檜原村滝めぐり 北秋川沿いに点在する五滝を巡る

檜原村 夫婦の滝
東京都檜原村で滝巡りをしてきました。
南北の秋川に沿って村内の各地に点在する、全部で13の滝を巡るコースです。檜原村は広く一日で同時にすべてを巡ることは困難であるため、今回は北秋川沿いにある五つの滝(雨乞いの滝、華水の滝、夫婦の滝、天狗滝、および彩滝)を巡って来ました。
天気がイマイチであっても楽しめそうと言う理由で訪れた滝巡りでありましたが、そこで待ち受けていたのは、轟音を轟かせ接近すること自体が困難なほどにまで増水した滝でした。

2020年7月26日に旅す。

時は一向に梅雨が終わる気配の見えない7月の末。東京都は檜原村で滝めぐりをしてきました。
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秋川渓谷に沿うように集落が点在する檜原村内には、それこそ無数と言っていいほど多くの滝が存在します。その中でも特に景観に優れている13滝について、鑑賞のためのハイキングコースが整備されています。

今回はその中から、北秋川沿いにある5滝を巡って来ました。

さて、北秋川と突然言われても、どこの事なのかピンとこない人も多いのではないでしょうか。本題に入る前に、ここで檜原村の地理について軽く解説しておきましょう。

檜原村は、北の奥多摩主脈(奥多摩三山)と南の笹尾根に囲まれた広大な一帯です。そして中央には、村を南北に分断するかのように、浅間尾根が横たわっています。
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浅間尾根を挟むようにして、北秋川と南秋川の二つの河川が東西に渓谷を形成しています。秋川は横向きのY字型となっており、南北の秋川が合流する地点に村役場があります。

檜原村の面積は105.41km2あり、これは東京都の市区町村の中では、奥多摩町、八王子市に次ぐ三番目の面積です。しかしその大半は山間部であり、可住地面積は極めて小さく、南北の秋川沿いにある僅かな平地に沿うようにして集落が点在しています。

二つの秋川のうち、南秋川沿い最奥の場所にあるのが、数馬(かずま)の集落です。南朝に仕えていた武士たちの落人伝説が残る、秘境めいた場所です。
桧原村 数馬の集落
秘境とは言いつつも数馬には温泉があり、また都民の森の玄関口でもあります。最果ての集落でありながら、訪れる観光客の数も比較的多く、それなりに知名度もある場所です。

一方で北秋川沿いの最奥に位置する藤倉には、数馬のように有力な観光資源があるわけでもなく、昔ながらの山仕事を生業とする人々が暮らすひっそりとした場所です。
檜原村 藤倉集落
今回はこの藤倉からスタートし、北秋川沿いに滝巡りをして来ました。

各滝の所在につきましては、檜原村の公式サイトからPDFのマップをダウンロードできるので、そちらを参照してください。
滝めぐりマップ | 檜原村ホームページ

1.北秋川沿い最奥の集落、藤倉へ

6時55分 JR立川駅
五日市線直通の青梅線に乗り込み、終点の武蔵五日市駅へと向かいます。奥多摩行きの電車に比べると、登山者の数は少なめです。
立川駅のホーム

7時34分 武蔵五日市駅に到着しました。檜原村まで直接乗り入れている鉄道は存在せず、村内の公共交通機関は武蔵五日市から発着する路線バスのみです。
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7時39分発の藤倉行きのバスに乗車します。なお、お天気の方はしっとり雨模様です。もっともこれは、始めから織り込み済みの事ではありますが。
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本日のお目当ては滝巡りであるので、雨が降って少しばかり増水していた方が迫力も増すだろう。などと言いう安易な考えです。まあ、あまり増水し過ぎるとそもそも近寄れもしなくなるかもしれませんが・・・

8時25分 終点の藤倉バス停に到着しました。小雨を通り越して、激しく降っております。うーむ、これはやってしまったのか。
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北秋川終端のバス停は、僅かに転回スペースがあるだけの細い路地のような場所にありました。
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2.惣角沢の上流にひっそり流れ落ちる、雨乞いの滝

