唐沢山-諏訪岳 晩秋の紅葉に染まる城址の里山を巡る

浅間山から見た唐沢山
栃木県佐野市にある唐沢山(からさわやま)と諏訪岳(すわだけ)に登りました。
関東平野の北端付近に位置している、標高200メートル少々の低山です。戦国時代に佐野氏が築いた唐沢山城の遺構が残る城址の山で、登山の対象と言うよりは観光地としての色合いが非常に強い場所です。紅葉の名所として知られており、標高が低いため12月に入って以降の晩秋の時期に見頃を迎えます。
隣にある諏訪岳と繋げて、紅葉にもえる里山をゆるりと巡って来ました。

2024年12月8日に旅す。

暦は12月に入り、山から里へと下って来る紅葉を追いかけて来たシーズンも、いよいよ最終盤の時期となりました。紅葉の名所として名高い、北関東の唐沢山に登って来ました。
唐沢山城跡の紅葉
この山頂に関東一の山城と評された唐沢山城が建っていました。現在でも石垣などの遺構が残ってします。

かつて本丸があった跡地に、現在は唐沢山神社が建っています。そのため唐沢山と言う名称はあまり使われておらず、唐沢山城跡ないしは唐沢山神社と言う呼び名の方が一般的です。
241208唐沢山-070
山頂付近まで車で入ることが可能で、登山の対象と言うよりは観光地だと考えるべき場所だと言えます。

現在この唐沢山神社の敷地内には、多数の地域猫が住んでいます。紅葉の名所としてよりも、猫神社としての知名度の方がむしろ高いかもしれないくらいです。
唐沢山神社の猫

途中で猫と戯れつつ、晩秋の里山をゆるりと歩いてきた一日の記録です。どうぞ肩の力を抜いてご覧ください。
241208唐沢山-004

コース
241208唐沢山-map
東武佐野線の堀米(ほりごめ)駅からスタートし、浅間山を経由して唐沢山へ。そのまま尾根沿い北上して諏訪岳まで縦走します。

下山は多田駅へと下る、駅から駅へと繋げるお手軽な里山ハイキングです。

1.唐沢山登山 アプローチ編 東部の鈍行列車で行く、北関東への旅路

5時57分 東京メトロ半蔵門線 九段下駅
北関東は近いようでいて遠い。少なくとも普段は主に鈍行列車で移動している者からすると、決して身近な地域だとは言えません。東武線直通の地下鉄半蔵門線に乗り込み、遠路はるばる栃木県の佐野市を目指します。
九段下駅の半蔵門線ホーム
え、小山まで新幹線?HAHAHA!御冗談を。

東武動物公園駅で一度乗りかえて、館林駅までやって来ました。私は東武線沿線の民ではないため、東武の路線がどこでどう繋がっているのか、いまだによくわかっていません。Yahoo路線検索に言われたとおりに乗り換えます。
館林駅のホーム

続いて東武佐野線の葛生(くずう)行きに乗車します。何気に自身初めて乗車する路線です。
241208唐沢山-007

8時39分 堀米駅に到着しました。唐沢山の最寄り駅となるのは2つ先の田沼駅なのですか、最寄り駅スタートだとあまりにもボリューム不足なので、堀米駅から浅間山を経由して尾根沿いを歩いて行きます。
堀米駅のホーム

堀米駅周辺の観光スポットとしては佐野市こどもの国がイチオシであるようですが、一応は申し訳程度に唐沢山の案内もありました。
241208唐沢山-009

2.佐野市と関東平野を見渡す好展望地の浅間山

8時45分 トイレと身支度をすませて、本日の行動を開始します。駅前の大通りを左折して、しばらく道なりに進みます。
241208唐沢山-010

右手の丘陵の上に、ロケット発射台(のレプリカ)らしきものが見えています。あそこが駅に案内のあった、佐野市こどもの国なのかな。
241208唐沢山-011

前方に小さな山が見えて来ました。目指す唐沢山そのものではありませんが、唐沢山と尾根沿いに繋がっている小さな山脈の一部です。今からその尾根沿いに縦走して行きます。
241208唐沢山-012

このまま道なりに進み続けると、最初の目的地である浅間山をスルーしてしまうので、どこかで右折左折とクランクしながら進みます。この辺りの道は碁盤目になっているので、曲がる場所はどこでも大丈夫です。
241208唐沢山-013

