山梨県大月市にある雁ヶ腹摺山(がんがはらすりやま)に登りました。
旧500円札に描かれていた富士山の写真の撮影地として知られている山で、秀麗富嶽十二景にも制定されています。
この山、マイカーのある人(もしくはタクシーを呼ぶ予算のある人)には比較的簡単に登ことができる山なのですが、公共交通機関だけを利用して登ろうとすると、なかなかタフな山行きとなります。
標高差1400メートル超のハードな山旅をしてきました。
2015年11月28日に旅す。
この山については、後日訪問した際のより詳細な記事が存在します。
唐突ですが
当ブログの管理人オオツキは、公共交通機関を利用した山行きに、非常に強い拘りを持っております。
その理由は、ただ単に車を持っていないから。地球温暖化によって生じた異常気象は、世界各地にさまざまな自然災害を引き起こしており、温暖化を防止するための二酸化炭素排出量削減の取り組みは、もはや先送りにすることが絶対に許されない段階に達している。
公共交通機関を利用した場合の一人当たりのCO2排出量は、マイカーを使用した場合と比べ
~中略~
…未来を担う子供たちに、青き美しき地球を遺すことは私たちの世代に課せられた義務なのである。
ところが全く持ってケシカラヌことに、私の様な車も買えない貧乏人環境意識高い系ハイカーを嘲笑うかの如き、「アプローチ手段は車のみ」の山がこの国には多数存在しているのです。
これから挑もうとしている雁ヶ腹摺山もまた、そんな「車の無い奴お断り」な山である。
車がある場合のアプローチ
標高1,560メートル地点の大峠まで車で乗り入れることが出来ます。山頂までは登り1時間。下り40分。合計1時間40分のお気楽ハイキングです。
車がない場合のアプローチ
公共交通機関のみで取り付こうとした場合、アプローチに使えそうなのは遅能戸(おそのうと)かハマイバ前のバス停です。
遅能戸からは標高差1,500メートル近くにおよぶ登りが待ち受けており、ハマイバ前から行こうとすれば、大峠まで11kmの林道を踏破しなければなりません。
今回私は遅能戸から登りハマイバ前へ下る周回ルートを計画しました。標準コースタイムはおよそ9時間ほど。
まあ、タクシーを呼べばこんな苦労はしなくてすむのですけれど、ドケチな環境意識高い系ハイカーとしては、より金の掛からないCO2排出量の少ない方法をつねに模索し続けなければならないのです。
1.雁ヶ腹摺山登山 アプローチ編 ローカル路線バスで登山口の金山鉱泉へ
朝7時20分 大月駅
大月市のシンボル岩殿山が朝日を浴びて輝いています。今日は晴天に恵まれそうです。
7時40分 遅能戸バス停に到着しました。ここから金山鉱泉の民宿街まで、しばしの車道歩きです。
遅能戸の時刻表です。□がついているのは平日のみの運行で、土日祝日には大月駅に向かうバスは一日3本しかありません。とは言っても、予定ではここへ戻ってくることはありません。
金山の沢沿い何件かの宿が点在しています。口コミを見ると軒並み高評価です。隠れた名湯なのかもしれません。時間帯に制限はありますが日帰り入浴も可能な模様。
<h32.決して楽ではないエコ登山の道程
沢を渡って斜面に取り付きます。このまま沢沿いに金山峠へ直接登るルートも存在するのですが、事前情報によれば沢ルートはあまり整備が行き届いておらず荒れ気味とのことだったので、やや遠回りになりますが大岱山(おおぬたやま)を経由するルートを取りました。
9時50分 場面は一気に飛んで、金山峠に到着しました。途中の写真を一切撮影していなかった一瞬でたどり着いたみたいな状態ですが、ここまでは結構な急登続きです。
金山峠を越えると、一時の安息のような水平移動の道となります。今のうちに、すこし体力回復を図っておくのが良いでしょう。
路盤は荒れ気味です。車高の高い車で無いと4輪車での進入は難しいかもしれません。
10分そこらの林道歩きで再び登山道に戻ります。この看板の朽ち果て具合からして、このルートを歩く人がいかに稀であるかが伺えます。
苦行のような樹林帯歩きがまだまだ続きます。エコ登山とはかくも辛く苦しいものであるのか。しかしここは、環境意識高い系ハイカーの沽券にかけて挫けるわけにはいきません。
再び林道に出ました。林道奈良子線の本線です。本線の方は舗装がしっかりとしていました。
ここからは少し寄り道をして、姥子山(うばこやま)を目指します。本日は肯定的に時間にはあまり余裕が無いのですが、しかし山頂があるのならその土を踏むことこそが、ピークハンターたるものの務めです。
姥子山は雁ヶ腹摺山と共に、大月市が制定した秀麗富嶽十二景に選ばれている一座です。
富嶽(ふがく)とは富士山のことです。なので、秀麗富嶽十二景とは平たく言うと「富士山が良く見える山12選」くらいの意味です。たぶん。
11時 姥子山登頂しました。ちなみに奥に見えているのが本日の目的地である雁ヶ腹摺山です。
大月の中心方向を望む。見渡す限り山また山ですね。手前に見ているのが大岱山です。
なにやら立派な山があるなーと、名前も知らずにズームで撮影した山。後で確認したところ、これは北都留三山の最高峰である権現山(1,256m)です。
雁ヶ腹摺山を目指して前進を再開します。ここから、まだまだ結構登ります。
ちなみに姥子山の山頂はちょっとした岩場になっており、割と高度感があります。高いところが苦手な人は、帰りは少し怖いかもしれません。
3.雁ヶ腹摺山登山 登頂編 栄光のNO1の頂から望む、秀麗なる富嶽の展望
標高1,700メートルを越えた辺りから、雪がチラホラと出現し始めました。
カヤトの草原が見えてきたら山頂はもう間近です。陽の当たる地面は雪が溶けて、一面の泥濘と化していました。
12時10分 雁ヶ腹摺山登頂しました。登山口から実に4時間をかけての到着です。いやはや地球環境を守るのも楽ではありませんなあ。
苦労しましたが、しかし大峠から登って来た登山者には、この達成感は到底得られまい。
それでは早速、秀麗富嶽十二景の栄光のNO1の光景を見てみましょう。これが旧500円札に描かれていたと言う富士の姿であります。
・・・とは言っても、21世紀になってから既に16年が経過している今日において、500円札の図柄を克明に覚えている人は、はたしてどのくらい居るのでしょうかね。
山頂部を最大望遠で覗いてみましょう。いろいろ意見はあるでしょうけれど、個人的に富士山は山梨県側から眺めた姿が最も美しいと感じます。
500円札の撮影地であることを示す碑文が設置されていました。
私は辛うじて500円札を実際に使用したことのある世代に属していますが、20代以下の若者からすれば「500円札?ナニそれ?」でしょうね。
こちらは秀麗富嶽十二景の一座であることを示す碑文です。十二景とか言ってるくせに何故か全部で18座あります。だったら十八景にすればよかったのにね。
4.雁ヶ腹摺山登山 下山編 延々と舗装道路を下り続ける苦行の下山
絶景を十分に堪能したところで大峠に向かって下山開始です。日陰側は地面が凍結してコチコチでした。アイゼンを持ってきていなかったので冷や汗モノです。
よく整備された登山道です。やはりこちらが雁ヶ腹摺山のメインルートなのでしょう。
13時ちょうどに大峠に到着しました。前述の通り、ここまでは車で入ることが出来ます。
標高は1,560メートルあります。車で直接登ってこれる峠としては、かなり高い方に部類しています。
ああちなみに身も蓋もないことを言いますが、わざわざ山頂まで登らずとも、大峠からでも富士山は良く見えます。
大峠より仰ぎ見た雁ヶ腹摺山です。標高差が300メートルちょっとしかないとあって、すぐ近くに見えます。ここから登る分には、高尾山レベルの山なんですよね。
さあ、ここからは11kmにおよぶ林道歩きです。15時10分にハマイバ前を発つバスに乗りたいので、2時間ちょっとで踏破する必要があります。
14時20分にゲートを通過します。一瞬でたどり着いたように見えるかもしれませんが、駆け足気味に舗装道路を下っている都合上、途中の写真を一切撮っていなかっただけです。
なおこのゲート、冬季には閉鎖されますので、利用を考えている人は事前に閉鎖期間を要確認です。
延々と10km以上の舗装道路を下り続けたところで、ようやくゴールが見えてきました。
14時50分 ハマイバ前バス停に到着です。ハマイバって何のことだろうと疑問に思っていたのですが、渓流釣り施設の名称だったんですね。
15時10分発のはずのバスは、20分過ぎになってから現れました。結果論ですが、そんなに必死になって早歩きで歩く必要はありませんでした。
こんな感じで、今回のタクシー代ケチり登山エコハイクを無事に計画通り完遂することが出来ました。
秀麗富嶽NO1の実力は伊達ではなく、素晴らしい富士展望を堪能できました。
どうせなら三脚を担いで登り、もとガッツリと富士山を撮りたいところです。そうなると、ますますもって車があったほうが良いところではありますが・・・
この山に車を使わずに登ろうとする物好きはあまり居ないのではないかと思いますが、そんな数少ない物好きな人たちのために、一応コースタイムをのっけておきます。
<コースタイム>
遅能戸(7:40)-金山鉱泉山口館(8:20)-金山峠(9:50)-姥子山(11:00~11:15)-雁ヶ腹摺山(12:10~12:20)-大峠(13:00)-湯ノ沢峠入り口(13:50)-ハマイバ前(14:50)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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