8時30分 さて、いつまでも雨宿りしていても始まりません。意を決して、雨の中を最初の目的地である雨乞いの滝に向かって出発します。
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沢沿いの道を、道なりに登って行きます。雨乞いの滝までの所要時間は、滝巡りマップによれば45分程とのことです。
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ただの砂防のための堤なのでしょうけれど、かなりの水量です。この増水ぶりだと、仮に渡渉地点があっても渡れないかもしれません。
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頭上には相変わらず厚ぼったい雲が垂れ込めたままです。予報によると本日の雨は、降ったり止んだりを繰り返す小雨であるという事だったのですが、はて。
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あらゆるものが雨露に濡れてしっとりしています。苔たちは生き生きとしているようですが、私はここ最近の長雨にいい加減ウンザリしております。
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雨脚が強すぎて、路面が川のようになっていました。そして、周囲にはまったく人の気配がありません。
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名もなき多段の滝などもあり、単調な林道歩きであっても退屈はしません。もっともこれは増水しているだけで、普段はこれほど見ごたえのある姿はしていないのかもしれませんが。
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沿道に民家がありました。林道なのかとばかり思っていましたが、生活道路だったのですね。
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モノレールがありました。山中でよく目にする林業用のもと同じような造りをしていますが、乗降用のプラットホームまで備えています。
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このモノレールは、重要文化財にも指定されている小林家住宅へ行くためのものです。事前予約制ですが、なんと無料で乗ることが出来ます。
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この山中にある邸宅は、かつて炭焼き業を営んでいた一家が住んでいた古民家です。このモノレールで行くほかに、ハイキングコースも整備されており、大体25分もあれば登れるようです。

9時10分 駐車場まで登って来ました。小林家住宅を訪問する人向けに整備されたものです。トイレも併設されています。
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目指す雨乞いの滝は、この駐車場から沢沿いに山中へ少し分け入った場所にあります。道標には徒歩3分とありますが、実際に歩いてみた感覚では3分では着きません。5~10分程度とみておいた方が良いです。
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ちなみに、駐車場の対岸に滝が見えますが、雨乞いの滝はこれのことではありませんので、早とちりしないようにお気を付けください。
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さて、その雨乞いの滝へと続いているハイキングコースですが、令和2年7月現在、この道は通行止めとなっております。落石の恐れがあると言うのが、理由です。
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通行止めとあっては致し方ありませんな。それでは十分に気を付けて行ってみましょう。
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※あなたの生命と財産にかかわる重要な警告※
この記事は決して、この先への侵入を推奨したり煽ったりするものではありません。言うまでもないことですが、この先で何が起ろうとも、その結果はすべて自己責任です。

滝への道は、至って普通の登山道と言ったところです。スニーカーでも歩けないことはありませんが、登山靴を持っているのならば素直に履いてきた方が良いかと思います。
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沢沿いトラバース路です。例え滑落しても死に直結するような険しさはありませんが、若干荒れ気味なので慎重に。
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程なく前方に滝が見えて来ました。滝めぐりマップで見た写真と比べると、やはりかなり増水しているのがわかります。
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この場所が何時から通行止めになっているのかは不明ですが、この滝の手前にある木橋は、渡るには少々信用がならない状態です。大事を取って、沢に下りて渡渉しました。
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という事で、こちらが雨乞いの滝の全容です。落差はおよそ10メートルほどです。
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滝壺がまるで煮えたぎった釜のような状態になっていました。普段はもっと滝壺近くにまで近づけるようですが、いまは遠巻きに眺めることしかできません。
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滝の上流に登れる道があったので登ってみます。この鉄製の手すりも、恐らく通行止めになって以降はメンテナンスされていないでしょうから、当てにはしない方が良いと思います。
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滝を上から見下ろせるのかと思いきや、あまり良くは見えません。はて、この道は一体何のために整備されたのでしょうか。
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なんのことは無い、雨乞いの滝の上にはもう一つの多段の滝がありました。なるほど、この滝を見るための道だったのですね。
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満足しました。ボチボチ引き返しましょう。いつの間にか雨はすっかり止み、木漏れ日が射しこんできました。
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対岸で山崩れがあったらしく、倒木が大量に沢に流れ込んでいました。恐らくは昨年の台風19号による被害の痕跡でしょう。通行止めとなっている直接の原因はこの山崩れだと思われます。
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入口まで戻って来ました。
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頭上には、ここしばらくの間お目にかかっていなかった青空が広がっていました。ここの最近は、ずーと雨めでしたからね。
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山中で林業用のモノレールを見かけるたびに、いつも「いいな、乗ってみたいな」と羨望の眼差しを向けておりました。という事でこの小林家住宅モノレールには、是非とも乗りに来なければなりませんな。
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梅の名所でもあるらしいので、来年の春頃にでも訪問することにしましょう。

