地蔵岳-夕日岳-薬師岳 アカヤシオツツジが咲き誇る禅頂行者道を行く

薬師岳から見た夕日岳
栃木県鹿沼市にある夕日岳(ゆうひだけ)および鹿沼市と日光市にまたがる地蔵岳(じぞうだけ)と薬師岳(やくしだけ)に登りました。
何れも日光山地の前衛部に位置している山並みで、尾根上に禅頂行者道と呼ばれるかつての修験道があります。日光周辺と比べると普段は人影も疎らな静かな山域ですが、アカヤシオの咲くシーズンには多くの登山者で賑わいを見せます。
満開に咲き誇るアカヤシオに彩どられた、修験の道を巡って来ました。

2023年4月22日に旅す。

栃木県鹿沼市にある古刹、古峯神社(ふるみねじんじゃ)は、今からおよそ1,300年前に創建されたという歴史ある神社です。日光山信仰の祖である勝道上人は、古峯ヶ原で3年間の修行を行った後に男体山に登ったと伝えられています。
古峯神社の鳥居
この古峯神社から山を越え男体山の麓に至る道は、禅頂行者道(ぜんちょうぎょうじゃみち)と呼ばれています。かつて日光山信仰の信徒たちが歩いた修験の道です。

今回はこの禅頂行者道を歩いて来ました。お目当ては見頃を迎えたアカヤシオ群生地です。登山の対象としては比較的マイナーなエリアであろうかと思いますが、アカヤシオシーズン限定でそこそこの賑わいを見せます。
夕日岳のアカヤシオ群生地
訪問のタイミングは完璧で、稜線上にはこぼれんばかりのアカヤシオが咲き乱れていました。

修験の道であったと言う事実から察せられる通り、禅頂行者道は決して容易な道ではありません。小刻みにアップダウンを繰り返すなかなか険路で、累計の標高差は1,600メートルを越えます。
茶ノ木平から見た男体山
登り返しにすっかりと打ちのめされてヘロヘロになりつつ、日光山地前衛の山々を巡って来た一日の記録です。

コース
禅頂行者道のコースマップ
古峯神社からスタートして、禅頂行者道を辿り地蔵岳、夕日岳および薬師岳の3座を巡ります。その後は細尾峠を越えて、中禅寺湖畔まで歩きます。

日光山地前衛の修験道を辿る行程です。

1.禅頂行者道 アプローチ編 贅沢に新幹線で行く鹿沼への旅路

5時50分 JR東京駅
日光方面へ行くときは大抵東武線の普通列車を利用するドケチハイカーのオオツキですが、本日は珍しく新幹線によるアプローチです。贅沢がしたわけではありません。新幹線でないと、この先のバスへの乗り継ぎが間に合わないのです。
早朝の東京駅新幹線ホーム

初手からいきなり高くつきましたが、されど得られた快適さはプライスレス。朝一番のやまびこ号は至って空いており、自由席でも全然余裕で座れます。
東北新幹線の車内

6時53分 宇都宮駅に到着しました。宇都宮へ出るのに新幹線を使ったのは初めてのことかもしれない。確かに素晴らしい速さではあるのですが、運賃は東武線を使った場合の3倍強です。
宇都宮駅の新幹線ホーム

宇都宮駅で日光線に乗り換えます。外国人観光客の利用者が多い事を意識してか、案内板からしてこじゃれたデザインです。
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よくよく考えてみると、JR日光線に乗車すること自体が始めてのことかもしれません。なんとなく日光というのは、大東武グループのテリトリーであると言うイメージが強いものですから。
宇都宮駅の日光線ホーム

7時15分 鹿沼駅に到着しました。少し離れた位置に、東武日光線の新鹿沼と言う駅もあります。古峯神社行きのバスは、JRと東武両方の駅前を通ります。
JR鹿沼駅

こじんまりとした可愛らしい駅舎です。鹿沼市は基本的に自動車社会で、駅があるのは市の中心からは少し外れた閑静な場所です。
JR鹿沼駅の駅舎

松尾芭蕉が奥の細道の道中で鹿沼に一泊しており、その縁により駅前に木造が飾られていました。何でもこの木造、直径80㎝の鹿沼産杉からチェーンソーを使って掘り抜いたのだとか。
鹿沼駅前の松尾芭蕉木像