浅間山の登山口となる、小梥(こまつ)神社まで歩いて来ました。梥とは普段はまったく目にする機会のない漢字ですが、意味は読みの通り松の事だそうです。だったら普通に小松神社で良かったのではなかろうか。
241208唐沢山-014

今から登ろうとしている浅間山の山頂には、浅間神社が建っています。この小梥神社とは麓宮と本宮の関係なのかなと思っていましたが、どうやらまったく無関係な別物であるようです。
241208唐沢山-015

特に案内などは出ていませんが、神社の裏手から山中へと入って行けそうです。ということで、ここから登山開始です。
241208唐沢山-016

あまり背の高い木が生えておらず、赤茶けた岩が露出している登山道です。近隣にある大小山や両崖山などと雰囲気が良く似ています。足利地方には多い、栄養に乏しそうな岩の低山です。
241208唐沢山-017

登山道の一部が階段になっていて、石碑や灯籠などが並んでいました。古くから信仰の謂れがある山なのであろうことが伺えます。
241208唐沢山-018

まだ登り始めてから15分と経ってはいませんが、早くも展望が大きく開けました。平地を挟んだ向かいに大小山(282m)の姿が見えています。
241208唐沢山-019

再び鳥居がありました。柱に武運長久と書かれていますが、いつ頃の時代の建造物なのでしょうか。
241208唐沢山-020

山頂らしき場所が見えました。周囲には背の高い木が一切なく、いかにも眺めが良さそうで期待が高まります。なにしろ浅間山と名乗っているくらいですから、きっと富士山も見えるのでしょう。
241208唐沢山-021

最後の最後にもう一度急登箇所がありました。手を使うほどではありませんが、登っていて純粋に楽しいと感じられるアスレチック要素があります。
241208唐沢山-022

急登区間を登りきると、東屋がポツンと立っている大きく開けた飛び出しました。
241208唐沢山-023

9時25分 浅間山に登頂しました。登山と言うよりは散歩に毛が生えた程度の道程でしたが、山頂からはおよそ低山らしからぬクオリティの展望が広がっています。早速ざっと周りを見てみましょう。
241208唐沢山-024

南側には、佐野市の市街地の先に関東平野が広がっています。現在地が関東平野の北端であるあることが、たいへん良くわかる光景です。
241208唐沢山-025

関東平野を挟んだ向かいに、丹沢の山並みが見えています。残念ながら富士山は雲に隠れてしまっているらしく、姿が見当たりません。
241208唐沢山-026
こうして離れた位置から眺めると、大山の存在感が際だって見えます。足利地方では江戸時代に大山講が大変な人気を博していましたが、確かにこれだけよく見えていれば自然と親しみも湧いたことでしょう。

北側には、これから目指す唐沢山の姿がありました。紅葉の名所と言われるだけの事はあって、確かに稜線上は良い感じに色付いています。
浅間山から見た唐沢山

東側の展望です。唐沢山と同じような高さの、山とも言えない標高の低山が幾重にも連なっています。
241208唐沢山-027

遠くに薄っすら霞んで筑波山(877m)が見えています。筑波山の左手前にある切り立った岩山は岩船山(173m)です。両毛線の車窓からもよく見えている山ですが、そう言えば一度も登ったことがありません。
241208唐沢山-028
その気になれば唐沢山に登った後に直接歩いて行けないこともないくらいの距離ですが、下道歩きが長そうでちょっと躊躇してしまします。

この後時間に余裕があったら、あそこまで足を伸ばすことも考えてみましょう。

最後に西側の展望です。方角的には日光連山や赤城山などが見えるはずですが、こちらも生憎と雲が多めの空模様です。西高東低の冬空らしく、平野部の上空だけが晴れている状態です。
241208唐沢山-029

3.幾多の小ピークを越えて唐沢山を目指す

思いもよらぬ好展望につい長居が過ぎました。ボチボチ行動を再開しましょう。唐沢山方面へ進む分岐は、山頂から元来た方へ少し戻った場所にあります。
241208唐沢山-030