すっかり青空が広がる中、元来た道を引き返します。なお、この舗装道路歩きは地味に長いです。
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石垣の法面にイワタバコの群生地が形成されていました。もともと水気の多い岩場に咲く花ですが、人工の石垣にも咲くんですね。
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良く見るとかなりの規模の群生地です。イワタバコの群生地としては御岳山のロックガーデンが有名ですが、それよりもはるかに大規模なコロニーかもしれません。
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日差し出てきたことにより、急激に気温が上昇して蒸し暑くなってきました。
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10時35分 藤倉バス停まで戻って来ました。ここで、11時のバスが来るのを待ちます。
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バスはきっかり時刻表通りに現れました。お次の滝を目指して移動します。なお、歩いてでも行けないことはない距離ですが、それでも1時間以上は延々と舗装道路を歩くことになります。
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11時13分 小岩バス停に到着しました。今度はここを起点に、華水の滝と夫婦の滝を巡ります。
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3.華は咲かなくなってしまった華水の滝

華水の滝に向かうにはまず、小岩バス停から藤倉方面へ少し戻ります。
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本当にどうでも良いことですが、「はなみずのたき」と言われると、鼻水が滝のようにあふれ出している様が自然と脳裏に浮かんでしまうのは、私の心が穢れているからなのでしょうか。花粉症なんですか、大変ですね。

ここが入り口です。滝は山中深くにあるため、入り口から片道でおおよそ30分程の時間を要します。
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よほど湿度が高いらしく、水路の水面近くに靄がかかって見えました。
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道中に家屋があり、木製の人形が飾られていました。工房かなにかなのかな。
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すっかり廃墟と化して自然に戻りつつあるプールがありました。付近に学校でもあったのですかね。
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小さな沢を横断します。徒渉できないことなさそうな大きさですが、しっかりと木橋が架かっていました。
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・・・これは絶対に滑るやつだ。行きはまだ登りだから良しとして、下りになる帰路では怖そうです。
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恐怖のスリップ木橋を除けば、よく手入れのされた歩きやすい道です。とは言ってもやはり、遊歩道ではなく登山道の範疇にあるものと考えた方が良さそうな道です。
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前方から大きな水の音が轟いて来ました。そろそろお目当ての滝が近いようです。
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見えました。雨乞いの滝に比べると、かなり落差の大きな滝です。
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11時40分 華水の滝に到着しました。落差は25メートルほどあります。やはり、写真で見た姿よりはかなり増水しているのが分かります。
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かつてこの滝の上流には鉱泉が湧き出しており、岩肌に硫黄の湯の花が咲いていたのだそうです。それが華水と言う名前の由来となっています。

特記事項として、この滝には滝壺と呼べるほどの深みが存在せず、目の前まで接近することが出来ます。
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まあ、あまり近づきすぎると当然ながら飛沫で全身がずぶ濡れになりますがね。ええ、頭から水浸しになりましたとも。
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元来た道を引き返します。案の定、スリップ木道の下りでは大いに肝を冷やしました。どんな足の乗せ方をしようとも必ず滑るので、始めから尻を着いた状態で下りました。
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12時15分 バス通りまで戻って来ました。お次は夫婦の滝へ向かいます。
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4.二つの沢が寄り添い流れ落ちる夫婦の滝

普段は透き通った清流なのであろう北秋川は、すっかり茶色く濁った激流と化していました。
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夫婦の滝へと滝へ向かいましょう。華水の滝入り口から見た場合、藤倉側に向かって少し戻り、北秋川の橋を渡ってすぐに右折します。
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先ほどの青空が嘘の様に消えて、再び小雨がパラつき始めました。

