金時山 金太郎伝説の残る足柄峠ルートを歩く

足柄峠から見た金時山
神奈川県と静岡県の境界にまたがる金時山(きんときやま)に登りました。
箱根外輪山の上に突き出した側火山です。眺望が良いことから大変人気の高い山で、山頂に至るルートも複数の選択肢が存在します。今回はその中でもクラシックルートと言える、足柄峠越えの道を歩いて来ました。
年の瀬の箱根で、素晴らしき眺望と温泉を満喫してきました。

2019年12月29日に旅す。

 


箱根の山は天下の険♪

2019年最後となる登山は、私の内部では年末の恒例行事となりつつある、箱根に訪問してきました。やはり一年の最後くらいは、ゆったり温泉につかって心身ともにサッパリしたいものです。
箱根湯本の駅前商店街
そして箱根に訪問しておきながら、ただ温泉に浸かるだけという事は基本的にはあり得ません。当然のことながら、温泉には登山がセットでついて来ます。

・・・世間一般ではどうなのか存じませんが、少なくとも私の中では、この両者は常に一つのパッケージとして扱われます。

行き先は無難に、箱根の山の中でも一番人気の天下の秀峰こと、金時山を選びました。手軽に登れてかつ展望雄大な一座です。
金時山の山頂

今回は金太郎伝説が残るクラシックルートである、足柄峠越えのコースを歩いて来ました。JR御殿場線の足柄駅から直接歩いて登るロングルートです。
足柄峠

そこで待ち受けていたのは、台風19号が箱根に及ぼした、想像を上回る破壊の痕跡です。林道は寸断され通行止めとなっており、途中で迂回を余儀なくされました。
崩落した法面

少々雲が多めのお天気であったものの、道中からの眺望は大変すばらしいものがありました。年の瀬の天下の険への訪問記をお届けします。
金太郎ラインから見た富士山

コース
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殿場線の足柄駅より足柄峠を経由して金時山へ登頂します。その後下山は仙石バス停へ。箱根外輪を外から乗り越えて行く行程です。

 

1.金時山登山 アプローチ編 金太郎伝説の地、足柄へ

5時34分 小田急線 新宿駅
ロマンスを介さな男オオツキは、今日もロマンスの無い普通列車で箱根を目指します。そもそもロマンスカーは、こんな早い時間に走ってはおりませんがね。
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7時4分 新松田駅に到着しました。ここから御殿場線に乗り換えます。
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それでは早速、新松田駅訪問時の恒例行事である、天気が良いと富士山が見える窓からの、本日のお天気占いを実施しましょう。
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うーん。見えてはいるけど雲が多めですね。とりあえずは末吉としておきましょうか。
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東海道新幹線でしこたま儲けているくせにケチ臭いJR東海は、未だに御殿場線をICカードに対応させていな・・・といつものようにディスろうとしたら、いつの間にか対応されていました。
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7時23分発の沼津行きに乗車します。そういえば、御殿場線と言うのは沼津まで繋がっているんでしたっけか。丹那トンネルが出来るまで、東海道本線は現在の御殿場線のルートを通っていたのだとか。
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7時50分 足柄駅に到着しました。ちなみに足柄駅と言う駅は二つ存在し、もう一つは小田急線の駅です。同じ名前をしていますが、はるか遠くにあるのでお間違いなきよう。
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駅舎を建て替え工事中らしく、ICカードの読み取り機だけがポツンと置いてありました。
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以前は駅前に割と酷い出来の金太郎像が設置されていたのですが、駅舎と共に撤去されてしまったらしく、見当りませんでした。これはありし日の姿です。
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駅前から、富士山の頭だけがちょこっと見えました。やはりお天気の方はピリッとしないままですね。
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2.迂回路を通って足柄峠を目指す

7時55分 身支度を整えて行動を開始します。まずは踏切を渡って道なりに進みます。
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金太郎こと坂田公時の銅像。金時山山頂までのコースタイムは3時間とありますが、通行止め区間を迂回した影響で、実際にはもっと時間を要しました。
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道なりに舗装路をえっちらおっちらと登って行きます。
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堤防が派手に破壊されていました。台風19号による破壊の爪痕です。あの日箱根には、24時間降水量942ミリという、途方もない量の雨が降り注ぎました。
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振り向けば奴がいる。いい眺めだあ。
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やがて道の舗装が無くなり、全面通行禁止の看板が現れました。この全面と言っているのは車両のことなのか、それとも歩行者を含むのでしょうか。
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事前にハイキングコースの通行止め状況を確認した際には、足柄峠までは通り抜け可能であると案内されていました。なのでこれはきっと車両のことを言っているのでしょう。

と、前向きに解釈してこのまま前進します。まあ仮に道がどこかで崩落していても、ちょっとくらい高巻けば通れるでしょう。

沢沿いに続く、見るからに土砂災害には弱そうな地形の道です。今のところ、大規模な破壊の痕跡は見て取れません。
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「この先本当に通れません」とか脅されると、少々不安になってきます。私のような通行止めを信じない人が、それだけたくさんいると言う事でしょうか。
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今ではただの林道の様な見た目をしていますが、このルートは足柄古道と呼ばれている非常に古い道です。東海道が整備される以前の時代には、ここから箱根を越えていました。
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道から少し脇にそれたところに、金太郎伝説ゆかりの「頼光対面の滝」なるものがあると言うので、見に行ってみましょう。
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・・・道が跡形もなくなっております。まったく台風19号の奴は、ずいぶんと派手にやってくれましたな。
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下までは行けないのでズームで一枚。まあなんと言うか、極めて普通の滝です。
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特に崩壊現場に出くわすこともなく、今のところ路面の状況は至って平穏です。
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まるで奥多摩のような杉の植林が続きます。光が一切差し込まない谷底であるため、何とも寒々しい光景です。
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ここで、山と高原地図には記載の無い分岐が現れました。
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まっすぐ進むと、今度こそ本当に通行止めとなるようです。ここから虎御前古道と呼ばれる方面に迂回します。
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迂回可能とは言うものの、こちらの道も荒れ放題です。誰がいつ設置したともしれない先ほどの道標を、本当に信じてよいものかと少々不安になってくる光景です。
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取って付けたかのような迂回路を進みます。最近整備したばかりらしく、十分に踏み固められていない地面は柔らかくて、歩きにくい事この上ありません。
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薄っすらと踏み跡の様なものがあるにはありますが、極めて分かりにくい道なので慎重に行きましょう。
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やがて頭上を横切る舗装路が見えて来ました。やれやれ、やっとこの心許ない迂回路が終わりですかな。
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無事に車道にでました。静岡県道365号、足柄峠線です。通称、金太郎ふじみラインと呼ばれている道です。
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ほんの少し歩いたところで県境をまたぎ、神奈川県に入ります。道はこの先の足柄峠までずっと、県境のラインに沿って続いています。
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通行止め箇所までやって来ました。本来であれば、ここへ登って来るはずだった場所です。迂回したことにより、思いのほか時間を要しました。
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振り返るとこの絶景です。富士裾野に広がっている市街地は御殿場市です。
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この横に長い山並みは三国山稜です。この尾根を越えた先には山梨県の山中湖村があります。
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峠に向かってひたすら上ります。交通量が意外と多いので、事故にはお気をつけ下さい。
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それにしても坂田公時さんは大人気ですね。実は具体的に何をした人なのか、イマイチ良く知りません。ただクマと相撲をとったと言うだけの人ではないんですよね?
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沿道にはお地蔵様などもあって、古くから人の往来のある場所であることが伺えます。
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やがて前方に峠が見えて来ました。
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9時50分 足柄峠に到着しました。
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現在の国道一号線に相当するルート上に東海道が整備されて以降も、ここは東海道を補完するバイパス線として重要な交通の要所であり続け、江戸時代には関所も置かれていました。

現在では観光客くらいしか訪れる者はいない、至って静かな場所です。

かつては砦があったと言う高台があったので登ってみます。主郭があったであろう空間には特に遺構は残っておらず、芝生の広場が広がっていました。
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南には、これから目指す金時の山の姿が見えました。山頂付近が薄っすらと白くなっているのが何となく見えます。どうやら少し積雪があるようです。
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富士山は頭だけが見えました。
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風をしのげそうな東屋があったので、少し早いけれどここで昼食休憩を取りました。

 

