霧島山(韓国岳) 荒々しき火山群を色鮮やかに飾るミヤマキリシマ

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鹿児島県霧島市と宮崎県えびの市および小林市にまたがる韓国岳(からくにだけ)に登りました。
鹿児島県と宮崎県の境界にまたがる火山群である霧島連峰の最高峰です。山の中腹には火山の恩恵とでもいうべき温泉地が広がり、山岳リゾートとしての色合いが強い山域です。5月の下旬から6月の上旬ごろにかけて、ツツジの一種であるミヤマキリシマが花を咲かせます。
咲き始めたミヤマキリシマを求めて、遠路はるばる鹿児島へと遠征してきました。

2024年5月25日に旅す。

九州地方の山と言えば、阿蘇山を始めとした現役の活火山が多いのが特長です。そうした九州にある火山の象徴的な存在と言えるのがミヤマキリシマです。最盛期に山一面がピンク色に染まる姿は圧巻の光景です。
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なにしろミヤマキリシマと言う名前をしているくらいだから、原産地である霧島山が最大の群生地なのだろうと単純に考えて訪問しました。

実は群生地の規模としては九重連山の方がより大きいですが、まあそれはそれとして、霧島山の群生もまた見事なものでした。

霧島山は現在でも活発な火山活動が続いており、盛んに噴煙を上げている個所が複数個所にあります。立ち入り規制が敷かれているエリアもありますが、最高峰の韓国岳には登山可能です。
霧島山の硫黄山
標高1,186メートル地点のえびの高原にまで車で乗り入れることが可能であるため、比較的手軽に登ることの出来る山として人気があります。

ミヤマキリシマが咲き始めたとのニュースを目にし、直前にドタバタと慌ただしく計画した今回の九州遠征。いろいろと拙速で予期しない事態もありましたが、天気は上々で会心の山行となりました。
韓国岳から見た大浪池

コース
大浪池登山口から韓国岳のコースマップ
大浪池(おおなみのいけ)登山口からスタートし、大浪池園地を経て韓国岳に登頂します。下山はえびの高原へと下ります。公共交通機関利用の強みを生かした縦断ルートです。

1.霧島山登山 アプローチ編 格安航空で行く鹿児島への旅路

5月24日(金)13時17分 都営地下鉄浅草線 東日本橋駅
この駅は日本橋を名乗っていますが、都営新宿線の馬喰横山駅と地下通路で繋がっており、実質的には同じ駅です。京急線直通のエアポート快特で成田空港を目指します。
東日本橋駅のホーム
私は乗り鉄なので航空機よりも鉄道での旅を好みますが、流石に九州は電車で行くには遠すぎるので、今回は珍しく飛行機での旅路を選択しました。

珍しいと言うか、当ブログ始まって以来初の飛行機によるアプローチです。なお、当然のことながら格安航空(LCC)利用なので(当然だよね?)、搭乗地は羽田空港ではなく成田空港です。

14時38分 成田空港第2ビル駅に到着しました。成田空港を訪れるのは30年ぶりのことです。当然ながら、記憶にあるのとは全く異なる光景になっていました
成田空港第2ビル駅のホーム

格安航空の搭乗口があるのは、駅とは直結していない第3ターミナルビルです。ターミナル間の連絡バスも運行されていますが、歩けない距離ではないので歩いて移動します。
成田空港のターミナル間連絡通路

足元にこんな風に行先案内が描かれている親切仕様なので、一見さんであっても道に迷う事はありません。
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LCCを利用するのは自身初めての事です。搭乗手続きはすべて専用端末を使用してセルフ操作で行います。なるほどこうやってコストを削っているのか。
成田空港第三ターミナル
格安と名乗っている事だけあって確かに基本料金は安価ですが、手荷物の数を増やしたり窓際席を希望したりすると追加料金が発生します。細かく課金させて稼ぐビジネスモデルなのか。

