甲武信ヶ岳 シャクナゲが満開の急坂と千曲川源流域の森を日帰りで縦断する

木賊山から見た甲武信ヶ岳
山梨県と埼玉県と長野県の三県にまたがる甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)に登りました。
奥秩父山塊の中心付近に位置し、日本最長の川である信濃川の源流となっている深山です。相当山深い場所ではあるものの、麓近くの西沢渓谷まで路線バスが乗り入れており、公共交通機関を利用したアプローチも比較的用意な山です。ただし日帰りするとなると、急登続きの険しき道と長めのコースタイムが相成り、極めてシビアな行程となります。
シャクナゲが満開を迎えたベストシーズンの奥秩父で、西沢渓谷から毛木平までを日帰りで縦断する、慌ただしき山行きをしてきました。

2019年6月1日に旅す。

 


甲武信ヶ岳は広大なる奥秩父山塊のほぼ中央にそびえる山です。奥秩父主脈上に位置し、山頂は甲斐(山梨)、武蔵(埼玉)、信濃(長野)の三国国境となっています。

山頂付近までが深い樹林に覆われ、展望に恵まれない山が多い奥秩父山塊ではありますが、この山域のベストシーズンと言えるのはシャクナゲが見ごろを迎える6月初旬です。
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最盛期には、沿道に見事なまでのシャクナゲのトンネルが出現します。普段は地味と見なされがちな奥秩父山塊が、最も華やぐ季節と言えるでしょう。

人里離れた山深い場所ではありますが、甲武信ヶ岳へのアプローチ手段は豊富に存在します。山梨県の西沢渓谷から登るルートの他に、長野県の川上村から千曲川源流の沢に沿って登るルートも人気です。

また、大弛峠や雁坂峠から、主脈上を縦走して到達することも可能です。

しかしながら、このいずれのルートをとっても、公共交通機関を利用してこの山を日帰りするのは、なかなかどうして大変です。距離的には最短となる西沢渓谷から登った場合でも、標準コ―スタイムは登り6時間、下り4時間の合計10時間です。

始発のバスが現地に到着してから、最終バスが現地を発つまでの時間はおよそ6時間しかなく、コースタイムの半分近くまで巻く必要があります。トレランでもない限り、これは流石に少々厳しいです。

そこで今回は、東京から近い西沢渓谷の側から登り、最終バスの時間に若干の余裕がある、長野県川上村の梓山に向かって縦断するルートを計画しました。
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梓山バス亭には19時までが便が存在します。それでも1時間以上はコースタイムを巻く必要がありますが、半分近くまで詰めなばならない西沢渓谷ピストンよりはずっと余裕のある行程です。

かくして決行された奥秩父縦断登山。強行軍ではあったものの、期待通りの満開なシャクナゲと千曲川源流の苔生す森を同時に楽しむ、充実した山行きでありました。
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コース
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西沢渓谷入り口バス停よりスタートし、急登で名高い徳ちゃん新道を登り甲武信ヶ岳へ登頂します。下山は千曲川源流コースと辿り、長野県の梓山バス停へ下ります。

標準コースタイム10時間50分のロングルートです。日帰り登山としては、健脚者向けの行程となります。

 

1.甲武信ヶ岳登山 アプローチ編 電車とバスを乗り継ぎ登山口の西沢渓谷へ

6時55分 JR高尾駅
甲府行きの鈍行列車に乗り込み、塩山駅へと向かいます。西沢渓谷行きの始発バスは、発車時刻が割と遅めの8時30分であるため、朝は比較的ゆっくりとした始動です。
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甲斐大和駅を過ぎると、塩山に向かって大きく北へカーブしながら甲府盆地内へと下って行きます。遠くに立ち並ぶ奥秩父山塊の上空は、今のところは晴れ渡っているように見えます。
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8時15分 塩山駅に到着しました。
駅から外へ出るなり、バス停前に出来上がった長蛇の列に思わず狼狽しました。奥秩父はいつからこんな人気の山域になったのでしょうか。
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8時30分発の西沢渓谷行きのバスに乗り込みます。このバスがあと一時間早くに走ってくれれば、甲武信ヶ岳日帰り登山のハードルはかなり下がるのでしょうけれど。
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臨時便が出て合計二台になりましたが、それでも乗り切れない人が大勢いました。これだけ客がいるのだから、是非とも7時30分の便を設定してくれませんかね、山梨交通さん。

