源次郎岳-棚横手山 静かなる日川尾根の大菩薩嶺前衛の山並みを巡る

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山梨県甲州市にある源次郎岳(げんじろうだけ)と棚横手山(たなよこてやま)に登りました。
大菩薩嶺の前衛に連なる日川尾根から派生した枝尾根上に位置している山です。どちらも山梨百名山に名を連ねていますが、大菩薩嶺周辺の賑わいと比べ、訪れる登山者は極めて少ない静かな山域です。山頂は大きく視界が開けており、甲府盆地や奥秩父の山並みを広く見晴らすことが出来ます。
ゴールデンウィーク中の喧騒を避けて、通好みの小粒の山で静かな山行きを楽しんで来ました。

2022年4月30日に旅す。

時はゴールデンウィークの初頭。人気の山の混雑を避けるべく、ドマイナーな山梨百名山である源次郎岳に登って来ました。上日川峠から甲府盆地に向かって伸びる日川尾根から派生した枝尾根上にある山です。

唐突に日川尾根と言われても、地元の人でもない限り恐らくはどこの事かピンとはこないでしょう。日川を挟んで、甲州アルプスこと小金沢連嶺の向かいに連なっている山並みです。
小楢山から見た日川尾根
大菩薩嶺周辺にある山の多くがそうであるように、大半がカラマツ林に覆われた山並みです。隣接する小金沢連嶺に比べると、歩く人は極めて少なく静かな山域となっています。

上日川峠から尾根沿いに歩いてもアプローチすることも出来ますが、少々距離が長すぎるので、日川沿いにある嵯峨塩鉱泉バス停から登りました。

源次郎岳に登頂後は、お隣の棚横手山を目指して尾根沿いに下ります。林道歩き区間が長くなるため単調になるかと思いきや、大変眺めが良くて少しも退屈することはありませんでした。
日川尾根の嵯峨塩深沢林道

甲府盆地に向かって、日川尾根を延々と歩いてきた一日の記録です。
甲州高尾山から見た甲府盆地

コース
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嵯峨塩(さがしお)鉱泉バス停より源次郎岳に登頂します。その後は日川尾根上にある嵯峨塩深沢林道を下り大滝山を経て棚横手山へ。

棚横手山からは勝沼ぶどう郷駅まで直接歩いて下ります。大菩薩嶺前衛部の山並みを巡る行程です。

1.源次郎岳登山 アプローチ編 大勢の登山者が詰めかける、ゴールデンウィークの甲斐大和駅

6時12分 JR高尾駅
いつもの6時14分発の松本行きの電車に乗り込み、甲斐大和駅へと向かいます。ゴールデンウィークとあってか、朝っぱらから車内は満員御礼状態です。
JR高尾駅のホーム

7時12分 およそ1時間の乗車時間で甲斐大和駅に到着しました。現在は甲州市の一部となっている、大和村の中心であった場所にある駅です。
甲斐大和駅

以前は駅の目の前にあった上日川峠行きのバス停が、いつの間にか橋を渡った向かいにあるロータリーに移動していました。もともとかなり狭かったですからね。
甲斐大和駅のバスロータリー
栄和交通が公開している上日川峠行きのバスの時刻表によれば、始発便は8時10分発と言うことになっています。しかし、多客時には時間前に臨時便が出ます。

本日は始めからそれを当てこんで、早々と現地へやって来た次第です。

バスロータリーの脇に立つ武田勝頼の像。世間一般ではどちらかと言うと偉大な先代の事業を台無しにした無能な2代目であると見なされがちな人物ですが、勝頼の菩提寺のある旧大和村の一帯では、信玄よりも贔屓にされているらしい。
甲斐大和駅前の武田勝頼像

思った通り、時間前に早々とバスがやって来ました。何しろゴールデンウィークに、大人気の日本百名山である大菩薩嶺へ向かうバスへ乗車しようとしているわけですからね。そうとう混雑するであろうことは織り込み済みです。
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7時40分の電車が到着すると、大量の登山者が押し寄せて3台あったバスはあっという間に満席となりました。ゴールデンウィーク恐るべしです。
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早々と並んでいたおかげで、何とかあぶれることなくバスに乗れました。なおこの上日川線は、山間部を走る路線であるため原則全員着座です。乗り切れなかった場合は次の便を待つことになります。

