神奈川県秦野市、山北町および清川村にまたがる塔ノ岳(とうのだけ)に登りました。
表丹沢と呼ばれる領域の主峰であり、展望の良さと交通アクセルの良さから登山者に絶大な人気のある山です。山頂へ至る登山ルートには複数の選択肢がありますが、ヤビツ峠からスタートする表尾根コースは道中の眺めの良さが特に際だっています。
季節外れの積雪により白銀世界となった表尾根を巡って来ました。
2024年3月10日に旅す。
ヒャッハー、雪だー!
時は南岸低気圧の発達によりに関東平野に季節外れの雪が舞った週の週末。丹沢の表尾根を歩いて来ました。過去にそれこそ何度も訪れたことがある今更なルートですが、雪の付いた状態で歩いたのは自身初めてのことです。
白く染まった稜線上には雨氷の森が広がり、期待していた以上の光景が広がっていました。何度歩いたことがあるお馴染みの道であっても、季節が違えばまったく異なる顔を見せてくれます。
申し分ないお天気のもと、雪で白く染まった表尾根を歩いてきた一日の記録です。
コース
ヤビツ峠からスタートし、表尾根を歩いて塔ノ岳だけを目指します。下山は大倉尾根を大倉バス停へと下ります。特に何のひねりも無い、表尾根を巡るごくごく普通の行程です。
1.塔ノ岳登山 アプローチ編 大勢の登山者で大混雑するヤビツ峠への道程
6時19分 小田急線 登戸駅
小田急線はいつどこから乗車しようとも常に混雑している印象がありますが、本日も比較的空いていることが多い先頭車両であってもギリギリ座席にありつけるくらいの混雑度でした。
7時10分 秦野駅に到着しました。山登りの格好した乗客が一斉にホームに降り立ちます。
こんな寒い日の朝っぱらから山登りに出かけようとは、世の中には物好きな人もたくさんいるものです。・・・いったいどの口で言っているんでしょうかね、このおっさんは。
ヤビツ峠行きのバス停には、既に大勢の登山者が行列を作っていました。もっともこれでもまだましな方で、ゴールデンウィーク頃になると、行列が歩道上から溢れそうになるくらいに延びます。
バスが数台待機しています。ひょっとして臨時便を出してくれるのかな。流石は俺たちの神奈中バスだぜ。と一人色めきだったのもつかの間、一台に乗り切れる人数だと判断されたのか増発はされませんでした。
8時 超満員のバスに立ったまま揺られることおよそ40分で、ヤビツ峠に到着しました。出だしから酷い目にあいました。
このヤビツ峠行きのバスは確かに昔から混んでいることは多かったですが、ここ数年で混雑ぶりにさらに拍車がかかったように感じます。表尾根はいつからそんなに歩く人の多いルートになったのか。
なんだかんだで結構久しぶりのヤビツ峠です。積雪量があまりにも多い時だと、バスはここまで登ってくれず蓑毛止まりになることもありますが、幸いにも本日はしっかりと終点まで運んでもらえました。
改装工事中らしくトイレが閉鎖されていましたが、かわりにしっかりと臨時の仮設トイレが置かれていました。仮にここが使えなくても、この先の富士見橋にもトイレはあります。
大量のタクシーが目の前を通り抜けていきました。どうやら登山口までタクシーで乗りつけようと言うグループがいるようです。人数が多ければ割り勘パワーも発揮出来るだろうし、超満員のバスに揺られて来るよりは快適か。
2.最初から急登が続く二ノ塔へ道程
8時5分 身支度を整えて行動を開始します。始めはしばしの間舗装道路歩きが続きます。
日影の部分は路面が凍結しており、ツルツルのアイスバーン状態でした。まだアイゼンを履くわけにもいかないし、何気に通り抜けるのに難儀しました。
富士見橋と呼ばれる地点から脇道へと入って行きます。先ほどのタクシーで乗り付けたらしき集団が、前を歩いていました。
8時35分 登山口まで歩いて来ました。登山道上には雪がある状態だったので、最初からチェーンスパイクを履いて行きます。
日当たりの良いところの雪はとけて無くなっていました。こういう雪があったりなかったりするシチュエーションでは、軽アイゼンよりもチェーンスパイクの方が安定します。
展望の無い樹林帯がしばし続きますが、これは始めの内だけです。すぐに表尾根の真骨頂たる見晴らしの良い尾根道になるので、大いに期待して良いですよ。
このコンクリートブロックの積まれた廃屋はずっと以前から同じ姿のまま残っており、登山道整備用の土嚢置き場にされていることもあります。もとは造林小屋か何かだったのかな。
