各務原アルプス 小刻みなアップダウンが連続する各務原アルプス全山縦走登山

北山から見た各務原アルプスの主稜線
岐阜県各務原市、関市および岐阜市の境界に沿って連なる各務原(かがみはら)アルプスを縦走して来ました。
濃尾平野北部の各務原台地上に連なる、標高300メートル少々の低山の連なりです。稜線を辿るハイキングコースが整備されており、各務原アルプスもしくは関南アルプスと呼ばれています。平野に面しているため大変眺めがよく、地元では人気の縦走路となっています。コースの距離自体が比較的長くアップダウンも多いことから、全体を通しで歩くと低山ながらも骨のある行程となります。
日没時間に追い立てられながら、各務原アルプスの全山を縦走してきました。

2026年1月17日に旅す。

近年日本全国に増殖中のいわゆるご当地アルプスの一つである、各務原アルプスを歩きてきました。名前の通り各務原市の北部に連なっている、標高が概ね350メートル前後の低山の連なりです。
260117各務原アルプス-002
東西に連なる明瞭な山脈を形成しているのですが、地理上での扱いは丘陵地とされており、不可解なことに山脈名が存在しません。各務原アルプスという通称が使用されるようになる以前は、山域全体を表す名称自体が存在しませんでした。

これほど人里に近く目につく山脈に固有名称が無いなどという事がありえるのかと疑問に思い、色々と調べたのですが本当に名前がありませんでした。

純然たる低山であるとはいえ、端から端まで全山を縦走しようとなると歩行距離自体がそこそこ長く、道中のアップダウンも多めです。日の短い季節に踏破しようとすると、なかなか過酷な行程となります。
各務原アルプスの稜線

案の定途中で日没時間を迎えてしまい、最後の方はヘッドライト装着状態での歩行となってしまいましたが、それでも何とか当初計画の通り各務原アルプスの全行程を踏破してきました。
各務原アルプス 明王山山頂
東京発の日帰りで行く、各務原アルプス縦走の記録です。

コース
各務原アルプス縦走のコースマップ
伊吹の滝登山口から入山して、高山本線の坂祝駅(さかほぎえき)を目指して縦走します。各務原アルプス縦走としては最も一般的と言える行程です。

累計標高差は1,500メートル少々あり、なかなか骨太な行程です。

1.各務原アルプス アプローチ編 新幹線と在来線を乗り継いでゆく、各務原への遠き旅路

6時18分 JR東京駅
岐阜県の南部に位置している各務原に向かうためには、まず最初に名古屋まで出る必要があります。東京発で日帰りをしようと思ったら、移動手段は新幹線一択となります。
東京歴の東海道新幹線ホーム
当然のぞみに乗った方が早く着くのですが、最近ののぞみは自由席車両が先頭の2両しかなくて非常に混み合うため、あえてひかりに乗車します。名古屋までの所要時間はのぞみと20分少々しか変わりません。

8時9分 快適な新幹線の座席で安眠をむさぼっている間に、つつがなく名古屋駅に到着しました。しかしこの駅は、いつ来ても大混雑しておりますな。
名古屋駅の新幹線ホーム

続いて東海道本線の大垣行きに乗り換えます。運行本数が多く乗り継ぎは至ってスムーズですが、かなり混雑していました。
名古屋駅の在来線ホーム

8時38分 岐阜駅に到着しました。快速電車なら名古屋からの所要時間は僅か20分程度です。この圧倒的な便利さがゆえに、岐阜は名古屋の植民地と揶揄されてしまうような状態が作り出されてしまっているのでしょう。
岐阜駅のホーム

今度は高山本線の美濃太田行きに乗り換えます。この先は運行本数もずっと少なくなり、ようやく人混みからは解放されました。
岐阜駅のホーム

車窓に目指す各務原アルプスの山並みが見えてきました。平野の只中にポツンとありますが、思っていた以上にはしっかりと山脈です。これで固有の山脈名が存在しないと言うのが、なんとも解せないところです。
高山本線の車窓からみた各務原アルプス

