神奈川県松田町と山北町にまたがる高松山(たかまつやま)から松田山(まつだやま)を歩いてきました。
丹沢山地の南部に位置する前衛の山です。丹沢山地の中では比較的標高が低く、また山容もなだらかで登り易いことから、手軽なハイキングコースとして人気があります。
松田山の中腹にある西平畑公園のハーブ園には数多くの河津桜が植えられており、開花時期になるとまつだ桜まつりが開催され、非常に多くの見物客で賑わいます。
早咲きの桜を求めて、一足早い花見登山をして来ました。
2018年2月24日に旅す。
小田急線やJR御殿番線を良くご利用になる人ならば、松田駅付近を通過中に、車窓から山の一面がピンクに染まった風景を眼にしたことがあるのではないでしょうか。
これが今回の目的地である、松田山のハーブ園です。
河津桜の開花時期に合わせて、2月の中旬から3月上旬頃にかけて、まつだ桜まつりが開催されます。
この祭りは毎年大盛況で、晴天の週末ともなると、まっすぐ歩くのにも難儀するくらい大勢の見物客が押し寄せます。
河津桜は、1月の下旬から2月の上旬にかけて開花する早咲きの桜です。ソメイヨシノに比べて、ピンク味が濃い花弁が特徴です。開花期間が長く、1ヶ月近く見頃が続きます。
ちょど見頃を迎えたという情報を得て、いざ花見登山へと繰り出します。
なお松田山というのは、まさに松田駅の裏山とでも言うべき小高い丘のようなもので、登山と呼ぶには少々物足りなさを感じる場所です。
そこで今回は松田山のお隣にある高松山へ登り、そこから尾根沿い松田山を目指すプチ縦走登山を計画しました。
コース
高松山入口バス停から高松山へ登頂。その後は尾根沿いに第六天、最明寺公園を経由して、松田山へ向かいます。コースタイム5時間ほどのハイキングコースです。
1.高松山登山 アプローチ編 高速道路建設予定地に広がるみかん畑
もうすっかりお馴染な西丹沢の玄関口、新松田駅へとやって来ました。暖かな小春日和とあって、駅前は朝から凄い数の人です。
ここから8時25分発の西丹沢行きのバスに乗り込み、高松山入口バス停へ向かいます。
割と短時間で到着するので、特に席取りを意識して早くに並ぶ必要はないかと思います。
8時50分 高松山入口バス停に到着です。結構な数の登山者がここで下車しました。高松山は、地味ながらそこそこの人気のある山であるようです。
バス停の脇で満開のロウバイが出迎えてくれました。まだまだ寒い日が続いていますが、春は確実に近づきつつあります。
これから目指す高松山は、バス停の真正面にあります。標高800メートルほどの低山ながら、スタート地点の標高も低めなので、そこそこの距離を登ることになります。
新東名の工事に伴い、迂回路を歩くように案内されました。黄色のルートが従来の道で、赤で示されているのが迂回路です。コースタイムにして10分ほどのプラスです。
みかん畑の広がる斜面に沿った作業道を登って行きます。見ていたら、猛烈にみかんが食べたくなってきました。
正面に見えているこんもりとした山は、位置的に箱根外輪の明神ヶ岳(1,169m)かな。
先ほどから、露地物のみかん販売所とかないかなーと期待して歩いているのですけれど、一向に現れません。実っているのを指をくわえて眺めることしか出来ません。
この辺りに新東名の橋脚が立つらしく、周囲は大きく刈り払われていました。
伐採により、背後の視界が開けています。橋脚が立ってしまう前にしか見ることの出来ない、期間限定の眺望です。
2.高松山登山 登頂編 里山から眺める相模湾の展望~当社比50%かすみ増量中
バス停を出てから40分ほど歩いたところで、ようやく土の登山道が始まりました。まずは謎多きビリ堂なる場所を目指して登って行きます。
傾斜もさほどキツくなく、いかにも里山らしい風景が広がります。
鉄塔の巡視路を兼ねているらしく、すぐ脇を通過します。と言うことで、定番の見上げアングル。
しばらく登ったところで、林道を横断します。林道を境に森の植生が一変し、山頂まで杉の人工林が続きます。
普段は大いに花粉に苦しんでいるオオツキですが、杉林の中に居る分には、あまりかゆみを感じません。森から舞い上がった花粉が降ってくる場所に居る方が、より被害が大きいのでしょう。
10時20分 ビリ堂に到着しました。謎のビリ堂とは、果たしてはどんな場所なのかと言うと。。
お堂が建っているのかと思いきや、ただ観音像が置いてあるだけの場所でした。
由来が書かれた案内板が置かれています。「一番びり、最後にある観音堂のためビリ堂と呼ばれる」だそうです。ビリっけつのビリだったのね。