宇都宮と言えば餃子が有名ですが、鹿沼はシュウマイの発祥の地であるとの事で、シウマイ像なるものも飾られていました。・・・どうでしょう。シュウマイに見えますかね?
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7時25分発の古峯原線行きのバスに乗車します。やたらと年季の入ったオンボロ車両ですな。リーバスと飛ばれている鹿沼市の市営バス路線です。
JR鹿沼駅前のバス乗り場
この時間のバスに間に合いたいがために新幹線を利用した次第です。この次の便は9時5分発で、現地への到着は10時すぎになってしまいます。

禅頂行者道はコースタイムが長めのルートなので、この朝一の便に乗れないと踏破は難しいと思います。

2.鹿沼の古刹、古峯ヶ原古峯神社

バスは関東一の清流の呼び声が高い大芦川に沿って遡って行きます。
鹿沼市 大芦川
終点の古峯神社までの乗車時間はおよそ1時間と、なかなかの長丁場です。ギシギシと音を立てて軋むオンボロバスに揺られた、旅情感があふれる行程です。

8時23分 古峯神社バス停に到着しました。ここまでの運賃は650円です。交通系ICカードには対応してないので、小銭を用意しておきましょう。
古峯神社バス停

山登りを始める前に、まずは参拝をしておきましょう。古峯神社の正確な創建年次は不明ですが、伝承によればおよそ1,300年前とされています。
古峯神社の鳥居
まだ朝早いためか営業はしていませんでしたが、周囲には土産物店やお食事処などが軒を連ねています。ちょっとした観光地の様相です。

茅葺き屋根のいかにも歴史を感じさせる社殿です。日本武尊を祀っており、火伏(火防)の神として信仰されています。古峯信仰は主に東日本を中心とした勢力で、近隣の各地に古峯講が存在します。
古峯神社の社殿

古峯神社は首都圏在住のハイカーにはすっかりお馴染みの、関東ふれあいの道にも組み込まれています。見慣れたデザインの案内板が立っていました。
関東ふれあいの道 高原と牧場のみち

3.荒れ放題の林道を越えてハガタテ平を目指す

8時40分 身支度を整えて行動を開始します。禅頂行者道は、古峯神社から道なりにさらに少し先へと進んだ地点にあります。
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ヤマツツジがもう花を咲かせ始めつつありました。まだ4月中だと言うのに、2023年は本当に花の開花ペースが早い。
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ミツバツツジも負けじと花を咲かせていました。本日のお目当てであるアカヤシオは、街中には咲いていません。群生地があるのは山のもっと上の方です。
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程なく進行方向の右手にゲートでふさがれた林道の入口が現れました。一般車両の通行は禁止ですが、徒歩での通り抜けは可能です。ここから山中へと入って行きます。
原向・古峯原林道の入口

地蔵岳と書かれた案内もしっかりとありました。本日歩く禅頂行者道上にある最初の一座です。
地蔵岳と書かれた道標

この原向古峯原林道は未舗装の砂利道ですが、関係者の車の往来もあるらしく、今のところは路盤もしっかりとしています
原向古峯原林道

沿道にマメザクラがチラホラと咲いていました。もう既に散り始めており、葉桜になりつつありました。
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古峯神社を出発して50分ほど歩いたとろで、林道の終点らしい広場までやって来ました。ここからようやく登山道が始まります。
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と思ったら、林道はまだ続いていました。しかし、ここから先は砂利舗装すらされておらず、道はデコボコで穴だらけの状態です。この路面状態では恐らく軽トラでも走行は不可能で、ブルドーザー以外は進入不能でしょうな。
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この作りかけらしい林道は、山と高原地図に林道終点と書かれている地点よりもずっと奥まで続いていました。かつての登山道はこの道に完全に呑み込まれたらしく、すでに跡形もありません。
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分岐地点には案内も何もなく、どちらに進めばよいのかよくわかりません。ちなみにここは、左に進むのが正解です。

