要害山-兜山-大蔵経寺山 甲府盆地の北に立ち並ぶ山梨百名山を巡る

林道上から見た兜山
山梨県甲府市および笛吹市にまたがる要害山(よがいさん)、兜山(かぶとやま)および大蔵経寺山(だいぞうきょうじやま)に登りました。
甲府市街地の北側に連なっている、奥秩父山地前衛にあたる標高1,000メートル未満の低山の連なりです。里に近い山域であるが故に古くから人との係りが深く、山中には城址や古刹が点在しています。
山梨百名山の一石三鳥を狙って訪れた先で待っていたのは、思いもよらぬ道迷いの連続でした。

2022年12月25日に旅す。

今回はまたもや地味な山梨百名山回です。要害山。兜山および大蔵経寺山の3座を巡って来ました。いずれも甲府の市街地のすぐ北に位置している低山です。
要害山から見た甲府の市街地
3座共に比較的駅から近く公共交通機関によるアクセスも良いため、いつでも料理できると思いこれまで後回しにして来た山でした。

そんな訳でこの3山縦走を少々甘く見ていた訳なのですが、実は里山の方が道がわかり辛い事が多いというこれまでに培ってきた経験則が、今回もまた繰り返されることとなりました。
長谷寺分岐への取り付き地点
市街地に近い里山だけに、山中には地図に記載の無い作業道が複雑に絡み合い、不明瞭な状態を作り出していました。

途中で2度も道に迷い、陽が沈む直前になってようやく最後の山に辿り着くと言う這う這うの体でしたが、何とか当初の計画通りに3座を巡って来ました。甲府の里山を迷走してきた一日の記録です。
大蔵経寺山の山頂

コース
要害山、兜山および大蔵経寺山縦走のコースマップ
積翠寺バス停よりスタートして、武田氏館の詰城があった史跡の要害山に登ります。そこから深草観音と岩堂峠を経由して兜山へ。兜山からは一度下った後に、長谷寺から大蔵経寺山へ登り返します。

最後の下山は石和温泉駅へ直接下ります。この散々のたくったようなルート計画からも察せられる通り、里山の小道を繋げて歩く少々わかり難い行程です。

1.要害山、兜山および大蔵経寺山登山 アプローチ編 最寄り駅(※)から行く甲府への旅路

4時54分 JR三鷹駅
第2の最寄り駅こと三鷹駅よりおはようございます。私の本当の自宅最寄駅は京王線なのですが、この後に乗車予定バスの乗り継ぎの都合もあり、朝っぱらから自転車をこいでやって来ました。
早朝の三鷹駅ホーム

武蔵小金井駅から大月へと乗り換えリレーを継投して行きます。過去にも何度か同じ経路をたどっているので、最早すっかり慣れっこです。
早朝の大月駅

7時14分 甲府駅に到着しました。早朝の時間帯には特急あずさの待ち合わせもなく、最寄り駅(?)からならばこんなにも早い時間に甲府に降り立つことが可能です。
朝の甲府駅

本日の目的地があるのは賑わっている南口側ではなく、どこか寂れた感のある北口側です。市街地のすぐ近くにまで山が迫っているのが良くわかります。
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冠雪した甲斐駒ヶ岳(2,967m)の姿が良く見えました。現在地からだと2,500メートル以上の標高差があり、すごい迫力です。
甲府駅前から見た甲斐駒ヶ岳

駅前の広場に武田信虎(信玄パパ)の像が置かれていました。南口にある息子の像に比べると小ぶりと言うか、これは実寸大なんでしょうかね。
甲府駅北口の武田信虎像
治世中はあまり人気のある領主ではなかったようで、息子と家臣団に裏切られて駿河の今川氏のもとへと追放されています。現在においても人気の程は今一つであるようです。

7時30分発の積翠寺(せきすいじ)行きのバスに乗車します。このバスに間に合いたいがために、本日は朝っぱらからわざわざ三鷹まで自転車をこいだ次第です。
積翠寺行きの路線バス
積翠寺よりも手前にある武田神社行きのバス便は本数が多いのですが、積翠寺まで行ってくれる朝の便はこの1本だけです。

