富岡アルプス 日本一きれいなハイキングコースと世界遺産を巡る

麓から見た神成山九連峰
群馬県富岡市にある神成山(かんなりやま)に登りました。
西上州と呼ばれる山域と関東平野との間の前衛部に位置する、富岡丘陵にある低山の連なりです。稜線上を辿る登山道が整備されており、日本一きれいなハイキングコースであると称しています。神成山九連峰という正式名称の他に、通称富岡アルプスとも呼ばれています。
世界遺産の富岡製糸場見物と合わせて、西上州のご当地アルプスをゆるりと巡って来ました。

2025年12月19日に旅す。

神成山九連峰は、上信鉄道上信線の路線に沿うようにして富岡市内の東西に連なっている低山です。別名で富岡アルプスとも呼ばれています。近年日本全国に増殖中の、いわゆるご当地アルプスの一つす。
上信電鉄の車窓から見た富岡アルプス
ハイキングコースの全長はおよそ4km程で、短時間で手軽に歩くことの出来る山として、地元では愛されている存在です。

地元の有志達による徹底した清掃とコース整備が行われており、日本一きれいなハイキングコースと称しています。日本一であるかどうかはさておき、よく整備されていて歩きやすい登山道であることは事実です。
神成山九連峰のハイキングコース

富岡アルプスを歩いただけでは少々ボリューム不足感があったので、近くにある富岡製糸場の見物と合わせて巡って来ました。日本一きれいなハイキングコースと世界遺産見物の豪華2本立てでお送りする、富岡訪問記です。
富岡製糸場

コース
富岡アルプスから富岡製糸場までのコースマップ
上信線の南蛇井(なんじゃい)駅からスタートして、富岡アルプスこと神成山九連峰のハイキングコースを巡ります。下山後は宮崎公園や貫通神社などを経つつ、富岡製糸場まで直接歩きます。

全行程の半分以上は舗装道路歩きとなるコースです。

1.富岡アルプス登山 アプローチ編 鈍行列車を乗り継いでゆく西上州への遠き旅路

6時7分 JR上野駅
本日の目的地である富岡は、西上州の玄関口とでもいうべき場所です。東京から出かけるとなるとそこそこの遠出になりますが、当然ながら(当然だよね?)今日も鈍行列車による旅路です。
JR上野駅の高崎線ホーム

およそ2時間の乗車時間で高崎駅に到着しました。この2時間という所要時間は、新幹線を使用すべきであるかどうか悩むギリギリのラインなのではなかろうかと思います。まあ、私はいつも鈍行ですが。
高崎駅の高崎線ホーム

高崎から先がまだ長い。続いて上信電鉄上信線に乗り換えます。なんだかんだ、地元民でもないのにこの路線にはもう結構な回数乗車しています。公共交通機関を使用して西上州にアクセスするためには必要不可欠な存在です。
上信線の高崎駅ホーム
赤字路線であることから、上信線の廃止論はこれまで幾度となく取りざたされてきましたが、令和7年に全線存続の基本方針が打ち出されています。

今後とも車も買えない貧乏人環境意識高い系ハイカーにとって極めて重要なこの路線が末永く存続してくれることを願うばかりです。乗って残そう公共交通!

・・・私は上信電鉄の回し者ではありません。

車窓に目指す神成山が見えてきました。神成山九連峰とも呼ばれており、名前の通り複数の小ピークからなる岩峰です。住宅地の本当にすぐ背後に連なっている辺りが、いかにご当地アルプスらしい景観です。
上信電鉄の車窓から見た富岡アルプス

9時15分 南蛇井駅に到着しました。この駅名のひらがな表記は、何度見ても自然に笑いがこみあげてきます。なんじゃいワレ。
南蛇井駅のホーム

過去に何度か通り過ぎたことはありましたが、南蛇井駅に降り立ったのは今回が自身初のことです。名前が面白いという以外には特筆すべき点のない、簡素な駅舎の無人駅です。
南蛇井永輝の駅舎

なんじゃい観光マップ。・・・何もおかしなところはない、ごく当たり前の表記をしているにすぎないのですが、それでもやはりじわじわと笑いがこみ上げてきます。なんじゃい、いちいち笑うな。
南蛇井駅前の観光マップ
目指す神成山もしっかりと書き込まれています。富岡アルプスと言う名称は一切使用されていませんが、それは単にこの看板が、近年のご当地アルプスブームが始まる以前から存在しているからでしょう。

