天狗山-男山 八ヶ岳山麓の高原地帯に連なる、好展望の岩峰

男山付近の稜線から見た天狗山
長野県川上村と南相木村にまたがる天狗山(てんぐやま)から男山(おとこやま)を縦走して来ました。
八ヶ岳の東麓に広がる、野辺山高原の傍らに連なっている岩峰です。鋭く切り立った山容を持ち、視界を遮るものの無い山頂からは、広く八ヶ岳や奥秩父の山々を見晴らすことが出来ます。遠目にも非常に目を引く姿をした山でありながら、交通アクセスが良好とは言い難い奥地にあるためか、登山の対象としては極めてマイナーな存在です。
鈍行列車に揺られ、遠路はるばる八ヶ岳の麓へと繰り出して来ました。

2021年5月4日に旅す。

無事に計画通りに縦走を終えた私は、梓山バス停から川上村の村営バス最終便に乗車し、小海線の信濃川上駅へと向かっていました。

その時は既に日が落ちて周囲は薄暗い状態でしたが、バスの車窓から異様な姿をした岩峰の姿が目に飛び込んできました。
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あれはなんと言う山であろう。気になった私はすぐに地図を広げ、それが天狗山と言う名の山であることを確認しました。

その時はそれっきりでしたが、その後「登りたい山リスト」の末尾に天狗山の名を書き足すことを忘れてはいませんでした

今回ようやく、2年越しにこの山へと赴く機会が訪れた次第です。

天狗山は、長野県の川上村と南相木村の間を遮るかのように東西に連なる尾根上にある山です。この尾根上の標高1,610メートル地点にある馬越峠までは車道が通じており、マイカー登山をする人は峠から往復するのが一般的です。
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マイカー登山をしない人である私は、川上村側の大深山中央バス停から登って来ました。

天狗山からは隣の男山までを縦走します。切り立った岩の稜線からは、八ヶ岳を始めとする周辺の山々の大パノラマが広がっていました。
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ほとんどその存在知られていない、信州のマイナーな2座を巡って来た一日の記録です。

コース
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川上村村営バスの大深山中央(おおみやまちゅうおう)バス停より天狗山に登頂します。その後は稜線に沿って縦走して男山へ。下山は小海線の信濃川上駅まで直接歩きます。

岩の稜線と二つのピークを巡る充実の行程です。

1.天狗山登山 アプローチ編 鈍行列車で行く、八ヶ岳山麓への遠き旅路

4時33分 JR三鷹駅
夜明前の三鷹駅よりおはようございます。ここから始発電車を乗り継いで、遠路はるばる小海線の信濃川上駅を目指します。
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私の自宅最寄駅は京王線なのですが、京王線からでは、始発電車を乗り継いで行っても、目的地への到着時刻が昼近くになってしまいます。そのため、わざわざ自宅から自転車をこいで三鷹駅までやって来ました。

なお、最初からわかりきっていた事ではありますが、足首の可動域が制限を受ける登山靴は、自転車をこぐのにはまったく適しておりません。

この三鷹発の始発電車は5時15分に高尾駅に到着し、同じく5時15分発の大月行きに繋がります。乗り換え時間は1分未満ですが、ホームの向かいに停車しており、連絡を待ってから発車してくれます。
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京王線からだと、この高尾5時15分発の始発電車にはどうやっても繋がりません。

続いて大月駅で今度は甲府行きに乗り換えます。こちらの乗り換えはホームが違うため、一度階段を登って降りてする必要があります。乗り換え時間は3分しかないので足早に移動しましょう。
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甲府駅で3度目の乗り換えです。6時46分発の松本行きに乗車します。甲府駅での乗り替え時間は5分ほどあり、トレイに寄れるくらいの若干の余裕はあります。
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7時25分 小淵沢駅に到着しました。実はこんなに早い時間に小淵沢へ到達する方法が存在していたのですね。
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朝っぱらから自転車をこぐのは面倒ではありますが、しかしこれを活用すれば、日帰り登山可能圏の範囲が大きく拡張される予感がします。