7時45分 積翠寺バス停に到着しました。バスはここまでしか入ってこないと言うだけで、積翠寺自体はもう少し先の地点にあります。
積翠寺バス停

2.甲斐武田氏の史跡、要害山

まずは本日の1座目である要害山を目指します。目指すと言うか、バス停の目の前からすでに見えています。正面から登る道はないため、左側からグルっと裏側に回り込みます。
積翠寺バス停付近から見た要害山

道標の案内も何もありませんが、最初の分岐を左折して太良峠と書かれた方へ進みます。
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直進すると要害山をスキップして、深草観音へ直接行けます。深草観音へは、要害山に登った後に訪れるつもりでいます。

道なりに進むと、右手に積翠寺がありました。もっと賑やかな観光地なのかと思っていましたが、想像していたのとはだいぶ違う静かな場所です。
積翠寺

来歴について書かれた案内板が設置されていました。転記するのは面倒なので、興味のある方は拡大して読んでください。(なげやり)
積翠寺
さっくり要約すると、武田信玄はこの寺で生まれたと言われており、信玄の存世中には天皇からの勅使を招いて句会などが開かれていた由緒正しい寺であるそうです。

神社の前から甲府の街並みを一望できます。まさに甲斐国の中心を一望することの出来る場所です。
積翠寺から見た甲府の市街地

神社の脇を右折して、さらに道なりに進みます。谷底にあるためこの時間はまだ日が射さず、寒々しい限りです。
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8時5分 要害山の入口へとやって来ました。路肩に駐車スペースがあり、車でお越しの人はここまで入ってこれます。
要害山登山口

入口から橋を渡った左脇に登山口がありました。登山口とは言っても、要害山は山と言うよりは史跡と言うべき場所で、それこそスニーカーでも登れないことはありません。
要害山の登山口

要害山は、先ほど駅前に銅像があった武田信虎が築いた山城の跡です。現在の武田神社がある場所に館があり、要害山は有事の際に立てこもる詰めの城でした。
要害山のマップ

当時のものかどうかはわかりませんが、石垣なども残っており歩きやす道です。大きく九十九折れを繰り返しながら登って行きます。
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山梨県内の山を歩いていると時々目にする謎多き標識、やまなしの森林100選がありました。地面に直接置いてあるパターンは初めて見た気がします。
要害山のやまなしの森林100選

すぐ近くに、本当はここに標識が立っていたのであろう柱だけが残っていました。これはネジが錆びて破損してしまったのだろうか。
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道中に土塁や掘りの跡などが残っています。人工物である感じはあまりせず、そうだと言われないと自然に出来た地形のように見えます。
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ここには門扉があったらしい。奥が広場になっており、なるほど確かにここは人工的に造成された痕跡を感じます。
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山の上の方に行くにしたがって、曲輪(くるわ)の跡が多く目につき始めました。曲輪とは土塁によって山の斜面上に作られた平坦地の事で、丘陵地に造成された住宅地の基礎を思い浮かべるとわかりやすい地形です。
要害山の曲輪跡

山頂を取り囲むように大規模な曲輪の跡が多数あります。この辺りには兵舎や倉庫などが立っていたのでしょう。
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これまでの曲輪とは明らかに規模が異なる、広々とした空間に出ました。ここが主郭部の跡であるようです。
要害山の主郭

武田信玄公生誕之地と書かれた石碑が置かれていました。署名によると、この碑の文字を書いたのは東郷平八郎であるそうです。薩摩出身の東郷と武田信玄との間に、いったいどんな縁があったのでしょうか。
要害山の武田信玄公生誕之地の碑

8時50分 要害山に登頂しました。毎度おなじみの山梨百名山の標柱がポツンと立っていました。
要害山の山頂標柱

3.シモバシラが咲く道を歩き、深草観音へ

まだまだ先は長いので次へまりましょう。2座目の兜山へ向かう前に、通り道にある深草観音へと立ち寄って行きます。
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登って来たのとは反対側に向かって下ります。こちら側にも堀跡などが多数残っており、全方位に鉄壁の山城だったことが良くわかります。
要害山の堀切跡

