津森山-人骨山 スイセンが咲き誇る春爛漫の房総半島南部を巡る

人骨山の山頂
千葉県鋸南町(きょなんまち)にある津森山(つもりやま)と人骨山(ひとぼねやま)に登りました。
房総半島の南部にある、標高400メートルにも満たない素朴なる里山です。山の麓にある大崩(おくずれ)地区はスイセンの産地として知られており、1月の下旬から2月の上旬にかけて見頃を向かえます。
早くも春の気配が漂い始めた南房総を、のんびりと巡って来ました。

2024年2月3日に旅す。

一般的な登山者の感覚として、千葉県と言うのはあまり山登りに出掛ける場所ではありません。千葉県で有名所な山と言えば、思い浮かぶのは山と言うよりは観光地のイメージの方が強い鋸山くらいなものです。
鋸山ロープウェイ

では千葉県に山は無いのかと言うと決してそんなことはなく、むしろ房総半島の中央付近は山だらけな場所です。ただし突出して標高の高い顕著なピークは存在せず、小さな丘陵と湿地の谷が入り組んだ地形が広がっています。
房総半島南部の山間部
地形が複雑で非常に道迷いしやすく、全般的に交通アクセスにも難があることから、房総半島は登山の対象としてはあまり一般的ではなく、玄人向けなエリアであると見なされています。

今回はそんな房総半島の山の中では比較的アプロ―チが容易な、津森山と人骨山の2座を巡って来ました。鋸南町が運営している循環バスを利用することにより、観光名所である佐久間ダム湖と合わせてコンパクトに巡ることが出来ます。
大崩バス停
人骨山とはなんともおどろおどろしい名称ですが、特にこれと言った特徴があるわけでもない至って長閑な里山です。

スイセンや菜の花が一斉に花を咲かせる2月の上旬は、房総半島の山へ訪問するベストシーズンです。一足先に春が訪れた房総半島訪問記をお届けします。
大崩地区のスイセン

コース
240203人骨山-map
大崩バス停を起点にして、津森山、人骨山および佐久間ダム湖を周回します。行動時間にして4時間少々の手軽な行程です。

1.津森山&人骨山登山 アプローチ編 特急新宿さざなみで行く、房総半島への旅路

7時40分 JR新宿駅
この日の朝、私はJR新宿駅の改札を当所もなく彷徨い歩いていましたく。それにしても、この駅には一体いくつ改札があるのだろうか。
JR新宿駅 中央東改札

朝っぱらからやみくもにウロウロと歩き回っていたのは、この特急券販売機を探していたからです。てっきりすべての改札口に設置されているものだとばかり思っていましたが、実は設置個所は限られていました。
特急券販売機
東京都内から房総半島南部へ訪れる方法は複数存在します。JR内房線か東京湾フェリー。あるいは東京湾アクアラインを経由する高速バスも運行されています。

今回はそんな複数存在する選択肢の中からあえて目を背け続けていた、特急新宿さざなみをチョイスしました。恐らくは最も快適な房総半島南部への移動手段であり、同時に最も高額となる手段でもあります。
新宿駅のホームに停車する新宿さざなみ
私は常日頃からドケチ質素倹約は美徳であると言う価値観でもって生きている人間ですが、あの異常に硬い内房線のシートに座って長距離を移動するのには、流石にもう嫌気が差しました。

今回は金の力にモノを言わせて快適な旅をさせてもらいます。

目的地の保田駅までの自由席特急券は1,360円なり。これを高いと思うか安いと思うかは貴方次第ですが、得られた快適さはプライスレスです。
新宿さざなみの特急券

新宿から乗ってしまえば、あとは目的地まで乗り換えなしのノンストップです。うたた寝をしている間に運んでもらえるので、圧倒的に楽な移動手段ではあります。
特急さざなみの車内
自由席の車内は決してガラガラではありませんでしたが、さりとて座れないほどには混んでおらず、そこそこの乗車率です。

