日光白根山 奥日光にそびえ立つ関東地方最高峰

丸沼高原ロープウェイ山頂駅から見た日光白根山
栃木県日光市と群馬県片品村にまたがる日光白根山(にっこうしらねさん)に登りました。
標高2,578メートルの関東地方最高峰です。日光の最も奥まった位置に立地するこの山、都内発で公共交通機関のみを利用して日帰り登山をしようと思うと、なかなかタイトなスケジュールとなります。
鈍行列車で行く慌しい遠征登山をして来ました。

2016年7月23日に旅す。

今回は世界遺産の町日光の最も奥地に鎮座する名峰、日光白根山に登ります。

関東地方最高峰のタイトルを保持する高峰です。日本国内には、この山より北に標高2,500メートルを越える山は存在しません。
男体山からみた白根山
以前に、男体山へ登った際、山頂からまだ雪を被っている白根山の姿を見て、なんとなく「今度はあそこに登ろう」と心中に期しておりました。今回、ようやくその日が訪れたという訳です。

コース
日光白根山のコースマップ
丸沼高原スキー場より、ロープウェイを使って標高2,000メートル地点の山頂駅からスタートします。山頂駅から白根山へ登頂し、五色沼を経由してへ日光湯元へと下る。標準コースタイム6時間20分ほどの山行きです。

1.日光白根山 アプローチ編 ロープウェイを使って標高2,000メートルの世界へ

8時30 東武日光駅
自宅からおよそ3時間半をかけてやってきました。男体山に登った時と同様に、特急には乗らず快速電車の利用です。(
東武日光駅のバスターミナル
別に特急券代をケチっているわけであません。騒音の問題なのか何なのかは知りませんが、JRも東武も早朝に特急を走らせてくれないのです。

2017年4月のダイヤ改定で快速電車は無くなった模様。

10時 東武日光駅からバスに揺られることおよそ1時間30分で、終点の日光湯元に到着です。ここまで運賃は1,700円と結構なお値段がします。
日光湯元のバスターミナル
都内から東武日光までの電車賃は、特急に乗らなければ2,000円以下に収まります。走行距離の長さを考えればかなりお安いと言えるでしょう。

その代わりと言ってはなんですが、日光エリアにおける東武バスの運賃はお高めです。この価格設定は、客を安く懐(日光)に誘き寄せておいておいて、あとからゆっくりと搾り取ってやろうと言う、東武グループの深慮遠謀によるものなのでしょう。

湯元から丸沼高原までは無料のシャトルバスが運行されています。正面に写っている水色のマイクロバスがそうです。
日光湯元ー丸沼高原のシャトルバス
丸沼高原まで回りこまずに、日光湯元から直接白根山に登ることも可能です。ただし、湯元から白根山頂までの往復コースタイムは、10時過ぎにスタートして日帰するには少々厳しい長さです。

ここから歩きたい人は湯元温泉に前泊するのが良いでしょう。

バスの車窓から男体山が見えました。
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丸沼高原までの所要時間はおよそ30分ほどです。距離の割りに所要時間が短めなのが気になっていましたが、乗ってみて納得です。このバス、めちゃくちゃ飛ばします。

10時30分 丸沼高原スキー場に到着しました。
丸沼高原スキー場のセンターハウス
10年以上前にスキーに訪れたことがありますが、あまり良く覚えていません。当時は奥にある山が白根山なのだという認識も無かったような気がします。

ゲレンデには人口芝のようなものが敷き詰められていて、夏でも滑走が出来るようです。転んだら火傷するんじゃないかな・・・・
夏の丸沼高原スキー場

ロープウェイに乗り込みます。湯元に抜けるつもりでいるので片道切符です。料金は1,100円でした。
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正面に白根山の山頂部がお目見えです。見事なまでに「山」の字の形をしておりますな。
丸沼高原ロープウェイから見た白根山

眼下に次々と雲が沸き立って行き、なかなか壮観です。
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山頂駅までの所要時間15分ほどです。このロープウェイと言う偉大なる文明の力によって、いともたやすく標高2,000メートル地点に降り立つことが出来ます。
丸沼高原ロープウェイ

10時50分 丸沼高原ロープウェイ山頂駅に到着しました。あと一時間もすれば正午になるという時間になって、ようやく登山を開始できます。遠いですね白根山。
丸沼高原ロープウェイの山頂駅
レストハウスで白根山の山バッジが買えます。バッジコレクターの方は忘れずに立ち寄りましょう。

無料の足湯などもあります。日光白根山は現役の活火山であり、当然ながら付近には温泉が豊富に湧出しています。ピストンするのならば、帰りに立ち寄ると良いでしょう。
丸沼高原スキー場 天空の足湯

ロープウェイ山頂駅付近は庭園風に整備されていました。ここは登山をせずに観光だけを目的に訪れる人もいる場所です。
夏の丸沼高原スキー場山頂駅

ロープウェイが2,000メートル地点まで運んでくれたため、山頂までの標高差は600メートルにも満たない高さしかありません。実にお手軽な登山と言えるでしょう。
日光白根山の山頂部

