滋賀県米原市および多賀町にまたがる霊仙山(りょうせんざん)に登りました。
琵琶湖の東に丘のような緩やかな山容を広げる山です。鈴鹿山地の北部に広がる近江カルストと呼ばれる石灰岩地層上に存在し、広く平坦な山頂部にはカルスト台地の独特の景観が広がります。琵琶湖の上空で発生した湿った空気が直接ぶつかる位置にあるため、隣接する伊吹山と共に豪雪の山としても知られています。
薄っすら雪化粧した山上から、琵琶湖を一望する大絶景を満喫してきました。
2021年12月5日に旅す。
今回は滋賀県の一際異彩を放つカルスト地形の山、霊仙山へ遠路はるばる遠征して来ました。山頂部に石灰岩の浸食により形成されるカルスト地形が広がることで知られている山です。
琵琶湖のすぐ傍らに位置する霊仙山は、標高1,000メートル少々の低山ながらも豪雪の山として知られ、山頂部は森林限界を超えており大変眺めの良い山です。
広々とした開けた山頂部にカルスト地形が広がる、極めて独特の景観を持つ山です。また、夏には多種多様な花々が咲き誇る花の名峰でもあります。
かつては最寄り駅である東海道本線の醒ヶ井駅より、路線バスによりアクセスすることが可能な山でした。しかし残念ながら現在は、登山口まで行く路線バスは廃線となっています。公共交通機関利用者には優しくない山だと言えます。
定期運航される路線バスこそありませんが、米原市が運行する事前予約性の乗合バス「まいちゃん号」が、登山口にほど近い醒井養鱒場(さめがいようそんじょう)までは乗り入れています。
まあ、例のごとく直前になってから予定を決めた私は、このまいちゃん号の予約受付時間に間に合わず、結局は駅から7km以上を歩いてアプローチする羽目になりましたが・・・
延々長いアプローチを経て辿り着いた山上には、薄く雪が降り積もったカルスト台地の光景が広がっていました。どこか日本離れした絶景を満喫してきた、日帰り弾丸の忙しない滋賀県訪問記です。
コース
醒ヶ井駅から醒井養鱒場を経由して榑ヶ畑(くれがはた)登山口まで徒歩でアプローチし、そこから霊仙山の山頂を往復します。
公共交通機関を利用した霊仙山登山としては、おそらく最も一般的であろう行程です。そもそも、公共交通機関を利用して霊仙山に登ることそのものが、あまり一般的な行為ではないのかもしれませんが・・・
1.霊仙山登山 アプローチ編 新幹線で行く滋賀県への旅路
5時52分 夜明け前の東京駅よりおはようございます。滋賀県の山への日帰り登山を可能としてくれる魔法の乗り物新幹線で、米原を目指します。
東京発の日帰りで霊仙山だけに登りに行くと言うのは、実際問題としてあまりにも不経済な行為です。
そのため当初は、土曜日に比良山地の武奈ヶ岳に登り、大津に一泊して二日目に霊仙山へ登る、一泊二日の滋賀県遠征計画を立ていました。
しかし土曜の天気予報が芳しくなく、結局は霊仙山だけに予定を縮小しての決行と相成りました。
快適な新幹線の車窓から、伊豆半島の上へ登る朝日を拝みます。今のところ上空にはどんよりとした雲が垂れ込めておりますが、琵琶湖の上空は晴れる予報となってまります。
のぞみ号は米原駅には停車しないため、名古屋駅で一度下車してひかり号に乗り換えます。
この世に光よりも早いものなどは存在しないというのに、のぞみの方がひかりよりも速いと言うこの名称には少々納得がゆきませぬ。