最初から結構な急登が続きます。二ノ塔まで登ればひとまずは一呼吸つけるので、そこまでは頑張って登りましょう。
登山道の周囲に背の高い樹木が少なくなり、かわりにススキが茂った尾根道になりました。
背後の展望が開けて、お隣の大山(1,252m)と相模湾が一望できました。この眺めの良さこそが表尾根の魅力で、塔ノ岳に着くまでずっとこんな感じの絶景が広がります。
二ノ塔に至る最後の登りです。ここはグリーンシーズン中には見事な草木のトンネルになるのですが、冬は枯れ木が立ち並ぶだけの殺風景です。
9時35分 二ノ塔まで登って来ました。表尾根コースにおける最初のチェックポイントと言ったところで、丹沢名物のテーブルみたいなベンチがたくさん並んでいます。
山頂からは一応富士山も見えます。もっとも、この先にもっとよく見えるポイントはいくらでもあるので、ここから眺める意味はあまりありません。
お隣の三ノ塔がすぐ近くに見えています。あちらの山頂の方がずっと広いし眺めも良いので、休憩を取るのであれば三ノ塔に着いてからの方が良いと思います。
3.ただの通り道らしからぬ好展望地の三ノ塔
鞍部に向かって一度緩やかに下ります。ここではそれほど大きな標高差はなく、すぐに登り返しに転じます。ここではとことさらに強調したのは、この後の三ノ塔からの下りはかなりえぐいからです。
秦野分地の先には足柄平野。さらにその背後に箱根が控えているのが一望できます。丹沢が好きな人にとっては、見慣れたいつもの光景と言ったところか。
ここでも頭上が大きく開けた明るい道です。表尾根の植生がこれほど乏しい原因としては、酸性雨の影響ともシカの食害によるものとも言われています。
振り返ると、先ほど通って来た二ノ塔と大山が良く見えました。登山者としては眺めが良いのは歓迎すべきことですが、しかしこの樹木の無い禿山状態が山の環境にとって良いことであるはずはありません。
木道の整備や鹿よけ柵の設置など、植生回復のための様々な取り組みがされていますが、依然として丹沢を取り巻く自然環境は厳しい状態に置かれています。
頭上から氷の塊がパラパラと降って来たので上を見上げると、木に雨氷が付着していました。もうほぼ溶けてしまっているようですが、さぞや壮観だったことでしょう。もっと早くに登りに来れていたら。
山頂はかなり広々としており、三ノ塔休憩所と銘打たれた小屋が建っています。この小屋は本当の緊急時以外は宿泊禁止です。
9時50分 三ノ塔に登頂しました。表尾根に連なるピークの中でもひと際大きな山体を持ち、主峰の塔ノ岳に次ぐ存在感がある山です。
正面に富士山が見えます。ちなみに一番手前を横切っている尾根が、下山時に通る予定でいるバカ尾根こと大倉尾根です。
富士山の右手には、これから目指す塔ノ岳の姿が見えています。白く染まった姿が神々しい。
この山を訪れる人の大多数は塔ノ岳を目指しており、三ノ塔自体を目的地として登って来る人は極めて稀であろうかと思います。しかし、この山だけを目当てに登って来ても十分に満足できるだけの大展望が広がる山頂です。
大山もしっかりと白くなっています。そう言えばあちらも、積雪した状態で登ったことはありません。次の機会が訪れるのがいつの事になるかはわかりませんが、雪の大山も歩いてみたいですねえ。
本日は空気がバキバキに澄んでおり、都心部の高層ビル群までもが良く見えています。春以降は空気が霞んでしまい、ここまで視界が良いことはそうめったにありません。冬ならではの眺望です。
まだ折り返し地点ですらないというのに、早くも満足感に包まれそうになるような絶景の頂でした。何ならもう満足したので、このまま大倉に下山しようかと言う気分になってしまうくらいには。
4.表尾根の核心部、クサリ場が連続する行者ヶ岳を越える
10時5分 いつまでも油を売っていないで、ボチボチ先へ進みましょう。三ノ塔からは一度大きく標高を落とします。
昔からずっとこの場所にある、富士山を見つめているお地蔵さんです。ニットで編まれた服を着ており、大切にされているのであろうことが良くわかります。
これから歩く表尾根の稜線が一望できます。見ての通り、この後にはまだまだ多くのアップダウンが待ち受けています。
なおこの表尾根コースは、大倉尾根コースと比べると歩行距離、累計標高差ともに大きく、難易度はワンランク上です。長距離を歩ける自信をつけてから訪れるべきです。
