山形県米沢市と福島県北塩原村にまたがる西吾妻山(にしあずまやま)に登りました。
福島県と山形県の境界上に大きく横たわる、吾妻連峰に属している火山です。溶岩台地の広がるなだらかな山容を持ち、冬になると一面がスノーモンスターと呼ばれる樹氷の大群に覆われることで知られています。
山形県の天元台高原からスタートし、福島県のグランデコスキー場まで、スノーモンスターが居並ぶ只中を縦断してきました。
2021年2月28日に旅す。
吾妻連峰は遠目には山と言うよりは高原台地のようにも見える、なだらかな山容を持った山です。非常に広大な山塊であり、西吾妻山はその最高峰です。
作家深田久弥が選んだ日本百名山にも選ばれている一座ですが、アクセスが容易とは言い難い山奥にあり、展望にも恵まれないためか夏期に訪れる人は少なめな山域となっています。
そんな普段は静かなる西吾妻山ですが、冬になると一転して多くの登山者で賑わいます。その理由は、通称スノーモンスターと呼ばれる樹氷の大群が出現するためです。
樹氷とは、木の表面に付着した水蒸気などが凍り付き、そこへ強風で横から吹き付けられた雪がこびり付くことによって生じる自然現象です。そのため、風が強く雪の多い場所でしか発生しません。
スノーモンスターと言えば、山形県の蔵王連峰のものが特に有名です。西吾妻山のモンスターは、蔵王のものよりはいくらか小ぶりで、リトルモンスターとも称されます。
冬の西吾妻山へは、福島県の裏磐梯にあるグランデコスキー場からアプローチするのが最も一般的です。
最寄駅からスキー場までの送迎バスが運行されており、公共交通機関によるアクセスが可能です。また、ロープウェイとリフトで標高を稼げるため、比較的容易に山頂に立つことが出来ます。
今回私は、どうせならピストンするのではなく縦断してみたい思い、グランデコからでなく山形県側にある天元台高原からアプローチしました。
天元台高原にもスキー場が存在し、こちらから登る場合もロープウェイとリフトで山頂付近まで運んでもらうことが可能です。
天気は雲一無い快晴で、おまけにほぼ無風と言う恵まれすぎたコンディションでした。白一色に染まった大絶景とスノーモンスター達に出会う、会心の山行きでありました。
コース
山形県の天元台高原よりスタートし、西吾妻山へ登頂します。その後は南下して、福島県のグランデコスキー場に向かって下山します。北から西吾妻山を縦断する行程です。
なお、下山地点であるグランデコスキー場に乗り入れしている路線バスは存在せず、帰りは事前予約制の送迎バスを利用することになります。
あらかじめ席を押さえておかないと、そもそも帰れなくなってしまうので、その点だけご注意ください。
1.西吾妻山登山 アプローチ編 バスと電車を乗り継ぎ、遠路はるばる山形県の天元台高原へ
2月27日 23時30分 バスタ新宿
夜行バスにて山形県へとおもむくべく、久しぶりにバスタ新宿へとやってまいりました。
目的地である天元台高原行きの路線バスは、米沢駅から発着しています。しかし、米沢まで直通してくれる夜行バスを見つけられなかったため、やむおえず山形駅行きのバスを押さえました。
夜行バスで一度山形駅へ出て、そこから電車で米沢入りしようと言う算段です。
明けて2月28日 6時35分
快適な3列シートのバスでぐっすりと寝ているでいる間に、バスはつつがなく山形駅へと到着しました。
バスから降り立つなり、刺すように冷たい空気が出迎えてくれました。東北地方の冬の寒さと言うは、東京のそれとは明らかにステージが違います。
山形駅から米沢駅へと移動します。時間的には在来線でも十分に間に合いはするのですが、大した値段でもなかったので新幹線を奮発しました。
山形新幹線が、米所として名高い米沢盆地を快調に走り抜けます。いつの間にか、車窓風景は混じりけなしな白一色の世界に変わっていました。これら全部、田んぼなんでしょうね。
7時40分 米沢駅に到着しました。休日の朝早い時間とあってか、人影も疎らで閑散としていました。
米沢と言えば、真っ先に思い浮かぶのが米沢牛です。名物であることをアピールするためなのか、駅のホームに牛の像が置かれていました。コロナ渦の世相を反映したのか、マスクを着用させられています。