8時12分 嵯峨塩鉱泉バス停に到着しました。他の乗客の「あいつは一体どこに行く気なんだろう?」と言う好奇の眼差しにさらされながら、一人バス停に降り立ちます。
嵯峨塩鉱泉バス停
残りの乗客はみな、終点の上日川峠か一つ手前の小屋平まで乗って行くのでしょう。本日の大菩薩嶺の混雑ぶりが容易に想像できます。

バス停の目の間にある一軒宿の嵯峨塩館です。どうやら日帰り入浴も可能なようですが、受け付けてくれるのは宿泊客がチェックインを始める15時までとなっています。
嵯峨塩館

2.源次郎岳登山 登頂編 以外にも展望の良い、日川尾根の静かなる頂

8時25分 身支度を整えて登山を開始します。登山口はバス停の少し先の法面に、まるで取って付けたかのようあります。
源次郎岳の登山口

この手作り感の溢れる道標によれば、山頂までの所要時間は1時間20分程です。実にお手軽な山ですね。
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新緑が眩い登山道です。確かに紅葉も素晴らしいとは思いますが、個人的には新緑シーズンの山の光景が一番好みです。緑が溢れる森の中を歩く喜びを噛み締めながら登ります。
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枯れ葉に埋もれて踏み跡が少々わかりにくい状況ですが、目印のピンクテープが過剰なまでについており、道迷いの心配は殆どありません。
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登り始めて早々に、視界の開けた場所がありました。目の前にドーンと富士山がお目見えです。
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だいぶ雪が少なくなってきてはいますが、それでもまだまだ冬の装いです。3,000メートル級の山にまで春が訪れるのは、もう少し先の事です。
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最初の取り付きはそこそこの急勾配でしたが、すぐに緩やかな登りに変わりました。明るくて気持ちの良い登山道です。
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未舗装の林道を横断します。まだ建設工事中らしく、国土地理院の地図には記載が無い道です。
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林道を横断して以降も、相変わらず緩やかな傾斜の登り坂が続きます。足元の土の柔らかさして、この道を歩く人はよほど少ないようです。
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今度はしっかりと舗装された林道を横断します。源次郎岳に登頂した後は、この嵯峨塩深沢林道を下って棚横手山を目指すことになります。
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林道から、日川を挟んだ向かいの小金沢連嶺が良く見えました。右の方の少し窪んでいる場所が湯ノ沢峠です。
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何故か5、7、5の俳句調の防災標語。しかも書いてある内容が結構脅迫的で穏やかではありませんな。
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錆びた古い看板が、木の幹に呑みこまれていました。牛奥峠と言うのは聞いたことの無い地名ですが、どうやら古くから人の往来自体は結構あった尾根であるようですね。
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日川尾根に乗ったところで、周囲はカラマツ林に変わりました。周囲に人影は全くありませんが、良く踏まれた明瞭な道が続いています。
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散りかけのマメザクラがまだチラホラと残っていました。派手さはありませんが、個人的に好きな花です。別名でフジザクラとも言い、山梨県の県の花にもなっています。
マメザクラ

分岐地点までやってきました。ここから日川尾根を外れて、源次郎岳へと進路を転じます。
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山頂を目指しているはずなのに、何故か大きく下り始めました。源次郎岳は日川尾根から派生した枝尾根上にあるピークで、日川尾根よりも標高が低い場所にあります。
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つまり、帰りには漏れなく登り返しが付いて来ると言う事です。今から気乗りがしませんなあ。

