栃木県足利市および佐野市にまたがる大小山(だいしょうやま)に登りました。
渡良瀬川の北に連なる足尾山地の前衛に位置する山です。標高400メートにも満たない低山ながら、平野部に面した立地にあることから眺望の良く、地元では登山者に人気の高い山です。山頂直下の岸壁には「大」「小」と書かれた巨大な金属製の文字板が掲げられており、周辺から見た際に大変目を引く存在となっています。
紅葉が山から里にまで下って来た12月の初頭に、関東平野を一望する里山を巡って来ました。
2023年12月3日に旅す。
小山駅から足利駅に至る区間でJR両毛線を利用したことがある人は、車窓から大小と書かれた謎の山を目にしたことがあるのではないでしょうか。この山が今回の舞台である、その名も大小山です。
世の中には個性的な外観を持つユニークな山が数多く存在しますが、その中でも名前が書いてある山というのはかなり珍しい部類なのではないでしょうか。
大小山は足尾山地と呼ばれる、関東平野の北部にある山域の前衛部にある山です。名前の由来は、この山に住まうと言う大天狗と小天狗から来ています。
平野部に面しているため、たいへん眺めが良い山です。近年のご当地アルプスブームにのっかり、付近一帯にある尾根続きの山と合わせて大小アルプスとも呼ばれています。
全体を通じてなかなかアップダウンが多めで、標高の割には歩き応えのある縦走コースとなっています。
季節は12月に入り、高山から低山へと移ってゆく紅葉をひたすら追いかけて来たシーズンも、いよいよ最終盤となりました。紅葉が見頃の最盛期を迎えた大小アルプスの訪問記をお届けます。
コース
JR両毛線の富田駅からスタートし、阿夫利神社を経て大小山へ。そこから大小アルプスの稜線を縦走して、紅葉の名所である長林寺を目指します。
下山後は足利駅まで直接歩きます。公共交通機関利用の強みを生かして、両毛線の駅から駅へと繋ぐ縦走コースです。
1.大小山登山 アプローチ編 鈍行列車で行く関東平北部への旅路
7時25分 JR小山駅
私の内部では漠然と栃木県は大東武のテリトリーであるイメージがありますが、本日は両毛線に乗る必要があるため、東武よりも割高なのは承知でJRでやって来ました。
意外と忘れられがちですが、小山駅は新幹線の接続駅です。後から取って付けたかのように間に新幹線の改札があるため、両毛線への乗り換え連絡通路は変な動線になっていて結構歩かされます。
新幹線によって青空を奪われたホームから両毛線に乗り換えます。単線で運行本数があまり多くないので、接続時間は事前によく確認しておく必要があります
佐野駅を過ぎると、北側の車窓に目指す大小山の姿が見えて来ました。ぱっと見ではなにかの広告なのかと思うような外観をしており、初めて目にしたときはまさか山の名前なのだとは思いませんでした。
8時12分 富田駅に到着しました。かつて存在した富田村の名前を冠した駅ですが、現在は足利市の一部となっています。隣のあしかがフラワーパーク駅が開業するまでは、この駅が公園最寄りの駅でした。
公衆トイレか何かと勘違いされそうな簡素な駅舎の無人駅です。下車した乗客は私一人だけでした。
出発前にトイレを借りたのですが、壁に謎の張り紙が張られていました。
タバコのポイ捨て禁止と言うのはまあわかるとして、何かの錠剤や注射器を便器に捨てるのってどんな状況ですかい。富田ってそんなに怖い街なの??
この張り紙を見ていると、何故か脳内でファイナルファイトのオープニング曲が自動再生されました。
2.駅から徒歩で阿夫利神社を目指す
身支度を整えて8時20分に行動を開始します。踏切を渡って、大小山がある北方向に進みます。
まるで盆栽をそのまま巨大化したかのような外観の、画になるクロマツがありました。
東陽院のクロマツと呼ばれているもので、樹齢はおよそ400年であるとのこと。こうして案内板まであると言う事は、一応は地元の名所扱いなのかな。
道なりに真っすぐ・・・と言いたいところですが、実際はグネグネと曲がりつつ大小山がある方角へと進みます。
曲がり角にはこうしてしっかりと道標も整備されていました。電車で登りに来る人がそれなりに多い山であることが伺えます。
足利市であると言う事を示しているのか、マンホールに「足」と書かれていました。大小山といい、ストレートに名前そのものを漢字で直接書くのが足利地方の流儀なのだろうか。
前方に山が見えて来ましたが、まだここからは取り付かず一度右側へグルっと大きく回り込みます。
大小山の麓には長閑な田園風景が広がっていました。肝心の紅葉の方はまさに最盛期と言った様子で、これは大いに期待できそうです。
目指す大小山が正面に見えました。えーと、念のために確認しますが、トイレの話をしている訳ではないんですよね?