2.住宅地の直ぐ背後に立つ神成山九連峰

9時20分 身支度を整えて本日の行動を開始します。神成山は駅から直接歩いて登ることが可能な駅チカ物件であり、バス移動は必要ありません。
南蛇井駅の駅前

登山口までの道順が一番迷う核心部と言うのはご当地アルプスにはありがちですが、富岡アルプスはその点一切心配無用です。町中にこのように案内の標識が立っています。
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分岐地点には必ずこうして標識が立っています。だてに日本一綺麗なハイキングコースと名乗ってはおらず、登山口に立つ前の時点からとても親切丁寧に整備されています。
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遠くに見えている山がどれも危なそうな見た目をしているのが、いかにも西上州らしい景観です。神成山を含む富岡丘陵は西上州の前衛とでもいうべき地域で、関東平野の平野部と山間部の間に位置しています。
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神成山九連峰の姿が見えてきました。標高僅か300メートル少々の純然たる低山ですが、そこは西上州の山と言うだけあってなかなか岩々しい外観をしています。
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稜線の直下が断崖絶壁になっている辺りも含め、少なくとも外観上はしっかりとアルペン的な要素を感じます。アルプスとは名ばかりであることが多いご当地アルプス業界(?)にあって、なかなかの本格派と言ったところでしょうか。
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これから山登りをしようとしているタイミングだというのに、何故か野菜の無人版販売コーナーでサツマイモと言う重量物を買ってしまいました。
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シルクスイートという種類だそうで、帰宅後にスチームオーブンで焼き芋にして食べましたが、確かに凄まじい甘さでした。多分このイモ一つだけで、この日一日で消費したカロリーを上回ってしまったのではなかろうか。

どう見ても個人のお宅の出入口にしか見えませんが、標識によればここを入って行くようです。
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半信半疑のまま進んでいくと、山の裏側から回り込むようにして坂道が続いていました。
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坂道を終点まで登って行くと新堀神社がありました。ここから登山道が始まります。さあ、見せてもらおうではありませんか。日本一きれいだというハイキングコースを。
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3.日本一きれいなハイキングコースを縦走する

神社の脇の急階段を登って行くと、5分とかからずにあっけなく稜線の上に出ました。これで富岡アルプスの主稜線上に乗ったことになります。この先は最後までずっと尾根沿いです。
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どうやら石の鳥居がが立っていたようですが、現在は失われており土台の部分だけが残っています。まあ何しろ山の名前からして神成山なわけですから、当然古くから山岳信仰の対象なのでしょう。
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鳥居を過ぎると本格的な登りが始まりました。手を使う必要があるほどの急峻さではありませんが、岩が露出していてしっかりとアルペン的な景観です。
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しかし、そんな光景も長くは続きません。やけにあっけなく山頂らしき場所が現れまました。
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10時5分 吾妻山に登頂しました。神成山九連峰の第九峰にして、同時に最高峰でもあります。
富岡アルプス 吾妻山
この小さな祠は登山口にあった新堀神社の奥の院で、今登って来た道はもともとこの神社を詣でるための参道であったようです。

麓に広がる上信線沿線の町並みが良く見えます。距離的にもすぐそこなので、配達のカブの音やら犬の鳴き声やら、町の生活音がすべて聞こえてきます。静かな山ではないかな。
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古くから存在する由緒正しき参道は、この吾妻山の山頂までです。ここから先が、日本一きれいなハイキングコースとして整備された区間となります。
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この登山道を整備したのは地元の有志一同であるとされていますが、「神成山を愛する会」のような具体的な団体名は一切公表されていません。まさに草の根の活動によって整備維持されています。
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登山道の脇に、屋根付きのテーブルベンチが整備されています。これも有志一同が設置したものなのでしょうか。
神成山九連峰のハイキングコース

山カフェドロームと銘打たれています。お品書きは「おいしい空気」と「いい景色」と「のみもの持込」で、価格はすべてプライスレスです。
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ちなみにこのカフェ・ドロームというのは、富岡製糸場の近くに現在もあるカフェの名称です。

富岡製糸場の運営を指導した明治のいわゆるお雇い外国人である、フランス人技術者ポール・ブリュナ氏の出身地であるドローム地方にちなんだ名称であるとのこと。

山頂とも言えない尾根上のコブのような小ピークにまで、巻き道が用意されています。なるほどこれは確かに、とても丁寧な整備がなされています。
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わざわざ巻く程でもなかろうという事で、一応はピークを踏んでゆきます。