9時19分 那加駅に到着しました。何というか山属性が微塵にも感じられない、ごく普通の郊外の住宅地の只中にある駅です。各務原アルプスに登ろうと思い立たなかったら、恐らく一生訪れる機会はなかったことでしょう。
那加駅のホーム

JR高山本線のすぐ隣を名鉄各務原線が並走しています。この後に乗車予定のバスの乗り場は、JR那加駅ではなく名鉄新那加駅の前にあるので、踏切を渡って新那加駅へと移動します。
260117各務原アルプス-012

踏切で足止めでもされない限りは、那加駅から新那加駅への移動は5分見ておけば十分です。
名鉄新那加駅前のバスロータリー

9時31分発の各務原ふれあいバス那加線に乗車します。同時間帯に別の系統のバスも次々とやって来るので、お乗り間違えが無いよう十分にご注意ください。
各務原ふれあいバス

9時58分 北洞(きたぼら)バス停に到着しました。ここが登山口最寄りのバス停となります。運賃は乗車距離に関係なく100円均一で、交通系ICカードにも対応していました。
各務原ふれあいバス 北洞バス停
何らかの補助金が注入されているのでしょうが、部外者からはもっと取ればいいのにとはいつも思うところではあります。乗って残そう公共交通!

2.濃尾平野を見下ろす好展望地、各務原権現山

時刻が10時になったところで、ようやくにして本日の行動を開始します。登山開始時刻としてはかなり遅い時間になってしまいましたが、遠方から公共交通機関を利用してやってきている身の上としては致し方ありません。
260117各務原アルプス-016
各務原アルプス全山縦走のコースタイムはだいたい8~9時間くらいだとされており、普通に歩くと日没時間に間には合わない計算です。かなり気張ってコースタイムを巻いていく必要がありそうです。

バス停から登山口の伊吹の滝までの道程については、道標などの案内はありませんが、田畑の中を碁盤目状になっている道を行くだけなので、深く考えずに適当に曲がりながら進んでいけばたどり着けます。
260117各務原アルプス-017

10時25分 伊吹の滝まで歩いて来ました。より尾根の端に近い位置にある六所神社から登り始めるルートも存在はするようですが、ここからスタートを切るのが最も一般的です。
伊吹の滝

道の向かいに駐車スペースがあるのですが、すでに満車状態らしく路肩にも数台が停まっていました。かなり人気のあるルートであることが伺えます。
260117各務原アルプス-019

こちらが伊吹の滝です。いかにも古くからの歴史があるかのような装いをしていますが、水行のためにつくられた人工の滝です。
各務原 伊吹の滝

不動明王を祭ったお堂もあります。不動明王と言うと常に炎を背負った姿で描かれているのが一般的ですが、滝行なんかしたら火が消えてしまうのではなかろうか。
不動の滝 明王堂

各務原アルプスの案内図も置かれていましたが、最初の1座目である各務原権現山までの行程が書かれているだけの簡易的なものです。全山縦走はあまり一般的なものではないのでしょうか。
伊吹の滝に設置された各務原アルプスの案内図

登り始めは階段が整備されており、登山道というよりは裏山にある公園と言った佇まいです。この後奥へと進むにつれて、しっかりと山道らしい山道になっていくのるので、ご心配(?)は無用です。
260117各務原アルプス-023

P箱を流用したベンチなどが整備されており、地元で愛されている山なのであろうことが伺えます。それはさておき、たしかこの箱はレンタル品で、酒屋に返却しなくていけないのではなかったっけか。
各務原アルプスのベンチ

登り始めてから15分ほどで尾根の上に出ました。ここはまだ各務原アルプスの主脈上ではなく、隣接している別の尾根です。この後に一度、峠を経て隣の尾根に登り返す必要があります。
260117各務原アルプス-025