見れば見るほどに意味不明と言うか、山の名前を山に直接書こうと最初に思い至った経緯は、一体どのようなものだったのだろうか。
大小山登山者用の駐車場がありました。わざわざ専用駐車場まで完備している辺り、マイナーな里山の域を超えた山であるらしい。
満車でこそありませんが、既にかなりの台数が駐車していました。紅葉シーズンもたけなわと言う事で、入山者は相当多そうです。
9時 大小山の登山口がある阿夫利神社まで歩いて来ました。阿夫利神社は神奈川県伊勢原市の大山にある神社ですが、こちらはそれを勧請したものです。
登山口の時点で既に紅葉は見頃のピークを迎えていました。普通の山ならこの状態だと山の上の方では既に紅葉が終わってしまっていることが多いですが、大小山は標高300メートル少々しかない山であるため、恐らく大丈夫でしょう。
阿夫利神社の建物は、本家には到底及ばない極めて簡素なものです。足利地方には古くから大規模な大山講が存在しており、恐らくはその縁があってこの地に勧請したのでしょう。
神社の裏手をまっすぐに登って行くと、大小の文字がある岩の下にある展望所へと続いています。
今回私は展望所経由のルートではなく、尾根沿いに登って行くルートから山頂を目指します。入り口のゲートに掲げられた警告によると、このルートはハチやらマムシやら滑落やらと、色々な事に気を付けなければならないらしい。
3.大小山登山 登頂編 岩尾根を登り詰めた先に待つ、低山らしからぬ好展望の頂
最初からいきなりの急登が始まりました。この辺りは笹や常緑樹に覆われていてまだ紅葉はしていません。
登り始めてから10分とかからずに、あっけなく尾根に乗りました。尾根上の木々は良い感じに色づいており、ここからは待望の紅葉ハイクが始まります。
岩壁に固定されている大小の文字が良く見えました。ステンレス製で重量はおよそ1トンあるそうです。崖下には展望所だと思われる東屋も見えます。
大小山登山としては、この展望所を経由するルートから登る方が一般的です。ですが、尾根上のルートの方が若干のアスレチック要素もあって楽しいと言う事前情報を得ていたため、今回はあえてこちら側から登りました。
まだ登り始めて早々ですが、早速背後の展望が開けました。大小山は見るからに栄養には乏しそうな岩山で、あまり森が鬱蒼とはしておらず、こうして所々が開けています。
せっかくの好展望な山なのですが、麓の畑で野焼きを行っているらしく、煙が立ち込めてなんとななくモヤーとしています。この様子だと、あまり遠くまでは見えないかもしれません。
尾根沿いに先へと進みます。やはり尾根側から登るのはあまりメジャーではないらしく、登山口での喧騒が嘘のように周囲を歩く人影はまばらです。
崖際にある結構際どい岩にペンキのマーカーが描かれていました。ここはしっかりと手も使って、三点支持で登って行きます。なるほど確かにこれは、なかなかスリリングです。
岩場を登りきると、先ほどよりもさらに広く展望が開けました。中央の奥には、薄っすらと筑波山(877 m)らしき山も見えています。
足元に、下道を歩いている時にもずっと見えていたソーラーパネルの大群が見えます。この面積でどの程度の発電が出来るのかは知りませんが、個人的には嫌悪感しかない光景です。
片側が切れ落ちた痩せ尾根がしばしの間続きます。この辺は気を引き締めて歩きましょう。
痩せ尾根地帯をぬけると、お待ちかねの紅葉の森が広がっていました。訪問のタイミングとしては完璧であったらしく、一面が良い色に染まっています。
大小の文字とだいたい同じくらいの高さまで登って来ました。ベンチやテーブルのあるちょっとした休憩スペースがこうして随所に用意されており、地元の人々に愛されている山であることが伝わって来ます。
近年のご当地アルプスブームに乗っかったのか、大小アルプスと言う呼び名もあるらしい。名前だけではなく、岩場や痩せ尾根などのアルペン的な要素がしっかりと存在します。