思わず二度見しそうになるような斜度の道が続いていました。この道もまた林道ではない生活道路で、尾根通と呼ばれています。
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凄いのは斜度だけではありません。かなり強引なカーブを繰り返しつつ、グイグイと標高を上げて行きます。冬に道が凍結しているときなどは、どうやって上り下りするのでしょうか。
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煌々と灯った街灯が、この道が生活道路であることを示していました。
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急坂を登り切った所で、ようやく夫婦の滝の名が道標上に現れました。坂の入り口に付近には何の案内もなく、少々わかりにくいかもしれません。
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坂の上に集落が広がっていました。もともと炭焼きなどの山仕事を生業としていた人々には、尾根の上に住まいを構えることに合理性があったのでしょうね。
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今となってはもはや、単に不便なだけなようにも感じられますが。

お向かいの浅間尾根が雲に覆われて、幻想的な雰囲気を醸し出していました。この光景だけを見ると、まるで信州の高原地帯にでも居るかのような錯覚を覚えそうです。
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登り一辺倒だった道が、下りに転じました。雨で濡れた地面が微妙にヌメって嫌な感じです。
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13時5分 夫婦の滝の入り口までやって来ました。ここから再び、山道へと分け入ります。
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斜面をトラバースしながら、緩やかに谷底に向かって降下していきます。
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分岐まで下って来ました。夫婦の滝は、ここからさらに5分ほど斜面を下った場所にあります。
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前方に滝が見えて来ました。
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13時20分 夫婦の滝に到着しました。この滝は単に水流が二つに分かれて落ちていると言うわけではなく、二つの沢の合流地点が滝となっています。
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それにしても凄まじい轟音と風圧です。これだけ増水してしまっていると、仲睦まじい夫婦と言うよりはガテン系のとーちゃんとかーちゃんと言うイメージしか湧いて来ません。

なんと言うか「宿題はやったのか!」「部屋を片付けろと言っただろう!」「いつまでも遊んでないでさっさと寝なさい!」と、唾がかかりそうなくらいの至近距離から一気にまくしたてられているかのような気分です。
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飛沫と一向に降り止まない小雨のダブルパンチで、せっかく乾き始めていた全身が、再びずぶ濡れになってしまいました。これ以上水浸しになる前に撤収しましょう。
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分岐地点まで戻って来ました。元来た尾根通へ戻っても良いのですが、せっかくなので湯久保方面へ進み周回します。
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夫婦の片割れの沢を渡ります。徒渉しろとは言われず、しっかりと橋が架かっていました。
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トラバース気味に登り返します。尾根通側の道に比べると、湯久保側は若干荒れ気味です。安全第一で行きたい人は尾根通から往復した方が無難です。
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夫婦のもう一方の片割れの沢を渡ります。こちらには橋が無く、浅そうな場所を見繕って対岸へと渡ります。
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まだ日中だと言うのに、周囲は既に夕刻時並みの薄暗さです。曇り空と杉林が組み合わさると、ここまで暗くなってしまうものなのですね。
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鬱蒼とした杉林の中を抜けると、何時しか雨は上がっていました。
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人家が何件か立ち並んでいました。どうやらここが湯久保の集落であるようです。住まいと言うよりは、山仕事のための作業小屋なのかな。
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ここから再び舗装道路を歩いて下り、バス通りへと戻ります。
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道端にナデシコが咲いていました。高山帯の花であるイメージがありますが、檜原村にも咲いているのですね。
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再び陽が射し始めた中を気持ちよく下ります、本日は降ったり止んだりと忙しい天気ですな。
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尾根通のエグイ急坂で稼いだ分の標高を緩やかに落として行くため、この道は結構長めです。
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別荘の立ち並ぶ舗装道路をトボトボと下り続けて、ようやく北秋川沿いまで下って来ました。
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14時55分 宝蔵寺バス停に到着しました。
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次のバスまでは30分ほどあるタイミングだったので、ここで水浸しになってしまっている全身をタオルで拭き、しばしの乾燥休憩を取りました。
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15時35分 時刻表より少し遅れて現れたバスに乗り込み、最後の滝へと向かいます。
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5.到達が困難なレベルにまで増水した、天狗滝と彩滝