よく踏まれた明瞭な尾根道が続いています。この辺りはまだ大きなアップダウンもなく、それこそ散歩気分で歩けそうです。まあ、それは最初のうちだけなのだという事を、この後に嫌というほど思い知ることになります。
各務原アルプスの登山道

まだ山頂ではありませんが、道の脇に休憩所兼展望所らしき東屋がありました。さて、どんな光景が広がっているのか、期待して見てみましょう。
260117各務原アルプス-027

目の前に濃尾平野がドドーンと広がる・・・はずでしたが、今日は1月にしては気温がかなり高めで空気がモヤーっと霞んでおり、遠くまでは見えません。
260117各務原アルプス-028
各務原アルプスは低山ながらも眺めが良いという評判を聞いて楽しみにしていたのですが、本日は眺望に関してはあまり期待は出来なさそうです。

各務原市は濃尾平野の北端に位置しており、晴れて空気の澄んだ日であれば名古屋の市街地や伊勢湾が見えるはずです。

変わった形状をしたタワーが立っているのがうっすらと見えています。ツインアーチ138という名称の観光施設で、名前の通り高さが138メートルあります。
260117各務原アルプス-029

尾根が真面目に標高を上げ始めました。それではいっちょう、気合を入れていきましょう。
260117各務原アルプス-030

登り坂の途中に、鐘のある展望岩場と銘打たれた場所がありました。鐘があったら取りあえずは鳴らす主義なので鳴らしてみましたが、くぐもった鈍い音しかしませんでした。
各務原アルプス 鐘のある展望岩場

ちょうど真正面に金華山(329m)が見えています。この山については金華山という名前よりも、岐阜城と言った方が通りは良さそうです。
鐘のある展望岩場から見た金華山

最大望遠で覗いてみると、山の頂上に城があるのがしっかりと見えました。背後の彼方に見えている白い山は、方角的におそらくは伊吹山(1,377m)だと思います。
鐘のある展望岩場から見た岐阜城

鐘のある展望岩場を過ぎると、すぐに各務原権現山の頂上部が姿を見せました。ラスト・・・ではなくむしろまだ始まったばかりですが、スパートをかけていきましょう。
260117各務原アルプス-034

山頂の手前で伊吹の滝とは別方向から登って来た登山道と合流しました。各務原権現山に至る登山道は他にもいくつか存在しており、縦走ではなく単体で登る山としても人気があることが伺えます。
260117各務原アルプス-035

この合流地点から山頂までの登りが、見上げる角度の急階段になっていました。気温が高めであることもあり、最初の一座目の時点から既に汗だくの状態となる苦しい展開です。水、足りるかな・・・
260117各務原アルプス-036

登りきると石の鳥居が出迎えてくれました。山頂にある多度神社のものです。各務原台地は水捌けがよすぎるため農耕には適さない土地柄で、この神社は雨乞信仰の場でした。
260117各務原アルプス-037

鳥居の先に濃尾平野が広がっています。標高300メートル少々の山からのものとは思えない、素晴らしい展望です。それゆえに、空気が霞んでしまっていることが何とも惜しまれます。
260117各務原アルプス-038

11時25分 各務原権現山に登頂しました。各務原アルプス縦走のまずは一座目です。
各務原権現山の山頂

山頂に置かれている展望図によれば、鳥居があるのとは反対の北側には、北アルプスや中央アルプスの山々が一望できるようです。この霞み具合ではおそらくは見えないでしょうが、一応確認しておきましょう。
260117各務原アルプス-040

デスヨネー。ええ、そうだろうとは思ってていましたよ。遠路はるばる多大な時間と交通費と時間を費やしてやってきた場所で、期待していた光景が見えないと言うのは、なんともやるせない気分にはなります。
260117各務原アルプス-041

かろうじて薄っすらと御嶽山(3,067m)らしき白い山が見えています。写真のほぼ中央に僅かに写っているのですが、おわかりになるでしょうか。
260117各務原アルプス-042

