太平山 アジサイが咲く、関東平野を見晴らす栃木の里山

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栃木県栃木市にある太平山(おおひらさん)に登りました。
僅か標高341メートルほどの低山ですが、平野部に隣接した立地にあるため眺望に優れた山です。春には桜が花を咲かせ、梅雨になると今度はアジサイが咲き誇る花の山です。山の麓にある大中寺の境内や、山頂近くに立つ太平山神社の参道などの複数個所にアジサイの群生地が存在し、多くの見物客で賑わいます。
一向に雨の降り止む気配のない梅雨空の中、アジサイの名所を巡ってきました。

2020年7月5日に旅す。

太平山は栃木市の市街地のすぐ傍らに立つ里山です。山頂近くに立つ太平山神社のすぐ下にまで車道が通じており、地元栃木の人にとっては初詣先として大定番のなじみ深い山であります。
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視界を遮るもが無い平野部に隣接しているため、空気の澄んだ日であれば、遠くに富士山を望むことも出来ます。また夜景スポットとしても有名です。

車で手軽に行けるため半ば観光地化しており、言うなれば高尾山と同じカテゴリーの山です。団子とだし巻き卵が名物で、多くの売店が軒を連ねています。
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また太平山はアジサイの名所としても知られており、シーズン中には多くの見物客が訪れます。

太平山単体だけに登った場合、登山と言うよりは観光の範疇に含まれてしまいそうなくらい軽いものとなります。そこで今回は、太平山から関東ふれあいの道を辿り、隣の晃石山から馬不入山(うまいらずやま)までを縦走して来ました。
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満開の見頃を迎えたアジサイと、うだる様な蒸し暑さの低山をほっつき歩いた一日の記録です。

コース
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東武線の新大平下駅より紫陽花寺として名高い大中寺へ。大中寺から謙信平を経由して太平山へ登頂します。太平山からは関東ふれあいの道に沿って馬不入山まで縦走し、岩船駅へ下ります。

1.太平山登山 アプローチ編 鈍行列車で行く栃木への旅路

7時55分 JR栗橋駅
太平山へ公共交通機関でアクセスするには、JR両毛線の大平下駅かもしくは東武日光線の新大平下駅から直接歩いて行きます。栃木駅からのバスもあるようです。
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単線の両毛線は運行本数が少なめなため、今回は東武をチョイスしました。
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8時28分 栗橋駅からおおよそ30分程の乗車時間で、新大平下駅に到着しました。
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目指す太平山はこの通り、駅からすでに見えています。横に長い山で、最高地点はこの写真の中央右寄り付近に見えている晃石山(てるいしさん)です。
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駅の改札に早速、太平山の名前が掲げられていました。しかし、駅から歩いて登る人は少数派なのか、周囲にハイカーの姿は見当たりませんでした。
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駅前広場のベンチに腰掛けて、軽く腹ごしらえと身支度を整えます。8時40分に行動開始です。
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2.ブドウ畑が広がる大中寺への道

まずは駅前を右折して、両毛線の大平下駅方面に向かって道なりに進みます。
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ブドウ畑と思われる畑がありましたが、苗木が見当たりません。休耕地なのかな。空はどんよりとした曇り空ですが、今のところ雨は降っていません。
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市街地の中を歩きますが、こうして所々に道標はあります。少々わかりにくいところもあるので、地図をよく確認して下さい。
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10分少々歩いたところで、両毛線の大平下駅へと辿り着きました。こちらからスタートする方が、ほんの少しだけ近いです。
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駅前を右折して線路沿いに進みます。やがて踏切が現れるので渡ります。
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ブドウ畑沿いの長閑な道を進みます。この一帯は大平ぶどう団地と呼ばれており、ぶどう狩りも出来ます。
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緑色のブドウですね。マスカットなのでしょうか。
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わざわざ一つずつ丁寧にビニールで保護されていました。こうして手間暇かけて栽培しているのですね。
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店頭に並んでいる巨峰を見て、「高いな~」など思う事はしばしありますが、これだけ手間がかかっているの見せられると、何も言えなくなります。