エマージェンシーキットの中にライターが入れっぱなしなのを現地に着いてから思い出し、慌てて破棄するというトラブルがありましたが、搭乗手続き自体はつつがなく終了しました。

私は乗り物全般が大好きな人間なので、飛行機を見ているだけ無性にワクワクしてきます。本日の搭乗機はこちらのエアバスA320です。国内線に用いられる中小型旅客機としては極めて一般的な機体です。
ジェットスターのエアバスA320

初日は純粋に現地への移動日に充てるため、夕方出発のフライトです。飛行機というのは純粋な移動時間こそ圧倒的に速いですが、空港までの移動時間や搭乗手続きにかかる時間を考えると、なんだかんだで結構な時間を要しますな。

追加オプションには一切課金しなかったので、当然のように座席は通路側でした。天気は上々だったし、わざわざカメラを持ち込んだのだから、せめて窓側席には課金しても良かったかもしれない。
エアバスA320の機内

18時40分 鹿児島空港に到着しました。空を飛んでいた時間は1時間15分くらいで、残りの時間は成田空港の滑走路をガタゴトと走っていた時間です。うーむ、やはり飛行機の移動はその他の時間が多すぎる。
鹿児島空港

遠くに薄っすらと、明日登る予定の霧島連山の山々が見えています。この時私は鹿児島空港の所在地をよくわかっていなかったのですが、鹿児島県内でも北よりの霧島市内にあり、霧島山にはかなり近い位置です。
鹿児島空港から見た霧島連山

手荷物受取所に登山用ザックが流れてくるのはなかなかシュールな光景です。トランクと一緒くたにされたらボコボコになりそうなものですが、意外と大丈夫でした。
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空港の建物から出るなり、西郷隆盛にうどんを勧められる。来たなぁ鹿児島に。
鹿児島空港の西郷隆盛像

本日の宿は鹿児島中央駅の近くにとっているので、シャトルバスで鹿児島市内へ移動します。
鹿児島空港のシャトルバス
そもそも霧島山は鹿児島空港の近くにあるため、翌日の移動の事を考えれば、鹿児島市内ではなく霧島市内に宿泊した方が合理的です。

今回の鹿児島遠征は、出発の直前になってからバタバタと計画を立てたため、色々と拙速でした。

鹿児島空港と霧島山の位置関係をよくわかっていなかったのもそうだし、翌日の登山口へのアクセスでも下調べ不足が祟り、予期せぬ問題に直面することになります。

鹿児島市内までの運賃は1,400円と結構いいお値段がします。それもそのはずで、距離にしておよそ40kmほど離れており、高速道路を使って50分くらいかかります。
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鹿児島のシンボル的な存在である桜島が見えます。山の上に見えているのは雲なのか噴煙なのか。
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19時55分 鹿児島中央駅に到着しました。巨大な観覧車が印象的な駅前です。
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格安ビジネスホテルに宿泊・・・と言いたいところですが、直前になってから予約をねじ込んだため、残念ながら安くはありませんでした。
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チェックインした後は、せっかくなので何か鹿児島ならではの物を食べたいと思い、焼き鳥屋で甘い醤油をかけた鳥刺しを頂きました。なんと言ったらよいのか、禁忌の味がしました。

県外人的にはかなりエキセントリックな食べ物ですが、鹿児島の食卓ではごく一般的なものなのだそうです。薩摩隼人は日常的にカンピロバクターチャレンジをしているから肝が据わっているのだろうか。

2.土日に朝のバスは無い。繰り返す。土日に朝のバスは無い。

明けて5月25日、早朝の鹿児島中央駅よりおはようございます。宿泊した西口側には早朝から開いているコンビニがなくて焦りましたが、東口に回ったら24時間営業のファミマがありました。
早朝の鹿児島中央駅西口