15時44分 千足(せんぞく)バス停に到着しました。払沢の滝入り口から北におよそ1kmほど離れた場所です。
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ここから天狗滝と、そのさらに上流にある彩滝を目指します。なお、これから歩くルートは関東ふれあいの道にもなっており、馬頭刈尾根を経て大岳山へとつながっています。
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頭上高くに見えているのが、その馬頭刈尾根です。眺めが良い上になかなか歩きごたえがあって、おススメの良登山ルートですよ。
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またもや通行止めの案内が出ていますが、これは車両に対するもので歩行者の侵入を妨げるものではありません。
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法面の排水溝からかなり勢いよく水が噴き出され、側溝が川のような状態になっていました。長梅雨により、既に山は地面の下までもが水浸しな状態なようで。
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16時5分 林道の終点まで登って来ました。ここから登山道へと分け入って行きます。
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入口でいきなり進路を阻まれました。ここは普段であらば飛び石伝いに渡ることが出来るようですが、増水により石が完全に水没しています。
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浅い場所がないか探してみるものの、これはちょっと渡れそうにありません。ジャンプすれば届かないこともない距離ですが、着地した岩の表面に滑りでもあった日には、水の中へひっくり返るのは必然です。
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しばしの逡巡の後、これは靴を脱いで渡るしかないという結論に至りました。つっ冷たいぃぃぃ。
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なんとか入口の門を突破して、前進を続けます。しかしこれは、渡渉が必要となる場所が一ヵ所とは限らないことに、一抹の不安を憶える展開です。
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滝の轟音と共に、何やら人の話し声が聞こえて来ました。おや?こんな増水しまくっている中を滝巡りをするようなもの好きが、私の他にもいるのでしょうか。
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なんと、滝行が行われている最中でありました。・・・なにもこんな水量の多い日にやらなくても良いのでは。
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ちなみに天狗滝は2段あり、水行が行われていたのは下段の子天狗滝と呼ばれてる滝です。上段の天狗滝に向かってさらに登って行きます。
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天狗滝が見えました。落差は38メートあります。
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なかなか立派な滝ではありますが、ただまっすぐに落ちるだけで、あまり特徴は無い滝です。そしてやはり、近づくと飛沫と風圧が凄い。
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増水によってなぎ倒されてしまったのか、道標が無残な姿を晒していました。
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登山道は、滝の目の前を横断すようにして続いています。つまりまた渡渉です。幸いにも、川幅が広くなっているお蔭で深さが余りなく、難なく対岸へ渡れました。
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這い上がるかのような急坂を一気に登ります。滝の高さ分を稼がなくてはならない訳ですから、急なのは当然と言えば当然です。
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尾根に乗りました。ここから関東ふれあいの道に沿って進み、上流の彩滝を目指します。
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沢沿の気持ちの良い道です。この道は大岳山に至る登山道でもあります。
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17時 彩滝に到着しました。本来は滝壺のすぐ目の前にまで近づけたらしいのですが、昨年の台風19号によって引き起こされた土砂崩れにより、見るも無残な状態となっていました。
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普段は、岩の表面を薄っすらと濡らす程度の水量しかない滝だそうですが、この日は轟々たる大瀑布と化していました。
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目的はすべて果たされました。周囲もいい加減薄暗くなってきたことだし、ボチボチ下山を開始しましょう。
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帰路では後先を考えない大ジャンプを敢行して、靴を脱がずに渡渉することに成功しました。反対向きだと、着地地点が砂利の上になるため、転倒の心配はあまりないと思われます。
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またもや小雨がパラつき始めた中を、足早に下ります。
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17時55分 千足バス停に戻って来ました。ここからもう1キロほど歩けば、屋根付きの待機スペースがある払沢の滝入口バス停に行けますが、あと20分少々で次のバスが来るタイミングであったため、素直にここで待ちました。
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その後、時刻表より5分遅れで現れたバスに乗り込み、帰宅の途に付きました。
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長雨が続いた直後に滝巡りをしてはいけない。これが今回の滝巡りから得た人生の教訓です。
増水により普段よりも迫力は増していたのかもしれませんが、そもそもたどり着くまでに危険を感じるような場面が、あまりにも多すぎました。安心安全に滝巡りをするには、普通に晴天時に訪れた方が無難です。
夫婦の滝と天狗滝&彩滝に至る道については、完全に登山の範疇に入ろうかと思います。スニーカーでの訪問は避けて、しっかりとした登山靴を履いて行きましょう。
南秋川沿いの滝がまだ未踏のままであるので、折を見て滝めぐり第二弾のために再び檜原村を訪問しようかと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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