本来であれば、帰りがけに是非ともこの米沢牛を賞味していきたいところではあります。しかしまことに残念ながら、本日はこの後に福島県側へ抜けてしまう計画であるため、もうここへは戻って来ません。
駅の跨線橋から、真正面にこれから目指す吾妻連峰の姿が良く見えました。のっぺりとした山容であるため、麓からではどこが最高地地点なのかイマイチよくわかりません。
吾妻連峰は、どちらかと言うと福島県の山であるとのイメージが強いですが、こうして北側から眺めるとまた印象が変わってきます。
この駅で下車したのは本日が自身初のことです。上杉氏の城下としてかつては栄華を極めた町にふさわしい、瀟洒なデザインの駅舎ですな。
2番乗り場から、8時10分発の白布湯元行きのバスに乗車します。スキーシーズン中はそれなりに盛況な路線らしく、発車時刻が近づくと板を抱えた人が大勢集まってきました。
そんな中へやって来たのは、まさかの小型バスでした。これは、はたして全員が乗り切れるのだろうか。
何とか乗車できましたが、満員御礼状態です。スキー客が大半で、登山の格好をしている人は少数派でした。
これだけ客がいるのに小型バスでの運行なのは、幅員が狭い山道を走るからでしょうな。
8時55分 湯本駅前バス停に到着しました。ここまでの運賃は確か970円だったかな。どうせならピッタリ千円にしてくれれば良いものを。交通系ICカードには対応していないので、小銭を用意しておきましょう。
山形交通バスは、略して山交(やまこう)バスと呼ばれています。そういえば、宮城交通バスは略称がミヤコ―でしたな。大して長くもない名前をわざわざ縮めるのは、やはり「どさゆさ」と同じ理由からなのでしょうか。
なお、グランデコに抜けずに天元台からピストンするのであれば、下山後に白布温泉に立ち寄ることが可能です。ロープウェイ乗り場からさほど離れていない場所に、日帰り入浴が可能な温泉宿が何件か存在します。
2.ロープウェイとリフトを乗り継ぎ、労せず標高1,800メートル地点へ
ここからは、ロープウェイと言う文明の利器により一気に山上へワープ出来るわけなのですが、しかしロープウェイには待ち行列が出来上がっていました。
何はともあれまずはチケットを購入しましょう。ロープウェイ片道券の他に、その後リフトを三回乗り継ぐので一回券を三枚購入します。しめて2,040円です。
この天元台ロープウェイは元々が小型のゴンドラである上に、今年はコロナウィルス感染症対策という事で、定員40人を半分の20人に絞って運行していました。そのため、なかなか行列が捌けません。
この調子では登山開始時刻が遅くなってしまう事が必至ですが、とは言ってもただ待つほかに選択の余地はありません。
天元台高原駅までの所要時間はわずか8分です。つかの間の空中散歩です。
天元台高原に到着しました。この時点ですでに標高は1,350メートルありますが、ここからさらにリフトで1,800メートル地点まで登れます。
天元台スタートの場合、ゲレンデトップから山頂までの標高差は200メートル少々しかありません。あまりにも楽過ぎて、罪悪感を覚えてしまう(何に対してだ?)くらいです。
真正面に蔵王連峰が見えました。あちらもスノーモンスターが見られることで有名な山です。と言うか、知名度で言ったら西吾妻山よりも蔵王の方が断然上です。
ここから「しらかばリフト」「しゃくなげリフト」「つがもりリフト」の3つのリフト乗り継いでいきます。天元台高原スキー場は尾根上にある一直線のゲレンデなので、リフトを乗り間違える心配は一切ありません。
このリフトはグリーンシーズンにも観光リフトとして運行しています。夏には足元が一面のお花畑になるのだそうですよ。
プラットホームで減速しないタイプのリフトですが、スキー板を履いていない人間を見かけると、係の人が減速してくれます。
背後を振り返ると、米沢盆地を一望する大絶景が広がっていました。雪質もサラサラしていて極上であるし、良いですねこのスキー場。今日は登山に来ていますが、滑りにも来てみたくなりましたよ。
頂上が近づくにつれて、徐々に周囲の針葉樹林が樹氷化してきました。とは言っても、この辺りの標高ではまだまだモンスター化はしていません。
10時17分 リフト終点の北望台まで登って来ました。別に無理して山登りをしなくても良いのではないかと思えてくるくらいに、大変眺めの素晴らしい空中散歩でありました。
それでは、あらためまして背後の眺望を眺めてみましょう。眼下には米沢牛の産地として名高い、米沢盆地が広がっております。
米沢盆地は別名で置賜(おきたま)盆地とも呼ばれます。豪雪地帯ゆえに雪解け水が豊富で、古くから米所として知られいます。江戸時代には、会津から転封されてきた上杉氏の城下町でもありました。
盆地の北西に立ち並ぶこの山脈は、東北のアルプスとの異名を持つ朝日連峰です。紅葉が大変すばらしいと言う評判をよく耳にするので、是非とも秋に縦走してみたいと以前より目を付けています。
朝日連峰は、登山口までの行くのが最大の核心部とまで称されるほどの、交通困難な僻地にあります。公共交通機関頼みの身としては、現地へのアプローチをどうしてくれるのかが目下の悩みどころです。
続いて盆地の真北にあるこの混じりけなしの真っ白な山は、出羽の名峰として名高い月山(1,984m)です。月山の右奥に頭だけが見えている山は、位置的に鳥海山(2,236m)なのかな。
この鳥海山は前々から、それはもう狂おしいくらいに登りたくて登りたくてしょうがない一座です。今年こそは絶対に登ってやります。これは持論ですが、東北地方の山にハズレはありません。
3.西吾妻山登山 登頂編 たおやかなる山上に居並んだ、スノーモンスターの大群
日焼け止めを塗ったりなんだりと色々身支度を整えて、10時35分に登山を開始します。ゲレンデのトップから、背後の針葉樹林の中へと分け入って行きます。
本日は始めからワカン装備です。西吾妻山にアイゼンが必要になるような急斜面は一切ありません。スノーシューを持っているのであれば、それがベストな選択です。
もうあと少し雪が付けばモンスターになれそうな状態の樹氷が立ち並ぶ森を進みます。木に近づくと、ワカンを履いていても腰まで埋まるくらい盛大に踏み抜くので、真ん中の踏み跡を忠実に辿って歩きましょう。
ずっしりと重そうな雪の衣を纏っています。雪のもとは水であることを考えると、実際に相当な重量があるものと思われます。
周囲にピンクリボンなどの目印は特に見当たらず、道なき森の中を進みます。降雪後の朝に一番乗りして先行者の踏み跡が無い状態だと、どこを歩くべきなのか少々迷うかも知れません。
森を抜けたところで、モンスターが出現すると共に前方の視界が一気に開けました。ハハハハハ、圧倒的ではないか。
期待していた以上の光景がいきなり目の前に出現したことにより、少々おかしなテンションになってまいりましたぞ。脳汁がバンバン垂れ流し状態です。
11時5分 地図上で中大巓(なかだいてん)分岐と書かれている地点までやって来ました。樹林から出るなり、ピーカン照りの陽の光に晒されて一気に暑くなりました。
たまらずに上着のハードシェルジャケットを脱ぎます。これにより上半身の防水は完全に失われ、絶対に雪の上に転んだり埋まったりは出来ないと言う緊張感が全身にみなぎります。
背後に中大巓と呼ばれるピークがあります。頂上へ登れる夏道がそもそも存在しない山であるようですが、冬であらば雪を踏んで何事無く登れます。
東側に見えているのは中吾妻山(1,931m)です。こちらもやはり夏道の存在しない藪山で、雪のある時にしか登れません。
余計な寄り道はせずに、このまま真っすぐ西吾妻山へ向かいます。雲一つないピーカン照りの照り返しにより、辺りは凄まじい光量です。サングラスをせずにいたら、あっという間に網膜を焼かれてしまうことでしょう。
前から欲しい欲しい言いつつも未だに度入りのサングラスを作っていない私は、サングラスのかわりにスキー用のゴーグルを装着しています。
ゴーグル越しだとカメラの液晶モニタが全く見えないため、ちゃんと適正露出が得られているのかどうか、まったく確認ができません。先ほどから感だけを頼りに撮影しています。
また水平器も良く見えなかったので、微妙に傾いてしまっているかもしれません。
この鞍部一帯は夏には湿原となり、一面にチングルマやワタスゲが咲き誇るのだとか。となれば是非とも花のシーズンにも訪れてみたいですねえ。避難小屋に一泊して、一切経山まで繋げてみるとか。
どこでも自由に歩けてしまうような場所ではありますが、一応は規定の冬道があるにはあるようです。
鞍部から登り返します。今見えているのは西吾妻山の山頂ではなく、その手前にある梵天岩と言う小ピークです。
ニョキニョキと生えたモンスターの只中を突っ切る様にして、踏み跡が続いています。
傾斜がキツイところもあるにはありますが、ワカン装備のままでも特に滑ったりはしませんでした。もっと雪が緩んで来てしまっていると、どうなるかはわかりません。
振り返れば米沢盆地と朝日連峰の大絶景。実に素晴らしい。最高のお天気です。
吾妻連峰の東側一帯の全容が見えました。吾妻連峰は東西に長く、全長はおよそ20キロメートルに渡って、標高2,000メートルを超えるピークが点在しています。
特長に乏しくわかりずらい山域なので、山名入りを一枚置いておきます。
背後には中大巓が広大な裾野を広げていました。いかにも東北の山らしいスケール感です。
この西吾妻山の北側に広がる展望は、グランデコリゾートから往復した場合には見ることが出来ません。天元台高原からスタートした者のみが目にすることの出来る光景です。
登り切ったところで、山頂がお目見えとなりました。とても標高2,000メートルを超える山の上だとは思えないような、どこまでもなだらかな光景です。
梵天岩(ぼんてんいわ)まで登って来ました。無雪期には岩場になっている場所ですが、今はこの通り白一色の世界です。
山頂まではもうあと一息です。高低差もほとんどなく、気分は雪原を歩いているようなものです。
再びモンスター達が立ち並ぶ中を進んでいきます。リトルモンスターとも称されるだけあって、確かに蔵王のものと比べると全般的に背が低めです。
モンスター達の姿は一様ではなく、実に様々です。こんな風にスノーブリッジ状になっていたり。
やけにモコモコしているヤツもいます。風の当り方の違いでこのような差が生まれるのでしょうかね。
同じような光景なのに、ついつい飽きもせずに何度もシャッターを切ってしまいます。撮影が捗りすぎてなかなか歩みが進みません。
天元台高原スキー場からも良く見えていた蔵王連峰が、再び姿を見せました。東北地方の山と言うのは、標高こそそこまで高くはありませんが、一つ一つが大きく遠くからでも目立つ山が多いのが特徴です。
続いて今度は東吾妻山の隣に、安達太良山(1,718m)が姿を見せました。あちらも吾妻山と同様になだらかな山容を持つ火山で、冬であっても比較的登りやすい山です。
安達太良山とは反対の西側には、飯豊連峰の姿がありました。先ほどの鳥海山と共に「いつか登りたい山リスト」の最上位にある山です。初夏の花のシーズンに歩いてみたい。
ああー、登りたい登りたい超登りたい。山頂で飯豊ではいいで~と呟きたい。この狂おしいまでの渇望を、今年こそはかなえられると良いのですが。
12時10分 西吾妻山に登頂しました。GPSを見る限りではここが山頂ですが、山頂標識が見当たりません。恐らくは雪に埋まっているのでしょう。
4.西吾妻山の山頂から望む、裏磐梯の大絶景
山頂からは、ここまでは全く見えていなかった裏磐梯方面の展望が開けます。
真正面に、会津地方のシンボルである磐梯山(1,819m)の雄姿を拝めます。会津富士の異名を持つ名峰です。白く染まったその姿も実にカッコ良い。
磐梯山の背後には猪苗代湖。日本国内では4番目に大きい湖です。そのさらに背後に見えているのは、那須連峰の山並みです。
こちらは磐梯山のお隣の猫魔ヶ岳です。大変インパクトのある名前なので、強く印象に残っている人も多いのではないでしょうか。
猫魔ヶ岳には、ニッコウキスゲシーズンに行ってみたいと思いつつも、未だ訪問がかなっておりません。登りたい山が多すぎて、休みがまったく足りない。圧倒的に足りない!
先ほども見えていた安達太良山です。確かに安達太良山からも、吾妻山の姿が良く見えていたように記憶しています。
西には、この後に越えて行くことになる西大巓が大きく横たわっています。その先には会津盆地が広がっており、背後に薄っすらと見えているのは奥只見の山並みでしょうかね。
5.吾妻山登山 下山編 西大巓を乗り越えてグランデコスキー場へ
12時55分 素晴らしい絶景を前にして、ついつい長居が過ぎました。ボチボチ下山に移りましょう。
ゴール地点のグランデコスキー場は、西吾妻山の山頂からは見えません。一瞬どっちに向かって下ればよいのかが分からず、周囲をキョロキョロと窺ってしまいました。
モンスター達の間を縫うように、道なき道を進みます。この写真を撮った直後に思いっきり踏み抜いて、腰まで埋まりました。
山頂はこの通り、モンスター達で溢れかえっています。ホイップクリームみたいで、食べたら美味しそう。
正面に飯豊連峰を望みながら、避難小屋がある方に向かって下ります。飯豊はいいで~(2回目)
この季節には特にハッキリとした道があるわけでもないので、みんな結構好き放題に歩き回って足跡だらけです。やはり天元台方面と比べると、入山者の数は格段に多いです。
前方に西大巓が大きく立ちはだかります。グランデコへ下山するには、この山を乗り越えて行く必要があります。
鞍部から振り返って見た西吾妻山は、山岳雑誌などでよく目にする定番の姿をしていました。この辺りで撮影していたのね。
という事で、約束されていた登り返しです。まあ本日は標高1,800メートル地点からスタートしていて、特に疲れてもいないのでなんと言うこともありません。
13時35分 西大巓に登頂しました。ここからも、西吾妻山に少しも引けをとらない大絶景が広がります。
背後には、つい先ほどまで居た西吾妻山が、そののっぺりとした姿を晒していました。実に良いですねえ。個人的には、アルペン的な岩峰よりもこういう放牧的な山の方がずっと好みです。
この真っ白な雪原のように目える場所は、裏磐梯の檜原湖です。磐梯山の噴火によってできた堰き止め湖です。水深の浅い湖であるため、完全に凍結していました。
北側には米沢盆地も一望できました。見渡す限りの白一色の世界です。
ゴール地点のグランデコスキー場が、ようやく視界に入りました。大した標高差はなさそうですね。
もうこの先に登り返しはなく、後は下って行けば良いだけです。陽当たりの良い南側の斜面は、すでにかなり雪が緩んでグズグズの状態でした。
少し急になっている場所もあるにはありますが、滑落してそのまま止まらなくなるような場面はありません。
樹林帯に入ったら、もう後は消化試合です。大股でザクザクと下って行きます。
14時20分 快調に飛ばして、グランデコスキー場のリフトトップまで下って来ました。
6.スキー場のロープウェイでラクラク下山する
このリフトは登り専用で、下り時には乗せてもらえません。もう少し先にあるロープウェイ山頂駅まで、ゲレンデを歩いて下る必要があります。
という事で、なるべく邪魔にならないように端っこの方を歩いて下りましょう。何気に、山中よりもこのゲレンデの斜面の方がよほど急坂でした。ここは上級コースなのかな。
磐梯山が真正面にあります。まさに裏磐梯と言う言葉通りの光景が広がる、素晴らしいロケーションのスキー場です。
眼下にロープウェイ山頂駅が見えて来ました。あそこまで歩けば下山は完了です。
14時40分 ロープウェイ山頂駅に到着しました。登山を開始してからは僅か4時間少々の山行きでしたが、しかし密度の濃い時間でありました。
天元台高原から歩いて来る人間は少数派らしく、山頂駅では料金の徴収は行っていませんでした。下で清算するように言われゴンドラに乗り込みます。
ゴンドラに料金未精算であることを示しているらしい、赤い旗を立てられました。
ロープウェイ下山最高ぅー。下山で楽が出来る山は大好きですよ。
このロープウェイは結構距離が長めなので、歩いて下ったら1時間以上はかかると思います。素直にこの偉大なる文明の恩恵に浴した方が良いでしょう。
山麓駅が見えて来ました。時間にしておよそ10分程の空中散歩でありました。
15時5分 下山が完了しました。係の人に伴われて、カウンターで料金を精算します。確か片道で1,200円だったかな。
売店で西吾妻山の山バッジが買えます。バッジコレクターの方は忘れずに立寄りましょう。
登山という比較的運動強度の高い行為を行った事実が、このクレープという砂糖たっぷりな甘い物体を食べることへの罪悪感を、いくらか和らげてくれます。・・・そんな事ばっかり言ってるから一向に痩せないんだってば。
甘いもの自体は結構好きなのですが、しかしあまりたくさん食べ過ぎると途中から気分が悪くなります。ハーフサイズがあると良いのですが。
・・・ええ、半分食べた辺りから気持ち悪くなりましたとも。この後に長時間のバス移動が控えていると言うのに。
バス乗り場はスキー場入り口の正面にあります。なお前述の通り、送迎バスは事前予約制です。予約していないと乗せてはもらえませんのでご注意ください。
送迎バスには、猪苗代駅行きと郡山駅行きがあります。郡山行きの運賃は1400円ですが、猪苗代駅行きはなんと無料です。無料ゆえに、猪苗代駅行きの方が予約は早くに埋まります。
コロナ渦で苦境にあるであろう地方のバス会社を応援するためにも、ここはケチらずに郡山行きの方のバスを予約しました。定刻の16時よりも少し遅れて現れたバスに乗り込み、撤収します。
郡山駅までは意外と距離があり、駅に着いた時には17時30分を回っていました。郡山駅から新幹線に乗り込み、帰宅の途に付きました。
絶好の天気に恵まれて、0泊2日弾丸の西吾妻山訪問は大満足の内に幕を下ろしました。冬期の西吾妻山は割と天気が気難しい山域で、この日のような快晴無風のコンデションとなることは、シーズン中に数える程しかありません。運よく最高の一日をつかみ取ることが出来たと思います。
グランデコから往復する人が圧倒的に多いかとは思いますが、公共交通機関で訪れるのであれば、天元台高原からの縦断コースを断然勧めします。西吾妻山の北に位置する中大巓からの圧巻の眺めは、縦断コースを歩いた者しか目にすることの出来ない特権です。
天候を味方につけることが出来さえすれば、冬の西吾妻山に特に危険な箇所はありません。だだっ広い山容ゆえに、ひとたび天候が荒れて視界不要になると非常に道迷いしやすくなりますので、その点だけは十分にご注意ください。
<コースタイム>
北望台(10:35)-中大巓分岐(11:05~11:15)-西吾妻山(12:10~12:55)-西大巓(13:35)-ロープウェイ山頂駅(14:40)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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