やまなしの森林100選に選ばれているだけのことがある、見事なアカマツ林が広がっていました。
要害山のアカマツ林
ちなみに今歩いているこの要害山から岩堂峠へと続く道は、何故か山と高原地図上には記載がありません。要害山は山では無く観光地であると言うのが、昭文社の見解なのでしょうか。

前方を横切っている尾根には登り返さずに、ここからはしばしの間、山腹を横切るトラバースへ移ります。
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踏み跡は明瞭ですが、所々で崩落が進んでおり若干の不安を感じる道です。この様子では、あまり歩かれてはいない道のようですね。まあなにしろ、山と高原地図に載っていないくらいですからね。
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このトラバース路はちょうど日影となっており、足元で大量のシモバシラが氷の花を咲かせていました。
要害山のシモバシラ

シモバシラはシソ科の多年草で、その茎は枯れてしまった冬の間も地中の水を吸い上げ続けます。それが凍結すると茎の周囲にこのような氷の結晶が作られます。
要害山のシモバシラ

ちょっとお目にかかったことが無いような大きさのものが多数ありました。ここはよほど氷の結晶が出来るのに好条件の場所であるようですね。
要害山のシモバシラ

途中で何度か涸れ沢を横断しつつ、長々とトラバース路が続きます。やや荒れ気味ではありますが、標高差はほぼ無いため至って歩き易い道です。
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積翠寺方面から直接登ってくるルートと合流しました。要害山だけに登るつもりでいる場合は、ここから下って周回ルートを取るのが一般的です。
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分岐地点を過ぎると道は再び登りへと転じました。今はごくか細い水流しかありませんが、沢沿いに登り上げます。
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全国各地のハイキングコース上でたまに見かける、マツダランプのホーロー看板が路上に落ちていました。だいぶ年季が入っており、自然に還りつつありました。
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ルートはずっと日影にあるため気温は低く、氷の芸術が作り出されていました。おかげで先ほどから寒くてかないませんがね。
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やがて前方に、見上げる高さの岩の壁が現れました。
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岩の袂には水場がありました。これは明らかに飲み水ではなく手洗い用の手水舎だと思いますが、気にせずに一口頂きました。意外と冷たく無くておいしい。
深草観音の手水舎

4.甲斐国三十三観音の六番札所、深草観音

9時45分 深草観音まで歩いて来ました。ここは甲斐国三十三観音の一つに数えられている霊場です。甲斐国三十三観音とは、さっくり言うと甲府盆地内に存在する観音菩薩をまつった寺院の総称です。
深草観音
深草漢音は甲斐国三十三観音の六番札所にあたり、西暦でいうと15世紀頃から既に存在していました。

詳細については甲府市の公式サイトをご覧いただくのが良いかと思います。
深草観音

観音巡りと言えば秩父札所三十四箇所が有名ですが、甲斐国にも同じような風習が存在していました。秩父と甲斐、どちらも盆地である点が共通していますね。
深草観音

別名で岩堂観音とも呼ばれます。名前の通りの岩の大伽藍です。このハシゴを登った先の岩壁の中には、小さなお堂があります。
深草観音の鉄ハシゴ

写真だと高さの程が少々伝わり難いですが、このハシゴは17メートルあります。まあ率直に言ってすごく怖いのですけれど、しかしせっかくここまで来て登らないと言う選択肢はありえません。
横から見た深草観音の鉄ハシゴ

結構揺れるし途中の段がひしゃげているし、実際に登ってみると見た以上に怖いです。とりあえず高所恐怖症のきらいがある人は、登るのはやめておいた方が良いと思います。
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上まで登ると、岩壁のなかに小さな空間とお堂がありました。立ったまま中へ入れるだけの広さは無く、梯子の上に立った状態で片手で写真を撮りました。
深草観音のお堂

登ってしまったからには当然降りなくてはいけません。行きはよいよい帰りは恐い。
上から見た深草観音の鉄ハシゴ

このお堂の裏手にも何やら階段があって登れるようです。こちらにも当然登ろうとしたわけなのですが・・・
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階段がコチコチに凍結しています。これは流石に行きはよいよい帰りは恐いでは済まず、帰りは危ないので登るのはやめておきました。まあ、チェーンスパイクを持ってきてはいるのだけれどね。
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5.ロッククライミングの対象ともなっている岩峰の兜山