岐阜羽島駅を過ぎたところで、車窓に目指す霊仙山の姿が見えきました。のっぺりとしていて、山と言うよりは丘のようなシルエットです。こころなしか山頂部が白いように見えます。早くも冠雪したのかな。
米原駅で東海道本線の大垣行きに乗り換えます。乗り換え時間が僅か2分しかなかったので、大慌て階段を登って降りてしました。同じJR東海道同士だと言うのに、何故こんなに乗り継ぎが悪いダイヤになっているのでしょうか。
8時11分 醒ヶ井駅に到着しました。新幹線を使えば、東京発でもこんなにも早い時間に現地に降り立つことが可能です。運賃はとっても高いけれどね。
駅のホームから、うっすらと雪化粧した伊吹山(1,377m)の姿が良く見えました。伊吹山の最寄り駅である近江長岡駅は、醒ヶ井の一駅隣になります。
2.下道を延々歩き、醒井養鱒場を目指す~まいちゃん号のご利用は計画的に
醒ヶ井駅前のロータリは閑散としていました。私が到着したタイミングでは流しのタクシーも待機はしていませんでしたが、普段はいると言う情報もあるので、単に時間帯が良くなかったのかもしれません。
以前は駅から3.5kmほど離れた場所にある醒井養鱒場まで行ける路線バスが存在したらしいのですが、現在は廃線となっています。
路線バスはありませんが、事前予約性の乗り合いバスまいちゃん号が、醒井養鱒場まで乗り入れをしています。誰でも500円で利用できますが、週末土日に利用する場合は前日の21時までに予約しておく必要があります。
前日のギリギリまで今回の滋賀遠征を中止か決行かで決めあぐねていた私は、当然ながら予約はしておりません。よって本日は全行程を徒歩でアプローチします。
もし駅前に流しのタクシーが待機でもしていたら心が揺れ動いたかもしれませんが、居なかったことで完全に吹っ切れました。さあ、歩くぞッ!
目指す霊仙山の姿は、最初から見えています。気のせいではなく、やはり山頂部は白くなっていました。チェーンスパイクは用意してあるので問題はないでしょうが、足元がドロドロ状態でないことを祈る次第です
ここで極めてどうでもよい豆知識を一つ披露しますと、飛び出し坊やは滋賀県が発祥だと言われています。現在でも設置数は滋賀県が日本一であるのだとか。
川に沿った緩やかな上り坂を進みます。冷たく張り詰めた冬の空気が実に心地よい。もともと体を動かしたくて山に登っているわけですから、歩くこと自体は少しも苦ではありません。
飛び出し坊やにも、結構色々な種類が存在するのですね。それにしても、本当に数が多いですな。
やがてY字路にぶつかりますが、ここは道標の導きに従い右です。
この看板によると、醒井養鱒場は東洋一の規模を持つ鱒の養殖場であるのだそうです。そもそも、西洋に鱒の養殖場は存在するのだろうか。
ここから醒井渓谷と呼ばれる狭窄部へと入って行きます。とくに観光地化されているわけでもありませんが、なかなか風光明媚な場所です。しかし歩いて来る人は少ないんだろうな。
清流が作り出す渓谷の光景にしばし癒されます。ここで、登山者らしき客を乗せたタクシーが颯爽と追い抜いて行きました。
・・・べつに全然ちっとも少しも羨ましくなんてないですよ?車で通り過ぎてしまった人々は、この美しき醒井渓谷の光景をゆっくりと眺めることが出来なかった訳ですからね。
渓谷を抜けたところで、養鱒場の施設が見えて来ました。先ほど私を追い抜いたタクシーが止まっておりますな。べつに全然ちっとも少しも羨ましくなんてないですよ?
