をこえたら、最初の大通りを左折します。
足利市内の両毛線の踏切
帰りがけにあしかがフラワーパークに立ち寄るつもりでいるので、帰路はこの両毛線を利用することになります。

古くからの歴史ある町らしく、足利市内の道は綺麗な碁盤状になっていて道に迷う要素はありません。足元にこうして織姫神社までの道順案内まであり、至れり尽くせりです
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左手にこの変わったデザインの交番が現れたら、交差点を右折します。
足利市の交番

正面に織姫神社が姿を見せました。市内を見下ろす小高い丘の上にある神社で、この神社が足利アルプスのスタート地点となります。
織姫神社の入り口

織姫神社は足利地方の特産品である足利織物の守り神として、西暦1705年に創建された神社です。縁結び神社としても有名です。
織姫神社の鳥居

これから歩こうとしている足利アルプスのハイキングコースは、首都圏在住のハイカーにはお馴染みの存在である、関東ふれあいの道に組み込まれています。
関東ふれあいの道 歴史のまちを望む道

この織姫神社では、紅葉シーズンに合わせてライトアップも行われています。ですがちょうど前日の勤労感謝の日がライトアップ期間の最終日であったらしく、照明を片付けている真っ最中でした。
足利織姫神社の男坂

階段を直登する男坂の他に、緩やかに迂回しながら登る女坂もあります。女坂の方は、京都伏見稲荷の千本鳥居を思わせるような道になっていました。
足利織姫神社の女坂

9時30分 織姫神社まで登って来ました。鮮やか朱色が印象的なこの建物は、平等院鳳凰堂をモデルにしています。
足利織姫神社
ここは足利を代表する観光名所の一つですが、今は平日の朝とあってか流石に閑散としていました。

恋人の聖地っぽい鐘があるなあと思ったら、本当に恋人の聖地でした。縁結び神社にはふさわしい構造物だと言えるでしょう。まあ、私は一人で来ているけれどね。
織姫神社の恋人の聖地

織姫神社の裏手一帯が、織姫公園として整備されています。この公園内にあるもみじ谷の紅葉が、今ちょうど見頃を迎えていると言うことであるので、登山開始前に少し寄り道して行きましょう。
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この公園の入口に、大山阿夫利神社参道入口と書かれた石碑が置かれていました。阿夫利神社と言えば、神奈川県伊勢原市の大山にある神社の事です。はて、それがなぜここにあるのでしょう。
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気になって後から調べてみたのですが、足利市には江戸時代に大規模な大山講が存在していたと言う記録があり、恐らくはそれに関連しています。

この講と言うのは、参加者が費用を積み立ててお参りツアーを開催する団体の事です。現在の感覚で言うと、町内会の登山サークルみたいなものでしょうか。大山講はたいへん人気が高く、関東一円の多く都市に存在していました。

具体的な記録を発見できなかったので、これはただの想像でしかありませんが、大山講の参加者のうち実際に現地までは行けない事情がある人のために、この地へ阿夫利神社を分祀していたのではなかろうかと思われます。

階段を登りきると、目の前に小高い丘のようなものがありました。なんでもこれは古墳なのだそうで、登らないようにとの注意書きが掲げられていました。
織姫公園牡の古墳

この古墳のすぐ脇に駐車スペースがあり、車でお越しの人はここまで入ってこれます。もみじ谷見物に来た人々のものなのか、平日であるにも関わらず、かなりの台数が駐車していました。
織姫公園の駐車場

もみじ谷に向かいましょう。駐車場の周辺の木々はまだあまり紅葉はしていない様ですが、果たして本当に見頃なのだろうか。
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もみじ谷の入り口へとやって来ました。まだ少し時期が早かったかと言う予想には反して、既に散り始めで若干くすんだような色合いになってしまっているように見えます。
織姫公園のもみじ谷