10時10分 ついつい長居が過ぎました。ボチボチ行動を再開しましょう。岩堂峠を越えて、本日2座目の山梨百名山となる兜山を目指します。
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峠越えと言う事で、僅かな区間ではありますが深草観音からはしっかりと登らされます。このあとまた下って登ってしないとならないんですけれどね。
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深草観音から10分少々登ったところで、あっけなく峠が見えて来ました。
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10時25分 岩堂峠に到着しました。手作りの表札の下に、これまた手作り感のある性のてるてる坊主が吊るされていました。
岩堂峠

峠からは4方に道が続いており、古くから交通の要衝であったことが伺えます。クマの仕業なのか、道標の行き先表示が破壊されて剥がれかけていました。
岩堂峠の道標

峠の北側では、またもやシモバシラが大量に氷の花を咲かせていました。あまりにも数が多く、まるでチリ紙が地面に散乱しているように見えて画的にはあまり美しくありません。
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道の上にまで平然とあるので、踏んづけてしまわないように注意を要します。これほどたくさんあるなら名所になっていても良さそうなものですが、シモバシラが見れると言う事前情報は一切得ていなかったため、数の多さに驚きました。
岩堂峠のシモバシラ

再びマツダランプの看板がありました。こちらは朽ちかけておらず、まだまだ綺麗な状態です。
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ここでも道標が破壊されていました。・・・岩堂峠の周辺には、道標の存在を絶谷許さないクマでも住んでいるのでしょうか。
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再び分岐です。この道標も酷い状態ですが、どうやら棚山方面へ行ける道も存在するようです。確か以前、ほったらかし温泉に行くついでに登ったことがある山です。
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やがて前方の視界が開けて、林道の終端らしき場所に合流しました。
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10時45分 尾根コース登山口に到着しました。ここまで歩てきて、ようやく兜山の本体へと取り付きます。
兜山 尾根コース登山口

岩堂峠からここまでだいぶ下ってしまっているので、まずは尾根上まで登り返します。
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途中に伐採地があり、展望が開けて富士の頭だけが見えました。良いですね、やはり山梨百名山からの眺めはこうでなくてはいけません。
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尾根の上まで登って来ました。尾根コースと言う名前の通りに、この先は兜山まで尾根沿いの道となります。
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登山道上に岩が目立ち始めました。兜山はロッククライミングの対象にもなっている岩山です。今歩いている尾根コースは比較的緩やかな道ですが、下山時に歩く予定の岩場コースは中々アスレチックです。
221225兜山-071

どう見てもここが最高地点なのですが、しかし標柱が見当りません。山梨百名山ではたまにある、標柱が最高地点ではない場所に立っているパターンなのでしょうか。
221225兜山-072

標柱を見つけられないまま道はどんどん下って行きます。見落としたのかと思いましたがそうではなくて、そもそも兜山はこの尾根上で一番標高の高いピークではないと言うオチでした。
221225兜山-073

と言う事で、名も無き最高地点ピークからは大きく下ってきたところで、よううやく兜山の山頂らしき場所が現れました。
兜山の山頂

11時45分 兜山に登頂しました。普通は山頂と言ったらそれは最高地点を指す言葉だと思うのですが、先ほど通って来たピークは一体何だったのだろうか。
兜山の山頂

岩堂峠にあったのと同じ人物の作と思われるてるてる坊主が、ここにもいました。
兜山山頂のてるてる坊主

兜山の山頂には展望がありませんが、少し離れた位置に展望場があります。と言う事で早速移動しましょう。
兜山の展望所

富士山が一応見えることには見えますが、視界ギリギリの位置と言ったところです。であるにもかかわらず、関東の富士見100景なるものの一つに選ばれています。
兜山から見た富士山
ところでこれは素朴な疑問なのですが、そもそも山梨県は関東地方なんでしたっけか?