9時15分 醒井養鱒場に到着しました。駅から1時間歩いて、ようやく本日のスタート地点に立てた訳です。まあ、良いウォーミングアップにはなりました。
まあ実のところ、ここはまだスタート地点ではないのですけれどね。ここまではタクシーや乗合バスでも入れると言うだけの事です。登山口まではもう後3.8kmの林道歩きが残っております。
3.ひっそりとした廃村跡にある榑ヶ畑登山口
登山口から少し奥へ進んだ所に醒井養鱒場の有料駐車場があり、車でお越しの人はここまで入ってこれます。結構な台数の車が停まっており、霊仙山の人気の程が伺えます。
季節はすで12月に入っておりますが、紅葉の僅かな名残が残っていました。
木漏れ日が僅かに差し込む薄暗い林道を進みます。この長い林道歩きの時点で、既に結構な標高差を稼ぎ出しています。
先ほど「歩くこと自体は少しも苦ではない」と言ったな。あれは嘘だ。延々と続く舗装道路歩きに、さすがに少しダレて来ましたぞ。
山の上の方が霧氷化して白くなっているのが見えます。何とか溶けてしまう前にあの高さまで辿り着きたい。そしてむっひょーう!と叫びたい。
10時10分 駅から実に1時間55分もの時間を歩き続けて、ようやく登山口までたどり着きました。そりゃあみんな、車で登りに来たくなるでしょうよ。
登山口の脇に自転車がデポしてありました。なるほどこれで下山時に楽をしようと言うわけですな。なんと羨ましい。
登山口の脇に休憩所スペースが存在し、ここで準備を整えられます。ここまでずっと歩き通しで流石に少し疲労を覚えたため、軽く腹ごしらえを兼ねた小休止を取りました。
これでようやく山道が始まるのかと思いきや、未舗装の砂利道がもう少しだけ続きます。なかなか勿体ぶってくれますな。霊仙山は侮れない防御力です。
林道が大きくカーブする地点から、ようやく登山道が始まりました。
森の中になにやら石垣が詰まれてる場所を通り抜けます。現地では廃キャンプ場か何かだと思っていたのですが、後から調べたところ、ここは榑ヶ畑(くれがはた)と言う集落の跡地でありました。
榑ヶ畑は主に炭焼きなどを生業とする人々が暮らしていた最奥の集落で、最盛期には50戸250人ほどが暮らしていました。現在は廃村となり、元住民達は全て山を下っています。
集落跡地の一番奥に、ポツンと2軒だけ今も建物が立っていました。
この建物はどうやら売店のようです。トイレもありましたが、中は検めておりません。冬期は営業していないらしく、戸は閉ざされていました。
霊仙山の山バッジが存在するらしい。駅の近くに売っていると言う事なので、これは帰りに立ち寄らねばなりません。
水場らしきものもありましたが、パイプからの水の供給は停止しており、地面に僅かな水流があるだけでした。冬季には、あまり当てにはしない方が良さそうです。
4.山頂へと続く、緩やかで歩きやすいが泥にまみれた登山道
水場を過ぎると、汗ふき峠にむかって急登が始まりました。霊仙山は全般的に緩やかな山容をした山であり、急なのはこの峠の直下くらいなものです。
10時40分 汗ふき峠に到着しました。なかなか印象的な名前の峠ですね。名前の通りここで汗を拭いて行きなさいと言う事なのでしょうか。
汗ふき峠を過ぎると、緩やかな傾斜の尾根道となります。尾根上には見事なブナ林が広がっていました。
足元に一目でそれとわかる石灰岩の姿が目立ち始めました。霊仙山が属している鈴鹿山地の北部には、近江カルストと呼ばれる広大な石灰岩帯が存在します。かつてこの辺りの山は全て、海の底にあったと言う事ですな。
何時しか周囲は、冬枯れの殺風景に変わりました。これが全て広葉樹であると言う事は、もしかしなくても霊仙山は紅葉も見事な山なのではなかろうか。
急坂はなく、どこまでも緩やかで歩きやす登山道です。見た目通りの優しい山です。・・・そのかわり登山口までがえらく遠いですけれどね。
登山道上にも雪がチラホラと現れ始めました。そして危惧していたとおり、足元はぬかるんでいました。今日はハードシェルパンツを履いてはいないので、転倒してズボンを汚してしまうのは避けたいところです。
山頂付近の白い一帯が段々と近づいて来ました。早くあの中を歩きたい。