3.もう一つの権現山を経て桐谷峠へ

先へ進みましょう。権現山山頂から先の登山道は、もと来た方角へぐるっとUターンするように尾根が続いていました。
260117各務原アルプス-043

谷を挟んだ北側に別の尾根が見えていますが、あちらが各務原アルプスの主脈に当たる尾根です。今から一度峠を挟んであちら側に移ります。
260117各務原アルプス-044

鞍部へと下る前に北山という小さなピークを挟みます。なにやら記念撮影用にダジャレが書かれた吹き出しが置かれていますが、「北岳に来ただけ」の亜種のようなものでしょうか。
各務原アルプス 北山の山頂

この北山が、各務原アルプスの全容を一番よく見渡せる場所です。この光景を見た瞬間に思ったことは「遠くない?」だったわけですが、その感想は決して気のせいではなく実際にかなり遠いです。
北山から見た各務原アルプスの主稜線
具体的な数字をあげると、歩行距離がおよそ15kmあって、累計標高差は1,500メートルを越えます。日帰りが困難と言うほどではありませんが、いかんせんスタートしたのが10時過ぎなので、ともかく時間との戦いになります。

という事で、まだ先は長いのでどんどん進みましょう。ここからは一度下りになりますが、標識には急坂注意と書かれています。さあて、どんな感じでしょうか。
260117各務原アルプス-046

たしかに急と言えば急ですが、特に難儀するほどではありません。大した距離でもないので一気に下ってしましましょう。
260117各務原アルプス-047

下りきった地点が老洞峠(おいぼらとうげ)です。一応は車道規格らしい道が通っていますが、長らく一般車は通行禁止で事実上登山車専用の徒歩道状態となっています。
各務原アルプス 老洞峠
ありふれた感じのする小さな峠ですが、この峠は古くから群界であり、現在も各務原市と岐阜市の境界になっています。

下った後に待っているものは、当然ながら登り返しです。こちら側もかなりの急勾配で、失った標高を一気に取り戻しにかかります。
260117各務原アルプス-049

山腹に岩が露出しており、景観的にはしっかりとアルペン的です。この各務原アルプスの成り立ちは、周囲の柔らかい土壌が浸食によって流出し、硬いチャートの岩盤だけが残されて山脈状になったものです。
260117各務原アルプス-050

尾根の上まで登ってきました。これでようやくにして各務原アルプスの主脈上に乗ったことになります。前座にしてはなかなか歯ごたえがありました。
260117各務原アルプス-051

稜線上に乗ってすぐに、山頂が現れました。
260117各務原アルプス-052

12時25分 芥見(あくたみ)権現山に登頂しました。峠を挟んで二つの権現山が正対しているのは、山の両側の住民がそれぞれ目の前の山をおらが村の権現様として崇めて来た結果なのでしょう。
各務原アルプス 芥見権現山の山頂

手作り感があふれる日よけ付きの休憩スペースが作られており、地元の人に愛されている山なのであろうことが伝わってきます。
芥見権現山の山頂のベンチ

しかし、私にゆっくりとしていられる時間はありません。先へ進みましょう。稜線上には急坂こそありませんが、常に小さく上るか下りるかしていて、フラットな個所はほぼありません。
260117各務原アルプス-055

願成寺山という名前のピークを通過します。展望も何もなく、標識が無かったら山頂だという事にも気が付かなさそうな場所です。ただの通り道といったところでしょうか。
260117各務原アルプス-056

願成寺山を過ぎると、尾根はアップダウンを繰り返すのをやめて下り一辺倒に転じました。
260117各務原アルプス-057

谷底らしき場所まで下って来ると、舗装されている横道にぶつかりました。道標の案内はありませんが、ここは左折が正解です。
260117各務原アルプス-058

直ぐ脇に車道が並走しています。各務原アルプスを縦断している車道はいくつか存在しますが、その中の一つである岐阜県道17号線です。この道はトンネルではなく峠で各務原アルプスを越えています。
260117各務原アルプス-059