真正面に見えているのは、達沢山と京戸山かな。正直微妙な山でしたけれど、こうして遠巻きに眺める分には名山の風格十分ですね。
兜山から見た達沢山

6.多くのクライマー達で賑わう、兜山の岩場コース

最後の大蔵経寺山に向かいましょう。一度岩堂峠まで引き返して尾根上を歩いて行くことも出来るのですが、かなりの遠回りとなって面倒なので、一度下山してから登り返すルートで行きます。
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岩場コースと呼ばれている道を下ります。名前の通りに岩場が多く、なかなかの急勾配なルートです。
兜山の岩場コース

道中に展望の開けた場所があり、山頂の近くにあった展望場からよりも周囲が良く見えました。甲府盆地と御坂山地を一望です。
221225兜山-082

クサリ場もありましたが、特にクサリがなくても問題なさそうなレベルです。
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ほぼ垂直の岸壁を横目に下って行きます。残置ハーケンらしきものが見えているので、ここを登るクライマーがいると言う事ですね。
221225兜山-084

実際にクライミングに興じているパーティーを何組か見かけました。クライミングの対象としては人気のある山のようです。
221225兜山-085

岩場の急降下が終わると、ほぼ水平移動のトラバースに移りました。ここまで下てくれば、この先はもう普通の登山道です。
221225兜山-086

川縁まで下って来ました。この後、大蔵経寺山方面へ向かうのであればここを右に進みます。
221225兜山-087

川の水が白濁しているのが目を引きます。積翠寺の近くに要害温泉と言う温泉が存在しているくらいなので、温泉成分が流れ込んでいるのかもしれません。
221225兜山-088

13時5分 兜山駐車場まで下って来ました。兜山登山としては、普通はここからスタートするのが最も一般的であるようです。
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駐車スペースがあり、車でお越しの人はここまで入ってこれます。結構な数の車が止められており、兜山の人気の程が伺えます。もっとも、利用者の大半は登山者では無くてロッククライマーなんでしょうけれど。
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7.迷走の始まり。大蔵経寺山へのわかり難い道程

兜山駐車場から、大蔵経寺山方面へ取り付きがあると言う長谷寺を目指して下って行きます。・・・そう、この時の私は何の疑問も抱かずに、下って行くものだと思い込んでいたのです。
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頭上に先ほど通って来た岩場コースが見えました。低山ながらもなかなか骨のありそうな姿をしておりますな。
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背後に兜山の姿が見てきたところで、ふと疑問がをよぎります。あれ?南に向かわなくてはいけないハズなのに、先ほどから明らかに東に進んでいないか。
林道上から見た兜山
それはつまりどういう事かと言うと・・・道間違えた!

ここであらためてコースマップを見てみましょう。兜山駐車場から長谷寺方面に向かうには、南に向かう必要があるのですが、川沿いに東側へ下ってしまっていました。
要害山、兜山および大蔵経寺山縦走のコースマップ
地図の等高線をよく見ると、兜山駐車場からは下るのではなく、一度登り返さないといけなかったのですね。下るものだと思い込んでいたために間違えました。

13時35分 早歩きで兜山の駐車場まで戻って来ました。この分岐を左に入って行かないといけなかったわけですね。まだ引き返せる時点で気が付いたのは不幸中の幸いでした。
221225兜山-093
思いもよらぬタイムロスにはなりましたが、それでもまだ日没前までにはゴールできるハズです。この道間違いのおかげで記事の冒頭を飾った兜山の写真も撮れたのだから、ひとまずは結果オーライと言う事にしておきましょう。

それではあらためて、正しいルートへと進みましょう。ちょっとした登り返しではなく、結構ガッツリと登り返します。カーブ地点の路面が完全に凍結していました。
221225兜山-094
つい先ほど、どう見ても夏用のタイヤを履いている軽自動車とすれ違ったのですが、それはつまりあのタイヤでこのカーブを通り抜けたと言う事なのだろうか。・・・度胸がありすぎませんか?

登り切ったところで、山と高原地図にも記載のある休憩所スペースがありました。地図をもっとよく見てさえいれば、しないですんだはずの間違いでしたね。
221225兜山-095

さて、ここから先は大蔵経寺山より標高が低い地点にある長谷寺まで一度下り、そこから大蔵経寺山よりも標高の高い地点にある長谷寺分岐まで登り返して、山頂に向かってまた下ります。
221225兜山-096
・・・何を言っているのかサッパリわからないかもしれませんが、ともかくそういう事です。

進行方向の前を横切る尾根が見て来ました。大蔵経寺山はこの尾根上の末端付近に位置してします。つまり、今から尾根の上へ登り返す必要があるわけです。
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視界が開けて、眼下の街並みが良く見えました。今から登り返すのはかったるいから、今日はもうこのまま下山しようよ。
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進行方向右手に長谷寺と言う寺があり、そこから尾根上へ取り付く道があるはずなのですが、しかし巨大な砂防堰堤が立ち並ぶ涸れ沢が間にあり、一向に右方向へ入って行ける分岐が見当たりません。
221225兜山-099
ちなみにこの長谷寺経由のルートは、山と高原地図にも国土地理位の地図にも記載がありません。どうやら道があるらしいと言う事前情報をもとに計画を立てていた訳なのですが、今回は明らかに下調べが不十分でした。

そうこうするうちに、ようやく右へ入っていけそうな横道らしき場所が現れました。道標も何もありませんが、しかしここしかないだろうと言う事で右折します。
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途中から明らかにも道ではない藪の中を突っ切りましたが、結果として目指す長谷寺の前に飛び出しました。参道の階段はもっと下の方から続いており、正規の入口はもっと下った地点にあったようです。
221225兜山-101
かなり強引ではあったけれど、ここでもひとまずは結果オーライと言う事にしておきましょう。

タライに水が引かれていましたが、ここでもやはり明らかに白濁しています。触ってみても特に温くはありませんでしたが、これは鉱泉なのだろうか。
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地図に記載がない以上、相変わらずこの先の道がどうなっているのかは不明のままです。とりあえずは道があったので進みます。
221225兜山-103

明瞭な道筋はすぐに途絶えてしまいました。さて、この先はどう進むのが正解なのでしょうか。
221225兜山-104

とりあえずは踏み跡らしきものに沿って進みましたが、どう見てもこれは登山道ではなく堰堤工事のための道の跡です。案の定、堰堤を越えた先では途絶えていました。
221225兜山-105
国土地理院の地図を見る限りでは、この先に林道が横切っているはずなので、そこにぶつかるまで道なき道を強引に突っ切ります。

かなり強引ではありましたが、目論見通り林道に合流しました。恐らく登山道への入り口はこの林道沿いのどこかにあるはずであると言う事で、このまま道なりに進みます。
221225兜山-106

かなり注意深く観察していないと見落としそうになるくらいわかり辛いですが、思った通り林道の脇に登山道への入り口がありました。
長谷寺分岐への取り付き地点

大蔵経寺山と書かれた道標もありました。長谷寺からどこをどう歩いて来たのか、今となってはもう正確にはわかりませんが、ともかくこれで正規ルートに復帰しました。
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8.夕闇が迫る中、最後の大蔵経寺山へ

尾根上に向かって、そこそこの急登を再び登り返して行きます。階段が整備されていますが、朽ち果てて自然に還りつつありました。
221225兜山-108
そもそも地図に記載がない時点でお察しの通り、このルートは既に事実上の廃道状態であると考えた方が良さそうです。

途中で何度か林道を横断します。この林道は、国土地理院の地図に描かれている地点よりもずっと上の方まで続いていました。
221225兜山-109

15時30分 長谷寺分岐と呼ばれる地点まで登って来ました。これで尾根上に復帰したことになります。こんなに苦戦するくらいなら、兜山から一度素直に岩堂峠まで引き返すべきであったのかもしれない。
長谷寺分岐

前述の通り、大蔵経寺山の山頂は長谷寺分岐よりも標高が低い地点にあります。せっかく登り返したばかりではありますが、山頂に向かって下って行きます。「山頂に向かって下る」と言うのは、何やら妙な日本語ですね。
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日が傾きつつありました。なにしろ当初の目論見では、もう既に下山していたはずの時間ですからね。
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ゆるゆると下って行くうちに、見慣れたいつもの山頂標柱らしきものが見えて来ました。
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15時50分 大蔵経寺山に登頂しました。どう見ても山頂ではないただの斜面上に標柱が立っていました。一体どういう基準でこの場所を山頂の扱いしたのでしょうかね。
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大蔵経寺山は甲府名山なるものにも選ばれており、やけに立派な標柱が立っていました。
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思わぬ苦戦を強いられましたが、何とか本日の当初目標であるところの山梨百名山3座への登頂は達成されました。陽が沈んでしまう前に足早に下山に移ります。
221225兜山-116

大きく九十九折れを繰り返す、面白味は無いけれど歩きやす道です。大蔵経寺山は桜の名所として知られている山なので、本当は春に登るべきなのかもしれない。
221225兜山-117

サクサクと下って、展望の開けた場所に下りて来ました。大蔵経寺山の展望台と呼ばれている場所です。もっと山頂の近くにあるものだと思い込んでいましたが、半分以上下って来た地点にありました。
大蔵経寺山の展望台

ここからの眺めは、葛飾北斎の富嶽三十六景に描かれていた光景であるらしい。
221225兜山-119

眼下には石和温泉の街並みが広がります。石和温泉の歴史は意外と浅く、温泉が出たのは昭和の時代に入ってからの事です。富嶽三十六景に描かれたころの石和宿は、温泉街ではなく甲州街道上にあるごく普通の宿場町でしかありませんでした。
大蔵経寺山の展望台

何とかギリギリ、ヘッドライトを出さずに登山口まで戻ってこれました。
221225兜山-121

大蔵経寺山の山頂は甲府市内にありましたが、登山口があるのは笛吹市です。過去に何度か目にしたことがある、見慣れたデザインの案内板が掲げられていました。
221225兜山-122

大蔵経寺山の登山口は、駅から直接歩いてせいぜい10分少々の距離にあります。まさしく駅チカの山です。
221225兜山-123

17時 石和温泉駅に到着しました。辺りはすっかりと夕闇に沈みつつありました。なんだかんだで、日没後まで丸一日を費やしたガッツリ登山になってしまいましたな。
221225兜山-124

石和温泉駅は特急あずさの停車駅ですが、いつも通り安定の鈍行列車に揺られて帰宅の途につきました。
221225兜山-125

ゆるめの低山巡りのはずが、なぜか散々迷走するハメになった長い一日は、こうして何とか無事に幕を下ろしました。訪問前には一日で一挙に山梨百名山を3座回収できるボーナスステージくらいのつもりでいましたが、蓋を開けてみれば思わぬ苦戦を強いられた山行きでありました。今回は明らかに下調べが不足しており、大いに反省させられました。
今回巡った3山は古くから人との係り合いが強い山域だけに、多くの史跡を始めとした見所の多い良ハイキングコースでした。道が少々わかり辛いところもありますが、無理して一筆書きで全てをつなげようとはせずに、それぞれ単体で軽めの登山として訪れてみては如何でしょうか。

<コースタイム>
積翠寺バス停(7:45)-要害山登山口(8:05)-要害山(8:50)-深草観音(9:45~10:10)-岩堂峠(10:25)-尾根コース登山口(10:45)-兜山(11:45~12:05)-兜山駐車場(13:05)-道間違い-兜山駐車場(13:35)-長谷寺(14:45)-長谷寺分岐(15:30)-大蔵経寺山(15:50)-石和温泉駅(17:00)

兜山山頂での記念撮影

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. MM より:

    オオツキさん、こんばんは。
    グレートトラバースをずっと観ていたので、縦走を一筆書きにしたいお気持ちすごくわかるとニンマリしてしまいました!麓に近い里山は安心感がある半面、林道やら農道やら入り組みがちなんでしょうか。

    山梨百名山もいよいよカウントダウンですね。笊ヶ岳等は春以降になるのでしょうか。難関が残っているように思うので、踏破を願いつつ安全を祈願しております!

    • オオツキ オオツキ より:

      MMさま
      コメントをありがとうございます。

      マイナーな里山ほど、道標は殆どない上に横道がたくさんあって一番道に迷いやすいんですよね。アルプスの森林限界超えるような標高の山の方が、むしろ簡単に思えてくるくらいに。

      山梨百名山はまだやっかいな四天王が2座残っているので、訪問は雪が完全になくなってからになると思います。