
千葉県南房総市にある御殿山(ごてんやま)に登りました。
房総半島南部のかつて安房国と呼ばれていた領域のほぼ中央に位置している山です。日本武尊の東征の際に、周囲を見渡せるこの山に拠点を置いたとされる伝承が山名の由来となっています。現在でも周囲の山々を広く見渡せる好展望の山となっています。
公共交通の不毛地帯である房総半島南部へ、複雑怪奇なアプローチ手段を講じて登ってきました。
2026年1月31日に旅す。
御殿山は房総半島南部のほぼ真ん中付近にある標高300メートル少々の山です。山頂は一部が開けており、伊予ヶ岳や富山と言った、房総半島の名だたる名峰(?)を一望できる好展望の山です。

全国区の知名度は無いに等しい存在ですが、地元では多くの人に登られており、登山道もかなりしっかりと整備されています。道が不明瞭であることの多い房総半島の山の中では、かなり登りやすい部類の山であることは間違いありません。
隣接する大日山を経て坊滝へと抜ける縦走コースが特に人気があります。という事で私も当然その人気コースを辿ったわけなのですが、実のところ公共交通機関の利用を前提とした場合、この縦走コースには一つの問題があります。

問題と言っても、そこまで身構えるほどの大事ではありません。下山した先に公共交通機関が存在しないと言うだけの、ほんの些末な問題です。ではどうするのかって?道は繋がっているのだから、歩いて戻ればいいのさ。

恐らくは誰の何の参考にもならないであろう、公共交通不毛地帯である房総半島南部の山を、かなり無理やり歩いてきた一日の記録です。
コース

南房総市市営路線バスの天神郷バス停からスタートして御殿山に登頂します。そのまま稜線沿いに大日山まで縦走して、坊滝をへて大日山登山口へと下ります。
下山地点には公共交通機関が存在しないため、JR内房線の岩井駅まで直接歩いて戻ります。全区間の半分以上は舗装道路歩きとなる行程です。
1.御殿山登山 アプローチ編 高速バスから市営バスへと乗り継ぐ綱渡りの旅程
5時45分 ひび割れて薄汚れた物々しいトンネル外壁が印象的な馬喰町駅よりおはようございます。総部快速線に乗り込み一路終点の千葉駅を目指します。

この駅は海のすぐ近くの大深度にあるため地下水には塩分が含まれており、染み出す地下水の塩害によって外壁がこのように異様な見た目になっているらしい。
今にも崩れそうな感じがして、ちょっと長居はしたくない空間です。
6時20分 いつものように発車と同時にうたた寝をしている間に。つつがなく終点の千葉に到着しました。寝ぼけまなこでよろよろとホームに降り立ちます。

駅前に千葉開府900年と銘打たれたモニュメントが設置されていました。開府と言っていますが、そもそも律令体制時代の千葉市は府中(行政の中心地)でしたっけか?

さて、なぜ改札の外に出て駅前をほっつき歩いているのかとい言いますと、この先は電車ではなく高速バスに乗り換えます。

最終的には南房総市の市営バスであるトミー号に乗車したいのですが、内房線利用だと自宅最寄り駅からでは始発電車を乗り継いでもバスの時間に間に合いません。
ところが、高速バスを使うとギリギリ繋がるらしいという事が判明したため、本日はそれを実践してみようかと思います。
6時45分発の南総里見号に乗車します。こちらのバスは途中で高速道路を走行しますが、扱い上は路線バスであり事前予約は不要です。不要と言うか、そもそも予約は出来ません。

高速道路を走行するため原則全員着座で立ち乗りは出来ません。満席だった場合は次の便を待つことになります。どのくらい混雑するのか全く予想がつかないため早めに来て並んでいたのですが、半分くらいは空席でした。

8時 ハイウェイオアシス富楽里(ふらり)バス停に到着しました。ここは道の駅富楽里とみやまと隣接というか一体化している、高速道路と一般道の両方から利用可能な休憩施設です。

道の駅の直ぐ脇に、トミー号の富楽里バス停があります。乗り換え時間が非常に短いので速やかに移動しましょう。

具体的な時刻表を言うと、高速バスがハイウェイオアシス富楽里に到着するのが7時59分で、トミー号が富楽里バス停を発つのは8時3分です。
乗り換え時間は僅か4分しかなく、接続を待ってくれるわけでもないので、道路渋滞などで少しでも遅延が発生すれば乗り継ぎは失敗します。かなりの綱渡りです。
大変シビアな乗り換えであるにもかかわらず、同じ経路をたどって来ている山登りの格好をした人が何人かいました。私自身を含めて、世の中には物好きな人が結構いるものです。

