御前山 奥多摩の春を彩どるカタクリの群落

御前山のカタクリ
東京都奥多摩町にある御前山(ごぜんやま)に登りました。
多摩川南岸に連なる奥多摩三山と呼ばれる山の一つで、三山の中央に位置しています。ピラミダルな堂々とした山容持つ山で、晴れて空気が澄んだ日であれば、遠く東京都心部からでもその姿を伺うことが出来ます。この山はカタクリの自生地として知られており、開花を迎える季節には多くの登山者が見物に訪れます。
奥多摩の山に春の到来を告げる、カタクリの群落を見に出掛けて来ました。

2017年4月23日に旅す。

御前山は奥多摩三山と呼ばれる山群に属する一座です。ピラミダルな美しい山容を持ち、標高は1,405メートルほどあります。
鋸尾根の天聖神社付近から見た御前山
単純な標高だけで言うと低山の範疇に含まれようかと思いますが、登り始めからいきなり急登の続く結構タフな山であります。

奥多摩における初級者向けの山が高水三山や大岳山だとすると、御前山は三頭山や鷹ノ巣山などとともに中級者向けの山と言ったところでしょうか。

山頂部は樹林帯に囲まれており、展望には恵まれない山です。
御前山山頂の様子
キツイ登りに展望無しと来れば、それはもうイマイチな山だと言ってしまっているような物ですが、年に1度だけこの山が多くの人の注目を浴びる時があります。それがカタクリが開花を迎える今の時期です。

カタクリとはユリ科の多年草で、早春に開花します。開花する期間は大体2週間前後と短く、春の妖精の異名を持ちます。
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御前山のカタクリが見ごろを迎えるのは、例年だと大体4月下旬から5月上旬ごろにかけてです。

それでは、どちらかと言えば地味な山と見なされがちな御前山が、一年で最も美しく輝く瞬間を見に行ってみましょう。

コース
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小河内ダムより大ブナ尾根を登り御前山に登頂。御前山からクロノ尾山へ至る料線上にあるカタクリの群落地を通り、大ダワ経由で鋸尾根を下って奥多摩駅へ下山する。

コースタイムおよそ6時間の、そこそこ歩き応えのあるコースです。

1.御前山登山 アプローチ編 大ブナ尾根への取り付き口がある奥多摩湖の小河内ダムを目指す

7時11分 JR立川駅
奥多摩訪問時に毎度恒例の、ホリデー快速奥多摩号で奥多摩駅を目指します。
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この列車、ハイカー向け標榜するならもう1時間早く運行して欲しいと思うのは私だけでしょうか?

8時22分 奥多摩駅に到着しました。
何とか座席にはあり付けたものの、大変混んでいてあまりよく寝れませんでした。電車での移動時間は睡眠時間であると考える私にとっては、あまり幸先が良く無いスタートです。
奥多摩駅の駅名表示

この時間帯の乗客は、基本的にハイカーしかいません。色とりどりのザックを背負った集団が一斉に下車する姿は壮観です。
奥多摩駅のホーム

駅前はバスを待つハイカーで溢れかえっていました。奥多摩エリアにおけるハイシーズンというのは何時ごろなんですかね?真夏と真冬には割と空いている印象がありますけれど。
奥多摩駅間の氷川サービスステーション

8時35分発の丹波(たば)行きに乗る予定でいましたが、時刻表無視で増発便が次々と送り出されていました。ちょうど奥多摩湖行きというのが来たのでそれに乗車します。
奥多摩湖行きのバス

8時55分 奥多摩湖バス停に到着しました。御前山の登山口は小河内ダムの堤体を渡った対岸にあります。
奥多摩湖バス停

東京都民の水瓶、奥多摩湖です。めったに満水にはならないダム湖らしいのですが、昨日の雨の影響か水位は高めに見えました。
小河内ダムから見た奥多摩湖
小河内ダムから見た奥多摩湖 width=

今見えているのが、これから登ろうとしている大ブナ尾根です。奥多摩三大急登なるものの一つに数えられたり、数えられなかったりする急峻な尾根です。
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※奥多摩三大急登がどこなのかには諸説があり、大ブナ尾根が含まれない場合もあります。

