山梨県上野原市にある坪山(つぼやま)、上野原市と大月市にまたがる三ッ森北峰(みつもりほっぽう)および権現山(ごんげんやま)に登りました。
東京都と山梨県の境界を形成する笹尾根の南側に連なる、権現山稜とよばれる山域を巡る行程です。坪山はイワカガミやヒカゲツツジが咲く花の山としてしられており、シーズン中にはそこそこの賑わいを見せます。一方で三ッ森北峰や権現山を訪れる登山者は極めて少なく、人影もまばらな静かな山域となっています。
終わりかけギリギリのヒカゲツツジを鑑賞しつつ、マイナーエリアの山々を巡って来ました。
2024年4月19日に旅す。
坪山は鶴川を挟んで三頭山の南向かいにある山です。街道筋からは離れた山間部に位置している山ですが、中央本線の上野原駅から出ている鶴峠行きバスによりアプローチが可能です。
普段は人影も疎らな静かなる山ですが、ヒカゲツツジが咲くシーズン限定でそこそこの賑わいを見せます。
ヒカゲツツジとはその名の通り日陰の環境を好んで咲くツツジで、珍しいクリーム色の花を咲かせます。シャクナゲの仲間ですが生息地は少なく、見ることのできる場所は限定的です。
今回は時期的には少し遅めの訪問となってしまいましたが、なんとかギリギリ散らずに残ってくれていました。
坪山単体に登るのであれば、行動時間4時間少々のお手軽な周回コースを取ることもが出来ます。しかしそれだけでは少々物足りない気がしたので、さらに南の権現山まで繋げて歩いてきました。
笹尾根の南側に連なる権現山稜は、ちょうど奥多摩エリアと中央本線沿線エリアの狭間にあるためか、訪れる人は極めて稀な静かなる山域です。
地味山だろうと思い込んで、さしたる期待も無しに訪れた山では、思ってもいなかった大展望が広がっていました。そこそこ有名な花咲く山と、知られざる富士展望の山を巡って来た記録です。
コース
上野原駅発飯尾行きバスの学校前バス停よりスタートして坪山に登ります。坪山登頂後は尾根沿いに西原峠、三ッ森北峰を経て権現山まで縦走し、浅川バス停に下山します。
坪山から先は、あまり歩く人のいないマイナーな領域を巡る行程です。
1.坪山登山 アプローチ編 平日にバスで行く、上野原の山間部への旅路
8時23分 JR高尾駅
上野原駅からのバスの乗り継ぎ時間の都合もあり、普段よりもゆったりとした始動です。登山開始時刻は遅くなってしまいますが、こればかりは致し方ありません。
8時43分 上野原駅に到着しました。かなりの数の乗客が降り立ちました。
ちなみに本日は平日です。平日朝の上野原駅のバスロータリーは、通学する学生で混雑していました。大部分を登山者が占めている、普段見慣れた週末の客層とはだいぶ異なります。
8時50分発の飯尾行きのバスに乗車します。こちらもそこそこ混雑しており、並んでいた全員がギリギリ着座できるくらいの乗車率でした。
9時41分 鶴川沿いのグネグネした山道に1時間近く揺られて、学校前バス停に到着しました。
坪山のヒカゲツツジ効果でそれなりに利用者がいるだろう思いきや、ここで下車したのは私を含めて2人だけでした。まあ、平日だとこんなものでしょうか。
この上野原駅から鶴峠方面に向かう路線バスは、以前はもっと運行本数が多かったのですが、コロナ渦を経て利用者が激減してしまったからなのかガッツリと減便されています。
公共交通機関利用の登山者にとっては、もともと交通アクセスが良好とは言い難かった鶴川周辺の山々は、ますます訪問のハードルが上がってしまった格好です。
不便になったことによりさらに利用者が減少する負のスパイラルに突入し、最終的には住民しか利用できない事前予約制のデマンド交通に置き替えられてしまう未来が、もう目前にまで迫ってきている感があります。
そうならないためにも乗って残そう公共交通!