ここで分かれ道が現れました。少々紛らわしいのですが、大小山と呼ばれているピークは二つ存在します。一つは大小の文字がある岩壁のピークで、もう一つがその背後にある別名で妙義山と呼ばれているピークです。
この分岐では右へ登って行くと妙義山に至り、左へ進むと例の大小の文字の真上に出ます。両方のピークをしっかりと踏んでおこうと言う事で、まずは先に左へと進みます。
一度鞍部へと下りすぐに登り返します。大小の文字から見て裏側から登っている格好です。
10時5分 大小山に登頂しました。さほど広くはない山頂に、立錐の余地がないくらいに大勢の登山者が詰めかけていました。写真を撮るだけ撮ったら、早々に退散する事にしましょう。
南側に展望が開けているのですが、野焼きの影響で相変わらずモヤーっとしています。ちょうど足元に大小の文字があるはずですが、角度的に上からは見えません。
西方向には、この後に歩くことになる大小アルプスの山並みが連なります。こうして上から見下ろすと、ちょうど平野部との境界にある山であることがよくわかります。
すぐ裏手に見えているこの山が、妙義山と呼ばれているピークです。大小山の最高地点はあちらになります
勿体ぶっていないで早速向かいましょう。山頂の直下は岩場になっています。
思っていた以上に本格的な岩場で、ここでもしっかりとアルペン的な要素がありました。落石を発生させないように慎重に登りましょう。
10時20分 妙義山に登頂しました。ちなみに国土地理院の地図上に妙義山という名称の記載はなく、ここが大小山の最高地点であることになっています。名前が色々と錯綜しているようです。
山頂からは大きく展望が開けており、およそ低山らしからぬ素晴らしいクォリティです。
遠くに薄っすらと見えているこちらの山は、群馬の誇り赤城山(1,828m)です。普段あまり見慣れていないアングルからの姿であるためか、赤城山らしさがあまり感じられません。
こちらは左が袈裟丸山(1,961m)で、右が皇海山(2,144m)です。どちらも足尾山地の懐深くにある深山で、私のような公共交通機関頼みの者からするとアプローチに難ありな存在です。
こちらは遠くからでも一目でわかる、日光連山の山々です。特徴的なシルエットの山が団子状になってるので、遠くからでも同定しやすい。
東側の足元に広がっているのは佐野市の街並みです。旗川と秋山川と言う二つの河川に挟まれた広大な扇状地となっています。
周囲に標高の高い山がないため、筑波山は遠くからでも良く目立ちます。
南側には足利市の街並みが広がります。晴れて空気が澄んだ日だと、関東平野を挟んで丹沢や富士山が見えたりするのですが、今日はモヤっと霞んでいて遠くは見えませんでした。
4.大小アルプスの稜線を辿る
まだ先は長いので、ぼちぼち行動を再開しましょう。もと来た道には引き返さずに、越床峠方面に向かって進みます。
鞍部へと下る最中に、一か所だけロープの張られた岩場があります。手足をのせられるステップは豊富にあり、特に難しい要素はありません。
一度下ってしまったった以上、その後に待っているのは当然ながら登り返しです。縦走登山とはそういうものでございます。
所々で展望が開けていて、じつに気持ちの良い尾根道です。関東平野の途方もない広さに奮えます。
国土地理院の地図にも書かれていない小道が多数あり、途中でエスケープ可能なポイントは複数個所にあります。
登り返すと毛野山と言う名の小ピークがありました。本当にどうでもよいことですが、個人的には到底分かり合えそうにない名前の山です。
この先の尾根も延々と登ったり下りたりを繰り返しているのが見えます。思った以上にアップダウンが激しくて歯ごたえのある縦走路ですぞ、これは。
こちらは通称ガマ岩と呼ばれている岩です。ここはペンキのマーカーに従って、岩の側面に張り付くようにして通過します。
ガマ岩を通過すると、尾根は再び登りに転じます。縦走登山とはそういうものでございます。大事な事なので2度言いました。
またもや小ピークがありました。地形図を見た感じではそんなにいくつもピークがある様には見えなかったのですが、とにかく細かいアップダウンが多いです。
こうした尾根上のコブでしかないような小ピークにもしっかりと名前が与えられている辺り、地元で愛されている山であることが伝わって来ます。こちらはあいの山と言う名称だそうですが、漢字で書くと間の山なのかな。
小刻みなアップダウンはなおも続く。この先に越床峠という名の鞍部があるはずですが、その前にもう一回登り返しが入ります。
眼下の紅葉が凄いことになっています。この部分だけをピックアップして見ると、栗駒山並みだとまで言ったら大げさだろうか。
左手に大きな建物が見えます。山百合学園という福祉施設であるようです。
越床峠前の最後の登り返しです。時刻は間もなく正午を迎えようと言うところで、ジワジワと気温が上昇して暑くなってまいりましたぞ。水、足りるかな・・・
正面に見えているのは大坊山と言うピークです。大小アルプスの山の中では、大小山に次いで登る人が多い山です。
ヤマレコなどで大小アルプス縦走の記録を見ると、長林寺には抜けずに大坊山を越えてスタート地点に戻る周回ルートを歩く人の割合が多いようです。電車ではなく車で来ている人は、スタート地点へ戻る必要がありますからね。
ピークが現れました。今度はただの尾根上のコブではなく、しっかりと三角点のある山です。
11時40分 越床山まで歩いて来ました。大小アルプスの縦走路はこの先の越床峠へと続いているのですが、ルートからは少し外れた場所にロウソク岩なるものがあると言う事なので、少しばかり寄り道をして行きます。
道標によると佐野のマッターホルンなる異名であるのだとか。これは大いに期待が高まります。
5.佐野のマッターホルンことロウソク岩
縦走路から外れるなり踏み跡が少々心許なくなりましたが、しっかりとペンキマークによる目印が続いていました。
尾根沿いに進んでゆくと、道はどんどん下り始めました。帰りにまた登り返さなくてはいけないので、あまり下ってほしくは無いのだけれどな。
前方の視界が開けて、白っぽい岩が立っているのが見えて来ました。なるほど確かにロウソクっぽく見えなくはないかな。
と言う事で、こちらが佐野のマッターホルンことロウソク岩です。どうでしょう、マッターホルン感はありますかね?私は無いと思う。
麓から見上げると、また違った見え方がしたりするのだろうか。
ちなみにこのロウソク岩は、崖際の結構際どい場所に立っています。目の前まで接近したい場合は、足元に十分ご注意ください。
12時45分 越床山まで戻って来ました。思わぬ寄り道をして、結構な時間を浪費してしまいました。気を取り直して縦走を再開しましょう。
6.山頂番屋と足利鉱山
越床峠に向かって下って行きます。ここまでの小刻みなアップダウンとは異なり、しっかりと大きく下ります。
越床峠まで下って来ました。厳密に言うと峠はここではなく、少し北に外れた場所にあります。現在は峠の下を越床トンネルが貫いており、上まで登ってくるのは登山者くらいなものです。
峠から足利鉱山に向かって登り返します。九十九折れも何もない一直線の登りで、かなりの急勾配です。後半になってからこんなエグイ登りを盛り込んでくるとは、大小アルプスは侮れません。
この足利鉱山と言うのは、名前の通り鉱山があって採掘が行われている訳なのですが、同時にピークの名前でもあります。鉱山の名前がそのまま山の名前になっていると言うケースは、かなり珍しいのではなかろうか。
途中に番屋と言う名の茶屋があるらしいので、寄り道して行きましょう。
と言う事でこちらが番屋です。正式には山頂番屋という名称で、足利鉱山の会長が登山者のために自費で建てたものです。かつては飲み物や軽食が販売されていましたが、現在は営業しておらず閉鎖されています。
屋上が休憩所となっており、こちらのスぺ―スは現在も解放されています。
見えているのは佐野市北部の光景です。大小アルプスと似たり寄ったりな標高の低山が点在しており、採掘されて削れている山の姿が多く目立ちます。
向かいに、つい先ほど寄り道してきたローソク岩の姿がありました。うーん、やはりどう見てもマッターホルン感は微塵にもないような?
何故かガマ様を祀った神社がありました。筑波山でも同じような神社を目にした記憶がありますが、北関東にはガマ信仰的なものが存在するのだろうか。
足利鉱山の山頂は、番屋の裏手からさらに少し登った場所にあります。
13時15分 足利鉱山に登頂しました。山頂はかなり狭いので、休憩するなら先ほどの番屋で取るのが良いかと思います。
松の低木に遮られて足元が見えませんが、山頂の北側で採掘が行われており、この先は断崖絶壁です。ロープが張られているので、その先には絶対に進まないでください。
フライパンとカナヅチを流用したらしい鐘が吊るされていました。鐘があったら取りあえずは鳴らす主義なので、力いっぱい叩いてみましたが、くぐもった音しかしませんでした。
ちなみに足利鉱山にはピークが二つあり、こちらがもう一つのピークです。山頂間は5分とかからない距離です。
こちらのピークからの方が、鉱山の様子が良く見えます。足利鉱山は現役で稼働しており、珪石の採掘が行われています。セメントやガラスの原料になる鉱石です。
向かいに見えているのは両崖山(251m)から行道山(441m)に至る山並みかな。あちらは通称足利アルプスと呼ばれおり、大小アルプスとは雰囲気がよく似ています。
7.長林寺へと至る大小アルプス後半戦
足利鉱山を過ぎると、大小アルプス縦走もいよいよ後半戦です。後半になっても、相変わらずアップダウンが連続しているのが良く見えます。
岩尾根上に灌木帯が広がる、ここまでと同様の景観が続きます。これほど里に近い山でありながら杉の植林にされなかったのは、痩せて栄養に乏しい土壌だからそもそも杉が育たなかったからなのかな。
振り返って見た大小山方面の光景です。これだけ里に近い山に杉の植林が全くないと言うのは、かなり珍しい光景だと思います。
もはや何度目になるのかもわからない登り返しを、えっちらおっちらと乗り越えます。流石に少々ダレてきましたぞ。
13時40分 ツツジ山に登頂しました。名前の通り春になるとツツジが咲くのかな。この山から少し下った場所が、大坊山方面と長林寺方面の分岐地点となっています。
周回ではなく横断するつもりでいる私は、大坊山方面への分岐を見送って尾根沿いに進みます。
尾根を下って行くと、登山道は森の中へと入りました。さすがに好展望タイムはそろそろ終わりかな。
さらに標高が下がってくると、周囲は箱根の外輪山を思わせるような笹薮に変わりました。
シルバーコースと健脚コースと書かれた分岐が現れました。そんな名前を付けられてしまったら、まだシルバーではない私は健脚コースに進まざるおえないじゃなですかー。
14時50分 あわぎ山に登頂しました。すでに現在地の標高は200メートル以下まで下がっているのですが、それでいてこれだけの展望があるのは素晴らしい。
背後にはスルーしてきた大坊山の姿が見えます。ここだけを切り取って見ると、とても標高200メートル以下の山の光景には見えず、まるで東北地方の山のようです。
そして、この期に及んでまだアップダウンが残っていると言う。大小アルプス縦走の累計標高差は、だいたい1,300メートルくらいあります。
最高地点の標高が300メートルちょっとでしかない山なのに、累計標高差が余裕で1,000メートルを超えて来るあたり、大小アルプスのアップダウンの激しさ加減が窺い知れます。
朽ち果てつつある標識に、富士山と書かれていました。こちら側に富士山があると言う意味なのかな。周囲の木々が大きく育っており、どのみち富士山は見えそうにありません。
登山道はここで一度尾根を外れて、山腹沿いのトラバースに移りました。時刻はすでに15時を回っており、陽が射さない山影は薄暗くなりつつありました。
ゴールまではもうあとわずかな場所までやって来ましたが、ここで一度車道にぶつかりました。
当然横断歩道などは無いので、タイミングを見計らって横断します。道を渡ったら、そのまま向かいの山中へ入って行きます。
またもや分岐です。今度はハイキングコースと初心者コースと銘打たれています。ここは当然ハイキングコース一択です。
ここに来てまさかのクサリ場がありました。クサリを使わなくても登れそうなレベルなので、特に身構える必要はありません。
15時35分 大小アルプス最後の一座である、浅間山に登頂しました。名前からして、かつてはここからも富士山が見えたのでしょうか。現在は木々に覆われており、展望はありません
8.紅葉が見頃の長林寺
だいぶ日が傾いて来ました。なんやかんやで、ほぼ丸一日を費やした大縦走になってしまいました。
ゴールの長林寺の屋根が見えます。永久に続くのではないかと思われたアップダウンも、これでようやくひと段落です。
浅間山から少し下ったところに、崖の上に建てられた道了堂と言う名の小さなお堂があります。陽が傾き周囲がだいぶ薄暗くなってきていたこともあり、思いっきり手ブレしてしまいました。
実はこの時、使用しているカメラの手振れ補正が壊れて機能しなくなっていたのですが、しばらくの間その事に気が付かず、こうしたブレ写真を大量生産してしまいました。
いかに普段から手振れ補正に頼り切っていたかと言うことなんですけれどね。
下から振り返って見た道了堂です。この時間になってもまだ見物に訪れる人がいたりして、人気のスポットであることが伺えます。
下りて来るなり、お寺の庭にはつきものの池が出迎えてくれました。この池にはカワセミが来るらしく、カメラを抱えた人の姿が多くありました。
紅葉のリフレクションが実に見事です。狙っていたわけではではありませんが、ちょうど夕日が差し込む絶好のタイミングを拝むことが出来ました。
足利市には他にも長林寺があるため、区別のために山川長林寺とも呼ばれます。西暦で言うと15世の末に創建された寺で、現在の建物は大正時代になってから建て替えらたものです。
真っ黒な猫が、まじまじとこちらの様子を眺めていました。見たところ首輪はしていませんが、野良猫にしては毛ツヤが良いので、神社の飼い猫なのだろうか。
正門の前も見事に紅葉しており、まるで絵ハガキか何かのような光景を見せてくれました。これを見れただけでも、わざわざここまで歩いてきた甲斐はありました。
またもや別の猫がいました。こちらもやけに毛並みが良いし、人を恐れる様子もありません。やはり飼い猫なのかな。
あとは足利駅まで歩くのみですが、意外と距離があります。路線バスも一応あるにはあるのですが、本数が少なくてあまりアテにはなりません。頑張って歩きましょう。
16時45分 日が暮れて周囲が薄暗くなってきたところで、ようやく足利駅に到着しました。今日もたくさん歩いて大満足です。
タイミングよく、さしたる待ち時間も無しにやって来た小山行きの電車に乗り込み、帰宅の途に着きました。
思いのほかしっかりと歩かされた大小アルプス縦走は、こうして大満足の内に終わりました。大小山単体であればそれこそ散歩気分で登れるとても手軽な山ですが、大小アルプスを端から端までしっかりと歩こうと思うと、丸一日を費やすガッツリ登山となります。
タイミングとしては少し遅すぎたかと思っていた紅葉も、思いもよらず見頃のど真ん中を射止めることが出来ました。例年ですとピークはもう少し早くて、11月の後半が見頃となります。
道中は眺めも良く道も変化に富んでいて、マイナーな里山として埋もれさせておくのはもったいないポテンシャルを持った、良ハイキングコースであったと思います。
駅から直接歩ける山として、地元の人にもそうでない人にも、あらゆる人に自信を持ってオススメいたします。
<コースタイム>
富田駅(8:20)-阿夫利神社(9:00)-大小山(10:05)-大小山(妙義山)(10:20~10:45)-越床山(11:40)-ローソク岩(11:55~12:15)-越床山(12:30)-越床峠(12:45)-足利鉱山(13:15)-ツツジ山(13:40~13:55)-あわぎ山(14:50)-浅間山(15:35)-長林寺(15:50)-足利駅(16:45)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
公共交通機関利用の制約下でハードなところを狙う
……というイメージを勝手に持っていたので、大小山というのは結構意外なチョイスでした。
紀行そのものは楽しく読ませていただきましたが、年が改まった後に紅葉ド真ん中というのはやはり温暖化なんだろうかと少々薄ら寒い気がしました。
いや、見られて良かったんてすが。
貫徹さま
コメントをありがとうございます。
大小アルプスも端から端まで歩けばそれなりに登り応はありましたが、ハードであるかどうかは特にこだわってはいません。その山が公共交通機関でアプローチ可能であり、かつ興味をそそられればどこへでも出向くのが基本スタンスです。
足利には小粒ながらも歩いていて楽しい山が多くあるので、あらゆる人におすすめですよ。
行かれたの12月でした。
失礼しました。
記事化未了の山行きがまだまだ大量に残っており、リアルタイムの更新はもう諦めました。どうぞ気長にお待ちくださいませ。
私もいきました。足利駅にいくならあわぎ山ではなく、ずっと尾根道にすすみ、天道山の日月神社までいくと、実はアシコタウンに降りれる道があり、足利市駅にいくバスやサイゼリヤなどのレストランもありましたよ。
青木さま
コメントを頂きましてありがとうございます。
大小アルプスには数多くのコースがありますが、紅葉の名所の長林寺に立ち寄りたかったのでこのコースになりました。