日豊本線の都城行きの始発電車に乗車します。まったく聞いたことの無い路線と行き先ですが、Yahoo路線検索に言われたとおりに移動します。
早朝の鹿児島中央駅

JR九州を利用するのは自身初めての事です。と言うかそもそも、九州に来たこと自体が人生初でした。
都城行きの日豊本線

鹿児島湾に朝日が昇る。天気自体は上々ですが、気温が高めであるためか強いもやがかかっています。霧島山はその名の通り霧が発生することが多く、なかなかスカッとは晴れてくれない天気の気難しい山です。
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6時16分 霧島神宮駅に到着しました。駅に降り立ったのは私1人だけでだけで、周囲は静まり返っていました。これには理由があるのですが、詳細は後述します。
霧島神宮駅のホーム
さてここで、公共交通機関を利用して霧島山にアプローチする方法について解説しておきましょう。霧島山最高峰の韓国岳を目指す場合に一般的な登山口となるのは、大浪池登山口かもしくは宮崎県側にあるえびの高原です。

霧島神宮駅からえびの高原へ直接乗り入れる路線バスは存在せず、霧島山の中腹付近にある丸尾温泉で一度乗り換えが必要です。

具体的には霧島神宮駅8時4分発の霧島いわさきホテル行の行きバスに乗車して、丸尾バス停で下車。続いて丸尾8時30分発の霧島連山周遊バスに乗車します。大浪池登山口には8時50分着。えびの高原まで行くなら9時着となります。

その肝心の霧島神宮駅8時4分発のバスですが、何故か平日限定で土休日には運行していません。そして本日は土曜日です。つまり駅で待っていてもバスは来ません。
早朝の無人の霧島神宮駅
この事実に気が付いたのは、昨日に宿で計画の最終確認をしていた時でした。というか温泉観光地のバス路線で朝一の便が平日限定なんて事態は、普通想像しないじゃないですか。逆ならまだしも。

ではどうするのかと言うと、ここはもうお金の力にモノを言わせるしかありません。つまりタクシーです。
霧島神宮駅のタクシー乗り場
事前に配車の依頼はしていませんでしたが、東京からやって来た拙速で迂闊な登山者の存在を予見でもしていたのか、駅前には1台のタクシーが待機していました。

6時48分 大浪池登山口に到着しました。若干うろ覚えですが、ここまでの料金はたしか6,500円くらいだったと思います。えびの高原まで行く場合は7,000円オーバーになると思います。
大浪池登山口
バスでアプローチした場合は登山開始時間が2時間遅くなるので、それだけ雲が上がって来てしまう可能性が高くなります。多少高くはつきましたが、始めからタクシーでアプローチが正解だったようにも思えます。

・・・そう思う事で、自らの拙速さが招いた事態を僅かに慰めます。

駐車スペースもありますが、ミヤマキリシマシ―ズンだけにこの時間でも既に満車状態です。帰りに通った時には、路上駐車した車が溢れていました。
大浪池登山口の駐車スペース

登山口の脇に物々しい鉄筋コンクリート製の退避壕がある辺りが、いかにも火山らしい光景です。
大浪池登山口の退避壕

3.ミヤマキリシマが咲き誇る大浪池

身支度もそこそこに、6時50分に登山を開始します。本日は気温が高くなる予報ですが、早朝の時間帯の日影は半袖では少し肌寒いくらいです。
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石畳舗装がされた道がずっと続いています。高尾山の一号路の様なもので、登山道と言うよりは完全に観光地の装いです。果たしてこれは歩きやす道と言って良いのかどうかは微妙なところです。
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ほぼ水平移動に近いような九十九折れが続いて、なかなか標高を上げ始めません。登山者的感覚ではもっと鋭角にグイっと登ってほしいところですが、観光客向けの遊歩道規格なのだろうか。
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石畳がだいぶ粗削りになって来たところで、ようやく真面目に標高を上げ始めました。
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ピンク味の強い小ぶりなツツジが咲いています。本日のお目当てであるところのミヤマキリシマです。2024年は壊滅的なまでのツツジの外れ年でしたが、こうして無事に咲いていてくれました。
大浪池のミヤマキリシマ