11時20分 5合目の見晴台まで登ってきました。登山口までが遠かった分、登山口から先はやけにあっけなく折り返し地手に辿り着きました。
見晴台を名乗っているだけの事はあって、眼下に琵琶湖を一望することが出来ました。素晴らしい眺めではありますが、山頂まで行けばもっと眺めは良いので、喜んでいないでさっさと先へ進みましょう。
ここで、結構な近距離から立て続けに猟銃の発砲音が鳴り響きました。ハンターの姿は見えませんが、流れ弾が飛んできたりはしないでしょうね。
危惧していた事態がついに現実となってしまいました。足元がドロドロで、どう足を乗せようと絶対に滑ると言う絶望状態でした。
仕方がないので、ここからはチェーンスパイクを装着して行きます。雪も氷もないのに、泥対策としてスパイクを履いたのは初めての経験かもしれない。
チェーンスパイクのグリップ力を得たことにより、泥まみれの坂だろうがスイスイと登れたのもつかの間。すぐに足の裏に泥団子が付着してしまい、まるで冬靴を履いているかような足取りになってしまいました。
それでも、履いていないよりは全然マシ状態だったので、チェーンスパイク装着のままともかく前進を続けます。早くも森林限界を越えたらしく、周囲の展望が開けました。
振り返れば琵琶湖のレイクビューです。対岸には、当初の計画では前日に登るはずであった比良山地の山並みが見えます。あちらも薄っすらと白い状態です。
いつしか周囲には石灰岩が散乱しており、いかにもカルスト台地らしい光景になってまいりましたぞ。そろそろ視界が開けそうな予感です。
ついに山上に広がるカルスト台地の上へと降り立ちました。むっひょーう!これは思った以上に広い空間ですよ。
まるでサンゴか何かのような見た目の霧氷が、とけずに残ってくれていました。琵琶湖上空の湿った空気が、西から吹き付ける冬型の冷たい風に乗って霊仙山にぶつかる事により作り出される景観です。
5.霊仙山登山 登頂編 薄っすら雪化粧した、広大なカルスト台地の広がる頂
霊仙山の山頂部には、ここが山の上の光景だとは思えないような広大な空間が広がっていました。
どうやら山頂はこの上のようですが、直登はせずに左側から大きく回り込んで行きます。
霊仙山は標高1,000メートル少々でしかない低山です。であるにもかかわらず山頂が森林限界を超えているいのは、先ほど述べた通り琵琶湖上空の湿った空気が直接ぶつかる立地にあり、厳冬期には大雪が降るからです。
この広大な空間は夏には湿地となり、多種多様な花が咲き誇ります。是非とも花の季節にも訪れてみたいものですねえ。
8合目にあるお池は完全に凍結してました。この池は琵琶湖の形をしていると言われています。確かに言われてみればそう見えなくもないかな。
しかしそれにしても圧巻の光景です。何処か日本以外の国の光景なのではないかと思えるような、かなり特異な景観です。よもやこんな山をさりげなく隠し持っていようとは、滋賀県は侮れませんぞ。
先ほどのお池以外にも、こうして窪地に水が溜まった池の姿が至る所に見られます。これらの豊富な水が、初夏の季節の花畑を潤しているわけですね。
泥まみれだった足元は、何時しかしっかりと積もった雪に変わっていました。サラサラした踏み心地からして、どうやらこの雪は昨夜に降ったばかりのようです。
12時20分 経塚山と呼ばれるピークまで登って来ました。霊仙山の山頂に点在する丘のような小ピークの一つです。
目の前に伊吹山の姿が良く見えました。この伊吹山もまた、霊仙山と同様に石灰岩から成る山です。この伊吹山には、何気に夏と冬の2回登ったことがあります。
伊吹山の右手に広がるのは、広大なる濃尾平野です。木曽川の流域に広がる肥沃な平野であり、古くから交通の要衝でもありました。織田氏の経済力を支えていた、極めて重要な後背地であった場所です。
左下の方に見えている建物は避難小屋です。
東の彼方には、微かに伊勢湾まで見えました。普段は全く馴染みのない場所なので、見える光景のすべてが新鮮です。
さて。いつまでも勿体ぶっていないで、いい加減山頂へ向とかいましょう。のっぺりとしていてどこが山頂なのかよくわかりませんが、ともかく前進です。