塔ノ岳の山頂に立つ孫仏山荘の建物が小さく見えています。うーん、遠いいなあ。
次のピークである鳥尾山との鞍部に向かって、一気に200メートル近く下っていきます。気乗りはしませんが、道がそうなっている以上は仕方がありません。縦走登山とはそういうものでございます。
三ノ塔からの下りは一部ザレていたり鎖があったりと、危ない個所もあるのでゆっくりと慎重に下って行きます。
写真だとイマイチ高度感が伝わりませんが、転落すればタダでは済まない高さです。ザレ場に関しては、むしろ雪があった方が歩きやすいかもしれない。
鞍部一帯は尾根が痩せており、木道でガッチガチに補強されていました。人気のルートだけに、こうした崩落個所は絶え間なく補修がされています。
10時35分 鞍部から少し登り返すと、あっさりと鳥尾山に到着しました。三角屋根の小屋が印象的な山頂です。
相変わらず眺めの方はすこぶる良好です。こうして海を見ながら歩ける山は気持ちが良い。
私が勝手に天空のトイレと呼んでいる、鳥尾山のチップ制トイレです。何度見ても存在感が凄い。
三ノ塔から大きく標高を落としたことにより、塔ノ岳がすっかり見上げる高さになりました。ここからまたジリジリと標高を上げて行きます。
鳥尾山の周辺が一番表尾根らしさを味わえる区間ではないかと思います。周囲が開けた明るい尾根道が続きます。この解放感は、同じくらいの標高をもつ奥多摩の山には一切ないもので、丹沢ならではの光景と言えます。
馬酔木(アセビ)の姿が目立ちます。アセビには毒があり、そのことを知っているのかシカはアセビを食べません。そのため、シカによる食害が進んでいる地域では、アセビだらけになってしまうのだとか。
やがて前方に絶壁のようなピークが立ちはだかりました。表尾根における核心部である行者ヶ岳です。その名の通り、かつては修験の行場だったと言う岩峰です。
まずは急な階段を登って行きます。鳥尾山から行者ヶ岳の手前までは、それこそ鼻歌混じりに歩けるような尾根道だっただけに、いきなりのギャップです。
上の方は岩場になっておりクサリもあります。岩肌がドライな状態ならなんてことは無い場所ですが、表面が濡れているとちょっと嫌な感じがします。
陽当たりが良いためか、雪がとけてドロドロ状態でした。登りだから何とかなりましたが、反対向きに下るとなると難儀しそうなコンデションです。
11時5分 行者ヶ岳の山頂まで登って来ました。難所なのはこの先にあるクサリ場で、塔ノ岳方向に向かって歩いている場合は下りになります。
仏教画らしきものが描かれた大理石のレリーフが置かれており、修験の山らしさが演出されていました。こんな重そうなものを、ここまでよく運びましたな。
展望は一応あるにはありますが、眺めの良さが売りのピークではないし、山頂は非常に狭いので、速やかに前進しましょう。
山頂から進むと行く手が崖のようになっており、この後に歩くべき尾根がガクッと大きく標高を落としているのが見えてきます。お待ちかね(?)のクサリ場が始まりますよ。
最初のクサリ場です。ここは小手調べのようなもので、クサリが無くても難なく下れそうな岩場です。中途半端に雪が付いているのが、ここでもちょっと嫌な感じがします。
振り返って見たところです。登りでも下りでも、特に難しい要素はありません。
続いて2番目の短いクサリ場です。一枚岩の上を下るのですが、ここはアイゼンを履いていると逆におっかない状態だったので、右端のほうにある木の根っこをうまく利用して通過しました。
すぐに3番目のクサリ場が始まります。ここが真打というか、行者ヶ岳における最大の核心部です。雪の付いた状態で通過するのは初めての事ですが、さあてどんな状態でしょうか。
日影なので雪はしっかりと残っていましたが、特に支障はなさそうです。ここは背を向けた状態でしっかりと三点支持をしながら下ります。
下ってから振り返って見たところです。ぱっと見の目視だと高さは10メートル未満で、せいぜい7~8メートルくらいだと思います。
このクサリ場があるために表尾根を敬遠している人は少なからず存在すると思いますが、クサリはしっかりとしているし、足を乗せられるスタンスも豊富にあるため、どちらかと言うと難易度は易しい方だと思います。
5.塔ノ岳登山 登頂編 新大日と雨氷の森を抜けて山頂へ
行者ヶ岳を過ぎると、お次は崩落地の登りです。まるで工事現場か何かのような応急処置的な外観の道ですが、以前からからずっとこの状態です。