ダムの堤体の上を歩いて、登山口へと向かいます。
小郷内ダムの堤体

上から見下ろす多摩川第一発電所。奥多摩湖は基本的に上水道用の貯水池であり、発電所はオマケ程度のこじんまりとしたものです。
小河内ダムの多摩川第一発電所

水があのパイプを通りぬける過程で、電気をギュッと搾り取られてしまうのですね。この発電所の所有者は、イチョウのマークの地下鉄でお馴染みの東京都交通局です。
多摩川第一発電所

湖畔の桜はまだ満開でした。東京都心とは開花時期が2週間くらい違うのですね。
奥多摩湖の桜
奥多摩湖の桜
奥多摩湖の桜

2.奥多摩湖の好展望地サス沢山

御前山登山口までやって来ました。9時15分に登山開始です。
奥多摩湖畔の御前山登山口

日の光を浴びた新緑が実に美しい。
新緑の登山道

登り始めて早々から無慈悲な急登が始まります。今日歩く大ブナ尾根のルートは最後までずっとこんな感じです。
大ブナ尾根の登山道

急登を前に登山道には早くも渋滞が発生していました。
大ブナ尾根の登山道

急登と格闘中のシニア団体。奥多摩エリアを歩くハイカーは、平均年齢が高めな感じがします。
大ブナ尾根の登山道

胸を突くよな急登を登りきると、最初のピークであるサス沢山の頂上が見えて来ました。
大ブナ尾根の登山道

10時5分 サス沢山に登頂しました。漢字で書くと指沢山なんですね。初めて知りました。
サス沢山の山頂標識
この標識前からありましたっけ?

山頂の様子
ベンチはありませんが、座るのにちょうどよい塩梅の丸太が幾つも転がっており休憩向きな場所です。
サス沢山山頂の様子

サス沢山は定番の奥多摩湖撮影スポットです。忘れずに抑えておきましょう。あまりに定番過ぎて、写真を一目見ただけで撮影地が分かってしまうくらいです。
サス沢山から見た奥多摩湖

3.御前山登山 登頂編 急登の果てに待つ展望皆無の残念な山頂

サス沢山を過ぎてからも、無慈悲な急登は続きます。
大ブナ尾根の登山道

御前山の頭頂部がようやくお目見えです。なお、サス沢山に遮られるため、小河内ダムからは御前山の姿は全く見えません。
大ブナ尾根の登山道

ここで本日第一号のカタクリを発見。花びらが開きかけですね。完全に開花すると花びらは後ろに反り返ります。
大ブナ尾根のカタクリ

花はピントを合わせるのが難しい。マクロレンズが欲しくなって来ました。
大ブナ尾根のカタクリ

一時の間、道の傾斜が緩んで歩きやすい尾根道になります。しかし御心配(?)には及びません。この後またすぐに急坂が始まりますから。
大ブナ尾根の登山道

カタクリが道の脇にポツポツを咲いては居ますが、群落というには程遠い状態です。本命はもっと上のほうか。
大ブナ尾根のカタクリ

こちらは御前山と同じく奥多摩三山の一座である三頭山(1,531m)です。あちらもまた、急登続きなことで知られた山です。
大ブナ尾根から見た三頭山

道の周囲にコバイケイソウの群落地が広がっていました。
大ブナ尾根のコバイケイソウ群生地

毒々しい見た目だなあと思っていましたが、後で調べたら本当に毒草なんですねコレ。かなり強力な毒で、食べたら最悪死ぬそうです。
大ブナ尾根のコバイケイソウ群生地

開花しかけのカタクリがチラホラ。
大ブナ尾根のカタクリ

再び傾斜が増してきました。大ブナ尾根には最後まで慈悲はありません。
大ブナ尾根の急登

振り返ると、もうすっかり小さくなってしまった奥多摩湖が見えました。
大ブナ尾根から見た奥多摩湖

ヒイヒイ言いながら急坂を登るうちに、頂上らしき場所が見えて来ました。
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11時15分 惣岳山に登頂しました。御前山の山頂脇にある瘤のような小ピークです。ここが山頂だと思っていた人は、心を根元からボッキリとへし折られる瞬間かもしれません。
惣岳山の山頂