地図を見るかぎり、潰されてしまったかつての登山道はずっと谷筋に続いていたようです。であるならば、ともかく谷の奥へ進み続けるしかない訳なのですが、すぐに行き止まりにぶつかってしまいました。
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少し引き返してここから左に入るのが正解である様です。指導標の一つでも立ててくれれば良さそうなものですが、何の案内もありません。禅頂行者道を歩く人はよほど少ないのでしょうか。
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さっくり言うと、右方向の沢沿いに下ってゆく道も、反対に左方向に進路が反転してしまう道もすべて不正解です。真ん中の、谷の奥へと続いている道を辿るのが正解です。

分岐だらけでかなりわかり辛いですが、ともかく谷筋からは外れなさそうな道を選んで奥へと進んで行きます。

谷が大きく二股に分かれる地点へとやって来ました。最終的にどこを目指しているのかは不明ですが、林道の本線はここで谷の右側へに大きくターンします。
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二股に分かれた沢のちょうど真ん中に、かなり強引な感じのする踏跡とピンクテープの目印がありました。どうやらここから取りつけと言う事のようです。
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「本当にここであってるの?」と若干半信半疑ではありましたが、ともかくよじ登ります。

感じるぞ!踏跡の気配を。ここまでだいぶ迷いましたが、なんとか正規の登山ルートに乗ることが出来たようです。
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苔生した沢沿いを行く、とて雰囲気の良い道です。林道に好き放題に蹂躙される以前にあった登山道も、ずっとこんな感じの道たっだたのでしょうか。失われてしまったのは大変残念な事です。
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道の周囲がコバイケイソウの群生地となっていました。今はまだまだ開花シーズンには早く、新芽が芽吹いたばかりの状態です。
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この周囲一帯はちょっとした湿地帯となっており、至る所から水が染み出してこうした小さな水流を作っていました。なんと言ったらよいのか、隠された秘密の場所感があってとても良い雰囲気です。
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湿地帯を抜けると、周囲は再びまるで奥多摩のような薄暗い杉の植林となりました。
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ようやく前方に稜線が見えて来ました。
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10時30分 ハガタテ平まで登って来ました。これで禅頂行者道のメインルートに乗ったことになります。この先は基本的に最後までずっと尾根沿いの道となります。
ハガタテ平

4.地蔵岳を越えて三ツ目の分岐へ

地蔵岳への登りが始まります。なかなかの急峻な山容をしており、直登はせずに右側から回り込みます。
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ここでようやく、本日のアカヤシオ様第一号を発見しました。ありがたやー。地蔵岳の周辺はまだまだ序の口と言ったところで、本命はこの先の夕日岳周辺です。
地蔵岳のアカヤシオ

とりあえず訪問の時期としては間違い無かった事はわかりました。夕日岳の群生地への思いを馳せて、今はともかく前へ進みましょう。
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道の脇にポツンとお地蔵様がいらっしゃいました。これが。地蔵岳と言う山名の由来になっているお地蔵様なのでしょうか。
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山頂が見えて来ました。ここまで登って来てようやく、この日はじめてとなる他の登山者の姿を見かけました。
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11時5分 地蔵岳に登頂しました。ここは特に展望もなく、禅頂行者道の入口に立ちふさがる門兵と言ったところです。
地蔵岳の山頂

左奥に男体山らしき山が見えます。本日は中禅寺湖まで歩く予定であるため、ちょうどあの辺りがゴールだと言う事です。まだまだ結構遠いですな。
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ここでもアカヤシをがチラホラと咲いています。群生地まで行けば、まだまだこんなもんじゃないはずです。
禅頂行者道のアカヤシオ

緩やかにアップダウンを繰り返す、気持ちの良い尾根道が続いています。新緑前線はまだ尾根上にまでは到達していないらしく、冬枯れの光景のままです。
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遠くにぴょこんと頭が出ているこの山は日光白根山(2,578m)です。比較的的遅い時期にまで雪が残るのが名前の由来です。名前の通り、まだ白い姿をしていました。
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これは皇海山(2,144m)です。その手前にある禿山は、孤高のブナで名高い中倉山(1,530m)でしょうか。中倉山はシロヤシオシーズンに歩いてみたいんだよな。
地蔵岳の周辺から見た皇海山