途中の乾徳山登山口で大勢が下車し、車内は比較的空いた状態となりました。
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9時45分 終点の西沢渓谷入口に到着しました。ここまでの運賃は1,030円でした。スイカ・パスモに対応しています。
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西沢渓谷のマスコット狐(?)の前で身支度を整え、9時50分に行動を開始します。マスコットにしてはあまり可愛くない造詣ですよね。
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まずは徳ちゃん新道の入り口がある西沢山荘跡に向かって、西沢渓谷の遊歩道を進みます。
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周囲にはエゾハルゼミの鳴き声が鳴り響き、初夏の気配を感じる気持ちの良い道です。しかし、あまりのんびりとはしていられません。本日は割とストイックなタイムアタック登山であるので、足早に進んで行きます。
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最近私は、認めたくはないけれど認めざるおえない、ある一つの現実に直面しつつあります。昔ほどには早く歩けなくなってきていると言う現実にです。

年齢的に体力面で既にピークアウトしているであろうことは間違いなく、また困ったことに体重も増加傾向にあります。

入り口から10分ほど歩いたところで、ネトリ広場と呼ばれる開けた空間に出ます。ここを過ぎると、この先はもう甲武信小屋までトイレはありません。用はここで済ませておくと良いでしょう。
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甲武信ヶ岳周辺の鳥観図が設置されています。これは山梨市の職員の作で、同じ作者の作品が大弛峠や乾徳山の登山口などにも存在します。
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広場からほどなく近丸新道の入り口が現れますが、沢沿いのこのルートは荒れ気味であると言うことなのでパスします。
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頭上にひと際目を引く鶏冠山(2,177m)の稜線が見えます。バリエーションルートしか存在しない、かなりワイルドな山です。山梨百名山に選ばれているので、コンプリート目指すのであれば、避けて通ることは出来ない難関です。
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10時5分 徳ちゃん新道の入口まで歩いて来ました。ここから山頂までは、標準コースタイムで5時間40分ほどの行程となります。
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地図の等高線を見れば一目瞭然ですが、急登の続くかなりハードな道です。覚悟を決めて突入しましょう。
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梓山を発つ最終バスの時間に間に合わせるためには、コースタイムをおよそ1時間30分ほど巻く必要があります。

下山時にタイム巻こうとすると、焦りからくる判断ミスで道迷いや転倒事故などを誘発するリスクが高まります。出来ることならば、登りの時点で巻いてしまっておきたい所です。

 

2.シャクナゲ満開の徳ちゃん新道

キツイと評判の徳ちゃん新道ですが、登り始めは割と緩やかな道です。でもご安心(?)ください。ゆるいのは始めだけで、すぐにため息の出そうな急登が始まりますから。
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ヤマツツジが良い感じに見頃を迎えていました。
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という事で、早速始まりました。途中で何度か傾斜の緩む場所もありはしますが、基本的に徳ちゃん新道は最後までこんな感じの急坂が続きます。
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最初の急登を登りきると、早速本日のシャクナゲ第一号が出迎えてくれました。
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ここからはお待ちかねの、シャクナゲロードの始まりです。
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見事なまでのシャクナゲのトンネルを抜けて行きます。
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この辺りのシャクナゲは、すでに散り始めと言ったところです。満開のピークは、もう少し登ったところにありそうです。
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シャクナゲに負けじと、トウゴクミツバツツジも花を付けつつありました。こちらはまだ、ようやく咲き始めたところです。
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登るにつれて、徐々に尾根の幅が狭まり、岩の露出した険しい道となってきました。
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ナイフリッジとまでは行きませんが、両側が切れ落ちている場所もあります。取り立てて危険と言うほどではありませんが、ここは慎重に。
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11時45分 新道分岐まで登って来ました。近丸新道と徳ちゃん新道の合流地点です。
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ここまで、標準コースタイム2時間30分の道を、1時間40分ほどで登ってこれたことになります。今の所は、まあまあ良いペースで巻けています。

新道分岐を過ぎると、一時の間だけ急登が鳴りを潜め、安息の時が訪れます。
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再び始まる圧巻のシャクナゲロード。今ちょうど満開の時を迎えている標高付近に到達したようです。
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右も左も満開御礼状態です。実に素晴らしい。
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そしてこの時私は、認めたくはないけれど認めざるおえない、ある一つの事実に薄々と気づきつつありました。

加齢による体力の低下や体重の増加は、確かに以前ほど早いペースで歩けなくなってきている理由の一つではあるのでしょう。しかし最大の理由はそれでは無く、写真撮影に時間をかけすぎているからなのだと。

こうしてシャクナゲの撮影に夢中になっている間にも、途中で追い抜いて来たはずの登山者たちに、次々と追い抜かされて行きます。・・・テントを担いでいる人にまで。
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撮影と言う行為がいかに歩行のテンポを乱しているのかを、まざまざと見せつけられてしまった格好です。