車窓に内房の海が見えて来ました。良いですね、やはり海が見えないことには房総に来た気分にはなれません。
新宿さざなみの車窓風景

薄っすらと富士山も見えました。千葉県と富士山は距離的には結構離れているようにも思えますが、間に海があるだけなので何気に気結構よく見えます。
内房線の車窓から見た富士山

9時44分 保田駅に到着しました。東京湾フェリーとの接続がある浜金谷駅の一つ先にある駅です。
保田駅のホーム
乗車時間の半分くらいは寝ていましたが、圧倒的な快適さでした。房総半島南部へ出かける際のベストな移動手段は何かと言いう命題について、自分の内部では結論が出ました。特急さざなみに乗るべきです。

跨線橋の上から、おそらく千葉県の山の中では人気知名度共に最も高いであろう鋸山の姿が見えました。千葉で一番有名な山はビッグサンダーマウンテンだと言う説もあるようですが。
保田駅の跨線橋から見た鋸山

南国の情緒を誘う白塗りの駅舎が印象的です。駅前で輪行を解除中の人の姿がチラホラとありました。確かに房総半島南部に自転車を持ち込んだら楽しそうです。
保田駅の駅舎

保田駅から鋸南町が運営している循環バスに乗車します。時計回りの青バスと反時計回りの赤バスの2系統があり、どちらに乗っても最終的には大崩バス停に辿り着けます。
保田駅のバス停

往路は新宿さざなみの到着時間と良い感じに接続する、9時56分発の青バスに乗車します。
鋸南町の青バス

バスの乗車率はそこそこで、意外にもハイカーの姿が目につきます。わざわざ公共交通機関を利用して房総半島で山登りをしようと言うもの好きは、意外と居るものなんですな。
青バスの車内

10時6分 大崩バス停に到着しました。ここまでの運賃は300円です。当然ながら交通系ICカードには非対応なので、小銭を用意しておきましょう。
大崩バス停

この大崩バス停が循環バスの車庫になっているらしく、赤バスと青バスの両方が集結していました。
大崩バス停の車庫
多くが公共交通の不毛地帯である房総半島南部において、こうして定期バスが運行されているのは大半有難く、今後とも末永く継続してほしいものです。

2.スイセンと菜の花が咲き誇る大崩地区

10時25分 身支度を整えて行動を開始します。大崩バス停から道なりに、緩やかな坂を上って行きます。
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菜花が一束100円という破格で販売されていました。つい勢いで買ってしまったわけなのですが、おひたしにするくらいしか食べ方を知らんのよな。
路地物の販売所

大崩地区の名物となっているのがスイセンです。こうして道の脇のそこかしこに咲いており、周囲には甘い香りが漂っていました。うーん、春ですなあ。
大崩のスイセン

既に満開のピークは過ぎてしまっているらしく散り始めていました。例年ですとちょうど今くらいが見頃のピークなはずですが、今年のお花前線は昨年に続いて前倒し気味に進行しているようです。
大崩のスイセン

スイセンに負けじと言わんばかりに、梅の花も開花しつつありました。こちらも独特の甘い香りを放っており、スイセンの香りと交じり合った何とも言えない芳香が漂っています。
梅の花

菜の花も咲き始めており、白一色のスイセンの中に黄色い彩を付け加えていました。菜花が食用になるのは花が咲く前の状態のものなので、こちらはもう売り物にはならない純粋な観賞用ということか。
大崩の菜の花

またもや路地物販売コーナーがありました。キンカンは凍らせて食べるとおいしいんだよね。しかし山登りを始める前にこれ以上荷物を増やしてしまうのも何なので、ここは心を鬼にして通り過ぎます。
大崩地区の路地尾の販売コーナー

山の斜面にまるで猫の額のような小さな段々畑が作られていました。広い平坦地が乏しい房総半島山間部ならではの光景であるといますが、大型の農耕機械の導入は難しいだろうし、管理するのは容易なことではないでしょう。
大崩地区の段々畑

