伊予ヶ岳-富山 遥々海を越え、小春日和の房総のマッターホルンを巡る

平群天神社の手前から見た伊予ヶ岳
千葉県南房総市にある伊予ヶ岳(いよがたけ)と富山(とみさん)に登りました。
どちらも千葉県南部の中央に位置する房総丘陵に属する山です。どちらも標高300メートル少々の低山ではありますが、伊予ヶ岳は房総の山としては珍しい切り立った岩峰で、房総のマッターホルンの異名を持ちます。
東京湾を渡り、一足先に春の陽気となった房総半島を巡って来ました。

2020年2月9日に旅す。

ここ最近は雪の積もった寒々しい山にばかり登って、雪景色にも若干食傷気味です。という事で今回は雪山はお休みして、春のような陽気の千葉県は房総半島へと繰り出して来ました。
スイセンの群生
房総半島は、黒潮の暖流の影響により気候は温暖で、関東地方の中でも一足先に春が訪れます。

標高の高い山こそありませんが、個性的で魅力的な小粒な山がいくつか存在します。そんな中から今回は、房総のマッターホルンの異名をもつ岩峰、伊予ヶ岳とそのお隣の富山へと登って来ました。
伊予ヶ岳南峰

どちらも標高300メートル少々しかない純然たる低山でありますが、東京湾越しに富士山を眺めることの出来る好展望地です。沿道には梅やスイセンなどの初春の花が咲き誇り、里山歩きの魅力を凝縮したかの如き長閑な光景が広がっていました。
伊予ヶ岳から見た富山

遥々と海を越え行く、一足早い春の房総半島訪問記をお届けします。
東京湾フェリーから見た富士山

コース
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伊予ヶ岳の登山口である平群天神社(へぐりてんじんじゃ)より、伊予ヶ岳に登頂します。その後はハイキングコースに沿って富山へ登り、岩井駅まで戻ります。

総歩行時間5時間ほどのお手軽な里山歩きです。

1.房総半島への旅路 赤い電車で久里浜港の東京湾フェリー乗り場を目指す

5時56分 品川駅
東京都内から房総半島南部へ行く方法は、さっくり言って3通りあります。JR内房線か、アクアラインを通る高速バスか、もしくは東京湾を横断するフェリーです。今回はフェリーで行ってみようかと思います。
品川駅 京急線の改札

品川駅から赤い電車に乗り込み、久里浜駅へと向かいます。いつものように動き出すなり完全爆睡と行きたいたいところですが、京急線は暖房の効きがイマイチで、寒くて寝付けませんでした。
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6時59分 品川からおよそ1時間の乗車時間で、京急久里浜駅に到着しました。この先の乗り継ぎが意外と綱渡りなので、足早に下車します。
京急久里浜駅のホーム

久里浜港の東京湾フェリー乗り場行きのバスに乗車します。特急電車の到着に合わせて運行されていますが、乗り換え時間が割とシビアです。コンビニに寄れるような時間は無いので、買い出しなどは事前に済ませておきましょう。
京急久里浜駅のバス乗り場

7時15分 久里浜港に到着しました。東京湾フェリーは1時間に1便のペースで運行されており、出航時間は毎時20分です。つまり、ここでも乗り換え時間は5分しかありません。
久里浜港のバス停

自動販売機で乗車券を購入します。間髪入れずに「まもなく出航です」というアナウンスが入り、焦りを助長してくれます。一見さんには優しくない仕様ですね。
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フェリーは人間だけの場合、片道800円です。往復券が1,450円で買えるので少しだけお得ですが、帰りの経路をどうするのかはまだ決めていなかったので、とりあえずは片道券を購入しました。
東京湾フェリーの券売機

人間用のタラップから「かなや丸」へと乗船します。
東京湾フェリー かなや丸
東京湾フェリーは「かなや丸」と「しらはま丸」の2隻体制で、双方向に向かって同時運行されています。対岸までの所要時間はおよそ40分です。

2.房総半島への旅路 東京湾を渡り金谷港へ

客室の中は暖房が効いていてとても快適です。船内の売店ではビールやおつまみなども販売されており、寛いで過ごしていれば40分の乗船時間などあっという間に過ぎることでしょう。
かなや丸の客室

お土産コーナーも充実しています。横須賀海軍カレーは、確か割と辛口だったように記憶していますが。
かなや丸の土産品コーナー

しかしおっさんは、そんな快適な船内でのくつろぎになど目もくれず、甲板に出て右だ左だと大はしゃぎして過ごします。海の上は風も強く、とても寒いですがそんな事はお構いなしです。
かなや丸の甲板
もう少し年齢相応の落ち着きを持て?はっはっは、そんなものはクソくらえですよ。