車道と合流しました。ここで道を渡る必要があるのですが、交通量がかなり多めな上に信号機も横断歩道も存在しないないため、車の途切れるタイミングを計って渡る必要があります。
260117各務原アルプス-060

13時30分 桐谷峠まで歩いて来ました。厳密に言うと、登山道があるのは峠の少し手前の地点です。峠が関市との境界になっており、関市側では関南アルプスとも呼ばれています。
桐谷峠
今でこそ車で簡単に越えることができる峠ですが、峠を挟んだ両側にそれぞれ別々に権現山があり、さらにはご当地アルプスの呼び名までもが違っていたりと、このちっぽけな山脈を境にして明確な地域の断絶が感じられます。

まあ実際に、壁みたいなものでしょうからね。

4.さらなる怒涛のアップダウンが降りかかる、各務原アルプス中盤戦

大きく下ってしまったため、ここからは再び登りが始まります。あまり気乗りはしませんが、縦走登山とはそういうものでございます。
260117各務原アルプス-062

水晴らしきものがありますが、飲用可能とはどこにも案内されていません。水の残量が心許ないので補充したい気がしなくもありませんが、さすがにこれだけ車の交通量が多い道のすぐ脇にあると躊躇します。
桐谷峠の水場
結局私は補充しませんでしたが、利用するのであれば浄水器を使用した方が無難だと思います。

幸いにも急坂は無く、緩やかに登り返します。周囲は常緑樹が多めで、鬱蒼としていてまるで南国のような雰囲気です。
260117各務原アルプス-064

すぐに尾根の上に復帰しました。ここからはまた稜線を忠実にたどります。
260117各務原アルプス-065

相変わらず細かくアップダウンを繰り返していて、平坦にはなりません。沼津アルプスのようなわかりやすい強烈さはまったくないのですが、それでも累積疲労が積み上がって気づかぬ間にじわじわと効いて来ます。
260117各務原アルプス-066

ベンチが置かれた山頂らしき場所まで登ってきました。
各務原アルプス 向山の山頂

14時 向山まで歩いて来ました。ここも先ほどの願成寺山と同じで展望も何もなく、ただの通り道と言ったところです。
各務原アルプス 向山の山頂

山頂には展望が無いのですが、さらに少し先へ進むと開けている場所があります。
260117各務原アルプス-069

向山見晴らし台と呼ばれている場所です。登山者的には実質こちらが山頂のようなものです。
各務原アルプス -070

まるで平野の中に浮かぶ小島であるかのように、ポツポツと小さな山が点在しています。これらは長きにわたって木曽川による侵食と堆積の繰り返しによって形成された残丘と呼ばれるものです。
260117各務原アルプス-071
各務原アルプス自体も、こうした残丘の中の一つです。冒頭でも少し触れましたが、各務原アルプスに固有の山脈名が存在しないのは、たくさんある残丘の中の一つでしかないためです。

これから進む先も見えているのですが、なんというかアップダウンがかなり激しくなっているように見えるのは気のせいでしょうか。
260117各務原アルプス-072

はい、気のせいではありませんでした。という事で、鼻歌交じりに歩けたのは向山まででした。ここからは怒涛の登り下りが始まります。オラッ!気合を入れろ気合を。
260117各務原アルプス-073

14時35分 須衛(すえい)という不思議な響きの山頂を通過します。先ほどの向山から標高はほとんど変わっていないのですが、しかし何故か私は息も絶え絶えです。なんでだろうなー。
各務原アルプス 須衛

このまま岩坂峠まで下って行くのかと思いきや、途中でいちいち小さな登り返しが差し込まれます。
260117各務原アルプス-075

もう登り返しはしなくてええちゅうねんとボヤいてみたところで、道がそうなっている以上はどうしようもありません。各務原アルプスの全行程の中でも、この岩坂峠の前後一帯が一番しんどさを感じるポイントでした。
260117各務原アルプス-076

送電鉄塔が立つ名もなきピークを越えたところで、ようやく真面目に下り始めました。峠からの登り返し以前に、峠に下るだけでこんなにしんどい思いをするとは、予想だにしていませんでした。
260117各務原アルプス-077

15時30分 岩坂峠まで下ってきました。ここで一つ絶望的な話をしますと、この岩坂峠が各務原アルプス縦走におけるほぼ中間地点となります。かなり頑張って歩いて来たつもりでいましたが、まだ半分でした。
各務原アルプス 岩坂峠
半分進んだ時点で既に15時を過ぎてしまっている時点で、この先でどんなに頑張ろうと、もう日没時間までには下山出来ないことは確定しています。普通に考えれば、ここで行動を打ち切るべきでしょう。

しかし私はそのまま行動を続行するのでした。というのも、計画の段階から時間が足りないであろうことは承知しており、最後はヘッドライト登山になることは初めから織り込み済みの事項であったからです。

退かぬ媚びぬ省みぬ。帝王に逃走はないのだ。

5.日没時間が迫る中を進む各務原アルプス縦走後半戦

撤退の二文字は封じ込めて、行動を続行します。岩坂峠からの登り返しはなかなかの急勾配で、早くも「やっぱり撤退しない?」という考えが頭をもたげてきます。そもそも帝王ではないし。
260117各務原アルプス-079

登りの途中に双子岩と銘打たれた岩があります。ここまで歩いてきた背後の山並みが良く見える好展望スポットですが、足元は断崖絶壁なのでご注意ください。
260117各務原アルプス-080

続いて今度は夫婦岩と銘打たれた岩の間を通ります。どちらもよくあるありふれたネーミングです。
260117各務原アルプス-081

今度は大平山という、これまたただの通り道のようなピークを通過します。名前の通りに平坦で、これと言った特筆すべき点は見当たりません。
260117各務原アルプス-082

これまでずっと標高300メートル付近を行ったり来たりしていましたが、行く先の稜線が少し標高を上げている様子が見てとれます。
260117各務原アルプス-083

各務原アルプスのルート上にはエスケープ可能なポイントが複数個所にありますが、エスケープする際の注意点として必ず南の各務原市側に下山してください。
260117各務原アルプス-084
そうすれば、多少距離はあっても高山本線の駅まで直接歩けます。北の関市側に下山してしまうと、公共交通機関への接続が絶望的となります。

大きな電波反射板が置かれた山頂まで登ってきました。
260117各務原アルプス-085

16時 金山(かなやま)に登頂しました。ヘッデン上等と覚悟を決めているとはいえど、それでも陽があるうちに進めるだけは進みたいので、休憩を取りたい衝動はぐっと堪えて行動を続行します。
260117各務原アルプス-086

岩坂峠からの登り返しは金山でいったん終了し、また同じような高さを行ったり来たりする状態に戻りました。
260117各務原アルプス-087

ただの通り道のようなピークが続きます。いい加減少々ダレてきましたぞ。
260117各務原アルプス-088

読者の皆様もそろそろ飽き飽きして来た頃合いかと思いますので、ここから先は駆け足気味に紹介していきましょう。
260117各務原アルプス-089

という事で少し場面は飛んで、周囲が大きく開けた場所まで歩いて来ました。
260117各務原アルプス-090

16時30分 大岩山展望台まで歩いて来ました。ここは各務原アルプスの山の中でも特に人気が高く、縦走ではなく単体で登られることも多いピークです。
各務原アルプス 大岩山展望台

山頂に設置されている展望図によると、各務原権現山と同様に北アルプスや中央アルプスの山並みが良く見えるようです。
大岩山展望台の展望図

日没時間が近づいて気温が下がったことにより、霞んでいた空気が少しはクリアになっているのではないかと期待しましたが、日中と全く変わらず遠くは全く見えません。
260117各務原アルプス-093

太陽はもう地平線の近くにまで下がってきており、日没までの残り時間は30分を切っています。少しでも明るさが残っている間に、進めるだけは進んでおきましょう。
260117各務原アルプス-094