しかし中へと入って行くと、それは完全なる杞憂でした。まさに見頃のド真ん中かな光景が広がっていました。これは素晴らしい。
織姫公園のもみじ谷

この楓の植樹を行ったと言う足利ロータリークラブと言うのは、「国際ロータリー」なる社会奉仕連合団体に属している組織です。
織姫公園のもみじ谷
会員には地元の名士と呼ばれるような地位にある人々が多く名を連ねています。いわゆるノーブレス・オブリージュ(恵まれたる者の責務)と言うやつを体現しているような組織でしょうかね。

見事な紅葉のトンネルです。本年は9月の下旬ごろからずっと、紅葉を追いかけて日本各地を巡って来ましたが、紅葉前線はいよいよ里まで下って最終盤を迎えつつありました。
織姫公園のもみじ谷

陽の光を浴びて輝く葉が実に美しい。やはり紅葉見物と言うのは晴れていてナンボですよね。
紅葉したカエデの葉

3.足利城の城址、両崖山

もみじ谷の紅葉見物を切り上げて、ようやくにして本題の登山へと移ります。まずは谷底から抜け出し、尾根の上へと登り返します。
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もみじ谷の紅葉は、やはり外から見ると若干くすんでいるように見えました。それが内側から見るとあれほどに輝いて見えたのは、やはり晴天の陽の光によるところが大きいのでしょう。
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尾根に上がったところが、噴水広場と呼ばれている地点です。肝心の噴水は停止していました。まあ、本日は平日ですからね。
織姫公園 噴水広場

この辺りはまだ織姫公園の敷地内です。登山口を目指してしばしの舗装道路歩きが続きます。
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10時20分 両崖山の登山口へとやって来ました。ここからようやく、足利アルプスの登山道が始まります。それではいっちょう、気合を入れて行きましょう。
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登山道に入るなり、いきなり岩場が始まりました。特に難しい要素はなく、手を使わずとも登れるレベルの岩場です。
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ちなみに、Alps(アルプス)と言う言葉は、Alp(アルプ(岩山))の複数形です。

最近日本全国に増殖中のご当地アルプスの中には、岩山などはまったくなくアルプスの体を成していないような山も多くありますが、その点この足利アルプスはしっかりとアルプスしています。

最初の岩場を超えると、明瞭な尾根筋に乗りました。頭上が開けており、明るくて気持ちの良い道です。
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地元の人々には人気のハイキングコースらしく、平日であるにもかかわらず結構な数の登山者とすれ違いました。
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足利アルプスの最初の一座である、両崖山の姿が見えて来ました。見たところ、山頂に展望は一切なさそうな姿をしています。
両崖山

途中にあった見晴らしの良い岩の上から背後を振り返ると、広大なる関東平野が広がっている様が良く見えました。平野部と山間部の狭間の地域ならではの眺望です。
足利アルプスの稜線

しっかりと手も使わないとよじ登れないような岩場もありました。ここは右側に迂回路があるので、自信が無ければ回り込みましょう。
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新築の香りがする展望スペースがありました。ここにはもともと展望台が存在しましたが、2021年の2月末に発生した山火事によって焼失してしまったのだとか。
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そういえば少し以前に、栃木県の山でタバコの火の不始末が原因の山火事が発生したと言うニュースを、目にしたような記憶があります。あれはどうやらこの両崖山での出来事だったようです。

周囲をよく見ると、焦げた焼け跡がしっかりと残っていました。
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あらためて当時のニュースを見返すと、7日間に渡って燃え続けたと言う事なので、かなりの広範囲が焼けたはずです。その割に周囲は特に禿山状態にはなっていません。一番激しく燃えたのは、この付近ではないと言う事でしょうか。
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山頂が見えて来ました。やはり案の定、山頂に展望は全くありませんでした。
両崖山の山頂