小さな峠を越えると、道は緩やかな下りに転じました。なお最初に言っておくと、本日歩こうとしている行程は半分以上が舗装道路歩きとなります。
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山とも言えないような小さな尾根の間を縫うようにして、谷が複雑に入り組んでいます。山の部分を全部削って、その土砂で間にある谷を埋めたら真っ平になるんじゃないのとか、思わず田中角栄みたいなこと考えてしまいました。
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道なりに進むと、ほどなく分岐が現れました。津森山へ向かうにはここを左に入っていきます。
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津森山登山口と書かれた標柱がしっかりと立っていました。こうした案内があると言う事は、それなりに訪問者は多い山なのでしょう。
津森山登山口

指さす先に富士山が描かれた標識が付け加えられてしました。何の説明書きもありませんが、津森山の山頂からは富士山が見えると言う事なのかな。期待しておきましょう。
津森山登山口の標識

登山口といつつ、この先もまだまだ舗装道路が続きます。基本的に道なりに進めば良いのですが、同じような幅の小道が多くてどれが道なりなのか少々わかりづらいです。ちなみにここは右へ直進します。
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再び分岐がありましたが、ここにはしっかりと道標がありました。登山道と言うよりは、完全に農道ですねこれは。
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何時しか周囲は鬱蒼とした森に変わり、ようやく山登りらしくなって来ました。と言っても、相変わらず地面は舗装されています。路面は既にガタガタですが、道の様子からして軽トラの往来はありそうです。
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おそらくもう収穫されることは無いのであろう柑橘類の木に、たわわに実がついていました。ここはもとも畑だったのか。あるいは鳥のフンなどから勝手に生えてきた野生の木なのか。
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前方に巨大なアンテナ塔があるのが見えます。まだ歩き始めてから1時間と経ってはいませんが、もう山頂なのか。
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藪の中に野生動物捕獲用の罠が仕掛けられていました。確か房総半島にクマはいないはずなので、イノシシの捕獲用か。
イノシシ捕獲用の罠

アンテナの下まで登って来ましたが、ここはまだ山頂ではありませんでした。この手のアンテナはだいたい山頂を占有しているイメージでしたが違ったようです。
津森山のアンテナ塔

登り切った地点に民家がありました。どうやら先ほどのガタガタの道とは別に、反対側にもしっかりと道があるようです。
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生き物の気配を感じて横を見ると、牛がいかにも気だるそうに干し草を食んでいました。ただの民家ではなく酪農家でしたか。
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牛さんの前を通りすぎると、道は下りに転じました。この左わきに津森山の登山口があります。
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やけに長ーいアプローチでしたが、ここからようやく登山道がはじまります。
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3.津森山登山 登頂編 内房と外房の両方の海を望む好展望の頂

ようやくアスファルトではない土の上を歩ける喜びをかみしめておりますが、実のところ、既に山頂までは5分とかからない距離です。
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と言う事で、実にあっけなく山頂らしき場所が見えて来ました。
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11時25分 津森山に登頂しました。大崩バス停を出発してから、ぴったり1時間での到着です。
津森山の山頂

山頂の一部は伐採されており、低山ながらも展望が大きく開けています。こちらは東側の鴨川方面の展望です。正面に見えている山は、房総半島の最高峰である愛宕山(408m)です。
津森山からの展望

よく見ると、鴨川の市街地の先に外房の海が見えます。真ん中にピョコっと立っているビルは鴨川グランドタワーか。
津森山からみた外房方面の展望

反対側の西側には内房の海。東京湾と太平洋の両方が見えます。
津森山から見た内房方面の展望

北側に見えているこののっぺりした山はたぶんマザー牧場です。実は一度も行ったことがありません。公共交通機関の利用を前提とした場合、何気に結構訪問のハードルが高いんです。
津森山から見たマザー牧場