この山頂直下の光景だけを見ると、完全に雪山の様相です。とても1,000メートルちょっとしかない山の光景とは思えません。
振り返ればこの絶景です。撮影が捗りすぎてなかなか歩みが進みません。いや本当に、霊仙山の光景は素晴らしい。ここにしかないオンリーワンの景観だと思います。
伊吹山の背後に見えているこの真っ白な山は、場所的に木曽御嶽山(3,067m)でしょうかね。3,000メートル峰なだけあって、雪の量が桁違いです。
ようやく山頂を視界の捉えました。さあ、ウィニングランをキメましょう。・・・いや別に、無理して走らなくても良いですけれど。
12時45分 霊仙山の登頂しました。決してキツイ山ではないのですが、駅からのアプローチをすべて歩いたのと、途中から撮影が捗りすぎて牛歩になってしまったこともあって、意外と時間がかかりました。
6.霊仙山の山頂から望む絶景と、何故か山頂とは別にある最高地点
霊仙山の山頂からは、視界を遮るものが何もない文字通り360度のパノラマが広がります。その中でも一番の絶景はやはりこの、琵琶湖を一望するレイクビューでしょう。
西の彦根方向の光景です。霞んでしまって遠くは見えませんが、琵琶湖の途方もない大きさだけは何となくわかります。
琵琶湖方向とは反対側に立つこの大柄な山は、鈴鹿山地の御在所岳(1,212m)です。深田久弥曰く「遊園地化している」と言う山ですが、ロープウェイで手軽に登れるためスノーリゾートとして人気があります。
そして、実は山頂標識が立っている場所は霊仙山の最高地点ではなく、本当の最高地点は何故かこの少し離れた場所にあります。
大した距離でもないので、最高地点もしっかりと踏んでおきましょう。それがピークハンターとしてのお勤めでございます。
山頂からの距離はせいぜい10分程度です。しっかりとアップダウンがありはしますが。
と言う事で、13時10分に霊仙山最高地点に登頂しました。・・・と言うか、普通は最高地点のことを山頂と呼ぶものなのではなかろうか。なぜ別にあるのか不思議です。
最高地点からだと琵琶湖の眺めはイマイチです。まさかこれが理由で、山頂はここではない扱いをされてしまっているのでしょうか。だとすれば、何とも不憫なことです。
7.霊仙山登山 下山編 再び長-い道を歩き醒ヶ井駅へ
素晴らしきカルスト台地の景観を、満足いくまで堪能しました。名残惜しくはありますが、ボチボチ撤収に移りましょう。
雪の上に踏み跡があったので何の疑いもなく下ってしまいましたが、どうやら道ではないところを通ってしまったような気がします。
もう少し雪が深い時ならば、それこそどこを歩いたって良いのでしょうけれど。
気温が上昇してきたからか、帰りに通りかかった時には、お池の氷はすっかりとけていました。
霧氷で真っ白だった山頂部も、だいぶ下地が露出して茶色い部分が多くなっていました。私が登頂したのは、霧氷を見るためにはだいぶ際どいタイミングであったようですね。
絶景はこれで見納めです。十分に目に焼き付けたところで、下山を開始します。
道は相変わらずドロドロでしたが、登った時に比べれば幾分かマシな状態になっていました。今日はすべてがうまくいってしまった一日であったようですな。
猟犬らしき犬が、山中を彷徨っていました。獲物を追跡中なのか、それとも飼い主とはぐれてしまったのでしょうか。発信機らしきアンテナが首輪についているので、最終的にはそれを頼りに飼い主が探しに来るのでしょうかね。
この後、何故かこの犬に一方的に忠誠を誓われてしまい、汗ふき峠付近までストーキングされました。さもなくば獲物だと思われていたのか。
サクサクと順調に下って、汗ふき峠まで下ってきました。ここで先ほどの犬は、榑ヶ畑登山口方面とは反対側へと下って行きました。ちゃんと帰るべき場所が分かっているのなら良いのですけれど。
15時 榑ヶ畑登山口まで戻ってきました。さあ、ここからは再び7.8kmの舗装道路歩きです。かったるいからタクシーを呼ぼうよ
この念の押され様からして、間違えて林道沿いを進んでしまう人がそれだけ多いのでしょうか。特に間違いやすいポイントだとも思えませんが、はて?