山頂の様子
展望は全くありません。ベンチが多数配置され、格好の休憩スペースになっています。
惣岳山山頂の様子

とは言っても、ここまで来たら御前山の山頂はもう直ぐそこです。もったいぶって惣岳山で休憩する意味などあまり無いので、このまま素直に山頂を目指しましょう。
惣岳山から見た御前山

山頂直下最後の登りです。この辺りもカタクリの群生地なはずなのですが、咲いている花は見かけませんでした。標高が高い分だけ開花はまだ少し先なのかもしれません。
御前山の山頂直下

今度こそ山頂が見えて来ました。
御前山の山頂直下

11時30分 御前山に登頂しました。スタートから2時間30分かかりました。ほぼ標準コースタイム通りです。キツイし眺望は無いしで、大ブナ尾根は正直愉快とは言い難いコースですな。
御前山の山頂

山頂の様子
横に長い空間です。さほど広くはありませんが、ベンチがいくつか用意されています。
御前山山頂の様子

山頂にはご覧の通り、展望は全くありません。ベンチがすべて埋まっていたので、持参のレジャーシートを広げて昼食休憩を取りました。
御前山山頂の残念な眺望

4.鋸山へと続く稜線上に広がる、カタクリの群生地

12時 山頂を辞去して下山を開始します。登ってきたのとは反対側の避難小屋方向に下ります。
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少し下ったところに御前山避難小屋があります。泊まった事はありませんが、聞いた話では窓ガラスが大き過ぎて夜に物凄く冷えるらしい。
御前山避難小屋

小屋の裏には水場があります。その昔、大腸菌が検出されたとかで、使用時には煮沸するようにとの指示がされています。
御前山避難小屋の水場

カタクリの天敵は鹿とハイカーなのだそうです。盗掘する奴、踏んづける奴等、色々いるそうで。
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ここから大ダワ方向へ向かいます。
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この御前山からクロノ尾山にいたる尾根上に、大規模なカタクリの群生地があります。ここからが本日のハイライトでした。
御前山のカタクリ群生地
御前山のカタクリ群生地

日当たりが良好な尾根上の道だからか、ここでは山頂部よりも早くに満開を迎えていました。
御前山のカタクリ群生地

完全に開花すると、このように花弁が後ろへ反り返ります。
御前山のカタクリ群生地

妖精と称されるだけの事あって、可憐な花ですよね。次回のシーズンに備えて、やはりマクロレンズを買おう。
御前山のカタクリ群生地

しかし、笹薮の上で腹這いになってシャッターを切りまくるその姿は、傍から見れば不審者そのものでしょうな。
御前山のカタクリ群生地

陽だまりが気持ちの良い尾根道を、のんびりと歩きます。
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正面に奥多摩三山の一座である大岳山(1,266m)が見えました。今日はあそこまで行く予定はありません。
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13時 クロノ尾山に到着しました。ここまでの道中で写真を撮りまくっていたため、標準タイムよりかなり遅めの到着です。
クロノ尾山の山頂

山頂の様子
ベンチがあるだけの何も無い山頂です。まあ、基本的にはただの通り道ですね。
クロノ尾山山頂の様子

お次のピークである鞘口山へ向かいます。
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もうすっかり気分は下山モードになっているので、登り返し少々ウンザリ気味です。
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13時15分 鞘口山に到着しました。ここもまあ、通り道ですね。
鞘口山の山頂

クロノ尾山と同様、ベンチがあるだけの何も無い山頂です。
鞘口山山頂の様子

鞘口山を過ぎると、大ダワに向かって降下が始まります。
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大ダワ手間の登山道脇にも小規模なカタクリ群生地がありました。
奥多摩 大ダワ付近のカタクリ群生地

日当たり良好な場所なので、ここでも大きく花びらが開いていました。
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やがて眼下に、大ダワの車道が見えました。
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正面には鋸山が立ちはだかります。巻き道があるので、下山時にも特に立ち寄る必要はありません。
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13時35分 大ダワに到着しました。奥多摩町と桧原村を結ぶ林道の最高地点です。トイレもあります。
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標高は千メートル近くあります。車で直接登ってこれる峠としては、かなり標高が高い方です。
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5.御前山登山 下山編 険しき鋸尾根を下り奥多摩駅へ