足元に、お馴染の関東ふれあいの道の石碑が埋め込まれていました。本日歩こうとしているルートは、この関東ふれあいの道に沿ったコースです。
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途中での農道から外れて、ようやくハイキングコースへと分け入っていきます。
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と言ってもまだ山道ではなく、ほとんど傾斜の無い遊歩道です。曇天もあってか、森の中は夕刻時並みの薄暗さです。
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突然目の前をヘビが横切り思いっきり驚く。いやまあ、むこうはもっと驚いたのかもしれませんが。
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ちなみにすぐそこは市街地です。小さな丘陵地の山腹に沿うようにして歩道が整備されています。
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歩道歩きは割とあっけなく終わり、車道と合流します。
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ため池で釣りに興じる人の姿が多くありました。何が釣れるのでしょうか。
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蓮が花を咲かせていました。私はこういう底が見えない濁った水たまりに、本能的な恐怖心を感じます。カナヅチではないのだけれど、それでも覗き込むと体の奥底が身震いします。正直、ため池にはあまり近づきたくありません。
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前方に太平山が近づいて来ました。どこが山頂なのかはよくわかりません。
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9時35分 大中寺に到着しました。太平山の麓にあるあじさい寺として有名な場所です。
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3.アジサイが見ごろを迎えた大中寺

入口からしていきなり、いかにも紫陽花寺らしい山門です。見頃のど真ん中だと言うのに、周囲に人の気配は殆どなく閑散としていました。
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大中寺のアジサイは全般的に青いものが多めです。紫味を帯びているものもあります。
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幸か不幸か雨は降っておりません。アジサイロード歩くときは、傘をかざしていた方が画になったりするのですけれどね。
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振り返って見た参道の光景です。これまた見事な杉並木が、この寺の歴史の長さを感じさせます。
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例年であれば、アジサイシーズン中には多くの見物客が訪れるのであろうこの場所も、コロナ渦の影響なのか静まり返っていました。
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こんなに綺麗に咲いているのに実に勿体ない。
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見上げる高さの巨木です。特にしめ縄などは巻かれていませんが、ご神木でしょうかね。
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観光地では定番の、はめ込み撮影パネルまでありました。七不思議の伝説があるらしいのですが、全般的にホラーテイストな意匠ですな。
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4.多くの観光客で賑わう謙信平

10時 アジサイ見物を終えて行動を再開します。大中寺から直接太平山へ直接登れる登山道もあるようですが、少しばかり遠回りして謙信平と呼ばれる場所へ立ち寄って行きます。
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クネクネと山を登る車道歩きがしばしの間続きます。なおこの道は、太平山神社の手前まで続いています。
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徒歩のハイカーは、途中から車道を外れてショートカットが出来ます。という事で、ここを左に入ります。
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立ちはだかる圧倒的階段。大した距離ではないのですが、尋常ではない蒸し暑さを前に、止めどもなく汗が流れ出来ます。
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わざわざ勾配を現す道路標識が設置されているくらいだから、この小道にも車両が通行することがあるのでしょうか。
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一般道としてはあり得ないような勾配ですが、徒歩道としてみれば大したことはありません。
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再び車道と合流しました。ここまでの静けさが嘘のように、周囲に人の姿が増えました。
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10時30分 謙信平に到着しました。その昔、上杉謙信が兵馬の訓練を行った場所であるそうです。太平山の肩にあたる平坦な尾根の上です。
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晴れて空気の澄んでいる日には、ここから富士山が良く見えるのだそうです。本日はまあ、望むべくもありませんがね。
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駐車場のすぐ脇には、アジサイの小道が造成されていました。ほぼ青一色だった大中寺とは違って、こちらはカラフルです。
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これはカシワバアジサイですね。何故か私は、このアジサイを見るたびに明治バニラソフトを思い出します。
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この謙信平は、車で直接上がってこれることもあってか、多くの商店が軒を連ねる観光地となっています。団子と焼き鳥と卵焼きの3っつが、名物として知られています。
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名物とあってはスルーするわけにも参りません。こう暑くては流石に焼き鳥を食べたいような気分ではなかったので、団子と卵焼きを頂きました。大根おろしが良く合っておいしい。
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謙信平の一番端にある、このあずま家と言う商店の脇に、太平山へ向かう道があります。
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5.太平山登山 登頂編 曇り空の下の富士山浅間神社