山頂直下はなかなかの急勾配です。岩の上に枯れ葉が降り積もっていて滑りやすい状態になっており、下るのに意外と難儀しました。
241208唐沢山-031

だいぶへっぴり腰になりつつ、なんとか平らな場所まで下って来ました。どうやら道のすぐ脇は私有地らしく、柵で厳重に防護されています。
241208唐沢山-032

程なく車道に合流しました。ここから先は、しばしの舗装道路歩きとなります。
241208唐沢山-033

この道は唐沢山山頂のすぐ近くまで続いていおり、車でお越しの人は登山は一切せずに登頂することも出来ます。と言うか唐沢山神社は純然たる観光地であって、むしろ登山者の方が圧倒的に少数派であろうかと思います。
241208唐沢山-034

頭上が紅葉のトンネルになっていて壮観です。目的地に辿り着く前から目を楽しませてくれます。
241208唐沢山-035

このまま道沿いに進んでも唐沢山にたどり着きますが、途中から尾根沿いを歩ける登山道があります。そういう事であれば、当然登山へ進みます。
241208唐沢山-036

尾根上の小ピークを踏んで行く道の他に、巻き道まで完備していました。わざわざ登山道を選んでおきながら巻き道へ行く理由はないので、直登ルートに進みます。
241208唐沢山-037

登りきると、岡崎山と言う名のピークでした。標高はわずか182メートルです。あまり歩く人は多くない山域だろうと思っていたのですが、意外にしっかりとハイキングコースが整備されています。
241208唐沢山-038

行く先にも、同じような高さの小ピークがいくつも連なっているのが見えます。登山と言うよりは散歩みたいなものだろう言う事前の予想は、どうやらハズレだったようで。
241208唐沢山-039

またもや巻き道と直登コースの分岐がありました。わざわざ毎回巻き道を用意するとは、意外とお金をかけて整備していそうです。
241208唐沢山-040

今度は飯守山と言う名のピークがありました。こうした尾根上のコブのような小ピーク一つ一つにまで、わざわざ名前が付いているらしい。
241208唐沢山-041

意外とアップダウンが多く、登って降りてが忙しい尾根です。そして毎回しっかりと巻き道があります。実は人気のハイキングコースだったのか。
241208唐沢山-042

今度のピークは、先の2つの小ピークとは違って大きく登り返します。浅間山からの下りと同様に急峻な岩場です。標高こそ高くはありませんが、意外に険しい尾根道です。
241208唐沢山-043

登りきると、ベンチが置かれた開け場所にでました。標識によると、ここは権現堂と言う名称のようです。ここだけ名前が山ではないのですね。
241208唐沢山-044

振り返ると、ここまで歩いて来た尾根を一望できました。ふむ、これは良き里山です。桐生や足利などの足尾山地前衛部には、魅力的な低山が沢山ありますが、唐沢山もなかなかなものだと思います。
241208唐沢山-045

小さなギャップにわざわざ橋が架けてありました。唐沢山は城址の山なので、もしかすると人工的な掘割の跡なのかもしれません。いずれにせよ、かなりのお金を開けて整備されている感があります。
241208唐沢山-046

岩場で視界が開けたところで、いつの間にか唐沢山がすぐ目の前にありました。眼下の車道が、短いスパンの九十九折れでかなり強引に標高を稼いでいます
241208唐沢山-047

右手に見えているのは、位置的に恐らく三毳山(229m)かな。カタクリ群生地が有名な山ですが、紅葉も十分に見ごたえがありそうです。
241208唐沢山-048

岩場の脇から一度大きく標高を落とします。側面は切れ落ちていて落ちたらタダでは済まない高さなので、ここは慎重に下りましょう。
241208唐沢山-049

先ほどの車道と合流しました。ここまで来れば、唐沢山城跡はもうすぐ目の前です。
241208唐沢山-050

4.唐沢山神社で猫と戯れながら紅葉を見物する

このまま舗装道路沿いに回り込んでも良いですが、道を横断した向かいに、天狗岩経由でショートカットできる登山道があります。
241208唐沢山-051

早速見事な紅葉が出迎えてくれました。神社の境内の紅葉はこんなものではなくもっと凄いので、もったいぶっていないで先へ進みましょう。
241208唐沢山-052

ここに来てまさかの、手も使ってよじ登る系の道になっていました。現在地は既にハイキングコースではなく観光地の領域内であろかと思うのですが、観光客が紛れ込んで来てしまったりはしないのだろうか。
241208唐沢山-053

登り切ると、天狗岩と呼ばれている場所に出ました。柵に覆われていて、ちょっとした展望台のようスペースになっています。
241208唐沢山-054

その天狗岩からの眺めですが、特に何かが見えると言う訳ではありません。展望に関しては、最初の浅間山から眺めが本日一番のハイライトだったと思います。
241208唐沢山-055