尾根上のただのコブかと思ったその場所は、九連峰の一つに数えられている八峰でした。あぶないあぶない。うっかり巻いてしまっていたら、富岡アルプス縦走が不完全なものになってしまうところでした。
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峰の数字が小さくなってゆくという事は、南蛇井駅スタートの富岡アルプス縦走は逆走ルートだという事になります。

今回私は富岡製糸場をゴール地点としたい都合があって南蛇井駅スタートにしましたが、純粋に富岡アルプス縦走だけを計画するのであれば、反対側の宮崎公園をスタート地点にするのが一般的です。

八峰の頂を踏んで進んで行くと、すぐにデジャブを覚えそうになる巻き道の分岐が現れました。ここも当然、巻かずに山頂を踏んでゆきます。
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この先はしばらく同じようなピークとも言えないような小ピークが連続するので、さっくりと省略いたします。標高差はほとんどなく、それこそ公園を散歩するような気分で歩けそうな道です。
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こちらの四峰の山頂には、何やらショーケースのようなものが設置されていました。
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側面に回り込んでみると、説明書きがありました。設置者は獣医師の山本さんと言う方で、これはミニ自然博物館であるとのこと。日本一きれいなハイキングコースを整備した有志一同の中の一人でしょうか。
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展示物を見てみると、動物のはく製だとか蛇の標本だとか昆虫の卵だとか、まあなんというか獣医さんらしいといえばらしい感じがするラインナップです。
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吾妻山からずっと変わらず、麓の街並みが足元のすぐ下に見えています。煙が上がっているのは野焼きでしょうか。地上との標高差は、たぶん100メートルくらいしか無いと思います。
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上信線が通るたびにゴトゴトと走行音が聞こえてきます。繰り返しになりますが、静かな山ではないですね。
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先へ進みましょう。相変わらず大きなアップダウンはなく、緩やかな尾根道が続いています。
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すぐに三峰が現れました。この辺りは松の木が目につきます。いかにも栄養分に乏しそうな乾燥した岩山によくある植生です。
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繰り返し述べている通り登山道は大変よく整備されていますが、枯葉が堆積した砂地の地面なので、所々に滑りやすそうな場所はあります。
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取り立てて危険と言うほどではありませんが、山を舐めずに足元に集中していきましょう。家に帰るまでが富岡アルプスです。

前方に、ここまでのピークとは言えないような小ピークとは明らかに格が違う感じのするピークが姿を見せました。
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山頂直下は手も使って登るような岩場になっていました。ここだけをピックアップして見ると、しっかりと西上州的な岩山です。
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岩場の登りは長くは続かず、ここでもあっさりと山頂に飛び出しました。
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10時55分 龍王山に登頂しました。標高は九峰の吾妻山よりも僅かに低いですが、ここが神成山の主峰の扱いをされているピークです。
富岡アルプス 龍王山の山頂
ここにも小さな石の祠がありますが、先ほどの吾妻山山頂にあった新堀神社とはまた別の山岳信仰に由来するもので、水神である龍王を祭った雨乞い祈願を行う場所でした。

それとは別に木曾御嶽山信仰にまつわる石碑も建っており、町はずれにあるごく小さな岩山でしかない神成山に、まったく系列の異なる複数の信仰が入り乱れるようにして残っているのがなんとも面白い。

山頂からの眺めは、吾妻山や四峰から見えていた景色とほとんど変わりはありません。そもそも大した距離を移動していないのだから、当然と言えば当然のことです。
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だいぶ空気が霞んでいてモヤーとしていますが、丘陵地の先に関東平野が広がっているのがなんとなく見えます。神成山がある富岡丘陵が、平野部と山間部との間に位置していることがよくわかる景色です。
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4.富岡アルプス縦走の起点、宮崎公園