それでもやはり崩落は着々と進行しているらしく、道のすぐ脇にまで迫っていました。反対側も大きく崩れているため、ここを通れなくなると、そもそも表尾根コースは通行不能のとなる可能性が高いです。
もし将来ここが完全に崩れてしまった時にどうなるのか。さらなる補強工事によって強引に通行可能な回廊を維持するのか。あるいは大きく迂回するのか。
戸沢から登って来る政次郎尾根と合流しました。いずれもマイナーなルートですが、表尾根に途中から合流する脇道は実は意外と多く存在します。
次なるピークの新大日に向かって登りが始まります。いい加減疲労も蓄積して来る頃合いなので、ここらが頑張りどころです。
背後の展望が開けて、大山と三ノ塔が並んで見えました。二ノ塔は三ノ塔の背後に隠れてしまうため、ここからでは見えません。
沖合彼方に浮かぶ伊豆大島や、その背後にある三宅島までもが薄っすらと見えています。素晴らしいまでの空気の澄み具合です。過去最高かもしれない。
大島以外の伊豆諸島の島々もすべて見えています。左から順に利島、新島、式根島および神津島かな。右手前にあるのは、首都圏から一番近い離島の初島です。
ここでも僅かに雨氷が残っていましたが、見ている目の前で溶けて剥がれ落ちていきます。
新大日の登りは何気しんどい。この登りの途中で、ようやく三ノ塔の山頂よりも標高が高くなります。鳥尾山の手前で、それだけ大きく標高を落としてしまっていたと言う事ですな。
11時55分 新大日に到着しました。既に標準コースタイムよりも遅延をきたしている状態です。やはり雪がある状態だと、どうしたってペースは落ちてしまいます。
かつてはここに物理的に傾いて潰れかけていた山小屋の残骸が立っていましたが、どうやら解体して撤去されたようで、更地になっていました。
山頂まではもうあと一息頑張りです。ラストスパートをかけていきましょう。
この新大日と塔ノ岳山頂の区間の雨氷が圧巻でした。既に溶けかけてはいましたが、陽の光を浴びてキラキラ輝く雨氷の森が広がっていました。
道すがらに木ノ又小屋があります。大倉尾根に比べれば歩く人の数はずっと少ないはずの表尾根ですが、それでも山小屋の経営が成り立つくらいには人の往来があるようです。
あれだけ遠くに見えていた塔ノ岳山頂が、ようやく目の前となりました。後はビクトリーロードを進むのみ。
頭上からバラバラと降り注いでくる雨氷に見守れらながら、最後の登りに取り掛かります。
この雨氷とは、0度以下でも凍っていない過冷却状態の雨が樹木の表面に付着することで作り出されます。と説明されても、そもそもなぜ0度以下なのに最初から凍っていないのかがイマイチよくわかりませんが
小難しい話はひとまず脇において、今はただこの美しい光景を楽しむことに集中しましょう。
山頂が見え来ました。大倉尾根から登ってきた人も合流するため、いきなり人の数が増えました。
12時50分 塔ノ岳に登頂しました。だいぶ時間を要しましたが、雪の表尾根を存分に満喫することが出来ました。
6.塔ノ岳山頂からの展望
登って来るのにはそれなりに苦労する塔ノ岳ですが、山頂からの展望は圧巻です。当ブログでも過去に幾度となく扱っており、若干の今更感もありますが、一応ざっと一通り眺めてみましょう。
富士山が真正面にあります。宝永噴火口がまるで肩のように見えるのが、神奈川県側から眺めた時の富士山の特長です。
西丹沢の盟主、檜洞丸(1,601m)の背後には、みんな大好き白根三山を始めとした、南アルプスの山並みが連なります。
塔ノ岳山頂に立つ尊仏山荘です。日帰りで登れてしまう山であるがため、私は一度も宿泊したことがありません。塔ノ岳からの夜景は大変素晴らしいので、夜景目当てで泊まるのはアリだと思います
山荘の背後には、丹沢山(1,567m)を経て丹沢最高峰の蛭ヶ岳(1,673m)へと続く、丹沢主脈の山並みが連なります。
もし早めの時間に塔ノ岳に登頂できていたならば、丹沢山まで足を伸ばしてみやま山荘でカレーを食べようかという腹案を持っていましたが、実際は思った以上に時間を食ってしまったので、今日はここまでとします。
元来た方角を振り返れば、ここまで歩いて来た表尾根の全容が一望できます。いくつもの小ピークの連なりですが、こうして見るとやはり三ノ塔だけは別格と言うか、独立峰であるかのような存在感があります。