ビリ堂を出てしばらく進むと、ここまでの緩やかな道が一転して階段地獄が始まります。そういえばここは階段地獄で知られた丹沢の山なんでしたっけね。すっかり忘れるところでした。
こんな最後の方になってから丹沢らしさを発揮しなくてもいいのに。。
息絶え絶えになりながら階段地獄を登り詰めたところで、ようやく空が見えてきました。
10時40分 高松山に登頂です。途中までは実に楽チンな山でしたが、最後の最後で階段地獄に見舞われて結構疲れました。
山頂の様子
広々とした芝生の空間が広がっています。極めて展望良好です。
正面には箱根の山々が一望できます。
左が明神ヶ岳で、その右奥に僅かに頭を覗かせているのが、箱根最高峰の神山(1,438m)です。右の尖った山は金時山(1,212m)です。
雲と春霞に遮られてほんの薄っすらとでしたが、富士山の姿も見えました。
そして相模湾。こちらも霞んでしまって薄っすらとしか見えませんでした。空気の澄んだ日であれば、さぞ素晴らしい眺望が得られることでしょう。
3.魔王は居ない第六天と里山の長閑なる風景
山頂でゆったりと寛いだ所で、11時20分に下山を開始します。本日のメインイベントである、河津桜が咲き誇る松田山を目指します。
お楽しみを最初に持って来たい人は、松田山からスタートして山北駅に向かって歩くのもよいかもしれません。
その場合、松田山だけで満足してしまって、高松山まで行くモチベーションが維持できないかもしれませんが。
この辺りはゴルフ場だらけです。丹沢湖より上流に位置するエリアは神奈川県の水源林として保護されていますが、この辺りには特に規制はないのでしょう。
気の隙間から僅かに、丹沢主脈の稜線が見えました。あちらはまだまだ雪が残っているようです。
目指す松田山の手前に、一つの丘が立ちはだかります。それはつまり、この後に登り返しが待ち受けているということです。
富士見台を名乗る場所がありました。関東近郊の至る所で目にする地名です。
だいぶうすれつつも、まだ微かに見えました。これはもう、スマートフォンのカメラには写らないうすさです。
11時55分 尺里峠に到着しました。ヒサリ峠と読みます。四差路となっており、道迷いしやすいポイントです。
峠の様子
看板が林立しすぎていて、かえってどっちに行けばよいのか分からない言う。
これは振り返って撮影したところです。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、松田山に向かうのであれば、この写真の撮影地点の方に向かうのが正解です。
尺里峠のすぐ脇に、第六天という名の、登山道のない藪山があります。山頂に通じていそうな踏跡が薄っすらとあったので、とりあえず寄ってみることにしました。
だって第六天ですよ第六天。どんな場所か気になるではないですか。魔王が住んでいるのでしょうか。
藪山と言いつつも、境界認識用のポールが立っており、それなりに人の往来はあるようです。
割とあっさり登頂しました。山頂標識などはなく、名前入りのテープが木に巻かれているだけでした。
ここが山頂であることを示すものと言えば、この三角点くらいなものです。魔王には会えませんでした。
この道の周囲には、やたらと軽トラやら大型家電やらが遺棄されていました。産廃の不法投棄現場となってしまっている場所のようです。
振り返ってみる高松山。
電線が写っていなかったら、この写真が記事のトップを飾っていたかもしれません。イマイチだったので、無難な河津桜のアップに取って代わられました。
富士見台からよりも遥かに良く富士山の全貌が見えました。すっかり霞んでしまって、もう間もなく見えなくなりそうです。
松田山のハーブ園は、富士山と河津桜と言う鉄板の構図で撮影が出来るスポットとして知られています。
ですが、残念ながらこの様子では、辿り着くまで持ちそうにはありませんな。
遠巻きに見えていた松田山の手前にある丘に向かって登り返します。
この道は、登山道と言うよりは遊歩道です。ゆったりとした歩きやすい道が続きます。
花粉をたわわに湛えた杉の木。こんな物騒なものはすべて伐採して、タンスにでもしてしまえばよいんですよ。
このポーズが登り返し終了を表現しているのかどうかは知りませんが、ともかくここがピークです。
ここまで結構な距離を歩いてきて、少しダレてきました。目に見えて歩行速度が鈍ってきた中年3人組みです。
最明寺史跡公園の敷地内に入ります。寺があるわけでなく、寺の跡です。
池がありました。一瞬お堀なのかと思いましたが、ここは城跡ではなく寺の跡でしたね。
サギだー!
