大山 相模平野を見下ろす古からの信仰の山

三ノ塔から見た大山
神奈川県伊勢原市、秦野市、厚木市にまたがる大山(おおやま)に登りました。
丹沢山地の入門とでも言うべき山で、都心からのアクセスの良さと、高過ぎず低過ぎない手ごろな標高(1,252m)から非常に人気の高い山です。また、古くから雨乞いの神として崇められてきた信仰の山でもあります。
近場の里山で、春の息吹を感じる里山歩きをして来ました。

2017年4月15日に旅す。

早いもので季節は4月中旬。厳しかった寒気もすっかり緩み、麓にはすっかり春の陽気が訪れました。

前月までは雪山を求めて忙しない遠征登山ばかりしいましたが、暖かくなってきた事だし、たまには近場の里山でゆる登山をしてみようかと思います。

という事で本日は、丹沢山地で最も人気の山である大山に登ります。神奈川県でも有数の観光地であり、ケーブルカーまであります。手軽に登れる身近な山です。170415大山_002

春霞の影響で、終日ピリッとしない空模様ではありましたが、春らしさを感じることの出来る麗らかな山行きとなりました。170415大山_003

コース
大山のコースマップ
ヤビツ峠からイタツミ尾根のを登り大山へ登頂します。帰りはバス本数の多い大山ケーブル方向へ下山。コースタイム3時間ちょっとの超お手軽登山です。

1.大山登山 アプローチ編 バスで標高761メートル地点のヤビツ峠へ

8時25分 小田急線秦野駅
大山といえば伊勢原駅からアクセスするのが最も一般的ですが、今日はあえて大山ケーブルからではなくヤビツ峠から歩いてみようかと思います。
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駅前から早くも本日の目的地である大山の姿が見えました。均整の取れた美しい姿の山です。
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8時55分発のバスに乗るつもりで来ていましたが、臨時便が増発されており予定より少し早くに出発できました。
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相変わらず凄い人出です。ヤビツ行きのバスが空いている所を見たことがありません。

9時20分 ヤビツ峠に到着しました。
ここへ訪れた経験のある人なら先刻ご承知のことかと思いますが、ここまでの道はバスがバンパーを擦るのではないかと危惧するくらい急カーブの連続です。乗り物酔い体質の人はご注意ください。
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大山へむかって登山を開始します。ここへ来たときはいつも表尾根のほうに向かうので、ここから大山に登るのは自身初めてです。
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さて、今日は珍しいことにボッチ登山ではなく友人と一緒です。二人とも同級生で同い年、ナイスミドルな中年3人組です。
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同い年なハズなのに、この毛髪力の差は一体何処でついたのでしょうか。
遺伝、慢心、環境の違い

ヤビツ峠の標高は751メートルあります。スタート地点で既にこれだけ高いところにいるわけです。山頂までの標高差は500メートルほどしかなく、お手軽な登山です。170415大山_010

2.大山登山 登頂編 丹沢らしさがあふれるイタツミ尾根コース

実に丹沢らしい階段から登山道がスタートします。
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バスが登って来た道が見えます。なんちゃって2車線な林道規格の道です。こんな狭い道にマイクロでない普通の路線用バスを走らせる神奈中バスの度胸に恐れ入ります。
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新緑前線はまだ標高500~600メートル付近をうろついているようで、この辺りは冬枯れの光景のままでした。
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丹沢っぽい道が続きます。感覚的なものなので言葉で説明するのが非常に難しいのですが、実に丹沢っぽい道です。
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道中には鎖場があったり、
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岩々しい場所もあります。
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特に危険ということはありません。歩きやすい道です。結構冷えるとの天気予報だったのですが、小春日和もいいところで暑くなって来ました。

早くも頂上を視界に捉えました。ヤビツから山頂までの距離はたったの2.3kmしかありません。170415大山_017

谷を挟んで向かいに塔ノ岳から丹沢山に至る丹沢主脈が一望できました。どんよりとしていて霞掛かった天気なので遠望はあまり期待できそうにありません。
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丹沢名物木道地獄もバッチリ完備しています。すべてにおいてスキのないTHE丹沢の道です。
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今歩いているイタツミ尾根は基本的に樹林帯の道ですが、時折このような崩落地が現れ展望が開けます。
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峠を挟んだ向かいに、三ノ塔(左)とそこから塔ノ岳に向かって伸びる表尾根が一望できます。
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ちなみにトップに掲載した大山の写真は、この谷向かいにある三ノ塔から撮影したものです。

表参道からの合流地点に到達しました。イタツミ尾根はこれでお終いです。
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ここからは急に人の数が増えます。表参道の方が断然メジャールートだと言うことです。
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合流地点からは10分と経たずに山頂に到着します。
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この石段を登りきったところが富士山展望スポットです。まあ、無駄だとは思いますが、一応振り返ってみましょうか。
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マウントフジのお目見え!
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・・・・まあ、そうでしょうね。始めから期待はしていませんでしたとも。

10時20分 大山に登頂しました。
ヤビツから1時間丁度で到着です。いくらなんでもお手軽過ぎたか。
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山頂の様子
大山神社の奥の院があります。
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かなりのスペースがあり、休憩場所の確保には困らないでしょう。
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ちょうど目の前で奥の院のシャッターを開けようとしているところだったので、お手伝いをしました。
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閉まっている間に、シャッターの隙間にお賽銭をねじ込む人が多いらしく、頭上からバラバラ小銭が降ってくると言う珍しい体験をしました。

大山山頂は神奈川県有数の好展望スポットです。残念ながらこの通り、春靄の影響もあってかピリっとしない光景しか見えませんでした。
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山頂は風があって段々冷えてきたので早々と下山を開始します。
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3.大山信仰の中心地、阿夫利神社