ここで大岳山方面と鋸尾根のルート分岐があります。今日は鋸尾根を通って奥多摩駅へ下山します。
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今日ここまで歩いてきた登山道は、危険箇所が全く無い「どなたでも安心してお歩きい頂ける登山道」でしたが、鋸尾根はそうではありません。ここからはそこそこ険しい道になります。
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そして何より、もの凄く長い道なので覚悟を決めて突入しましょう。

奥多摩駅までは5.1kmあります。まだまだ先は長い。
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正面に川苔山(1,363m)が見えました。奥多摩エリア内では1、2位を争う人気の山です。
鋸尾根から見た川折山

こちらは御岳山(929m)です。ケーブルカーだけで登れてしまう山です。まあ一応、神社の石段を登る必要はありますが。
鋸尾根から見た御岳山

木の隙間からは麓の氷川集落が見えます。あそこまで降りなければいけないという事です。うーん遠いなあ。
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まるで奥多摩のような道です。・・・と言うか、ここは奥多摩でした。
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新緑前線がいる辺りまで下ってきようです。殺風景だった道中が一転して春の光景に変わります。
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道の両側を囲んでいるこの灌木は、どう見てもツツジですね。開花シーズンに訪れたら、さぞや華やかなる光景であることでしょう。
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一か所鎖場があります。大して難しくもありませんが、巻き道もあるので自信がなければ迂回しましょう。
鋸尾根のクサリ場

この先しばらくは岩々しい道が続きます。鋸尾根の名の通り、小刻みに登って降りてするギザギザな道です。
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良く整備されているので、特に難しい事はありません。とは言っても、落ちたら即死級の断崖もあるので慎重に。
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天狗様がいました。この場所は天聖神社と呼ばれています。
鋸尾根の天聖神社

天聖神社からは御前山の全容が一望できます。今日歩いたルート上では唯一の、木に邪魔されずに御前山を見ることが出来るスポットでした。
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麓の町が大分近くなって来ました。
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送電鉄塔が見えたら、まもなく登山道は終わりです。
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林道に飛び出しました。
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残念ながらまだ終わりではありません。これから最後の難関である愛宕神社超えが控えています。どう難関なのかと言うと・・・この後すぐに分ります。
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愛宕神社の狛犬。口の中をわざわざ着色しているのは珍しいですね。
奥多摩 愛宕神社の狛犬

コンクリートの階段を登り返します。ああ、試練と言うのはこれのことではありません。
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登りきったところに愛宕神社の本殿があります。氷川集落を見下ろす岩山のてっぺんです。
奥多摩 愛宕神社

裏には五重の塔があります。これは戦没者慰霊塔であるとのことです。
愛宕山の五重塔

そしてこれが最後の難関です。傾斜45度といわれる急階段が待ち受けています。
奥多摩 愛宕神社の階段

下か見るとこんな感じです。途中から傾斜が変わっているのがお分かりりいただけるでしょうか?
奥多摩 愛宕神社の階段

最後の難関を無事に乗り換えて麓まで戻って来ました。奥多摩駅は橋を渡ってすぐの所にあります。
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橋の上から見下ろす氷川渓谷です。多摩川本流(左)と日原川(右)の合流地点です。
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16時5分 奥多摩駅に到着しました。歩き始めて7時間でゴールしました。長すぎず短すぎない程よい山行きでありました。
奥多摩駅

ちょうどいいタイミングで16時18分発のホリデー快速がホームに止まっていたので、それに乗って帰還しました。
奥多摩駅のホーム

御前山と言うのは極めてストイックな山です。結構キツイ登りの割には、登頂してもご褒美(展望)は一切ありません。
今回の山行きのようにカタクリ目当てか、もしくは奥多摩三山の制覇を目指しているわけでもない限りは、正直なところあまり人にはオススメしない山です。まあ、トレーニングにはいいのかもしれませんが・・・
上り始めからいきなり急登続きなので、覚悟して挑んでください。
登るのであれば断然カタクリの開花時期をオススメします。新緑の時期とも重なるので、草花の芽吹きを感じながら気持ちよく歩くことが出来るでしょう。

<コースタイム>
小河内ダム(8:55)-サス沢山(10:05)-惣岳山(11:15)-御前山(11:30~12:00)-クロノ尾山(13:00)-鞘口山(13:15)-大ダワ(13:35)-愛宕山(15:40)-奥多摩駅(16:05)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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