登山口から30分程登ってきたところで、大浪池園地休憩所の建物が見えて来ました。
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7時25分 大浪池園地まで登って来ました。これで大浪池を取り囲む火口壁の上に乗ったことになります。
大浪池園地休憩所

この建物はあくまでも休憩場の扱いで、緊急時以外の宿泊は禁止されています。内部は土間スペースを囲うようにしてベンチが並んでおり、宿泊には不向きな構造になっています。
大浪池園地休憩所の内部

大浪池は噴火口の跡に水が溜まってできた火口湖です。つまりはここも一つの山な訳ですが、特に山としての名前は無いらしく、ただ大浪池と呼ばれています。
大浪池

池の先に見えている、このいかにも溶岩ドームですという外観のこんもりとした山が目指す韓国岳です。この後、大浪池の周囲をぐるりと回り込んで行きます。
大浪池園地から見た韓国岳

右回り左回りのどちらも歩くことが可能で、所要時間にも大きな違いはありません。右回りの方が道中に韓国岳そのものの姿が良く見えるのでオススメです。
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道に両脇にミヤマキリシマが咲くキリシマロードを進みます。虫が結構多いのですが、みな花の蜜を吸うのに夢中らしく人間には突っかかってきません。
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大浪池を横目に見ながら歩けるのかなと思っていたのですが、道は鬱蒼とした森の中に入りなかなか池そのものが見えません。この先にしっかりとビュースポットはあるので、慌てなくて大丈夫です。
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テーブルとベンチだったらしきものが、朽ちて果てて自然に還りつつありました。もともと眺めの良い場所でもないのに、なぜここに作ったのだろうか。
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森が開けて、一目で溶岩だと分かる岩の上に道が続いています。展望が開けそうな予感に期待が高まります。
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岩の上に登ると、思った通り大浪池を見下ろす展望スポットになっていました。素晴らしい。
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池自体が非常に大きいため、標準ズームのワイド端では全容が収まりません。飛行機での運搬時に荷物になると思い、広角レンズを持ってこなかったのは失敗でした。
霧島山 大浪池

火口壁の連なりが迫力満点です。全方位が崖に囲まれているため、湖畔まで下りて行ける道は存在しません。こうしてお鉢の上から眺めるだけです。
大浪池の火口壁

反対側には鹿児島湾が広がっていますが、モヤーと霞んでいて遠くはまったく見えません。晴れて空気が澄んだ日だと鹿児島湾に浮かぶ桜島はもちろんのこと、薩摩半島先端にある開聞岳までもが見えるそうです。
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視界の開けた火口壁の上の道を進みます。そうそう、こういう道を期待していたのですよ。左側は切れ落ちているので、あまりファインダーを覗くのに夢中になり過ぎないよう、足元には要注意です。
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右手に霧島連峰に属している山の一つである、高千穂峰(1,573m)が見えます。天照大神の孫であるニニギノミコトが降臨したと言う神話が残る信仰の山です。
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あちらもミヤマキリシマが咲くことで有名な山で、時期的にはちょうど今くらいが見頃です。車でお越しの人なら、コースタイム的には一日で韓国岳と高千穂峰の両方をハシゴすることも可能ではあります。

火口壁の先に見える韓国岳の姿が余りにもカッコ良くて、つい同じような写真を何枚も撮ってしまいなかなか歩みが進みません。韓国岳山頂に到る最短のルートはえびの高原からの往復ですが、大浪池登山口スタートの方が断然オススメです。
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恐らくこの辺りが大浪池の山頂であると思われますが、その事を示す標識などは見当たりません。やはり山扱いはしてもらえていないようで。
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ここまで来てようやく池の全容が一枚の写真内に納まりました。濃いコバルトブルーの水を湛え、まるで画に描いたかのごとき火口湖そのもの姿をしています。魔女の瞳みたいな通称は特に無いようです。
霧島山の大浪池

大浪池のお鉢から離れて、韓国岳との鞍部に向かって下り始めました。あまり大きな標高差は無く緩やかな下りです。
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この鞍部一帯の標高付近のミヤマキリシマが、ちょうど見頃の最盛期を迎えていました。ということは、山頂付近はまだ見頃には少し早いのかもしれません。
韓国岳のミヤマキリシマ

韓国岳本体に近づくにつれて、すっかり見上げる高さになりました。大浪池巡りは韓国岳登山におけるウォーミングアップのようなもので、ここから先が本格的な登りとなります。
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8時40分 韓国岳避難小屋まで歩いて来ました。特にシェルターとしての役割は考慮されていないらしく、ペラッペラなトタン屋根の建物です。
韓国岳避難小屋

4.韓国岳登山 登頂編 巨大火口を見下ろす霧島山最高峰の頂

ここから山頂まではノンストップの急登が続きます。いっちょう気合を入れて参りましょう。
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人の背丈ほどの高さにまで大きく洗堀されてしまった登山道上に、ガタガタの木階段が並んでいます。
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もともと火山性の貧弱な土壌だったところに、日本百名山に選ばれてしまったが故のオーバーユースが加わり、このような状態になってしまったものと想像します。

もともと道だったと思われる場所は洗堀により大きく崩れ、崩れた場所を迂回するようにつけられた登山道もまた崩壊が進みつつありました。百名山のメジャールートとは思えないガタガタさ加減です。
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通行に支障をきたすレベルの崩壊箇所も散見されます。人気の山や百名山にばかり登山者が集中するオーバーユースの傾向は、ここ数年でさらに加速してきている印象です。
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わざわざ東京から九州の山にまで登りに来ている私に言えた義理では無いのかもしれませんが…

鬱蒼とした森を抜けて、頭上が大きく開けました。いよいよ森林限界を超え、火山の真骨頂というべき展望が開けます。
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背後を振り返ると、先ほどお鉢を巡って来た大浪池の全容が見えました。上から見ると綺麗な円形をしています。
韓国岳から見た大浪池

アップで見ると、ミヤマキリシマの群生が凄い事になっているのが見えます。
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何時しか周囲は、いかにも火山らしい溶岩石のが乱する荒涼とした斜面になりました。
韓国岳の山頂付近

森林限界を超えている場所に咲いているミヤマキリシマは、低木化してまるで芝桜か何かのように地面の上に咲きます。同じ種類なのに、周囲の環境によって大きく外観が変わるのが面白い。
韓国岳のミヤマキリシマ

山頂付近はまだ見頃には少し早かったようですが、でもこうして咲いてくれていて良かった。
大浪池とミヤマキリシマ

高千穂峰の手前に見えているのは新燃岳(1,421m)です。名前の通り霧島連峰の中でも新しい時期にできた山で、約1万年前に形成されたと考えられています。
韓国岳から見た新燃岳と高千穂峰
現在でも活発な火山活動が見られ、直近だと平成30年に噴火を起こしています。

最大望遠で覗くと、山頂付近から噴気が上がっているのが見えます。現在は火口から半径1km圏内が立入規制区域となっており、登ることはできません。
韓国岳から見た新燃岳
韓国岳から新燃岳を越えて高千穂河原に抜けるルートは人気の縦走コースでしたが、もう長らく歩くことの出来ない状態が続いています。

いかげん勿体ぶっていないで、山頂へ向かいましょう。山頂付近の登山道は特に大きな崩壊もなく普通に歩けます。と言うよりは、もともと道なきガレ場を適当に登って行くだけです。
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9時40分 韓国岳に登頂しました。山頂は岩場になっており、360度全方位に展望が開けています。
韓国岳の山頂
韓国岳と書いて、読み方は「かんこくだけ」ではなく「からくにだけ」です。名前の由来については諸説ありますが、山頂一帯に草木も生えず不毛なことから空国ないしは虚国と呼ばれていたのが転じたという説が有力です。

朝鮮半島まで見えるから(実際は見えない)とか麓に渡来人が住んでいたから等の説もありますが、そもそもこの山は大韓民国の建国よりもはるかに以前から韓国岳と呼ばれているので、韓国とは無関係と考えるのが妥当です。

山頂標識のすぐ裏側が火口壁の断崖絶壁になっています。落ちたらタダでは済まない高さなので、くれぐれも足元には要注意です。
韓国岳の火口

長雨が続くと韓国岳の火口にも池が出現することがありますが、今日は干上がった底を晒していました。
韓国岳の火口の底

韓国岳の火口壁は崩壊の度合いが著しく、周囲を一周するいわゆるお鉢巡りをすることはできません。
韓国岳の火口壁

山頂から見た高千穂峰方面です。立ち入り規制が無かったら、是非とも歩いてみたかったな。
韓国岳から見た新燃岳と高千穂峰

そして大浪池です。何とか桜島が見えないものかと目を凝らしてみましたが、霞が強くて全く見えませんでした。もっと涼しくて空気が澄んだ秋から冬にかけてのシーズンに登らないと駄目なのか。
韓国岳から見た大浪池

5.韓国岳登山 下山編 えびの高原へラクラク下山して温泉に浸かる

見るべきものも見たし、ボチボチ下山に移りましょう。もと来た道には引き返さずに、宮崎県側のえびの高原へと下ります。
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大浪池方面と比べると、周囲を歩く人の数が目に見えて多くなりました。韓国岳登山としては、えびの高原側のほうが主要なルートであるようです。

眼下にそのえびの高原がもう見えています。標高1,200メートル近い山上に広がる高原で、韓国岳はあそこから往復する分にはそれこそ高尾山レベルの山です。
韓国岳から見たえびの高原

えびの高原のすぐ傍らにあるこの丘のような山はその名もえびの岳と言い、よく見ると火口の窪みがあるのがわかります。霧島山は至る所に噴火口だらけの山ですな。
韓国岳から見たえびの岳

登山道は火口壁のフチに沿っており、厳重に柵でガードされていました。過去に覗き込みに行って落ちた人がいたのだろうか。
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眼下に避難小屋らしき建物が見えて来ました。人気の山らしく、比較的狭い範囲内に多くの小屋が整備されています。
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こちらも避難小屋ではなく休憩所のあつかいで、やはり宿泊はできません。屋根がペラくて噴火時の退避所にはなりえなそうなのも同様です。
韓国岳登山道休憩所

正面に見えているのは白鳥山(1,363m)と言うピークで、あちらにも火口に池があるのが見えます。
韓国岳登山道休憩所から見た白鳥山

その手前で激しく噴煙を上げているのが硫黄山(1,280m)です。こちらの山も平成30年に噴火を起こし、周囲1km圏内への立ち入り規制がされています。
韓国岳登山道休憩所から見た硫黄山

硫黄山のすぐ背後にも池があるのが見えます。不動池と呼ばれている池です。白鳥山にある白紫池と六観音御池と合わせて周回する池めぐり自然探勝路が整備されていますが、硫黄山の立ち入り規制により現在は1週できない状態となっています。
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規制中とあっては仕方がありません。硫黄山を経由せずに直接えびの高原へ下るルートを通ります。
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えびの高原から登って来た汗もダラダラで息も絶え絶えのおじさんが、すれ違いざまに「もうここらでよか」とつぶやいていたのがツボにはまってしまい、この後しばらくずっと一人で笑っていました。ここはまだ3合目の手前でごわすぞ。

果たしてあれは意図的に西郷のセリフを引用したのか。それともただの本心の発露だったのか。

振り返ると、山の上に夏のような雲が沸き立ちつつありました。うまい具合に午前中の晴れ間の時間帯を突いた会心の山行でした。払った犠牲(6,500円!)は大きかったですが、やっぱりタクシーでアプローチしたのは正解だったんだ。
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硫黄山から出た火山性物質が流入しているらしく、沢の水が異様な色をしていました。下流のえびの市の一部地域では、硫黄山噴火の影響による川の水質悪化で米の作付けを行えない被害が発生しています。
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舗装された道まで下って来ると、かなりのキャパシティがあるにもかかわらず駐車場が満車状態になっていました。どおりであれだけ人が大勢いた訳だ。
えびの高原駐車場

11時20分 えびの高原に下山しました。これだけ手軽に登れて絶景に出会えるわけですから、韓国岳に人気があるのも納得です。
えびの高原

帰路は霧島連山周遊バスを利用します。バス停はりんどうと言う土産物店の正面にあります。この売店で韓国岳の山バッジが買えるので、バッジコレクターの方は忘れずに立ち寄って行きましょう。
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帰路のバス便は13時発と16時発の2本がありますが、16時発の方は平日にしか霧島神宮駅行きのバスに接続しないのでご注意ください。

13時のバスまではまだ時間があるので、国民宿舎えびの高原ホテルでひと風呂浴びて行きます。日帰り入浴の料金はたしか800円だったかな。
国民宿舎えびの高原ホテル

入浴後の〆は高千穂牧場牛乳だと完璧だったのですが、自販機に置かれていたのは明治牛乳でした。いや別に、明治牛乳が駄目だと言うつもりは全くありませんが。
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時刻表より少し遅れて現れた霧島連山周遊バスで撤収します。山道を走るからか全長がすこし短いバスで、そこそこの乗車率でした。
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周遊バスなので、真っすぐに下らずに高千穂河原を経由します。また霧島神宮駅までは直通してくれないので、途中にある霧島いわさきホテルバス停で一度乗り換えが発生します。
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そんな訳で結構な時間がかかり、霧島神宮駅に着いた時には14時半を過ぎていました。
霧島神宮駅

丁度良い時間の鈍行列車が無かったので、帰路は特急きりしまを奮発しました。奮発と言っても自由席ですけれどね。
霧島神宮駅に入線する特急きりしま

6.オマケ編 鹿児島市内を観光する

終点の鹿児島中央駅ではなく、その一つ手前の鹿児島駅で下車しました。せっかく鹿児島にまで来ているのだから、少し観光して行こうと言う算段です。
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そもそも地元鹿児島の人以外には、鹿児島駅と鹿児島中央駅の違いは分からないのではないでしょうか。簡単に言うと鹿児島駅は港の近くにあり、鹿児島中央駅はもっと内陸よりの市街地の中にあります。
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鹿児島駅と鹿児島中央駅の間は、JRの他に路面電車でも往来できます。路面電車の方が運行本数が圧倒的に多いので、市内の移動はこちらの方が便利です。
鹿児島市内の路面電車

まずは手始めに港へ向かいます。鹿児島のシンボルたる桜島の姿をじっくりと眺めて見たかったからです。
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鹿児島湾内の海上に直接ドーンと立つその姿は、圧倒的なインパクトがあります。まさに地域の象徴的存在です。
鹿児島港から見た桜島
なおこの山は現在でも頻繁に噴火を繰り返しており、火口から半径2km圏内は立入禁止区域に指定されています。当然ながら登山することはできません。

鹿児島港と桜島を結ぶ桜島フェリーは、1時間に3~4本の頻度で運行しています。流石にもう時間が時間なので乗船はしませんが、時間があるなら鹿児島湾クルージングを洒落込んでみるのも良いと思います
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市内を適当に観光しつつ、鹿児島中央駅まで歩いて戻ります。
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あまり似ていないと評判(?)の西郷隆盛像です。本人ではなく親戚の人をモデルにしたからだとかなんとか。
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鹿児島市内でもっと賑わっている場所は、鹿児島駅や鹿児島中央駅の周辺ではなく、そのほぼ中間地点にある天文館と呼ばれるエリアです。
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九州出身の友人に鹿児島でオススメの食べ物だと紹介された「しろくま」を食べるべく、天文館むじゃきへとやって来ました。しろくまの正体はどうやら、大量の練乳をかけたカキ氷であるようです。
天文館むじゃき本店
鹿児島中央駅の駅ビル内にも支店があるようですが、せっかく近くを通ったので本店まで足を運びました。

上から見ると白クマの顔になっているという趣向です。暴力的なまでの高カロリーに果敢に勝負を挑みます。これだけでたぶん、本日の山登りで消費したカロリーをすべて取り戻してしまったのではなかろうか。
天文館むじゃきのしろくま
まだ夕飯を食べていなかったのですが、これだけでもう十分と言う気分なれるボリュームでした。食べきる自信がない人には、ミニサイズもあります。

西郷隆盛と比べて何故かイマイチ人気がない大久保利通の像です。維新の三傑とか言われていますが、明治維新最大の功労者を3人でなく1人だけ選ぶとしたら、西郷ではなく大久保だと思うのですが、いかがであろうか。
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観覧車が見えて来ました。鹿児島中央駅まで戻って来たようです。途中で色々寄り道しからと言うのもありますが、鹿児島駅から歩くと結構な距離でした。普通に考えれば、路面電車で移動すべきだと思います。
鹿児島中央駅の観覧車

昨日同様にあまり格安でもなかったビジネスホテルでもう一泊します。となれば当然、翌日にもう一座行きます。
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唐突な思い付きにより決行された九州遠征の初日は、いかにも拙速でグダグダ感もありましたが、なんとか目的のミヤマキリシマを見ることは叶いました。普通に考えれば、バスのある平日に霧島市内の国分あたりか、もしくは直接霧島温泉に前入りした方がスムーズに登れただろうと思います。まったく土地勘のない場所に遠征登山で出かけるときは、もっと真面目に下調べしないと駄目だと大いに反省させられました。
訪問前はミヤマキリシマの事しか念頭になかったのですが、大浪池を始めとした火山らしい光景は圧巻で、花だけではなく純粋な登山の対象としても多くの魅力の詰まった山であると思います。なかなか天気の気難しい山であるようですが、チャンスを見つけたら遠征登山を敢行してみては如何でしょうか。訪問の際はくれぐれも、バス運行の下調べだけは抜かりなきように。

<コースタイム>
大浪池登山口(6:50)-大浪池園地(7:25~7:35)-韓国岳避難小屋(8:40)-韓国岳(9:40~10:05)-えびの高原(11:20)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. nobu より:

    お久しぶりです。nobuです。鹿児島は父の故郷なのですが、まだ霧島へは行ったことがありません。韓国岳と大浪池の風景は何度も目にしているのですが、いつか天気のいい日を狙ってチャレンジしたいと思います。「もうここらでよか」は、現地でのネタになっているのかも?

    • オオツキ オオツキ より:

      nobuさま
      コメントをありがとうございます。

      もうここらでよかは、鹿児島では定番のジョークなのかもしれないですね。薩摩隼人の血が流れているのあれば、霧島山には是が非でも一度は登って見るべきだと思います。晴れて空気の澄んだ日であれば、鹿児島のほぼ全域を見渡せるはずです。

  2. もうもう より:

    オオツキ様

    指宿温泉と霧島温泉に旅行に行く機会があり、ついでに早朝ホテルを抜け出して開聞岳と韓国岳を登って来ました。

    あいにく韓国岳は霧が出ていたため大浪池を一周だけして登頂は諦めましたが、山頂からの景色はこんなに素晴らしいんですね。

    鉄道を使った登山旅行も楽しいですが、飛行機だと普段と異なるエリアまで行けるのが魅力ですよね。

    • オオツキ オオツキ より:

      もうもうさま
      コメントをありがとうございます。

      開聞岳と指宿は次回の記事に登場しますのでご期待ください。九重連山にも登ってみたいので、いつかまた九州へ遠征すると思います。