次は小海線に乗り換えですが、発車まではすこし待ち時間があります。せっかくなので駅の屋上にある展望スペースに寄り道して行きましょう。
小淵沢駅の屋上

目の前に八ヶ岳がドーンと見えます。もうだいぶ雪が少なくなりましたね。
小淵沢駅の屋上から見た八ヶ岳

反対側には甲斐駒ヶ岳がドーンと見えます。この山はいつ見てもイケメンですなあ。
小淵沢駅の屋上から見た甲斐駒ヶ岳

かなり霞んでいて薄っすらとですが、富士山も見えました。この様子では、気温が上昇してくる正午には見えなくなってしまうことでしょう。
小淵沢駅の屋上から見た富士山

7時50分発の小諸行きの小海線に乗車します。小海線は非電化のため、気動車による運行です。
小淵沢駅に停車する小海線
個人的に気動車は大好きです。この停車中のディーゼルエンジンのカラカラ音が、いかにも旅情を感じさせてくれます。

なお、下車する信濃川上駅は交通系ICカードによる清算に対応していない区間であるため、小淵沢駅までICカードで乗車してきた人は、必ず一度改札を出て切符を購入してから乗車してください。

切符を買わずに乗り続けてしまうと、清算時にとても面倒なことになります。

小海線は八ヶ岳の東麓に広がる高原地帯を縦断する路線です。信濃川上駅の隣にある野辺山駅は、JRの駅としては最も標高の高い場所にあります。
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野辺山高原を越えると、小海線は大きく回り込みながら千曲川の辺に向かって標高を落として行きます。やがて車窓に、これから登る男山と天狗山の姿が見えて来ました。
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8時31分 信濃川上駅に到着しました。野辺山駅からはかなり下りましたが、それでもまだ標高は1,138メートルあり、JRの駅としては4番目の高さです。
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2.レタス畑の広がる高原野菜の産地、川上村

男山へは信濃川上駅から直接歩いてアプローチすることも出来ます。今回はお隣の天狗山と合わせて縦走するので、川上村の村営バスで大深山中央バス停へ向かいます。

村営バスは小海線の到着時間に合わせて運行されています。という事で、ここではさしたる待ち時間もなく、8時36分発のバスに乗車します。
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8時45分 大深山中央(おおみやまちゅうおう)バス停に到着しました。ここまでの運賃は220円です。交通系ICカードには対応していません。小銭を用意しておきましょう。
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なお、この村営バスの車内には電光表示板などの設備がなく、現在地を知る方法は車内アナウンスのみです。くれぐれも聞き逃さないようにご注意ください。

千曲川の上に鯉のぼりが翻っていました。その先にはまだ残雪を纏って白い八ヶ岳の姿が見えます。山へ登る前から既に、風光明媚な場所ですねえ。
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軽く腹ごしらえしつつ身支度を整えて、8時55分に行動を開始します。まずはバス停から、千曲川の上流方向に向かって進みます。
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特に天狗山の案内はありませんが、大深山遺跡の案内が現れたら左折します。この横道は、馬越峠を経てお隣の南相木村へと通じている県道です。
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大きく蛇行した急坂を登ります。この道は別に農道と言う訳ではないはずですが、大音響を轟かせながらトラクターが引っ切り無しに往来していました。
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急坂を登りきると、目指す天狗山が前方に姿を現しました。凄まじい存在感がある山ですな。
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このピョコっと突き出した岩壁が、天狗の鼻の様に見えると言うの名前の由来です。
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ここでもやはり道標も何もありませんが、この農道を左に入ります。道なりに進めば馬越峠に到達しますが、かなりの遠回りとなります。
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いつも疑問なのですが、地方の道の側溝には何故蓋が無いのでしょうか?こんなの完全にトラップじゃないですか。
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かくもインパクトがある姿をしている山が、登山の対象としてはほとんどその名を知られずに埋もれているのは、至極単純に遠いからでしょうな。これが奥多摩辺りにでも生えていたら、恐らくは大人気の山になっていたことでしょう。
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さて、ここで天狗山へ登る登山ルートについて軽く解説をしておきましょう。

現在販売されている最新版の山と高原地図ではそもそも、大深山中央バス停から馬越峠を経由せずに直接天狗山へ登るルートは存在しないことになっています。地図に記載はありませんが、登山道はしっかりと存在します。

古い版の山と高原地図には登山道が記載されていました。しかしその古い版に描かれているルートは、現在のルートとは大きく異なっています。
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現在でも、古い方のルートから登ること自体は可能です。ただし、稜線の直下は四つん這いにならないと登れないような急勾配であるとのことです。

