野川灯篭流し 夏の調布の夜に灯る灯籠

調布市の野川灯篭流し会場
東京都調布市内を流れる野川(のがわ)で行われている、野川灯篭(とうろう)流しを見物してきました。
東日本大震災犠牲者追悼を目的に、調布市内にある寺院や教会が主催する実行員会によって行われている催しです。極めてマイナーな行事ながらも、開催は今年で18回目を数え、調布の夏の風物詩として定着しつつあります。
野川を明るく染める、1,000基の灯篭を見物してきました。

2019年8月19日に旅す。

東京都調布市の極めてローカルな催しである、野川灯篭流しを見に行って来ました。
野川灯篭流しの張り紙
災害犠牲者追悼を目的として、調布市内にある多くの宗教関連団体が、宗派の垣根を越えて共同で開催しています。詳細につきましては公式サイトをご覧いただくのが良いかと思います。

この催しはもともと、多摩川の河川敷で行われている調布市花火大会と同日に行われていました。しかし、花火大会の日程は必ずしもお盆の時期になるとは限らないことから、野川へと場所を移しました。

さて、おそらくここで当ブログの読者様の95%以上はきっと「そもそも野川ってどこよ?」と思われていることでありましょう。ここで簡単に野川について解説しておきます。

野川(のがわ)は、東京都を流れる多摩川水系多摩川支流の一級河川。
Wikipediaより引用

さっくりいうと多摩川の支流の一つです。国分寺市内にある湧水群より端を発し、小金井市、三鷹市、調布市などを経て世田谷区の二子玉川で多摩川へと注ぎます。全長およそ20kmほどの小さな川です。
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灯篭流しの会場は、中央自動車道が野川の上を越える地点より少し上流の場所にあります。・・・と言っても地元民でもない限りはわからないですよね。
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公共交通機関で訪れる場合、京王線調布駅北口から出ている上ノ原小学校行きか都営深大寺住宅行きのバスに乗車し、武蔵野市場前バス停で下車します。

ちなみに私は、割と近所なので歩いて来ました。

最近何度か雨が降ったおかげか、今日の野川の水量は多めです。この川は、夏場になると頻繁に干上がります。
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18時15分 会場へとやって来ました。開始の十五分前ですが、既に結構な数人が集まっていました。
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灯篭が既に待機中です。毎年およそ1,000基が流されます。
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橋の上から会場全体を見下ろすとこんな感じです。もともと極めてローカル色の強い催しではありますが、そもそも大人数を収容できるようなキャパシティはありません。
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流される時を待つ灯篭たち。自分の灯篭を流したいと言う人は、1基千円で受け付けています。
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18時30分に開会です。まずは調布市観光協会広報部のハラシマ氏より、開会のご挨拶がありました。要点だけを短く簡潔に述べた挨拶がとても好印象です
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続いて調布市長のナガトモ氏よりご挨拶です。需要があるかどうかわかりませんが、野川の水面に映った逆さ調布市長を置いておきます。
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こちらの挨拶は・・・長いな

まだ市長の挨拶が終わっていないと言うのに、灯篭の投入が始まりました。きっと、すでに持ち時間をオーバーしているのに話すのやめない市長に、実施員会が業を煮やしたに違いない。
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同時に下流側でも投入が始まりました。
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風向きの問題なのか、川に放たれた灯篭は、あろうことか一斉に川の上流側に向かって流れ始めました。灯篭流しならぬ灯篭逆流ですな。
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ここでカトリックサレジオ調布教会の聖歌隊による、千の風になっての合唱が入ります。
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宗派の垣根を越えた催しとであるとは聞いていましたが、灯篭流しという日本土着の宗教的行事に、カトリック教会が加わると言うのには少々驚きです。

クリスマスケーキを食べた7日後には、今度は神社に初詣に出かけるという、この良い意味ででたらめな日本人の宗教観のなせる光景です。

次々と川へ投入されて行く灯篭たち。しかし、ことごとく逆流して行きます。
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風向きに翻弄され、対岸を行ったり来たりしています。何故か下流にだけは流れてくれません。
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周囲が暗くなるにつれて、雰囲気が増して来ました。
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私は信仰心を全く持ち合わせていない人間ですが、それでも何故か賛美歌を聞くと心を洗われた気分になるから不思議です。多分気のせいだ。
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結局灯篭は完全に上流側に寄ってしまいました。
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良く見ると、実施委員会のおじさんたちが、川の中に入って逆流を阻止していました。なんとも、お役目ご苦労様な事であります。
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最後は花火が着火され、会場全体を明るく照らします。
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「花火の灯と灯篭の明かりの競演をお楽しみください」との触れ込みでしたが、花火の明るさに引きずられて灯篭の明かりが一切見えなくなってしまいました。残念。
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開始からちょうど1時間の19時30分に、野川灯篭流しのすべてのプログラムが終了です。最後は深大寺の代表が挨拶し、まことに日本的な多宗派の催しに幕を下ろしました。
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後で片づけることを考えたら、一ヵ所に寄ってくれているのは、かえって好都合なのかもしれませんね。
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最後に、橋の上から見下ろした灯篭の群れです。
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上から覗くと、ろうそくではなくLED電球がセットされていました。環境への配慮でしょうかね。
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電球による灯とはまた、若干風流に欠ける気もしますが、まあこれも時代の流れでしょうかね。
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片づけを始めた実行員会の方々が「来年も頑張りましょう」と会話しているのが聞こえました。この催しは来年も、そしてきっと再来年も行われることでしょう。
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という事で、野川灯篭流しに興味をもたれた奇特な方は、また来年にでも訪れてみてはいかがでしょうか?

全く有名ではないし、おそらくはこの先も有名になることは無いであろう、調布ローカルな灯篭流しの訪問記はこれで終了です。近場でこんなことをしているとは今まで全く知らずにおりましたが、お盆らしい雰囲気を十分に味わうことが出来ました。
東京出身で帰省と言う概念自体を持たず、盆暮と言う感覚そのものが極めて希薄な私にとって、普段感じることの出来ないとても新鮮な体験でありました。
忘れていなかったら、来年もまた訪問したいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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