10時50分 山頂に向かって登山開始です。と言っても、ここは太平山神社の参道でもあるので、足元は最後までずっと石の階段です。
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こんな大きな岩を投げてよこすとは、天狗の奴は油断がなりませんな。
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この参道上もアジサイが満開です。おかげで、単調な石段歩きであっても無聊はしません。
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アジサイロードが続きます。実は今歩いているこの謙信平からの道は裏参道で、アジサイ坂と呼ばれる表参道は別にあります。そちらへアプローチするには、栃木駅からバスに乗って来る必要があります。
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太平山神社へやって来ました。例年ですと、アジサイシーズンには立錐の余地もないほど人が詰めかけるらしいのですが、今年は比較的空いています。
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太平山神社は、西暦9世紀に慈覚大師(円仁)により創建されたと言う歴史ある神社です。徳川幕府とのつながりが強かったことにより、とくに江戸時代には大きく繁栄していました。
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現在でも、栃木県民の初詣先として定番中の定番な存在であるそうです。聞けば聞くほど、高尾山と同じカテゴリーの山ですね。

やけにのっぺりとしたシルエットの狛犬です。
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神社のすぐ脇にも売店がありました。途中で謙信平に立ち寄らずとも、団子と卵焼きはここでも食べられます。
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売店の裏手には宇都宮方面の展望が開けます。・・・晴れていればね。
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観光地エリアなのはこの太平山神社までです。ここからようやく登山の領域へと入って行きます。
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ちなみに、この先にはもうアジサイは咲いていません。よって、アジサイ見物が訪問の目当てあるならば、この先へ進む必要は特にありません。

という事で、これより蛇足の領域へと足を踏み入れ行きます。なにせ一応は登山ブログを標榜している以上、登山しない訳にもいかんのです。
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ようやく山道らしい山道が始まりました。悪い冗談のような蒸暑さの中、夏の低山歩きの始まりです。
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登り始めてすぐのところに太平山神社の奥宮があります。せっかくなので立ち寄っていきましょう。
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これまた可愛らしい奥宮です。小さなお社がぽつんと一つあるだけの空間です。
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太平山の山頂はもう少し先にあります。山頂直下は岩が露出しており割と急峻です。
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分岐が現れました。浅間山神社と書かれている方が山頂になります。
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散歩に毛が生えた程度のちょいハイキングなのかと思いきや、割としっかり登らされました。
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11時20分 太平山に登頂しました。周囲を樹木に囲われていますが、富士浅間神社を名乗っている以上は、かつてはここから富士山が見えたのでしょう。
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太平山の山頂標識は、神社の裏手にひっそりとありました。周囲の展望は一切ありません。
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ちなみに広義に太平山と呼ばれているのは、このピークの事ではなく山塊全体の事を指しています。広義の太平山最高地点は、お隣の晃石山となります。

6.晃石山から馬不入山へと続く、尾根を辿る道

山頂を辞去して縦走を開始します。最初に言ってしまうと、この先に進んでも特にこれと言った見所は存在しません。まだ歩き足りない等の動機でもない限りは、ここまでで引き返した方が無難かもしれません。
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物好き系ハイカーを標榜する私は、例え見所が無い事がわかっていようとも前進します。ここはもともと、そういうブログなのですから。

山頂直下の急坂を下ると林道とぶつかりました。
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ここからはまた林道歩きが始まるのかなと思いきや、幸いにもすぐにまた登山道に戻りました。
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再び道と交差します。今度の道はしっかり舗装されていました。
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駅から見た時にも稜線上に見えていたアンテナ塔です。この塔へ出入りするための道のようです。
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稜線上は結構激しくアップダウンを繰り返します。散歩コースに毛が生えた程度の道を想像していましたが、割としっかり登山らしい登山の出来るコースです。
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しかしなにもわざわざ、こんな暑い盛りの季節を選んで低山歩きをしなくても良いような気もしますがね。ですが良いのです。ここはもともと、そういうブログなのですから。大事な事なので2度言いました。

