箱根旧街道 三島宿から箱根峠まで箱根八里の西坂を行く

箱根八里記念碑
静岡県三島市にある箱根旧街道を歩いて来ました。
箱根八里と呼ばれていた東海道の箱根越え区間のうち、西側の三島宿から箱根宿に至る区間の街道跡を辿る行程です。現役の国道1号線と重なっている区間もあるため全区間ではありませんが、今でもかつての街道跡を辿ることが出来るウォーキングコースとして整備されています。
三島から箱根峠を目指して、往年の箱根越えの苦労を偲んできました。

2025年12月28日に旅す。

箱根の山は天下の険♪

ときは令和7年の年の暮れ。自分の内部では年末の恒例行事となっている、箱根に訪問してきました。毎年訪れているれていると流石にそろそろネタ切れ感もあるため、今回は少し趣向を変えて箱根旧街道の西坂を歩いて来ました。
箱根旧街道の案内版
西坂とは箱根八里と呼ばれている区間のうち、箱根宿と三島宿の間を指す名称です。何気にこの静岡県側の区間には一度も足を踏み入れたことがなかったため、今回白羽の矢を立てました。

この区間を踏破することだけを目的とするなら、箱根峠からスタートして下って行く方が遥かに簡単ですが、やはり最後は温泉で締めたいという事で、逆向きに三島側から登ります。

現在の国道1号線は江戸時代の東海道とほぼ同じルートを踏襲しているため、当時の石畳などが保存されている場所は一部の区間に限られています。そのため行程の大半は舗装道路歩きとなります。
箱根旧街道 臼転坂
ずっと登り勾配が続きますが、山登りと言うよりはウォーキングの範疇に含まれるものと考えた方が妥当かと思います。

往年の旅人たちの箱根越えの苦労を偲びつつ、昼猶闇き杉の並木を歩いて来ました。
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1.箱根旧街道 アプローチ編 鈍行列車で行く三島への旅路

5時29分 小田急線 新宿駅
ここ最近私は、小田急線に乗車したい時には(言うほど近くは無い)最寄り駅喜多見まで自転車を漕いで行くことが習慣化されていました。ですが今朝の冷え込みは相当厳しく、自転車という気分にはなれなかったため電車で遠回りして行きます。
小田急線新宿駅のホーム

7時15分 暖房の効いた快適な車両でぬくぬくと睡眠をむさぼっている間に、つつがなく終点の小田原駅に到着しました。
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目的地は東海道線の三島駅なのですが、最初からJRに乗車するよりも小田原までは小田急線を使用した方が圧倒的に運賃が安いため、当然(だよね?)ながら小田急線でやってきた次第です。と言うことで、小田原からJRに乗り換えます。
小田原駅のJR改札

三島駅はJR東海の管内となるため、紙の切符を購入して乗車します。ICカードをタッチして改札してしまうと、あとで精算する際に面倒なことになるので要注意です。
小田原から三島までの切符

8時17分 三島駅に到着しました。鈍行列車を乗り継いでくると、なんだかんだで結構な時間がかかります。なお新幹線なら、東京駅からの所要時間は1時間未満であると言う事実を付け加えておきます。
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2.元日に向けた準備が進む、年の瀬も押し迫った三嶋大社

8時20分 身支度も早々に、本日の行動を開始します。駅から箱根旧街道のルートに乗るためには、とりあえず三嶋大社を目指せば自然に合流出来ます。
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駅前から道なりに緩やかに下って行くと、左手に小さな公園がありました。周囲には何となく湿り気感じる、しっとりした空気が漂っています。
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白滝公園と言う名前で、設置されている案内板によれば、富士山からの伏流水が湧き出す泉があるのだとか。
白滝公園の案内板
本日の主題である箱根旧街道歩きとは何のかかわりもない公園ですが、私は湧水には目がない湧水マニア(?)なので、湧水があると言われたら無視する訳にはいきません。