8時20分 天神郷バス停に到着しました。房総のマッターホルンこと伊予ヶ岳の登山口最寄りのバス停です。

伊予ヶ岳には過去に一度登ったことがあるのですが、その時はバスに間に合わないという理由で駅からはタクシーを利用しました。しかし実は間に合う方法がしっかりと存在しました。
と言ってもまあ、乗り換えが間に合わない可能性が少なからずありますけれどね。
ちなみに御殿山の最寄りバス停は天神郷バス停ではなく、もう少し先にある山田中バス停です。ただしトミー号が定期運行しているのはこの天神郷バス停までとなっており、これより先の区間は事前予約制のデマンド交通となります。

デマンドバスに利用制限などは特に設けられておらず、住民でなくても利用は可能です。と言っても山田中バス停までは歩けない距離ではないため、予約はしていません。ここから直接歩いて行きます。
2.南房総の長閑な田園を見下ろす大黒様
8時30分 身支度とトイレを済ませて、本日の行動を開始します。御殿山の登山口まではしばしの舗装道路歩きです。

左手に伊予ヶ岳の姿が良く見えています。どうでしょう、マッターホルン感がありますかね?私は無いと思う。

この時期の房総半島南部と言えば、真っ先に思い浮かぶのが菜の花です。流石に満開にはまだ少し早かったようですが、それでもポツポツと咲き始めていました。

梅の花も咲き始めており、周囲に甘い香りが漂っています。房総半島南部は沖合を流れる黒潮の暖流の影響により気候が温暖で、関東地方の中でもこうしていち早くに春が訪れます。

前方から先ほどのトミー号が戻って来ました。降車時にちらっと横聞きしていたのですが、同じバスに乗っていた人がデマンド交通の予約をしていたらしく、山田中バス停まで行っていたようです。

てっきり天神郷バス停でミニバン車両か何かに乗り換えるものだと思っていたのですが、そうではなく予約がある時にだけもっと先まで行く運用がされているようです。
便乗しようと思えば出来たのかもしれませんが、繰り返しになりますが、どのみち歩いたところで大した距離ではありません。
8時55分 御殿山登山入口まで歩いて来ました。山田中バス停よりは少し手前の地点ですが、ここから山中に入って行きます。

菜の花と並んでこの時期の房総半島で忘れてはならないのがスイセンです。道脇の畔にこれでもかと言わんばかりに咲き誇っていました。

農道をさらに奥へと進んで行くと、ほどなく登山道の入口らしき場所が現れました。

入口に置かれていた案内板によると、この道は登山道ではなくて遊歩道であるとのこと。房総の山はどこも標高の割には手ごわい印象が強いのですが、この御殿山はそれこそお散歩気分で登れてしまうような山なのでしょうか。

先へ進んで行くと、道の脇にクサリ柵が設置されていました。確かにこれは、登山道と言うよりは遊歩道の様相です。

大きく開けている場所に出ました。脇には大黒様入口と書かれた標識が立っています。

なるほど確かに大黒様がいらっしゃいました。麓の集落の住民たちが、地域全体に福が来ることを願ってこの場所まで担ぎ上げたのだとか。

その大黒様が見つめる先には・・・特にこれと言った何かはありません。山とも言えないような丘陵が連なる、房総半島中部の長閑な田園風景が広がっています。

左手には伊予ヶ岳が良く見えています。こちら側から見るとマッターホルン感は微塵にもなく、ごく普通の里山のように見えます。角度限定のマッターホルンか。

だいぶ霞んいて薄っすらとですが、東京湾越しに富士山まで見えました。この低山らしからぬ展望クォリティは、房総半島の山ならではのものです。

大黒様の背後に、早咲きの桜が咲き始めていました。見たところ河津桜ではなさそうですが、何桜でしょう。特に桜に造詣が深い訳でもないのでよくわかりません。

3.房総半島の名峰を一望する好展望の頂
先へ進みましょう。多少のアップダウンはありますが、依然として遊歩道規格の道が続いています。何しろ山頂に日本武尊の御殿があったと言われているくらいな山なので、最後までずっとこの調子なのかもしれません。

崩落個所には厳重な封鎖がされていたり、全体を通じてかなり丁寧な整備されています。丁寧を通り越して少し過剰と感じるくらいです。令和元年台風15号の被害からの復旧の際に、かなりの手が加えられたのでしょう。