私は基本的に乗り物が大好きな人間なので、普段はあまり利用する機会のない船と言う乗り物に乗ったことにより、興奮して少々おかしなテンションになっていたかもしれません。

対岸の金谷港からやってきた「しらはま丸」が、脇を通り過ぎて行きました。
東京湾フェリー しらはま丸

富士山の頭が見えて来ました。空は雲一つない快晴であり、最高の登山日和です。
東京湾フェリーから見た富士山

こぼれ落ちそうなくらい積み荷を満載した巨大コンテナ船が所狭しと行き交う光景は、東京湾ならではと言えるでしょう。
東京湾を航行するコンテナ船

盛り上がった水平線の向こうに、スカイツリーが見ました。地球は丸いのだと言うことが、大変よくわかる見え方です。
東京湾フェリーから見た東京スカイツリー

距離が開くにつれて、富士山の裾野までが見えるようになってきました。海の上から眺めるのは、何だか不思議な感じです。
東京湾フェリーから見た富士山

予定より少し早い35分ほどの航海で、対岸の金谷港へと辿り着きました。
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接岸のアナウンスが入ったところで下船します。下船時にチケットを渡す方式なので、無くさないようにご注意ください。
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まだ朝早い時間帯とあってか、土産物店は営業開始前でした。美味しそうな海産物でいっぱいな空間なので、帰りにゆっくりと立ち寄るのが良いかと思います。
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3.伊予ヶ岳登山 アプローチ編 内房線とタクシーを乗り継ぎ、登山口の平群天神社へ

港から徒歩でJR内房線の浜金谷駅まで移動します。所要時間は7~8分と言った所です。
金谷港の案内板

程なく駅が見えて来ました。白塗りの駅舎が南国の情緒を誘います。こじんまりとした可愛らしい駅ですね。
浜金谷駅

何故か野良猫に側溝の中から監視される。それで隠れているつもりかな?
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駅の正面には鋸山がそびえ立ちます。恐らく、房総半島の山の中では最も知名度が高く、かつ最も多く登られているであろう山です。
浜金谷駅から見た鋸山
以前にこの山へ訪問した時は全行程を電車でやって来ましたが、内房線の異常に堅いシートのせいでケツが痛くなった記憶があります。

8時20分発の館山行き普通列車に乗車します。目指す岩井駅までは二駅です。
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屋根にブルーシートがかけられたままの家屋の姿が目立ちます。台風19号がもたらした破壊の痕跡です。千葉の復興は、まだまだ進んではいないのだということが実感されます。
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8時31分 10分少々の乗車時間で、岩井駅に到着しました。
内房線 岩井駅のホーム

駅の陸橋から富山の姿が良く見えました。伊予ヶ岳は富山の裏手にあるため、駅からでは見えません。
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駅から伊予ヶ岳登山口までは、市民バスによるアクセスが可能です。しかし本数が極端に少なく、次の便は10時であるという事だったので、今回はタクシーを使用しました。
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8時46分 伊予ヶ岳の登山口である、平群天神社に到着しました。ここまでタクシー料金はおおよそ3,000円ほどでした。
南房総市 平群天神社
いやはや、電車にバスにフェリーにタクシーと乗り継ぐ、かつてない長さのアプローチ編でありました。近そうに見えて、やはり千葉は遠いですね。

千葉にあるのに何故伊予ヶ岳なのかと言うのは、誰しもが疑問に思うところでしょう。そんな疑問に答えるかのように、由来を示した案内板が建てられていました。
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伊予国(現在の愛媛県)にある石鎚山に外見が似ているからと言うのが、伊予ヶ岳と言う名前の由来であるそうです。

4.伊予ヶ岳登山 登頂編 険しき岩場を乗り越えて、房総のマッターホルンの頂へ

さて登山口について早々ですが、いきなり逆方向へと進みます。伊予ヶ岳そのものの全容を、少し引いた位置から眺めるためであることは言うまでもありません。
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こちらが房総のマッターホルンこと伊予ヶ岳の全容です。どうでしょう、石鎚山に似ていますかね?
平群天神社の手前から見た伊予ヶ岳

山頂部に突き出した岩が象徴的です。鎖の索で囲われているのが何となく見えます。
伊予ヶ岳の山頂

平群天神社へと戻り準備を整えます。トイレはありましたが、商店や自動販売機などは見当たらなかったように記憶しています。
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早くも梅が咲き始めていました。房総半島の春は早い。
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身支度を整えて、9時15分に登山を開始します。
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さて、本日は地図も持たずに山登りする山ナメモードです。道標は割としっかりと整備されているので、特に迷う要素はないかと思いますが。
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舐めたくて舐めているわけで決してはなく、そもそも千葉には毎度おなじみの山と高原地図が存在しないのです。

