蛭ヶ岳 【下山編】冬晴れの丹沢主脈を歩く【day2】

鬼ヶ岩から見た蛭ヶ岳と富士山
神奈川県相模原市と山北町にまたがる蛭ヶ岳(ひるがたけ)に登りました。
この記事は2日目の下山の記録です。もともと展望の良いことで知られる主脈縦走路ですが、空気の澄んだ冬晴れの早朝時間帯は、驚くほど遠くまでを鮮明に見渡すことがで来ます。
最高の天気と眺望を心ゆくまで味わう稜線歩きをして来ました。

2017年12月30日に旅す。

二日目は普通に大倉に向かって下山します。過去に何度も歩いている主脈コースです。天気は雲ひとつ無い冬晴れで、終日素晴らしい展望が得られました。

と言うことで今回は、写真多め言葉少なめにスパッと簡潔にお送りします。

1.丹沢最高峰から望む日の出と、朝焼けの大絶景

5時30分 山小屋の朝は早い。
と言うことで本日の朝ごはんです。ご飯にお味噌汁と言う至ってシンプルなメニューです。
蛭ヶ岳山荘の朝食
食事が済んだところで、ご来光を待つべく、持っている服をすべて着込んで外へ出ます。外気温はマイナス6度です。

マジックアワーの都心方面の展望です。夜明け直前の時間帯独特の、えもいわれぬ色合いです。
蛭ヶ岳山頂から見た朝焼けの都心部

暁の富士山。すべてのものが美しく見える時間です。
蛭ヶ岳山頂から見た暁時の富士山

事前に確認してあった日の出時刻である6時47分ちょうどに、太陽が昇って来ました。
蛭ヶ岳山頂からのご来光
あったーらしーい朝がきたー♪
と何故か脳内でラジオ体操のテーマが自動再生されました。体操はしませんけどね。

2018年初日出・・・の2日前の日出です。
蛭ヶ岳山頂からのご来光
たかが2日くらい、ニアイコールでしょう。長久なる大宇宙の営みから見れば、12月30日の日出と1月1日の日出に違いなどありません。

朝日に照らされる富士山。
蛭ヶ岳から見た朝日を浴びる富士山

ズームで。吉田ルートのブルドーザー道がクッキリと見えていますね。
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南アルプスも茜色に染まって来ました。
蛭ヶ岳山頂から見た朝日を浴びる南アルプス

山頂から見下ろすユーシン渓谷。前日に蛭ヶ岳を見上げた熊木沢出合が、眼下に見えます。
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江ノ島をズームで。背後の三浦半島と、そのさらに後ろの房総半島までもがクッキッリと見えます。
蛭ヶ岳山頂から見た江ノ島

江ノ島が見えたところで、同じ島つながりと言うことで伊豆大島の姿も。
蛭ヶ岳山頂から見た伊豆大島
これだけクッキリと見えるのは珍しいです。素晴らしい空気の澄み具合でした。猛烈に寒いけれど。

再び都心方面の展望。こちらはなんとなくモヤッとしてきました。
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やはりスカイツリーは目立ちますね。
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小屋の中に戻り、ストーブの前でぬくぬくと出発の準備を整えます。チンタラやっていたら、いつの間にか他の宿泊者は全員出発し、自分一人だけになっていました。

3.笹の稜線が続く、爽快なる丹沢主脈縦走路

7時50分 下山開始です。ここから大倉まで、およそ13kmほどの道のりです。
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今日はもう下山するだけなので、先を急ぐ旅ではありません。冬晴れの主脈縦走路を、のんびりと心ゆくまで堪能します。
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これは前日に登ってきた、熊木沢出合いから棚沢ノ頭へと続く尾根です。
地図を見た限りでは、特に名前は無いようですね。弁当沢尾根とでも呼べば良いのでしょうか。
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ちょうど太陽に向かって歩く格好となるので、モロに逆光です。
この日の写真撮影は、この後もずっと逆光に苦しめられました。
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鬼ヶ岩に向かっての登り返します。日陰に入ると途端に体感温度が下がり、寒さに打ち拉がれます。
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鬼ヶ岩から振り返ると、雲ひとつ無い最高の眺望が得られました。
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定番の鬼ヶ岩から見た蛭ヶ岳も、この通りバッチリです。
鬼ヶ岩から見た蛭ヶ岳