各務原アルプスの最高地点にして、縦走最後の主要ピークでもある明王山の名前が、初めて道標上に出現しました。ひたすら長かった縦走も、ようやく終わりが見えてきました。
260117各務原アルプス-095

道の途中に濃尾震災断層跡地なる場所がありましたが、時間も無いのでここはバッサリとスルーします。
260117各務原アルプス-096

一番奥に見えているのが恐らく明王山です。視界内に捉えたとは言っても、まだまだ遠いですなあ。
260117各務原アルプス-097

16時50分 四ツ辻と呼ばれている場所まで歩いてきました。この辺り一帯は「ふどうの森」という名称で、ハイキングコースとして整備されています。
260117各務原アルプス-098

数多く散策路が張り巡らされているのですが、おかげで各務原アルプスを縦走中の登山者からすると、正解ルートが分かりにくい道迷いポイントとなってしまっています。
260117各務原アルプス-099

既に陽は沈み、黄昏時の残光の中を進みます。残る主要なピークは、今前方に見えている迫間山と明王山の二座だけです。
260117各務原アルプス-003

17時10分 多賀坂峠(たがさかとうげ)まで歩いて来ました。エスケープするのであれば、ここがラストチャンスとなります。最後まで歩ききる覚悟が固まったのなら、先へ進みましょう。
各務原アルプス 多賀坂峠

6.各務原アルプス最高峰から望む夜景

いい加減足元も暗くなってきたので、ここからはヘッドライト装着で参ります。そうなることは織り込み済みではあったとはいえども、想定よりも遅々として進めておりません。だってしんどいんですもの。
260117各務原アルプス-101

登り始めてすぐに多賀坂山というピークがありましたが、特に何もなくここもただの通り道と言ったところです。
260117各務原アルプス-102

街の明かりがポツポツと灯り始めました。
260117各務原アルプス-103

今更慌ててみたたところでどうしょうがないという事で、開き直ってゆっくりと進むことにします。単にもう疲れてペースが落ちているだけとも言います。
260117各務原アルプス-104

暗闇の中を登って行くと、不意に迫間城跡と書かれた巨大な標識が現れました。
260117各務原アルプス-105

17時40分 迫間山(はさまやま)に登頂しました。城址の山と言うだけあって、明らかに人工的に均された平坦な山頂部になっています。
各務原アルプス 迫間山
ここも本来は大変眺めの良い山であるようですが、すでにもう周囲は真っ暗で街の灯り以外は何も見えません。

迫間山と明王山の間には迫間無線中継所があり、施設の保守のための道が山の上にまで伸びています。ということで、ここから先はしばしの舗装道路歩きです。
260117各務原アルプス-107
味気ないと言えばないですが、視界が著しく制限されるヘッドライト登山をしている身の上としては、わかりやすくて助かります。

ずっと遠くからも見えていた電波塔が、いつの間にかすぐ目の前にありました。
260117各務原アルプス-108

このまま山頂まで舗装道路が続くのかと思いましたが、山頂直下の最後はしっかりと山道になっていました。もうかなりの疲れ状態ではありますが、ラストスパートをかけていきましょう。
260117各務原アルプス-109

18時 明王山に登頂しました。前述の通り、ここが各務原アルプスの最高地点となります。いやはや遠かった。
各務原アルプス 明王山山頂

別に夜景を見ることが目的であったわけではないのですが、結果として美しい光景を拝めたので、結果オーライという事にしておきましょう。
明王山山頂から見た夜景

7.猿啄城址を経て坂祝駅へ

さあ下山しましょう。この後は各務原アルプス主稜線の末端に位置している猿啄城址を経由しつつ、木曽川の辺にある坂祝駅まで直接下ります。
260117各務原アルプス-111

もう後は下るだけだと思っていたのに、この期に及んでまだ登り返しがありました。各務原アルプスさんは、最後まで移管してブレませんでしたな。
260117各務原アルプス-112