頭上高くに見上げる山頂を目指して前進します。特段のひねりは無く、登山道は山頂に向かって一直線に伸びています。
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すぐに竹藪の中へと入りました。この如何にも近所の裏山です感が良い感じです。全然、遠くまで来ている感が覚ありません。
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人気の高い山らしく、登山道の整備は大変良く行き届いています。階段や手すりなども整備されていました。
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富山方面への分岐まで登って来ました。この後は一度伊予ヶ岳に登頂したのちに、またここまで戻って来る予定です。
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分岐からほどなく、東屋のある展望所が現れました。
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眼下には実に長閑な雰囲気の、房総の田園地帯の光景が広がります。東京から湾を一つ隔てただけで、こんな場所があったのですね。
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背後には、この後に立ち寄ることになる富山の姿が一望できます。割と特徴的な姿をした双耳峰です。
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山頂へ向かいましょう。マッターホルンを称するだけのことはあってか、山頂直下はかなり急峻な山容です。
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お気軽に歩けるのはこの展望台までです。気を引き締めて行きましょう。
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すぐに岩場が現れました。これは思ったよりも割と本格的な感じです。お助けロープもあるので、登る分にはさほど難しくはありません。
伊予ヶ岳の岩場

上の方に行くほど、傾斜がドンドン増して行きます。足場やホールドはしっかりとあるので、普通に三点支持で登れば特に問題はないかと思います。
伊予ヶ岳の岩場

岩場を登りきったところで、山頂が見えました。
伊予ヶ岳の山頂

10時20分 伊予ヶ岳の南峰に登頂しました。自宅の裏にも欲しいくらいの、登っていて楽しいと思える道程でありました。
伊予ヶ岳の山頂標識

5.伊予ヶ岳の山頂から望む眺望

山頂の先端は、クサリで囲われた展望スペースになっていました。鋸山の地獄覗きを思い出すよな場所です。
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東京湾越しの富士山が良く見えました。千葉からでもこんなに大きく見えるものなのですね。もっと遠いイメージがあったので、意外な感じがしました。
伊予ヶ岳から見た富士山

足もとには、スタート地点の平群天神社がすぐそこのように見えます。まあ、標高300メートルちょっとしかない山ですからね。当然と言えば当然か。
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東京湾の先には、海面から頭を出した伊豆大島が大きく裾野を広げていました。
伊予ヶ岳から見た伊豆大島

ちなみに、伊予ヶ岳は南北の峰を持つ双耳峰です。であるので、一応は北峰の方もピークを踏んでおくことにしましょう。
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下って登ってしますが、大した標高差ではありません。南峰からは5分もあれば辿り着きます。
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北峰も山頂直下は割と急峻です。伊予ヶ岳は、基本的には岩の山なのでしょう。
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こちらには特に山頂標識などは存在せず、三角点だけがポツンとありました。
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眺めの方も、南峰からのものとほとんど変わりません。わざわざ南峰から足を延ばす必要は感じられない場所ですね。
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振り返って見た南峰は、なかなかインパクトのある姿をしていました。ここだけを見れば、マッターホルン感がないこともないかも。
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チーバ君のつま先に位置する洲崎(すのさき)が見えます。一度観光しに行きたいと思いつつ、未だ訪問が叶っていない場所です。車でないと、とてつもなく遠いのよ。
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6.台風で大荒れの下山路と、富山までの長閑なる道のり

南峰へと引き返し。下山を開始します。
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道中の岩肌はパサパサに乾燥しきっており、砂埃まみれで意外と滑ります。登る分には簡単だった岩場も、下りは割と肝を冷やしました。
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次から次へと登って来る人がいて、しばしすれ違い待ちが発生しました。伊予ヶ岳の人気のほどが伺えます。
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大半は地元の人なのでしょうけれど、スニーカー履きの人が多いのには少々驚きです。しっかりと革製のハイカットシューズを履いて来ている私は、ここでは浮きまくっていました。

下りでは割と腰が引けてしまっていたらしく、登るときとほぼ同じ時間を要しました。
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行きに通って来た分岐地点まで引き返します。
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11時5分 サクサクと順調に、富山方面への分岐地点まで戻って来ました。しかし、大変なのはここからでした。
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このルートは台風19号被害からまったく復旧はされておらず、大荒れに荒れた状態でした。荒れていると言うか、事実上通行不能な状態です。
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・・・いやまあそれでも、無理矢理通行はしたんですけれどね。分岐地点には特に通行止めの処置が施されてはいませんでしたが、単に私が見落としただけで、禁止の案内はあったのかもしれません。

それとも、案内なんかなくても見ればわかるだろうという事だったのでしょうか。

しかし、こんな状態でも突破を試みるもの好きは一定数いると見えて、迂回のための踏み跡があちこちに割と明瞭に残っていました。
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小春日和の里山でお手軽ルンルンハイキングをするハズだったのが、よもやこんなリアルアスレチックをする羽目になろうとは。。
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という事で、伊予ヶ岳から富山へ繋げて歩こうとお考えの人が居ましたら、この道は通らずに素直に平群天神社へ引き返した方が無難かと思います。

倒木を迂回しながら、道なき道を突き進むことおよそ25分ほどで、なんとか伊予ヶ岳登山口へと下って来ました。大した距離ではありませんでしたが、緊張する場面でありました。
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振り返って望む伊予ヶ岳。やはり北峰の山頂の大岩が目を引きます。
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沿道の畦には、スイセンが満開御礼でした。まるで似ていませんが、スイセンはヒガンバナの仲間です。有毒であると言う点についても同様です。
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梅の開花も進んでおり、スイセンとの共演が繰り広げられます。
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ここからはしばしの間、舗装道路歩きです。道標の導きに従いながら、富山を目指します。
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気持ちの良い田園風景の中を進みます。一見すると長閑な光景ですが、良く見ると左手前の建物は外壁が剥がれて廃墟と化していました。これも恐らくは台風19号による被害なのでしょうな。
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周囲は何処もかしこもスイセンだらけで、スイセン畑状態でした。
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河津桜も負けじと咲き誇ります。2月上旬と言うのは、通常であればまだまだ厳冬期であると思うのですが、房総半島ではもうすっかり春の装いです。
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真正面には富士山がひょっこりと頭を出しています。千葉南部がこんなにも富士展望に優れている場所であるという事を、まったく知りませんでした。
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富山に向かって緩々と登って行きます。ちなみに、富山は山頂までのほぼ全行程が舗装道路歩きとなります。
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倒れたまま放置されているカーブミラー。これも台風19号による被害でしょうか。ブルーシートに覆われたままの家屋と言い、千葉が完全復興を果たすのは、まだまだ先の事になりそうです。
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7.富山登山 登頂編 東京湾を一望する好展望の頂へ

12時25分 富山登山口に到着しました。登山口と言ってもまあ、この先もずっと舗装道路が続きますがね。
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振り返れば伊予ヶ岳。こちらのアングルから見ると、あまりマッターホルン感がありません。どこにでもありそうな里山の佇まいです。
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無料の杖を貸し出し中でした。杖と言うかただの竹棒ではありますが、なかなか親切な心遣いです。
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割と急な坂道を登って行きます。この先は最後まですっとこの調子です。
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えっちらおっちら登るうちに、稜線へと辿り着きました。
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ここは、双耳峰となっている富山の二つのピークの中間に位置する展望台です。
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正面の眺望が開けます。まずまずの眺めではありますが、山頂からはもっと良く四方が見えるので、ここは素通りして行きましょう。
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山頂に向かってラストスパートです。
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展望台のある広々とした山頂に飛び出しました。富山の北峰に到着です。
富山の山頂

13時 富山に登頂しました。山頂標識は、展望台の向かいの森の中にひっそりとありました。
富山の山頂標識

では早速、展望台からの光景をひとしきり眺めてみましょうか。正面には東京湾越しの富士山です。
富山から見た富士山

富士山の左手にあるのが箱根で、手前の海上にあるのが三浦半島の先端でしょうかね。普段は目にする機会のないアングルなので、とても新鮮に感じます。
富山から見た箱根

こちらはお隣の南峰です。この後、下山前に寄って行きます。
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南峰の左手には、僅かにですが外房の海が見えました。太平洋の大海原です。
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南の海上には洲崎と伊豆大島。伊予ヶ岳から眺めた時よりも距離が近い分だけ、気持ち大きく見えます。
富山から見た伊豆大島

伊豆大島よりもさらに遠くに見えている島は、式根島と神津島でしょうか。
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北側には、これまた東京湾越しに都心方面が広く見えます。見えているのは恐らく横浜付近です。
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お隣には鋸山が横たわります。そういえば、鋸山からも富山の姿が良く見ていたっけか。
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遠くに薄っすらとスカイツリーが見えました。スカイツリーの手前には、東京湾観音が立っているのも見えます。
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鐘があったら、とりあえずは鳴らす主義です。
富山山頂の鐘

心行くまで眺望を楽しみました。ボチボチ南峰を経由して撤収に移ることにしましょう。
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下山は伏姫籠穴(ふせひめろうけつ)を経由するつもりでいたのですが、残念ながらそちらは倒木の影響で通行止めとなっていました。
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先ほどの悪路を乗り越えてきた私からすれば、ここも突破しようと思えば突破できるのかもしれませんが、まあ通行止めと明示されている以上は、それに従う事にしましょう。

さてもう一方の南峰の方ですが、こちらはまだ倒木の片づけすらされてはおらず、荒れるに任せた状態でした。
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南峰の山頂には眺望がありません。多くのハイカーで賑わっていた北峰とは違い、樹木とアンテナ施設に囲まれたひっそりとした場所でした。わざわざ立ち寄る必要はないかも。
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8.富山登山 下山編 階段が延々続く参道を下り、徒歩で岩船駅へ

13時25分 山頂を辞去し、下山を開始します。こちらのルートは山頂の神社を詣でるための参道にあたる道であり、ほぼ全行程が階段です。
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こうして不意に視界が開ける場所があり、低山らしからぬ高度感があります。
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倒木のトンネルをくぐります。通行不能となる様なシーンこそありませんでしたが、やはりルートは全般的に荒れ気味です。
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町の復興すらまだ完全ではない現状を鑑みるに、この荒れた登山道の整備にまで手が回るのは、まだまだ当分先の事でありましょう。

下山開始から30分ほどで、麓の集落まで下って来ました。
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岩井駅まで歩いて戻ります。特に道標などの案内もありませんが、内房線は海際近くを通っているので、基本的には下って行けば良いだけです。
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振り返って見た富山は、伊予ヶ岳側から見た時とは違って、あまり特徴の感じられない姿をしていました。
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途中に菜の花と富士のコラボを見ることの出来るスポットがありました。これで図らずとも、前日の吾妻山公園での雪辱が果たされました。
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14時30分 岩井駅へ戻って来ました。歩行時間にして5時間と少々の軽めの山行きではありましたが、実に密度の高い時間を過ごすことが出来ました。
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特急さざなみが通る時間までは、まだ一時間近くも間があるタイミングであったため、結局は帰りもフェリーに乗りました。
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帰りの船は「しらはま丸」でした。思いがけずして、東京湾フェリーの両方の船に乗ることが出来た訳です。
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金谷港から房総半島に別れを告げます。ありがとう、良き休日でありました。
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結局は帰りもまた客室内には入らず、甲板上でかっぱえびせんに群がるカモメを眺めて過ごしました。
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そのかっぱえびせんをもっとクレッー!
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行きと同様に、再び赤い電車へと乗り込み帰宅の途につきました。
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海を越えて行く房総半島への遠征へ、大満足の内に幕を下ろしました。山へ向かう移動の行程を含めて、非常に満足度の高い一日でありました。
伊予ヶ岳も富山も、どちらも小粒ながら甲乙つけがたい魅力をもった山す。山頂からの眺めは素晴らしく、遠路はるばる時間をかけて出向くだけの価値は十分にあります。長閑で雰囲気の良い光景が続くので、山の間を移動する際の舗装道路歩きも、少しも苦にはなりませんでした。
僅かな滞在時間ではありましたが、今回の山行きですっかり千葉のことが好きになりました。館山の洲崎にも足を延ばしてみたいので、登山とは別にいずれまた海を越えて房総へ再訪したいと思います

<コースタイム>
平群天神社(9:15)-伊予ヶ岳(北峰)(10:00~10:15)-伊予ヶ岳(南峰)(10:20)-伊予ヶ岳登山口(11:30)-富山登山口(12:25)-富山(北峰)(13:00~13:15)-富山(南峰)(13:25)-岩井駅(14:30)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. しょうへい より:

    海も富士山も周りも見渡せて、千葉にもこんな素晴らしい展望の山があるのですね。私は千葉県民ですが、千葉南部のほうは久しく訪問していません。いずれ訪れてみたいと思う今回の記事でした。

  2. オオツキ より:

    しょうへい様
    コメントをありがとうございます。
    房総半島は広いので、千葉県と言っても北部の一帯に住んでいる人にとっては、房総半島南部はある意味奥多摩辺りに行くよりも遠い場所であったりしますよね。
    房総南部の山には、暖かくなるとヤマビルが出没するようなので、冬から春先頃にかけての訪問がオススメです。