カラマツ林が主だった日川尾根とは変わって、この枝尾根上には見事なブナの原生林が広がっていました。見上げる高さの巨木です。
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下った後は当然登り返しです。ここまで下った量に比べると、大した登り返しではありません。
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右手に大菩薩嶺の山頂が見えます。今朝がたのバスの満員ぶりから察するに、きっとあちらは大盛況なんでしょうね。それに比べて、我らが源次郎岳のなんと静かなることか。先ほどからまだ、一人の登山者ともすれ違っておりません。
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大きく開けた場所に出ました。どう見ても最高地点からは少し外れていますが、ここが山頂の扱いであるようです。
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9時50分 源次郎岳に登頂しました。日川尾根側から下ってくると、全然登頂した感の無い山頂です。
源次郎岳の山頂
これで自身の山梨百名山登頂数は、ゾロ目の77座になりました。

3.源次郎岳からの眺望

展望の無い地味山なものだと勝手に思い込んでいましたが、源次郎岳山頂は意外にも眺めの良い場所です。正面には、まるでフレームに収まったかのような見事な松と富士の光景が広がっていました。
源次郎岳から見た富士山

北西方向には、重厚なる奥秩父主脈の山並みが連なります。地味な通好みの渋い山が多い山域です。私は大好きですよ、奥秩父。
源次郎岳から見た奥秩父山塊

中央左のピョコっとした小さい突起が甲武信ヶ岳(2,475m)です。日本百名山にも名を連ねている一座ですが、傍目から見ると右手前にある木賊山(2,469m)の方が、ドッシリとしていて名山の風格を感じるのですけれどね。
源次郎岳から見た甲武信ヶ岳
甲武信ヶ岳は名前がカッコいいからと言う理由で、個人的に贔屓にしている山です。過去に何度か登っていますが、埼玉県最高峰の三宝山と合わせて再訪したいと考えています。

過去の甲武信ヶ岳の訪問記はこちらです.
甲武信ヶ岳 シャクナゲが満開の急坂と千曲川源流域の森を日帰りで縦断する
山梨県と埼玉県と長野県の三県にまたがる甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)に登りました。 奥秩父山塊の中心付近に位置し、日本最長の川である信濃川の源流となっている深山です。相当山深い場所ではあるものの、麓近くの西沢渓谷まで路線バスが乗り入れており、公共交通機関を利用したアプローチも比較的用意な山です。ただし日帰りするとなると、急登続きの険しき道と長めのコースタイムが相成り、極めてシビアな行程となります。 シャクナゲが満開を迎えたベストシーズンの奥秩父で、西沢渓谷から毛木平までを日帰りで縦断する、慌ただしき...

甲武信ヶ岳 甲斐、武蔵、信濃に跨る奥秩父の交差点
奥秩父の甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)に登りました。 甲斐(山梨県)、武蔵(埼玉県)、信濃(長野県)の三国境界にあることから、それぞれの頭文字を取ってこの名前がついたと言われています。 奥秩父山塊のほぼ中心に位置するこの山は、比較的奥まった立地であることから、人里からはあまり窺うことが出来ません。いかにも奥秩父らしい幽玄なる原生林に覆われた、重厚でシブイ山を巡る1宿泊2日の山旅をして来ました。 2015年10月31日に旅す。

こちらは押しも押されぬ奥秩父の盟主、金峰山(2,599m)です。山頂にある五丈石のおかげで、山座同定は容易です。
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小楢山(1,712m)の先には、まだ雪を被った八ヶ岳の姿が良く見えました。
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ちなみにこの源次郎岳と言う山名の由来ですが、中原兼遠の従臣である岩竹源次郎と言う人物が、源頼朝の軍勢に追われて山頂にある枡岩と呼ばれる大岩の上で自害したからだと言われています。
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左に見ている岩がその枡岩です。・・・現地に居た時は、そんなエピソードがあったとは知らなかったので、岩の上に登ってはしゃいでしまいましたよ。

と言う事で、枡岩の上から見た光景です。眼下に甲府盆地が見渡せます。岩竹源次郎が自害した当時は、ここからどんな光景が見えていたのだろうか。
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ちなみに、ここから尾根沿いに塩山駅まで直接下ることの出来る破線ルートも存在します。コースタイムはかなり長めで、あまり一般向けとは言い難い道であるようですが。