南側には房総のマッターホルンこと伊予ヶ岳(336m)と富山(350m)が並んで見えます。房総半島の山の中では、鋸山の次くらいには知名度がありそうな2座です。
津森山から見た伊予ヶ岳と富山

山頂からの展望はざっとこんなものですが、どうやらさらに先へ進むと富士山が見える展望台があるようです。そう言えば、登山口にあった標識でも富士山が見えるアピールしていたっけか。
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案内に従って山頂からさらに先へと進みむと、しっかりとした明瞭な踏み跡が奥へと続いていました。
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山頂からは5分とかからない距離に、展望図が設定されている開けた空間がありました。
津森山の展望台

筋状の雲が湧いてだいぶ霞んでしまいましたが、ちょうど真正面に富士山がしっかりと見えました。
津森山から見た富士山

三浦半島先端の城ヶ島も良く見えています。単純な距離で言うとこれだけ近いのに、陸路で移動しようとなると途方もない距離を迂回することになります。東京湾は何気に大きいですからね。
津森山から見た三浦半島と城ヶ島

4.津森山から人骨山へ移動する

津森山の入り口まで引き返して先へ進みます。右が牛がいた農家の方向で、ここを左へと進みます。
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林道なのか農道なのか定かではありませんが、ここでもしっかりと舗装されている道を緩やかに下って行きます。
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まるで絵に描いたかの如き美しい棚田の光景が広がっていました。田んぼに水が張られた季節に訪れたら、さぞやリフレクションが綺麗なんでしょうね。
大崩地区の棚田

分岐が現れました。直進して左へ進むと鴨川に至るとありますが、ここを右へ曲がります。
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分岐からはさらに下って行きます。本日歩こうとしているルート全体で見ても、累計の標高差は500メートルにも満たないくらいので、大した下りではありません。
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河津桜が開花しつつありましたが、まだ4~5分咲きと言ったところでしょうか。それでもメジロが嬉しそうに飛び回っていました。
大崩地区の河津桜

下り坂の途中にあるこちらの分岐から、左方向の横道へと入って行きます。
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一応は道標もブラ下がっていましたが、注意深く観察していないと見落としそうなくらいには目立たないです。かなり分かりづらいので、地図をよく確かめながら歩いてください。
人骨山の入口

元々は谷間に広がる湿地帯だったと思われる場所に、小さな耕作地が広がっています。うまく言語化できませんが、いかにも房総半島らしい光景です。
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再び人骨山の名前が書かれた道標がありました。これだけ案内があると言う事は、それなりに入山者がいる山なのだろうか。
人骨山入口の道標
この人骨山なる物々しい名称の由来には諸説があります。この山には鬼が住んでいて毎年生贄を捧げていたと言う伝説や、はたまたこの山はかつていわゆる姥捨て山であったことがあり、山頂には多数の人骨が埋まっている。などなど。

どちらの説も伝説や伝承の域を出ず、実際にこの山で人骨が出土したと言う記録は存在しません。

農道の行きどまりまで歩いてきたところで、ようやく登山道が始まりました。それでは張り切って、本日2座目の登山を開始しましょう。
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5.人骨山登山 登頂編 名前とは裏腹の長閑なる頂

国土地理院の地図上にはそもそも人骨山の山頂に至る道が記載されていませんが、しっかりと明瞭な登山道が存在しました。
人骨山の登山道

分岐が現れましたが、人骨山に向かうにはここを右に入ります。道標による案内などはありませんが、左へ道なりに進むと佐久間ダム方面へと道が続いています。
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人骨山方向へすすむと、痩せた尾根道になりました。まるで密林であるかのように森が濃いので、仮に足を踏み外したところで滑落する危険性などは一切なさそうです。
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山頂の付近は結構な急勾配で、お助けロープまで張られていました。国土地理院地図にすら記載が無い道の割には、しっかりと整備されています。
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そんな急坂も長くは続きません。あっけなく山頂らしき場所に飛び出しました。
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12時25分 人骨山に登頂しました。名前のインパクト以上の出来事は一切発生しない、至って長閑な里山です。
人骨山の山頂
名前の由来に関する諸説の中の一つに、戦国時代に烽火場が置かれてことから、火灯し山(ひともしやま)と呼ばれていたものが訛って人骨山になった。と言うものがあります。