じっと佇んでいました。泥の中に居る昆虫でも狙っているのでしょうか。
大勢のハイカーが休憩していました。これから松田山に向かうのでしょうか。
30分以上歩いたところで、道から外れて鹿除けのゲートを潜ります。
天野松田山わくわくランドなる場所の脇を通ります。自然体験学習のための施設のようです。
この辺りはロウバイが見頃です。標高が下がったことにより、周囲の景色は冬枯れの殺風景から、再び麗らかな春の様相へと戻りました。
正面に相模湾を一望できる、天空のみかん畑の中を下って行きます。素晴らしい眺望です。
ここで待望のみかん販売所を発見し、無事購入できました。5個入りで100円という破格の値段です。
檸檬(レモン)と言い、柑橘類と言うのはただ漢字表記しただけで、何故か文学の香りが漂ってくるから不思議です。
ようやく本日のメインイベントである、松田山のハーブ園に到着しました。
4.松田山で満開の川津桜を心行くまで鑑賞する
会場は凄い数の人で溢れかえっていました。桜祭りの期間中は、臨時の送迎バスが運行されており、歩かずにここまで登ってくることも可能です。
まだ少しつぼみの状態の花があり、8分咲きと言った所でしょうか。河津桜は開花期間が長いので、もうしばらくの間は見頃が続くことでしょう。
先ほども言いましたが、松田山は富士山が見えるスポットでもあります。さて、霞に埋もれつつあった富士山は今どんな常態かと言うと。。
残念ながら、全く見えなくなっていました。撮影目的の人は、まだ気温の低い午前中の内に訪問した方がよいでしょう。
斜面に植えられた菜の花も、ちょど見頃を迎えていました。黄色とピンクのコントラストが実に美しい。
麓からも見えていたこの白い建物は、ハーブガーデンのみやげ物店兼レストランです。ハーブ教室なる体験コーナーもあります。
桜の木々の間を縫うように、九十九折れの通路が入り口から続いています。
撮影用の脚立が置いてありました。順番待ちが発生していましたが、せっかくなので並びます。
撮影スポットからの風景がこちら。本来であれば、左上の空が見えている辺りに富士山の頭が見えるようですね。
さくら祭りの開催期間中は、夜間にライトアップされます。登山のついでではなく、純粋に花見のみを目的に訪問するのであれば、夜に訪れるのも良いかもしれません。
人混みにもまれてつつ、入り口まで下って来ました。
すれ違いが困難なほどの盛況振りでした。
14時40分 新松田駅に帰還です。駅に向かって歩くと言う、理想的なコース取りでした。
一足早い新春の花見登山はこれにて終了です。およそ6時間ほどの程よいボリュームの山行きでした。
前々から気になっていた、松田のピンクに染まったの斜面の正体を、ようやく実際にこの目で確認することが出来ました。河津桜といえば本家は伊豆の河津地方ですが、そこまで遠出せずとも、松田でも十分すぎるほど楽しめます。
高松山も松田山も、どちらも麓の町から近い里山ながら、眺望が非常に素晴らしく、お手軽なハイキングコースとしてとてもオススメです。ベストシーズンと言えるのは、みかんが実り新春の花が咲き誇る、まさに今の季節です。春の息吹を感じる里山歩きに繰り出してみては如何でしょうか。
<コースタイム>
高松山入口BS(8:50)-ビリ堂(10:20)-高松山(10:40~11:20)-尺里峠(11:55)-最明寺史跡公園(12:50~13:15)-松田山(14:00)-新松田駅(14:40)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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