言わずと知れた名峰の中の名峰、甲斐駒ヶ岳(2,967m)の姿も良く見えました。あちらも当然山梨百名山ですが、同じ百名山だと言っても貫禄の違いは明白ですね。
源次郎岳から見た甲斐駒ヶ岳

4.大滝山へと続く長い林道歩き

10時15分 思いのほか眺めの良い山頂に、つい長居が過ぎました。ボチボチ行動を再開しましょう。日川尾根に向かって、約束されていた下山時の登り返しと言う憂鬱な作業に取り組みます。
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木漏れ日の射しこむ新緑の森が美しい。この素晴らしき光景を独り占めに出来る喜びを噛み締めます。ああちなみに、最終的には山頂で3人の登山者と行き交いました。源次郎岳でこの日出会った登山者は、それですべてです。
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10時50分 カラマツ林の尾根をサクサクと下って、林道まで戻って来ました。さあ、ここからはしばしの舗装道路歩きです。
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林道の脇に一応は駐車スペースと呼べるものが存在します。車でお越しの人はここから登り始めるのが最短です。
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この下山ルートは林道歩きが長くてさぞや単調なのかなと思いきや、眺めが良くて全然苦にはなりません。実に爽快な道です。
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途中でゲートがあり、一般車は通行止めとなっていました。先ほど路肩に停まっていた車は、上日川峠側からやって来たと言う事か。
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ここでも、もうすっかり葉桜になってしまった散りかけの山桜がチラホラと残っていました。
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ゲートを過ぎると好展望タイムは一旦終わり、しばしの間単調な林道歩きとなります。
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至る所に落石の痕跡がゴロゴロと残っている道です。長居はせずに足早に通り抜けてしまった方が良さそうですね。
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再び展望が開けました。前方に見えているのが、これから超えて行く予定の大滝山です。棚横手山は、ちょうどこの大滝山の裏に隠れているため、ここからは見えません。
林道から見た大滝山

眼下に笛吹フルーツ公園とほったらかし温泉があるのが見えます。当時は全く意識していませんでしたが、ほったらかし温泉からは源次郎岳の姿が良く見えていたと言うことですね。
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沿道にチラホラと残っている桜が、単調な林道歩きの無聊を慰めてくれました。
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12時5分 大滝山の取り付き地点へとやって来ました。ここから右の尾根に取り付きます。道標も何もありませんが、一応は目印のピンクテープが巻かれています。
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本当にここであっているの?と疑念の湧いてくる取り付きですが、ここで間違いではありません。少々強引によじ登ります。
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入口は強引でしたが、尾根へ上がると意外にしっかりとした踏み跡が続いていました。しかし、この蜘蛛の巣の跋扈具合からして、ここを歩く人は相当少ないんでしょうね。
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自然林とカラマツ林の境界に沿うようにして、一応は道らしき踏み跡が続いています。なおこのルートは、山と高原地図上では破線扱いですらなく、そもそも線が描かれていません。
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割とあっけなく山頂らしき場所まで登って来ました。ははは、これはまたとびっきり地味な場所ですな。
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12時35分 大滝山に登頂しました。この手作り感があふれる表札によると、大滝山と言うのは通称で、宮宕山と言うのが正式な名称であるようです。
宮宕山(大滝山)

5.今なお山火事の痕跡が残る棚横手山と甲州高尾山

この先にもいくつかの小さい登り返しがありはしますが、基本的には下って行くだけです。
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前方の視界が開けました。棚横手山は平成5年以降に立て続けに大きな山火事に見舞われて、森林の大半が焼失しました。その火災の影響を受けた領域に入ったのでしょう。
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富士山はいつの間にかすっぽりと雲隠れしており、山頂付近だけが僅かに頭を覗かせていました。
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左手には笹子嶺と呼ばれている山並みが連なっています。現在の笹子トンネルが完成するまで、長きに渡り甲州街道の難所として君臨してきた山域です。
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棚横手山が見えて来ました。独立したピークと言うよりは、尾根上の小さなコブの一つでしかないような外観をしています。これでも一応は、山梨百名山なんですけれどね。
棚横手山