11時25分 三ツ目と呼ばれる地点まで歩いて来ました。ここからサクっと夕日岳を往復します。
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5.アカヤシオが満開の夕日岳

前方にこんもりと盛り上がっているのが夕日岳です。三ツ目からは片道およそ20分ほどの距離です。
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この三ツ目から夕日岳に至る鞍部の一帯が、大規模なアカヤシオの群生地となっています。おお、早速咲いていますぞ。
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興奮のあまり鼻血ブーしそうになる光景が広がっていました。かつてお目にかかったことのないレベルの群生地です。なんじゃこりゃ、スゲー。
夕日岳のアカヤシオ群生地

満開のアカヤシオのアーチの下を進みます。例年だと夕日岳のアカヤシオが見頃を迎えるのはゴールデンウィークの頃なのですが、今年はフライング開花だろうと見越して1週間早く来たら、ドンピシャのタイミングでした。
夕日岳のアカヤシオ

アカヤシオに夢中になっている間に、あっけなく山頂らしき場所までやって来ました。
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11時40分 夕日岳に登頂しました。展望が皆無だった地蔵岳とは違い、北側が広く伐採されて日光方面の展望が大きく開けています。
夕日岳の山頂

特に日光連山ファミリーの眺めが素晴らしい。ちょうど真正面に並んで見えます。
夕日岳から見た日光連山

こちらは先ほども見えていた日光白根山です。一度積雪期にも登って見たいと思いつつ、未だに訪問が叶っていません。冬の丸沼高原は、群馬県側からしかアクセスできないので少々面倒なんですよね。
夕日岳から見た日光白根山

こちらは中禅寺湖南岸の半月山(1753m)から黒檜岳(1,976m)に至る稜線です。中禅寺湖を眺めながら歩ける爽快な縦走路であり、個人的にはお気に入りの山域です。
夕日岳からいた半月山

十分に満足したところで、再び鼻血ブーしそうになりながら元来た道を引き換えいます。
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12時5分 三ツ頭まで戻って来ました。ここから北上して、薬師岳を目指します。
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6.アップダウンを繰り返す、かつての修行の道を行く

三ツ頭を過ぎると、尾根は一度勿体ないくらいに大きく標高を落とします。この先はいかにも修行の道らしい、アップダウンが多めの道となります。
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三ツ頭から薬師岳に至る区間でも、アカヤシオ様は健在です。道の脇のそこかしこに咲いています。
禅頂行者道のアカヤシオ

ヤシオツツジは年によって結構当たりハズレがありますが、2023年は間違いなく当たり年であると思います。
禅頂行者道のアカヤシオ

男体山が徐々に大きく見えるようになって来てはいますが、同時に間に一山も二山もあるのが良く見えていますね。登り返しが中々しんどそう。
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そこまで極端な急坂こそありませんが、小刻みなアップダウンが続いて地味にスタミナがそがれていきます。修験の道らしくなって来ましたよ
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こうして道すがらに、修験の道らしさを演出する小道具がいくつか置かれていました
230422夕日岳-068

アカヤシオは個体によって結構色味が異なります。アカヤシオと言いつつ、赤と言うよりは薄いピンクの花の方が多いのですが、こちらのアカヤシオは名前の通りに赤みが強い花を咲かせていました。
禅頂行者道のアカヤシオ

もはや何回アップダウンを繰り返したかもロクに覚えはていませんが、ともかく最後の薬師岳の手前まで歩いて来ました。
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どうやら山頂を巻く道あるようですが、ここまで来ておいてスルーすべき理由は無いので、このまま山頂を目指します。
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薬師岳の山頂でも、アカヤシオが大爆発していました。最後の最後まで楽しませてくれましたね。
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13時10分 薬師岳に登頂しました。なかなか歩き応えのある道でしたが、沿道を飾るアカヤシオ様のおかげで、辛さを全く感じる事なく歩き切ることが出来ました。
薬師岳の山頂