まだ出発して早々ですが、いきなり寄り道をしていきます。

透き通った水が滾々と湧き出ています。富士山に降り積もった雨や雪は、長い年月をかけて溶岩石の隙間に浸透し、やがてはこうして麓から湧き出してきます。
三島 白滝公園の湧水

三島市内には白滝公園の他にも多くの湧水が存在し、この桜川へと流れ込んでいます。比較的海に近い場所にある町中に、このような透き通った清流が流れているのはなかなか珍しいと思います。
三島氏の桜川

川沿いに進んでい行くと、三嶋大社の入り口が現れました。どうやら正面口ではなく裏口のようですが、ここから境内の中を通り抜けられます。
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通り道上にあるためなんとなしに立ち寄っただけなのですが、三嶋大社が伊豆国の一宮であるという事実を現地で知りました。そんな有名どころでしたか。
三嶋大社

もう間もなく元日を迎える時期とあって、お守りや破魔矢など置く臨時の授与所が設営されて着々と準備が進められていました。
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お正月になれば押すな押すなの大混雑となるであろう参道も、今は静まり返っていました。来る嵐の前の静けさと言ったところでしょうか。
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正面入口へとやってきました。ここからようやく本題であるところの、箱根旧街道歩きが始まります。
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それよりも先ほどから、屋台の富士宮焼きそば気になってしょうがないのですが、この時間はまだ営業していまいせんでした。残念。

関東ふれあいの道を思わせるような、石製のキロポストが設置されていました。箱根関所までは15kmあります。箱根峠まではずっと登り勾配が続くことと合わせて考えると、なかなか歩き応えはありそうです。
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3.幾多の坂を乗り越えて歩む、箱根越えの道

それでは張り切って箱根越えの旅に出発しましょう。今から越えようとしている箱根外輪山の稜線は、この通り最初から前方に見えており、自然とやったるでぇ感が湧いてきます。
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歩き始めて早々に大場川という川を渡ります。方角的に橋の上から世界遺産のアイツが見えそうな予感がしますが、さあてどんな感じでしょうか。
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思った通りに富士山の頭だけが見えました。と言っても、この先の坂を登って行けば景色はどんどん良くなっていくので、こんなところで喜んでいないでどんどん先へ進みましょう。箱根八里はまだ始まったばかりです。
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前方に崖になっている高台が見えてきました。国道一号線は、この崖地と直接対決を避けるかのように、右方向へ大きくカーブしています。
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しかし標識によれば、箱根旧街道はここを回り込まずに直進するようです。なかなかやる気満々ではありませんか。
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その名も旧東海道踏切と言う名称の踏切で、東海道本線を渡ります。今ではそんなに交通量が多くない旧道とは言えども、天下の大幹線である東海道本線が立体交差になっていないのは少し意外な感じがします。
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踏切を渡ったところに、箱根旧街道入口と書かれた案内案が置かれていました。ここからいよいよ、歩道として整備された旧街道区間が始まるのでしょうか。
箱根旧街道の案内版

と思ったら、普通にアスファルト舗装された坂道が続いていました。なかなかの傾斜度で、地形的にもともと崖地だった場所を掘り下げた切通しになっています。
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案内板によると、この坂は愛宕坂と呼ばれていたとのこと。急勾配過ぎて人も馬も滑って通行困難であったため、江戸期の早い段階から石畳舗装に改修されていた区間です。三島側から歩く場合における、箱根八里最初の関門と言ったところでしょうか。
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愛宕坂の上まで登って行くと、当時の石畳が少しだけ復元されている区間がありました。
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高台の上に出たことにより、展望が大きく開けて来ました。愛鷹山の背後に富士山が良く見えています。東海道を行く当時の旅人達も、この絶景に慰められながら困難な道を歩んだのでしょう。
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五本松交差点で現在の国道1号線と合流しました。ここから先はしばしの間、復元された石畳の道が国道の歩道として整備されています。
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この辺りは江戸時代には松の並木が並んでいたという事で、現在でもそれにならって松の街路樹が植えられています。往年の雰囲気を少しでも残そうと努力しているようです。
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9時30分 錦田一里塚まで登ってきました。一里塚とは街道をゆく旅人のために現在地と距離の目安として設置されていたもので、名前の通り一里(約4km)ごとにあります。
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一里塚は土が盛られていて、遠くらでも目立つように松かエノキが植えられているのが一般的です。現在はえているこのエノキは江戸時代当時からのものではなく後年に植樹されたものですが、当時のありようを忠実に再現しています。