もうこの後は文字通り消化試合でしかありません。足早に下って行きます。
途中で小川に下りられる場所があったので、靴とチェーンスパイクに付いた泥を丹念に洗い落としました。なにしろそのままだと、公共交通機関を利用することが憚られるような状態だったものですから。
15時55分 醒井養鱒場まで戻って来ました。途中にあった鱒料理屋に心ひかれたものの、もう日没ゲームセットが近い時間だったため諦めました。
再び飛び出し坊やストリートをトボトボと駅に向かって歩きます。何気に本日の行程は、舗装道路を歩いている区間の方が断然長かったと言う。
何時しか伊吹山も夕日に照らされていました。なんやかんやで丸一日を費やしたガッツリ登山でありましたな。
もうすっかりと遅い時間になってしまったためか、山バッジを置いていると言う店舗はどちらも既に閉まっていました。なんてこったい。
まあ、体のよい再訪の口実が出来たのだと、無理やり前向きに受け止めておきましょう。次回は花の季節かな。
帰りは米原を経由せずに、東海道本線で名古屋に出てから新幹線で帰宅の途につきました。
かくして当初計画を大幅に縮小して決行した、忙しなき滋賀県への日帰りの旅は、大満足の内に幕を下ろしました。
滋賀県の山と言えば思いつくのは伊吹山くらいなもので、あまり山岳県であると言う印象は持っていませんでしたが、思いもよらぬ隠し玉を持っていました。霊仙山は全国区の知名度を持つ山では決してありませんが、この山に登るためだけに滋賀県まで足を延ばすだけの価値が、十分にある山だと思います。カルスト台地の光景と、そこから琵琶湖を見下ろす景観は、ここにか存在しない唯一無二ものです。西日本の山へ登山をしにお出かけになる計画をお持ちの人は、是非とも霊仙山をその計画の中に組み込むことを推奨いたします。
<コースタイム>
醒ヶ井駅(8:15)-醒井養鱒場(9:15)-榑ヶ畑登山口(10:10~10:20)-汗ふき峠(10:40)-霊仙山(12:45~13:00)-霊仙山最高地点(13:10)-汗ふき峠(14:45)-榑ヶ畑登山口(15:00)-醒井養鱒場(15:55)-醒ヶ井駅(16:45)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
なんと!関西も日帰り可能なんですね!
オオツキさんの山データベースは幅広いですね。いつもどこで情報を仕入れるんですか?
MMさま
コメントをありがとうございます。
実際にやるかどうかはさておき、その気になれば京都や大阪の山であっても日帰りは出来ます。新幹線恐るべしです。
情報源は他の方が書いたブログであったり、山と高原地図に付いてる小冊子だったり、SNSだったりと色々です。アンテナは常に多方面に張り巡らせています。
オオツキ様
ここ2か月ほど前からチャンネル登録している「登山YouTube」の方々が、立て続けに霊仙山の動画をUPしていましたが、馴染みの無いエリアでしたので見ていませんが良さそうな山ですね。
北アルプス、信州に登りたい山が多くありますので、それらを登った後に行ってみたいと思いました。
今年は雲ノ平周辺のブログを期待(それより自分が先に行きたい!)しています。
もうもうさま
コメントをありがとうございます。
地元滋賀県の人にとっては定番中の定番な山であるようですが、あまり全国区の知名度がある山ではないようですね。際立って個性的な山なので、もっと注目されて良い存在であると思います。
雲ノ平行きたいですねえ。1週間くらいのまとまった休みを取れるかどうかが、目下最大のハードルですが。