ちなみにこまま尾根沿いに、いろは坂の下にあるやしおの湯の近くまで道は続いています。こちらのル―トにも大変興味はあったのですが、さらに厳しい道であると言うことなので本日はここまでにしておきます。、
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流石に歩き詰めで少々疲労を覚えていたので、山頂から少し戻った足尾地方を見下ろせる場所に腰を降ろして大休止を取りました。
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眼下に見えているこの谷が、渡良瀬川沿いの足尾地方です。この一帯の山深さ加減が良くわかる光景です。
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夕日岳周辺のアカヤシオ群生地も素晴らしかったですが、薬師岳はそのさらに上を行っていました。
薬師岳のアカヤシオ

凄い密度で咲いており、最早アカヤシオ畑状態です。
薬師岳のアカヤシオ

7.細尾峠を越えて、茶ノ木平へ登り返す縦走後半戦

13時30分 時間も押しているのでボチボチ行動を再開します。まずは細尾峠に向かって大きく標高を落とします。
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この先の行程をさっくりとまとめると、細尾峠まで300メートル少々標高を落とし、その後茶ノ木平に向かって400メートルくらい登り返します。

何を言っているのかさっぱりわからないかもしれませんが、修験道とはそいうものです。

一部にヤセ尾根が崩落している個所があり、ロープが張られていました。危険個所と言えるはのはここくらいなものでした。
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このまま峠に向かって下って行くだけだと思っていたら、この後に及んで登り返しがありました。なかなか勿体付けてくれます
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14時 細尾峠まで下って来ました。古くから足尾地方と日光とを結んでいた峠道です。江戸時代には既にここを越える道が存在していました。
細尾峠

現在では峠の下を日足トンネルが貫いており、この峠道は旧道と言う事になります。車でお越しの人は、ここを起点して薬師岳と夕日岳を往復する人が多いようです。
細尾峠

茶ノ木平に向かって最後の登り返しです。山と高原地図を見ると、細尾峠から1時間50分と言う結構重めの数字が示されていました。
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もう登り返すのがかったるいと言う人は、このまま道沿いに細尾峠から車道を下って行けば、日光市内に下りれます。

写真だとわかり難いですが、かなりの急勾配な登り返しです。だいぶ良い感じに息も絶え絶えになって来ましたよ。
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アカヤシオはここでも健在で、急登を前にして折れそうになっている心を、いくらかは励ましてくれました。
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右手に明知平が見えます。いろは坂の途中にある展望地です。この先に明知平方面へ下りることのできる道も存在ます。
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登り切ったと思った矢先に次ぎの登りが現れると言う、なかなか手の込んだ心折設計な山道です。修験道とはそいうものです。大事な事なので二度言いました。
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現地では何故こんなにキツイのだろうと怪訝に思っていましたが、後から調べたら累計の標高差が1,600メートルを超えていました。そりゃあ、疲れもするでしょうよ。

15時25分 明知平分岐まで登って来ました。登り返しはここまでで終了です。最後の登り返しに打ちのめされて、完全にグロッキー状態です。あーしんどかった。
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前述の通りここから明知平へ下ることも出来ますが、いろは坂は一方通行なのでその後は結局中禅寺温泉バス停まで登ってくる事になります。

という事であれば、始めから中禅寺温泉バス停を目指しましょう。

登り返した先には、茶ノ木平と呼ばれている広々とした平坦地が広がっていました。半月山方面へと続いている尾根上にある空間です。
茶ノ木平

水が湧きだして、ちょっとした湿原帯となっています。これまで日光の山には結構足繁く通っており、だいぶ詳しいつもりになっていましたが、まだまだこんな知らない場所が残されていたのですね。
茶ノ木平

案内板がありましたが、半月山方面への道についてしか案内されていません。ここから細尾峠方面に向かう人は相当少ないようですね。
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いつ間にか、男体山が目の前にドーンとありました。あれほど遠くに見ていたのに、今日は本当によく歩きました。
茶ノ木平から見た男体山