先へ進みましょう。もう少し訪問時期が早ければ紅葉が綺麗だったのかもしれませんが、もうすでに辺りは完全な冬枯れの様相です。
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明らかに人工的に手が加えられていることを感じさせる、平坦な場所がありました。何というか、とても城っぽい感じがする地形です。
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そんなことを考えていたら、案の定ここは城址でした。城址の山をいくつも巡っているうちに、最近は地形を見ただけで何となく城であることがわかるようになってしまいました。そんな使い道のない特殊能力はいらんて。
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神成山九連峰の最後の一座である一峰は、縦走ルートからは少し外れた位置にあります。ここまですべてのピークを踏破してきておきながら最後だけスルーする理由は無いので、サクッと往復しておきましょう。
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ここも地形的に、物見台かあるいは狼煙台が置かれていたであろうことが容易に想像できます。
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という事で、一峰に登頂しました。これにて無事に、神成山九連峰の完全踏破が達成されました。
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下仁田道と呼ばれていた、中山道の脇往還を見下ろすことができる立地です。街道の往来を監視できるので、物見台を置くにはうってつけの場所であった事でしょう。
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神成城址まで引き返して、先に進みましょう。九連峰は踏破しましたが、富岡アルプスはまだもう少しだけ続きます。
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堀切の跡もかなり明瞭に残っていました。城だった当時は引橋が架かっていたのでしょう。こうした城址見物を楽しむためには、多分に想像力が重要になってきます。
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道の脇に不動様明王の石仏像が置かれていました。いつ見ても燃えていますが、熱くはないんでしょうかね。あまり傷んではおらず、城があった時代のものではなく比較的新しそうに見えます。
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最後は学校の裏手に出ました。反対側は畑になっており、こんなところにいたら不審者扱いされてしまうのではないかと少々心配になって来る登山口です。
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案内板によれば、この学校が立っている場所もまた城址であるとのことです。曲輪地形をそのまま学校用地に転用したという事なのでしょうか。跡地の有効活用ですな。
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町中に出ましたが、宅地化されているというだけで現在地はまだ富岡丘陵の上にいます。このまま丘陵の末端まで歩いていきます。
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もう歩くのに飽きたという人は、ここを右折して坂を下って行けば神農原駅に至ります。

11時45分 宮崎公園まで歩いて来ました。地元宮崎の富豪であった鈴木城作氏が作った庭園をもとにして整備された公園です。
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今では周囲を完全に住宅地に囲まれてしまっていますが、造られた当時は周囲が開けた丘の上にポツンとある庭園だったのでしょう。

無料の駐車場があり、富岡アルプス縦走としては、この公園を起点にして歩くのが最も一般的です。せっかくの駅チカ物件な山であるのに、結局はみな車で登りに来るのですね…
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だいぶ標高は下がりましたが、この公園からも麓の街並みを見下ろすことができます。
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時間的にちょうどお腹もすいてきたところだったので、この公園で弁当を広げて大休止を取りました。
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ここから先は富岡アルプスとは無関係なおまけ編となります。せっかくすぐ近くにまで来たのだからという事で、世界遺産の富岡製糸場を見物していきます。

5.富岡製糸場まで歩いて移動する

宮崎公園から富岡製糸場に移動したいのであれば、普通に考えればいちど神農原駅まで下って電車移動を挟むのが妥当です。ですがまあ大した距離でもなさそうなので、このまま丘陵上を歩いて行くことにします。
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徒歩で移動することに、特にこれと言った合理性はありません。まだ全然歩き足りない気分だったのでそうしたというだけのことです。

12時30分 貫前(ぬきさき)神社まで歩いて来ました。ここを目指して歩いていたわけではなく、たまたま通り道の脇にあったというだけのことなのですが、まあせっかくなのでお参りしていきましょうか。
貫先神社の入口

入口が尾根上の最高地点にあって、社殿はそこから少し下がった斜面上にありました。普通神社というのは石階段を登った先にあるのが一般的で、こうした配置は珍しく下り宮と呼ぶらしい。
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なかなか豪華絢爛な造りの社殿です。通りすがりに何気なく立ち寄っただけだったのですが、この貫先神社は上野国の一宮であるという事実を現地で知りました。
貫先神社の社殿

ちなみに大鳥居と表参道は、社殿があるのとは尾根を挟んだ反対側にあります。
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参道から登って来た場合は、一度尾根を越えてからさらに下った先に神社があるという参拝の動線になります。随分と変わった配置と言うか、いよいよなぜ尾根上の最高地点に社殿を建てなかったのか不思議なものです。
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貫先神社が立っている場所が丘陵の末端部分になっており、ここを過ぎるといよいよ川沿いの地面の高さまで下って行きます。
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下まで降りて来ると、ここにも大鳥居がありました。今では車で参拝に来る人の方が圧倒的に多数派で、参道を歩いて登る人はあまりいないのかもしれません。
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富岡製糸場までは、まだあと4kmほどあります。地図上で眺めた限りでは大した距離ではないと思ったからこそ歩いている訳なのですが、思っていたほどには近くありませんでした。
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その後もまっすぐ道沿いに進めばよいものを、わざわざ段丘の切れ端の上にある一峰公園に寄り道するなどしながらダラダラと進みます。いやね、町中に高台があったら登ってみたくなるではないですか。
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上越線の踏切を渡ります。この見覚えがある黄色い車両は、西武線のお古の101系です。
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この踏切の前後には歩道がなく、歩行者は少々怖い思いをします。群馬県は基本的に自動車社会なためか、歩行者への配慮はほぼされていない印象を受けます。

車通りの多い国道沿いは避けて、途中からは脇道を進むことにしました。この後もしばし舗装道路歩きが続きますが、読者の皆様を退屈させるのも忍び無いので省略いたします。
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6.世界遺産富岡製糸場を見物する

という事で場面は飛んで、富岡製糸場へとやってまいりました。見学料は1,000円で、別料金で200円を払うとガイド付きのツアーに参加することもできます。
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この場所についてあまり長々と解説をするのも、登山ブログの主題からは大きく逸脱してしまと思うので、さっくりと簡潔に見て行きましょう。
富岡製糸場
この富岡製糸場は名前の通り、お蚕さん繭から生糸を生産するための工場です。明治初期にヨーロッパから西洋式の最新の製糸技術を日本国内に移転することを目的につくられた、官製のモデル工場という位置づけでした。

狙いの通りこの工場で確立された製糸技術はその後の日本国内へ広く普及し、明治から昭和の初期ごろにかけて、生糸は日本の主要な輸出製品となります。

こちらが実際の生糸の製造装置です。現存しているのは創立当初に使用されていたフランス製の繰糸器ではなく、後年に導入された国産の機械です。
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オリジナルのフランス製の繰糸器は、長野県の岡谷にある岡谷蚕糸博物館に今でも保存されています。

蚕の繭は1本の糸によって作られているのが特徴で、糸の末端部分のことを糸口と呼びます。糸口を素早く見つけて巻取り機に引っ掛けるのが、糸取り女工たちの職人技でした。
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「糸口をつかむ」という普段何気なく使用している言葉が、もとは製糸業に由来するものだったことを初めて知りました。

ブリュナーエンジンと呼ばれている、生糸の製造装置を駆動するためのフランス製の蒸気機関です。当時使用されていたオリジナルではなく復元されたものですが、ほぼ完璧に再現されていて運転も可能です。
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こちらは女工たちの寄宿舎だった建物です。年代相応に古くはなっていますが、綺麗に管理保存されています。
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製糸業の従事者となると、あゝ野麦峠や女工哀史のイメージがたいへん強く、今でいうブラック企業的な劣悪な労働環境を思い浮かべてしまいますが、官営のモデル工場であった富岡製糸場に限って言うと、かなりホワイトな職場であったそうです。

端から端まですべての展示物を見て回ると、だいたい2時間くらいはかかると思います。微妙な世界遺産扱いをされがちな富岡製糸場ですが、少しでも関心があるのなら一見の価値はあると思います。
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見物を終えたら上州富岡駅まで歩きます。徒歩での所要時間はだいたい15分ほどで、わざわざタクシーを呼ぶほどの距離ではありません。
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15時30分 上州富岡駅に到着しました。その大半は富岡アルプスとは無関係の脱線でしたが、なんだかんだで結構な距離を歩きました。
上州富岡駅の駅舎

タイミングが良かったようで、さしたる待ち時間もなく高崎行きの電車がやってきました。時間帯によっては結構間が開くので、時刻表は事前に確認しておいた方がいいと思います。
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気動車のキハ110が大好きなので、高崎からの帰路ではわざわざ八高線に乗ることが多いのですが、やって来たのはキハ110ではなく新型のハイブリッド気動車HB-E220系でした。なんだと…。
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俺たちのキハ110を返してくれ!と心の中で叫びつつ、長い長い帰宅の途につくのでした。

ご当地アルプス巡りに世界遺産見物と欲張っていろいろ詰め込んだ一日でしたが、特に非常識ではない無難な行程にまとまったと思っているのですが、いかがだったでしょうか。
富岡アルプスに関して言うと、運動強度的には手軽というレベルを通り越して、ほぼお散歩に近いような行程に感じられました。山登りだけを目的にして遠方から訪れた場合は、正直物足りなさを感じるのではないかと思います。何らかのプラスアルファを絡めた計画にすることを推奨します。世界遺産見物のついでくらいのつもりで、日本一きれいなハイキングコースに足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

<コースタイム>
南蛇井駅(9:20)-吾妻山(10:05)-神成山(10:55~11:10)-宮崎公園(11:45~12:15)-貫前神社(12:30)-富岡製糸場(13:40~15:15)-上州富岡駅(15:30)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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