2.日光白根山 登頂編 血の池地獄を乗り越え、関東地方最高地点を目指す

鳥居を潜って登山開始です。
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ここにも二荒山神社がありました。二荒山神社といえば、東照宮の奥にある本宮や中禅寺湖畔にある中宮が有名です。これは何宮なんですかね?
160723日光白根山_017なんでも日光と呼ばれる地域のほぼ全体が、二荒山神社の境内なのだとか。

鹿除けのゲートがありました。
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登り始めはほぼ平坦な道です。コメツガとダケカンバの原生林の中を進んで行きます。
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10分ほど歩くと最初のチェックポイントである不動岩が現れました。
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まあ、確かに動きはしないでしょうねえ。・・・イヤそういう意味ではなく、不動明王を祭っているのでしょうと、セルフ突っ込みを入れておく。
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見上げるような高さです。一目で溶岩と分る岩肌をしています。どの辺がお不動様なのでしょう。
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11時10分 分岐地点に出ました。ここまではずっと平坦な道です。
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血ノ池獄なるオドロオドロしい案内があるので、寄り道してみることにしました。
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これが血ノ池地獄である。
・・・ただの汚い水たまりにしか見えませんが、きっとこれが地獄の入り口なのでしょう。
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正直わざわざ見に来るほどの価値は無いですね。山頂を目指しているのなら無視して真っ直ぐ進むのが良いでしょう。
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引き返して元のルートに復帰します。
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これが地図上にも記載のある大日如来像ですかね。この像を脇を過ぎるあたりから本格的な登りが始まります。
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振り返ってみるロープウェイ山頂駅です。大分雲が沸いて来てしまっています。やはり正午近くの時間ともなると、どうしても雲が上がって来てしまいますね。
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地図上では一本道なハズなのに、脇道へと続く踏み跡があり一瞬うろたえました。バリエーションルートかなにかでしょうか。
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樹林帯の道は全般的にしっとりとウェットな空気をしており、湿気を好むカニコウモリやコケの一族が大いに繁茂していました。
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白根山は初夏の割と遅い時期まで雪が残る山なので、それだけ雪解け水が豊富に存在するのでしょう。
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登山道から見えているこちらの立派な山は錫ヶ岳(2,388m)です。一般登山道が存在しない非常にマニアックな山ですが、前白根から尾根沿いに歩いていくことが可能なようです。
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背の高い木が段々少なくなって来ました。森林限界が近い。
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山頂部が視界に入りました。いかにも火山らしい、ゴツゴツした岩がむき出しになっている姿をしています。
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森林限界を超えて、草原の広がる一帯に出ました。今回は時期的に少し遅かったようですが、雪解けの直後にここは一面のお花畑となるのだそうです。
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一目で溶岩だとわかる大岩です。これはかつての噴石の跡なのでしょうか。
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登山道脇に咲いていたハクサンフウロです。比較的花期の長い花なので、チラホラと残ってくれていました。
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ガスが近くまで迫ってきました。白根山頂は関東地方有数の展望スポットそして知られています。ガスに巻かれたらそれが台無しになってしまう。
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見ている目の前で、瞬く間に雲が立ち上って行きます。
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無常にも、山頂到達前にガスに飲まれてしまいました。なんてこったい。血ノ池地獄になんかに寄り道しなければ良かった・・・
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噴火口跡らしき場所にでました。白根山の山頂にはこのような小さな噴火口跡がいくつもに存在し、なんと言うか非常にデコボコした地形をしています。
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頭上はまだ晴れているんですけれどねえ。
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デコボコすぎて、どこが最高地点なのか良くわかりません。山頂を探してウロウロするという珍しい体験をしました。
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12時35分 白根山に登頂しました。さあ、これが関東地方有数の大展望だ(涙)
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白根山はすっかりガス根山と化してしまいました。残念!

白根山山頂から火口湖の五色沼が少しだけ見えました。見事なコバルトブルーの湖水を湛えています。
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ちなみに、白根山に登ったのはポケモンGOが配信開始されたちょうど翌日です。この日、山頂の至るところでスマートフォンを片手にウロウロしている人を見かけました。
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言うまでもないことですが、山の中で余所見をして歩く行為は非常に危険です。というか、歩きスマホは山の中でなくても危険です。歩きスマホ。略してアホですぞ。

少し離れた場所から見た山頂部の様子です。非常にゴツゴツしています。
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3.火口跡に広がる神秘の五色沼

五色沼経由で湯元へ向かって下山を開始します。まずは五色沼の湖畔まで下っていきます。
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真正面に日光男体山が見えるはずの場所ですが、見えるのは一面のシルキーな空ばかりです。ぐぎぎぎ。
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砂礫の斜面を一気に下ります。かなりの急勾配でした。
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鹿がいました。入り口にあった鹿除けのゲートはあまり役には立っていないようですね。
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谷底まで下ってきました。ここから五色沼方向に向かいます。
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この谷底に避難小屋があります。白根山の山中には有人の山小屋やテントを張れるキャンプ指定地は存在しません。一泊したければここに泊まるしかない訳です。聞いた話ではネズミが出るらしいですが・・・
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所々にクルマユリが咲いてました。少々毒側しいというか、かなり押し出しの強い色合いの花ですよね。
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ガマガエル。突然茂みの中で物音がしたので驚きました。
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13時50分 五色沼に到着しました。とても標高2000メートル以上の場所にあるとは思えないような水辺の光景が広がっていました。
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この場所は周囲が山に囲まれているため、非常に高い音響効果が得られます。「ヤッホー」が大いに捗ることでしょう。

湖面の様子です。透き通っていて綺麗な水です。周囲からの湧水が流れ込んでいるのでしょうか。
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水深が深くなっている場所を境に、色の層が出来て見えます。残念ながら五色には見えませんが。。。二色沼ですね。

湖畔から望む白根山。風の無い日であれば、ここから見事な逆さ白根を見ることが出来るそうです。この日はご覧の通り、風で湖面がゆれてしまって駄目でした。
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五色沼から前白根に向かって登り返します。
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途中に水場がありました。水量は豊富です。
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この日は蒸し暑くてすでにかなりの水を消費していたので、ここで水を1Lほど調達しました。
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斜面を登りきると稜線に出ます。稜線はすっかりガスに覆われていました。
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ああ忌々しい。

目指す前白根もガスの中です。
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高山植物の女王の異名をもつコマクサが咲いていました。コマクサといえばピンク色のイメージがありますが、これは赤味の強い固体です。
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一瞬ガスが晴れて五色沼が見えました。晴れていたらさぞや凄い絶景であろうことが容易に想像できるだけに、口惜しさも一入です。
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14時40分 前白根に登頂しました。本来は白根山と五色沼を一望できる好展望地である場所ですが、見えるものと言えば見渡す限り一面の真っ白な世界です。
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中禅寺湖方面もこの通り一面真っ白です。晴れていれば正面に男体山が見えるはずなんですがね。
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4.日光白根山 下山編 湯元へ続く荒れ果てた長き下山路

後はもう下るだけです。まあ、この下りが非常に長いのですけれどね。
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行きと同様に、ダケカンバの森の中を下って行きます。始めはずっと尾根沿いです。
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下山の途中に天狗平と呼ばれる平坦地があります。休憩スポットのようですが、ベンチ等は何もありません。
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このルートは全般的に荒れ気味です。無駄に長い道なので、今では余り使われてはいないようです。
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途中から尾根筋を外れて谷底へ急降下が始まります。恐怖心を感じるくらいの急勾配です。
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急坂を下リ続けることおよそ50分で、湯元スキー場のゲレンデが見えてきました。
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ゲレンデに沿って下ります。ゲレンデに一面に花が咲き誇り、ウィンドウズのデスクトップ背景にでも出来そうな光景が広がっていました。
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正面に湯の湖が見えてきました。ゴールはもう目の前です。
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湯本スキー場のゲレンデは、夏にオートキャンプ場として開放されています。ここへ下ってくる登山者はあまりいないらしく、キャンパーたちに物珍しそうな視線を向けられました。
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16時35分 日光湯元スキー場に下山しました。行きはロープウェイで楽をした分だけ、下山の方がずっと長い行程でした。
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せっかく湯元まで来たのだから、下山後は当然温泉に浸かりますよ。湯元温泉には、日帰り入浴を受け付けてくれる施設が複数存在します。本日は比較的空いていたこちらのゆの香にしました。
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日帰り入浴は700円でした。温泉観光地にしては比較的リーズナブルな価格設定です。私がこれまでに経験したことのある温泉の中でも、最も強烈な硫黄臭のするお湯でした。硫黄泉好きにはたまりません。

17時50分発の日光駅行きバスに乗って、再び長い長い帰宅の途につきました。
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今回の山行きは、山頂からの展望が若干残念な感じではありましたが、火山ならでは荒々しい山頂部や、火口湖の五色沼の絶景など、白根山の魅力の一旦を十分に楽しむことが出来ました。
都内からの公共交通機関利用でも何とか日帰りはできましたが、時間的には全く余裕がありませんでした。登り始める時間が遅くなってしまうと、やはり雲が湧き易くなって来るため、展望と言う意味でもイマイチな結果です。
白根山を十二分に味わい尽くすには、日光湯元に前泊して早朝から登るのが良いように思います。晴れている日に、ぜひとも再訪したい山です。

<コースタイム>
丸沼高原ロープウェイ山頂駅(10:50)-大日如来像(11:30)-白根山(12:35~13:00)-五色沼避難小屋(13:40)-五色沼(13:50~14:00)-前白根(14:40)-日光湯元スキー場(16:35)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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