奥には南アルプスの山々が連なります。山座同定を始めるときりが無いので割愛しますが、南アの主要な山がすべて見えています。
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丹沢好きな私にとっては、この左側斜面に宝永噴火口の張出しが見える富士山が、最も見慣れた姿であったりします。
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こちらは箱根です。箱根も雲ひとつ無い快晴です。この日に金時山辺りに登った人は、大勝利だったことでしょう。
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この時間から蛭ヶ岳方向に向かって歩いてくる人が結構います。昨日、尊仏山荘かみやま山荘に泊まった人たちでしょうかね。
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8時30分 棚沢ノ頭に到着しました。昨日登ってきた場所です。ここからは昨日とは異なるルートを歩きます。
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往路とは異なる場所へ下山できるのは、公共交通機関を利用しているハイカーの特権です。

分岐には、熊木沢出合へ通じていることの案内は出ていません。山と高原地図上では実線のルートですけれど、バリエーションルート扱いなんですかね。
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次なるピーク、不動の峰へ向かいます。この不動の峰、主脈縦走路上の小ピークのような扱いを受けておりますが、実は丹沢山よりも標高が高かかったりします。
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空の青が濃い。冬の寒い日ならではの色です。
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と言うことで、丹沢主脈における不遇の山、不動ノ峰に到着です。みなさん、この名前をちゃんと覚えてあげてくださいね。不動ノ峰ですよ。
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次なるピーク、丹沢山がお目見えです。
不動ノ峰から見た丹沢山
相変わらずの強烈な逆光で、撮った写真がことごとく真っ暗になってしまします。露出補正のダイヤルをグリグリ回しながら何枚も撮影して、ようやくまともに見れる一枚が撮れました。

不動ノ峰の山頂から少し下がったところに、休憩スポットの東屋があります。今から3年ほど前に、主脈縦走路を歩いる時に突然の雷に見舞われて、この東屋へ逃げ込んだことがあります。
不動ノ峰の東屋
主脈上には背の高い木がほとんどありませんから、雷が鳴り出したら、いち早く退避場所を見つけないと危険です。

実に丹沢らしい、一面の笹原が広がります。この辺りに背の高い木が無いのは、鹿に食い尽くされたからだとも言われています。
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木が無いので、展望はすこぶる良好です。これは、奥多摩&奥秩父方向の展望です。例のごとくキリが無いので山座同定は割愛します。
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丹沢山へは、一旦大きく下ってから登り返します。日帰りで主脈縦走しているときには、いつも口から泡を吹きそうになる場所です。
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今日はゆとりある山小屋泊なので、全然余裕です。
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需要があるかどうかはわかりませんが、不動ノ峰と富士山のツーショットを一枚。
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みやま山荘が見えてきました。
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9時20分 丹沢山に登頂です。結構な時間がかかっておりますが、それは主に逆光との闘いで露出のダイヤルをいじくり回していたことに起因します。
丹沢山の山頂

またもや需要があるかわかりませんが、不動ノ峰と蛭ヶ岳のツーショット。
丹沢山から見た不動ノ峰と蛭ヶ岳

日本百名山アピールをする丹沢山の山頂標識。深田久弥が日本百名山に選んだのは、ここのことではなく、丹沢山塊そのものことなわけですが。はて。
丹沢山の山頂標識
百名山ハントをしている人の多くは、丹沢山に登っただけで満足して、蛭ヶ岳はスルーしてしまうのでしょうか。だとすれば、それはとても勿体無いことだと思います。

3.年末も大勢の人で賑わう塔ノ岳

縦走路最後のピークである塔ノ岳に向かいます。
丹沢山から見た塔ノ岳

塔ノ岳から丹沢山間までの稜線は、高低差が少なく非常に歩きやすい道です。
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道中にある竜ヶ馬場の休憩スポット。場所が中途半端すぎて、ここで休憩をしたことはありません。
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私にとってこの場所は、大山を眺めるために存在するようなものです。
竜ヶ馬場から見た大山

相変わらずの強烈な逆光に四苦八苦しつつ、塔ノ岳に向かって進みます。
竜ヶ馬場から見た塔ノ岳

この塔ノ岳から丹沢山の区間は、蛭ヶ岳から丹沢山までの区間と比べると、歩く人の数は断然多めです。それは詰まるところ、大半の登山者達は蛭ヶ岳まで行かずに引き返してしまっているという事です。なんと勿体ない。
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このルートを歩いている間は、ずっとこのような絶景を横目に出来ます。2,000メートルにも満たない山とは思えないような光景です。
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最後の小ピークである日高(ひったか)を通過しました。
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あとは塔ノ岳本体に登り返すだけです。
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日帰りで歩いている時は、いつもこの登り返しでゲロを吐きそうになります。しかし、今日はまだまだ余裕です。
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振り返ってみる丹沢山と日高。
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蛭ヶ岳、棚沢ノ頭、不動ノ峰のスリーショット。
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山頂直下最後の登り返しです。ここはいつもぬかるんでいて歩き辛い場所なのですが、今日は完全に凍結していて良くグリップします。
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山頂が見えました。
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10時35分 塔ノ岳に登頂です。蛭ヶ岳山頂を出てから2時間45分で到着です。ゆっくりとしたペースで主脈歩きを存分に楽しめました。
塔ノ岳の山頂標識
到着するなり、人の多さに面くらいました。ここはいつ来ても大人気の山ですな。

海に近い立地のせいか、塔ノ岳は割とガスりやすい山ではありますが、晴れているときの展望はこの通り最高です。
塔ノ岳山頂から見た富士山

前方には相模湾。
塔ノ岳山頂から見た相模湾

こちらは私の一番のお気に入りコースである表尾根です。今日このコースを歩いた人は、最高に良い思いが出来たことでしょう。
塔ノ岳山頂から見た丹沢表尾根

都心方向の遠望。高層ビル群の輪郭までもがクッキリと視認で来ます。私が過去に経験したことがある中では、最高の空気の済み具合です。
塔ノ岳山頂から見た都心の高層ビル群

塔ノ岳からも宮ヶ瀬湖が見えていたという事実に、今更ながら気付きました。
塔ノ岳山頂から見た宮ヶ瀬湖

海上彼方に浮かぶ伊豆大島。ここまでクッキリ見えたのは初めてです。
塔ノ岳山頂から見た伊豆大島

4.そしていつものバカ尾根を下る

11時10分 下山を開始します。ルートは何時ものバカ尾根です。
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特に腹も空いてはいないので、鍋焼きうどんもスルーして、素直に大倉を目指します。
大倉尾根の金冷シ
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本日の花立山荘のオススメはおしるこでした。寒いですからねえ。
花立山荘のオススメ

しかし、この道は何べん歩いてもバカですね。
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バカ尾根という通称の由来には諸説あります。最近では、心を無にしてバカにならないとやってられないからだと思うようになってきました。
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12時ちょうどに掘山の家に到着です。いつの頃からか、バカ尾根下山時はここで一本立てるというのが、自分内ローカルルールとして定着しています。
大倉尾根 掘山の家

さあ、頭をカラッポにして下山を続行しましょう。
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相川さんの杉。春先になると、花粉症でかゆくてしょうがないので、全部伐採してください。お願いします相川さん。
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無我の境地で黙々と階段地獄をクリアして行きます。大倉尾根を何度も往復すれば、六道輪廻から解脱できる日もそう遠くは無いかもしれません。
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ススキを見ると、意味もなく絞りを開けたくなるのは何故なのでしょう。
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大倉尾根もいよいよ最終盤です。このガラ石を敷き詰めた道は、歩きにくいことこの上ない。特に濡れていると最悪です。
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土壌流出対策なんでしょうけれど、もう少し何とかできないものなんですかね。

長年の風雨に晒されて、クリステルさんはすっかり薄汚れてしまっていました。
丹沢クリステル

舗装道路に出ても、まだ終わりではありません。バス停に着くまでがバカ尾根です。
大倉の集落

13時25分 大倉バス停に到着です。下山であっても、やはり2時間以上はかかってしまいますね。
大倉バス停

大倉の良いところは、待たずにすぐバスがやってくることです。5分と待たずにやってきたバスに乗って、無事帰還です。
大倉バス停に停まるバス

今回の山行きで感じたのは、蛭ヶ岳は1泊2日の行程で登ったほうが良い思いが出来る山だと言うことです。夜景の素晴らしさに加え、早朝の雲が沸き始める前の時間に稜線を歩けるというのも、見逃せ無いポイントです。
今まで日帰りでばかり登っていましたが、人の言うことは真面目に聞いたほうが良いということですね。ガイドブックにも1泊2日の行程だと書いてあるのですから。
当然ながら、日程の都合やあるいはチャレンジとして、どうしても日帰りしたいと言うこともあるかもしれませんが、無理せず1泊したほうが、より満足度の高い山行きになるのではないかと思います。

<コースタイム>
蛭ヶ岳(7:50)-棚沢ノ頭(8:30)-不動ノ峰(8:45)-丹沢山(9:20~9:45)-塔ノ岳(10:35~11:10)-堀山の家(12:00~12:10)-大倉BS(13:25)

蛭ヶ岳山頂から見た富士山

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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