松の並木エリアを過ぎると、旧街道の道筋は現行の国道1号線の飲み込まれて一旦途絶えます。ここからはしばしの間、単調な舗装道路歩きが続きます。
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途中に伊豆縦貫自動車道とのインターチェンジがあり、車の交通量がかなり多めです。風情に欠ける光景が続くため、この辺りは箱根八里歩きにおける我慢のしどころです。足早に進んでいきましょう。

結構長々と登って来たところで、再び現国道と旧街道が分かれる場所がありました。
箱根旧街道 臼転坂の入口

こちらは臼転坂(うすころげざか)と呼ばれています。臼は別に急坂でなくても普通に転がるだろうとツッコミを入れたくなるところですが、牛が転げ落ちたという伝承があり、牛が訛って臼に変わったという説もあるのとのこと。
箱根旧街道 臼転坂
箱根の土壌は基本的に火山灰由来のいわゆるローム層です。踏み固められたローム層の地面が雨で濡れた時にどうなるかは、登山が好きな人であればよくご存じの事でしょう。

4足歩行の牛でさえも滑って転ぶような有様となり、当初は竹を敷き詰めるなどして対応していましたが、その後石畳に改修されました。

かつては多くの旅人が行き交い賑わったであろう道も、今では旧街道巡りをするごく僅かな物好きが通るだけの静かな空間です。枯葉が深くつもり自然に還りつつありました。
箱根旧街道 臼転坂

道の脇にさりげなく馬頭尊がある辺りも、いかにも歴史ある街道らしい光景です。
箱根旧街道の馬頭尊

臼転坂を過ぎると、またすぐに国道1号線に合流しました。自動車交通を前提とした勾配で作られている現在の国道に対して、徒歩が前提だった旧街道はずっと急勾配で一直線の線形になっています。
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六地蔵と銘打たれたお地蔵さまが並んでいます。しかし、どう見て六体以上いるような?誰かが勝手に持ち込んで増やしたのでしょうか。
箱根旧街道 六地蔵

またもや現国道が右へ大きくカーブしています。ここには何故か道標などの案内がありませんでしたが、旧街道を辿るなら左が正解です。
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法面の隙間に取って付けたかのような階段が続いていました。この辺りはもう、地形そのものが当時とは完全に別物に改変されてしまっているのでしょう。
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この坂は題目坂と呼ばれていたようですが、建物の隙間に押し込められて道幅が極端に狭くなっており、前述の通り当時の道筋とは別物です。遊歩道としての連続性を持たせるために整備された連絡通路と言ったところでしょうか。
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坂を上った地点に、三島市眺望地点と書かれた案内がありました。旧街道と直接の関係はありませんが、好展望地があると聞いては無視するわけにまいりりません。立ち寄って行きましょう。
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行ってみると、確かに素晴らしい眺めが広がっていました。当時の浮世絵にそのまま描かれていそうな光景です。
三島市眺望地点からの展望

富士山の山腹にある宝永噴火口がちょうど真正面に見えています。富士山を南側から眺めた時の特徴的な姿であり、普段見慣れている山梨県側から見た姿とはだいぶ趣が異なります。
三島市眺望地点から見た富士山

前方に谷の上に架かる長い吊橋が見えています。三島スカイウォークという名称の観光吊橋です。
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この橋の存在自体は以前から認識はしていましたが、実はどこにあるのか正確な所在地がよくわかっていませんでした。西坂の途中にありましたか。

4.昼猶闇き杉の並木と山中城址

まだまだ先は長いのでどんどんまりましょう。道の周囲の様子は特に変わらず依然として市街地が広がっていますが、心なしか坂の勾配がより大きくなってきているように感じられます。
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ここでまた旧街道との分岐らしき場所が現れたので、当然ながら脇道の方へと入って行きます。
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この坂はこわめし坂と呼ばれていて、箱根西坂の全区間の中で最も勾配がきつい区間です。現役の道と完全に重複してしまっているため、残念ながら石畳などの遺構は何も残っていません。
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住宅地の只中とは言え、こうして道の脇が背丈を越える笹竹に覆われている辺りは、いかにも箱根らしい光景です。ここだけを切り取って見ると、まるで外輪山の稜線上のようにも見えます。
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坂の最後には見上げるような角度の激登りになりました。この傾斜度で舗装されていない赤土がむき出しの状態だったらそれはもう、草鞋を履いていようがまともに歩けはしない状態だったことでしょう。
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こわめし坂を上りきったところで、横から登って来た国道1号線を横断します。横断した先に、石畳舗装された道が続いているのが見えます。ようやく旧街道歩きらしい光景が見られるのだろうか。
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11時 笹原一里塚まで登ってきました。錦田一里塚から4kmを歩いて来たことになります。平坦な道であれば1時間とかからない距離ですが、やはり登り坂が続くとそれなりに時間はかかります。
笹原一里塚

この笹原一里塚から先の区間が、箱根旧街道の中でも当時の石畳がよく保存されている区間となります。そうそう、こういう光景を期待していたのですよ。
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この足元の石畳は江戸時代当時のものがそのまま残っている部分もあれば、欠けてしまった箇所を復元してることもあり、入り混じっている状態です。

復元するにしても、神奈川県産の安山岩を使用して当時の舗装状態をかなり忠実に再現しています。

遥か先に見えいていた三島スカイウォークが、いつのまにかすぐ目の前にありました。
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背後には沼津アルプスこと静浦山地が良く見えています。ひたすら住宅地の只中を歩いていただけのような印象でしたが、こうして見ると結構登って来ました。
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せっかくの機会なので三島スカイウォークに立ち寄って行こうかと思ったのですが、チケット売り場に長蛇の列が出来上がっているのを見て思い直しました。こんなに人気の高い場所だったのですね…
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という事で、寄り道はなしで旧街道歩きをつづけましょう。三島スカイウォークを過ぎて以降も、石畳舗装された旧街道が保存されている区間が続きます。
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11時25分 富士見台と呼ばれている場所まで登ってきました。どうやらドライブインがあったようですが、すでに廃業しているらしくシャッターが下りています。
箱根旧街道 富士見平
何故か写真を撮り忘れてしまったのですが、松尾芭蕉が詠んだ詩「霧しぐれ 富士を見ぬ日ぞ 面白き」が刻まれた句碑が置かれています。

松尾芭蕉が見たであろう光景とはもはや完全に別物となってしまっていますが、今でもしっかりと富士山は見えています。
箱根旧街道 富士見平からの富士展望

スカイウォークに続いて今度は、ドラゴンキャッスルなる遊興施設がありました。相模湖プレジャーフォレストのマッスルモンスターみたいなものでしょうか。
ドラゴンキャッスル
これ絶対に面白いやつだ。さすがに今日は寄って行くいく時間はありませんが、いつか遊びに来ます。

四季遊山というキャンプ場らしき施設の入口の脇に、箱根旧街道が続いています。おいそこのおベンツ、そこは駐車スペースではないぞ。
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まさに唱歌の箱根八里にうたわれている通りの、昼猶闇き(ひるなおくらき)杉の並木になりました。おそらくはこの辺りが、往年の姿を最もよくとどめている場所であろうと思います。
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この最も箱根街道らしい光景の場所に、箱根八里記念碑が置かれていました。
箱根八里記念碑

「幾億の跫音が坂に積もり 吐く息が谷を埋める わが箱根にこそ」と書かれています。北条早雲が主人公の司馬遼太郎の小説「箱根の坂」の一節です。
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そう言えば箱根の坂は読んだことがありませんでした。時間があるときに読むことにします。

11時50分 山中城址まで歩いて来ました。箱根旧街道とは直接的なつながりはない遺跡ですが、私は城址には目がない城址マニアなので、ここは当然立ち寄って行きますよ。
山中城址

山中城は箱根旧街道が大々的に整備された江戸時代の城ではなく、それより以前の北条氏の時代の城です。豊臣秀吉による小田原征伐の際には、激戦地となった場所です。
山中城址の案内板

この城跡は相当に発掘調査が進んでおり、土塁の跡などはすべてくっきり明瞭に掘り起こされてります。曲輪っぽい地形がかろうじて残っているだけのマイナーな里山にある城址のように、想像力を働かせる必要はまったくありません。
山中城址

眺めも大変すばらしく、城址には少しも興味がない人にもお勧めできるスポットです。なによりも、入場が無料である点が特に素晴らしい。
山中城址から見た愛鷹山と富士山

ちょうどお腹もすいてきていたタイミングだったので、この芝生の上で弁当を広げて大休止を取りました。箱根峠までの道程はまだまだ遠い。
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5.国道沿いを黙々と登る、箱根峠への最後の区間

13時 陽だまり芝生に寝そべるのがあまりにも気持ちが良すぎて、少々のんびりしすぎました。ボチボチ行動を再開しましょう。
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ちなみに山中城址の前にはバス停もあるので、もう歩くのに飽きたという人はいつでもエスケープできます。

復元された石畳の旧街道区間がもうしばらくの間続きます。
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埋もれていた江戸時代の石橋を復元したという案内板が置かれていました。はて、橋なんかあったけか。
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そう思いながら足元を見ると、側溝の蓋か何かの様にしか見えない小さな石橋になっていました。あまりにもさりげなくありましたが、これが江戸時代につくられたものだと言われると感慨深いものがあります。
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行く先の杉林が切れて、まぶしい光が差し込んできました。旧街道区間はそろそろ終わりかな。
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ここでまた国道1号線に合流しました。この辺りまで登って来ると、さすがにもう道の周囲に住宅地は無く、完全な山間部の領域になります。
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青看板には箱根まで4kmと書かれています。一言箱根と言ってもかなり広い領域ですが、ここで言う箱根とは具体的にどの地点のことを指しているのでしょうか。まあとにかく、まだあと一里はあるという事ですな。
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ここからは国道沿いを歩きます。歩道がある分だけまだいくらかマシではありますが、かなり単調です。まあこれは仕方がない。
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この辺はツマランなーとボヤキながら黙々と登っていると、脇から旧街道らしい道が合流してきました。あれれ?ひょっとして分岐があったのに見逃してしまっていたのでしょうか。
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13時55分 山中一里塚まで登ってきました。どうやら先ほど国道1号線と合流した直後に、ちゃんと旧街道への分岐があったようです。なんてこったい。
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そしてこの山中一里塚から箱根峠までの区間も、以前は旧街道を辿ることが出来たのですが、令和元年台風十九号の影響によるがけ崩れによって、通行止めの状態が続いています。
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となれば、国道1号線ウォーキングを続行するしかありません。後半戦はだいぶグダグダな感じになってしまいましたな。
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道の脇に峠茶屋を名乗る建物が現れました。峠の茶屋があるからには、峠まではもうあと少しなはずです。
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かくして前方に、駒ヶ岳と神山が姿を見せました。ひたすら長かった箱根越えの道が、ようやくにして終わるときが訪れました。
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14時50分 箱根峠に到着しました。三島駅を出発してから6時間30分をかけての到着となりました。と言ってもまあ、中山城址で1時間以上油を売ったので、実際はもう少し短い時間で登ってこれます。
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昔の旅人たちは、ここまで登って来るのに何時間くらいをかけていたのだろうか。いずれにせよ、相当な健脚者ぞろいだったことは間違いなさそうです。

6.箱根関所を経て元箱根港へ

何やら既にやりきった感が漂いつつありますが、箱根関所までを歩ききらないことには、西坂を踏破したとは言えません。最後の仕上げに取り掛かりましょう。

箱根峠周辺の国道1号線には歩道もなく、さらにはスカイラインへのインターチェンジが複雑に入れ込んでいて、歩行者のことは全く考慮されていません。ここは天下の東海道ぞ。歩いて何が悪いのか。
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だいぶおっかない思いをしましたが、途中から旧箱根街道に逃げられるので、当然そちらへ進みます。
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この新旧の街道が交差している光景には見覚えがあります。確か以前箱根三国山に登った際に一度歩いたことがあるはずです。
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サクサクと足早に下って、箱根町港まで降りてきました。
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ここでバスを待てば、箱根湯本に下りることができます。なのですが、西坂の範囲とされているのは箱根関所から三島宿までの区間なので、一応は最後まで歩ききりましょう。
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15時30分 箱根関所に到着しました。これにて箱根八里の西半分の踏破は達成されました。
箱根関所
往年の旅人たちの苦労を偲びたいのなら、本当は箱根町港で一泊して翌日に小田原まで歩くべきなんでしょうな。まあ、そこまでするつもりはありませんが。

関所からは箱根町港まで引き返してもよかったのですが、せっかくなのでこのままも元箱根港で歩いて行きます。何しろ箱根に来ておきながら今日はまだ全然箱根らしい光景を見ることができていないので、もう少し箱根成分(?)を補充せねばなりません。
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という事で芦ノ湖と富士山と海賊船と言う、これ以上ないくらい純度100%の箱根成分を摂取することができました。これでもう思い残すことは・・・まだあります。箱根に来た以上、最後は温泉で締めなくてはなりません。
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15時45分 元箱根港バス手に到着しました。ここからバスに乗って、途中で温泉に立ち寄りつつ撤収します。
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湯元行きのバスに乗車して、途中の天山湯治郷で下車します。実は箱根にはあまり多くはない、日帰り入浴専門の施設です。以前にも一度立ち寄ったことがあり、今回は再訪です。
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ここは露天風呂しかないので冬は猛烈に寒いのですが、わかっているのに何故かまたここへ来てしまいました。毎度のことながら学ばないおっさんです。
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ひと風呂浴びた後は、行列ができていたバスの利用は見送って、湯本まで歩いて下ります。だいたい徒歩30分くらいの距離です。
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駅前の商店街で年越しそば用の箱根そばを購入して、これで人間らしいお正月を迎えるための準備は整いました。
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いつも通りロマンスのない普通列車に揺られて、帰宅の途につきました。
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年末恒例の箱根登山もいい加減ネタ切れなので、今回はいつもとは少し趣向を変えた形にしてみましたが、これはこれで数々の歴史ロマンがちりばめられた良コースでした。登山とはちょっと違かとは思いますが、自信を持っておススメできます。
ほぼ全行程がバスの走る国道1号線と並走しているため、いくらなんでも長すぎると感じる方は、途中の程よい位置で切ることも可能です。東海道を行く往年の旅人たちの苦労を偲びつつ、箱根八里を歩いてみてはいかがでしょうか。

三島駅(8:20)-錦田一里塚(9:30)-笹原一里塚(11:00)-山中城址(11:50~13:00)-山中一里塚(13:55)-箱根峠(14:50)-箱根関所(15:30)-元箱根港(15:45)

251228箱根旧街道-099
完

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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