道の脇に、山火事の痕跡だと思われる焼けた木がチラホラと残っていました。
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13時 棚横手山に登頂しました。かつては全く展望の無い地味な山であったと言う事ですが、山火事の影響により大きく展望が開けています。
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別名で大富士見台とも呼ばれており、正面に富士山がドーンと見えます。・・・今は隠れてしまっているけれど、晴れていれば見えます。
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ここへは過去に一度訪れたたことがあるため、山梨百名山の登頂数カウントは増えません。

後は眼下の甲府盆地に向かって下って行くだけです。と言ってもまだ、コースタイムにして3時間以上の道程が残ってはおりますがね。
棚横手山から見た甲府盆地
この先は過去に一度紹介したことのある道となるため、軽くさらっと流します。

未舗装の林道を横断して、尾根沿いに進みます。
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山火事の後に植樹されたのであろう樹木が、健やかに育ちつつありました。
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それはつまるところ、この山は再びかつてのような展望の無い地味山へと戻りつつあると言う事です。訪問を考えている人は、早い方が良いかと思います。

今のところは、まだまだ頭上が開けていて直射日光ギラギラ状態であるため、夏場の訪問はあまり推奨しません。ちょうど今くらいの新緑シーズンが、ベストな訪問時期であると思います。
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振り返ってみた棚横手山です。右側の山肌が露出している辺りは全て、山火事によって森が焼けてしまった跡です。かなりの広範囲にわたって焼失してしまっていることが良くわかります。
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眼下に落差140メートルと言う規模を持つ、大滝不動産の雄滝が見えました。先ほど通って来た大滝山の山名の由来は、この滝の源頭にある山であるからです。
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この辺りはまだ植樹が進んでいないのか、荒れた山肌を晒していました。怪我の功名とは言え、低山らしからぬ眺めの良い登山道です。
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この界隈の山はやたらと林道だらけで、登山道のすぐ脇を並走しています。もう登り返すのが嫌になったと言う人は、途中で脱出可能です。
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前方に甲州高尾山の姿が見えて来ました。恐らくはゴールデンウィーク効果で歩行者天国状態になっているであろうミシュランガイド三ツ星の方の高尾山とは違って、こちらの高尾山は至って空いております。
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眼下に勝沼ICが見えます。笹子嶺を越えてきた甲州街道が、甲府盆地内へと滑り込んで行く入り口にあたる場所です。
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ここから甲府盆地の夜景を眺めたら、さぞや壮観でしょうね。登山の対象としては殆ど無名に等しいマイナーエリアからの眺めとは思えないような、素晴らしい眺望の場所です。
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そしてなによりも、周囲にまったく人がいないのが素晴らしい。

いつまでも油を売っていないで、いい加減先に進みましょう。
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14時20分 甲州高尾山に登頂しました。こちらの山頂には一切展望は無しです。休憩をするなら、先ほどの名もなき小ピークで取った方が良いと思います。
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6.急坂の続く大善寺の下山路

山頂のすぐ下にアンテナ施設がありました。確かに盆地内へ電波を飛ばすにはうってつけな立地です。
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まるでスーパーの大安売りか何かのような、山火事への注意喚起の登りがはためいていました。
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甲州高尾山からは、大滝不動尊を経由するルートと、尾根沿いに大善寺に下るルートが選択できます。大滝不動尊経由は結構な遠回りとなるため、このまま尾根沿いを下ります。
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ゴール地点の勝沼ぶどう郷駅と、ぶどうの丘と呼ばれているホテルの施設が見えました。このホテルは日帰り入浴も可能らしいのですが、駅からは微妙に遠いため一度も訪問したことがありません。
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正面に小楢山の姿が良く見えます。特徴的な姿をした双耳峰で、こちらも山梨百名山に名を連ねる一座です。小粒ながらもとても良い山ですよ。
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最後の下りはかなりの急勾配です。反対向きにこちら側から登るのは、なかなか辛そうです。
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鹿よけのゲートを通って、無事文明へと帰還します。意外に長い下山行でありました。
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下山地点の大善寺は、桜の名所として名高い場所です。既に桜の季節は終わっていますが、かわりに満開のヤマツツジが出迎えてくれました。
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16時 大善寺の登山口に到着しました。やり切った感でいっぱいになりそうな瞬間ですが、ここから勝沼ぶどう郷駅までは、まだひと道あります。
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前の道を甲州市の市民バスが通ってはいますが、本数が少ないためあまりアテてにはできません。