3.金時山登山 登頂編 長々と続く尾根歩きと、山頂直下の無慈悲なる急登

10時10分 金時山に向かって行動を再開します。
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足柄峠から金時山の山頂の直下まで、ずっと車道歩きが続きます。この足柄峠越えのルートは、全行程の大半が車道歩きとなってしまうのが難点と言えば難点です。
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このほぼ水平移動が意外と長いです。眺望もあまりなく単調で、少しダレてきます。
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ほぼすべての道標上に立つする坂田公時。手に持っていたマサカリは、折れてしまっているようです。
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目指す金時山の姿が、徐々に大きくなってきました。
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やがてゲートが現れました。マイカーでお越しの人は、ここまでは車で入れます。途中にダートがあるので、最低地上高の高い車以外での訪問はオススメしません。
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登山道上に、チラホラと雪の姿が目につき始めました。凍結はしていないので、アイゼンの出番はなさそうです。
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11時 不意に前方の視界が開けた場所へと辿り着きました。猪鼻砦跡と呼ばれる場所です。
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かつてはこの場所に、足柄城の出城があったようですね。
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ベンチがあって、眺望もそこそこ良い場所です。だいぶ雲が増えて来てしまいましたね。
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猪鼻砦跡から金時山山頂までは、標準コースタイムで40分の行程となります。
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一見するとそんなにはかかりそうにないくらい近くに見えますが、しっかりと40分くらいはかかります。理由は・・・まあ行けばわかります。

金時山本体へ取り付きます。ここからは最後まで急登一辺倒の道が続きます。気合を入れて行きましょう。
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登山道のすぐ脇に索道がありました。山頂にある茶屋の荷揚げ用でしょうかね。
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金太郎が帽子付きなっていました。誰か個人が手作りして持ってきているんでしょうかね。
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鳥居を過ぎたところから、いよいよ金時山がその本性をあらわにします。
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エグイ傾斜度の急登が始まります。手をフルに使わないと登れない道です。
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こんな高度感満載な場所もあります。急登がゆえに、道中からの眺めは良好です。
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眼下に、足柄峠からここまで延々と歩いていた道のりが見えました。
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無慈悲な登りはなおも続く。手すり付き階段があるおかげで危険こそありませんが、なかなエグイ道です。
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ディーゼル発電機の音が聞こえてきたところで、茶屋の裏手にひょっこりと飛び出しました。
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11時35分 金時山に登頂しました。足柄駅を出発してから、実に3時間40分をかけての登頂です。正面にあるはずの富士山は、いつの間にかすっかり雲隠れしてしまいました。
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山頂の様子
そこそこの広さがあり、茶屋が二件あります。神奈川県の標識と静岡県の標識が、競い合うかのように別々に立っていました。
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山頂からは、箱根の中心部を一望できます。お天気の方がイマイチ風味ですね。
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こちらは箱根最高地点である神山(1,438m)です。手間の白い煙がたなびいている場所が大涌谷です。
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外輪山の先には、かすかに駿河湾が見えました。
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こちらは乙女峠方面、箱根をグルっと取り囲む外輪山の山並みです。右後方には愛鷹山(1,504m)の姿が見えます。
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ちなみに金時山は、しれっと外輪山の一部であるかの様な顔をしていますが、実際には後から生えてきた別の火山であったりします。

 

4.金時山登山 下山編 公時神社を経由し仙石原へ下山

12時 山頂を辞去し下山を開始します。足柄峠方面ほどではないものの、こちらも結構な急坂す。
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時より開ける眺望はこの通りたいへん素晴らしいです。箱根そのものが、巨大カルデラの只中にあるのだという事が、大変よくわかる光景です。
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日の当たる南側の斜面に雪は残っておらず、恐ろしく滑るドロドロの地面が続いていました。
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分岐地点まで下りて来ました。どちらへ進んでも下山できますが、本日は公時神社方面へ下ります。
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お隣の明神ヶ岳へと続く稜線が見えました。あそこまで縦走するのも大変心惹かれるプランではありますが、本日はこの後の天気予報が下り坂であるためで、おとなしく下山します。
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程なく眺望のない樹林帯に突入しました。この後はもう消化試合のようなものです。
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道中に金時宿り岩と呼ばれる、真っ二つに割れた大岩があります。坂田公時が、マサカリでカチ割ったと言う伝説の残る岩ですね。(←違います。そんな伝承はありません
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綺麗にパックリと割れておりますね。坂田公時は大地斬をマスターしていたのでしょうか。(←だから違います
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とりあえず定番のお遊びである、正拳大岩割をブチかましておく。チェストー。
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ここで一度車道を横断しますが、まだゴールではありません。
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車道を横切る少し手前の場所に、公時神社奥の院を称するただの岩があります。ええ、本当にただの岩です。
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ちなみにこの岩には、裏側から登ることが出来ます。岩の上には巨大マサカリが置いてありました。これが、先ほどの金時宿り岩を割った伝説のマサカリなのでしょうか。(←だから違うってば
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ここまで来れば、ゴールまではもうあと一息です。この時点で既に私の頭の中は温泉モードへと切り替わっており、はやる気持ちを抑えながら足早に下ります。
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やがて鳥居が見えて来ました。
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13時10分 公時神社に到着しました。金時神社と表記されている場合もあって、どちらが正しい名称なのかイマイチよくわかりません。その名の通り、坂田公時を祭った神社です。
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ここにもマサカリのモニュメントがありました。やはり、金太郎と言えばマサカリなのか。
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何故かケージから出され、放し飼いにされている鶏の大群がいました。そのまま脱走したりはしないのでしょうか。
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鶏冠が平たい種ですね。烏骨鶏(うこっけい)でしょうか。
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国道まで下って来ました。この道はつい五日前まで、台風19号による土砂崩落の影響で通行止めになっていました。仮設橋が設置されたことにより、現在は全線が通行可能です。
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神社から少し歩いたところに、金時山登山口バス停があります。しかし、このバス亭を通る路線は本数が非常に少ないので、この先にある仙石原バス停まで歩きます。
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バス停から見上げた金時山は、外輪の外から眺めた時ほどには尖っておらず、至って穏やかな稜線を引いているように見えます。実際、こちらから登る分には、さしたる苦労もなく登れます。
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神社から延々と30分ほど歩き続け、仙石原まで歩いて来ました。あとは湯本付近で適当に温泉を見繕って、ひと風呂浴びて帰るだけです。
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5.湯元温泉で今年一年の垢を洗い流す

さしたる待ち時間もなくバスはやって来ましたが、始めから超満員でした。何とかスペースを作ってもらい乗り込みます。
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バスと並走する箱根登山鉄道の方は、これまた台風19号による土砂崩落の影響で、現在もなお運休中です。結果として乗客が全てバスに集中し、大混雑を引き起こしていました。

それから約一時間後。何故か私は早川を眺めながら、国道をトボトボと歩いて下っていました。
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何故こうなったのかご説明しましょう。満員の乗客を乗せて走りだしたバスは、宮ノ下を過ぎたあたりから渋滞にはまり、ほとんど動かなくなってしまいました。

最初の内は我慢していたものの、決壊の危険をしきりに訴えかける膀胱からの圧力に屈し、途中下車した次第であります。

まあ、湯本まではもうあとせいぜい2~3kmほどの距離なので、このまま歩いて下ります。

途中にあった日帰り入浴施設の和泉に立ち寄ります。箱根の中でも最古と言われる源泉の湯を用いている施設です。
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入浴料は1,250円と少々お高めの箱根プライスです。まあ、こればかりはどうにもなりませんね。

その後は、意味もなく早川を眺め、箱根に来たのだと言う旅情を存分に味わいました.
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駅前の商店街で、年越し用に箱根蕎麦を購入して撤収します。ここで蕎麦を買うのもまた、毎年の恒例行事と化している感があります。
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行きと同様にロマンスの無い普通列車に乗り込み、帰宅の途につきました。
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恒例行事の、年の瀬の箱根訪問はこれにて終了です。
足柄峠を越えて行く金時山は、なかなかどうして歩き応えのある道のりでありました。行程の大半が車道歩きとなってしまうのが難点ではありますが、道中からの眺めも申し分なく、歩いていて楽しい良ルートだと思います。
箱根温泉につかりに行く際には、古の街道ロマンが詰まったこの峠越えの道を歩いてみてはいかがでしょうか。心地よい疲労と達成感の内に、ゆったりと風呂につかれることは保証します。

<コースタイム>
足柄駅(7:55)-足柄峠(9:50~10:10)-猪鼻砦跡(11:00)-金時山(11:35~12:00)-公時神社(13:10)-仙石原バス停(13:40)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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