途中にベンチまであったりして、まさに遊歩道です。全国区の知名度は全くない山なのですが、地元では愛されている山なのであろうことがひしひしと伝わってきます。

そんな鼻歌交じりに歩けそうな道だったのが、山頂直下に来るなりいきなり様相が一変しました。

なかなかの急勾配です。登山道としてみればまあごく普通の登りなのですが、ここに至るまでの道程が完全に遊歩道状態だっただけに、いきなりのギャップに笑ってしまいました。

幸いにも、最後の急登区間は長くは続きません。割とあっけなく平坦な空間に飛び出しました。

9時55分 御殿山に登頂しました。登山開始からちょうど1時間での登頂となりました。この通り最高地点の周囲は鬱蒼とした樹木に覆われていますが、すぐ隣に展望が開けている場所があります。

その開けている場所に、六角形の東屋が立っていました。これが尊の御殿なのでしょうか。

日本武尊が東征で安房国を平定した際に、この山に拠点を置いたという伝承が残っています。
尊の御殿があった場所だから御殿山と言う名前が付いたらしいのですが、伝承では陣を置いたと言うだけで山の上に実際に御殿が建てられたという話ではないようです。
それだとまったく名前の由来になっていないような気もしますが、はて?
肝心の展望の方ですが、房総半島の名だたる名峰(?)を一望することができます。素晴らしい。

こちらは富山(とみさん)です。隣の伊予ヶ岳とセットで登られることが多く、大変眺めの良い山として知られています。死んだはずだよお富山♪

こちらは先ほどから何度も登場している伊予ヶ岳です。千葉県の山の中では人気知名度ともに比較的高い存在です。千葉県で最も有名な山はビッグサンダーマウンテンだという説もありますが…

鋸山も見えています。ビッグサンダーマウンテンを除けば、間違いなく千葉県の山の中で最も有名であろう一座です。と言っても、山という言うよりは観光地よりの場所ではあります。

反対側に外房の海も見えています。現在地が半島のほぼ中央であることが大変よくわかる光景です。

4.大日山へと続く稜線を行く
陽だまりの御殿の居心地が良くて、つい長居が過ぎました。ぼちぼち行動を再開ししましょう。もと来た道には戻らずに、このまま隣接する大日山を目指します。

山頂からは一度しっかりと下ります。階段が整備されてはいるものの、御殿山までの遊歩道とは違ってこの先はしっかりと山道です。

下ったらすぐに登り返しです。意外とアップダウンがあります。階段の一段の段差がやけに大きくて何気にしんどい。

本当のピークは、登山道から少しだけ外れた場所にありました。良く見ていないと、気が付かずに素通りしてしまいそうなくらいにさりげなくあります。

10時40分 鷹取山に登頂しました。御殿山と大日山の間にあるピークです。何やら古めかしそうな石碑が置かれているのですが、達筆すぎて何と書いてあるのか全く読めません。

道標の足元に錆びついた金属製の缶が置かれています。形状からして、牧場で使用される集乳缶だと思うのですが、そんなものが何故山中に遺棄されているのでしょうか。

まさか牛乳配達が通るコースだったとか?そんな訳はないか。
鷹取山を越えると、アップダウンはほぼなくなり、フラットに近い尾根道になりました。それで良いのです。低山歩きにエキサイティングなアップダウンなどは求めてはいません。

山の中には場違い感がある金網のフェンスが現れました。先にはいったい何があるのでしょうか。

覗き込んで見ると、コンクリートの法面で固められて絶壁になっていました。

地図を見た限りこの下に林道があるようには見えませんが、何のためにこんな山奥の崩落地を固めたのでしょうか。沢の源頭部の崩落を防止する砂防事業の一環か。
少なくとも、登山道の保護のためだけにこんなコストをかけるはずはないので。
またもや集乳缶がありました。ヘンゼルとグレーテルが房総半島の山に迷い込んで、目印としてパンくずの代わりに牛乳を垂らしながら歩いたとか。

ナイフリッジと言うほどではありませんが、尾根が痩せている個所もあります。よそ見でもしない限り、特に危険はありません。

すぐ下に林道が見えています。一応この先にエスケープできる場所があるにはありますが、脱出したところでどのみち山奥であることに変わりはないので、あまり意味は無いと思います。

ピークらしい場所までやってきましたが、樹木が鬱蒼としていてまるで密林のようです。房総半島南部は温暖かつ多雨な場所なので、密林と言うのはあながち間違ではないのかもしれません。

相当古そうな宝篋印塔が立っています。当初はここが大日山なのかと思いましたがそうではなく、宝篋山という名前のピークです。この塔があることがそのまま名前の由来になっています。