登って来たのと反対側に下って行くと、すぐに駐車場がありました。普通はこちら側から登って来るのが一般的です。
241208唐沢山-056

11時 唐沢山城跡の入り口までやって来ました。辺りには車でやって来たのあろうラフな格好をした観光客しかおらず、登山の恰好をしている私はここでは完全に浮いていました。
241208唐沢山-057

駐車場の脇にはレストハウスまであります。だいぶ年季が入っている建物で、レストハウスの文字が欠けてレトノウスになってしまっておりますな。
唐沢山レストハウス

それでは早速、紅葉の方を見物して参りましょう。正直なところそれほど大きな期待はしていなかったのですが、入り口からして見事な色付き様です。素晴らしい。
唐沢山城跡の紅葉

さて唐沢山と言えば、紅葉以上に有名なのが猫です。どういう経緯でここに集まったのかはわかりませんが、現在合計30匹以上の猫が唐沢山神社の境内に住んでいます。
唐沢山の猫

当然個体差はあるでしょうが、どの猫も人慣れしていて逃げるそぶりすらも見せません。ただ良くも悪くも人馴れし過ぎていて若干すれているというか、あまり愛想が良くはありません。
唐沢山の猫
ちなみに、先ほどのレストハウスで猫の餌が販売されています。どうしても猫たちに歓待されたいと言う人は、手土産を持参すれば愛想よく応対してもらえるかもしれません。

ここはかつては城が建っていた場所なのですが、現在は神社になっています。城の建物自体は失われて残っていませんが、石垣などの遺構がそのまま残されています。
241208唐沢山-061

この池はもともとは井戸です。山の上にありながら、年間を通じて水が枯れることがないのだとか。確かに、今でもなみなみと水を湛えています。
241208唐沢山-062

池の水面に映った紅葉が美しい。現地で目にした光景はもっと美しかったのですが、写真だとイマイチ伝わりません。こればかりは、実際に訪れて自分の目で確かめてもらうしかありません。
241208唐沢山-063

そこかしこで猫が日向ぼっこをしています。陽だまりが気持ちよさそうですね。
241208唐沢山-064

猫神社とは呼ばれているだけの事はあります。猫好きの人には垂涎の場所なのではなかろうか。
241208唐沢山-065

紅葉の回廊と化した参道を進みます。令和6年は夏の異常な猛暑により、紅葉については外れ年だとしか言いようがない状態でしたが、紅葉シーズンも最終盤の時期になってから、ようやくこうして文句なしに美しい光景に出会う事が出来ました。
241208唐沢山-066

一匹の猫がまるで「私について来なさい」とでも言わんばかりに、参道の中央を練り歩いていました。
241208唐沢山-067

猫に先導されつつ歩む。貴方は神の使いか何かなのですか。
241208唐沢山-068

紅葉は間違いなく見事ではあるのですが、私を含めた訪問者の多くは、紅葉よりも猫に夢中になっていました。
241208唐沢山-069

まあたまにはこういう普段とは毛色の異なる記事も、良いアクセントになったのではないでしょうか。誰も聞いたことがないような藪山ばかりを取り上げても、流石に食傷気味になるでしょうから。
唐沢山神社の猫

かつて城の天守があったのであろう最高地点は、今では神社の建物が占拠していました。やはり登山と言うよりは参拝だと考えた方が良さそうな唐沢山でした。
241208唐沢山-070

5.諏訪岳へと続く松風の道を行く

唐沢山までで行動を終えても良いのですが、まだ全然歩き足りないと言う人は、さらに尾根沿いに北上して諏訪岳までハイキングを延長することが出来ます。と言うことで、行ってみましょう。
241208唐沢山-071

ここから先は、首都圏在住のハイカーにはお馴染みの存在である、関東ふれあいの道に組み込まれているルートです。
241208唐沢山-072

浅間山から唐沢山に至る区間と同様に、小さなコブのような小ピークが幾重にも連なっているのが見えます。ひょっとして結構しんどい道だったりするのでしょうか。
241208唐沢山-073

緩やかに下って行くと、すぐに未舗装の林道らしき道と合流しました。
241208唐沢山-074

ここから先は東京農工大学の私有地となっており、関東ふれあいの道のコース上にのみ立ち入りが許可されています。ルートから外れてしまわないように注意して歩いてください。
241208唐沢山-075