確かに周辺の眺めが良く烽火台を置くのに適していそうな立地にあります。面白味はありませんが、この説が一番現実的であるように思えます。

山頂の一部は樹木が伐採されており、全方位ではありませんが展望が開けています。こちらは津森山からも見えていた伊予ヶ岳と富山です。
人骨山から見た伊予ヶ岳と富山

すっかりガスってしまいましたが、人骨山からも富士山が見えます。中央やや左に頭の部分だけが辛うじて見えいるのですが、お判りになるでしょうか。
人骨山から見た富士山

足元にこの後訪問する予定でいる佐久間ダム湖が見えます。今は渇水期なのか、上から見た感じだと、だいぶ水位が下がっているようです。
人骨山から見た佐久間ダム湖

6.人骨山登山 下山編 ヤマビル生息地の湿地帯を抜けて佐久間ダム方面へ

先ほどの分岐地点まで引き返して来ました。ここを直進して、佐久間ダム方面へと進みます。
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地図に記載の無いこの道は、もともと登山道と言うよりは山仕事のための作業道なんでしょうけれど、尾根に沿った明瞭な踏み跡が続いていました。
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ただ、あまり多くは歩かれていない様で、倒木などもほったらかし状態でした。
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谷底まで下って来ました。一応は目印のピンクテープがありますが、ここから先はかなり道がわかりづらいです。よく周囲を観察してください。
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ここでも倒木が道を塞いでいました。この様子だと、令和元年の台風19号の時に倒れて以来、ずっとほったらかしにされている感じでしょうか。
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谷底に僅かな水流がありますが、ここでも川と言うよりは湿地のような地形です。季節によっては泥沼状態で通行に難儀するかもしれません。
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物置などの人工物もあり、一応は人の出入りがある場所であることが伺えます。いったい何に活用されている場所だったのか。
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湿地帯を抜けたところで、前方を横切る舗装道路と合流しました。人骨山登山としてはこれで終了です。
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入口脇の草むらの中に、さり気なくヤマビルの注意喚起が置かれていました。確かにこの道は、如何にも奴らが好みそうな環境でした。
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6.さくらの季節のにはまだ早かった佐久間ダム湖

この後は佐久間ダム湖に立ち寄りつつ大崩バス停に戻るのですが、最後までずっと舗装道路歩きとなります。登山と言うよりは里山散歩のコースと考えた方が良さそうな行程です。
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山中に何ヵ所かの梅園が点在しており、単調になりそうな農道歩きに文字通り華を添えてくれました。
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ここでもメジロが沢山飛び交っていました。望遠レンズは持ってきていなかったのですが、標準ズームで撮影したものを等倍までトリミングしたらしっかりと写っていました。
梅の密を吸うメジロ

いったい何をどうしたらこうなるのかわかりませんが、カーブミラーが外れて路上に落ちていました。このままだと車に踏まれそうなので、取りあえずは支柱の下に寄せておきました。この鏡、意外と軽いんですね。
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道はずっと尾根沿いに続いていますが、この突き当りのT字路から右へ下って行きます。道標は無いので、くれぐれも地図を見て現在地をよく確認しながら歩いてください。
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ちなみにこうした房総半島の中央付近にある山々の大部分は、地理上は山でなく丘陵と分類されています。千葉は山無県であると言う風潮は、あながち間違えでもないと言えます。
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この辺りでは季節によっては蛍の姿を見ることが出来るようです。
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13時50分 佐久間ダム湖まで下って来ました。谷が入り組んだ地形が多い房総半島南部には、こうした農業用の小さなダム湖がいくつか存在しています。
佐久間ダム湖