現在のルートの方も十分に急勾配ではありますが、道標や目印のピンクリボンが数多くつけられて、道が分かり易くなっています。

農道を延々と登ってきたところで、動物除けのゲートが現れました。ここからようやく山道がスタートします。
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3.荒れ気味のザレ場と急登が続く、地図に記載のない稜線への道

ゲートを越えてからもしばしの間、轍の刻まれた林道歩きが続きます。
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やがて進行方向右手に、木にペンキで描かれた矢印とピンクテープが現れます。ここを右に入ります。
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すぐに林道と交差しますが、そのまま真っすぐ直進します。ここで林道沿いに右へ曲がると、旧ルートの方に突入してしまいますのでご注意ください。
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この日私はガーミンのGPSレシーバーを携行しており、万が一道を間違えて迷っても、その時はGPSを見ながら元来た道を引き返せばよいと呑気に構えておりました。

実はそのGPSレシーバーは、前日に行った地図の入れ替え操作をミスしており、画面に何も表示されない文鎮状態になっていたのだという事もつゆ知らずに・・・

何がかかれていたのか読めない道標がありました。方角的に天狗山を指しているので、普通に天狗山と書かれたのでしょう。
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全般的に踏み跡が不明瞭で荒れ気味の道です。ですが、過剰なまでに目印のピンクテープが巻かれているので、その導きに従えば迷うことは無いかと思います。
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崖の間を潜り抜けるようにして道が続いています。正しい道から外れてしまうと、すぐに進退窮まると思われるので、周囲をよく観察して慎重にルートを見極めてください。
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稜線に近づくほど傾斜が増して行き、最後には踵が痛くなるような急斜面となりました。その見た目からして薄々覚悟はしていましたが、天狗山は侮れない防御力の持ち主です。
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10時45分 稜線まで登って来ました。おや?ロープで閉鎖されているぞ。ひょっとしてこのルートは通行止めでしたか。
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ここまで登ってきたルートの、思いっきりシンプルな略図が掛けてありました。見たところ通行止めの案内はなく、また通行に困難をきたす場所もなかったので、通っても良かったのだと思われます。
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4.天狗山登山 登頂編 急登の果てに待つ大展望の頂

山頂に向かいましょう。何しろ下から見た際にはあの断崖絶壁ですから、稜線に出で以降もそうとう険しい道であることが予想されます。
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道すがらに多く並んでいるこの木は、どう見てもシャクナゲですね。今の季節だと、まだつぼみを付けてすらいません。ふむ、これはひょっとしなくても、訪問すべき時期を誤ってしまったかな。
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岩の痩せ尾根を進みます。樹木がびっちりと生えているのでわかりにくいですが、道の左右両側ともに切れ落ちた崖になっています。
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クサリ場ならぬロープ場が現れました。この先からは山頂までずっと、手を使ってよじ登って行くことになります。ストックを使用している人は、この先は邪魔になるのでここで収容しておきましょう。
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ロープはあくまで補助なので、体重をかけてはいけません。足を乗せるスタンスは豊富にあるので、ここはロープを掴まずとも簡単に登れます。
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岩場に出たことにより、展望が一気に開けました。眼下には高原野菜の産地として名高い川上村のレタス畑が広がります。
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この白く見ているのはすべてビニールです。土壌を保護するためなのか何なのか、畑の土が全て白いビニールで覆われています。

正面の中央に見えている小さな突起のようなピークが甲武信ヶ岳(2,475m)です。甲武信ヶ岳は周囲を大柄な山に囲われているため、遠目からだと識別するのがむつかしい。
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甲武信ヶ岳の左にあるのっぺりしている山は、埼玉県の最高峰ある三宝山(2,483m)です。

岩登りはなおも続く。登る分には楽勝ですが、下りでは通りたくないですね、この道は。
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「アルバムに楽しい天狗山のページ」と読めますが、なんだろう??良くわからない標語です。
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三度目のロープ場です。ここも大して難しくはありません。
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岩場を乗り越えると、ようやく山頂らしき場所が見えました。
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11時15分 天狗山に登頂しました。見た目通りになかなか険しい山ではありましたが、登っていて純粋に楽しいと思える良き登山道でありました。
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山頂からは、360度ほぼ全方位に展望が開けています。西側の真正面には八ヶ岳連峰が居並んでいました。
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中央の右手前に見ているのが、この後に縦走する予定の男山です。天狗山ほどではありませんが、あちらもかなり目立つ姿をしておりますな。