松風の道と銘打たれた案内に従って進みます。始めに断っておきますと、ここから先はかなり地味です。無理してハイキングを続けるべき必然性は特にないので、物好きな方だけどうぞ。
241208唐沢山-076
私は当然続行します。物好きですから。

このまま林道沿いを歩き続けても最終的には諏訪岳に至りますが、途中からまた尾根沿いの登山道がありました。
241208唐沢山-077

アップダウンが多めの、あまり代り映えがしない尾根道が延々と続きます。読者の皆様を退屈させるのも忍びないので、ここから先はさっくりと省略いたします。
241208唐沢山-078

12時50分 と言うことで場面は飛んで、京路戸峠まで歩いて来ました。関東ふれあいの道は、諏訪岳の山頂を通らずにここから村檜神社に向かって下っていきます。
京路戸峠

関東ふれあいの道からは外れて、諏訪岳の山頂を目指します。なぜならば、そこにピークがあるからです。最高地点の土を踏むことこそが、ピークハンターたるもののお勤めでございます。
241208唐沢山-080

諏訪岳の周辺の紅葉はもう既に終了しており、すっかりと茶色くなった枯れ葉が舞っていました。唐沢山とそれほど大きな標高差がある訳でもないのですが、これだけ紅葉の進行度合いが違うのは日当たりの差なのでしょうか。
241208唐沢山-081

13時10分 諏訪岳に登頂しました。一応はここが、本日の行程における最高地点となります。なんと言ったらいいのか、一言で言うと、とても地味です。
諏訪岳の山頂

展望はごくわずかに開けていますが、一面のソーラーパネルの群れが見えるくらいで、特筆すべきものはありません。繰り返しになりますが、無理してここまでハイキングを延長する必要はないのかなと言うのが率直な感想です。
241208唐沢山-083
だがしかしそれが良いと思う、もの好きな方は是非どうぞ。

6.多田駅に下山する

僅かな山頂滞在時間でしたが、諏訪岳山頂を後にして下山を開始します。下山と言っても、麓の町はもうすぐそこに見えています。
241208唐沢山-084

サクサクと下って京路戸峠まで戻って来ました。このまま村檜神社へ下って岩船山まで歩くと言うプランにも心動かされていましたが、思いのほか距離がありそうなので今日はここまでにしておきます。
241208唐沢山-085

ということで、多田駅方面へ進路を転じます。山の下の方は、里山にはありがちな鬱蒼とした杉の植林になっていました。
241208唐沢山-086

あっさりと登山口まで下って来ました。登山口近くに草ボーボー状態で放棄されたテニスコートがあるのは、マイナーな山ではありがちな光景なのですが、諏訪岳のテニスコートは珍しく(?)現役で稼働していました。
241208唐沢山-087

工業団地の只中を突っ切って、駅まで直接歩きます。大した距離ではなく、諏訪岳も十分に駅チカ物件の山と言えます。
241208唐沢山-088

振り返ってみた諏訪岳です。なんと言うか、下から見てもやっぱり地味です。もう少し早い時期に訪れていれば、紅葉が見事だったのかもしれません。
241208唐沢山-089

14時20分 多田駅に到着しました。東武佐野線の駅から駅へと繋いだ、お手軽なハイキングでした。
東武線多田駅の駅舎

間が悪いことに、14時10分発の電車が行ってしまったばかりのタイミングで、次の電車まで1時間近い待ち時間が発生しました。日中の一番電車が少ない時間帯ですからやむなしです。
241208唐沢山-091
なお軽く見た感じでは、駅の周辺にコンビニなどの商業施設は存在しませんでした。仕方がないので、陽だまりのベンチにボーっと座ってうたた寝をしながら、次の電車を待ちます。

15時10分の電車で撤収します。
241208唐沢山-092

7.おまけの寄り道編 岩船山に登る

往路と同様に東武線の鈍行列車で帰宅の途に付いたかのように見えた私は、何故か佐野駅でJR両毛線に乗り換えて岩船駅へと降り立ちました。
両毛線 岩船駅のホーム
直接歩いて行くには遠すぎると思うのであれば、電車で移動すればよいじゃないかと言う発想に至った次第でございます。