やはり今の時期は渇水期であるらしく、ボート乗り場の桟橋が完全に干上がってしまっていました。
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ダム湖の周辺は佐久間ダム湖親水公園として整備されており、茶屋や土産物店などもあって完全に観光地の装いです。山の登りの格好をしてウロウロしている私は、ここでは完全に浮いていました。
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佐久間ダム湖親水公園は桜の名所として知られている場所ですが、流石にまだ桜には早い時期のため、梅の花が疎らに咲いているくらいです。
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スイセンと河津桜の小道が整備されており、夜間にはライトアップも行われています。ライトアップまで見ていきたかったら、流石に車で来ていないと帰れなくなってしまいそうですが。
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水面い太陽が写って、ふたつの太陽状態になっていました。時刻はまだ14時を回ったばかりですが、もう既にだいぶ日が傾いてきました。
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ちなみにここにもバス停はあるので、別に大崩バス停まで戻らずにここで待っても問題はありません。
佐久間ダム入口バス停

7.スタート地点の大崩バス停へ登り返す

次のバスまではまだ時間があるので、当初の計画通りにスタート地点の大崩バス停まで戻りましょう。佐久間ダムは大崩バス停よりも標高が低い地点にあるので、ここからは登り返しになります。
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スイセンの満開には少し遅いかったけれど、河津桜の見頃にははまだ少し早いと言う、時期的には中途半端なタイミングでの訪問となってしまいましたな。スイセン見物をメインに据えるのなら、1月下旬頃の訪問がベストだと思います。
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それでも、これだけ残ってくれていただけで良しとすべきか。水仙郷と呼ばれているだけの事がある景色です。
大崩水仙郷

14時35分 大崩バス停に戻って来ました。のんびり歩いても4時間少々の、実にお手軽なお散歩道でした。
大崩バス停

8.道の駅保田小学校に寄り道する

14時57分発の赤バスで撤収します。なお青バスでも帰れはしますが、結構な大回りにはなります。
鋸南町の赤バス1

内房線は運行本数が少なく、次の電車まではまだ結構な待ち時間があります。そのため時間調整を兼ねて、途中にある道の駅保田小学で途中下車しました。
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この風変わりな名称の道の駅は、廃校になった小学校の校舎を再利用して作られています。
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元々は教室だった場所にテナントが入っています。しかしどの店も商売っ気があまりないのか、早々と15時前に営業を終了していました。しかしこの3年B組と言う名前はいいのだろうか
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まだ空いていたカフェでビワソフトなるご当地ソフトクリームを頂く。ほんのりとした上品な甘さで味は悪くありませんが、しかしあまりビワの風味は感じられませんでした。
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そうこうする間に良いお時間になったので、駅へと向かいます。道の駅から保田駅までは、徒歩だとだいたい10分と少々くらいの距離です
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15時50分 保田駅に戻って来ました。
保田駅の駅前

駅前にあるこのパクチー銀行なる謎の建物が気になります。パクチー預金とかが出来るのだろうか。
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帰宅後に調べたところ、廃業した銀行の建物を利用したパクチー料理専門店であるらしい。

内房線の鈍行列車に揺られて、長い長い帰宅の途に着き・・・ません。房総半島の旅は、まだもうちょっとだけ続きます
JR内房線 保田駅のホーム

9.人骨山登山 帰還編 東京湾フェリーで海を越えて帰宅する

保田駅の駅隣の浜金谷駅で下車します。ここから東京湾フェリーで海を渡って帰宅しようと言う算段です。
JR内房線 浜金谷駅のホーム
往路ですでに特急に乗ると言う贅沢をしてしまっているの後なので、帰りくらいはお安く参りましょう。