いつも何気なく前を通っていた大善寺が、実は国宝だったと言う事実をこの日初めて知りました。この寺院の正確な創建年次は不明ですが、奈良時代から既に存在したとも言われています。
勝沼の大善寺

駅までトボトボと歩いて戻ります。日中の晴天が嘘の様に、いつの間にか頭上はどんよりとした曇り空に覆われていました。
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雲間から光が差し込んで、何やら神々しい光景が作り出されていました。神か何か降臨してきそうな光景ですね。
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16時45分 勝沼ぶどう郷駅に到着しました。なんだかんだで、丸一日を費やしたガッツリ登山でありました。
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ゴールデンウィーク効果で大混雑していそうなホリデー快速はあえて見送り、鈍行列車に揺られて帰宅の途につきました。
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源次郎岳は、人気のほとんどないブナ林の中にひっそりと佇んでいました。
地元の人を除けば、恐らくこの山に登ろと思い立つのは山梨百名山の完登を目指している人くらいなものであろうかと思います。しかしながら、山頂には思ってもいなかった大展望が広がっていました。山梨百名山には一切の興味が無い人に対してでも、人の少ない穴場の山として十分にオススメすることが出来るだけのポテンシャルを持った山であると思います。
避衆登山を洒落込みたい人にはうってつけであると言える一座です。ゴールデンウィーク中に有名所の山で人酔いしたと言う方は、この静かなる日川尾根の山々を巡りに繰り出してみては如何でしょうか。

<コースタイム>
嵯峨塩鉱泉バス停(8:25)-源次郎岳(9:50~10:15)-大滝山(12:35)-棚横手山(13:00~13:15)-甲州高尾山(14:20)-大善寺(16:00)-勝沼ぶどう郷駅(16:45)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. もうもう より:

    オオツキ様

    大菩薩嶺に登った後に嵯峨塩館の日帰り温泉に入ったことがあるのですが、近くに登山道があることは知りませんでした。

    甲武信ヶ岳や金峰山がキレイに見られるので良い登山ルートだと思いますが、殺人的に混んでいる甲斐大和駅を利用するとなると、次回もメジャーな大菩薩嶺から小金沢連嶺か、牛の寝通りを選択してしまうと思います。

    山梨百名山の踏破ももう少しですね!

    • オオツキ オオツキ より:

      もうもうさま
      コメントをありがとうございます。

      本文中でも一瞬ふれましたが、混雑を避けたければ塩山駅から直接登る破線ルートもあります。なかなかエグイ累計標高差とコースタイムではあるようですが、恐らくは誰とも会わないような静かな山行きを楽しめると思います。

  2. MM より:

    オオツキさん、こんばんは!
    77座!ゴールが少し見えてきた感じでしょうか。
    ややニアミスですが、オオツキさんの2日後の5月2日に高尾発6:14に初めて乗りましたー。
    小金沢連嶺を歩いて、甲斐駒ヶ岳の横に鋸岳が見えまして遠目にも険しそうでした。
    あそこも歩くんだ…と手に汗握ってしまいました(^^;

    • オオツキ オオツキ より:

      MMさま
      コメントをありがとございます。

      小金沢連嶺に行かれましたか。あそこは良いコースです。ゴールデンウィーク中日の平日だったとは言え、上日川峠行きのバスはさぞや混んでいたでしょう。

      鋸岳は避けては通れない道程なので、追い追い計画は立てています。今年の夏に行けるかな。