八ヶ岳を拡大して見てみましょう。左から順に三ツ頭(2,580m)、権現岳(2,715m)、赤岳(2,899m)、横岳(2,830m)おおび硫黄岳(2,760m)です。
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北八ヶ岳の山も見えます。こちらはもう殆ど残雪もなく地肌が見えています。一番右奥のまだ少し白さが残っているのが蓼科山(2,530m)かな。
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南には南アルプスの山並みが居並びます。こちらは少し霞んでしまっており、なんとなくぼやけています。
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北東に大きく裾野を広げているこの大柄な山は、御座山(おぐらやま)(2,112m)です。前々から「登りたい山リスト」の上位に名を連ねているものの、交通アクセスが絶望的に悪いため後回しになっている一座です。
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深田久弥の「我が愛する山々」と言うエッセイ集で、この山の事が紹介されています。曰く人気の山の人混みから逃れるべく、避暑ならぬ避衆登山をするためにこの山へ登ったと。

深田久弥が登った当時の御座山は、まともな道すらないような本当の深山であったそうです。

ですがなんとも皮肉なことに、ほかならぬ深田久弥によって紹介されたことにより、今やこの山は多くの登山者が訪れる人気の山となっております。特にシャクナゲシーズンにはかなり混雑するようです。

北には浅間山(2,568m)の姿がありました。この山は本当にどこからでも目立ちます。
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最後に奥秩父方面の山並みです。先ほど登山口の前を流れていた千曲川は、遥々この奥秩父山地から流れて来ています。
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東側の眼下に馬越峠が見えます。峠には駐車スペースが存在し、車でお越しの人はあそこから登ってこれます。
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5.男山へと続く爽快なる岩の稜線歩き

11時45分 素晴らしき展望を前にして、つい長居が過ぎました。ボチボチ行動を再開しましょう。
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行くぞ!わしゃ男じゃけんのう

眼下に大規模なソーラー発電施設が見えます。ここはもともとゴルフ場のあった場所ですが、現在は廃業しており跡地が発電所に転用されています。
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暫しの間、崖のフチに沿うように道が続きます。たいへん素晴らしい眺望ですが、右側は落差が100メートル以上ある崖なので、くれぐれも足を踏み外さないようにご注意ください。
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小川山(2,418m)の斜面越しに、金峰山(2,599m)と瑞牆山(2,230m)の頭だけが見えました。北側からだとこんな風に見えるのですね。面白い見え方です。
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この先に進むべき稜線が眼下に見えていますが、足元は断崖絶壁です。いったいどうやってあそこまで下りるのでしょうか。
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そんな疑問に答えるかのように、登山道は一度南側へ大きく迂回します。
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グルっと回り込んだのちに、崖の下のトラバースに移りました。なるほど、こんなところに道がありましたか。
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毎度思うのですが、まだ道のなかった山中に、一番最初に山頂へ至ることの出来るルートを見出す人と言うのは、一体どうやってその道筋を見つけるのでしょうか。凄い能力ですよね。

鞍部の手前に一か所、クサリ場ならぬロープ場があります。これは下ってから振り返って見たところです。
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山頂直下の断崖絶壁を難なくクリアーし、鞍部まで下って来ました。
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距離的にも、この鞍部の一帯がちょうど中間地点であるようです。という事で、ここからは登り返しとなります。
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一時の安らぎのような、緩やかなカラマツ林が広がっていました。しかしこれは、来る嵐の前の静けさのようなものです。
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緩やかに登り返したところで、山頂らしき場所に出ました。
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12時35分 垣越山に登頂しました。天狗山と男山の間にあるピークです。山頂まですっぽりと樹林に覆われており、展望は一切ありません。
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垣越山から緩やかに下ったところで、なにやら尾根がスッパリと分断されています。あれ?どうやって向こう側へ行くのだろう。
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近づいて見ると、しっかりと足元に道が続いてしまいた。よかったよかった。Bダッシュジャンプで飛び越えろとか言われたらどうしようかと思いましたよ。
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何時しか道は岩の痩せ尾根となり、周囲の展望が開けました。眺めは素晴らしいですが、それなりに高度感はあります。
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目指す男山の姿がかなり近くなってきました。見たところ男山は、二つの山頂を持つ双耳峰のような姿をしています。

奥秩父の山並みが正面に広がります。普段見慣れている山梨県側からの眺めとは、反対方向からの眺めです。
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背後を振り返ると、つい先ほど登って来た天狗山の姿がありました。こちら側から見ると、思わず笑ってしまう姿をしておりますな。アレに一体どうやって登ったのだろうと。
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確かに天狗の面の鼻のように見えなくもないかな。

ちなみに、登山道はこんな風にしてこの岩の壁をクリアーしています。繰り返しになりますが、最初にこのルートを見出した人物の慧眼に、ただただ感服いたします。
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またもやロープ場です。かなり傾斜のあるスラブを乗り越えて行きます。ここは足がかり乏しく、突破するのに若干苦戦を強いられました。
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今度は大きくハングした岩が立ちはだかりました。右側から回り込むようにして登り、この岩の上を通行します。
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岩の上からの眺めは絶景です。足元は先ほどのハングした岩なので、くれぐれも転落しないように足元注意です。
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どうやら稜線を忠実に辿れなくなったらしく、途中から北側斜面のトラバースに移りました。北側の森の中は、いかにも奥秩父らしい苔生す針葉樹林が広がっていました。
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書いていてふと思ったのですが、そもそもこの天狗山と男山は奥秩父山系には含まれていないようです。となると、ここは一体何山地になるのでしょう??

関東山地の一部と言う扱いになっています。

もう何度目かも分からないロープ場です。ロープは補助だから体重をかけるなと言う案内板も、毎回必ず掲げられています。
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頂上らしき場所にでましたが、先ほど見えていた通りピークは二つあります。これは手前のピークでで、山頂は奥になります。願わくば、間の鞍部であまり標高を落としませんように。
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そんな願いが届いたのか、鞍部への下りはごく控えめなものでした。
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今度こそ、山頂直下最後の登りです。この登りは何故か岩肌が湿っていて、ちょっと嫌な感じがしました。
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山頂が見えました。これまた眺めが良さそうで、期待が膨らみます。
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13時35分 男山に登頂しました。来たぞ!わしゃ男じゃけんのう
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本当にどうでもいいことですが、「すごいよマサルさん」の登場人物の中で、私が一番好きなのはマチャ彦です。

谷を一つ挟んだけの向かいに、天狗山から見た時よりもずっと大きく八ヶ岳が見えました。
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振り返って見た天狗山です。何度見ても凄いインパクトのある姿ですな。もっと広く知れ渡ってもいても良さそうな山なんですけれどね。
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そして奥秩父の山並み。天狗山から見た時よりも視界がクリアーで良く見えます。
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金峰山&瑞牆山が、今度はハッキリと見えました。
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すっかり霞んでいて微かにではありましたが、瑞牆山の脇に富士山の姿が見えました。見えるとは思っていなかったので、これには驚きです。
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そして南アルプスの山並み。気温の上昇と共にかなり霞が強くなってきており、かなりボヤッとしていました。
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6.男山登山 下山編 林道を延々と下り信濃川上駅へ

14時 そろそろいいお時間になってきました。名残しくはありますが下山を開始します。まずは一度、鞍部まで引き返します。
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鞍部から御所平方面と書かれている方へ下ります。信濃川上駅とはどこにも書かれていませんが、こちらであっています。
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実はこの時になって初めて、万が一何かあった時の命綱であると思っていたGPSが、実はただの文鎮と化していたことに気が付いたわけですが。・・・背筋に冷や汗が噴き出しましたよ。

天狗山への登りがあれほど急だったわけですから、当然ながら男山からの下りについても似たり寄ったりな道です。転げ落ちそうになる傾斜度の急坂を、一気に下ります。
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幸いにも急なのは稜線の直下だけで、すぐに傾斜は緩みました。
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稜線から下り始めて僅か30分程で、林道の終点まで下ってきました。やけにあっけない下山でありました。
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しかし、実はここからが非常に長い。単調な林道歩きが延々と1時間近く続きますので、覚悟して歩いてください。
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振り返って仰ぎ見た、男山の山頂です。天狗山ほどではないにしても、こちらもかなり目立つ姿をしています。
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ここからも林道歩きが延々と続くわけですが、特に見所もないのでスパッと省略します、

15時30分 登山口まで下っていました。
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道標によれば、ここからの登り始めると、山頂までは2時間ほどかかるらしい。男山は駅から直接歩いて登ることの出来る山ではありますが、本日歩いて来た大深山中央からの周回ルートを取るのが最も無難だと思います。
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登山口から駅までは、もうあとひと道あります。最後のひと踏ん張りです。頑張って歩きましょう。
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そうそう。これから男山に登ろうと考えている皆様へ、とても大切な申し送り事項が1点あります。男山の登山口から信濃川上駅へ戻るには、千曲川に架かるその名も男橋と言う名の橋を渡る必要があります。

さてその男橋ですが、令和3年5月現在、この橋は存在しません。
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男橋は、令和元年に発生した台風十九号による増水により跡形もなく流されてしまいました。復旧工事が行われてはいますが、まだ完成はしていません。

※現在は復旧工事が完了しており、通行可能です。

橋が無いなら渡渉すればいいじゃない。と、某アントワネット様のようなセリフが一瞬脳裏をよぎりはしたものの、実際問題として千曲川はその辺の小川とは規模が違います。

少なくとも、飛び石伝いに簡単に渡れるような水量の川ではありません。

それではどうするのかと言うと、もうひとつ上流にある橋へ迂回するしかありません。意外と遠いいですな。
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という事で、思いがけず大迂回をする羽目になりましたとさ。コースタイムには、だいたいプラス30分くらいは見ておいた方が良いと思います。
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本来は見ることがなかったはずの、この橋の上からの光景を見られただけで、とりあえずは良しとしましょうかね。
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という事で、思わぬ大迂回もあってすっかりヘロヘロになりながら、駅へと戻って来ました。
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16時15分 信濃川上駅に到着しました。今日もたくさん歩いて疲れたあ。
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その後、30分少々の待ち時間で現れた小海線で撤収します。
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なお、駅の周囲には本当に何もないので、待ち時間が長いと時間を潰すのが辛いと思います。帰路の時刻表は事前に良く確認しておいてください。

小淵沢からは特急あずさに乗り込み、帰宅の途に付きました。
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天狗山は、過去に一度バスの車窓からチラッと見かけたとき以来、ずっと気になっていた山でした。
インパクト抜群な姿をしたこの山は、決して見掛け倒しなだけの山などではなく、登ってみてもスリル満点の文句なしの秀峰でありました。かくも登って楽しく展望雄大な山が、ほとんどその名を知られずに埋もれているのは、大変勿体ないことだです。アクセスは少々面倒ではありますが、その手間に十分見合うだけの値打ちのある山であると思います。
今回私は日程の都合で慌ただしく日帰りで登りましたが、野辺山高原や清里の観光などとあわせて巡ってみては如何でしょうか。

<コースタイム>
大深山中央BS(8:55)-天狗山(11:15~11:45)-垣越山(12:35)-男山(13:35~14:00)-信濃川上駅(16:15)

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. 本沢ダム子 より:

    初めまして 
    2週間ほど前?から近場の山を検索していたところこのブログに出会いました。
    私はぐーたらなので、時折ハイキングに出かける程度です。
    とにかく このブログがとても楽しいです‼️
    文章力、構成、時折ブラックなところ…
    以前のブログ作成記事を拝見し、コメントを残さないとマズイ(((^_^;)と慌ててコメントしています。
    未読の記事が沢山あるので、楽しみが増えてとても嬉しいです‼️
    どうか ご無理なさらず 長くブログを続けて頂けたら嬉しいです。※時折ヒヤヒヤしています。

    • オオツキ オオツキ より:

      本沢ダム子さま
      はじめまして。コメントを頂きましてありがとうございます。

      ブラックですかね?私自身はクリーニングしたてのワイシャツの様に真っ白だと思っているのですが。
      冗談はさておき、今後もポツポツ更新は続けていくつもりでおりますので、またご気軽にご訪問ください。

  2. ゴト より:

    オオツキ様
    この度この記事を参考に同じルートトレースさせて頂きました。この山は馬越峠からの往復ルートが殆どかと思いますが、見事な交通機関を駆使したルートだと思います。今後も引き続き驚きのアプローチを期待しております。
    御座山も参考に登る計画です笑

    • オオツキ オオツキ より:

      ゴトさま
      コメントをありがとうございます。

      マニアックすぎて誰の役にも立たないような記事になってはいないかと心配していましたが、興味を持ってくれた人がいて良かったです。

      御座山は凄く良いですよ。特に奥秩父が好きな人なら絶対に気に入る山だと思います。