跨線橋から見た鋸山が圧倒的な存在感を放っていました。房総半島で山登りと言うと、大抵の人は真っ先にこの山を思い浮かべるのではないでしょうか。
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フェリー乗り場は駅から徒歩で5分少々の距離にあります。過去にも何度か来ているので、もうすっかり慣れっこです。
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船室内にある売店では何故か謎のペリー推しがされており、白い恋人とそっくりな外観のペリーサブレなどが販売されていました。ネタとして一つくらい買っておけばよかったかもしれない。
しらはま丸の船室

暖房の聞いた船室で寛いでいれば良さそうなものですが、そんなことはどこ吹く風と言わんばかりに、いつものように甲板上で右だ左だと大はしゃぎして過ごします。
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東京湾に夕日が沈む。うっとりするような美しい光景ですが、海風が吹き曝しの甲板上は当然のことながらとても寒いです。
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東京湾フェリーは「しらはま丸」と「かなや丸」の2隻体制で運航されてします。私が現在乗船しているのはしらはま丸の方で、反対方向から来たかなや丸とすれ違いました。
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房総半島があっという間に小さくなりました。移動時の快適さで言うならば新宿さざなみに乗車した方が方が良いと思いますが、どちらがより楽しいかと問われたら、東京湾フェリーの方が断然楽しいんだよな。
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出航してから30分少々の船旅で久里浜港に到着しました。意味もなく何往復もしたくなるくらいには東京湾クルージングを楽しめました。
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これだけ大型な船舶でも、係留モヤイというのは意外と原始的な方法で固定するんですね。まさかの完全手動でした。
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下船後は京急久里浜駅までバスで移動し、赤い電車で帰宅の途に着きました。
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今回は山を歩いていた時間よりも移動に要した時間のほうが長い一日でした。房総半島南部は東京からだと海を隔てた場所であるだけに、日帰りで出かけるには少々遠い場所かなと言うのが率直な感想です。

スイセンが咲く2月上旬の房総半島は旅先として間違いのない選択肢ですが、千葉で山歩きをするのなら優先順位としては鋸山や伊予ヶ岳の方を先に訪問すべきであると思います。津森山も人骨山も春の里山歩きの喜びが凝縮されたような良き山であることに間違いはありませんが、いかんせん訴求力としては一段下がります。

まだまだしばらくの間は寒い日が続くと思いますが、冬でも比較的温暖な房総半島南部へお花見がてらに訪れてみては如何でしょうか。

<コースタイム>
大崩バス停(10:25)-津森山(11:25~11:40)-人骨山(12:25~12:40)-佐久間ダム湖(13:50~14:20)-大崩バス停(14:35)

人骨山山頂での記念撮影

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. たまのみすまる より:

    菜花はどうされました?
    あれはパスタにしても美味いですね。
    (そういえば以前はジャガイモを衝動買いされていたような記憶が…)

    • オオツキ オオツキ より:

      たまのみすまるさま
      コメントをありがとうございます。

      菜花は深く考えず普通に煮て食べましたが、量が多すぎて食べきるのに一苦労しました。おひたしも良いですが、マヨネーズとの相性もなかなかです。

  2. つねむめ より:

    ふるさとの山もいいところ沢山あるんだなぁ、ありがとうございました。

    • オオツキ オオツキ より:

      つねむめさま
      コメントをありがとうございます。

      房総半島は登山の対象としてはマイナーなエリアですが、スイセンや菜の花が咲く麗らかな里山が数多くあります。折を見てさらに発掘して行きたいと思います。

  3. 山波 より:

    我が地元千葉に来ていただきありがとうございます。
    高い山はないにも関わらず、場所によっては非常に山深く、地形も複雑で面白いです。
    高宕山という山もおすすめです。房総の山の中でも人気で、登山者に愛されている山です。
    ただ、公共交通機関でのアクセスが悪いのですが…。
    機会があればぜひお越しください。

    • オオツキ オオツキ より:

      山波さま
      コメントをありがとうございます。

      聞いたことがない山だったので早速調べてみました。石射太郎から高宕山の縦走はとても楽しいそうです。しかしこれは、折り畳み自転車の出番になりますな・・・