眼下に阿夫利神社(あふりじんじゃ)の広大な敷地が見えます。あそこを目指して下山していきます。
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遠くに微かにですが江の島の姿が見えました。
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友人の一人は靴紐が無いスリッパみたいなスニーカーを履いてきていました。
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転んだらすかさず「スニーカーだと?山をナメるな」と罵倒するつもりで虎視眈々と待ち構えていましたが、結局彼が転ぶことはありませんでした。

「大山ぐらいスニーカーでも楽勝だよガハハ」と事前にお墨付きを与えていたのは、ほかでもないこの私なんですけどね。

延々と続く丹沢名物階段地獄。表参道よりはこっちのほうが面白いかなと思い決めた下山路ですが、どっちにしろ階段地獄であることに違いはありません。
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眼下に見えている東屋まで下れば、階段地獄は一旦終了します。
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道中に一か所だけ鎖場がありますが、スリッパのようなスニーカーを履いていても特に問題なく下れたようなので、特に身構える必要はありません。
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東屋の直前にほんの少しだけ登り返しがあります。「まったく今どき登り返しなんてはやんねーよ」と悪態をつく、ガラの悪い中年3人組です。
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無事に東屋まで降りて来ました。
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ここから大山の姿を眺めつつ、東屋で小休止しました。
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立ち止まっていると、途端に寒くなってきました。下山を再開します。
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東屋から阿夫利神社までは標高差が殆どありません。山腹を這うようにトラバースする道が続きます。
階段地獄から開放されて思わず上機嫌になる中年3人です。
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高速道路並みの落石防止が施されていました。流石は神奈川県有数の観光地大山です。非常にお金をかけて整備されています。
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道中にあった2重滝。
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楽チンな水平移動はあっという間に終わりました。
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12時15分 阿夫利神社に到着しました。
ここまでケーブカーで登ってくることが出来ます。言うなればここは観光地です。せっかくなので少し観光していきます。
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こちらが阿夫利神社の本宮です。
相模湾に近い大山は、海からの湿った空気の影響により年間を通じて降水量が多く、そのことから雨乞いの神として古くから信仰されて来ました。
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大山は日本三大獅山の一つなのだそうです。残りの二つは・・・存じません。
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表参道の登山口は神社の脇にあります。
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阿夫利神社の標高はおよそ680メートルほどです。実は伊勢原からケーブルカーを使って登るより、ヤビツ峠(761メートル)から登る方が楽をできます。

神社の中に水場があります。雨乞いの山だけに、古くから知られる名水です。
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こちらがその水場です。あまり冷たくなくて、少しぬるい感じがしました。
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私は地方出身者が口をそろえてカルキ臭いと貶す東京の水道水を平気で飲める人間なので、水の味の違いなど正直良くわかりません。

阿夫利神社前からは、山頂まで行かずとも十分すぎるほどの展望が得られます。靄んでいなければね!
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4.大山登山 下山編 ケーブルカーは乗るものでなく見るものです

下山開始です。男坂と女坂の2ルートがありますが、どっちへ進んでも坂なんてありません。すべて階段です。
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下山時には女坂を使ったほうが無難でしょう。男坂の階段の勾配は身の危険を感じるレベルなので。

比較的傾斜が緩いはずの女坂ですらこの勾配なのですから、男坂がどんな道かは推して知るべしです。
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階段を下る貧乏人達をよそにケーブルカーが優雅に下っていきます。
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友人二人から「ケーブルカーで下りたい」というリクエストが出たら「ケーブルカーは乗るもんじゃねえ、見るもんだ!山をナメるな」と罵倒するつもりで虎視眈々と待ち構えていましたが、だれもそんなことは言い出しませんでした。

女坂の途中にはその名もズバリ大山寺という名前の寺があります。
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見るからに鉄筋コンクリート製な阿夫利神社と違って、古くて由緒正しいそうな感じがします。
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なにやらホラーな感じのする石造が並ぶ石段。
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大山寺を過ぎれば、後は傾斜が緩んで歩きやすくなります。
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沿道にはミツマタが咲き誇っていました。まるでトイレの芳香剤のような匂いが周囲に立ち込めます。・・もう少しマシな例えが出来ないのでしょうか、このオッサン達は。
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これはヒメシャガですね。アヤメの仲間です。
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大山ケーブル駅まで下って来ました。ゴールのバス停まではまだ一道あります。
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みやげ物屋に囲まれた参道を下ります。観光地にありがちな光景です。
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この時点で標高350メートルほど。この辺には春が訪れていました。
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フライング気味に鯉のぼりが設置されていました。
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それにしてもこの参道は長い。途中の売店でトーフソフトなるものを買い食いしました。味のほうは・・・名前から想像できる通りです。
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満開の桜。麓は今まさに春爛漫です。
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ようやくバス停まで辿り着きました。
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到着直後に狙い済ましたかのようにバスがやってきました。山をナメてる中年3人組、怪我も無く無事に帰還です。
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先月までは残雪を求めて遠征登山ばかり繰り返していたいましたが、たまには帰りの時間を気にせずに近場の里山をノンビリ歩くのも良いもです。
大山は手軽に登れる上に眺望もよく、春の休日をゆっくり過ごす場所として、とても良い選択だと思います。
新緑前線はこれから時間をかけて徐々に標高を上げてゆきますが、1000メートルを超えるような山はまだ冬枯れの中にあります。そういう意味では、4月と言うのは標高があまり高くない里山歩きをするのには最も適した季節といえるのではないでしょうか。
是非とも近場の山に繰り出して、春の息吹を感じてみて下さい。

<コースタイム>
ヤビツ峠(9:20)-大山(10:20~10:45)-阿夫利神社(12:15~12:35)-大山ケーブルバス停(13:00)

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新春山舐め登山 完

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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