前方に眺望スポットの予感。
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視界が開けますが、見えたのは相も変わらずな飴色の曇り空だけでした。晴れていればきっと、広々とした関東平野が目の前に広がる場所なのでしょうね。
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道中に駒形石なるものがありましたが、どの辺りが駒(仔馬)なのかはよくわかりません。
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駒形石から先も延々と長い道が続くのですが、似たような単調な光景が続くので中略します。という事で山頂が見えて来ました。
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12時20分 晃石山に登頂しました。ここからは、晴れていれば北側に日光連山の山並みが見えるそうです。
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この重量感のある立派な柱石は、一等三角点である証です。
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この後に歩く尾根がずっと連なっているのが見えます。どんよりとした飴色の空と変わり映えの無い光景に、少々食傷気味になってきました。
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晃石山が本日の行程の最高地点であるため、多少の登り返しはありますが、この先は基本的に下り主体となります。
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辺りが少しガスってきました。標高300メートル程度の山が雲にまかれてしまうとは、よほど低い位置に垂れ込めている雲なのでしょう。
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12時45分 ハイキングマップには記載のない青入山と言うピークを通過します。ここから桜峠に向かって大きく下ります。
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前方にこれから向かう馬不入山の姿が見えます。峠からは結構登り返すようですね。
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山肌に採掘場があるのが見えます。石灰岩質のようには見えまぜんが、砂利の採取場でしょうか。
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先へ進みましょう。相変わらず辺りはうっすらとガスており、ライトが欲しくなるくらいの薄暗さです。
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峠の手前はかなりの急勾配で、木製の手すりが整備されていました。有難く使わせ貰いつつ下ります。
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13時10分 桜峠まで下って来ました。その名の通り、春には桜が多く咲く場所であるとのことです。
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ちなみにここからエスケープすることも出来ます。正直なところ単調な光景に少々飽き飽きしつつありましたが、せっかくここまで来たのだから縦走を完遂します。

馬不入山に向かって登り返します。登った分だけまた後で降りなければならないことを考えると、イマイチ気が進みませんが道がそうなっている以上は仕方がありません。
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山頂が見えて来ました。これまた地味な場所ですねえ。
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13時40分 馬不入山に登頂しました。うまいらずとはまた不思議な名前の山ですね。馬など無くても簡単に登れる高さしかないと言う意味でしょうか。もしくは、信仰上の理由で馬の乗り入れが禁止されていたとか。
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7.太平山登山 下山編 単調な山道を黙々と下り、岩船駅へ

13時55分 ガスに巻かれた低山の山頂に留まっていても、何も得るものはありません。手早く腹ごしらえを済ませたら下山開始です。
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このあと何度かアップダウンを繰り返すのですが、特に見所もない単調な道であるので、スパッと中略します。

途中で一度車道を横断しますが、まだ終わりではありません。再び登山道に突入します。
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またもや溜め池がありました。太平山の周囲はどこもかしこも溜め池だらけです。ブドウ畑へ供給するためのものでしょうかね。
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ここにも釣り人の姿が多くありました。ため池で釣りをするのは、大平地方における極めて一般的なレジャーなのでしょうか。
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舗装道路に出てからもまだひと道あります。
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ため池の先に岩船山の姿がありました。江戸時代から続く採石によって、切り立った岸壁に囲われた異形の姿となった山です。
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大きく崩落してしまっている個所もあります。聞いた話によると、この部分は地震で崩れてしまったらしい。
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最後に、麓から振り返って見た馬不入山の姿です。どこにでもある里山そのものと言った姿をしていました。
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14時55分 岩船駅に到着しました。駅から駅へとつないだお手軽ハイキングでありました。
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特に危険個所もないので、誰でも手軽に歩くことの出来るコースと言えます。蒸し暑くなければね。

狙いすましたかのようにピッタリのタイミングで現れた電車の乗り込み、帰宅の途に付きました。
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アジサイの名所を巡る梅雨時の山行きはこれにて終了です。季節上仕方のないことですが、尋常ならざる蒸し暑さでありました。
これは結果論ですが、太平山から先の縦走は完全なる蛇足でありました。晴天でもっと空気の澄んでいる時に歩けば、また違った感想も生まれたかもしれませんが、この稜線を辿る道は蒸し暑い梅雨の季節に歩くのにはまったく適しておりません。素直に太平山周辺だけを巡った方が良いでしょう。
太平山はアジサイだけではなく桜や紅葉の名所であるので、季節を変えて訪問すればきっと新しい発見があるでしょう。

<コースタイム>
新大平下駅(8:40)-大中寺(9:35~10:00)-謙信平(10:30~10:50)-太平山神社(11:00~11:10)-太平山(11:20)-晃石山(12:20)-青入山(12:45)-桜峠(13:10)-馬不入山(13:40~13:55)-岩船駅(14:55)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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