11時 両崖山に登頂しました。何故か俳句調になっている、珍しい山頂標識です。
両崖山の山頂標識

この両崖山は、足利城と言う山城が建っていた城址です。確かに麓の町を見下ろす立地にあることから、城を築くには適地です。
足利城址

現在は特にこれと言った遺構などは残っておらず、小さな神社がポツンと建っていました。
両崖山山頂の御嶽神社

4.関東最古の毘沙門天が立つ大岩山

まだまだ先は長いので前進を続けましょう。相変わらず、しっかりとした明瞭な岩の尾根筋が続いています。天気は上々なのですが、かなり風が強くなってきました。
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足利アルプスの次なるピークである、大岩山の姿が見えました。山頂の左手に見えている伐採地のような禿山の部分が、どうやら先の火災で焼失してしまった部分であるようです。
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途中で土砂崩れにより登山道が寸断されてしまっており、迂回の案内が出されていました。
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幸いにも尾根のすぐ下を林道が並走しており、大した迂回ではありません。案内の看板によると、この付近には春になるとカタクリが咲くらしいので、その頃を狙って訪問するのも良いかもしれません。
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しばし舗装された林道を歩き、この切通しが現れたら再び登山道へと復帰します。
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道中は割とアップダウンが多めです。低山だと思って侮ると痛い目にあうタイプの登山道だと言えます。
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視界の開けた場所に出ました。眼下に見えるトンネルで尾根の下を貫いている道は、北関東自動車道です。群馬県の高崎と茨城県のひたちなか間を結んでおり、関越道、東北自動車道および常磐道の三つの高速道路を接続しています。
足利アルプスから見た北関東自動車道

再び林道に出ました。ここからまたしばしの間林道歩きが続くのですが、特に見所もないので道中の様子はスパッと省略します。
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12時5分 時刻が正午を回ったところで、毘沙門天へとやって来ました。この大岩山毘沙門天は、毘沙門天を祀った寺院としては関東最古であり、西暦745年に開山したと伝えられています。
大岩山毘沙門天の入り口

立派で見栄えのする山門です。右書きの扁額の文字が歴史を感じさせてくれます。
大岩山毘沙門天の山門

過去に何度か火災により焼失しており、その都度再建されてきました。現在の建物は1762年に建てられたもので、足利市の重要文化財に指定されています。
大岩山毘沙門天

先の山火事では何とか焼失を免れたものの、一時は建物のすぐ近くにまで火の手が迫り、かなり危ない状況であったのだとか。
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その際に、建物の中に収められたいた宝物を大慌てで緊急退避させましたが、その過程でいくつかの文化財が破損してしまったのだそうです。その修復のための募金を募る募金箱が設置されていました。

寺院のすぐ裏手に駐車スペースが存在し、車でお越しの人はここまで直接上がってくることも可能です。可能と言うか、むしろここまで歩いてくる人の方が少数派であると思われます。
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この駐車場の脇が、関東平野を一望する展望スポットとなっていました。低山らしからぬ素晴らしい眺望です。
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遠くに薄っすらと、丹沢の山並みを視認できます。左の方に大山もクッキリと見えてますね。これだけ良く見えていれば、当然親しみも湧こうと言うもので、足利地方で大山講が盛んだったと言うのにも納得の光景です。
大岩山から見た丹沢山地

もしかしなくても、これは富士山の頭ですね。こんな遠くからでも見えるとは、流石は日本一の山です。

毘沙門天があるのは山の途中で、大岩山の山頂まではまだもうひと登りあります。寄り道はこれくらいにして山頂へ向かいましょう。
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燃やされる山の気持ちをですか。うーん、それはちょっと難易度が高いのではなかろうか。
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山頂直下最後の登りです。遠目には割と急な山容をしているように見えましたが、ゆったりとした九十九折れの道が付いており、特に険しくはありません。
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山頂が見えて来ました。これまた地味な山頂ですねえ。
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12時40分 大岩山に登頂しました。足利百名山なる手製の札が下がっていましたが、本当に足利だけで百座も山があるのでしょうか。
大岩山の山頂

山頂の様子
展望は一切ない静かな空間です。テーブルとベンチがあるので休憩向きな空間ではありますが、この先の行道山の方が眺めは良いのでそこまで頑張って進んだ方が幸せになれると思います。
大岩山山頂の様子

5.足利アルプスきっての好展望地、行道山

ここまで来れば、足利アルプス縦走もいよいよ終盤です。大岩山からはあまり大きなアップダウンもなく、比較的フラットな道が続いていました。
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途中に何ヵ所か視界の開ける場所があります。側面を守ってくれていた木々が無いため、風の影響をモロに受けます。あー寒い寒い。
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割とあっけなく山頂が見えて来ました。
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12時55分 行道山に登頂しました。こちらは先ほどの足利百名山の札の他に、栃木百名山なるものにも選ばれているらしい。百名山の大盤振る舞いですね。
行道山の山頂標識

山頂の様子
複数のベンチが用意されているほか、東屋まであります。本日は閑散としていましたが、きっと週末になれば多くのハイカーで賑わうのでしょう。
行道山 山頂の様子

山頂は東西両方の展望が開けています。こちらは南東の東京方面を向いた際の眺めです。
行道山からの眺望

山頂に居合わせた地元の方に、「スカイツリーも見えるよ」指し示されました。最大望遠で覗いてみると、確かにしっかりと見えました。肉眼ではごく小さな棒切れか何かのようにしか見えませんでしたがね。
行道山からの眺望

反対側の北西方向の展望です。平野を望む先ほどの眺めとは打って変わり、こちらは完全に山間部の様相です。
行道山からの眺望

どこからでも目立つ、言わずと知れた上州のシンボル赤城山です。足利地方は栃木県に属していますが、文化・生活圏的には群馬県との結びつきの方が強いと言われているのが良くわかる光景です。
行道山から見た赤城山

足尾山地の懐深くに見えているこの2座は、袈裟丸山(1,961m)と皇海山(2,144m)です。朝方に橋で渡って来た渡良瀬川の源流域に立つ山です。
行道山から見た袈裟丸山と皇海山

北には日光男体山(2,486m)の頭だけが見えました。足利と日光は、距離的にはそんなに遠く離れてはいませんが、間に深い山間部が横たわっているため、往来するのは容易ではありません。
行道山から見た日光男体山
足利アルプスの縦走としてはこの行道山がゴール地点となりますが、しかしせっかくなので、この先にある行道山浄因寺にまで足を延ばします。

6.関東の高野山の異名を持つ、行道山浄因寺

13時15分 行道山の山頂を後にして、さらに先へと歩みを進めます。山頂からは結構大きく下ります。
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登山道はこの先も尾根沿いにずっと続いていますが、関東ふれあいの道の案内に従って、浄因寺方面へ進路を転じます。
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ここまでずっと歩いてきた道と同様の、岩の尾根道が続いていました。アルプス的な要素が皆無なご当地アルプスがあふれている中、この足利アルプスは最後までしっかりとアルペン的です。
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浄因寺へ下る道中に、寝釈迦と呼ばれる好展望スポットがあります。
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お地蔵様が大量に安置されていました。この中のどこかに、寝釈迦と言う名前の由来でもあるお釈迦様の石像があるらしいのですが発見できませんでした。
行道山 寝釈迦

寝釈迦は断崖絶壁の上にあり、そのため眺めはすこぶる良好です。
行道山 寝釈迦からの眺望

遠くに薄っすらと筑波山(877 m)の姿が見えました。周辺に他に背の高い山が存在しないため、低山らしからぬ存在感がある山です。
寝釈迦から見た筑波山

谷底へと続く森の中に入ると、周囲はいきなり薄暗くなりました。
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やがて、狭い谷間にひしめく人工物の姿が見えて来ました。
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13時35分 浄因寺に到着しました。西暦713年に行基上人によって創建されたと言う、大変歴史のある寺です。四方をぐるりと崖に覆われ谷底にあり、関東の高野山の異名を持ちます。
行道山浄因寺
あまり詳しくはないのですが、高野山というのは確か、戦いに敗れた戦国大名が事実上の軟禁状態に置かれることで名高い寺院でしたよね。

有名な観光地である聞いていたので、土産物店やお団子屋などが軒を連ねているような、もっと開けた場所を想像していました。意外やこんなにも静かな空間だったのですね。
行道山浄因寺

見上がる高さの大イチョウが、谷合の小さな寺院を見ろすかのように立っていました。
行道山浄因寺

足元には黄色い絨毯が出来上がっていました。訪問の時期としては、ベストと言えるタイミングだったと思います。
行道山浄因寺

7.足利アルプス 下山編 日没が迫りつつ足利アルプスを、足早に引き返す

浄因寺を辞去して下山を開始します。なんでも行道山を登り返さずに毘沙門天の裏手まで戻れる巻き道があるらしいので、帰路はその巻き道を使います。
行道山浄因寺

石段をまっすぐに下ると駐車場に達しますが、そこまでは下らずにこの東屋があるところで石段から外れます。
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モノレールに占領されていて分かり難いですが、たしかに薄っすらとした踏み跡が続いていました。
211124足利アルプス-098

この巻き道はさほど歩かれていないらしく、径が細くてやや不明瞭です。特に見るべき点もない道ですが、道中の紅葉が綺麗でした。
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と言う事でやけにあっさりと、大岩山手前の林道終点まで戻ってこれました。
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ピストンなので、この先はもう脇目も触れずに早足進行で参ります。早くも陽が傾きつつある道を、足早に通り抜けて行きます。
211124足利アルプス-101

ずっと雲に覆われていて見えていなかった浅間山(2,568m)が、この時間になってようやく姿を見せました。
211124足利アルプス-102

山火事跡の展望台まで戻って来ました。ここまで来れば、長かった下山もあとひと頑張りです。往復するとなると、なかなか一筋縄ではいかない遠き道のりですぞこれは。
211124足利アルプス-103

行きにはあれだけ多くの登山者で賑わていた登山道も、この時間ともなると流石に誰もいませんでした。
211124足利アルプス-104

あらゆるものを美しく見せる、この西日と言う魔法の光。茜色に照らされた紅葉が実に綺麗ですね。あまり余裕をこいていると、アッと言う間に暗くなってしまいますがね。
211124足利アルプス-105

16時20分 織姫神社まで戻って来た時には、ちょうど陽が沈むところでした。思いがけず、ガッツリと丸一日を費やす骨太な縦走登山でありました。
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再び街中をトボトボと歩いて、JR両毛線の足利駅へと向かいます。
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16時45分 JR足利駅に到着しました。ちょうど学生たちの帰宅の時間帯とかち合ってしまったらしく、朝に続いてまたもや車内は超満員でした。何とも間が悪い一日でしたな。
JR足利駅の駅舎

8.あしかがフラワーパークの光の花の庭を見物する

あしかがフラワーパーク駅で途中下車します。あしかがフラワーパークでは毎年、花の季節ではない10月下旬から2月の中頃までにかけて、花の庭と称するイルミネーションが行われています。
あしかがフラワーパーク
なんでも日本三大イルミネーションなるものの一つに数えられているのだとか。後の二つは札幌の大通公園と、長崎のハウステンボスです。江ノ島は入っていないんですね。

せっかく通り道なので、ついでに見て行こうと言う事でやってまいりました。週末は大混雑しますが、本日は平日なので多少は空いていることでしょう。

夜の部の入場料金は大人1,100円です。入口のチケットカウンターで「一人です」と言ったら、2度聞きされました。・・・おっさんが一人でイルミネーションを見に来てはいかんのか。
あしかがフラワーパークの入口

まだ11月であるにもかかわらず、クリスマス仕様のライトアップになっていました。えらく気が早いですね。
あしかがフラワーパークのイルミネーション

確かに周囲は皆、家族連れかカップルばかりです。・・・おっさんが一人でイルミネーションを見に来てはいかんのか。(2度目)
あしかがフラワーパークのイルミネーション

さて、あしかがフラワーパークと言えば特に有名なのが藤棚です。当然ながら11月下旬に藤の花は咲いていませんが、かわりに藤を模した電飾が吊るしてあります。
あしかがフラワーパークのイルミネーション

アップで見るとこんな電飾です。花が咲かない季節にもお客を呼び込むために始めたのでしょうけれど、しかし面白いことを考えるものです。
あしかがフラワーパーク イルミネーションの電飾

奇跡の大藤もこの通り、一面の電飾に覆われてド派手な状態でした。本物には及ばないのはまあ当然のことにしても、これはこれで壮観です。
あしかがフラワーパークのイルミネーション
あしかがフラワーパークのイルミネーション

やはりライトアップで一番見栄えがするのは、リフレクションが狙える水辺の光景でしょう。と言う事で水際へとやって来ました。足元が結構暗い上に、手すりなどは無いので転落しないように十分にお気を付けください。
あしかがフラワーパークのイルミネーション7
これは決して笑い話などではなく、今の季節に全身を濡らしてしまったら、低体温症で命を落としかねませんからね。

時間経過で電飾の色が変わる演出が行われています。おかげで、写真を撮るタイミングを計るのが難しい。
あしかがフラワーパークのイルミネーション

さて、あまりグダグダとシーンごとにコメントをするの何なので、何枚か写真だけを張っておきます。入場料金1,100円分の値打ちは十分すぎるほどにある光景だと思います。
あしかがフラワーパークのイルミネーション
あしかがフラワーパークのイルミネーション
あしかがフラワーパークのイルミネーション
あしかがフラワーパークのイルミネーション
あしかがフラワーパークのイルミネーション

一時間半ほど滞在して、公園を後にしました。帰路は小山を経由して、JRの上野東京ラインで帰宅の途につきました。
211124足利アルプス-120

かくして晩秋の足利を満喫した一日は大満足の内に幕を閉じました。
縦断ではなく往復ルートを辿ったからだと言うのも当然ありますが、足利アルプスのハイキングコースはなかなか歯ごたえがある道のりでありました。横方向への移動距離がかなり長めである上に、アップダウンもそこそこ多く、お手軽なハイキングコースと言うよりは、丸一日をかけてガッツリと歩くコースです。もっと手軽に楽しみたい時は、両崖山までで切り上げるのが良いのではないかと思います。
古くからの歴史ある町である足利市内には、見て回るべき名所史跡が数多く存在します。登山は軽めで切り上げ、その後は市内を観光して行くと言うのも良いプランであるかもしれません。

<コースタイム>
足利市駅(8:55)-織姫神社(9:30)-もみじ谷(9:55)-両崖山(11:00)-毘沙門天(12:05)-大岩山(12:40)-行道山(12:55~13:15)-浄因寺(13:35)-両崖山(15:25)-織姫神社(16:20)-足利駅(16:45)

行道山山頂での記念撮影

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. M M より:

    オオツキさん、こんばんは。
    平日登山時の通勤・通学電車での居心地の悪さわかります!
    たぶん周りはたいして気にしてないのでしょうけど、なんとなく肩身が狭いです(^^;

    ●●アルプスはけっこう色んなところにあるんですね。
    鎌倉アルプスしか知りませんでした。

    • オオツキ オオツキ より:

      MMさま
      コメントをありがとうございます。

      ご当地アルプスと呼ばれているもののはしりは沼津アルプスらしいのですが、最近は全国各地に増殖しています。地元自治体が命名したオフィシャルなものから、勝手にそう呼ばれているだけの通称であるものまで多種多様です。ご当地アルプス巡りは楽しいですよ。

      未知のものがあれば、これからも開拓して行きたいと思います。