男体山の背後には女峰山の姿も良く見えます。女峰山にはだいぶ前に一度登っているのですが、山頂からの眺めが虚無だったのでいつか再訪したいんですよね。
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眼下に中禅寺湖も見えました。ここまで来れば、もう後は下って行くだけです。
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8.禅頂行者道 下山編 中禅寺湖へと下る

この下山ルートは遊歩道として整備されており、ときよりスニーカー履きの観光客も迷い込んで来る道です。よく整備されており、危険個所は一切ありません。
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中禅寺温泉バス停のすぐ裏手に道が続いていました。こんな所に道があったとは、今まで全然気にしたこともありませんでした。
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サクサクと足早に下り、実にあっけなく下まで降りて来ました。
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明知平からいろは坂を上ってくる道と合流しました。あとはバス停まで道なりに歩いて行くだけです。
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16時30分 中禅寺温泉バス停に到着しました。ちょうど良いタイミングで日光駅行きのバスが止まっていたので、そのまま乗り込みます。
中禅寺温泉バス停

いろは坂の途中のアカヤシオも、今まさに満開御礼の状態でした。アカヤシオは割と花期が短かめで満開を射止めるのが難しいのですが、今回の訪問は完璧すぎるタイミングでありました。
いろは坂のアカヤシオ

その後渋滞に巻き込まれることもなく、スムーズに東武日光駅へと到着しました。
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往路で新幹線を使うと言う贅沢をしてしまっているので、帰りは特急には乗らずに鈍行列車で長い長い帰宅の途につきました。
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アカヤシオを求めて決行された北関東遠征は、こうして大満足の内に幕を下ろしました。
この日巡った禅頂行者道を始めとする日光山地前衛の山々は、登山の対象としては極めてマイナーな存在であろうかと思いますが、期待していた以上のアカヤシオ群生地と大展望が出迎えてくれました。
最短で巡るなら細尾峠からの往復となりますが、ここはやはりかつての行者達の苦労を偲ぶ古峯神社からの縦走が断然おすすめです。数々の歴史ロマンがちりばめられた足尾の奥地へと繰り出してみては如何でしょうか。

<コースタイム>
古峯神社(8:40)-ハガタテ平(10:30)-地蔵岳(11:05)-三ツ目(11:25)-夕日岳(11:40~11:50)-三ツ目(12:05)-薬師岳(13:10~13:30)-細尾峠(14:00)-明知平分岐(15:25)-中禅寺温泉バス停(16:30)

薬師岳山頂での記念撮影

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. 小嶋武次 より:

     次々と楽しいレポを有難うございます。
     調布市在住の者ですが、三沢川沿いの桜については知人から聞いていました。しかし、月2,3 回自転車で行くスーパーストアー三和の近くの桜はそれ程ではなく、スルーしていました。もう少し上流がよかったのですね。来年は市役所近辺まで歩いてみたいです。
     冬の日光白根山へのアクセスですが、2016年の平日に新宿発の日帰りスキーバス(丸沼高原スキー場)を利用しました(サンデー毎日の身分です)。
     予定通り10時半に到着し、ロープウエイの終点を11:10 頃に出発できました。ロープウエイの最終が 15:30 であり、下山に必要な時間が読めずに、山頂で景色を楽しむ間もなく取って返しました。
     これが残念で翌々年だったかに、30分早く到着予定の川越発を利用しましたが、高速の事故のため東松山で高速に入り、予定より1時間程の遅れとなりました。この時は山頂はあきらめ、森林限界で引き返しました。バスの運転手さんによりますと、この時の新宿発の遅れは1時間半以上だったそうです。
     運が悪ければ、事故や週末の渋滞で予定通りに到着できない可能性がありますが、体力が十分におありのようですので多少の渋滞はクリアー出来るのではないでしょうか。

    • オオツキ オオツキ より:

      小嶋さま
      コメントをありがとうございます。

      冬の白根山に登りたけければスキーバスくらいしかアクセス手段はないのですが、登山で使うにはいかんせん到着時間が遅すぎるので、丸沼高原に一泊するのが無難なのかなと考えています。

      あとは天気次第ですが、近いうちに訪問したいと思っています。