山頂の直ぐ近くに別の石碑が立っていますが、これはずっと新しい時代のもので海軍航空機墜落慰霊碑です。昭和16年に館山航空隊の練習機がこの付近に墜落して乗員3名が殉職したことを悼んでたてられたものです。

今度こそ大日山の山頂らしき場所が見えてきました。ラストスパート・・・と言えるほど疲れてもいませんが、ともかく山頂へ駆け上がりましょう。

登りきると、御殿山よりもずっと広々とした山頂部が広がっていました。御殿を立てるのなら、むしろこちらの方がよさそうなものです。

11時40分 大日山に登頂しました。御殿山からは特に分かり難いような個所もなく、房総半島の山らしからぬ安心安全な道程でした。

立派なパノラマ展望図が設置されています。わざわざこんなものが用意されているという事は、さぞや眺めの良い山なのでしょう。

訂正します。かつてはさぞや眺めの良い山だったのでしょう。今では木々が大きく育ち、展望はほとんどありません。絶景は心の目で見ましょう。

5.増間七滝をへて大日山登山口に下る
さあ下山しましょう。この大日山の登山コースも、御殿山と同様に遊歩道として整備されています。結局山道らしい山道だったと言えそうなのは、両ピークの間の区間だけでした。

サクサクと分岐地点まで下って来ました。最速で下山したいのならここを左ですが、右の沢沿いに下ると増間七滝と呼ばれる滝があります。

特に先を急ぐ理由も無いので、ここは当然滝経由の下山ルートを選択しました。相変わらず遊歩道規格の道が続いていますが、御殿山に比べるとこの辺りはやや荒れ気味です。

しっかりと階段が整備されている訳なのですが、段差に土や落ち葉が堆積していて、斜め一直線の滑り台の様な状態になってしまっていました。いやこの下り、無茶苦茶怖いんですけど。

おっかなびっくり何とか下まで下って来ると、小さな沢を渡る太鼓橋が掛かっていました。

この橋のちょど真下に、増間七滝の一つである坊滝があります。どうやら今は渇水期らしく、岩肌を濡らす程度のわずか水流しか流れてはいなさそうです。

滝を下から見ることが出来る鑑爆台があるようなので、入口まで道なりに下って行きます。

この手すりの倒れっぷりからして、相当荒れていそうな予感がします。とりあえず立ち入り禁止にはなっていないようなので、気にせずに下りて行きます。

幸いにも鑑爆台そのものは、崩れたりはせずにしっかりと残っていました。

こちらが坊滝です。増間七滝の中はで最も落差が大きく、約25メートルほどあります。房総一の名瀑とも称されている滝なのですが、今の時期は水量がほとんどないためかイマイチ迫力に欠けます。

もっと雨の多い時期に訪れればまた違った光景になるのでしょうが、いかにもヤマビルが大量に出そうな場所なので躊躇してしまいます。
鑑爆台からの距離が近すぎて全容が写真に納まらなかったので、わざわざ川原へおりて少し引いた位置からもう一枚撮影しました。房総一かどうかはさておき、かなり大きな滝であることは確かです。

この坊滝へと至る林道は、ごく最近にブルドーザーで路上にたまった土砂の撤去作業を行ったばかりらしく、足音の土が柔らかくて強烈な土臭さが漂っていました。

恐らくはその作業を行ったことが原因で、道の脇の斜面からほぼ絶え間なく音を立てて小石などが路上にパラパラと降ってきます。これは長居しない方がよさそうです。足早に通り抜けてしまいましょう。

今度は前蔵引の滝と書かれれている分岐がありました。増間七滝のうち、鑑爆台が整備されているのは坊滝と前蔵引き滝の二つだけで、残りの滝は沢登りの装備が無いと見ることは出来なようです。

こちらの鑑爆台は半壊してしまっており、トラロープで封鎖されていました。仕方がないので、先ほどの坊滝と同様に直接川原まで下ります。

坊滝に比べるとずっと小ぶりな滝です。わざわざ苦労してまで見るほどのものではないかな。

下から見ると、鑑爆台の土台が思っていた以上に派手に崩れていました。いつ崩壊してもおかしくない危険な状態にあるので、絶対に上にはのらないようにご注意ください。

道なりにさらに下って行くと、谷底に広々とした川原のような空間が広がっていました。ここには本来、増間ダムによって堰き止められた溜池があるのですが、今は渇水期であるため干上がった湖底が露出している状態です。

こちらがその増間ダムです。房総半島の山間部ではよく目にする、農業用水用のごく小さなダムです。

13時 大日山登山口に到着しました。専用の駐車スペースがあり、車でお越しの人はここからスタートすることができます。そもそも、この山に登りに来る人の99.9%は車でお越しの人であろうかと思われます