目的地は駅のすぐ裏手にあります。この山の来歴について簡単に解説しておくと、江戸時代から採石場として石の切り出しが行われており、その結果このような切り立った異様な姿をしています。
241208唐沢山-094
また岩船山は石切り場にされる以前の時代より、死者の魂が集まる場所であるとされて来た霊山でもあります。山頂には西暦で言うと8世紀に創建されたとされる、古刹の高勝寺が建っています。

日没までもうあまり時間も無いので、サクサクと足早に参りましょう。霊山らしく、山頂までしっかりと参道が整備されています。
岩船山の登山口

この参道は最初から最後まですべてが階段です。登山と言うよりは、参拝であると考えた方が良さそうです。
241208唐沢山-096

中腹あたりまで登って来ると、採石が行われていた断面の真下に出ました。見上げる高さの岩の絶壁です。しかし古くから霊山とされていた山なのに、よくもまあここまで容赦なく削り取りましたな。
241208唐沢山-097

ここから先は、さらに急勾配の階段となります。岩船山登山とは、階段を登ることと見つけたり。
241208唐沢山-098

振り返るとこの勾配です。標高自体は200メートルにも満たない純然たる低山なのですが、物見遊山気分で訪れた観光客は途中で心をへし折られるかもしれません。
241208唐沢山-099

だいぶ息も絶え絶えになりつつ、何とか階段を登り切りました。下から見ると岩の絶壁なのに、山の上にはごく普通の光景が広がっていて拍子抜けしました。
241208唐沢山-100

立派な山門が建っています。そして奥に普通に車が停まっていることからも察せられる通り、山の裏側に車で直接登ってこれる道があります。
241208唐沢山-101

岩船山山頂に立つ高勝寺です。かつては関東の一円で多く信徒を集め、特に江戸時代には徳川将軍家によって庇護され隆盛していました。
241208唐沢山-102

最高地点がどこなのかはよくわかりませんが、寺院の裏手に道が続いているのでもう少し進んでみましょう。
241208唐沢山-103

奥の院と書かれた広場がありました。一応はこれで岩船山登頂と言うことにして良いのだろうか。
241208唐沢山-104

奥の院からさらに先へ進むと、すぐにフェンスで塞がれていました。この下はもう断崖絶壁です。
241208唐沢山-105

岩船山の採石場跡地は現在、火薬を使った爆発シーンの撮影場として利用されています。特撮ヒーローなどで定番の場所ですね。ダイダイダイダイ大爆発だー、ダダッダー!
241208唐沢山-106

さあ、今度こそ帰りましょう。帰路は参道の階段ではなく、裏の車道から回って下ります。
241208唐沢山-107

この屹立している岩は、最初からこのような姿をしていた訳でなく、もとは尾根続きだったのが東日本大震災の際に崩れて今の姿に変わったらしい。残りもいつ崩れるともしれないので、下には近づかない方が無難です。
241208唐沢山-108

なんとか暗くなる前に、街灯のある場所まで下って来ました。山の裏側に下りてしまったので、駅へ戻るにはぐるりと大きく回り込む必要があります。
241208唐沢山-109

地平線が夕焼けに染まっています。当初はこんな時間になるまで歩き続けるつもりはなかったのですが、思わぬ寄り道をしてしまいました。
241208唐沢山-110

岩船駅に戻ってきた時には、周囲はすっかりと暗くなっていました。今日もたくさん歩いて大満足です。
241208唐沢山-111

今度こそ寄り道はせずに、鈍行列車での長い帰宅の途に付きました。
241208唐沢山-112

色々と蛇足やら寄り道がつぎ足された一日でしたが、唐沢山の紅葉は評判通りの見事なものでした。関東平野北端の一帯にある低山群は、どこもなにかしらの見所があって、ハズレが無いように感じられます。
登山の対象と言うよりは観光地としての色合いが濃い唐沢山ですが、浅間山から縦走すれば割としっかりハイキングが出来ました。なお、無理して諏訪岳まで足を伸ばす必要はまったくありません。時間が余るようでしたら、猫と戯れて行けば良いかと思います。
ガッツリ縦走ではなく、軽めの山歩きをしたいと言う人に大いに推奨します。

<コースタイム>
堀米駅(8:45)-浅間山(9:25~9:45)-唐沢山城跡(10:55~11:45)-京路戸峠(12:50)-諏訪岳(13:10~13:25)-多田駅(14:20)

241208唐沢山-113

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント