雲取山 白銀世界と化した雪の東京都最高峰を巡る

七ツ石山から見た雲取山
東京都奥多摩町、埼玉県秩父市および山梨県丹波山村にまたがる、雲取山(くもとりやま)に登りました。
奥多摩と呼ばれる山域の最奥に鎮座する、東京都の最高峰です。東京の山と言えども標高は2,000メートルを超え、日帰りも可能ですが健脚者向けの山と見なされています。厳冬期であっても日本海側の山のような極端なドカ雪が降ることは滅多にありませんが、それでも一たび寒波が到来すれば、まとまった量の降雪があります。
東京の山間部に久方ぶりの降雪のあった週末に、白銀世界と化した東京都最高峰を目指して登って来ました。

2021年1月30日に旅す。

ヒャッハー雪だー!

と、毎度ワンパターンな書き出しで恐縮ですが、降雪直後の雲取山に日帰りで登って来ました。
積雪期の石尾根
日本海側地域が記録的な大雪に見舞われた2021年の冬でしたが、関東地方にはまったく雪が無い状態が長らく続いていました。ようやくまとまった雪が降ったことを受けて、意気揚々と奥多摩へ繰り出しました。

公共交通機関を利用した雲取山への日帰り登山となると、選択肢は実質一つしかありません。奥多摩湖畔の鴨沢バス停から往復する、通称鴨沢ピストンと呼ばれているコースです。
丹波山村 鴨沢バス停
人里から遠く離れた奥まった場所にある雲取山は、どこから登るにしても長丁場でコースタイムは長めです。山頂へのコースタイムが最短である鴨沢ピストンにしても、日帰りで登るのは決して容易ではありません。

山頂近くにある雲取山荘に宿泊して一泊二日の行程で歩くのが一般的であり、日帰りで歩くのは健脚者向けと見なされています。

もともとも易しくはない鴨沢ピストンを積雪状態に登るとなると、なかなかの困難をともなう道程となります。実際に、下山したのは日没時間ギリギリの際どい山行きでありました。
雲取山の山頂直下

お天気は終日に渡りこの上ない快晴で、白銀世界と化した奥多摩を一望する爽快な一日でした。積雪状態の東京都最高峰への訪問記をお届けします。
雲取山から見た富士山

コース
210130雲取山-map
朝のバス時間の都合により、鴨沢バス停より手前の留浦(とずら)バス停から、雲取山を往復します。標準コースタイムは9時間を超える、健脚者向けの行程です。

1.雲取山登山 アプローチ編 奥多摩湖畔の留浦バス停へ

6時2分 JR立川駅
始発電車を乗り継いでやってまいりました。青梅線の鈍行列車に乗り込み、終点の奥多摩駅を目指します。
JR立川駅のホーム
なお、奥多摩訪問時における定番の存在であるホリデー快速奥多摩1号は、このおよそ1時間後の運行となります。雲取山への日帰り登山を狙っているのであれば、ホリデー快速で向かうのでは始動が遅すぎます。

奥多摩駅までは直通してくれないので、青梅駅で乗り換えます。この先は4両編成となるため、ハイシーズンだと青梅駅で椅子取りゲームが発生します。
青梅駅のホーム
本日は至って空いておりました。やはり積雪にのある時に山へ向かうのは、あまり一般的とは言えない行為なようで。

7時18分 奥多摩駅に到着しました。自宅最寄りの京王線の駅からだと、この時間が奥多摩駅に立つことの出来る最速となります。
奥多摩駅のホーム

7時前までに奥多摩駅に辿り着くことが出来るのであれば、鴨沢行きのバスがあります。しかし私は乗り継ぎの都合上、7時のバスには間に合いません。そのため7時25分発の小菅の湯行きのバスに乗車します。
氷川サービスステーション
この小菅の湯行きの便は鴨沢までは行ってくれませんが、その一つ手前の留浦を経由します。ただでさえ時間にあまり余裕が無い中、さらに下道歩きが少し追加されることになりますが、こればかりは致し方ありません。

7時59分 留浦バス停に到着しました。ここで下車したのは私一人だけでした。やはり日の短いこの季節に、雲取山へ日帰りで登ろうと言う人間は、圧倒的に少数派であるようですな。
留浦バス停

2.鴨沢バス停からから小袖乗越を目指す

身支度を整えて8時10分に行動を開始します。まずは青梅街道沿いに進み、鴨沢バス停を目指します。
鴨沢の集落

雲取山は東京都と山梨県の境界線上にある山ですが、鴨沢ルートの登山道は山梨県内にあります。という事で、県境をこえて丹波山村に入りました。
丹波山村の標識

鴨沢の集落が見えて来ました。奥多摩湖畔の崖地に張り付くようにして存在する集落です。もともとは、昔ながらの山仕事を生業としていた人々が暮らしていた場所です。
鴨沢の集落2

鴨沢バス停に到着しました。本来であれば、ここからスタートできるハズなんですけれどねえ。奥多摩駅7時30分発くらいの鴨沢行きの便を設定してくれませんか、西東京バスさん。
鴨沢バス停

バス停からはしばし舗装道路の登りです。初っ端からいきなりの急坂です。
210130雲取山-013
この沿道に並んでいる縞柄の旗は、鬼滅の刃と言う漫画の意匠のものらしいです。作中に雲取山が登場するらしく、いわゆる聖地巡礼に来る人向けのものでしょうか。

雲取山は、あまり安易に巡礼者を呼び寄せてしまって良いような山ではないと思いますがね。山ナメ遭難事案を誘発してしまいますぞ。

電柱の上からタバスキーがこちらを見ていました。これは「丹」の文字をモチーフにしたと言う、丹波山村のマスコットキャラクターです。
電柱の上のタバスキー

胸を突くような急坂を登り切ったところで、ようやく登山道が始まります。今のところ、路面上に雪は一切ありません。
210130雲取山-015

今から歩こうとしている鴨沢ルートは、かつて平将門がこの地で逃避行を繰り広げたというルートと重なっています。このように要所毎にエピソードを記した案内板が立っていました。
鴨沢ルート 将門伝説の案内板
鴨沢バス停の先にお祭りと言う名前のバス停がありますが、それはかつてこの将門一行が盛大な酒宴を張ってお祭り騒ぎをしたことに由来しているのだそうです。逃走中に一体何をやっているのだか・・・

いかにも奥多摩らしい、圧倒的杉林の中を進みます。そう言えば、そろそろ花粉の飛散が始まる時期が近づいて来ておりますな。
210130雲取山-017

一度舗装道路とぶつかります。丹波山村村営の無料駐車場である小袖乗越駐車場があり、車でお越しの人はここまで入ってこれます。
210130雲取山-018

人気の雲取山の最寄駐車場とあって、ここはいつも混在していて満車状態であることが多いです。流石に雪のある時に登ろうと言う人は少ないらしく、本日は珍しく空いておりました。
小袖乗越駐車場

将門一行はこの小袖乗越で、かまどを作ってご飯を食べたらしい。もっと命からがらな逃避行の最中なのかと思いきや、先ほどのお祭り騒ぎと言い結構余裕があるじゃないですか。
小袖乗越の釜場

3.横方向への移動が延々続く、堂所への道程

道路の脇から登山道が始まります。確か以前はこの登山口に巨大タバスキーがいたように記憶していますが、撤去されたらしく姿は見えませんでした。
雲取山の登山口
なまじこの先に待ち受ける道程の長さを知っているが故に、イマイチ意気が上がりません。まったく鴨沢ピストンなんて、丹沢のバカ尾根往復よりも気乗りがしませんよ。

登山道上にチラホラと雪が現れ始めました。どっさりと積もっているのは、もっと標高の高い一帯に限られるようです。はやく雪を踏みしだいて「ヒャッハー雪だッー」と叫びたい。
鴨沢ルートの登山道

この手の山中にある熊への注意喚起のための看板と言うのは、設置している自治体によって意匠が異なっており、見ていて飽きません。丹波山村が設置したものは漫画チックな絵柄です。
丹波山村の熊注意の看板

陽当たりの良い場所に雪は一切残っておらず、足元はパサパサに乾燥しきっていました。
鴨沢ルートの登山道
過去にはこの鴨沢ルート上で滑落事故も発生しています。枯れ葉に足を取られないよう、足元には十分ご注意ください。特に疲労がたまって集中力が低下している下山時には危険が増大します。

日影の部分には雪がたっぷりとありました。登る分にはアイゼンなしで行けますが、これは下山時にアイゼンの外し時を迷いそうな道のコンデションです。
積雪した鴨沢ルートの登山道

遠く彼方に石尾根が見えました。これからあの尾根の上まで歩いて行かなければならないという事です。始めからわかってはいた事ですが、やはり鴨沢ルートは長い。
鴨沢ルートの途中から見た石尾根

沿道に石垣や廃屋などの人工物がチラホラとあります。かつてはこの辺りでも、農業や炭焼きなどの山仕事が行われていたのでしょう。
鴨沢ルートの石垣

いかにも奥多摩的な圧倒的杉林です。この先の堂所まで、このような代り映えのしない光景が延々と続きます。日帰りしたければ他に選択の余地は無いわけですが、正直なところこの鴨沢ルートは少々退屈な道です。
鴨沢ルートの登山道

道中に水場があります。水流は少なめで夏場だとあまりアテてにはできない水場ですが、冬だとどんな感じでしょう。
鴨沢ルートの水場

どうやら涸れてはいないようですが、入り口が完全凍結していました。アイゼンを履けば登れるかもしれませんが、水は十分に足りているので、わざわざ見には行きませんでした。
凍結した鴨沢ルートの水場

徐々に標高が上がって来ましたが、しかしそれでもまだ先は長い。鴨沢ピストンはある種の苦行ですな。
鴨沢ルートの登山道

10時5分 堂所まで登って来ました。ここが鴨沢ルートにおけるほぼ中間の地点になります。
雲取山の堂所
昭和の中頃までこの場所で賭場が開かれており、周辺一帯の博徒達を大々的に集めて結構派手にやっていたのだとか。

かつてこの場所は行政の目が十分に届かず、そんな治外法権的な振る舞いが堂々とまかり通ってしまう位に山深い場所であったという事の証左でもあります。

4.石尾根の好展望地、七ツ石山から望む雲取山

堂所を過ぎると、道はしばしの間水平移動となります。これは来る嵐の前の静けさと言ったところです。
鴨沢ルートの登山道

やがて、ここまでの緩やかな道とは打って変わった急坂が始まります。この先は尾根に出るまでは傾斜は緩みません。気を引き締めてまいりましょう。
鴨沢ルートの登山道

富士山が頭だけお目見えしました。今のところ、空模様は雲一つない快晴です。
鴨沢ルートから見た富士山

七ツ石山を経由するルートと、迂回してブナ坂へ向かうルートの分岐地点まで登って来ました。ここは当然、七ツ石山を経由します。七ツ石山から雲取山そのものの姿を眺めるためであることは言うまでもありません。
七ツ石山分岐

なお巻き道の方に進むと、トラバースして七ツ石山を迂回します。ただしその分遠回りになるので、所要時間で言うと大した違いはありません。
七ツ石山の巻き道

分岐から先は結構急な登りです。アイゼンの付け時を見いだせないまま、ベタ足で登って行きます。
210130雲取山-038

あれほど遠く彼方に見えていた石尾根までの距離が、かなり近づいてきました。絶景が期待できる尾根の上までは、もうあとひと踏ん張りです。
210130雲取山-039

頭上に山小屋が見えていました。七ツ石山の山腹に立つ、七ツ石小屋です。
210130雲取山-040

11時5分 七ツ石小屋に到着しました。丹波山村村営の小さな素泊まり小屋です。小屋の裏手には、小規模ながらテント場もあります。
七ツ石小屋

白黒柄の猫が日向ぼっこをしていました。これは小屋の飼い猫なのかな。
七ツ石小屋の猫

小屋から水場まではトラバース地帯です。踏み外さないように足元には要注意です。
210130雲取山-043

尾根に向かって最後の登りです。標高が上がるにつれて積雪量がかなり増えてきており、尾根上に広がっているであろう銀景色への期待が膨らみます。
210130雲取山-044

ヒャッハー雪だー!登山開始から3時間以上をかけて、ようやく石尾根に乗りました。
積雪期の石尾根縦走路

背後を振り返って見た、鷹ノ巣山方面へと続く尾根です。七ツ石山から鷹ノ巣山の区間はいまだに未踏破なので、いつかはこの区間も歩かなければなりません。
積雪期の石尾根縦走路

七ツ石山の名前の由来ともなっている、七つの大岩の脇を横目に尾根上を進みます。
七ツ石山の岩

山頂が見えました。頭上を覆っていた樹林が無くなったことにより、照り返しがギラギラと眩しい。
七ツ石山の山頂

11時30分 七ツ石山に登頂しました。標準コースタイムよりも遅いペースでの登頂です。やはり雪がある時だと、サクサクとは歩けませんあ。
七ツ石山の山頂

目指す雲取山が正面に見えます。実に素晴らしい。期待通りの白銀世界となっていました。
七ツ石山から見た雲取山

雲取山のお隣には、いかにも奥秩父の山らしい地味でぱっとしない重厚でシブイ山である飛竜山(2,077m)の姿が見えます。別名で大洞山とも言いますが、飛竜山という名称の方が断然格好良くていいと思います。
七ツ石山から見た飛龍山

飛竜山の奥には、真っ白に染まった南アルプスの山並みが連なっていました。
七ツ石山から見た南アルプス

5.雲取山登山 登頂編 雪景色の尾根道を辿り、東京都最高峰の頂へ

11時45分 もう時間もだいぶ押してきているので、先を急ぎましょう。七ツ石山からはブナ坂に向かって一旦大きく下ります。この下りから6本爪のアイゼンを装着しました。
七ツ石山から見たブナ坂

真正面に飛竜山の雄姿が一望できます。飛竜山とはこんなにもカッコいい山でしたっけか。過去に一度登ったことがあるのですが、ひたすら地味な上にキツかったと言う印象しか残っておりません。
七ツ石山から見た飛龍山

11時55分 ブナ坂まで下って来ました。ここで先ほどの巻き道と合流します。
雲取山 ブナ坂

ここから先は頭上が開けた防火帯の中を行く、気持ちの良い尾根道です。鴨沢ルートの真骨頂はこの石尾根に乗ってから先の尾根歩きにあり、そこに至るまでの道のりは単なる下積みの苦行と言えます。
積雪期の石尾根縦走路

再び富士山がお目見え。富士山の手前に重なっている山は雁ヶ腹摺山(1,874m)でしょうかね。
石尾根縦走路から見た富士山

こちらはダンシングツリーの通称で良く知られている立木です。確かに体をよじっているように見えます。なぜこんな育ち方をしたのか興味深い。
雲取山ダンシングツリー

たぶんこの辺りがヘリポートがあるはずの一帯だと思いますが、雪に埋もれていて全く見えません。
雪期の石尾根縦走路

雲取山の山頂が見えました。真ん中に小さく見えている部分が頂上です。この光景を目にした人の多くは、もうあと少しだと希望を持つのか、それともまだあんなに遠いいのかと絶望するのか。果たしてどちらでしょう。
雪期の石尾根縦走路

かつてはこの尾根上に、奥多摩町の町営小屋である奥多摩小屋がありました。奥多小屋は2019年5月をもって閉鎖され、現在はすでに建物も解体されて跡形もありません。
奥多摩の小屋の跡地
小屋の閉鎖に伴い、テント場もキャンプ指定地から解除されて現在は幕営禁止の扱いです。人気のテント場だっただけに、惜しむ人は多かったようですが。

テント場だった場所からの眺めです。こんなにも素晴らしいロケーションだったのですけれどね。ついに一度も泊まる機会の無いまま閉鎖となってしまいました。残念。

尾根を忠実に辿りヨモギノ頭と言う小ピークを越える直登ルートと、巻き道との分岐があらわれました。時間もだいぶ押しているので、ここは素直に巻き道へ進みます。
210130雲取山-063
過去に雲取山に始めて登った時には、巻き道は一切使わずにすべて直登していました。あの頃の私は、今よりもずっと若くてまだ元気だったのですね・・・

巻き道は吹き溜まりになっており、積雪量はかなり深めです。トレースを外れると思いっきり踏み抜きます。
雲取山 ヨモギノ頭の巻き道

右手に木の隙間から見えているのは鷹ノ巣山かな。同じような高さのピークが団子になっており良くわかりません。
210130雲取山-065

現在閉鎖中の富田新道への分岐を見送ったところで、雲取山の前衛峰である小雲取山へ向かって、急登が始まります。ここが最後の踏ん張りどころです。気合を入れて行きましょう。
雲取山 富田新道分岐

この登りが何気にとてもキツイ。ここまでの疲労の蓄積もあってか、なかなか足が前に出ません。ぜーはーぜーはー
小雲取山の登り

振りかえれば絶景です。それを口実にし暫しの小休止です。だってしんどいんだもの。
小雲取山から見た富士山

良い感じに息も絶え絶えになったところで、ようやく小雲取山の頂上に辿り着きました。つっ辛かったあ。
小雲取山の山頂

ここまで登ってくれば、山頂まではもうあと一息です。雄叫びを上げながらビクトリーロードを進みましょう。・・・いや、べつに無理して叫ばなくても良いですけれど。
小雲取山から見た雲取山の山頂

左手に居並ぶのは、奥秩父主脈の山並みです。地味でぱっとしない通好みの重厚で渋い山が連なる一帯ですね。世間一般での評価はさておき、私は好きですよ奥秩父。
雲取山から見た奥秩父主脈

もうあと一息なのになかなか足が前に出ません。この時既に疲労の極致にありました。やはり雪の上を歩くのは疲れますな。
雲取山の山頂直下

山頂直下最後の登りです。口から泡を吹きそうになりつつも、気力を振り絞って登ります。
雲取山の山頂直下

ようやく山頂が見えました。やれやれ、やっと着きましたか。やはり雲取山は、一泊して登った方が幸せになれる山ですよね。
雲取山の山頂

13時15分 雲取山に登頂しました。行動開始から実に5時間10分をかけての到着です。よもや、これほど苦戦するとは思っていませんでしたよ。
雲取山の山頂
雲取山は東京の山の中では唯一、日本百名山にも選ばれています。普段からかなり人気の高い山ではありますが、流石に厳冬期ともなると山頂は空いていました。

東京都最高峰であるだけの事あって、都心方面のほぼ全域を見晴らすことが出来ます。気温が上がって来たからか、少し霞んできてしまっておりますな。
雲取山から見た東京都心

お隣に見えているこの大きな山は和名倉山(2,036m)です。秩父方面から見ると、非常に大柄で目を引く存在です。
雲取山から見た和名倉山
展望皆無な地味山であるしいらしいのですが、それでも前々から気になっている一座で、登りたい山リストにも名を連ねています。

最高地点の周辺は樹林に覆われており、あまり眺めが良くありません。少し離れたところにある避難小屋付近からの方が、周囲が良く見えます。
雲取山の避難小屋

ここまでずっと歩てきた石尾根を一望できました。よくまあこれだけ歩いたものだと、感無量な気分に浸れます。
雲取山山頂から見た石尾根

都心方面の眺望です。東京湾やその背後の房総半島までもが微かに見えます。
雲取山から見た東京都心9

都心方面の右手に連なるのは、神奈川県の天井、丹沢山地の山並みです。
210130雲取山-080

眼下に目を向けて見ましょう。これは奥多摩三山の大岳山(1,266m)(左)と御前山(1,405m)(右)です。
雲取山から見た大岳山と御前山

この山頂部がやたらごちゃごちゃしている山は、川苔山(1,363m)です。奥多摩の山の中でも特に人気の高い一座です。
雲取山から見た川苔山2

富士山もこの通りばっちりです。午後になっても曇らず、完全な姿を晒していました。
雲取山から見た富士山

雲取山の山頂は東京都と山梨県の境界でもあります。避難小屋の裏手にひっそりと、山梨百名山の標識が立っていました。
雲取山の山梨百名山の標識

6.雲取山登山 下山編 日没時間に追われる慌ただしき下山

名残惜しいですが、いつまでもここにいるわけにもいきません。再びあの長き道のりを自分で歩いて戻らなくてはならないのですから。

13時55分 下山を開始します。既に少しばかり急がないと、日没までには下山できそうにもない時間です。
雲取山の山頂から見た石尾根

雪山の下山ほど楽なものはありません。登りではあれほど息絶え絶えになった子雲取山からの下りも、大股でテンポよく下って行けます。
小雲取山の山頂

気温の上昇ともに、雪がかなり緩んできました。この分では、せっかくの積雪もあまり長くはもってくれそうにはありません。
積雪期の石尾根縦走路

反対側から見たダンシングツリーです。まあ、どちらから見てもさほど変わり映えはしませんな。
雲取山ダンシングツリー

14時50分 ブナ坂まで戻って来ました。帰りは七ツ石山は経由せずに、ここから巻き道を通って下山します。
ブナ坂分岐

この巻き道は、足場の狭いトラバース路が続きます。落ちたらタダでは済まないような切れ落ちた場所もあるので慎重に行きましょう。
七ツ石山の巻き道

途中からは雪があったりなかったりするミックス状態でした。こういうコンデションの時は、アイゼンよりもチェーンスパイクの方が安定します。
七ツ石山の巻き道

16時 堂所まで下って来ました。流石に足が棒になって来たので、ここで小休止を取りました。
鴨沢ルート 堂所

堂所を過ぎてほぼ水平移動になる一帯に入ったら、あとは駆け足です。宵闇が迫りくる山中を、ドタドタとけたたましく疾走しました。
210130雲取山-093

急いだ甲斐があって、何とか暗くなる前に登山口まで戻ってこれました。
210130雲取山-094

17時5分 小袖乗越駐車場まで戻って来ました。駐車していたいた車の数も、もうかなり少なくなっていました。
小袖乗越駐車場

最後のひと踏ん張りです。日没後の僅かな明かりの中を、足早に下って行きます。
210130雲取山-096

何とか足元が見えない暗さになる前に、街灯のある場所まで下ってくることが出来ました。
210130雲取山-097

このまま鴨沢バス停にゴールしても良いのですが、留浦まで戻れば小菅の湯方面からのバスがあります。鴨沢で丹波からくる最終バスを待つよりも、およそ30分早くに撤収できます。
210130雲取山-098
という事なので、もうひと頑張り歩きましょう。

需要があるかどうかわかりませんが、鴨沢集落の夜景です。湖面にリフレクションした灯が綺麗だったものですから。
夜の鴨沢集落

17時35分 留浦バス停に到着しました。これで結果的に、鴨沢ピストンならぬ留浦ピストンをしたことになりましたな。
夜の留浦バス停

小菅の湯からやって来たバスに乗り込み、帰宅の途に付きました。
留浦バス停でUターンする奥多摩行きのバス

無雪期であっても決して容易だとは言えない鴨沢ピストンを積雪期に行うのは、やはりそうとう厳しいものがありました。特に公共交通機関利用の場合ですと、時間にはまったく余裕がありません。常に気張って歩き続ける必要があります。やはり雲取山は、一泊して登る方が幸せになれる山だと思います。ついでに夜景とご来光も眺めれば一石二鳥です。
鴨沢ルートの道中には取り立てて危険な場所は無く、積雪期であっても前爪のあるアイゼンやピッケルなどの装備は必要ありません。ただひたすら体力勝負の道と言えます。それでも積雪期に日帰りで歩いてみようと思った奇特な方は、いきなり冬に行くのではなく、無雪期に一度歩いてみてから挑戦することを強く推奨します。

<コースタイム>
留浦バス停(8:10)-鴨沢バス停(8:25)-小袖駐車場(8:50)-堂所(10:05)-七ツ石小屋(11:05)-七ツ石山(11:30~11:45)-雲取山(13:15~13:55)-ブナ坂(14:50)-堂所(16:00)-小袖駐車場(17:05)-留浦バス停(17:35)

雲取山山頂での記念撮影

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント