長野県佐久穂町と小海町にまたがる茂来山(もらいさん)に登りました。
別名で佐久平とも呼ばれる佐久盆地の南に位置し、盆地内のどこからでも見える象徴的な存在の山です。古くから雨乞いの山として山岳信仰の対象となっており、佐久地方の人々に愛されてきた隠れた名峰です。
海瀬駅から延々徒歩でアプローチし、佐久平を見下ろす大展望を満喫してきました。
2023年1月29日に旅す。
茂来山は全国区の知名度はないであろう比較的マイナーな山ですが、周囲にある山よりも頭一つ抜けた標高を持ち、佐久平駅から見た際に大変目を引く存在です。
かくも里に近くて目立つ山を古人達が放っておくはずもなく、雨乞信仰の山として崇められてきた地域の象徴的存在です。
茂来山がある長野県東部の山間部は、公共交通からは完全に見放されている一帯です。登山口の近くまで乗り入れている路線バスなどは存在しないため、小海線の海瀬駅から直接歩いてアプローチしました。
登山口までは片道6km少々であるため、歩けないことはない距離です。それでも、徒歩でアプローチする人は圧倒的に少数派でしょうけれども。。
山頂からは周囲を遮るものが一切ない、文字通り360度の大パノラマが広がります。薄っすらと雪化粧した、知る人ぞ知る佐久の名峰を巡って来た一日の記録です。
コース
小海線の海瀬(かいぜ)駅から、槇沢(まきざわ)コースの登山口まで徒歩でアプロ―チします。登山口から山頂までは、往復で4時間程度の行程です。
地元の人にとっては、短時間でサクッと登れる手軽な山なんでしょうね。駅から歩いて行くと、全くもって手軽ではありませんでしたけれどね。
1.茂来山登山 アプローチ編 新幹線で行く佐久盆地へ旅路
6時17分 JR東京駅
東京から長野県へ電車で行く方法は、さっくり言うと二通りあります。中央本線か北陸新幹線です。本日は新幹線で佐久平を目指します。
当然ながら新幹線の方が所要時間は圧倒的に短く、何なら北信地方にある山でさえも東京発の日帰り登山が可能です。
特急あさましか選択肢がなかった時代には到底考えられなかったことで、新幹線はまさしく夢の超特急なんだなあとしみじみ思うしだいです。運賃はとっても高いけれどね。
夢をかなえるには、いつだってお金がたくさん必要なんです。
7時43分 快適な新幹線の座席で安眠をむさぼっている間に、つつがなく佐久平駅へと到着しました。ホームへ降り立つなり、東京とは明らかに違う冷たく引き締まった空気が出迎えてくれました。
山に登るまでもなく、駅のホームで遭難しそうなくらいに寒いんですけれど。冬の長野県はいつ来ても、さわやか信州と言うよりは凍てつく信州状態です。
この次は小海線に乗り換えるのですが、少し待ち時間がるのでちょっと周囲の景色を眺めていきましょう。
目指す茂来山の姿がちょうど正面に見えました。少し雲がかかってしまっているのが気がかりですが、天気予報によればこの後は快晴になるはずです。
八ヶ岳連峰も雲隠れ中です。冬の佐久盆地の天気はいつもこんな感じで、朝のうちは濃霧に覆われていることが多いそうです。気温が上昇してくれば、やがては晴れてくれるはずです。
そろそろ良いお時間なのでホームへ移動しましょう。小海線のホームは新幹線の改札からは少し離れた場所にあります。
予報の通り、茂来山を覆っていた雲は晴れていました。実に幸先の良いスタートです。本日はなにもかもがうまくいきそうな予感がします。
ハイブリッド気動車のキハE200形がやって来ました。小海線でのみ運行されているレアな車両です。ディーゼルエンジンで発電してモーターで走る構造で、走行中はエンジン音とモーター音が同時に鳴ります。
中込駅を過ぎて以降はワンマン運転になり、降車時は先頭の扉しか開きません。目的の駅に近づいたら前の車両に移動しておきましょう。乗車時に整理券を取り、降りるときに運賃表に従って料金を払います。路線バスと同じ方式です。
8時35分 海瀬駅に到着しました。駅のホームの上を水力発電のパイプが横切っていると言う、大変珍しい景観が出迎えてくれました。
当然ながら無人駅です。小さな待合室がありますが、トイレはありません。用は前もって済ませておきましょう。
海瀬駅は海岸線から最も遠いい場所にある駅です。もっとも近い新潟県糸魚川市の海岸から112.77km離れています。名前に海の文字が入っているのに一番遠いいと言うのが面白いですね。
小海線の沿線に海と付く地名がやたらと多いのは、かつてこの地域には八ヶ岳から流入した土砂によって千曲川に形成された天然ダムによる堰止湖が数多く存在し、水浸しだったからだと言われています。
2.抜井川沿いに広がる長閑な田園地帯を歩き、槇沢登山口を目指す
駅の出口がどこにあるのかわからず一瞬探しましたが、ホームの端にありました。住宅地の中に無理にねじ込んだかのような狭い通路です。
正面に浅間山が見えました。この山は本当にどこからでもよく目立つ。
踏切はないため、国道299号線のアンダーパスを潜ります。この国道299号は、長野県の茅野市から埼玉県入間市を結ぶ長大な道で、十国峠を越える山間部はいわゆる酷道と呼ばれています。
アンダーパスを潜ってすぐにあるこの橋を右折して渡り、国道299号線とは早々と袂を分かちます。
目指す茂来山の姿が正面に見えました。特に道標などの案内は一切ありませんが、始めから目的地が見えているので迷う事は無いかと思います。
大きな道が横切りますが、ここは右から左とクランクしながら直進です。こんな詳細に解説したところで、海瀬駅から歩いて茂来山に登ろうと言う人が果たしてどれほどいるのかは、甚だ疑問ではありますが・・・
後はひたすら道なりです。延々長いので覚悟してください。登山口まではおよそ6kmの道程です。
川沿いに田園が広がる長閑な里山の光景です。記事の冒頭を飾るための良い感じな写真を撮れそうなアングルなのですが、時間帯的にちょうど逆光が直撃してしまいました。
フレーム内に太陽が入らないように撮っててみましたが、やはり逆光の影響でイマイチな写りです。本日はピストンの計画なので、ひとまずは帰路に期待しましょう。
前日の夜に少量の雪が降ったばかりらしく、薄く積もった新雪がキラキラと光り輝いていました。これは朝のうち限定の光景で、これだけ陽射しが強ければあっという間にとけてしまう事でしょう。
目的地はずっと見えているのに、なかなか距離は縮まりません。雪の無い時期であったら、間違いなく折り畳み自転車を持ち込んでいたであろう距離です。
薄く積もった新雪により足元はツルツルの状態でしたが、滑り止めが必要なレベルには積もっていないため、チェーンスパイクは履かずにベタ足で進みます。
比較的新しい時代に切り開かれた田畑なのか、開田記念と銘打たれた立派な石碑が立っていました。
田んぼの只中を延々と歩き続けたところで、小規模な集落が現れました。この一帯は館と言う字で、かつて木曾義仲の家臣の楯親忠という武将が館を構えていました。現在でも番屋跡などいくつかの史跡が残っています。
ここでも道標も何もありませんが、このY字路を右へ入って行きます。万が一この分岐を見落としても、次の十字路を右折すればリカバリできます。
先ほど見かけた開田記念とよく似た造りの石碑が立っていました。こちらは御即位記念碑とあります。特に説明等はありませんが、誰の即位を記念したものなのでしょうか。
今上陛下が親王だった昭和57年に茂来山に登っています。その縁で即位を記念したのかとも思いましたが、しかし令和になってから造られたにしては風化が進んでいて、もっと古くからありそうな雰囲気です。
坂の斜度が増してきたことにより、不意に滑ったりして何気に歩きにくいコンデションです。特に轍の下はツルツルに凍っていたりするので油断がなりません。
集落の外れまで登ってきました。ここから正面の農道らしき道へ入って行きます。
徐々に積もった雪の厚みが増して来ました。ギュッギュッと音を立てる新雪の踏み心地が心地よい。
前方を横切る道を横断します。今は雪に埋もれているのでぱっと見でわかりませんが、ここから先は未舗装のダートとなります。
茂来山にはクマが出るようですね。今の季節は冬眠中であろうと思い、本日はクマ鈴を持ってきていません。わざわざお休みのところを叩き起こしても仕方がないですからね。
ダートの林道エリアに入ってからもまだひと道あります。駅からずっと雪の上をベタ足で歩き続けているので、流石に少々ダレて来ましたぞ。
ここまでやって来て、初めて茂来山の名前が書かれた道標が現れました。とりあえず道を間違ってはいなかったようで一安心です。ちなみに茂来山は山と高原地図の範囲外で、どこにも収録されていません。
駅から延々と歩き続けること1時間50分で、ようやく登山口と思しき場所が現れました。いやはや遠かった。
10時30分 槙沢登山口に到着しました。茂来山は一般的には手軽に登れる里山カテゴリに分類されている山ですが、手軽なのはマイカー登山をする人に限られるのだと言う事が大変よくわかりました。
3.茂来山登山 登頂編 急登の果てに待つ大絶景の頂
登山口へのアプローチだけで2時間近くを費やしてしまいましたが、ともかく登山を開始しましょう。登り始めは沢沿いの平坦で至って歩きやすい道です。
朝方の寒さが嘘の様に気温がグングン上昇し続けており、陽が当たる斜面の雪は既にとけて茶色い山肌を晒していました。
途中で枝分かれを繰り返す谷底をゆく不明瞭な道です。本日は既に先行者のトレースがあったため一切迷いませんでしたが、降雪直後に一番乗りした場合などは、かなりわかり辛いと思います。
分岐には必ず目印のピンクテープがあるので、見落とさなにように注意を要します。
途中からは水流もなくなり、涸谷の底を歩きます。無雪期なら踏跡があるのでしょうけれど、もはやどこが道なのかすらわかりません。
谷のどん詰まりまで来たところで、稜線に向かって急登が始まりました。なかなかの急勾配な上に、雪の下には枯れ葉が堆積していて凶悪なスリップ効果を生み出していました。
チェーンスパイクしか持ってきていませんでしたが、6本爪のアイゼンを履いたほうが方が良さそうな状態です。
まっすぐに直登はせずに、途中で左に大きくぐるりと回り込みます。こういう滑りやすい状態では、このてのトラバースが一番神経を使います。
山頂付近ではまだ樹氷がとけきれておらず、白い状態なのが何となく遠目にもうかがえます。できればとけてしまう前にあの中を歩きたいものですが、この容赦ない日差しの中で果たして間に合うだろうか。
稜線が見えて来ました。それほど長くは続かないものの、なかなかしんどい急登でありました。
11時30分 栗の古木と書かれた標識がかかっている地点まで登って来ました。そこそこの広さがある平坦地となっており、ザックを落として休憩するのに適しています。
この栗の古木がある地点が、コースタイム的には槙沢ルートのほぼ中間地点と言ったところです。
周囲は見事な白樺林です。樹氷がとける前にここまで到達できていたら、さぞかや素敵な光景を拝めたのでしょうね。公共交通機関頼みの身では、こればかりはどうしようもありません。
ここから先は尾根歩きとなります。ちょうど風の通り道になっている場所らしく、ここまではずっと明瞭だった先行者のトレースが、吹き飛んで見えなくなっていました。
基本的にずっと尾根を辿れば良いだけなので、特に迷うような要素はありません。
茂来山は全般的に峻険と言っていい山容をしており、尾根上には痩せて切れ落ちている個所もあります。はやる気持ちは押さえて、ゆっくりと慎重に参ります。
何とかギリギリ、とける前の樹氷を拝むことが出来ました。とは言ってももうとけ落ちる寸前の状態で、見ている眼の間でパラパラと舞っていました。
やはり樹氷を拝みたかったら、早朝の内に登らないと駄目ですね。
不意に視界が開けて、正面に八ヶ岳の山々が横一列に並んでいました。
赤岳、横岳、硫黄岳と綺麗に並んで見えます。この3座は、南八ヶ岳の中でも特に人気の高い花形的な存在です。
そして北八ヶ岳。冬でも比較的登りやすい山域であるため、今頃は大勢の登山者で賑わっていることでしょう。それに比べて、我らが茂来山のなんと静かな事だろうか。
標高が高くなるにつれて、徐々に雪が深くなって来ました。トレースを外れると、くるぶしの上まで埋まります。
冬靴ではなく3シーズン靴を履いてスパッツすらつけていないと言う、山ナメならぬ雪ナメ状態なので、靴の中に雪が入り込まないように神経を使います。
霧久保沢コースとの合流地点まで登ってきました。本日こちらのルート歩いた人はいないらしく、ノートレース状態でした。
日陰の北側斜面には未だ樹氷が消えずに残っています。北側から登る霧久保沢コースであれば、この時間でもまだ樹氷を楽しめたのかもしれません。海瀬駅から歩くと、槙沢登山口以上に遠いいですけれどね。
山頂直下最後の登りです。左側は鋭く切れ落ちているので、ここはなるべく右の方に寄って歩いたほうが安全です。
山頂の直下で、今度は小海町側の信濃沢林道から登ってくる親沢コースと合流します。この親沢コースだと、登山口から山頂まで僅か30分少々で登れてしまうらしいですよ。
・・・そんな。それでは海瀬駅から2時間近くかけて歩いて来た私が、まるで馬鹿みたいじゃないですか。
山頂が見えました。見るからに眺めが良さそうで期待が高まります。
12時30分 茂来山に登頂しました。槙沢登山口からピッタリ2時間での登頂でした。無雪期であれば、のんびり歩いても2時間を切るくらいの距離だと思います。
未来山は雨乞信仰の山であると同時に、縁結びの山としても知られています。「もらい」という名前にかけて、お嫁を貰えると言う事らしい。
何故か正面からの写真を撮りそこなっていましたが、昭和57年に徳仁親王が登ったことを記念する碑もありました。今から40年も前の事です。
陛下が山好きなのは有名ですが、それにしても登る山のチョイスが渋いですよね。いったいどういう基準で行き先を選んでいるのでしょうか。
4.茂来山山頂からの展望
それではお待ちかねの、展望の方を見て行きましょう。正面には一目でそれとわかる浅間山(2,568m)の姿がありました。
皿に乗せたプリンのようだと評されるシルエットをしていますが、こうして冠雪した姿はまるで、生クリームをかけたプリン・ア・ラ・モードのようです。
浅間山の右手には、長野県と群馬県の境界を形成している、上信国境地帯の山並みが連なります。見渡す限り一面の、山また山の光景です。
テーブルマウンテンとして名高い、荒船山(1,423m)がすぐ近くに見えます。しかし、何度見てもインパクト絶大な山ですよね。
荒船山の背後に見えているギザギザした山は群馬県の榛名山(1,449m)で、そのさらに背後の白い山は上州武尊山(2,158m)かな。
東に目を向けると、まるで恐竜の背ビレのような両神山(1,723m)の姿がありました。あの辺りは埼玉県だと言う事です。こうして見ると、秩父地方と長野県は直線距離的には意外と近いんですね。
続いて南側を見てみましょう。付近一帯では頭一つ抜けた標高を持つ、御座山(2,112m)の姿が大変目を引きます。
この御座山もまた茂来山と同様に全国区の知名度はないマイナーな山ですが、個人的に贔屓にしている一座です。シャクナゲシーズンには一度登ったので、今度は紅葉の頃に登ってみたいな。
御座山の右手には奥秩父主脈の山並みです。中央が金峰山(2,599m)で、右の方には瑞牆山(2,230m)も見えています。この辺りは山梨県だと言う事ですね。
さらに右には天狗山(1,882m)と男山(1,851m)の姿がありました。茂来山以上に輪をかけてマイナーな存在かと思いますが、どちらも良い山ですよ。
南東方向には八ヶ岳の山並み。先ほど見た時より、だいぶ雲が湧いてきてしまっていました。時刻は既に正午を回っているし、好展望タイムはそろそろ終わりかな。
八ヶ岳の脇には南アルプス北部の山並みが連なります。中央に見えている尖った山が北岳(3,193m)でしょうか。北岳は見る方角によってかなり印象が変わる山です。
最後に西方向です。眼下に佐久平とも呼ばれる佐久盆地の全域を見渡せます。茂来山が佐久の象徴であるとされる所以ですね。背後には北アルプスの山並みが連なっているはずですが、こちらは完全に冬の嵐の中に没していました。
最後に海瀬駅のあるあたりをズームで覗いてみましょう。往路に歩いてきた道筋がすべて見えています。
みなさんもうとっくにお気づきかとは思いますが、帰りもまた同じ道を歩きます。ピストンですからね。・・・気乗りしないなあ。
5.茂来山登山 下山編 緩んだ雪で七転八倒しつつ登山口へ戻る
名残惜しくはありますが、帰路もまだ長いのでそろそろ撤収に移りましょう。気温の上昇と共に雪はすっかりと緩んで、グズグズの状態でした。
こうなってしまうと、チェーンスパイクは殆ど用をなしません。これは6本爪アイゼンも携行すべきであったかもしれない。
帰りは霧久保沢コースを下って周回しようかと言う考えも薄っすらとあったのですが、トレースがないことに尻込みして、結局は槙沢登山口へのピストンを選択しました。
八ヶ岳もすっかり雲隠れ状態です。私が登頂したのは、展望を台無しにされるギリギリの状態であったようです。
グリップには全く信用が置けない状態なので、こうした痩せている場所は、周囲の木の幹をしっかりと掴みながら慎重に下ります。
13時40分 栗の古木まで戻って来ました。かなり慎重に下って来たので、下りでも思いのほか時間を要しました。
靴底に雪団子が出来るだけでもはや何の役にも立っていなかったので、ここでチェーンスパイクを外しました。
再び谷底へと戻って行きます。陽の当たる場所の雪はすでにとけて無くなり、山肌が露出しつつありました。
枯れ葉とグズグズの雪が組み合わさり、どう足を置こうが絶対に滑る絶望状態が作り出されていました。ちなみに、この写真を撮った直後に盛大にコケました。よそ見ダメ。ゼッタイ。
フカフカの枯れ葉の上に転んだところで痛くもかゆくもないので、もう気にせずに七転八倒しながら大股でズカズカと下りました。
水平移動に入ったらもう一安心です。先ほどコケた際にレンズのプロテクターに水滴がついてしまっていたのですが、しばらく気が付かずにいたため、左端の方に写ってしまっております。
14時20分 槙沢登山口に戻って来ました。さあ、後はたった6km少々、駅まで歩いて戻れば良いだけです。・・・気乗りしないなあ。
6.茂来山登山 帰還編 海瀬駅への遠い道程
ボヤいていても始まりません。とにかく歩きましょう。帰りは緩やかに下って行くのだから、往路よりはずっと楽なはずです。
集落まで下ってくると、アスファルト上の雪はもうほとんど残っていませんでした。それでも日陰では不意に凍っていたりするので油断はなりませんが。
私は普段からピストンよりも横断や周回が出来るルートを好みますが、その理由の一つがピストンだとなまじ残りの距離を知っているがために、帰路で気が滅入るからと言うのがあります。
例えば横尾から上高地バスターミナルに戻る時なんて、みんな気が滅入るでしょう?
この通り景色はとても良いんですけれどね。自転車を持ち込んでいれば、さぞや爽快なサイクリングロードだったことでしょう。
朝方はモロに逆光直撃だった茂来山の全容の姿を写真に収めて、本日のミッションは完了です
15時55分 海瀬駅に到着しました。駅から往復で7時間15分の山行きでありました。所要時間だけで見ると、それほど非常識な計画ではなかったと言えそうです。・・・実際に歩く人がどれだけいるかはさておき。
間が飛ぶ時間帯はあるものの、小海線は概ね1時間1本は走っています。これを多いと思うか少ないと思うかはあなた次第ですが、バスとは違って確実に時間通りにやってくる安心感はあります。
なお私が調べた限りでは、駅の周辺に時間つぶしが出来るような商業施設はありません。待ち時間が発生してしまった時は・・・諦めて待合室のベンチでボーっと過ごしましょう。
30分ほど待ってやってきた小諸行きの列車は、偶然にも朝乗ったのと同じ車両でした。何故わかるのかというと、そもそもキハE200形は1編成しか運用されていないからです。
往路と同じルート逆に辿り、帰宅の途につきました。
地元の佐久地方以外ではほぼ無名に等しいかと思われる茂来山ですが、埋もれさせておくにはあまりにも惜しいポテンシャルを持った文句なしの名峰でありました。かくも素晴らしき山を広く喧伝するでもなくさり気なく隠している辺りに、山岳県長野の実力を垣間見たような気がします。
下道歩きが長く、とても手軽であるとは言えなくなりますが、ご覧頂いた通り公共交通機関によるアクセスも十分に可能です。地元の人にもそうでない人にも、自信をもってオススメできる一座です。
<コースタイム>
海瀬駅(8:40)-槙沢登山口(10:30)-栗の古木(11:30)-茂来山(12:30~13:00)-栗の古木(13:40)-槙沢登山口(14:20)-海瀬駅(15:55)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
連続コメント失礼します
オオツキさんはよくご自身をケチだとおっしゃいますが、わりと頻繁に新幹線を利用されていますし、鈍行だとしても長距離になればそれなりの金額になりますよね…しかもほぼ毎週!全くドケチハイカーではないと思いますよ!
茂来山に全く触れないコメントですみません^^;
MMさま
コメントをありがとうございます。
山着以外の普段着ている服が10年以上全く更新されないくらいにはドケチです。最近は派手な蛍光色の登山ウェアを着たまま近状のスーパーや街中を歩きまわることに、何の抵抗も感じなくなりました。