雲取山 多摩最奥の地に佇む東京都最高峰

七ツ石山から見た雲取山
東京都奥多摩町にある雲取山(くもとりやま)に登りました。
東京都の最高峰(標高2,017メートル)であると同時に、深田久弥の日本百名山の1つでもあると言う2重のブランドをもつ人気の山です。
人気なだけに訪れる人も数多くいる山ですが、この山、日帰りで登ろうとするのであればそれなりの覚悟が必要です。
往復25km、東京都最高地点を日帰りで訪れる山旅をしてきました。

2015年5月30日に旅す。

今回の目的地は東京都最高峰の雲取山です。深田久弥の日本百名山の一峰でもあり、奥多摩エリアの中では人気、知名度ともにダントツで高い山です。

電話番号が03で始まらない多摩地区在住の身とはいえど、私とて都民の端くれ。やはり一度くらいはその最高地点へ立ってみたいものであります。ここは一つ、東京都最高峰への日帰り登山にチャレンジしてみようかと思います。

雲取山があるのはここです。
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東京都の最高地点であると同時に、東京都で最も西の地点でもあります。

人気の山ゆえに登山道は四方から伸びていますが、非常に山深い場所です。東京の山だと思って舐めてはいけません。何処からアプローチするにしても長丁場なので、相応の覚悟を持って挑む必要があります。

私が登ったのは奥多摩湖半の鴨沢BSから往復するルート。通称「鴨沢ピストン」です。雲取山への登路としては最も一般的なルートです。
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山頂まで片道11kmほど。日帰りとしては健脚者向けのコースです。

何しろロングコースである。十分な行動時間を確保するためには、是が非でも奥多摩駅7時発の鴨沢行きバスに乗りたいところです。

自宅最寄の京王線の駅からだと、始発電車に乗っても奥多摩駅に到着するのは7時18分。仕方が無いのでJR三鷹駅まで自転車で移動して中央線の始発電車で奥多摩へと向かいました。

当たり前の話ですが、足首が固定されてしまうハイカットの登山靴は、自転車を漕ぐのには全く向いていませんでした。

7時35分 鴨沢バス停
自宅を出てから3時間以上かけてようやくここまでたどり着きました。
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この先しばらくトイレは無いのでここで済ませておきましょう。自販機があるので水分は補充できますが、コンビニ等は一切ありません。

猫がお出迎えしてくれました。
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バス停からしばらくは舗装道路の急坂を進みます。
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コンクリートの急坂を登り終えると、ようやく登山道へ突入です。
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と思ったら直ぐにまた舗装道路に出ました。
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ここには駐車場があります。車があれば少しだけ楽が出来ると言うことですね。
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駐車場から道なりに少し進んだ所で、今度こそ登山道の始まりです。
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登り始めてから当分の間はTHE奥多摩の道と言った感じの人工林が続きます。
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傾斜は揺るやかで大変歩きやすいのですが、この道ひたすら長いです。ずーーーとこんな景色が続くある種の苦行です。
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道中にある謎の廃屋。この単調極まりない道には廃屋くらいしかアクセントを加えるものがありません。
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9時10分 堂所(どうどころ)を通過します。鴨沢ルートのほぼ中間地点です。昭和の中ごろまで、ここで賭博が開かれていたのだとか。
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堂所を過ぎると道の様相が一変し急登が始まります。
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9時30分 七ツ石山の分岐に到着しました。雲取山のみを最短距離で目指すなら、まっすぐブナ坂方面へ進むのが正解です。私はせっかくなので七ツ石山に寄り道します。
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そこにピークがあるのに、頂上を踏まないなどと言う選択はありえない

しばらく進むと、頭上に七ツ石小屋が見えてきました。
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丹波山村の村営小屋です。素泊まりのみですが、かなり良心的な料金設定です。
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小屋前からの風景。小規模ながらテント場もあります。
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小屋から少し登ると水場があります。水量は豊富でした。
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ここで頭から水を被ってクールダウンしました。これぞ坊主頭の特権です。
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水場からしばらくの間は急登が続き、登りきると石尾根の縦走路上に出ます。
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縦走路上に出たとたん、羽虫の大群に取り巻かれました。尋常じゃない数です。うかつに口をあけると飛び込まれるので思うように呼吸が出来ない。
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10時10分 七ツ石山登頂しました。これは2015年当時の山頂標識です。
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今行くと、こんな立派なモノリスが立っています。山の日の制定を記念して立てられたそうです。
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ここまで来てようやく、本日の目的地である雲取山がお目見えとなります。まだまだ結構遠いですね。
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山頂からは多摩川源流域の山々を一望できます。
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七ツ石山からブナ坂に向けて一旦下ります。虫がしっかりと写り込んでますねえ。こいつらはハッカ油などお構い無しのようで。
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10時20分 ブナ坂を通過します。七ツ石山を巻けば直接ここまでこれます。先は長いというのに無意味な寄り道をしたものです。
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ここからは防火帯に沿った道を進みます。頭上が開けているのって素晴らしい。
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振り返って見た七ツ石山。
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下山時に立ち寄ろうとした場合、ここを登り返すことになります。寄るつもりがあるのであれば、まだ元気のある行きに通るほうが良いでしょう。

ダンシングツリーの通称で知られる木の脇を通過します。
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頭が隠れた残念な富士山が見えました。
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ここからしばらくの間は、穏やかな気持ちの良い稜線歩きが続きます。
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ヘリポートがありました。
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10時45分 奥多摩小屋を通過します。こちらは奥多摩町の町営小屋です。七ツ石小屋と同様に素泊まりのみ。テン場もあります。
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尾根筋の道には何箇所かこのように小ピークを巻ける道が取り付けられています。当然、すべて直登です。
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そこにピークがあるのに迂回などありえない。

山頂が近づいてくると、道は再び傾斜の度合いを増してきます。
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富田新道との分岐地点を通過します。日原側に通じている道です。
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ここまで歩いてきた道を振り返る。見渡す限りの一面の山です。人工物が一切視界に入りません。これが東京の光景だといっても誰も信じてはくれなさそうです。
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避難小屋が見えてきたらもう山頂は目の前です。
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山頂直下に立つ雲取山避難小屋。有人小屋が二つもある上に、さらに避難小屋まで完備とは。流石は予算潤沢な東京の山です。
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小屋の前からは、奥多摩と呼ばれる地域を一望できます。
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11時20分 雲取山に登頂しました。歩き始めておよそ4時間で到着しました。俺は今、東京で最も高い場所に居る! ・・・だからなんだと言われればそれまでですね。
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ちなみにこれは東京都が立てた標識です。

上の写真は2015年当時のものです。2016年現在ではこんな風になってます。
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この場所は県境でもあります。これは埼玉県が立てた山頂標識。奥武蔵の山でよく見かける十字架貼り付け方式(※)です。
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(※)私が勝手に命名しました。

こちらは山梨百名山であることを主張する標識。避難小屋の裏手にひっそりとあります。
150530雲取山_044山頂でのんびりと弁当を広げて寛ごうかと思っていたのですが・・・
余りの虫の多さに閉口して早々と撤収を開始します。

下山は一旦雲取山荘方向へ向かいます。下山するだけなら来た道を戻ればよいのですが、山荘でオリジナルの山バッジを入手すると言う非常に重要な目的があったので寄り道しました。
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山頂から25分ほどで雲取山荘に到着しました。
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ログハウス風の立派な山小屋です。ここで愛想の欠片も無い髭のオッサンからバッジを購入しました。
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・・・別に両手を広げて歓待しろとは言いませんが、本に視線を落としたまま一瞥すらしないというのは客商売としてどうなのよ?

富田先生のモニュメント。雲取山荘の初代管理人にして、独力で富田新道を拓いた伝説的な山の仙人なのだそうです。
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山荘からは巻き道を使用して石尾根縦走路へ戻ります。正面に見えているのは、お隣の山である飛竜山(2,077m)です。
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長い長い下山の開始です。
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帰りはブナ坂から素直に七ツ石山を巻いて下ります。
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再び苦行の樹林帯へ。足が棒になりつつも、立ち止まらずに黙々と下り続けました。
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15時40分 鴨沢バス停に帰還しました。行きはかなり頑張ってコースタイムを巻きましたが、下山はほぼ標準コースタイム通りでした。さすがにすこしバテました。
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東京都最高峰への日帰り登山は、これにて無事終了です。
今回歩いたルートは、ガイドブックでは1泊2日の行程として紹介されていることが多いルートです。道中特に難所等は無いので、20kmオーバーの山道を歩ききれるだけの体力のある人であれば、問題なく日帰り登山も可能です。
とは言ってもかなり長丁場となりますので、日の短い季節は避けて、5月頃に訪問するのがベストではないかと思います
今回私は途中で七ツ石山に登ったり、泊るわけでも無いのに雲取山荘に寄ったりと、かなり余計な寄り道をしています。大体累計で25km位は歩いています。
最短ルートで山頂のみを目指すのであれば、大体22、3km位の道のりなろうかと思います。いきなり挑戦するのではなく、鷹ノ巣山ありでた足慣らしをしてから訪問することをオススメします。

<コースタイム>
鴨沢BS(7:35)-堂所(9:10)-七ツ石小屋(9:45)-七ツ石山(10:10)-ブナ坂(10:20)-奥多摩小屋(10:45)-雲取山(11:20~11:40)-雲取山荘(12:05)-ブナ坂(13:20)-堂所(14:20)-鴨沢BS(15:40)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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