・・・私は日本バス協会のまわし者ではありません。
2.平日でも大勢の登山者で賑わう坪山
9時45分 身支度もそこそこに行動を開始します。まずはバスが元来た方向へ少しだけ戻ります。
朝からまるで真夏のようなギラギラの太陽が照り付けており、歩き始めて早々から上着を脱いで半袖一枚になりました。今日は暑くなりそうです。
すぐに羽置の里びりゅう館と書かれた標識が現れるので右折します。
錆びついてだいぶ年季の入った、坪山ハイキングコースの案内板が立っていました。坪山のみに単体で登る場合は、学校前バス停ではなくさらに先の御岳神社前バス停で下車し、びりゅう館に向かって下って来る周回ルートを取るのが一般的です。
水車が回っていました。この水車小屋はただの飾りではなく、実際に蕎麦粉を挽くの使用されています。
こちらが手打ちそばで有名なお食事処のびりゅう館です。営業開始時刻は10時からで、この時間にはまだ開いていませんでした。漢字で書くと美流館なのかな
先ほどの坪山ハイキングコースの案内板にあった通り、ここに向かって下山してくる周回ルートを取れば、帰路のバスを待つ間にお蕎麦も食べられて好都合であろうと思います。
私は権現山まで抜けるつもりでいるため、残念ながらここへは戻って来ません。
しだれ桜が良い感じに満開です。流石にもう今年の桜シーズンは終わりだろうと思っていましたが、山間部にはまだまだ結構残っているものなんですね。
坪山の登山口はびりゅう館のすぐ脇にあります。ここから山中へと分け入って行きます。
登り始めはまるで奥多摩のような圧倒的杉林の中を、ジグザクと九十九折れに登って行きます。面白味はありませんが、最も効率良く標高差を稼げるタイプの道ではあります。
ほどなく道を境にして杉林と自然林に分かれる状態になりました。里に近い山の尾根上でよく目にする光景です。
急登が30分ほど続いたところで、あっけなく尾根に乗りました。登山地図にはこの尾根沿いを真っすぐに阿寺沢方面へ下れる道が描かれてますが、崩壊箇所があるらしくロープで封鎖されていました。
尾根に乗ってすぐに、名も無き896メートルピークがあります。この先は基本的に最後までずっと尾根歩きとなります。
この尾根は登り一辺倒ではなく、結構細かいアップダウンがあります。単純な標高差の印象から受けるよりは歩き応えがある行程です。
細尾根になって切れ落ちている個所もあり、安全のためにロープが張られていました。人一人が通れるだけの幅は十分にありますが、落ちたらタダでは済まない高さなので慎重に。
ミツバツツジがチラホラと咲いていますが、今のところ肝心のヒカゲツツジの姿は見当たりません。はて、群生地があるのは山頂の周辺だけなのでしょうか。
突如として始まる急登区間。足元はパサパサに乾燥した砂地で、登りはともかく下りではかなり神経を使いそうです。トラロープが張られているので、ありがたく活用します。
行く先に同じような高さのピークが二つ並んでいるのが見えます。どっちが坪山なのかよく分かりませんが、まだまだアップダウンが続くようです。
ここでようやく咲いているヒカゲツツジを発見しました。それらしき木自体は少し前からチラホラと散見されていたのですが、殆どは咲いていませんでした。
今年はツツジの裏年で不作だとは言われていますが、ヒカゲツツジも例外ではなかったようです。
しかしクリーム色の花弁と言うのは、かなり珍しい部類なのではなかろうか。こんな地味な色でも虫を引き寄せられるものなんですね。
不作のツツジに代わって登山道上で最も目につくのがこのアセビです。こちらは特にハズレ年と言う事も無いらしく、そこかしこに咲いていました。
行く手の頭上が開けて空が広く見ました。同時に人の話し声が聞こえて来ます。もう山頂なのか。
さほど広くはない山頂に、大勢の登山者が所狭しと休息をとっていました。平日だと言うのに、坪山はこんなにも人気のある山だったのですね。
11時50分 坪山に登頂しました。びりゅう館スタートだと、アップダウンが多めでなかなか歩き応えのある道のりでした。
山頂のヒカゲツツジはもうほぼ終わりかけの状態で、何とかギリギリ間に合いました。そしてやはり、そもそも咲いている数自体が少ないようです。
鶴川の谷を挟んだ北側の向かいに、三頭山(1,531m)が佇んでいます。この山の向こう側は東京都です。こうして近くから見ると、かなり大柄な山です。
東側の鶴川の下流方向の眺めです。左手が東京都と山梨県の境界を形成している笹尾根で、右手にあるのが権現山稜です。権現山稜は歩く人が極めて少ない穴場的な山域となっています。
西側の鶴峠方面の展望です。鹿倉山(1,288m)の背後に、雲取山(2,017m)から飛竜山(2,077m)に至る稜線が見えています。なるほどこういう位置関係になるのか。
山頂に松姫鉱泉の案内板が立っていますが、この施設は2016年をもって廃業しています。金山鉱泉の山口館も廃業してしまったし、この山域で気軽に登山や温泉を楽しめる時代は、もう過去のものとなりつつあるように感じられます。
3.荒れ気味な西原峠への道程
12時10分 僅かな山頂滞在時間でしたが、混雑していて腰掛けられるスペースもないので先へ進みましょう。佐野峠、奈良倉山と書かれた方へと進みます。・・・今日はそのどちらにも行く予定は無いんですけれどね。
結構な急坂である上に、こちら側にはロープ等が整備されていません。歩く人の多いびりゅう館を起点にした周回ルートはしっかりと整備がされていましたが、ここから先の道はほぼ放置状態にあるようです。
それにしても、乾燥した松の葉というのはこんなにも滑るものだったんですね。写真ではなんてことはなさそうに見えるかもしれませんが、この下りでかなり肝を冷やしました。
相変わらず尾根は痩せており、アップダウンも多めです。びりゅう館から坪山までの道程も十分険しいと言えば険しかったのですが、整備状態の違いにより難易度のステージは一つ上がったように感じられます。
左側に、この後歩く予定の権現山稜の尾根が見えています。この先にある西原峠からグルっとUターンして行きます。
峠に向かって下って行くだけなのかと思いきや、思きっきり登り返しさせられます。ちなみにこの名も無きピークは標高が1,170メートルあり、何気に坪山の山頂よりも少し高いです。
名も無きピークを乗り越えると分岐がありました。尾根上を直進すると佐野峠を経て奈良倉山へと至ります。西原峠に向かにはここを左に入ります。
この分岐には道標が多数あるのですが、どれも地面に落ちていて、どちらを指しているのか非常に分かりづらくなっています。あらぬ方へ進んでしまわないように注意を要します。
分岐を過ぎて程なく、ほぼほぼ道が消滅しかけているトラバースになりました。ちなみにこのルート、山と高原地図ではしれっと実線で描かれています。
これは破線扱いにすべきではなかろうか。普通に歩ける道だと思われちゃいますよ。
危なっかしいトラバース地帯を抜けると、少し幅の広い林道らしき道に合流しました。やれやれ、こうれでようやく安心安全に歩ける道になるのか。
と思ったら、合流した道も崩れかけており、安心安全からは程遠い状態でした。路肩が崩落した断面上に、木材で組まれた基礎らしきものが露出しています。林道ならではのフリーダムな工法ですな。
前方を横切るさらに幅の広い林道と合流しました。この林道は現役の車道として維持されており、佐野峠をへて松姫峠まで続いています。
道の状態が劇的に良くなったことにより、ここからはしばしの間、鼻歌混じりに歩けます。
13時25分 西原峠に到着しました。とても標高1,000メートルを超える山中だとは思えないような交差点の光景です。
ここから中風呂バス停にエスケープすることも出来ます。松姫トンネルを通り大月市と小菅村を結んでいる国道139号線上にあるバス停で、バスの運行本数もそこそこあります。
森が切れて少しだけ展望がありました。正面に見えているのは、たぶん雁ヶ腹摺山(1,874m)の辺りだと思います。よく見慣れている山ではありますが、始めて目にするアングルなので何だか新鮮です。
4.知る人ぞ知る富士山の好展望地、三ッ森北峰
西原峠を過ぎて以降も、しばしの林道歩きが続きます。国土地理院の地図を見ると道は尾根上に描かれていますが、実際は少し尾根を外した場所に続いていました。
途中で九十九折れに尾根上に登ると、高速道路状態の幅広な道が続いていました。最初は防火帯なのかと思いましたが、それにしては伐採の幅が少し狭いようにも感じます。単純に、林道の続きであると考えた方が良さそうです。
行く手に三ッ森北峰だと思われる山のシルエットが見えて来ました。しかしこんなマイナーエリアの尾根上に、サーキットコースのような道があるとは予想もしていませんでした。
林道の終点までやって来ました。いかにもまだ工事中ですと言った感じで唐突に終わりましたが、この道は最終的にどこを目指しているのだろうか。
尾根上に何となく踏み跡らしきものはありますが、地面の柔らかさからしてあまり歩かれていないのは明らかです。今のところは急登もなく、緩やかに登って行きます。
この調子で権現山までずっと歩きやすい道が続くのかなと、この時はまだそのように思っていました。実際はそうは問屋が卸しませんでしたけれど。
14時10分 大寺山まで歩いてきました。特に何かがある訳でもない、尾根上にあるただの通り道と言ったピークです。そして、鼻歌混じりに歩けたのはここまででした。
三ッ森北峰の手前で、一度大きく標高を落とします。そしてその後の登り返しは、見るからに急峻で絶壁感があります。いっちょう気合を入れていきましょう。
先ほどまでの高速道路のような幅広の尾根が嘘のように、痩せて切れ落ちた岩尾根になりました。
三ッ森北峰の先に続いている尾根も、十二ヶ岳を思わせるようなギザギザの鋸状になっているのが見えます。なかなか通行に難儀しそうな尾根ではありませんか。
鞍部から登り返しは思った通りの急登で、手もフルに使いながら三点支持でよじ登って行く感じです。ロープ等の補助はありませんが、手掛かり足掛かりは豊富にあります。
登りきると、鋸尾根への分岐がありました。鋸みたいな尾根だなあと思っていたら、そのままな名称でした。ここから富岡バス停にエスケープするとこが出来ます。
鋸尾根への分岐を過ぎると、すぐに山頂らしき場所が見えて来ました。見るからに眺めが良さそうで期待が高まります。
14時50分 三ッ森北峰に登頂しました。ほとんど存在そのものが認知されていないであろうマイナーな山ですが、山頂からの眺めは一級品です。
正面にまるで絵に描いたかのごとき松と富士の光景を見ることが出来ます。素晴らしい。
かくも絶景の広がる山が、ほとんど存在自体を知られる事も無しに埋もれてしまっているのは、やはり単純にアクセス難な僻地にあるからなのでしょうか。
大月市や都留市の市街地が良く見えます。三ッ森北峰は上野原市と大月市の境界上にある山なので、大月市制定の秀麗富嶽十二景にノミネートする資格があったはずなのですが、しかし選からは漏れてしまったようです。
比較的近くに雁ヶ腹摺山と姥子山があるから、単に競り負けたのか。それともまさか、選考委員にも存在自体を認識されていなかったとか・・・
三ッ森北峰のシンボル的な存在である、山頂の鏡です。誰がいつ何のために設置したものなのかは一切不明です。割れて半分欠けてしまっていました。
百蔵山の背後に秋山山頂、道志山塊および丹沢山塊が重なる様にして連なっているのが良く見えます。このあたりは勝手知ったる馴染みの山域です。
最後にこれから歩く予定の権現山方面の展望です。中央左奥の山が権現山で、右手前の山は麻生山と言うピークです。この先にまだまだ多くのアップダウンが待ち受けていそうです。
5.権現山を目指して権現山稜を縦走する
三ッ森北峰からは一度勿体ないくらいに標高を落とします。先ほど登って来た大寺山方面程ではありませんが、こちら側もかなりの急勾配です。どこから登ろうとも、鉄壁の布陣の山であると言えそうです。
下ったらすぐに岩場の登り返しです。暗部から鋸のように見えていた辺りに差し掛かったようです。メジャールートだったら間違いなくクサリかロープが垂らされそうなものですが、ここにはそのどちらもありません。
手掛かり足掛かりはしっかりとあるため、特に難しい要素はありません。ただ高度感はそれなりにあります。焦らず慎重に攻略して行きましょう。
駒宮方面への分岐が現れたところで、岩場地帯は終了です。あとはひたすら尾根を歩けば良いだけですが、始めに断っておくと権現山まではまだまだ結構遠いです。
権現山の本体に取り掛かる前に、まずは麻生山を攻略しておきましょう。いつの間にか新緑前線のいる標高を越えていたらしく、辺りは冬枯れのままの殺風景にかわりました。
15時45分 麻生山に登頂しました。先ほどの大寺山と同様に、何があるわけでもないただの通り道と言ったピークです。
麻生山を過ぎて以降は、再び高速道路状態の幅広な尾根道が続きます。登り一辺倒ではなく常に緩やかなアップダウンがありますが、至って歩きやす道ではあります。
道の脇にポツンと仏像が置かれていました。こうしたものが置かれていると言う事は、この尾根上には古くから人の往来があったということです。どこをどう結んでいたのだろうか。
この後も延々と同じような光景の尾根道が続くのですが、読者の皆様を退屈させるのも忍びないのでスパッと省略いたします。
場面は飛んで、浅川峠方面への分岐地点まで歩いて来ました。この先はもう、過去に歩いたことのある領域となります。
既に何度も登ったことがあり今更感もありますが、一応は権現山のピークも踏んで行きます。分岐からは10分少々の距離です。
山頂が見て来ました。思いのほか遠くて、もうすっかり陽が傾いてしまいました。
16時30分 権現山に登頂しました。権現山稜と言う名称の由来であり、山梨百名山にも選ばれている山です。しかしその割には、何故か人気知名度共に今一の不遇な頂きです。
権現山からも富士山がバッチリ見えます。しかし、三ッ森北峰からの展望を見てしまった後からだと、少々見劣りする感があるのは否めません。
この写真の中央付近に見えている尾根上の突起が坪山だと思います。こうして傍から見ると、ただの尾根上のコブか何かにしか見えまないし、実際に歩いている時もそんな感じでした。
恐らくヒカゲツツジが咲いていなかったら、そんなに注目を集めることは無い山だったのでしょうね。
6.浅川バス停からから平日限定の最終バスで撤収する
いい加減日没ゲームセットの時間も近づいてきているので、僅かな滞在時間で山頂を後にします。
浅川峠への分岐地点まで引き返して来ました。ここからは早足気味に怒涛の下山行が始まります。
結構な急勾配の尾根を、ほぼ一直線に下って行きます。急勾配ゆえに、短時間で一気に標高が落ちて行きます。
傾斜がきつくなっているところでは、流石に直進は出来なかったと見えて少し迂回ししつつ下って行きます。踏み跡は明瞭ですが、枯れ葉が堆積している場所は滑りやすく嫌な感じがします。
鞍部に近づくとほぼ並行移動になりますが、こうなってからが結構長いです。既に日は傾いてきており、若干の焦りを感じます。
ヘッドライトはあるので、暗くなったとしても問題ないと言えばないのですが、できることならまだ明るいうちに下ってしまいたいところです。
17時40分 浅川峠まで下って来ました。ここから浅川バス停に下山します。浅川バス停からの最終バスは、土休日は16時19分がラストですが、平日だとその後に18時30分の便があります。
本日は最初からこの平日限定のバスを当て込んで計画を立てました。土休日に同様のルートを辿ろうとした場合は、権現山山頂から用竹方面へ抜けて新井バス停まで歩くか、あるいは扇山を越えて鳥沢駅まで歩くかのどちらかでしょうか。
どちらにしろかなりの長丁場となるので、よほど歩くのが早い人でもない限り、ヘッドライト下山になるのはほぼ確定だと思います。
眼下に、まだ出来て間もなさそうな真新しい砂防堰堤が並んでいました。これだけ厳重に固めると言う事は、もともと土砂災害の多い土地柄なんでしょうね。
林道の終点まで下って来ました。浅川バス停まではまだもうひと道あります。
洒落にならないサイズの落石がゴロゴロと路上に散乱しています。こういう場所にはあまり長居はしない方が良さそうです。足早に通過します。
18時5分 浅川バス停に到着しました。何とかギリギリ、ライトを出す前に下ってこれました。
バス停の周囲には人影もなく静まり返っていました。本当にこの後バスがやって来るのか、少々不安を憶えるような光景です。
そんな不安をよそに、バスはしっかりと時間通りにやって来ました。乗客は私一人だけの安定の貸し切り運行です。
この最終便は途中で奈良子にも寄り道するため、駅までは結構な時間がかかります。
そんな訳で猿橋駅に到着した時には、時刻は19時20分を回っていました。すっかり遅くなってしまいましたな。
平日でもインバウンド需要でそこそこ混雑している鈍行列車に揺られて、帰宅の途に着きました。
坪山でヒカゲツツジ見物をした後のついでくらいに考えていた権現山稜の周回でしたが、蓋を開けてみればまる一日を費やしたガッツリ登山となりました。交通手段が限られている山域であるため、なかなか計画を立てにくいものがありました。
僻地と言ってしまって差し支えない場所であるとは言え、権現山稜の人気の無さ加減については少々怪訝にさえ思えてくるほどで、首都圏近郊の山の中でも穴場だと思います。
いろいろ制限も多くて少々面倒ではありますが、一応は公共交通機関によるアクセスも可能です。喧騒を避けて静かな山行きを楽しみたいと言うもの好きな方は、この穴場の山域に足を運んでみては如何でしょうか。
なおヒカゲツツジが見たいだけの人は、普通にびりゅう館を起点にした周回ルートを歩くことを推奨いたします。
<コースタイム>
学校前バス停(9:45)-坪山(11:50~12:10)-西原峠(13:25)-大寺山(14:10)-三ッ森北峰(14:50~15:10)-麻生山(15:45)-権現山(16:30~16:50)-浅川峠(17:40)-浅川バス停(18:05)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
こんにちは、いつも楽しく拝見しております。一つレポート書いて欲しい山がございまして。中央線沿いにお住まいということで少し遠いのですが和名倉山秩父湖コースを登って欲しいです。西武秩父駅から三峯神社行きのバスに乗れば途中のバス停で行くことが可能です。私も登りました。言葉の言い回しがとても面白いのでレポート見てみたいと感じコメントいたしました。
匿名さま
コメントを頂きましてありがとうございます。
和名倉山はだいぶ以前から登りたい山リストに入っているので、いつか訪問する機会はあると思います。気長にお待ちくださいませ。