しかも、手ブレの影響を少しでも抑えるためにシャッターを切る瞬間は息を止めるので、歩行のテンポどころか呼吸まで乱してしまっている始末です。

でもだからと言って、この満開の花々に目もむけずにタイムアタックに勤しんで、それ果たして楽しいのかと問われれば、答えは明らかにノーです。
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「もし最終バスに間に合わなかったら、その時は佐久市からタクシーを呼べばいいじゃないか」と開き直ることにしました。・・・その場合、いったいいくらかかるのかは存じませんが。

さらに標高が上がってくると、周囲のシャクナゲは開花前の蕾状態となりました。満開のピークが、下から徐々に標高をあげて行っていることが良くわかります。
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3.甲武信ヶ岳登山 登頂編 苔生す針葉樹林を越えて、奥秩父随一の好展望の頂へ

シャクナゲ地帯を抜けると、植生が変わってシラビソやコメツガなどの針葉樹林帯へと入って行きます。
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緩むことの無い急坂が続きます。シャクナゲ地帯で生じた遅れを少しでも挽回すべく、ペースを上げて行きます。
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大きな岩の姿が目立つようになって来ました。浮石が多めなので、下へ落とさないよう足元には要注意です。
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不意に森が途切れて、登り始めてからは初めてとなる、眺望の開けた崩落地の上部へと飛び出しました。
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眼下に広がるのは、笛吹川上流域の山並みです。左下に見えている湖は広瀬湖です。いつの間にやら、青空が消えてすっかりと曇ってしまいましたな。
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いつしか周囲には、濃厚な奥秩父の香りが漂い始めました。
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なにぶん感覚的なものなので言葉で説明するのが難しいですが、落葉した針葉樹の葉が腐葉土となる過程で生じる甘い香りと、苔が発する青臭さがとがミックスしたような、独特な香りです。

苔の森を満たす冷たく湿った空気が、火照った体に心地よい。
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道の上に少量の雪がまだ残っていました。奥秩父山塊と言うのは、降雪量はさほど多くはない山域です。6月に入ってもなお残雪があるとは意外でした。
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ようやく奥秩父主脈の稜線まで登って来ました。ここまで来れば、木賊山までもうあと一息です。
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稜線に出たことにより、ようやく傾斜が緩んでくれました。まあ、このあとは一度大きく下って、そのあと盛大に登り返すことになるのですけれどね。
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山頂が見えて来ました。
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13時30分 木賊山(とくさやま)に登頂しました。甲武信ヶ岳のすぐ隣に立つ、前衛峰とでもいうべき山です。
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山頂の様子
樹木に覆われていて展望は全くありません。シャクナゲの藪があったので、もう少しすれば華やかなる場所になることでしょう。
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木賊山から甲武信ヶ岳との鞍部に向かって、一度大きく高度を落とします。この下りにも雪が残っていて、下るのに少々緊張しました。
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程なく崩落が現れ、前方の視界が開けます。
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ここまで登ってきて、ようやく初めて甲武信ヶ岳本体の姿を目にすることが出来ました。引っかき傷と称される、一直線の崩落地が印象的です。
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甲武信小屋にに向かって、勿体ないほどに大きく高度を落とします。
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13時45分 甲武信ヶ岳に到着しました。山頂の直下に立つ有人の営業小屋で、キャンプ指定地もあります。
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今日ここまで登ってきた徳ちゃん新道を切り開いたのは、この甲武信小屋の小屋番をしている山中徳治氏です。

この如何にも昔ながらの山小屋と言った佇まいが素敵です。個人的には、北アルプスのまるでホテルのように立派なナリをした山小屋よりも、この方がずっと好みです。
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さあ、山頂へ向かいましょう。小屋から山頂までは標準コースタイムで20分ほどの行程です。
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山頂直下もまた結構な急登です。甲武信ヶ岳に最後まで慈悲はありません。
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背後に、先ほど乗り終えて来た木賊山が見えます。甲武信ヶ岳とは標高が60メートルしか違いません。つまり、ほぼ下ったの同じだけの高さを登り返すという事です。
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山頂直下ギリギリの地点で、森林限界を超えて展望が開けました。
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甲武信ヶ岳は展望が良いことで知られた山ですが、森林限界を超えて頭を出しているのは、本当に山頂部分だけです。
もし甲武信ヶ岳が全く展望の無い山であったのならば、おそらく深田久弥はこの山を百名山には選ばなかったのではないかと思います。

木賊山にはまったく展望が無かったことを思えば、この僅か60メートルの差が大きく明暗を分けたと言えるでしょう。

山頂が見えてきました。
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14時10分 甲武信ヶ岳に登頂しました。シャクナゲエリアで時間を空費しつつも、なんとか標準コースタイムを2時間近く巻くことに成功しました。
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ゼーハーゼーハー・・・本気を出せば・・・まだまだイケるんだい・・・超疲れた・・・

甲武信ヶ岳山頂からの眺望は、ここまでの苦労に十分見合うほどの素晴らしさです。正面には奥秩父主脈の山並みが連なります。
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甲武信ヶ岳の山頂からは、日本百目山のうち43座を見ることが出来ると言われておりますが、残念ながら今日は曇っていて遠くまでは見えません。

主脈を辿ったていった先に見えるこの山は、奥秩父の盟主こと金峰山(2,599m)です。山頂にある五丈岩のおかげで、山座同定は容易です。
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遠くには薄っすらと、八ヶ岳連峰の山並みが見えました。真ん中の山が最高峰の赤岳(2,899m)かな。
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すぐお隣にあるこちらの山は三宝山(2,483m)です。埼玉県の最高峰と言うタイトルを保持しているにもかかわらず、ほとんど顧みられることの無い不遇の山です。
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かく言う私も登ったことがありません。今日は時間が足りないので立ち寄れませんが、いずれそのうち訪問することにしましょう。

三宝山の山頂には全く展望はありませんが、この三宝岩に登ればそれなりの眺望が得られるとのことです。・・・傍から見た感じ、登るのは結構難しそうですね。
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到着時にははぼ貸し切り状態だった山頂が、あれよあれよと言う間に人で埋め尽くされてしまいました。流石は人気の百名山です。
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そして、現在地はまだまだ道半ばです。ボチボチ前進を再開することにしましょう。
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4.甲武信ヶ岳登山 下山編 千曲川源流の沢と共に歩む穏やかなる登山道

14時30分 下山を開始します。まずは奥秩父主脈中縦走路に沿って進み、途中で右へ折れて千曲川源流の谷に向かって下ります。
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私が最も苦手とするガレ場の急坂です。こういう場所を急いで降りようとすると、大抵はろくな目に合いません。ここはゆっくり慎重に行きます。
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登りで十分に巻くことが出来ているので、もう特に先を急ぐ必要はありません。標準コースタイム未満のペースにまで失速さえしなければ、バスには間に合います。

好展望タイムはあっという間に終わり、再び奥秩父の幽玄な森の中へと舞い戻りました。
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分岐までやってきました。ここから主脈から外れ、谷に向かって降下します。
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ここに来て陽が射し始めました。どうせなら山頂に居る時に晴れてほしかったのに。
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14時55分 千曲川源流の碑まで下って来ました。
千曲川(ちくまがわ)と言うのは長野県内での呼び名で、新潟県に入ってからは信濃川と呼ばれます。河口までの全長が367キロメートルあり、日本最長の川です。
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この木の根元から染み出した僅かな水が、日本最長の川の最初の一滴です。
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誰がいつ置いたともしれないバッチいコップがありましたが、割れているうえに、そもそも汲めるほどの水量がありません。
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始めは本当にか細い流れです。このチョロチョロと流れる小径が、やがては日本最大級の大河へと変貌するわけです。
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道はずっと、この源流の沢沿いに続いています。谷から染み出した湧水を集め、水流は徐々に大きくなって行きます。
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こんな風に、道へあふれ出ている場所もあります。
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ちょっとちょっと。なんなのですか、この圧倒的な癒しの空間は。雰囲気が良いとかいう次元を超えてますよこれは。
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西沢渓谷側から登るより、千曲川源流ルートから登った方が絶対に良いと言う意見を、これまでに幾度となく見聞きしておりましたが、来てみて納得です。確かにこのルートは素晴らしい。
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終いには、時間にあまり余裕がないないことも忘れて、またもや撮影に没頭し始める始末です。やはり甲武信ヶ岳と言うのは、日帰りではなく一泊してゆっくり時間をかけて登るべき山なのだと、改めて痛感させられました。

この素晴らしき癒しの空間を、時間に追われて慌ただしく駆け抜けるなどと言うのは、あまりにも勿体ない事です。

何時のまにやらすっかり大きく成長した沢沿いに下って行きます。傾斜も緩やかで歩きやすい道です。
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この清流の美しさたるや。真夏だったら躊躇することなくダイブして、水遊びを始めるところですよ。
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新旧の橋が交差します。結局、川を対岸に渡ったのはこの一ヵ所だけでした。
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道は大変よく整備されており、不明瞭な場所もありません。歩きやすく優等生的なコースです。西沢渓谷側の容赦ない道とは対極です。
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源流の碑から延々と下り続けること1時間ほどで、開けた場所まで下りて来ました。
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千曲川源流コースにおけるランドマーク的スポットのナメ滝です。
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ウォータースライダーみたいに滑り降りたら楽しそうですね。楽しいのは滑っている最中だけで、最後の最後に尻を激しく殴打することになるでしょうけれど。

ナメ滝を過ぎると、徐々に谷の幅が広がってきて、沢からは少し離れた高巻きの道になります。
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手の届かなくなった沢を遠巻きに見ながら下ります。
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登山者と言うのは、登山道上に突き出した岩を見ると、どうしてもつっかえ棒を立てかけたくなる生き物らしい。
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何時しか周囲は、手入れの行き届いたカラマツ林に変わっていました。間伐した形跡があるので、自然林ではなく植林なのでしょうか。
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16時40分 地図にも記載のある慰霊碑まで下って来ました。ここまで来れば、毛木平まではもうあと一息と言ったところです。
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そして、ここに来てまさかの登り返しです。今日はもう、登るのはお腹いっぱいなんですがねえ。
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僅かながらシャクナゲも咲いていました。
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これまた地図に記載のある神社まで下ってきました。
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神社を過ぎたところで登山道は終わり、この先は未舗装の林道となります。
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下山を開始してから黙々と下り続けること2時間と45分。ついに文明社会へと帰還しました。
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17時15分 毛木平に到着しました。車でお越しの方は、きっと達成感で満たされる瞬間であることでしょう。
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まあ、バスはここまで来てはくれないんですけれどね!

 

5.一面のレタス畑が広がる、高原野菜の産地川上村

バス停のある梓山は、毛木平駐車場からさらに1時間ほど歩いた先にあります。という事で、レタス畑の只中をトボトボと歩いて行きます。
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長野県川上村の集落があるこの一帯は、標高1,000メートルを超える高原地帯となっており、高原野菜の産地として有名です。

振り返って見た甲武信ヶ岳は、完全に雲に覆われてしまっていました。
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今頃になって菜の花が咲いていました。冷涼な気候の高原地帯だけあってか、下界とは季節の移ろいかたがだいぶ異なるようです。
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畑の中を延々と歩き続け、ようやく梓山の集落が見えて来ました。
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18時15分 梓山バス停に到着しました。なんやかんやで、結局は最終バス時刻に一時間近く余裕のある状態でのゴールと相成りました。
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バス停の周囲には、時間つぶしが出来るような商業施設はありません。コンビニが一軒だけあります。
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こういう山間の集落にあるバス停で最終バスを待っていると、「もしこのままバスが来なかったらどうしよう」と言う不安に駆られることがしばしあります。そんな不安が自然と脳裏をよぎってしまうくらい、周囲には何もありません。

その後幸いにして、バスはしっかりと時刻表より4分遅れで現れてくれました。・・・その僅か4分の間「季節運行だったらどうしよう」とか、いろいろ考えてドキドキしていたことは言うまでもありません。

そして、バスから降りた信濃川上駅の周囲の、さらなる何もなさっぷりに度肝を抜かれたのでありました。
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ちなみに、話はまったく盛っておりません。何故ここに駅を作ったのかと怪訝に思うくらい、なにも無い場所です。
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信濃川上駅は標高1,135メートの地点にあり、これは日本で4番目の高さです。なお、1位から5位までがすべてJR小海線の駅なのだそうです。
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その後現れた小淵沢行き列車に乗り込み、帰宅の途につきました。
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かくして慌ただしき日帰りでの甲武信ヶ岳縦断の旅は、最後の最後で少々ドキドキさせられはしたもの、無事に終了しました。
下山に使った千曲川源流コースは、評判通りの歩きやすい良コースでした。東京からだとアプローチに少々難のある場所ではありますが、毎日アルペン号に毛木平行きと言うのが存在するようなので、自家用車が無くとも朝一に登山口に立つことは一応可能です。
本文中でも触れた通り、甲武信ヶ岳は慌ただしく日帰りするよりは、素直に一泊して登った方が幸せになれる山だと思います。三宝山への周遊や、奥秩父主脈縦走などにも興味があるので、この山へはいずれまた訪問することになるでしょう。

<コースタイム>
西沢渓谷入口BS(9:50)-新道分岐(11:45)-木賊山(13:30)-甲武信小屋(13:45)-甲武信ヶ岳(14:10~14:30)-千曲川源流の碑(14:55)-ナメ滝(16:00)-毛木平(17:15)-梓山バス停(18:15)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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