一体何度目だよと言われてしまうかもしれませんが、塔ノ岳から見た大山の姿もまたカッコ良いのでもう一度載せておきます。
これは横浜のあたりです。ランドマークタワーがあるおかげで、横浜は見つけやすい。
都心部のあたりです。高層ビルの密集具合が偉いことになっております。これだけよく見えれば、夜景が凄そうなのは容易に想像がつくところです。
7.塔ノ岳登山 下山編 いつものバカ尾根を下る
満足しました。ボチボチ下山に移りましょう。下山ルートはいつもの大倉尾根です。
ごくわずかにですが、大倉尾根の金冷し付近にも雨氷が出来ていました。
カタパルトの異名を持つ花立の木道です。個人的に大倉尾根ルートの光景の中でも一番のお気に入りはここです。
あれほどカンカン照りの良い天気だったのに、いつしか頭上は雲に覆われつつありました。なんなら、この後夕方にかけて雨が降るとの予報になっております。
花立を過ぎると登山道上に雪はほぼなくなったため、ここでチェーンスパイクを外しました。
外した直後に限って、いかにも滑りそうなコンデションの雪が残っていたりすると言う。アイゼンの外し時の判断って難しい。
さらに標高が下がってくると、大倉尾根名物の春の泥んこまつりが開催中でした。
バカ尾根の下山はこの後も長々と続くのですが、過去に数えきれないほど繰り返しレポートしている道なので、スパッと省略します。
16時 と言う事で場面は一気に飛んで、大倉バス停に下山しました。結局最後の最後まで、道はドロドロ状態でした。
大倉バス亭の目の前にある戸川公園の河津桜はもう終わりかけで、葉桜になり始めていました。ちなみにこの公園では夜桜のライトアップが行われていますが、殆ど知られておらず空いていて穴場です。
大倉バス停に下山する最大のメリットは、バスの運行本数が多いことです。さしたる道時間もなくやって来た渋沢駅行きのバスに乗り込み、帰宅の途に着きました。
過去に何度も歩いており若干の今更感もあった表尾根でしたが、雪があるだけで普段とは一味も二味も違う光景が広がっていました。
冬でも安心安全な大倉尾根と比べると、表尾根にはクサリ場もあり積雪時に歩くハードルは若干高いかと思いますが、どちらがより楽しいかと問われば、私は断然表尾根の方をオススメします。圧倒的に眺めが良いし、何よりも登り一辺倒な大倉尾根とは違い変化に富んだ道で飽きることがありません。
1シーズン中にそうそう何度も南岸低気圧がやって来るチャンスは巡っては来ませんが、麓から見上げた丹沢が白く染まった際には、表尾根へ繰り出してみては如何でしょうか。それなにりにしんどい行程にはなりますが、そこで出会える光景は絶対に期待を裏切らないと思います。
<コースタイム>
ヤビツ峠(8:05)-二ノ塔(9:35)-三ノ塔(9:50~10:05)-鳥尾山(10:35)-行者ヶ岳(11:05)-新大日(11:55~12:05)-塔ノ岳(12:50~13:40)-花立山荘(14:10)-堀山の家(14:45~15:00)-見晴茶屋(15:40)-大倉バス停(16:00)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
雪の塔ノ岳表尾根コース、お疲れ様でした。雪だとまた景色が素晴らしいですね。
表尾根コースの難点はヤビツ峠までのバス。いつも混んでいてそこが辛い。
カナチューは増便を考えて欲しいですね・・。私も花立木道からの景色が一番好きです。
あ~丹沢にきたな~って思いながら眺めを堪能します。
mikiさま
コメントをありがとうございます。
ヤビツ峠行きバスの混雑具合は年々酷くなっているように感じます。昔から人気のルートではあったのですが、ここまで混雑はしなかったのですけれどね。
私は前日の3月9日に大倉尾根を登り、金冷シで鍋割山方面に下山しました。
大倉尾根に比べ人が少なくたっぷり新雪を踏めたことと西側が開けている景色とでとても楽しめました。
鍋割山といえばこちらのブログを参照させていただいて檜岳雨山方面から登ったこともありました。
表尾根は降雪だとなんだか危なそうというイメージでしたが案外登れるものなんですね。
ゆるふわな雪山登山も来年あたりから挑戦してみようと思います。
今後ともよろしくお願いします。
匿名さま
コメントを頂きましてありがとうございます。
表尾根にはそれなりに危ない箇所もあるので、積雪状態だとゆるふわという感じではないと思います。安心安全に行きたければ大倉尾根を推奨します。