その理由は・・・この後に嫌でもわかります。
6.御殿山登山 帰還編 岩井駅までの遠い道程
下山は完了しましたが、現在地の南房総市増間地区は房総半島のほぼ中央部に位置しており、海沿いを通るJRの鉄道路線からは遠く離れています。

ここから駅へ戻りたかったら、普通であればバスに乗るというのが選択肢になるかと思います。ところが、ここにはそれが存在しないのです。いや本当に。
厳密に言うと、定期運行している路線バスが無いというだけで、事前予約制デマンド交通のチョイソコがカバーしているエリアです。予約するには会員登録が必要ですが、住民でなくても登録は出来ます。

事前に会員登録を済ませて予約を入れてさえおけば、おそらくはここから館山駅まで運んでもらえるはずです。恐らくと言っているのは、当の私自身がチョイソコを利用しなかったため、本当に可能なのかどうか検証出来てはいないからです。
私は常日頃から、自治体からの補助金注入により安価に運行されている過疎地域の交通期間を利用するたびに、ある種の罪悪感と言うか、住民以外の利用者からはもっと高額な料金を徴収すればいいのにと思っています。
それでも定期運行されている路線バスであれば、私が乗ろうが乗るまいがバスは走るのだから罪悪感もいくらか薄らぐのですが、予約制のデマンド交通となると「これはフリーライドなのではないか」という考えがどうしてもよぎってしまいます。
運行側が「どなたでもご利用できます」と言っているのだから、なにも悪いことでは無いのだと理屈ではわかっているのですが、それでもやはり後ろめたさの感情を拭い去れません。
ならどうするのか、という問い掛けに対する答えは単純にして明快です。道は繋がっているのだから、駅まで歩いて行けばいいのよ。

正気かって?HAHAHA!正気なわけないだろ。いまさら何を言っていますのやら。
正気を保ちつつ、フリーライドの後ろめたさも感じたくないという方は、下山後はタクシーを呼ぶのが最も適切かつ妥当な解決方法になろうかと思います。
こうして道の脇に咲き誇る花々を愛でながら歩けば、駅までのひたすら長い道のりも少しも苦にはなりません。・・・嘘です。遠すぎて嫌になって来ました。

15時40分 そんな訳で最後の方がだいぶ端折りましたが、岩井駅まで歩いて来ました。いやはや遠かった。

タイミングが良かったようで、さしたる待ち時間もなくすぐに電車がやってきました。内房線は君津駅から先が単線区間となっており、時間帯によってはかなりの待ち時間が発生します。時刻表は前もって確認しておきましょう。

このまま電車で帰ることもできますが、せっかく房総半島に来たのだから、浜金谷駅で下車して東京湾フェリーで帰ることにします。
フェリーに乗り換えたところで、別にJRで帰るよりも早くもなければ安くもありません。経済的合理性がある訳ではなく、ただフェリーに乗りたいから乗るのです。

さらば房総半島。毎年のように今くらいの季節に訪れているので、きっとまた来年も菜の花が咲く頃に来ることになるでしょう。

しばしの東京湾クルージングを楽しみます。たとえ経済的な合理性がなかろうと、長々と内房線に乗って帰るよりもこの方が楽しいことは間違いありません。

久里浜までは30分ほどの船旅です。毎度のことながら、暖房の効いた船室には入らずに、寒風が吹きさらす甲板上を右だ左だとはしゃぎまわります。子供かな?

乗り換え時間4分の綱渡りアプローチからの下山後10kmオーバーの舗装道路歩きと、かなりの無理やり感がある行程ではありましたが、ご覧いただいた通り公共交通機関を利用して御殿山から大日山へ縦走することは可能です。これを可能と言ってよいのかどうか意見は分かれそうですが、とにかく私は実際に歩いて来ました。
御殿山がとても良い山であること自体に疑念を挟む余地は全くありませんが、オススメかと問われると何とも回答の難しい山です。アプローチの難しさを克服する具体的な手段をお持ちであれば文句なしにオススメであるし、10kmオーバーの舗装道路歩きが全く苦痛ではないとい人にもまあオススメです。苦労に見合うかどうかは各々方が慎重に判断して訪問してください。
<コースタイム>
天神郷バス停(8:30)-御殿山登山入口(8:55)-大黒様(9:30)-御殿山(9:55~10:20)-鷹取山(10:40)-大日山(11:40~11:55)-坊滝(12:15)-大日山登山口(13:00)-岩井駅(15:40)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。








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