暗闇の中に、ライトアップされた櫓のようなものが浮かび上がっています。あまりの不自然さに、思わず二度見してしまいました。
260117各務原アルプス-113

18時45分 猿啄城(さるばみじょう)跡まで歩てきました。この櫓風の構造物は、坂祝(さかほぎ)町誕生100周年を記念して建てられたという展望台です。
各務原アルプス猿啄城

この猿啄城のすぐ脇を木曽川が流れています。両側が切り立った崖の間を川が流れる狭窄部となっており、縦走最後の締めくくりとしてこの景観を眺めることをとても楽しみにしていたのですが、すっかりと暗くなってしまいました。
260117各務原アルプス-115
光の反射によって、谷底に川の水面があるのが何となくわかります。かなり特異な景観であるため、当然〇〇渓谷だとかxx峡のような固有名称が存在するものだと思っていたのですが、特に名前は付いていないようです。

各務原アルプスに山脈名が存在しないことにも強い違和感を覚えていましたが、各務原の自然地形に名前が付いていないことが多いのは、明治以前の各務原台地はほぼ無人の原野だったことが少なからず影響しています。

住民かあるいはそこを頻繁に通行する人間がいなければ、そもそも名前は付かないという単純な話です。

永遠に続くかと思われたアップダウン地獄でしたが、今度こそもう下るだけです。山というよりは半分観光地のようなものである猿啄城への道だけに、しっかりと階段になっていました。
260117各務原アルプス-116

割とあっけなく登山口まで下ってきました。かつては茶屋か何かだったと思われる建物がありますが、現在はもう使われている様子がありません。
260117各務原アルプス-117

ようやくこの街灯と言う偉大なる文明の光が届くところまでたどり着いて、ほっと安堵のため息がこぼれました。ライトがあるとは言え、真っ暗闇の中を歩くのはやはり相当な緊張を強いられます。
260117各務原アルプス-118

下から見えげると、山頂にあるライトアップされた猿啄城の展望台が良く見えました。辺りには人通りがほとんどありませんが、ほぼ誰も見る者がいないであろうこの明かりは、一晩中灯っているのでしょうかね。
ライトアップされた夜の猿啄城

19時15分 坂祝駅(さかほぎえき)に到着しました。結構頑張って歩いたつもりだったのですが、すっかりと遅い時間いなってしまいました。
260117各務原アルプス-120

高山本線はほぼ終日に渡って1時間に2本の頻度で運転しています。さしたる待ち時間もなくやってきた岐阜行きの電車にのりこみ、長い長い帰宅の途につきました。
260117各務原アルプス-121

歩くも歩いたりの各務原アルプス縦走は、暗くなるまで歩き続けてどうにか無事に終了しました。この日一日のまとめとしては、当日東京発日帰りの各務原アルプス縦走は、可能ではあるが時間には全く余裕なし、と言ったところでしょうか。中京圏にお住いの人であれば、朝のもっと早い時間にスタートすることができるため、ここまで時間に追われることは無いはずです。
一度も標高400メートルを超えることがない純然たる低山ながらも、展望も歩き応えも一級品の優良なハイキングコースであると思います。お近くにお住いの人であれば自信をもってお勧めいたします。ただ、首都圏在住の人がこのコースを歩くためだけに訪れるだけの価値があるかと問われると、それは何とも言えないところです。名古屋に所用があって近くまで訪れた際などに、各務原まで足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

<コースタイム>
北洞バス停(10:00)-伊吹の滝(10:25)-各務原権現山(11:25)-北山(11:40)-芥見権現山(12:25)-桐谷峠(13:30)-向山(14:00)-須衛(14:35)-岩坂峠(15:30)-金山(16:00)-四ツ辻(16:50)-多賀坂峠(17:10)-迫間山(17:40)-明王山(18:00~18:15)-猿啄城(18:45)-坂祝駅(19:15)

260117各務原アルプス-122
完

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント